保健師の履歴書と職務経歴書|書く順番と、埋めにくい欄の扱い

中西 直美
中西 直美
保健師の履歴書と職務経歴書|書く順番と、埋めにくい欄の扱い

この記事のポイント

  • 保健師の履歴書と職務経歴書を
  • どの欄から埋めるかという順番で解説します
  • ブランクや短期離職の扱い

履歴書を前にして、手が止まってしまう。保健師の転職を考えている方から、こういうご相談を本当によく受けます。

書けないのは、文章が苦手だからではありません。ほとんどの場合、「どの欄から埋めればいいのか」という順番が決まっていないことが原因です。そして順番さえ決まれば、書類はするすると進みます。

結論を先にお伝えします。履歴書は上から順に書いてはいけません。最初に職務経歴書を作り、そこで自分の経験を全部書き出してから、履歴書の志望動機と自己PRに移る。この順番にするだけで、書く負担は半分近くまで下がります。

この記事では、その順番と、多くの方が手を止める「埋めにくい欄」の扱い方を、ひとつずつ見ていきます。大丈夫です。ひとりで抱え込まなくても、手順に落とせば必ず形になります。

履歴書と職務経歴書は、役割がまったく違う

まず前提を整理させてください。ここを混同したまま書き始めると、同じことを2回書くことになります。

履歴書は、あなたという人物の基本情報を伝える書類です。氏名、連絡先、学歴、職歴、免許と資格。ここは事実の記録で、書き方に個性は要りません。むしろ、決まった形式から外れないほうが読みやすい書類です。加えて、志望動機と自己PRの欄がついていて、ここだけが唯一、あなたの言葉が入る場所になります。

職務経歴書は、あなたが何をしてきたかを伝える書類です。どこで、誰を対象に、どんな支援を、どういう体制で行ってきたか。こちらは形式が自由なぶん、書き手によって差が大きく開きます。

採用担当者がどこを見ているか、実務の現場からの説明を引いておきます。

保健師の職務経歴書は、これまでの勤務先や担当業務を並べるだけの書類ではありません。採用担当者は、資格の有無だけでなく、「どのような現場で、どのような対象者に、どのような支援を行ってきたのか」を見ながら、応募先の業務を任せられるかを判断しています。企業・行政・医療機関では保健師に求められる役割が異なるため、同じ経験でも、応募先に合わせて見せ方を変えることが重要です。 出典: kan54.jp

つまり、履歴書は「誰か」を伝え、職務経歴書は「何ができるか」を伝えます。役割が違うので、内容が重なる必要はありません。

そして順番の話に戻ります。職務経歴書を先に作ると、自分の経験の全体像が目の前に並びます。その中から、応募先に一番響く部分を抜き出して短くまとめたものが、履歴書の志望動機と自己PRになります。逆の順番でやろうとすると、材料がないまま志望動機を書くことになり、抽象的な言葉しか出てきません。

書けなくて止まっている方の多くが、この順番を逆にしています。順番を変えるだけで動き出すことは、本当によくあります。

履歴書の基本項目を、迷わず埋めていく

では履歴書の事実欄から見ていきます。ここは判断が要らない部分なので、機械的に進めて構いません。

日付は、提出日か投函日を書きます。作成した日ではありません。郵送なら投函する日、持参なら面接日、メール添付なら送信日です。ここが古いままだと、使い回しの書類だと受け取られることがあります。

氏名はふりがなの表記に注意します。「ふりがな」とひらがなで印字されていればひらがな、「フリガナ」とカタカナならカタカナで書きます。細かい話ですが、指示通りに書けるかどうかを見ている担当者は実際にいます。

写真は3か月以内に撮影したものを使います。スピード写真でも構いませんが、医療職の書類では清潔感が特に見られるため、背景は白か薄い青、髪はまとめ、スーツで撮るのが無難です。裏に氏名を書いておくと、剥がれたときに紛れずに済みます。

学歴は高校卒業から書き始めるのが一般的です。看護系の学校名は正式名称で書きます。「〇〇看護専門学校」「〇〇大学看護学部看護学科」のように、略さず書いてください。保健師の教育課程を経ていることが読み取れるよう、学科や専攻課程まで記載します。大学院を修了している場合も同様です。

職歴は入職と退職を1行ずつ書きます。病院名だけでなく、配属先の科や部署も書き添えると、あとで職務経歴書と照合しやすくなります。「一身上の都合により退職」という定型でまとめて構いませんが、契約期間満了の場合は「契約期間満了につき退職」と書いたほうが正確です。

現在も在職中であれば、最終行に「現在に至る」と書き、その次の行の右端に「以上」を入れます。ここまでが事実欄です。

免許と資格の欄は、書く順番に決まりがある

保健師の履歴書で、意外と間違えが多いのがこの欄です。

書き方の原則は3つあります。第一に、正式名称で書くこと。第二に、取得年月の古い順に並べること。第三に、免許と資格を混在させても構わないが、業務に関係するものを優先すること。

保健師の場合、看護師免許を取得したあとに保健師免許を取得している方がほとんどです。ですから、取得年月の順に並べれば自然と看護師が先、保健師が後になります。取得年月が同じ場合は、看護師免許を先に書くのが一般的です。

正式名称は「看護師免許 取得」「保健師免許 取得」と書きます。国家試験の合格年月と免許の登録年月がずれることがありますが、履歴書に書くのは免許証に記載された登録年月です。手元の免許証を見ながら書き写してください。記憶で書くと、ここがずれます。

そのほか、業務に関係する資格があれば続けて書きます。第一種衛生管理者、養護教諭免許、精神保健福祉士、公認心理師、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、健康運動指導士など、応募先の業務と接点があるものは積極的に載せてください。

とくに産業保健の分野を目指す場合、労働衛生に関わる資格は評価の対象になりやすい傾向があります。ただし、資格の有無だけで採否が決まるわけではないので、持っていないことを気にしすぎる必要はありません。

普通自動車免許は、行政保健師や訪問業務のある職場では実務に直結します。訪問に自家用車や公用車を使う自治体は多いため、持っている場合は必ず書いてください。AT限定の場合はその旨も記載します。

パソコンに関する資格や、統計解析ツールを扱えることも書く価値があります。この点については、実務でどう見られているかの説明があります。

保健師としての業務をサポートするためのシステムやツールの活用経験もチェックされます。電子カルテや健康管理システム、データ分析ツールなどの使用経験や熟達度など、自身のパソコン操作スキルや経験も記載しておきましょう。 出典: jp.indeed.com

資格として持っていなくても、実務で使ってきたシステムは職務経歴書のほうに書けます。健診結果の集計をどのソフトで行っていたか、報告資料をどう作っていたか。こうした情報は、入職後の即戦力度を判断する材料になります。

志望動機の欄は、3つの層を積み上げて書く

履歴書の中で、一番手が止まる欄です。ここは書き方を決めてしまいましょう。

志望動機は、次の3層で作ります。第一層が「これまでの経験で気づいたこと」。第二層が「だから、こういう働き方をしたいと考えるようになった」。第三層が「その実現先として、この職場を選んだ理由」。この順で並べるだけで、筋の通った文章になります。

たとえば病棟勤務からの転職であれば、第一層は「退院後の生活まで見届けられないもどかしさを感じた」。第二層は「予防と継続的な支援に関わりたいと考えるようになった」。第三層は「貴自治体は在宅療養支援の体制づくりに力を入れており、その一員として働きたい」。

ここで大事なのは、第三層です。ここが空欄同然だと、どこにでも出せる文章になってしまいます。応募先の特徴を1つでいいので入れてください。自治体なら健康増進計画や広報で公表されている重点分野、企業なら事業内容や従業員構成、医療機関なら地域での役割。調べる時間は30分もあれば足ります。

国の施策の全体像を押さえておきたい場合は、厚生労働省の公表資料が出発点になります。ここで大枠をつかんでから、応募先の個別事情を見ると、対比の形で書けるようになります。

文字数は、履歴書の欄の大きさに合わせます。多くの様式では200字から300字程度が上限です。欄の8割から9割を埋めるのが見た目としてきれいで、半分以下だと意欲が薄く見えます。逆に、小さな字でびっしり詰めると読みにくくなります。

書き終えたら、声に出して読んでみてください。息継ぎができない文は長すぎます。一文は60字前後を目安に切ると、読み手の負担が減ります。看護職の履歴書全般の書き方は看護師の転職用履歴書の書き方|志望動機と自己PRの例文にも例文つきでまとめられているので、言い回しに迷ったときの引き出しとして使えます。

埋めにくい欄は、こう処理する

履歴書には、書き方に迷う小さな欄がいくつかあります。ひとつずつ片付けましょう。

本人希望記入欄は、原則として「貴社(貴院・貴自治体)の規定に従います」で構いません。ただし、どうしても譲れない条件がある場合は、ここに書いておくほうが後々のすれ違いを防げます。たとえば、勤務可能な曜日に制約がある、夜勤対応が難しい、転居を伴う異動が難しい、といった事情です。

隠して入職したあとに条件が合わずに辞めるほうが、双方にとって損失が大きくなります。書き方は「家庭の事情により、〇曜日は勤務が難しいため配慮いただけますと幸いです」のように、事情と依頼を短く添える形にします。長い言い訳は不要です。

通勤時間の欄は、公共交通機関を使った場合の片道の時間を書きます。乗り換え時間を含めた実際の所要時間で、ドアツードアの目安です。自宅から最寄り駅まで徒歩10分かかるなら、それも含めます。

扶養家族の欄は、配偶者を除いた人数を書きます。配偶者の有無、配偶者の扶養義務は別欄になっているので、二重に数えないよう気をつけてください。

そして、意外と多い相談が「賞罰欄」です。賞罰欄がある様式の場合、該当がなければ「なし」と書きます。空欄のままにすると、書き忘れなのか該当なしなのか判断がつきません。ここに限らず、履歴書の空欄は「書けなかった」と読まれることがあります。該当しない欄には「なし」または「特になし」と入れておくのが安全です。

学歴欄が余った場合、無理に埋める必要はありません。研修歴や資格取得のための課程を、学歴とは別のまとまりとして書き足すこともできますが、職務経歴書に書けば足りる内容です。履歴書を無理に膨らませるより、職務経歴書を厚くするほうが評価につながります。

職務経歴書は、対象と規模と役割を書く

ここからが本番です。職務経歴書は形式が自由なので、何を書くかで差がつきます。

構成は、上から「職務要約」「職務経歴」「活かせる経験・知識・スキル」「自己PR」の順が一般的です。A4で1枚から2枚に収めます。3枚を超えると、読まれない部分が出てきます。

職務要約は冒頭の3行から5行です。ここだけで全体像が伝わるように書きます。「総合病院での臨床経験を経て、市町村の行政保健師として母子保健と成人保健を担当。現在は特定保健指導を中心に、生活習慣病予防に取り組んでいます」といった具合です。担当者はここを読んで、続きを読むかどうかを決めています。

職務経歴の本体では、勤務先ごとに次の情報を揃えます。施設または組織の概要(規模、対象地域や従業員数の規模感)、所属部署、期間、担当業務、そして担当していた対象の特性です。

業務内容の書き方について、具体例が挙げられています。

たとえば、健康相談の実施、健康教育の企画と実施、予防接種の管理、健康診断の実施と結果の解析など、保健師としての具体的な業務経験は具体的に記載しましょう。 出典: jp.indeed.com

ここで多くの方が損をしているのが、業務名だけで止めてしまうことです。「健康教育の実施」ではなく、「新任期の保護者を対象とした離乳食教室を、年間を通じて企画から運営まで担当」と書くと、担当範囲が伝わります。企画から関わったのか、運営だけだったのか。ここが読み手には大きな差です。

数字を書ける部分は書きます。担当した地区の世帯規模、事業所の従業員規模、教室の1回あたりの参加者数、対応した相談の頻度。正確な数値が手元にない場合は「おおむね」と添えて範囲で書きます。曖昧なまま数字を作るのは避けてください。面接で聞かれたときに答えられなくなります。

応募先ごとに、見せる面を変える

同じ経験でも、応募先によって書くべき順番が変わります。ここが職務経歴書の腕の見せどころです。

行政保健師に応募する場合、重視されるのは対象の幅広さと関係機関との連携です。乳幼児から高齢者まで、どの年代を担当したことがあるか。福祉部門、医療機関、学校、地域包括支援センターとどう連携してきたか。単独の支援よりも、多職種でケースを回した経験のほうが評価につながります。異動があることを前提に、幅を示すのが有効です。

産業保健師に応募する場合は、逆に絞り込みます。健康診断の事後措置、長時間労働者への面接指導の調整、メンタル不調者への対応と復職支援、衛生委員会への関与。この4つのどこに経験があるかを明確にします。企業の関心は「うちの従業員をどう管理してくれるか」に集約されるので、地域保健の経験も従業員集団に置き換えて書き直します。産業保健の道筋については看護師が産業保健師を目指すための資格と採用のポイント【2026年版】に、必要な準備と採用時に見られる点がまとめられています。

医療機関の健診センターなどに応募する場合は、限られた時間での保健指導の技術と、受診勧奨の判断が中心になります。1日あたりに対応する人数、指導にかけられる時間の制約の中でどう工夫したか。効率と質の両立をどう考えているかが問われます。

保健師としての実務経験がない状態からの応募もあります。この場合、看護師としての臨床経験を、保健師の業務言語に翻訳します。患者指導は保健指導に、退院支援は継続支援に、家族対応は家族支援に。やってきたことは同じでも、応募先の業務と接続する言葉に置き換えることで、担当者は自分の職場での姿を想像できるようになります。

看護職からどんな進路があるのかを全体で見ておきたい方は、病院看護師からの転職先|一般企業・保健師・訪問看護の選択肢で、保健師以外の道も含めた比較が整理されています。選択肢を見比べてから選んだという事実は、志望動機の説得力にもつながります。

自己PRは、3つの型のどれかで書く

自己PRが書けないというご相談も、志望動機と同じくらい多く寄せられます。理由ははっきりしていて、「強みを書け」と言われても、自分の当たり前は強みに見えないからです。

そこで、型を用意します。次の3つのうち、書けそうなものを1つ選んでください。

1つ目は「継続の型」です。同じ対象に長く関わり続けた経験を書きます。ハイリスクの妊産婦を継続訪問した、特定保健指導の対象者に複数回の面談を重ねた、といった経験です。ここで書くべきは成果ではなく、続けるために何を工夫したかです。連絡が取れない相手にどう接触したか、拒否的な反応にどう向き合ったか。保健師の仕事は結果が出るまでに時間がかかるので、続ける力は明確な強みになります。

2つ目は「調整の型」です。複数の関係者を巻き込んで動いた経験を書きます。福祉部門、医療機関、学校、事業所。立場の違う人たちの間に立って、ケースを前に進めた経験があれば、それは調整能力です。誰と誰をつなぎ、どの順番で話を通したのか。ここを具体的に書くと、組織で働く姿が伝わります。

3つ目は「仕組みの型」です。個別の対応ではなく、業務のやり方そのものを変えた経験を書きます。相談記録の様式を見直した、健診結果の集計手順を効率化した、教室の案内方法を変えて参加につなげた。規模の大小は問いません。改善しようと考えて動いた事実が大事です。

どの型でも、書く順番は同じです。状況、課題、自分がとった行動、その結果と学び。この4段で300字から400字にまとめます。

自己PRで避けたいのは、性格の説明で終わることです。「責任感が強い」「コミュニケーションを大切にしています」だけでは、何も伝わりません。性格を書くなら、それが表れた具体的な場面をセットにしてください。行動が書かれていれば、性格は読み手が勝手に読み取ります。

もう1つ。応募先が求めている力に寄せることを意識してください。行政なら調整の型、産業保健なら仕組みの型、健診センターなら継続の型が響きやすい傾向があります。同じ経験でも、どの型で語るかは選べます。

応募書類でよくある失敗と、その直し方

相談を受けていて、繰り返し見かける失敗がいくつかあります。先に知っておくと避けられます。

いちばん多いのが、業務の羅列で終わっているケースです。「健康相談、健康教育、家庭訪問、予防接種の管理」と並べただけの職務経歴書は、読み手には何も残りません。同じ業務名でも、担当した範囲と対象がわかるように書き直すだけで印象が変わります。企画から関わったのか、割り当てられた部分を担当したのか。この違いは書かなければ伝わりません。

2つ目は、応募先ごとの書き分けをしていないケースです。1つの職務経歴書を全応募先に使い回すと、どこにも刺さらない書類になります。書き直すのは全体ではなく、職務要約と「活かせる経験」の部分だけで足ります。ここを応募先に合わせるだけで、通過率の感触が変わります。

3つ目が、謙遜のしすぎです。「まだ経験が浅く」「至らない点も多いですが」といった前置きを何度も入れる方がいます。謙虚さは日本語の書類では美徳ですが、選考書類では情報量を削るだけです。1回書けば十分で、その分を経験の記述に回してください。

4つ目は、専門用語と略語の扱いです。医療機関の中では通じる略語が、企業の人事担当者には通じません。産業保健師に応募するなら、読み手は医療職ではない可能性が高い。略語には短く説明を添えるか、一般的な言葉に置き換えます。

5つ目が、書類と面接での話がずれることです。書類を作ったのが数か月前で、面接直前に読み返していないと起きます。提出した書類の控えは必ず保管し、面接前に読み返してください。

そして最後に。書けないまま何日も止まっている場合、完璧な文章を最初から書こうとしている可能性があります。まずは箇条書きで、やってきたことを全部書き出す。文章にするのはそのあとです。順番を分けるだけで、驚くほど進みます。

書き出しの作業は、誰かに話しながらやると進みやすくなります。人に説明しようとすると、自分では当たり前だと思っていた工夫が言葉になって出てくるからです。相手は同僚でも家族でも構いません。話した内容をそのまま書き留めれば、それが職務経歴書の下書きになります。ひとりで机に向かって固まってしまうより、この方法のほうが早く形になることが多いです。

ブランクや短期離職を、どう書くか

ここで手が止まる方が、本当にたくさんいらっしゃいます。

まずお伝えしたいのは、ブランクそのものが不利になるとは限らないということです。出産、育児、介護、療養。医療職では、こうした事情で一度現場を離れる方が珍しくありません。採用側もそれを知っています。

書き方の原則は、隠さないことです。職歴の年月に空白があると、担当者はその期間について必ず考えます。何も書かれていない空白と、理由が書かれた期間では、後者のほうが安心されます。

職務経歴書に「2023年4月から2024年9月まで 育児のため休職」と1行入れるだけで足ります。詳細な説明は不要です。そして、その期間に何かしていたことがあれば、短く添えます。研修の受講、資格の勉強、地域の活動への参加。何もしていなかった場合でも、現在は復帰できる体制が整っていることを一言書いておけば十分です。

短期離職についても同じです。1年未満で辞めた職歴があると、書きたくない気持ちになるのはよくわかります。ただ、書かないという選択は取れません。経歴の詐称になってしまいます。

書いたうえで、面接で説明できる形にしておきます。ここでも、事実を変える必要はありません。「業務内容が募集時の説明と異なっていた」「家族の介護が急に必要になった」といった事情は、正直に述べたほうが伝わります。

回数が多い場合は、1件ずつ理由を書くのではなく、職務要約の段階で「複数の職場で幅広い領域を経験してきた」という文脈を作り、それぞれの経験から得たものを並べる構成にすると、転々としてきた印象が薄まります。

キャリアの相談を受けていて感じるのは、ブランクを気にしている方ほど、そのあいだに得たものを過小評価しているということです。育児をしながら地域の子育て支援の場に触れた経験は、母子保健の業務で必ず活きます。介護を経験した方は、高齢者支援で家族の側の心理が想像できます。書類にどう書くかの前に、まずご自身がその期間を否定しないでいただきたいと思います。

提出前の確認と、手書きかパソコンか

書き終えたら、提出前に確認します。ここで落とすのはもったいない部分です。

まず誤字脱字です。特に応募先の名称は要注意で、「株式会社」が前か後か、自治体名の表記が正しいか、病院名の旧称を書いていないかを見ます。ここを間違えると、それだけで丁寧さを疑われます。

次に、履歴書と職務経歴書の整合性です。在職期間、部署名、資格の取得年月。この3つが2つの書類でずれていないかを照合します。面接で指摘されると、答えに詰まります。

そして、文字の統一です。西暦か和暦かはどちらでも構いませんが、1つの書類の中で混在させないでください。学歴は和暦、職歴は西暦、といった状態になっていることが実際にあります。

手書きかパソコンかについては、応募先の指定がなければパソコンで構いません。近年は、メール添付での提出が主流になりつつあります。ただし、行政の採用試験では所定の様式が指定され、手書きを求められることがあります。募集要項を必ず確認してください。

パソコンで作る場合、ファイル形式はPDFにします。文書ソフトの形式のまま送ると、相手の環境でレイアウトが崩れることがあります。ファイル名は「履歴書_氏名_日付」のように、誰の何の書類かがわかる形にします。担当者は多数の応募書類を扱うので、ここが親切だと印象がよくなります。

文書作成の作法をまとめて身につけておきたい場合は、ビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。敬語の使い分け、文書の構成、送付状の書き方まで体系的に扱っているので、応募書類だけでなく入職後の報告書作成にも効いてきます。資格そのものが採用を左右するわけではありませんが、書類全体の読みやすさは確実に変わります。

送付状については、郵送やメールで提出する場合に添えます。応募の意思、同封書類の一覧、面接の機会をいただきたい旨。この3点を簡潔に書けば足ります。長い自己PRを送付状に書く必要はありません。

書類を作る力は、保健師の外でも効いてくる

ここまで書いてきて、改めて感じることがあります。応募書類を作る作業は、自分の経験を他人にわかる言葉へ翻訳する作業そのものだということです。

そしてこの翻訳能力は、医療職の方が思っている以上に、労働市場で価値を持っています。

在宅で受けられる仕事の相場を見ていると、専門知識を持つ人が書く文章への需要が確実にあることがわかります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場のページでは、書くことを軸にした職種の報酬水準が職業分類ごとに整理されています。医療や健康の領域は、正確さが求められるぶん、書き手の専門性が評価されやすい分野です。技術職との水準差もあわせて見ておきたい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場が比較の材料になります。

産業保健の周辺では、健康データの集計や社内向けの情報発信にデジタル領域の知識が必要になる場面が増えています。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、データや情報管理に関わる仕事がどのような形で外部委託されているかが紹介されています。従業員の健康情報という機微な情報を扱う立場としては、情報管理の考え方を知っておくと実務でも役立ちます。

さらに、健康管理システムの導入や運用に関わる立場になると、開発側との会話が必要になります。アプリケーション開発のお仕事AIコンサル・業務活用支援のお仕事のページを見ると、どういう工程で何が発注されているのかがわかります。仕組みを知っていると、要望を伝えるときの精度が上がります。ネットワークの基礎から学びたい方にはCCNA(シスコ技術者認定)の学習範囲が、情報システム担当者と話すときの共通言語をくれます。

在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えていることをひとつだけ書きます。資格職の方が外部の仕事を受け始めるとき、最初の壁になるのは技術ではなく、この「自分の経験を相手の言葉に置き換える」作業です。書けないのではなく、書いていいと思えていない。そういう状態の方を、たくさん見てきました。

そして、仲介の手数料が乗らない直接取引の場では、依頼者が払った金額と受け手が受け取る金額の差が小さくなります。運営者として長く見てきた実感で言えば、手数料0%の環境で仕事が続くのは、交渉が上手な人ではなく、相手が何を求めているかを掴んで言葉にできる人です。応募書類を丁寧に作る作業は、その練習になります。

履歴書と職務経歴書は、通過するための書類であると同時に、自分のこれまでを整理する機会でもあります。焦らず、職務経歴書から順に手をつけてみてください。

なお、資格要件や採用区分の条件は自治体や企業ごとに運用が異なります。受験資格や提出書類の詳細は、必ず募集要項と各採用窓口で直接ご確認ください。

よくある質問

Q. 履歴書と職務経歴書は、どちらから書けばよいですか?

職務経歴書からです。先に経験を全部書き出しておくと、その中から応募先に響く部分を抜き出して履歴書の志望動機と自己PRに落とせます。履歴書から書き始めると材料がないまま志望動機を作ることになり、どこにでも出せる抽象的な文章になりがちです。順番を変えるだけで負担が大きく減ります。

Q. 免許欄は看護師と保健師のどちらを先に書きますか?

取得年月の古い順に並べるのが原則なので、通常は看護師免許が先、保健師免許が後になります。取得年月が同じ場合は看護師を先に書くのが一般的です。年月は記憶ではなく、手元の免許証に記載された登録年月を書き写してください。国家試験の合格月とずれることがあります。

Q. ブランク期間があるとき、どう書けばよいですか?

隠さず1行で書きます。「2023年4月から2024年9月まで 育児のため休職」といった形で足り、詳細な説明は不要です。空白のまま放置すると担当者が気にするので、理由を短く添えるほうが安心されます。その期間に研修や資格の勉強をしていれば書き添え、なければ現在は復帰できる状態であることを一言添えます。

Q. 履歴書は手書きとパソコンのどちらがよいですか?

応募先の指定がなければパソコンで構いません。メール添付での提出も増えています。ただし行政の採用試験では所定の様式や手書きを求められることがあるため、募集要項を必ず確認してください。パソコンで作る場合はPDFに変換し、ファイル名は誰の何の書類かがわかる形にします。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月16日最終更新:2026年9月12日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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