患者満足度調査のやり方|病院のアンケートの質問と集計


この記事のポイント
- ✓患者満足度調査のやり方を
- ✓国の受療行動調査の考え方
- ✓結果の公表と改善までの順に解説します
患者満足度調査を初めて担当すると、何を聞けばよいのか、どう配って、どう集計すれば改善につながるのかで手が止まりがちです。患者満足度調査は、質問を作る前に「何を知り、何を変えたいのか」を決め、同じ質問を毎年同じ方法で続けることで、はじめて役に立つ調査になります。この記事では、国が行っている受療行動調査の考え方を手がかりに、外来と入院の質問例、配布と回収の方法、個人情報の扱い、集計と分析、結果の生かし方までを順に説明します。集めた回答のうち、個別に連絡や対応が必要なものを担当者ごとに追いかけたい場合は、回答を一件ずつ管理できる Halict のようなフォームの道具も選択肢になります。
患者満足度調査とは何か
患者満足度調査とは、病院やクリニックを利用した患者に、受けた医療やサービスについての評価をたずねる調査のことです。診察の待ち時間、医師や看護師の説明、職員の対応、施設の清潔さ、食事、会計の手続きなど、患者が病院で体験することを項目ごとに聞き、満足している点と不満がある点を明らかにします。
患者満足度調査の目的は、病院の評価を上げることそのものではなく、患者から見た病院の姿を知り、改善の手がかりを得ることです。医療の質は、専門的な検査や治療の結果だけでは測りきれません。待ち時間が長くて体調がつらかった、説明が分からず不安だった、といった患者の体験は、患者が通い続けるかどうか、ほかの人に病院を勧めるかどうかに直結します。
国立病院機構の病院のように、毎年継続して調査を行い、結果を公表している病院もあります。
患者満足度調査は、国立病院機構の各病院において、患者サービスの向上を図ることを目的に、毎年継続して実施しております。外来及び入院患者の皆様、調査にご協力いただきました皆様にお礼申し上げます。調査結果は以下の通りです。 出典: nagoya.hosp.go.jp
ここで大切なのは「毎年継続して」という点です。満足度の数字は、一度だけ測っても高いのか低いのかが判断できません。同じ質問を同じ方法で続けて、前の年と比べることで、改善の取り組みが効いたかどうかが分かります。
国の受療行動調査から分かること
患者の満足度については、国も調査を行っています。厚生労働省の受療行動調査は、全国の病院を利用する患者に、受けた医療に対する満足度などをたずねる調査です。
厚生労働省の受療行動調査のページ によると、この調査は医療施設調査や患者調査と合わせて3年ごとに行われ、外来の患者には待ち時間や診察時間、医師から受けた説明の程度、病院を選んだ理由、満足度などを、入院の患者には病院を選んだ理由や入院までの期間、退院後の見通し、満足度などをたずねています。令和8年の調査からは、紙の調査票の郵送に加えて、オンラインでの回答も導入されています。
令和5年の調査結果を公表した厚生労働省の報道発表資料では、満足度を次のように定義しています。
注1:「満足」は「非常に満足している」「やや満足している」の合計である。 2:「不満」は「非常に不満である」「やや不満である」の合計である。 出典: 厚生労働省 令和5年受療行動調査(確定数)報道発表資料
同じ資料では、医師による診療・治療内容に対して「満足」と答えた割合は、外来では呼吸器系の病気の患者で66.1%、入院では目の病気の患者で91.1%と高く、「不満」の割合は精神や行動の障害の患者で、外来9.3%、入院13.2%と高くなっていることが示されています。
この結果から読み取れることは2つあります。1つは、満足度は病気の種類や外来か入院かによって大きく違うということです。自院の結果を見るときも、全体の平均だけでなく、診療科や外来と入院で分けて見る必要があります。もう1つは、5段階の評価のうち上位2つを合わせて「満足」とする集計の仕方が、国の調査でも使われているということです。自院の調査で同じ集計の仕方を使えば、国の結果と大まかに比べることもできます。
病院が自前で調査を行う目的
国の調査は全国の傾向をつかむためのもので、個々の病院の改善には使えません。そのため、多くの病院が自前で患者満足度調査を行っています。
自前の調査を行う目的は、病院によってさまざまです。神奈川県の市立病院は、調査を行う理由を次のように説明しています。
当院では、利用される皆さんが病院に対して現在のサービスをどのように評価しているのか、またどのようなサービスを望んでいるのか御意見をいただき、絶えず変化する医療ニーズを把握することが非常に重要だと考え、毎年、外来及び入院患者さんを対象に満足度調査を実施しております。 出典: atsugicity-hp.jp
ここに書かれているように、患者満足度調査には「いまのサービスの評価を知る」ことと、「患者が望んでいることを知る」ことの2つの目的があります。前者は改善すべき点を見つけるため、後者は新しい取り組みを考えるためです。
調査を始める前に、目的を1つか2つに絞っておくことが大切です。目的が広すぎると、質問が増えて回答する患者の負担が大きくなり、回収率が下がります。たとえば「外来の待ち時間への不満がどれくらいあるかを知り、予約の仕組みを見直すかどうかを判断する」のように、調査の結果をどう使うのかまで決めておくと、必要な質問が自然に絞られます。
病院の第三者評価を受ける準備として、患者の意見を集める仕組みがあることを示すために調査を行う病院もあります。その場合も、調査をしたという事実より、結果をもとに何を改善したのかを説明できることが大切です。
調査の設計(対象・時期・方法)
患者満足度調査を設計するときは、対象、時期、方法の3つを決めます。
対象は、外来の患者と入院の患者で分けるのが一般的です。外来と入院では、体験する内容がまったく違うからです。外来では待ち時間や会計、受付の対応が、入院では病室の環境や食事、看護師の対応が中心になります。質問票も、外来用と入院用の2種類を作ります。
外来の調査では、調査をする期間を決め、その期間に来院したすべての患者、または一定の割合の患者に配ります。入院の調査では、退院する患者に配るのが一般的です。入院の体験を通して振り返ってもらえるからです。小児科の患者や、自分で回答するのが難しい患者については、家族や付き添いの人に答えてもらう形にします。
時期は、毎年同じ時期にそろえます。季節によって患者の数や病気の種類が変わるため、時期がずれると前の年と比べにくくなります。国の受療行動調査は10月に行われています。自院の調査も、毎年同じ月の同じ週に行うと決めておくと、比較がしやすくなります。
方法は、紙の調査票を配る方法、タブレット端末で答えてもらう方法、QRコードを読み取ってスマートフォンで答えてもらう方法などがあります。それぞれの向き不向きは、後の配布と回収の節で説明します。
調査の規模の目安も決めておきます。回答の数が少なすぎると、少数の意見に結果が左右されます。診療科ごとに分けて分析したいなら、診療科ごとにある程度の回答数が集まるよう、調査の期間や配る数を調整します。
質問の作り方(5段階評価の基本)
患者満足度調査の質問は、評価を選んでもらう質問と、自由に書いてもらう質問を組み合わせて作ります。評価の質問は集計しやすく、自由記述の質問は具体的な改善の手がかりが得られます。
評価の質問は、5段階で答えてもらう形が一般的です。国の受療行動調査と同じく「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「非常に不満」の5つの選択肢を使うと、集計の仕方をそろえられます。選択肢は、質問ごとに変えずに、調査票全体で同じものを使います。途中で選択肢の並びが変わると、患者が読み間違えて逆の評価を付けることがあります。
質問を作るときの注意点は次のとおりです。
- 1つの質問で聞くことは1つにする:「医師や看護師の説明は分かりやすかったですか」と聞くと、医師と看護師のどちらの評価なのかが分かりません。質問を分けます。
- 否定の言い方を避ける:「説明が分かりにくいと感じなかったですか」のような聞き方は、満足と不満のどちらを選べばよいか迷わせます。「説明は分かりやすかったですか」と肯定の形で聞きます。
- 専門用語を使わない:「インフォームド・コンセント」ではなく「病状や治療について、医師から十分な説明がありましたか」と書きます。
- 答えを誘導しない:「当院の丁寧な対応にご満足いただけましたか」のように、答えを前提にした聞き方は避けます。
- 質問の数を絞る:回答に5分から10分程度で終わる量が目安です。多すぎると途中でやめる人が増えます。
- 最後に総合の評価を聞く:「全体として、当院にどの程度満足していますか」「家族や知人にこの病院を勧めたいと思いますか」を調査票の最後に入れると、個別の項目と総合の評価の関係を分析できます。
回答者の属性(年代、性別、受診した診療科、初診か再診か)も、分析に必要な範囲で聞きます。ただし、個人が特定できるほど細かく聞く必要はありません。年代は10歳ごとの区切りで十分です。
外来患者に聞く質問の例
外来の患者に聞く質問の例を、場面ごとに紹介します。すべてを使う必要はなく、調査の目的に合わせて選びます。
受付と待ち時間についての質問です。
- 受付の職員の対応はいかがでしたか。
- 診察までの待ち時間はいかがでしたか。
- 待ち時間について、どのくらい待つかの案内は十分でしたか。
診察と説明についての質問です。
- 医師の話し方や態度はいかがでしたか。
- 病状や検査の結果について、医師の説明は分かりやすかったですか。
- 治療の方法や薬について、質問しやすい雰囲気でしたか。
看護師と検査についての質問です。
- 看護師の対応はいかがでしたか。
- 検査の説明は十分でしたか。
会計と施設についての質問です。
- 会計の待ち時間はいかがでしたか。
- 院内の案内の表示は分かりやすかったですか。
- 待合室やトイレは清潔でしたか。
待ち時間の質問では、満足度だけでなく、実際に待った時間を選んでもらう質問を加えると、分析の幅が広がります。「15分未満」「15分から30分」「30分から1時間」「1時間以上」のように区切って選んでもらえば、待った時間と満足度の関係が分かります。実際に待った時間が同じでも、どのくらい待つかの案内があった患者のほうが不満が少ない、といった結果が出れば、待ち時間そのものを短くする前に、案内の仕方を変えるという改善策が見えてきます。
入院患者に聞く質問の例
入院の患者に聞く質問は、入院から退院までの流れに沿って並べると、患者が思い出しながら答えやすくなります。
入院の手続きと説明についての質問です。
- 入院の手続きの説明は分かりやすかったですか。
- 入院中の治療の予定について、説明は十分でしたか。
病棟での生活についての質問です。
- 看護師の対応はいかがでしたか。
- ナースコールへの対応の早さはいかがでしたか。
- 病室の清潔さや静かさはいかがでしたか。
- 食事の内容はいかがでしたか。
- プライバシーへの配慮は十分でしたか。
退院についての質問です。
- 退院後の生活や通院について、説明は十分でしたか。
- 退院の手続きはスムーズでしたか。
入院の調査では、医師、看護師、リハビリの担当、栄養の担当など、関わる職種が多くなります。職種ごとに質問を分けると、どの職種の対応に課題があるのかが分かります。一方で、質問が増えすぎると負担が大きくなるので、毎年すべての職種を詳しく聞くのではなく、その年に重点を当てる分野を決めて質問を厚くする方法もあります。
自由記述の質問の聞き方
自由記述の質問は、評価の数字だけでは分からない具体的な声を集めるためのものです。「ご意見やご要望を自由にお書きください」とだけ聞くと、何を書けばよいか迷って空欄のままになることが多いので、聞き方を工夫します。
効果的なのは、良かった点と改善してほしい点を分けて聞く方法です。「当院を利用して、良かったと感じたことを教えてください」「改善してほしいと感じたことを教えてください」と2つの欄を設けると、患者は書くことを思い浮かべやすくなります。良かった点を先に聞くと、批判だけでなく、職員の励みになる声も集まります。
自由記述の内容は、集計のときに分類します。「待ち時間」「説明」「職員の態度」「施設」「食事」「費用」のように分類の項目を決めておき、1つの意見がどの項目に当たるかを振り分けます。分類の項目は、評価の質問の項目とそろえておくと、数字と声を合わせて読めます。
自由記述には、特定の職員への苦情や、医療の内容についての具体的な訴えが書かれることもあります。こうした意見は、集計の対象とするだけでなく、内容に応じて担当の部署に回し、必要な対応をとります。回答者が連絡を希望している場合の対応の仕組みは、後の節で説明します。
配布と回収の方法、個人情報の扱い
調査票の配り方と集め方は、回答率と回答の正直さに大きく影響します。
紙の調査票は、高齢の患者も含めて誰でも答えやすく、患者満足度調査では今も広く使われています。回収は、院内に回収箱を設ける方法と、返信用の封筒で郵送してもらう方法があります。回収箱を使う場合は、職員の目の前で提出しなくて済む場所に設置し、中身が見えない箱にします。職員に手渡す形にすると、患者は本音を書きにくくなります。
タブレット端末で答えてもらう方法は、集計の手間が省ける一方で、操作に慣れていない患者には負担になります。端末を使う場合は、操作を手伝える職員やボランティアを近くに配置し、紙の調査票も選べるようにしておきます。
QRコードを読み取ってスマートフォンで答えてもらう方法は、待ち時間に答えてもらえる利点があります。会計の待ち時間や、帰宅してから答えてもらう形にすれば、その場で急いで答える必要がありません。ただし、スマートフォンを使わない患者の声が抜け落ちるので、紙との併用が必要です。
調査で氏名や連絡先を聞く場合は、個人情報の扱いに注意します。個人情報保護委員会の 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編) では、アンケートに書かれた個人情報を直接本人から取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を示すことが必要な例として挙げられています。調査票の最初に「ご記入いただいた内容は、当院のサービスの改善のために使用し、それ以外の目的には使用しません」のように利用目的を書き、氏名や連絡先の記入は任意であることを明記します。
満足度を測る目的だけなら、氏名は聞かない無記名の調査にするのが一般的です。無記名にすると、患者は不満を書きやすくなります。個別に連絡を希望する患者のためだけに、任意の連絡先の欄を設けると、無記名の利点を残しながら対応が必要な声を拾えます。医療機関での個人情報の扱いについて、さらに詳しい判断が必要な場合は、病院の個人情報保護の担当者や所管の窓口に確認してください。
調査票の最初に書く案内文の例
調査票の最初には、調査の目的、回答にかかる時間、無記名であること、回答の使い方、提出の方法を短く書きます。この案内文があるかどうかで、患者が安心して答えられるかが変わります。
案内文は、たとえば次のような流れで書きます。最初に「当院では、患者さんにより良い医療とサービスを提供するため、毎年アンケートを行っています。」と目的を示します。続けて「回答は5分ほどで終わります。お名前を書く必要はありません。」と負担の小ささと無記名であることを伝えます。そのうえで「いただいた回答は、当院のサービスの改善のためだけに使い、それ以外の目的には使いません。回答するかどうかは自由で、回答しなくても診療に影響することはありません。」と、回答の使い方と任意であることを書きます。最後に「ご記入後は、会計の横の回収箱に入れてください。」と提出の方法を書きます。
特に大切なのは、回答しなくても診療に影響しないこと、回答の内容によって扱いが変わらないことをはっきり書くことです。患者は病院に対して弱い立場にあると感じやすく、不満を書くと次の診察で不利になるのではないかと心配する人もいます。その心配を取り除くことが、正直な回答を集めるための前提になります。
案内文の文字は大きくし、専門用語を使わずに書きます。案内文が長くなりすぎると読まれないので、5〜6行程度に収めます。
調査を外部に頼むか、自院で行うか
患者満足度調査は、病院の職員だけで行う方法と、調査会社などの外部に頼む方法があります。それぞれに向き不向きがあります。
自院で行う方法は、費用を抑えられ、自院の課題に合わせて質問を自由に作れるのが利点です。一方で、調査票の作成、配布と回収、入力、集計、報告書の作成まで、職員の手間がかかります。特に紙の調査票の入力は時間がかかるので、オンラインの回答を取り入れたり、入力を外部に頼んだりする病院もあります。
外部に頼む方法は、調査の設計や分析の専門の知識を借りられ、他の病院の結果と比べられる場合があるのが利点です。患者から見ても、病院の外の組織が集計していると分かれば、本音を書きやすくなるという面もあります。一方で、費用がかかり、質問の内容が調査会社の決まった形に寄りやすくなります。
どちらを選ぶ場合でも、調査の目的と、結果を誰がどう使うのかは、病院の側で決めておく必要があります。外部に頼む場合も、質問票の案を病院の現場の職員に見てもらい、患者に伝わる言葉になっているかを確かめます。調査の一部だけ、たとえば入力と集計だけを外部に頼む方法もあり、在宅で集計の作業を請け負う人に頼むこともできます。
回収率を上げる工夫
患者満足度調査では、回収率が低いと、強い不満を持つ人や特に満足した人の声ばかりが集まり、全体の姿からずれた結果になります。回収率を上げる工夫をいくつか紹介します。
1つ目は、調査の目的と、結果をどう使うのかを調査票の最初に書くことです。「いただいたご意見をもとに、昨年は待合室の案内表示を改めました」のように、過去の調査で変わったことを書くと、患者は答える意味を感じやすくなります。
2つ目は、答える時間を確保しやすい場面で配ることです。会計を待つ間、薬の受け取りを待つ間、入院中なら退院の前日など、患者に時間がある場面で配ると、回答率が上がります。
3つ目は、調査票を短くすることです。質問の数を絞り、文字を大きくし、選択肢に丸を付けるだけで答えられる形にします。高齢の患者が多い病院では、文字の大きさが回答率に直結します。
4つ目は、職員が声をかけることです。調査票を渡すときに「ご協力いただけると助かります」と一言添えるだけで、回答してくれる人は増えます。ただし、回答を強制するような声のかけ方は避け、答えるかどうかは患者が自由に決められるようにします。
集計と分析の手順
回答が集まったら、次の手順で集計と分析を進めます。
- 入力と確認:紙の調査票は表計算ソフトに入力します。入力の誤りを防ぐため、一部の調査票を別の人が入力し直して照らし合わせると安心です。
- 項目ごとの満足の割合を出す:5段階の評価のうち、「非常に満足」と「やや満足」を合わせた割合を「満足の割合」として、項目ごとに出します。不満の割合も同じように出します。
- 外来と入院、診療科ごとに分ける:全体の数字だけでなく、外来と入院、診療科、初診と再診などに分けて見ます。
- 前の年と比べる:同じ項目の満足の割合を、前の年と並べて比べます。改善の取り組みをした項目が上がっているかを確かめます。
- 総合の評価との関係を見る:どの項目の満足度が高い患者ほど、総合の評価が高いのかを見ます。総合の評価への影響が大きい項目が、優先して改善すべき項目です。
- 自由記述を分類する:自由記述の意見を項目ごとに分類し、多く寄せられた意見を数えます。
分析で大切なのは、満足の割合が低い項目を順に並べるだけで終わらないことです。満足度が低くても、患者にとって重要でない項目なら、優先して改善する必要はないこともあります。逆に、満足度はそこそこでも、総合の評価への影響が大きい項目は、少し改善するだけで病院全体の評価が上がる可能性があります。国の受療行動調査の結果が示すように、満足度は病気の種類によっても違うので、診療科ごとの結果を比べるときは、患者の層の違いも考慮します。
結果の公表と改善への生かし方
調査の結果は、院内の職員に共有し、改善の取り組みにつなげます。結果を見て終わりにすると、翌年の調査でも同じ不満が寄せられることになります。
まず、結果を職員全体に共有します。満足の割合が高かった項目と、自由記述で寄せられた感謝の声も一緒に伝えると、職員の励みになります。不満が多かった項目については、担当の部署で原因を話し合い、改善の取り組みを決めます。
改善の取り組みは、具体的で測れるものにします。「待ち時間を短くする」ではなく、「待ち時間の目安を受付の画面に表示する」「予約の枠を見直す」のように、何をするのかを決めます。そして翌年の調査で、その項目の満足度が変わったかを確かめます。
結果は、患者にも公表するのが望ましい姿です。院内の掲示やウェブサイトで、調査の結果と、それを受けて取り組んだことを示すと、患者は自分の声が届いたことを知り、次の調査にも協力してくれるようになります。国立病院機構の病院のように、毎年の結果をウェブサイトで公表している病院もあります。
公表するときの見せ方にも工夫がいります。項目ごとの満足の割合は、横向きの帯グラフで「満足」「どちらともいえない」「不満」の割合を並べると、一目で比べられます。前の年との比較は、項目ごとに2年分の数字を並べた表にすると、変化が読み取りやすくなります。自由記述は、すべてを載せるのではなく、多く寄せられた意見を分類ごとにいくつか紹介し、その意見に対してどう取り組んだかを一文ずつ添えます。数字が下がった項目も隠さずに載せ、理由と次の取り組みを書くほうが、患者からの信頼につながります。
個別の対応が必要な回答を回す仕組み
患者満足度調査では、集計して全体の傾向を見るだけでなく、個別の対応が必要な回答が届くことがあります。連絡を希望する患者からの意見、具体的な苦情、職員への感謝の言葉などです。こうした回答を誰が受け取り、どこまで対応したのかを管理しないと、返事をするはずの患者に連絡が漏れることがあります。
回答の数が少ない病院なら、表計算ソフトに「受付日」「内容の分類」「担当部署」「担当者」「状況」の列を作って管理すれば十分です。紙の調査票で集めている場合は、対応が必要なものだけを抜き出して、この表に転記します。
オンラインのフォームで回答を集めている場合は、回答の一覧に担当や状況を付けられる道具を使う方法もあります。Googleフォームのような無料の道具でも回答は集められますが、担当者や対応の状況は、回答の一覧とは別に表を作って管理する運用になりがちです。
その手間を減らしたい場合の選択肢の1つが Halict です。Halictは、フォームで集めた回答が一件ずつ並び、担当者とタグを付けて、「未確認」「確認済み」「要フォロー」「対応済み」のような段階ごとに管理できるフォームの道具です。5段階の評価や自由記述の設問を作れて、回答する人には1画面に1問ずつ表示されるので、スマートフォンでも答えやすい作りになっています。連絡を希望した回答者には同じ画面から返信を送れて、送信の記録が残ります。集めた回答はCSVに書き出せるので、満足の割合の集計は表計算ソフトで行えます。メンバー1人で使うフリープランでは、フォームの数も回答の数も上限がありません。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
どの方法でも、対応が必要な回答について「受け取った」「担当を決めた」「対応した」の3つが記録に残るようにしておくことが、患者の信頼を守ることにつながります。
医療の現場で調査に関わる仕事
患者満足度調査の実務は、医療事務の職員や、病院の経営企画の担当者が担うことが多い仕事です。受付や会計を担当する医療事務の職員は、患者と直接接する立場から、調査票の配布や回収、自由記述の分類で力を発揮します。医療事務の知識を証明する資格については 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) で紹介しています。
調査の設計や分析を専門にする仕事もあります。質問の作り方や統計の手法を身につけた人は、病院や調査会社から、調査票の作成や集計の分析を請け負うことがあります。調査や分析を仕事にする人の報酬の目安は 研究者の年収・単価相場 で確かめられます。病院や薬局の業務の見直しを経営の面から支援する仕事は、中小企業診断士 の分野とも重なります。薬局でデジタルの道具を取り入れる場合に使える支援は 薬局 DX補助金 2026 で解説しています。
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、アンケートの集計や分析の仕事で長く頼られる人は、数字を出して終わりにせず、「この結果から、次に何を確かめればよいか」まで添えて返す人です。満足の割合を表にするだけなら誰にでもできますが、診療科ごとの差や前の年との違いに気づいて一言添える人には、翌年の調査も同じ人に頼みたいという声が続きます。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、依頼する病院は同じ予算で分析を深められ、受ける側の手取りも厚くなります。
患者満足度調査は、目的を絞り、同じ質問を同じ方法で続け、結果を改善につなげることで、はじめて役に立つ調査になります。まずは昨年の調査票を見直し、質問の数と聞き方を整えるところから始めてください。
よくある質問
Q. 患者満足度調査の質問はいくつくらいが適当ですか?
回答に5分から10分程度で終わる量が目安です。外来なら受付、待ち時間、診察と説明、会計、施設の各場面から2〜3問ずつ選び、最後に総合の評価と自由記述を加えると、20問前後に収まります。質問が多すぎると途中でやめる人が増え、回収率が下がります。
Q. 患者満足度調査は無記名にしたほうがよいですか?
満足度を測る目的だけなら、無記名にするのが一般的です。無記名のほうが、患者は不満を正直に書きやすくなります。個別に連絡を希望する人のために、任意の連絡先の欄を設ける方法もあります。その場合は、調査票の最初に利用目的を書き、記入が任意であることを明記します。
Q. 満足度はどのように集計すればよいですか?
5段階の評価のうち「非常に満足」と「やや満足」を合わせた割合を「満足の割合」として、項目ごとに出す方法がよく使われます。国の受療行動調査も同じ集計の仕方です。外来と入院、診療科ごとに分け、前の年と比べることで、改善の取り組みの効果を確かめられます。
Q. 患者満足度調査はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
年に1回、毎年同じ時期に行うのが一般的です。季節によって患者の数や病気の種類が変わるため、時期をそろえないと前の年と比べにくくなります。国の受療行動調査は3年ごと、10月に行われています。自院の調査も、同じ月の同じ週に行うと決めておくと比較がしやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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