PSW(精神保健福祉士)とは|受験の要件と仕事


この記事のポイント
- ✓PSWと呼ばれる精神保健福祉士の資格について
- ✓第29回試験の日程と受験手数料
- ✓働く場所までを整理しました
PSWの資格について調べると、「精神保健福祉士」という国家資格に行き着きます。PSWは、精神保健福祉士を指す呼び名として長く使われてきた言葉で、心の病気を抱える人の暮らしや社会参加を支える相談の専門職です。この記事では、精神保健福祉士の仕事の内容、国家試験を受けるための受験資格、第29回試験の日程と受験手数料、合格率と合格基準、働く場所までを順に整理します。試験の日程や手数料は、試験を実施する社会福祉振興・試験センターと厚生労働省の公式ページで確かめた記載をもとにしています。
PSWと精神保健福祉士の関係
PSWは、英語のPsychiatric Social Worker(精神科ソーシャルワーカー)の頭文字を取った呼び名です。精神科の病院で、患者の退院後の生活や仕事の相談に乗る専門職を指す言葉として広まりました。
日本では、平成9年に精神保健福祉士法が作られ、精神保健福祉士が国家資格になりました。それ以降、PSWと言えば一般に精神保健福祉士を指すようになっています。
一方で、精神保健福祉士の職能団体である日本精神保健福祉士協会は、英語の名称を「Japanese Association of Mental Health Social Workers」としています。精神科の病院だけでなく、地域や学校、職場など、心の健康に関わる幅広い場面で働く専門職であることを示すために、MHSW(Mental Health Social Worker)という呼び方も使われるようになりました。求人票や職場では、今もPSWという言葉がよく使われるので、どちらも同じ資格を指していると理解しておけば十分です。
精神保健福祉士は、名称独占の国家資格です。名称独占とは、資格を持っている人だけがその名前を名乗れるという決まりのことです。精神保健福祉士の資格がなくても相談の仕事に就くことはできますが、精神保健福祉士と名乗って働くには、国家試験に合格し、登録を受ける必要があります。社会福祉振興・試験センターの資料によると、令和8年9月末の時点で、精神保健福祉士の登録者は全国で118,749人です。
精神保健福祉士の仕事の内容
精神保健福祉士の仕事を一言で言えば、心の病気を抱える人が、その人らしく暮らせるように、生活の相談に乗り、必要な支援につなぐことです。厚生労働省は、合格発表の資料の中で、精神保健福祉士を次のように説明しています。
精神保健福祉士とは、精神保健福祉士法に基づき、精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、若しくは精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談又は精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいう。 出典: mhlw.go.jp
法律の言葉なので長いですが、分かりやすく言い換えると、精神保健福祉士の仕事は次の3つに分かれます。
医療機関での相談
精神科の病院やクリニックで、入院している人や通院している人の相談に乗ります。入院の手続きの説明、医療費や生活費の相談、退院した後の住まいや仕事の準備などを、本人や家族と一緒に考えます。医師や看護師、作業療法士などの医療職と連携し、本人の生活の面から意見を伝える役割もあります。
地域での生活の支援
退院した人や、地域で暮らしている人が、福祉のサービスを使いながら生活できるように支えます。障害福祉サービスの事業所で、サービスの利用計画を作ったり、日中の活動の場を運営したりします。一人暮らしや仕事に向けた準備の支援も行います。
心の健康に関する相談
精神障害のある人だけでなく、心の健康に関する悩みを抱える人の相談にも応じます。職場のストレス、子どもの不登校、家族の心の不調など、相談の内容は幅広くなっています。行政の窓口、学校、企業などで、こうした相談に乗る精神保健福祉士もいます。
精神保健福祉士は、病気を治療する立場ではありません。治療は医師が行います。精神保健福祉士は、病気を抱えながら暮らす人の生活の面を支え、本人が望む暮らしに近づけるように、制度やサービス、地域の人とのつながりを調整する専門職です。
受験資格を得るための道筋
精神保健福祉士の国家試験を受けるには、受験資格が必要です。受験資格を得る道筋は、学歴と実務経験の組み合わせによって11のルートに分かれています。詳しいルート図は、社会福祉振興・試験センターの受験資格(資格取得ルート図)のページで確認できます。
主な道筋を整理すると、次のとおりです。
| 学歴 | 必要な実務経験 | 養成施設 | 受験資格を得るまでの最短 |
|---|---|---|---|
| 保健福祉系の4年制大学で指定科目を履修 | なし | なし | 卒業と同時 |
| 保健福祉系の3年制短大で指定科目を履修 | 相談援助の実務1年 | なし | 卒業後1年 |
| 保健福祉系の2年制短大で指定科目を履修 | 相談援助の実務2年 | なし | 卒業後2年 |
| 保健福祉系の大学などで基礎科目を履修 | 短大の場合は実務が必要 | 短期養成施設(6か月以上) | 4年制大学なら卒業後6か月以上 |
| 一般の4年制大学を卒業 | なし | 一般養成施設(1年以上) | 卒業後1年以上 |
| 一般の短大を卒業 | 相談援助の実務(年数は短大の修業年数で変わる) | 一般養成施設(1年以上) | 実務と養成施設の期間の合計 |
| 学歴を問わない | 相談援助の実務4年 | 一般養成施設(1年以上) | 実務4年と養成施設1年以上 |
精神保健福祉士の専門学校を運営するクリエイトは、福祉系の大学や短大から目指す場合について、次のように説明しています。
福祉系大学の4年制大学に進学し、精神保健福祉士の国家試験に必要な指定科目を履修した場合は、卒業と同時に受験資格が得られます。3年制の短期大学の場合は、指定科目の履修に加え、相談援助実務経験が1年必要となるため、最短でも受験資格を得るためには1年かかります。 出典: creatework.jp
ここで言う相談援助の実務とは、決められた施設や機関で、相談に乗る仕事をした経験のことです。どんな仕事が相談援助の実務として認められるかは細かく決まっていて、施設の種類と職種の組み合わせで判断されます。自分の経験が当てはまるかどうかは、試験センターのページの一覧で確認するか、入学を考えている養成施設に問い合わせてください。養成施設への入学に必要な学歴や実務経験は、各養成施設が審査します。
社会人から目指す場合の進め方
精神保健福祉士は、社会人になってから目指す人が多い資格です。大学で福祉を学んでいなくても、養成施設で学べば受験資格を得られます。
一般の4年制大学を卒業している場合
もっとも多いのが、一般の4年制大学を卒業した人が、一般養成施設で1年以上学ぶ道です。一般養成施設には、昼間に通うコース、夜間に通うコース、通信で学び一部を通学するコースがあります。仕事を続けながら目指すなら、通信のコースを選ぶ人が多くなります。
通信のコースでも、現場での実習とスクーリング(通学の授業)は必要です。とくに実習は、精神科の病院や地域の事業所で、まとまった日数を過ごして行います。実習の期間は、仕事を休むか、勤務の調整をする必要があります。申し込む前に、実習の時期と日数を確認しておきましょう。
福祉の仕事をしている場合
障害福祉の事業所や病院で相談の仕事をしている人は、その経験が相談援助の実務として認められることがあります。実務4年以上なら、学歴を問わず一般養成施設に進めます。働きながら経験を積み、その経験を土台に資格を目指せるのが、この道の利点です。
社会福祉士を持っている場合
社会福祉士の資格を持っている人は、精神保健福祉士の国家試験で共通科目の免除を受けられます。共通科目とは、社会福祉士の試験と重なる科目のことです。免除を受けると、受ける科目が専門科目だけになり、受験手数料も安くなります。社会福祉士として働いている人が、精神保健福祉士の資格を加えて仕事の幅を広げることはよくあります。
社会人が目指す場合、時間とお金の計画を先に立てておくことが大切です。養成施設の学費、実習の期間の収入の減り方、試験の準備の時間を見込んでおくと、途中であきらめずにすみます。
養成施設を選ぶときのポイント
社会人が精神保健福祉士を目指す場合、どの養成施設で学ぶかが、合格までの道のりを大きく左右します。養成施設を選ぶときに比べたい点をまとめます。
通学の形と期間
養成施設には、昼間に毎日通うコース、夜間に通うコース、通信で学び一部を通学するコースがあります。一般養成施設は1年以上、短期養成施設は6か月以上の課程です。通信のコースは、仕事を続けながら学べる代わりに、自分で計画を立てて課題を進める力が求められます。昼間のコースは、仕事を辞めるか休職して通うことになりますが、短い期間で集中して学べます。
実習先の確保の仕方
精神保健福祉士の課程では、精神科の病院や地域の事業所での実習が必要です。実習先を養成施設が紹介してくれるのか、自分で探す必要があるのかは、施設によって違います。働きながら学ぶ人にとっては、実習の時期を選べるか、自宅の近くで実習できるかも大切な点です。
試験の対策の支援
養成施設の中には、模擬試験や試験の直前の対策の講座を設けているところがあります。国家試験の合格率を公表している施設もありますが、計算の仕方が施設ごとに違うことがあるので、数字だけで比べないよう注意してください。厚生労働省が公表する学校別の合格率の資料も参考になります。
費用と支援の制度
学費は、施設やコースによって大きく違います。入学金、授業料、教材費、実習の費用まで含めた総額で比べましょう。養成施設の課程の中には、厚生労働省の教育訓練給付金の対象になっているものもあります。対象かどうかと、自分が給付の要件を満たすかは、施設とハローワークで確認してください。
説明会で確かめること
多くの養成施設は、入学を考えている人向けの説明会を開いています。説明会では、授業の進め方、実習の流れ、卒業生の進路、働きながら学ぶ人の割合などを聞いておくと、入学した後の生活がイメージしやすくなります。
第29回試験の日程と受験手数料
社会福祉振興・試験センターの第29回精神保健福祉士国家試験の案内によると、次の試験の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 令和9年2月6日(土)、2月7日(日) |
| 試験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の7試験地 |
| 受験申し込みの受付期間 | 令和8年9月3日(木)から10月2日(金)まで(受付は終了) |
| 申し込みの方法 | 試験センターのホームページからインターネットで申し込み |
| 受験手数料(精神保健福祉士のみ) | 28,910円 |
| 受験手数料(社会福祉士と同時に受験) | 45,020円 |
| 受験手数料(共通科目の免除を受ける場合) | 22,950円 |
1日目の午後に専門科目、2日目の午前に社会福祉士と共通の科目の試験があります。第29回の申し込みは10月2日で締め切られているので、これから目指す人は、令和9年度に行われる第30回以降の試験が目標になります。申し込みの期間は例年秋に1か月ほどしかないので、受験資格を得る見込みが立ったら、夏の終わりには試験センターの案内を確認しておきましょう。
申し込みには、顔写真のデータと、受験資格を証明する書類(卒業証明書や養成施設の修了の証明書、実務経験の証明書など)が必要です。実務経験の証明書は、勤め先に書いてもらう必要があり、準備に時間がかかることがあります。早めに勤め先に相談しておくと安心です。
試験科目と出題の形式
精神保健福祉士の国家試験は、専門科目と共通科目に分かれています。第29回試験の案内に示されている科目は次のとおりです。
専門科目(6科目)
- 精神医学と精神医療
- 現代の精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉の原理
- ソーシャルワークの理論と方法(専門)
- 精神障害リハビリテーション論
- 精神保健福祉制度論
共通科目(12科目)
- 医学概論
- 心理学と心理的支援
- 社会学と社会システム
- 社会福祉の原理と政策
- 社会保障
- 権利擁護を支える法制度
- 地域福祉と包括的支援体制
- 障害者福祉
- 刑事司法と福祉
- ソーシャルワークの基盤と専門職
- ソーシャルワークの理論と方法
- 社会福祉調査の基礎
出題数は132問で、専門科目が48問、共通科目が84問です。出題の形式は、5つの選択肢から選ぶことを基本とした多肢選択の形式です。
専門科目の中身を簡単に言い換えると、次のようになります。
- 精神医学と精神医療:心の病気の種類、症状、治療の方法、精神科の医療のしくみ
- 現代の精神保健の課題と支援:職場や学校、家庭での心の健康の課題と、その支援の方法
- 精神保健福祉の原理:精神保健福祉士の役割と価値、精神障害のある人の権利の歴史
- ソーシャルワークの理論と方法(専門):精神保健福祉士として相談に乗るときの考え方と技術
- 精神障害リハビリテーション論:病気を抱えながら生活や仕事の力を取り戻すための支援
- 精神保健福祉制度論:精神保健福祉法など、心の病気を抱える人を支える法律と制度
専門科目は48問と共通科目より少ないものの、精神保健福祉士としての判断を問う事例の問題が多く出題されます。用語を覚えるだけでなく、「この場面で精神保健福祉士はどう動くか」を考える練習が必要です。
共通科目は、社会福祉士の試験と同じ科目です。社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する人は、共通科目を1回受ければよく、2日間で両方の試験を受けられます。勉強の範囲が重なるため、両方の資格を同時に目指す人もいます。
合格率と合格基準
厚生労働省の発表によると、第28回精神保健福祉士国家試験(令和8年1月31日・2月1日実施)の受験者は7,107人、合格者は5,558人で、合格率は78.2%でした。
合格の基準は、次の2つの条件を両方満たすことです。
- 総得点132点のうち62点以上を取る(総得点の60%程度を基準に、問題の難しさで補正した点数)
- 決められた9つの科目群のすべてで得点がある
共通科目の免除を受けた人は、総得点48点のうち27点以上で、5つの科目群すべてで得点があることが条件でした。
2つ目の条件は、どの科目群でも0点を取らないという意味です。合計点が合格点を超えていても、1つの科目群で1問も正解できなければ不合格になります。苦手な科目を作らず、すべての科目を一通り学んでおくことが大切です。
合格率は7割から8割ほどと、国家試験の中では高めに見えます。ただし、受験する人は大学や養成施設で決められた科目と実習を終えた人ばかりです。合格率の高さは、受けるまでの準備の長さの裏返しでもあります。決して準備なしで受かる試験ではありません。
合格した後の登録の手続き
国家試験に合格しただけでは、精神保健福祉士を名乗ることはできません。試験に合格した後、社会福祉振興・試験センターに登録の申請をし、精神保健福祉士登録簿に登録されてはじめて、精神保健福祉士として働けます。
試験センターの新規登録の申請手続きの案内によると、精神保健福祉士の登録には、登録免許税として15,000円の収入印紙と、登録手数料4,050円の払い込みが必要です。あわせて、戸籍の個人事項証明書や戸籍抄本、本籍を記載した住民票のいずれかの原本などを提出します。金額や書類は変わることがあるので、申請の前に最新の案内を確認してください。登録が終わると、登録証が交付されます。
登録の手続きで気をつけたい点は次のとおりです。
- 登録の申請書は、試験センターのホームページで案内されている様式を使う
- 登録免許税は収入印紙で納め、申請書に貼る
- 戸籍の個人事項証明書、戸籍抄本、本籍を記載した住民票のいずれかの原本が必要になる
- 申請から登録証が届くまで、一定の日数がかかる
登録した後に、氏名や本籍地が変わったときは、登録事項の変更の手続きが必要です。結婚や引っ越しで氏名や本籍地が変わったら、忘れずに手続きをしてください。登録証をなくしたときは、再交付の申請ができます。
就職の内定が決まっている場合、勤め先から登録証の写しの提出を求められることがあります。合格発表の後は、なるべく早く登録の申請を済ませておくと、働き始めの手続きがスムーズに進みます。
精神保健福祉士が働く場所
精神保健福祉士が働く場所は、大きく5つの分野に分けられます。
医療
精神科の病院やクリニック、総合病院の精神科などで、相談の窓口を担います。入院した人の退院の支援や、医療費の相談などが中心です。精神保健福祉士が働く場所として、もっとも多い分野です。
障害福祉
障害福祉サービスの事業所で、利用者の相談に乗り、サービスの利用計画を作ります。就労移行支援や就労継続支援の事業所では、仕事に就くための訓練や、職場への定着の支援を行います。グループホームで、住まいの支援を行う人もいます。
行政
都道府県や市区町村の保健所、精神保健福祉センター、福祉の窓口などで、住民の心の健康の相談に乗ります。公務員として働く場合は、自治体の採用試験を受ける必要があります。
教育
学校で、子どもや家族の相談に乗るスクールソーシャルワーカーとして働く精神保健福祉士もいます。不登校やいじめ、家庭の困りごとなど、子どもを取り巻く問題を、学校の外の支援につなぐ役割です。
高齢者の支援
認知症の高齢者や、高齢になって心の不調を抱える人を支える場面でも、精神保健福祉士の知識が生かされます。地域包括支援センターや高齢者の施設で、相談の仕事に就く人もいます。
司法と職場
刑務所や保護観察所で、出所する人の社会復帰を支える仕事や、企業で働く人の心の健康を支える仕事もあります。職場のメンタルヘルスの対策が求められるようになり、企業の健康管理の部門や、相談の窓口を受託する会社で働く精神保健福祉士も増えています。
社会福祉士・公認心理師との違い
精神保健福祉士を調べていると、社会福祉士や公認心理師という資格もよく目にします。どれも人の相談に関わる国家資格ですが、支援の対象と方法が違います。
| 比べる点 | 精神保健福祉士 | 社会福祉士 | 公認心理師 |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 心の病気を抱える人、心の健康の課題を抱える人 | 高齢者、障害者、子ども、生活に困っている人など幅広い | 心理的な支援を必要とする人 |
| 支援の方法 | 生活の相談に乗り、制度やサービスにつなぐ | 生活の相談に乗り、制度やサービスにつなぐ | 心理の面からの評価と相談 |
| 根拠の法律 | 精神保健福祉士法 | 社会福祉士及び介護福祉士法 | 公認心理師法 |
| 受験資格の主な道筋 | 大学の指定科目か養成施設 | 大学の指定科目か養成施設 | 大学と大学院での指定科目など |
社会福祉士との違い
社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらもソーシャルワーカーと呼ばれる専門職です。ソーシャルワーカーとは、困りごとを抱えた人の生活の面を支え、必要な制度やサービス、人とのつながりを調整する専門職のことです。社会福祉士は、高齢者、障害者、子ども、生活に困っている人など、幅広い人を支援の対象にしています。精神保健福祉士は、その中でも心の病気や心の健康の課題に特化した専門職です。試験の共通科目が重なっているのは、ソーシャルワークという同じ土台を持っているからです。
公認心理師との違い
公認心理師は、心理学の専門知識をもとに、心の状態を評価し、相談に乗る国家資格です。カウンセリングや心理検査が仕事の中心になります。精神保健福祉士は、心の状態そのものより、病気を抱えながら暮らす人の生活の面を支えます。たとえば、退院した人の住まいや仕事、お金の相談に乗るのは、精神保健福祉士の得意な分野です。医療機関では、両方の資格を持つ専門職が、それぞれの立場から1人の患者を支えることもあります。
どの資格を目指すか迷ったときは、自分が「生活の困りごとを解決する手伝い」をしたいのか、「心の状態を理解して寄り添う手伝い」をしたいのかを考えると、方向が見えてきます。
給与と待遇を考えるときの視点
精神保健福祉士を目指すとき、働いた後の給与や待遇も気になるところです。給与は、働く分野、勤め先の規模、地域、経験の年数によって大きく違います。ここでは、金額そのものではなく、待遇を比べるときに見ておきたい点を整理します。
資格手当があるか
精神保健福祉士の資格を持っていると、資格手当が付く職場があります。手当の額は職場ごとに違い、手当のない職場もあります。求人票を見るときは、基本給に資格手当が含まれているのか、別に支給されるのかを確認しましょう。
資格が採用の条件になっているか
精神科の病院や障害福祉サービスの事業所の中には、精神保健福祉士の配置が求められる仕事があります。その場合、資格を持っていることが採用の条件になり、資格のない人より待遇がよくなることがあります。
公務員として働く場合
自治体の保健所や福祉の窓口で、福祉の専門職として採用される場合は、自治体の給与の決まりにしたがって給与が決まります。採用試験の受験資格に、精神保健福祉士や社会福祉士の資格が求められることもあります。
経験を積んだ後の道
経験を積むと、相談の窓口の責任者や、事業所の管理者を任されることがあります。障害福祉サービスの事業所では、相談支援専門員やサービス管理責任者といった役割に進む道もあります。こうした役割には、実務経験と研修の修了が必要です。
給与の相場を調べるときは、求人サイトの数字だけでなく、実際に応募を考えている職場の求人票で、手当や賞与、残業の扱いまで含めて比べることが大切です。
精神保健福祉士に向いている人
精神保健福祉士の仕事は、人の暮らしに長く関わる仕事です。どんな人が向いているかを考えておくと、資格を目指すかどうかの判断材料になります。
- 相手の話をじっくり聞くことができる人
- 自分の考えを押し付けず、本人がどうしたいかを大切にできる人
- 医療、福祉、行政など、立場の違う人と調整するのが苦にならない人
- 制度やサービスの仕組みを調べて、分かりやすく説明できる人
- 自分の心の健康にも気を配れる人
最後の点は意外に大切です。精神保健福祉士は、つらい状況にある人の話を聞くことが多い仕事です。相手の気持ちに寄り添いすぎて、自分が疲れてしまうこともあります。職場の同僚や上司に相談したり、仕事と休日の区切りをつけたりして、自分の心の健康を保つ工夫が欠かせません。職場によっては、経験のある先輩が新人の相談に乗るスーパービジョンという仕組みを設けているところもあります。
試験に向けた勉強の進め方
精神保健福祉士の国家試験に向けた勉強は、大学や養成施設の授業と並行して進めるのが一般的です。働きながら目指す人に向けて、進め方の例を示します。
- 試験の半年から1年前に、過去の試験問題を1回分解いてみて、得意な科目と苦手な科目を把握する
- 専門科目と共通科目のうち、苦手な科目から先に基本のテキストを読む
- 過去の試験問題を科目ごとに解き、間違えた問題の解説を読んで理解する
- 試験の3か月前からは、本番と同じ時間で過去の試験問題を通して解く
- 法律や制度の改正があった点を、最新のテキストや厚生労働省の資料で確認する
過去の試験問題は、社会福祉振興・試験センターのページで公開されています。出題の傾向をつかむには、まず過去の問題を解いてみるのが近道です。事例の問題では、本人の意思を尊重しているか、本人の力を引き出す支援になっているかが、正しい選択肢を選ぶ手がかりになることが多くあります。解説を読むときは、正解の理由だけでなく、ほかの選択肢がなぜ誤りなのかまで確かめておくと、初めて見る問題にも対応しやすくなります。
福祉の制度は改正が多い分野です。障害者総合支援法や精神保健福祉法の改正点は出題されやすいので、古いテキストを使う場合は、改正点を別に確認しておく必要があります。
試験の勉強を教える仕事や、資格の勉強をサポートする仕事もあります。家庭教師・受験・資格サポートのお仕事では、受験や資格の勉強を支える仕事の内容を紹介しています。資格を取った後に、後から目指す人の学びを支える側に回る人もいます。
資格の知識を次の仕事につなげる視点
最後に、精神保健福祉士の知識を、どのように仕事の幅につなげていくかを考えます。
精神保健福祉士の知識は、福祉の現場だけでなく、企業や調査の分野でも生かせます。職場のメンタルヘルスの対策、障害のある人の雇用の支援、福祉の制度に関する調査や研究などです。調査や研究の仕事の報酬の目安は、研究者の年収・単価相場で確認できます。統計の手法を学んでおくと、支援の効果を数字で示す力がつき、事業所の運営や制度づくりの場面で頼りにされます。
社会保険や労働の制度の知識と組み合わせて仕事の幅を広げる人もいます。障害年金や傷病手当金の相談は、精神保健福祉士の仕事とも関わりが深い分野です。社会保険の専門家が在宅で受けている仕事の例は、社労士(社会保険労務士)資格を活かした在宅副業案件【2026年版】で紹介しています。
在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、福祉の専門職で在宅の仕事を長く続けている人ほど、相談の現場で培った知識を、制度の解説や研修の資料づくりといった形に変えています。仲介手数料が0%で発注者と直接やり取りできる仕組みでは、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、こうした専門知識がそのまま報酬の質に結び付きやすくなります。
PSW、つまり精神保健福祉士は、受験資格を得るまでの道のりは長いものの、社会人からでも養成施設を通じて目指せる国家資格です。自分の学歴と経験に合うルートを確認し、試験の日程と申し込みの期間を押さえて、計画的に進めてください。
よくある質問
Q. PSWと精神保健福祉士は同じ資格ですか?
同じ資格を指しています。PSWは英語のPsychiatric Social Workerの頭文字で、精神保健福祉士が国家資格になる前から使われてきた呼び名です。職能団体の日本精神保健福祉士協会は、英語の名称にMental Health Social Workersを使っており、MHSWと呼ばれることもあります。
Q. 社会人でも精神保健福祉士になれますか?
なれます。一般の4年制大学を卒業していれば、一般養成施設で1年以上学ぶと受験資格を得られます。通信で学び一部を通学するコースもあり、働きながら目指す人もいます。ただし現場での実習は必要なので、実習の期間に仕事を休めるかを事前に確認しておきましょう。
Q. 精神保健福祉士の試験の合格率はどのくらいですか?
厚生労働省の発表では、第28回試験の合格率は78.2%でした。受験者は7,107人、合格者は5,558人です。合格するには、総得点132点のうち62点以上を取り、決められた9つの科目群すべてで得点があることが必要でした。受験する人は所定の課程を終えた人なので、準備なしで受かる試験ではありません。
Q. 社会福祉士と精神保健福祉士は同時に受験できますか?
同時に受験できます。共通科目は1回受ければよく、2日間で両方の試験を受けられます。第29回試験で両方を同時に受ける場合の受験手数料は45,020円です。社会福祉士の資格を持っている人は、精神保健福祉士の試験で共通科目の免除を受けられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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