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従業員満足度調査のやり方|質問項目と結果の生かし方

@SOHO編集部
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従業員満足度調査のやり方|質問項目と結果の生かし方

この記事のポイント

  • ✓従業員満足度調査のやり方を
  • ✓結果の共有と改善の順に解説します
  • ✓ストレスチェックとの違いや

従業員満足度調査は、働く人が仕事や職場、会社にどれくらい満足しているかを、アンケートで定期的に確かめる取り組みです。離職が続いている、職場の雰囲気がつかめない、制度を変えたが効果が分からない、といった悩みに対して、感覚ではなく数字と声で状況を把握するための手段になります。

この記事では、従業員満足度調査の目的の決め方、質問項目の例、回答の選択肢の作り方、匿名の扱い、実施の手順、回答率を上げる案内、集計と分析、結果の共有と改善までを順番に整理します。調査の後に寄せられる個別の相談を、担当と状況を付けて返信まで回す道具の1つとして、フォームのサービスのHalict(ハリクト)にも途中で触れます。

従業員満足度調査とは:働く人の満足を数字と声で確かめる

従業員満足度調査は、英語の頭文字からES調査とも呼ばれます。ESとは、従業員満足(Employee Satisfaction)のことです。仕事の内容、人間関係、上司との関係、評価、給与、働き方、成長の機会、会社の方針などについて質問し、どこに満足していて、どこに不満があるかを把握します。

調査の価値は、普段は表に出にくい声を、まとまった形で拾えることにあります。不満があっても、上司に直接は言いにくい、言っても変わらないと思っている、という人は少なくありません。そうした声が積み重なった結果、ある日突然、退職の申し出として表に出ることがあります。定期的な調査は、その手前で兆しをつかむための仕組みです。

人事の管理システムを提供する会社の解説では、調査の位置づけについて次のように述べています。

従業員満足度調査をいい機会と捉え、企業がこれから進もうとしている道について、一般の従業員が何を感じ、何を思っているのかに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。 出典: kaonavi.jp

ここで大切なのは、調査を「点数を付ける行事」ではなく「耳を傾ける機会」と捉えることです。点数の高い低いに一喜一憂するのではなく、点数の裏にある理由を知り、次の改善につなげることが、調査の本来の目的です。

従業員満足度調査・エンゲージメント調査・ストレスチェックの違い

従業員満足度調査と似た調査がいくつかあります。目的が違うので、混同しないように整理しておきます。

調査の種類 主に見るもの 実施の義務
従業員満足度調査 仕事や職場、待遇への満足の度合い 法律上の義務はない
エンゲージメント調査 会社や仕事への思い入れ、自ら貢献したい気持ち 法律上の義務はない
ストレスチェック 心理的な負担の程度 労働安全衛生法で事業者に実施が求められている

満足度とエンゲージメントの違いは、受け身か能動的か、と考えると分かりやすくなります。満足度は「待遇や環境に満足しているか」という受け身の状態を、エンゲージメントは「この会社のために力を出したいと思っているか」という能動的な気持ちを見ます。給与に満足していても、仕事への思い入れが低い、ということはありえます。

ストレスチェックは、目的も扱いもまったく違います。厚生労働省のストレスチェック制度のページによると、ストレスチェックは2015年から労働安全衛生法で事業者に実施が義務付けられており、労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務とされていました。2025年5月に公布された改正法により、令和10年4月1日から、50人未満の事業場にも実施が義務化されます。

ストレスチェックの結果は、本人の同意なく会社が見ることができないなど、扱いに決まりがあります。そのため、従業員満足度調査とストレスチェックを1つのアンケートにまとめるのは避け、別々に実施するのが基本です。

調査の目的を1文で決める

従業員満足度調査を始める前に、最も大切なのが目的を決めることです。目的が曖昧なまま始めると、質問が増えすぎて回答の負担が重くなり、集計した結果も何に使えばよいか分からなくなります。

目的は、次のように1文で書けるところまで具体的にします。

  • 若手の離職が続いている理由を、入社3年目までの社員の声から探る
  • 今年から始めた在宅勤務の制度が、働きやすさにどう影響しているかを確かめる
  • 部署ごとの満足の差を把握し、管理職の研修の重点を決める
  • 毎年同じ質問で調べ、前年からの変化を追う

目的が決まると、質問の範囲と、結果を誰に報告するかが自然に決まります。若手の離職がテーマなら、入社の経緯や成長の実感、上司との面談の頻度を厚めに聞きます。在宅勤務がテーマなら、仕事の進めやすさや、連絡の取りやすさを厚めに聞きます。

目的と一緒に、「調査の結果を受けて、会社は何をするつもりか」も決めておきます。結果を報告するだけで何も変わらなければ、次の調査では回答する人が減ります。少なくとも、結果を全員に共有することと、改善の取り組みを1つ以上決めることを、調査の前に約束しておくのが望ましい形です。

質問項目の領域と例文

従業員満足度調査の質問は、いくつかの領域に分けて作ると、抜けが少なくなります。代表的な領域と、質問の例を紹介します。どの質問も「とてもそう思う」から「まったくそう思わない」までの段階で答える形を想定しています。

仕事の内容についての質問例です。

  • 自分の仕事にやりがいを感じている
  • 自分の能力や経験が、仕事に生かされている
  • 仕事の量は、勤務時間の中でこなせる範囲だ

職場の人間関係についての質問例です。

  • 職場の人と、気軽に相談し合える
  • 困ったときに、周りの人が手を貸してくれる

上司との関係についての質問例です。

  • 上司は、仕事の進め方について必要な助言をくれる
  • 上司は、自分の意見に耳を傾けてくれる
  • 上司との面談の機会は十分にある

評価と待遇についての質問例です。

  • 評価の基準は、分かりやすく示されている
  • 自分の評価の結果に、納得している
  • 給与は、仕事の内容に見合っている

働き方についての質問例です。

  • 休みを取りたいときに、取りやすい
  • 勤務の時間や場所は、生活と両立しやすい

成長の機会についての質問例です。

  • 仕事を通じて、新しい知識や技術を身に付けられている
  • 研修や学びの機会は十分にある

会社の方針についての質問例です。

  • 会社が目指している方向を理解している
  • 会社の方針に共感している

最後に、全体を見る質問を入れます。

  • 総合的に見て、この会社で働くことに満足している
  • この会社を、知人に働く場所として勧めたいと思う

質問を選ぶときは、「この質問の結果が悪かったら、会社は何をするか」を考えてみると、必要な質問かどうかを判断できます。結果を見ても打つ手が思いつかない質問は、今回の調査の目的には関係が薄いということです。

質問の数は、全部で20〜40問程度が目安です。多すぎると、後半の回答がいい加減になります。最初の調査で全領域を広く聞き、2回目以降は課題のある領域を厚く、ほかを薄くする、という調整も有効です。

調査の道具の選び方:紙・フォーム・専用のサービス

従業員満足度調査を行う道具は、大きく3つに分けられます。会社の規模と、働く人の環境に合わせて選びます。

1つ目は、紙の調査票です。パソコンやスマートフォンを仕事で使わない職場、たとえば工場や店舗、介護の現場などでは、紙のほうが答えやすい場合があります。回収の箱を休憩室に用意し、記入した用紙を封筒に入れて投函してもらうと、匿名性への安心感も得られます。弱点は、集計の手間です。回答を1枚ずつ表計算ソフトに入力する必要があり、入力の誤りにも注意が要ります。

2つ目は、オンラインのフォームです。無料で使えるものも多く、回答の集計が自動で表になるので、手間を大きく減らせます。スマートフォンから答えられるようにしておけば、パソコンを使わない人も回答できます。注意したいのは、匿名の設定です。フォームによっては、ログインしたアカウントやメールアドレスが自動で記録される設定になっていることがあります。調査を始める前に、回答者の情報がどこまで記録されるかを、実際に試して確かめます。

3つ目は、従業員満足度調査やエンゲージメント調査の専用のサービスです。質問の雛形、部署ごとの自動の集計、他社との比較などがそろっている一方、費用がかかります。社員の数が多く、毎年継続して行う予定がある会社に向いています。

初めての調査なら、オンラインのフォームか紙で小さく始め、続ける中で必要に応じて専用のサービスを検討する進め方が、負担と効果の釣り合いが取りやすい方法です。

回答の選択肢と自由記述の作り方

質問の答え方は、段階で選ぶ形が基本です。よく使われるのは、次の5段階です。

  1. とてもそう思う
  2. ややそう思う
  3. どちらとも言えない
  4. あまりそう思わない
  5. まったくそう思わない

段階の数は、5段階か4段階が使われることが多くなっています。5段階には真ん中の「どちらとも言えない」があり、答えやすい一方で、迷った人が真ん中に集まりやすい面があります。4段階にすると、どちらかに寄せて答えてもらえる一方、本当にどちらでもない人には答えにくくなります。どちらを選ぶにしても、一度決めたら毎回の調査で変えないことが大切です。段階の数が変わると、前回との比較ができなくなります。

質問の文は、1つの質問で1つのことだけを聞きます。「上司は助言をくれて、意見を聞いてくれる」のように2つのことを1つの質問にまとめると、片方だけ当てはまる人が答えられません。

自由記述の欄も、2〜3か所は用意します。段階の答えだけでは、「なぜ不満なのか」が分からないからです。自由記述は、「会社に一番改善してほしいことは何ですか」「働いていてよかったと思うことは何ですか」のように、答える方向を示した問いにすると、書きやすくなります。自由記述を必須にすると回答をやめる人が増えるので、任意にしておくのが一般的です。

匿名か記名か:個人情報の扱いを先に決める

従業員満足度調査では、匿名で答えてもらうのが一般的です。名前が分かる状態では、上司や会社への不満を正直に書きにくいからです。

ただし、完全な匿名にすると、部署や年代ごとの分析ができなくなります。そこで、名前は聞かずに、部署、年代、勤続の年数、雇用の形などの属性だけを聞く方法がよく使われます。このとき注意したいのは、属性を細かく聞きすぎると、少人数の部署では誰の回答か分かってしまうことです。たとえば「営業部、20代、勤続1年未満」に当てはまる人が1人しかいなければ、その回答は匿名ではなくなります。

対策として、集計の結果を出すときに、回答した人数が一定より少ない区分は結果を表示しない、というルールを先に決めておきます。目安として5人未満の区分は表示しない、などと決め、調査の案内にも書いておくと、答える人は安心できます。

名前や社員番号など、個人を特定できる情報を集める場合は、個人情報の保護に関する法律の扱いになります。個人情報保護委員会の個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)では、個人情報を取得するときの利用目的の明示や、安全に管理するための措置などが示されています。記名で調査する場合は、結果を何に使うのか、誰が見るのかを案内に書き、集めた回答を見られる人を限定しておきます。

実施の手順:8つのステップ

従業員満足度調査の進め方は、大きく8つのステップに分けられます。先ほどの解説でも、次のように整理されています。

個人、チーム、組織にさまざまな効果を生み出す従業員満足度調査ですが、実際に調査を行うには、どのような手順を踏むとよいのでしょうか。手順は大きく8つのステップに分かれています。調査の活用方法も併せて確認していきましょう。 出典: kaonavi.jp

同じ解説では、8つのステップとして、目的の明確化、質問項目の設計、回答、集計、分析、対策の検討、報告とフィードバック、対策の準備と実行が挙げられています。それぞれで何をするかを、実務の目線で整理します。

  1. 目的を決める:何を知り、何に生かすための調査かを1文で書く
  2. 質問を作る:領域ごとに質問を作り、数を絞る。少人数に試しに答えてもらい、分かりにくい質問を直す
  3. 回答してもらう:案内を出し、回答の期間を2週間程度取る。途中で1回、回答のお願いを再度出す
  4. 集計する:質問ごとに、肯定的な答えの割合や平均を出す
  5. 分析する:部署や年代ごとの違い、前回との違いを見る。自由記述を分類する
  6. 対策を考える:課題の大きい領域から、取り組む対策を決める
  7. 報告する:結果と対策を、全員に共有する
  8. 実行する:対策を実行し、次の調査で効果を確かめる

この中で特に抜けやすいのが、7つ目の報告です。経営陣や人事だけが結果を見て、回答した社員には何も伝わらない、という例は少なくありません。回答した人にとっては、「答えたのに何も返ってこない」状態になり、次の調査への協力が得られにくくなります。

回答率を上げる案内の書き方

従業員満足度調査の結果の信頼性は、回答率に大きく左右されます。回答した人が一部に偏っていると、全体の状況を正しく表しません。回答率を上げるための案内の書き方を紹介します。

案内に必ず書くことは、次の6つです。

  • 調査の目的:何のための調査で、結果を何に生かすのか
  • 匿名の扱い:名前を聞くか、誰が回答を見られるか、少人数の区分をどう扱うか
  • 回答にかかる時間:おおよその目安
  • 回答の期限:日付と曜日
  • 結果の共有:いつ頃、どんな形で結果を知らせるか
  • 問い合わせ先:分からないことがあったときの連絡先

案内の例文を紹介します。

件名:従業員満足度調査へのご協力のお願い(10月31日まで)

社員の皆さま

人事部の〇〇です。働きやすい職場づくりに生かすため、従業員満足度調査を行います。

回答は匿名で、お名前は伺いません。部署と年代のみ伺いますが、回答者が5人未満になる区分の結果は表示しません。回答の内容は人事部の担当者2名のみが確認し、個人が特定される形で上司に伝えることはありません。

回答にかかる時間は10分程度です。期限は10月31日です。結果と、それを受けた会社の取り組みは、12月中に全体の会議と社内の掲示板でお知らせします。

ご不明な点は、人事部の〇〇までご連絡ください。

案内は、経営陣や部門の責任者から一言添えてもらうと、回答率が上がりやすくなります。「結果を必ず改善に生かします」というメッセージが、回答する人の背中を押します。

集計と分析の基本

回答が集まったら、集計と分析に入ります。基本の流れは、全体を見てから、区分ごとの違いを見る、という順番です。

全体の集計では、質問ごとに、肯定的な答え(「とてもそう思う」と「ややそう思う」)の割合を出します。平均点を出す方法もありますが、割合のほうが「何割の人が満足しているか」という形で伝わりやすくなります。領域ごとに肯定的な答えの割合を並べると、満足の高い領域と低い領域が分かります。

区分ごとの分析では、部署、年代、勤続の年数などで分けて、同じ質問の結果を比べます。全体では問題がなさそうでも、特定の部署だけ人間関係の満足が低い、勤続3年目前後で評価への納得が下がる、といった偏りが見つかることがあります。

前回の調査がある場合は、前回との違いを見ます。満足の割合が下がった質問は、何か変化が起きた合図です。前回の調査の後に始めた取り組みと照らし合わせ、効果が出ているかを確かめます。

自由記述は、内容ごとに分類して数えます。「評価について」「業務量について」「設備について」のように分類し、多い順に並べると、段階の答えだけでは見えない課題の中身が分かります。自由記述の中に特定の個人が分かる書き込みがあった場合は、報告の資料から外すか、内容が分からないように言い換えます。

自由記述の件数が多い場合、生成AIの道具で分類を手伝わせる方法もあります。その場合は、回答の文に個人や部署が分かる内容が含まれていないかを先に確かめ、会社が利用を認めている道具だけを使います。外部のサービスに社員の声をそのまま入力すると、情報の扱いが会社の規程に合わないことがあるため、事前に情報の管理の担当者に確認しておくと安心です。

結果の共有と改善のつなげ方

調査の結果は、回答した全員に共有するのが基本です。共有の仕方で、調査への信頼が大きく変わります。

共有する内容は、次の3つです。

  • 結果の要点:満足の高かった領域と、低かった領域。前回からの変化
  • 会社の受け止め:結果を見て、経営陣や人事がどう考えたか
  • これからの取り組み:結果を受けて、何を、いつまでに行うか

すべての課題に一度に取り組む必要はありません。満足が低く、回答した人の多くが気にしている領域から、1〜3個の取り組みに絞ります。たとえば「評価への納得が低い」なら、評価の基準を説明する場を設ける、面談の回数を増やす、といった具体的な取り組みを決めます。

取り組みを決めたら、担当と期限を決め、途中の進み具合も共有します。「調査の結果を受けて、この取り組みを始めました」と知らせることで、回答した人は自分の声が届いたと感じられます。そして次の調査で、取り組んだ領域の満足が変わったかを確かめます。この繰り返しが、調査を続ける意味を生みます。

小さな会社や店舗で始めるときの進め方

社員が10人前後の会社や、数人で回している店舗では、大きな会社と同じやり方の調査はなじまないことがあります。人数が少ない分、匿名にしても誰の回答か想像がつきやすく、正直な答えが集まりにくいからです。

小さな職場で始めるときは、次の工夫が役に立ちます。

  • 属性を聞かない:部署や年代を聞くと個人が特定されやすいので、全体の結果だけを見る
  • 質問を絞る:10〜15問程度に絞り、5分ほどで答えられる量にする
  • 自由記述を重視する:段階の答えの集計より、「改善してほしいこと」の声を拾うことを目的にする
  • 外部の人に集計を任せる:社内の誰かが回答を見る形だと答えにくいので、社外の協力者や専門家に集計だけを頼む

また、小さな職場では、調査と並行して、1対1の面談の機会を設けるほうが効果的な場合もあります。調査で全体の傾向をつかみ、面談で一人ひとりの事情を聞く、という組み合わせです。調査の結果を面談の話題のきっかけに使うと、「調査で働き方への不満が多かったが、あなたはどう感じているか」という形で、本音を聞きやすくなります。

人数が少ないことは、弱みばかりではありません。結果を受けた取り組みを、すぐに全員で話し合い、翌月から始められるのは、小さな職場ならではの強みです。

満足度を高める取り組みの例

調査の結果を受けて取り組む内容は、課題の領域によって変わります。よく見られる課題と、取り組みの例を整理します。

評価への納得が低い場合は、評価の基準を文書にして共有する、評価の結果を伝える面談で理由を具体的に説明する、目標を決める段階から本人と話し合う、といった取り組みが考えられます。

仕事の量への不満が多い場合は、業務の棚卸しをして、なくせる作業や外部に任せられる作業を探す、繁忙期の人の配置を見直す、といった取り組みが考えられます。

上司との関係の満足が低い場合は、管理職向けに面談の進め方の研修を行う、定期的な1対1の面談の時間を決める、といった取り組みが考えられます。

成長の機会への不満が多い場合は、社内の勉強会を設ける、外部の研修の費用を補助する、別の部署の仕事を経験できる機会を作る、といった取り組みが考えられます。

どの取り組みも、始めたら終わりではありません。半年後や次の調査のときに、その領域の満足が変わったかを確かめ、効果が見えなければ別の方法を試します。取り組みの結果を数字で追えるように、調査の質問は変えずに続けることが大切です。

外部の専門機関に頼む選択肢

従業員満足度調査は、自社だけでも実施できますが、外部の専門機関に頼む方法もあります。自社で行う場合と外部に頼む場合では、それぞれ向き不向きがあります。

自社で行う場合は、費用を抑えられ、質問を自由に作れる点が強みです。一方で、匿名性への信頼が得にくい、分析の手法が限られる、他社と比べられない、といった弱みがあります。

外部に頼む場合は、匿名性が保たれやすく、同じ質問で調査した他社との比較や、専門家による分析を受けられる点が強みです。たとえば日本生産性本部の調査について、案内のページでは次のように紹介されています。

日本生産性本部の従業員満足度調査(ES調査)は、当本部の経験豊富な経営コンサルタントが詳細な分析を行い、経営トップ向けに報告会を実施します。コンサルタントの視点から、取り組むべき課題や解決方法について具体的に提言します。 出典: jpc-net.jp

外部に頼むかどうかの目安は、社内で結果を分析して改善策まで考える人がいるか、匿名性について社員が不安を持っていないか、他社との比較が必要か、の3点です。初めての調査は自社で小さく行い、2回目以降に外部の調査を検討する、という進め方もあります。費用は頼む先と規模で変わるので、複数の機関に見積もりを取って比べます。

調査の後に届く相談を受け止める仕組み

従業員満足度調査を実施すると、匿名の回答とは別に、「個別に相談したい」「具体的な状況を聞いてほしい」という声が寄せられることがあります。こうした相談を、誰が受けて、どう返事をしたかが分からないまま放置すると、調査そのものへの信頼が下がります。

相談の件数が少なければ、人事の担当者のメールの受信箱で受けて、表計算ソフトで「受けた日」「内容の分類」「担当」「状況」「返事をした日」を記録する方法で十分です。

一方で、相談を受け付ける窓口を調査と一緒に案内し、件数が増えてきた場合や、複数の担当者で分担して対応する場合は、受付の一覧とメールの返信がばらばらになり、対応の漏れが起きやすくなります。そうした場面の候補の1つが、フォームのサービスのHalictです。公式サイトによると、届いた1件ごとに担当と状況が残り、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。作りたいフォームを一言で伝えると、AIが質問の構成まで組み立てる機能があり、テキスト、選択肢、評価、日付など12種類の項目を使えます。集まった回答は一覧で確かめられ、CSVに書き出せます。

公式の料金ページによると、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、料金は使う人数で決まります。フリープランは0円でメンバー1人まで、有料のプランは税抜の月額で、スターターが2,980円(メンバー3人まで)、チームが7,800円(10人まで)、ビジネスが16,800円(30人まで)です。年払いにすると2か月分が無料になると書かれています。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、Halictは従業員満足度調査の集計や分析を自動で行う道具ではありません。調査の集計は表計算ソフトや調査の専門機関で行い、個別の相談のように、1件ずつ担当を決めて返事をする必要がある受付で使う道具です。

従業員満足度調査でよくある失敗

最後に、従業員満足度調査で見られる失敗を4つ取り上げます。

1つ目は、質問が多すぎることです。聞きたいことを全部入れると、60問、80問と膨らみ、回答する人の負担が重くなります。後半の質問ほど答えがいい加減になり、結果の信頼性が下がります。目的に関係しない質問は、思い切って削ります。

2つ目は、結果を共有しないことです。経営陣だけが結果を見て、社員には何も伝えないと、「答えても無駄だ」という空気が広がります。良い結果も悪い結果も、要点を共有することが大切です。

3つ目は、犯人探しに使うことです。満足の低い部署の管理職を責める材料に使うと、次の調査から、部署ぐるみで良い答えを書くよう促す、といった行動が起きかねません。調査は改善のための材料であり、評価や処分のための道具ではないことを、最初に明確にしておきます。

4つ目は、毎回質問を変えることです。調査のたびに質問の文や段階の数を変えると、前回との比較ができず、取り組みの効果を確かめられません。基本の質問は固定し、変えるのはテーマに合わせた追加の質問だけにします。

調査と分析の力が生きる仕事と、運営者として見てきたこと

従業員満足度調査の設計や分析は、外部の専門家に頼まれることの多い仕事です。社内に調査の経験者がいない会社や、匿名性を保つために外部に任せたい会社が、質問の作成から集計、報告の資料づくりまでを依頼します。

業務の改善やAIの活用を提案するAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、自由記述の分類や集計の作業を効率化する提案の機会もあります。調査や分析を専門にする働き方の収入の目安は、研究者の年収・単価相場で確かめられます。組織や人事の課題まで含めて経営を支援したい人には、中小企業診断士の資格も選択肢です。

働き方の制度を整える会社向けには、テレワーク 助成金 2026で、テレワークの導入に使える助成金を解説しています。調査で「働く場所の柔軟さ」への不満が見つかったとき、制度を整える手がかりになります。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、働く人の声を定期的に聞いている会社ほど、在宅の人や外部の協力者との関係も長続きしています。声を聞く仕組みがある会社は、相手が困っていることに早く気づき、仕事の頼み方や連絡の仕方を調整できるからです。社員に向けた満足度調査の考え方は、外部の協力者との関係づくりにもそのまま生かせます。

依頼する側と受ける側が直接やり取りできる形なら、調査の設計の途中で質問の意図を確かめ合いやすくなります。手数料0%で直接取引できる形なら、間に入る費用がない分、依頼する側は同じ予算で集計後の報告や改善の相談まで頼みやすく、受け手は手取りが厚くなります。

よくある質問

Q. 従業員満足度調査は、どれくらいの頻度で行えばよいですか?

年に1回が一般的な目安です。毎年同じ時期に同じ質問で行うと、前年からの変化を比べられます。結果を受けた取り組みの効果を確かめるには、取り組みを始めてから半年から1年程度の期間が必要なため、頻度を上げすぎると変化が見えにくくなります。短い間隔で様子を見たい場合は、質問を数問に絞った簡単な調査を別に行います。

Q. 匿名にすると、部署ごとの分析はできなくなりますか?

名前を聞かずに、部署や年代などの属性だけを聞けば、匿名のまま区分ごとの分析ができます。ただし、少人数の区分では誰の回答か分かってしまうおそれがあるので、回答者が一定の人数より少ない区分は結果を表示しないルールを先に決め、案内にも書いておきます。目安として5人未満の区分を表示しない形がよく使われます。

Q. 従業員満足度調査とストレスチェックを一緒に行ってもよいですか?

別々に行うのが基本です。ストレスチェックは労働安全衛生法に基づく制度で、結果を本人の同意なく会社が見られないなど、扱いに決まりがあります。満足度調査と1つのアンケートにまとめると、こうした扱いの区別が難しくなります。実施の時期をずらし、案内も分けて行うと、回答する人も混乱しません。

Q. 調査の結果が悪かったときは、どう伝えればよいですか?

結果を隠さず、要点を共有したうえで、会社としての受け止めと、これからの取り組みを一緒に伝えます。悪い結果ほど、伝えずにいると不信が広がります。すべての課題に一度に取り組むと約束するのではなく、優先する1〜3個の取り組みと、その担当と期限を示すと、回答した人は自分の声が届いたと感じやすくなります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月31日最終更新:2026年10月23日
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