ドライバーを副業でやる|必要な免許と車の条件、仕事の受け方

中西 直美
中西 直美
ドライバーを副業でやる|必要な免許と車の条件、仕事の受け方

この記事のポイント

  • ✓ドライバーの副業を考えている方へ
  • ✓人を運ぶ仕事と物を運ぶ仕事の違い
  • ✓車のナンバーと保険の条件

「運転が好きだから、副業にできないでしょうか」というご相談をよく受けます。通勤で毎日運転している方、休日に長距離を走るのが苦にならない方。運転そのものが負担にならない方にとって、ドライバーの副業は現実的な選択肢です。

ただ、ここには少し整理が必要です。ドライバーの副業は、仕事の種類によって必要な免許と車の条件が大きく変わります。普通免許だけで始められるものもありますし、第二種免許が必要なものもあります。車を自分で用意する仕事と、会社の車を使う仕事もあります。

大丈夫です。ひとつずつ見ていけば、自分に合う形が見つかります。この記事では、必要な免許、車の条件、費用、そして仕事をどう受けるのかを順番に整理します。

「人を運ぶ」と「物を運ぶ」で条件が変わる

最初に押さえたいのは、この分け方です。ドライバーの副業は、人を運ぶ仕事と物を運ぶ仕事で、必要な資格と手続きがまったく違います。

人を運んで運賃を受け取る仕事は、法律上の規制が厳しい分野です。タクシーやバスの運転には第二種免許が必要で、事業としての許可も必要になります。副業として個人で始められる形は限られています。

一方で、運賃を受け取らない送迎は扱いが変わります。介護施設や病院、保育施設の送迎で、利用者から運賃を直接受け取らない形であれば、普通免許で従事できる募集が多くあります。施設のスタッフとして雇われ、施設の車を運転する形です。この型は副業として入りやすく、午前のみや午後のみといった短時間の募集も出ています。

物を運ぶ仕事は、軽貨物の配送が中心です。こちらは貨物軽自動車運送事業の届出をして、事業用のナンバーに変えれば個人で始められます。荷物を運ぶので、人を運ぶときのような免許の上乗せは必要ありません。

そして近年増えているのが、その中間にある仕組みです。タクシー事業者の管理のもとで自家用車を使って人を運ぶ枠が設けられ、第二種免許がなくても一定の条件で従事できる形が生まれています。制度の条件は改正で動くため、募集要項と運行を管理する事業者の説明で最新の条件を確認してください。

求人サイトの募集を見ると、こうした募集が実際に並んでいます。

【仕事内容】マイカーを使い、深夜の空き時間に稼げるライドシェアドライバーのお仕事です。...<歓迎>・未経験の方、既卒・第二新卒の方・学歴不問・副業・Wワークをお考えの方・以前ドライバーとして働いた経験がある方 出典: 求人ボックス

「マイカーを使い」「深夜の空き時間に」「副業・Wワークをお考えの方」という言葉が並んでいます。つまり、副業を前提にした募集が用意されているということです。ただし、マイカーを使う形では保険の契約内容が関わってきます。この点は後の章で詳しく見ていきます。

必要な免許を、仕事の種類ごとに整理する

免許の条件は、混乱しやすいところです。仕事の種類ごとに並べてみましょう。

普通免許(第一種)で従事できるのは、次のような仕事です。介護施設や病院、保育施設、学習塾の送迎(運賃を受け取らない形)、軽貨物の配送、荷物の配達、企業の社用車の運転、車の陸送。いずれも、人から運賃を受け取って運ぶ形ではありません。

第二種免許が必要になるのは、旅客を運んで運賃を受け取る仕事です。タクシー、バス、そして運転代行で客の車を運転する役割もこれに含まれます。運転代行は「随伴する車を運転する人」と「客の車を運転する人」に分かれ、後者には第二種免許が必要です。ここは間違えやすいので、募集要項でどちらの役割かを確認してください。

免許の取得費用も見ておきましょう。第二種免許を取る場合、教習所での費用はおおよそ20万円から30万円の範囲で、保有している免許の種類や地域で変わります。副業のために自費で取るかどうかは、回収できる期間を考えて判断してください。タクシー事業者では、資格取得の費用を負担する制度を設けている会社もあります。

資格という点では、免許以外にも役立つものがあります。介護施設の送迎では、運転に加えて乗り降りの介助を頼まれることがあります。介護職員初任者研修などを修了していると、任される範囲が広がり、時給の条件も変わることがあります。募集要項に「介護資格があれば優遇」と書かれているのは、この部分です。

また、フォークリフトの資格は物流の現場で評価されます。荷物を運ぶ仕事で、積み込みまで対応できると採用の幅が広がります。運転の仕事を長く続けたい方には、免許以外の資格を1つ足す選び方が有効です。

無理に資格を増やす必要はありません。まずは普通免許で始められる形から入って、続けられそうだと感じてから次を考える。この順番で充分です。

車の条件:ナンバー、保険、車種

自分の車を使う場合、確認しておきたいことが3つあります。ここは事故のときに大きく影響するので、ていねいに見ていきましょう。

1つ目はナンバーです。軽自動車で他人の荷物を運んで報酬を得る場合、貨物軽自動車運送事業の届出をして、事業用のナンバー(いわゆる黒ナンバー)に変更します。自家用の黄色いナンバーのままで荷物の配送を請け負うことはできません。手続きの窓口は地域の運輸支局で、必要書類の案内はe-Govの手続の検索からもたどれます。

2つ目は保険です。これがもっとも見落とされる部分です。自家用として契約している任意保険は、業務で使っている間の事故を補償の対象外としている場合があります。つまり、仕事で運転していたことがわかると保険金が支払われないことがあります。副業で車を使うと決めたら、契約している保険会社に用途を伝えて、必要な切り替えをしてください。保険料は上がりますが、支払われない保険を持っているより安全です。

3つ目は車種です。軽貨物の配送では、荷室の広さが仕事の受けやすさに直結します。軽ワゴンよりも軽バンのほうが積める量が多く、宅配の案件では有利です。逆に人を運ぶ仕事では、後席の広さと乗り降りのしやすさが求められます。すでに持っている車で始める場合は、その車に合う仕事を選ぶという順番のほうが、費用をかけずに始められます。

会社の車を使う仕事なら、この3つは考えなくて済みます。施設の送迎、社用車の運転、タクシーの乗務はいずれも車が用意されます。「車の維持費をかけずに運転の副業をしたい」という方には、雇用型で会社の車を運転する形が向いています。

こういう相談のとき、「自分の車でやるほうが自由で得ですよね」とおっしゃる方が多いのですが、必ずしもそうではありません。自由度は上がりますが、費用と責任も自分側に来ます。どちらが得かは、走る距離と稼働の量で変わります。

送迎の仕事には、どんな現場があるのか

普通免許で始められる送迎の仕事は、副業として入りやすい形です。現場ごとに雰囲気が違うので、代表的なものを見ていきましょう。

1つ目は、介護施設の送迎です。デイサービスの利用者を朝に迎え、夕方に送る形が多く、稼働は午前と午後に分かれます。朝の2時間だけ、夕方の2時間だけという募集もあり、本業の前後に入れられる場合があります。乗り降りの介助を頼まれることがあるため、体力と気配りが求められます。

2つ目は、医療機関の送迎です。通院する患者を自宅と病院のあいだで送る仕事です。時間が決まっているので予定が立てやすく、同じ利用者を繰り返し送ることで関係ができていきます。

【仕事内容】人工透析患者さんの通院を送迎していただくドライバーの募集になります。...副業・WワークOK未経験OK学歴不問増員交通費支給あり服装自由正社員登用あり試用期間あり 出典: 求人ボックス

この募集には「副業・WワークOK」「未経験OK」と書かれています。つまり、送迎の現場では副業の受け入れが前提になっている募集があるということです。透析の通院は週に3回など決まった曜日に発生するため、固定のシフトで入れる方に向いています。

3つ目は、保育施設や学習塾の送迎です。子どもを乗せるので、安全確認の手順が細かく決められています。朝と夕方に稼働が集中し、時間は短めです。

4つ目は、企業の送迎です。社員の通勤バスや、来客の送迎、役員の送迎などがあります。時間が決まっており、待機の時間が長い現場もあります。待機中に別のことができるかは職場によるので、確認しておくとよいでしょう。

5つ目は、ホテルや施設の送迎です。駅と施設のあいだを決まった経路で往復する形が多く、道を覚える負担が小さい仕事です。

こういう現場を選ぶとき、迷う方に必ずお伝えしているのは「人と接する量で選んでください」ということです。介護や医療の送迎は会話が生まれます。企業や施設の送迎は運転に専念する時間が長いです。どちらが心地よいかは本当に人それぞれで、正解はありません。本業で人と話し続けている方は、運転に専念できる現場のほうが休まる場合があります。

報酬のかたちと、時間あたりで見る方法

報酬の形は、雇用型と業務委託で考え方が変わります。ここを分けて見ていきましょう。

雇用型は時給です。地域と時間帯で幅がありますが、送迎の募集では時給1,100円から1,500円あたりの設定が多く見られます。早朝や深夜は割増がつくため、これより上になる募集もあります。交通費が支給される職場もあるので、募集要項で確認してください。時給型のよい点は、かかった時間に応じて必ず賃金が発生することです。送りや迎えに要する時間が延びても、その分の賃金がつきます。

業務委託は、1件あたり、または稼働のまとまりごとに報酬が決まります。想定された時間より早く終われば時間あたりの報酬は上がり、遅くなれば下がります。つまり、時間の変動が自分側の損得になる仕組みです。

比べ方は1つだけ覚えておけば充分です。まず、家を出てから帰るまでの拘束時間を書き出します。運転している時間だけでなく、待機、荷物の積み込み、給油、車内の清掃も入れます。次に、受け取る報酬からその日にかかった費用(燃料費、駐車場代)を引きます。最後に、残った金額を拘束時間で割ります。これがその仕事の実質の時間あたり報酬です。

この計算をすると、意外な結果が出ることがあります。1回の報酬が大きい案件でも、拘束時間が長く移動距離があると、時間あたりでは短時間の送迎に負けることがあります。反対に、報酬は小さいけれど自宅から近く拘束が短い仕事のほうが、効率がよい場合もあります。

もうひとつ見てほしいのが、移動の時間です。片道40分かけて現場に行く仕事は、往復で1時間20分が報酬にならない時間として消えます。近い現場を選ぶだけで、実質の時間あたり報酬が上がります。運転の副業を選ぶときは、報酬の額より現場までの距離を先に見てください。

そして、記録を残してください。日付、拘束時間、走行距離、報酬、燃料費を1行ずつ書いていくだけです。3か月続けると、自分にとってどの仕事が効率的なのかがはっきり見えてきます。感覚ではなく数字で判断できるようになると、続ける仕事を選びやすくなります。

かかる費用と、経費として扱えるもの

費用の見積もりは、始める前にしておきたい作業です。マイカーを使う場合、次のような支出が発生します。

燃料費は走った距離に比例します。1リットルで15km走る車で、1回の稼働で60km走るなら4リットルです。これを月10回行えば40リットルになります。この計算を先にしておくと、報酬から引くべき額が見えます。

保険料の増額分も見込んでください。事業用の契約に切り替えると、年間の保険料が上がります。金額は車種と補償内容で変わるので、見積もりを取って年額の差を確認してください。

そのほか、タイヤの摩耗、オイル交換、車検、駐車場代、スマホの通信費、配達用の備品。こうした支出が積み上がります。だから、ドライバーの副業は報酬の額面ではなく、経費を引いたあとの金額で判断する必要があります。

一方で、事業のために使った費用は経費として扱える場合があります。燃料費、保険料、整備費、通信費のうち業務で使った割合。自家用と兼用している場合は、業務で使った割合を合理的に計算して按分します。判断の考え方や記録の残し方は国税庁の公式情報で確認し、迷う点は税務署に相談してください。

記録は、無料で使えるツールで充分に管理できます。オンラインの表計算サービスに、日付、走行距離、燃料費、報酬を1行ずつ書いていくだけです。月末にまとめて計算すれば、その月の実質の収入がわかります。この記録があると、申告のときも慌てません。

給与を1か所から受け取っている会社員の場合、副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでいう所得は売上ではなく、売上から経費を引いた残りです。記録を残していないと経費を差し引けず、余計に納めることになります。

仕事の受け方は3つある

ドライバーの副業をどう探すか、という部分です。受け方は3つに分かれます。

1つ目は、求人に応募して雇われる形です。求人サイトで「ドライバー 副業」「送迎 週1」といった条件で探します。時給で働き、会社の車を使い、シフトが決まっています。労災保険の対象になるので、事故のときの守りがあります。収入が読めるので、生活設計が立てやすい形です。

2つ目は、業務委託で受ける形です。軽貨物の配送や、プラットフォーム経由の配車がこれに当たります。稼働の時間を自分で決められる代わりに、車も保険も自分で用意します。労災保険の対象外になるため、備えは自分で作る必要があります。

3つ目は、紹介や直接の契約です。地域の会社が自社の配送や送迎を外部に依頼するケース、施設が定期的な送迎を個人に依頼するケースがあります。募集が表に出にくいので見つけにくいのですが、条件を相談しやすく、長く続く仕事になりやすい形です。

副業として始めるなら、まず1つ目から入るのをおすすめしています。理由は、費用がかからないこと、そして自分が運転の仕事を続けられるかを試せることです。数か月やってみて「これは続けられる」と感じたら、2つ目や3つ目に広げていく。この順番なら、車を買ってから合わないと気づく、という事態を避けられます。

応募のときに伝えるとよいのは、稼働できる曜日と時間帯、運転歴、そして無事故無違反の期間です。運転の仕事では、事故の記録が判断材料になります。免許証の記録を確認できる書類の提出を求められることもあるので、あらかじめ準備しておくと手続きが早く進みます。

メリットとデメリットを並べて考える

判断の前に、両方を並べてみましょう。

メリットの1つ目は、特別なスキルの習得が要らないことです。運転はすでにできる方が多いので、学習の期間なしに始められます。パソコンの操作や専門知識を新しく覚える必要がありません。

2つ目は、時間帯を選べることです。早朝の配送、深夜の配車、午前だけの送迎。本業の時間を避けて働ける枠が多いのは、この分野の特徴です。

3つ目は、体を動かすので生活のリズムが整う方がいることです。デスクワークが本業の方にとって、外に出て動く時間が息抜きになるという声はよく聞きます。

デメリットの1つ目は、事故のリスクが常にあることです。運転する時間が増えれば、確率も上がります。備えを用意せずに始めるべき仕事ではありません。

2つ目は、疲労が蓄積しやすいことです。運転は座っているだけのように見えて、緊張を使います。本業の後に長時間運転する形を続けると、集中力が落ちて、それが事故につながります。

3つ目は、収入が費用に左右されることです。マイカーを使う形では、燃料費や整備費が変動します。額面の報酬だけを見ていると、手元に残る金額が思ったより少ないことに気づきます。

このメリットとデメリットを並べたとき、多くの方にとって鍵になるのは疲労の管理です。週10時間程度から始めて、体調を見ながら増やす。これができるかどうかで、続けられる期間が変わります。

注意したいこと、そして選び方

いくつか、始める前に確かめておきたいことがあります。

就業規則の確認は必須です。副業が届出制や許可制になっている会社は多く、無断で始めると規則違反になる場合があります。特に運転の仕事は、事故が起きたときに会社に連絡が及ぶ可能性があります。副業に関する国の考え方や資料は厚生労働省の公式サイトで公開されています。

社会保険も確認してください。雇用型で副業する場合、勤務時間や日数が一定の条件を超えると、副業先でも加入対象になることがあります。2か所で加入対象になった場合は届出が必要です。基準は改正で変わるため、日本年金機構の公式情報で確認するのが確実です。

そして、契約の条件です。業務委託で受ける場合は、報酬の計算方法、支払いの期日、事故や荷物の破損が起きたときの負担の範囲、キャンセル時の扱いを事前に確認してください。2024年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律では、発注する側に取引条件を明示する義務があり、報酬は受け取った日から起算して60日以内に支払う義務が定められています。制度の内容や相談窓口は公正取引委員会の公式サイトで案内されています。

選び方としては、次の順で考えると迷いにくくなります。まず、車を持っているかどうか。持っていなければ、会社の車を使う雇用型が入り口です。次に、確保できる時間の長さ。まとまった半日が取れるなら軽貨物、2時間程度なら送迎や短時間の配達が合います。最後に、体への負担の許容度。深夜の稼働は報酬が上がる一方、翌日に影響します。

この3つを紙に書き出すだけで、選択肢は2つか3つに絞られます。迷って動けないときは、選択肢が多すぎるだけのことが多いんです。

自分の車で月8件受けたとき、手元にいくら残るか

実費を引いた残りを出しておきます。運転の副業は、額面と実入りの差がほかの仕事より大きいので、ここを先に計算しておくと後悔が減ります。

前提は、業務委託で1件3,000円の配送を月8件、片道と戻りを合わせて1件あたり30キロ走る形。売上は月2万4,000円、年間で28万8,000円です。

費用を2つに分けます。走った分だけかかるものと、走らなくてもかかるものです。この分け方をしないと、実費の見積もりが大きく外れます。

走った分だけかかる費用は、燃料費です。自分の車の実際の数字で出してください。直近3回の給油の合計金額を、その間に走った距離で割る。これで1キロあたりの燃料費が出ます。仮に1キロ15円だった場合、月240キロで3,600円です。

走らなくてもかかる費用は、任意保険、自動車税、車検、タイヤやオイルの交換です。これを1キロあたりに直します。年間でかかる維持費の合計を、年間の走行距離で割る。仮に維持費が年20万円で年間1万キロ走る人なら、1キロあたり20円。副業で月240キロなら月4,800円が副業に対応する分です。

差し引くと、月2万4,000円から燃料費3,600円と維持費の按分4,800円を引いて、残るのは1万5,600円。年間で18万7,200円です。額面の65パーセント程度が実入りになります。

ここで申告の話に繋がります。この例なら所得は20万円以下なので、給与を1か所から受けている会社員の確定申告は不要になる可能性があります。ただし、住民税の申告は20万円以下でも必要です。ここを飛ばすと、翌年に自治体から問い合わせが来ます。

一方、同じ条件で月20件まで増やすと売上は月6万円、年72万円。走行距離は月600キロなので費用は月2万1,000円で、実入りは月3万9,000円になります。額面に対する実入りの割合は65パーセントに変わりませんが、金額としては2.5倍です。維持費の按分は走った距離に比例するため、稼働を増やしても割合は改善しない点は覚えておいてください。改善するのは、1回あたりの走行距離が短い案件を選んだときです。

なお、副業をしなくてもかかっている維持費をどこまで按分できるかは、使用の実態によって判断が変わります。走行距離の記録を残したうえで、自分の場合の扱いは税務署に確認してください。

勘違いしやすい5つ

最後に、相談を受けていて誤解が多い点を5つ挙げます。

1つ目は、20万円の数え方です。業務委託で受ける場合は売上から経費を引いた所得で数えますが、雇用されてアルバイトとして受ける場合は給与になるため、数え方が変わります。給与を2か所以上から受けている人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除く各種の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。給与は経費を引く前の収入金額で数えます。判定の条件は国税庁タックスアンサー No.1900に列挙されています。

2つ目は、雇用型で掛け持ちしたときの労働時間です。別の会社で働いた時間は本業と切り離されるものだと思っている方が多いのですが、そうではありません。

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。 出典: 労働基準法 第38条第1項(e-Gov法令検索)

つまり、本業で8時間働いた日に副業先で3時間運転すると、労働時間は通算されます。雇用型で送迎の仕事を選ぶときは、この点を副業先にも伝えておくほうが安全です。業務委託で受ける場合は雇用ではないため、この通算の対象にはなりません。

3つ目は、報酬の支払い時期です。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律で定められている60日以内という期限は、あくまで上限です。実際の入金は締め日と支払日の組み合わせで決まるので、契約時に両方を確認してください。月末締めの翌月末払いなら、初回の入金は稼働開始から2か月近く後になります。

4つ目は、経費の按分の根拠です。「だいたい半分」では説明になりません。走行距離、稼働日、使った時間のいずれかを記録しておき、その数字で割った割合を使う。記録が残っていない年の分は、後から作れません。

5つ目は、車の費用が増えるタイミングです。副業で走行距離が増えると、タイヤの交換やオイルの交換が前倒しで来ます。月々の収支では黒字に見えていても、2年目に整備費がまとまって出ることがあります。1件ごとの実入りから、整備に備える分を毎月よけておくと安定します。

続けている方に共通していること

フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ていると、運転の副業で長く続いている方には共通点があります。走る量ではなく、翌日に響かない範囲で止められていることです。

運営者として見てきた限りでは、収入が不安定になる理由の多くは、案件の減少より本人の体調です。詰め込んだ月の翌月に稼働が落ちる、という波を繰り返している方が少なくありません。同じ月間の収入でも、波がある形と一定の形では、生活の安定がまったく違います。

もうひとつ気づいたのは、運転の仕事を続けている方の多くが、座ってできる仕事を1つ持っていることです。天候や体調で運転を休んだ日に、家でできる作業があると収入の落ち込みが浅くなります。運転と在宅の作業を曜日で分けている方は、続いている印象があります。在宅でできる仕事の選択肢は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるに、家で完結する仕事と役立つ資格がまとめられています。

在宅の仕事を選ぶときに知っておいていただきたいのが、額面と手取りの違いです。仲介するサービスを通すと、報酬から手数料が引かれます。20%という数字は、年間50万円受け取る方なら10万円が消えるという意味です。中間のマージンが乗らない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側の手元に残るものは厚くなります。手数料0%の強みは、金額の派手さではなく、この手取りの厚さにあります。

書類を扱う在宅の仕事に興味がある方は、ビジネス文書検定の学習範囲が実務と重なっていて役立ちます。文章を書く仕事の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。長時間の作業に集中が続かないという方は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに区切り方の工夫が紹介されています。通信環境を整えるところから始めたい方は在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方が参考になります。

運転の副業は、始めるのが早い仕事です。そのぶん、保険と就業規則と申告の準備を後回しにしやすい仕事でもあります。守りを先に固めておけば、安心してハンドルを握れます。焦らなくて大丈夫です。

よくある質問

Q. 普通免許だけでできるドライバーの副業はありますか?

あります。介護施設や病院、保育施設の送迎(運賃を受け取らない形)、軽貨物の配送、社用車の運転、車の陸送などが普通免許で従事できる仕事です。タクシーやバス、運転代行で客の車を運転する役割には第二種免許が必要になるため、募集要項で免許の条件を必ず確認してください。

Q. 自分の車を使う場合、何を確認すればいいですか?

3つあります。荷物を運んで報酬を得る場合は貨物軽自動車運送事業の届出と事業用ナンバーへの変更、任意保険を業務使用に対応した契約へ切り替えること、そして仕事に合った車種かどうかです。自家用の契約のまま業務で使うと、事故のときに保険金が支払われないことがあります。

Q. 副業のドライバーはどのくらいの時間から始めるのが無理がないですか?

本業がフルタイムの方は、週10時間程度から始めるのが安全です。運転は座っているようでも緊張を使うため、疲労が蓄積すると事故のリスクが上がります。数か月続けて体調に問題がなければ増やす、という進め方が現実的です。深夜の稼働は翌日への影響を見て判断してください。

Q. 確定申告は必要ですか。経費には何が含まれますか?

給与を1か所から受け取っている会社員で、副業の所得が年間20万円を超える場合は申告が必要です。所得は売上から経費を引いた額です。燃料費、事業用の保険料、整備費、業務で使った通信費の割合などが経費として扱える場合があります。走行距離と支出を毎回記録しておくことが大切です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月30日最終更新:2026年9月21日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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