助産師の履歴書と職務経歴書|書く順番と、埋めにくい欄の扱い

中西 直美
中西 直美
助産師の履歴書と職務経歴書|書く順番と、埋めにくい欄の扱い

この記事のポイント

  • ✓助産師 履歴書の書き方を
  • ✓書く順番と埋めにくい欄の扱いから整理しました
  • ✓ブランクや短期離職の書き方

「履歴書を前にして、1時間止まっている」。転職の相談を受けていて、本当によく聞く言葉です。臨床では的確に判断して動ける方が、白紙の履歴書を前にすると手が止まる。これは意志の弱さではありません。書く順番が決まっていないだけです。

大丈夫ですよ。履歴書は、埋めやすい欄から順に片づけていけば必ず終わります。この記事では、助産師の方が履歴書と職務経歴書を書くときの順番、それぞれの欄で迷いやすいポイント、そしてブランクや短期離職といった埋めにくい欄の扱いまで、順を追って整理していきます。書き終えたあとの確認事項もまとめました。

履歴書と職務経歴書は、役割がまったく違う

最初に、この2つの違いをはっきりさせておきます。ここが曖昧なまま書き始めると、両方に同じことを書いてしまい、どちらも薄くなります。

履歴書は、あなたが誰かを伝える書類です。 氏名、連絡先、学歴、職歴、資格、通勤時間、志望動機。決まった様式の欄を、事実で埋めていきます。ここに長い説明は要りません。読む側は、まず基本情報を確認するために見ています。

職務経歴書は、あなたが何をしてきたかを伝える書類です。 どんな施設で、どんな規模の環境で、どこまでの業務を担当し、何ができるようになったか。様式は自由で、自分で構成を決めます。ここが選考の中心になります。

助産師の中途採用では、この職務経歴書の中身が特に見られます。理由は明確で、助産師の業務範囲は施設によってかなり違うからです。分娩件数が多い総合病院で正常分娩を数多く担当してきた方と、個人クリニックで妊娠期から産後まで継続して関わってきた方では、持っている経験がまったく違います。履歴書の職歴欄には「〇〇病院 産婦人科病棟 勤務」としか書けませんが、職務経歴書ならその中身を伝えられます。

新卒の場合、職務経歴書の提出を求められないことがあります。その場合は履歴書1枚で勝負するので、志望動機と自己PRの欄が実質的な職務経歴書の役割を果たします。

なお、提出を求められた書類は必ず全部そろえてください。「職務経歴書は任意」と書かれていても、出したほうが有利になる場面が多い。任意という言葉は、出さなくてよいという意味ではなく、様式を指定しないという意味であることがほとんどです。

書く順番|埋めやすい欄から手をつける

手が止まる方に、いつもお伝えしている順番があります。事実だけで書ける欄から埋めて、考える必要がある欄を最後に回す。これだけで、進み方がまったく変わります。

第1段階|調べれば書ける欄 氏名、住所、連絡先、生年月日、通勤時間。ここは迷う要素がありません。5分で終わります。

第2段階|手元の書類を見れば書ける欄 学歴、職歴、免許と資格。卒業証書、免許証、雇用契約書、源泉徴収票。これらを机の上に並べてから書きます。記憶で書かないでください。年月を1つ間違えるだけで、書類の信頼性が落ちます。

第3段階|整理が必要な欄 職務経歴書の本体です。施設ごとに、勤務期間、施設の規模、担当業務、身につけたことを書き出します。

第4段階|考えて書く欄 志望動機、自己PR、本人希望欄。ここは志望先ごとに書き分けが必要なので、最後に回します。

この順番の利点は、第1段階と第2段階を終えた時点で、履歴書の半分以上が埋まることです。白紙の状態が一番つらい。埋まった紙を前にすると、続きが書きやすくなります。

カウンセリングの場でも、まず作業として片づく部分から着手してもらうことがよくあります。頭の中で完成形を作ってから書き始めようとすると、いつまでも着手できません。書きながら考えるほうが、結果として早く終わります。

学歴と職歴の書き方|助産師ならではの事情

助産師の方の学歴欄には、少し特有の事情があります。資格取得までの道筋が一通りではないからです。

看護大学で助産課程を選択した方、看護大学卒業後に助産師学校に進んだ方、看護専門学校から助産師養成所に進んだ方、看護師として働いたあとに助産師課程へ入学した方。それぞれ学歴欄の見え方が変わります。

書き方の基本 学歴は入学と卒業の両方を書きます。高校から書くのが一般的です。助産師学校や助産師課程は、正式名称で書いてください。「〇〇大学医学部保健学科助産学専攻科」のような長い名称でも、省略せずに書きます。

働きながら学んだ場合 看護師として勤務しながら助産師課程に進んだ場合、学歴欄と職歴欄で期間が重なります。これは問題ありません。そのまま両方に書いてください。ただし、職歴欄のその期間について「〇〇病院 退職」と「〇〇助産師学校 入学」が同時期に並ぶと、読む側が経緯をつかみにくくなります。職務経歴書のほうで一言補足しておくと親切です。

職歴欄の書き方 入職と退職を対で書きます。法人名は正式名称で。「医療法人社団〇〇会 〇〇病院」のように、法人格まで含めるのが基本です。配属先も書けると、どんな環境にいたかが伝わります。「産婦人科病棟」「総合周産期母子医療センター」「産科外来」など。

退職理由は「一身上の都合により退職」で構いません。詳しい説明は職務経歴書か面接で行います。

現職の書き方 在職中の場合は「現在に至る」と書き、最後に「以上」を右寄せで入れます。退職日が決まっている場合は、本人希望欄に入職可能時期を書いておくと親切です。

免許と資格の欄に、何をどこまで書くか

助産師の方の免許欄には、看護師免許と助産師免許の両方を書きます。取得年月は免許証で確認してください。ここは記憶に頼らないでください。

書く順番 取得年月の古い順に書きます。看護師免許が先、助産師免許が後になるのが通常です。正式名称は「看護師免許 取得」「助産師免許 取得」と書きます。

あわせて書けるもの 新生児蘇生法(NCPR)の認定、母乳育児支援に関する研修修了、アドバンス助産師の認証、実習指導者講習会の修了。産科に関わる認定や研修は、持っていれば書いてください。書ける行数に限りがある場合は、志望先の業務に近いものを優先します。

普通自動車免許も、訪問系の業務がある施設や、地域の産後ケアに関わる施設では意味を持ちます。

書かなくてよいもの 業務と無関係な検定や、あまりに古い級位。行数を使うだけで評価にはつながりません。

取得予定のもの 勉強中の資格は「〇〇資格 取得に向けて学習中」と書いて構いません。学ぶ姿勢が伝わります。ただし、取得していないものを取得したように書くのは絶対に避けてください。事実と異なる記載は、後から必ず問題になります。

なお、助産師は国家資格であり、業務の範囲は法令で定められています。免許の手続きや資格の要件について確認が必要な場合は、勤務先の担当部署や厚生労働省の案内で最新の情報をご確認ください。この記事では一般的な書き方の説明にとどめます。

職務経歴書の職務要約|最初の5行で決まる

職務経歴書は、冒頭に「職務要約」を置きます。ここが読まれる部分です。

書き方の参考になる例があります。

総合病院の産婦人科にて約5年間、助産師として勤務してまいりました。年間約500件の分娩を扱う環境で、正常分娩から帝王切開まで多様な症例の分娩介助を経験。また、母親学級の企画・運営を担当し、妊産婦一人ひとりに寄り添ったケアを実践してまいりました。 出典: lekky.jp

この短い文章に、必要な要素が全部入っています。施設の種類、勤務年数、環境の規模、経験した症例の幅、担当した役割。読む側は、この5行で「どのくらいの経験を持った人か」を把握します。

自分の要約を作るときは、次の5つを順に書いてください。

1つ目、どこで働いたか(施設の種類と規模)。2つ目、何年間か。3つ目、どんな環境だったか(分娩件数の規模、ハイリスクの有無)。4つ目、何を経験したか(分娩介助、外来、保健指導、母親学級など)。5つ目、これから何をしたいか。

分娩件数を書くときは、正確な数がわからなければ「年間およそ〜」で構いません。ただし、極端に盛るのはやめてください。面接で必ず掘られます。実際より少なく書くほうが、後で「思ったより経験がある」と評価される分、安全です。

そして、要約は志望先ごとに書き分けてください。ハイリスクを扱う施設に応募するなら緊急対応の経験を前に、継続ケアを重視する施設に応募するなら妊娠期からの関わりを前に。同じ経歴でも、並べる順番で伝わり方が変わります。

経験を、どう言葉にするか

職務要約のあとに、施設ごとの詳細を書きます。ここで多くの方が悩むのが、「特別なことはしていない」という感覚です。

こういう相談がよくあります。「毎日同じことをしていただけで、書けることがありません」。でも、話を聞いていくと必ず出てきます。担当した産婦さんの人数、関わった症例の種類、後輩の指導、マニュアルの見直し、委員会での活動。日常だと思っていたことが、他の施設から見れば立派な経験です。

書き出すときは、次の切り口を使ってください。

担当した業務の範囲 分娩介助、妊婦健診、産後の授乳指導、新生児のケア、母乳外来、母親学級、退院指導、地域との連携。担当したものを全部挙げます。

環境の規模 病床数、年間分娩件数、正常分娩の割合、スタッフの人数、勤務形態(二交替か三交替か)。数字が入ると、経験の重みが伝わります。

役割 プリセプター、実習指導、委員会活動、マニュアルの作成、新人研修の担当。これらは「教えられる人」であることの証明になります。

工夫したこと 記録のテンプレートを作った、指導用の資料を作った、申し送りの方法を改善した。規模の大小は問いません。自分で考えて動いた経験は、どこの職場でも評価されます。

書き方は、箇条書きが読みやすいです。長い文章で書くより、項目を立てて並べたほうが、読む側は必要な情報を見つけやすくなります。

履歴書と職務経歴書の全体的な構成や、志望動機と自己PRの書き分けについては、看護師の転職用履歴書の書き方|志望動機と自己PRの例文に例文つきで整理されています。看護職の書類全般に共通する考え方がまとまっているので、助産師の方が書く場合の土台としても使えます。

職務経歴書のレイアウト|読む側の目線で組む

内容がそろっても、並べ方が悪いと読まれません。職務経歴書のレイアウトには型があります。

分量 A4で1枚から2枚が目安です。経験が長い方でも3枚を超えると読まれにくくなります。古い職歴ほど簡潔にまとめ、直近の職歴を厚く書くのが基本です。

構成の順番 最初に職務要約。次に職歴の詳細を新しい順に並べます。そのあとに保有資格と研修歴、最後に自己PRを置きます。時系列を古い順にする書き方もありますが、直近の経験を先に見せるほうが読む側には親切です。

施設ごとの見出し 勤務先ごとに、施設名、在籍期間、施設の概要(病床数、診療科、年間分娩件数など)を1行でまとめ、その下に担当業務を箇条書きで並べます。施設の概要が入っていると、どんな環境で働いていたかが一目で伝わります。

箇条書きの粒度 1項目1行が原則です。2行以上になる場合は、内容を分けられないか検討します。細かすぎる作業を全部並べる必要はなく、5項目から8項目程度に絞ったほうが読まれます。

強調の使い方 太字や下線を多用すると、かえって読みにくくなります。強調するなら、見出しと施設名程度にとどめてください。

余白 文字を詰め込みすぎないこと。行間と段落の間に余白があるだけで、読みやすさが変わります。紙面を埋めることが目的ではありません。

パソコンで作る場合は、表計算ソフトより文書作成ソフトのほうが調整しやすくなります。完成したらPDFに変換して、印刷したときの見え方も確認してください。画面で見たときと、紙で見たときで印象が変わることがあります。

志望動機欄と自己PR欄を、どう書き分けるか

履歴書の中で、最後まで残りやすいのがこの2つの欄です。同じことを書いてしまい、どちらも薄くなるのが典型的な失敗です。

志望動機は、相手に向けた文章です。 なぜこの職場を選んだのか。相手の特徴と、自分がやりたいことの接点を書きます。主語は「貴院の〜」から始まることが多くなります。

自己PRは、自分について書く文章です。 何ができるのか、どんな働き方をする人なのか。主語は「私は」で始まります。

この違いを意識するだけで、書き分けができます。

志望動機を書くときの材料は、志望先の情報です。分娩件数の規模、正常分娩の割合、院内助産の有無、母乳育児の方針、産後ケアや母乳外来の体制、地域連携の取り組み。募集要項と公開情報から読み取れる特徴のうち、自分の関心と重なるものを1つ選びます。全部に共感すると書くと、かえって薄くなります。

避けたいのは、「理念に共感しました」だけで終える書き方です。理念のどの部分に、自分のどの経験が重なったのかまで書いてください。「勉強させていただきたい」で締めるのも、受け身に見えます。学んだうえで何を返すのかを1文足すだけで印象が変わります。

自己PRを書くときの材料は、自分の経験です。ただし、性格の話に寄せないでください。「明るく前向きです」「責任感があります」。これらは誰でも書けるので、判断材料になりません。

代わりに、行動で書きます。「記録を勤務時間内に終える工夫を続けています」「後輩から質問されたとき、答えを言う前に本人の考えを聞くようにしています」。行動で書かれた自己PRは、そのまま入職後の姿を想像させます。

そして、両方の欄で同じエピソードを使わないでください。材料が足りないと感じたら、経験の書き出しに戻ります。5つの場面を書き出しておけば、使い分けができます。

状況別に、どこを厚くするか

同じ助産師でも、状況によって書類の重心が変わります。

新卒で応募する場合

職務経歴書がないぶん、履歴書の志望動機と自己PRが勝負どころです。実習で担当した事例から何を学び、志望先で何を身につけたいのかを書きます。

実習の話を書くときは、感想で終わらせないでください。「感動しました」ではなく、「その経験から、産婦さんの言葉を待つ姿勢が必要だと考えました」まで書き切ります。学生の方の書類で最も多い失敗が、感想文になってしまうことです。

学業以外の経験も使えます。アルバイトでの接客経験、部活動での役割、ボランティア。産科は多職種と関わる領域なので、人と協働した経験は評価されます。

看護師から助産師に転じる場合

看護師としての経歴が職務経歴書の中心になります。ここで大事なのは、看護師の経験を助産師の業務に翻訳して書くことです。

急性期での観察力、慢性期での生活指導、小児科での家族対応、外科での術後管理。どれも産科で使えます。「看護師経験を活かして」で終わらせず、どの経験がどう活きるのかを具体的に書いてください。

助産師として転職する場合

職務経歴書の完成度がそのまま評価に直結します。施設ごとに、規模、担当業務、役割、工夫したことを整理します。

このとき、現職を悪く書かないでください。「人員が足りず十分なケアができなかった」は事実かもしれませんが、読む側は「うちでも同じことを言うかもしれない」と考えます。不満は、やりたいことに変換します。

ブランク明けで復職する場合

空白期間の理由を1行で書き、そのあとに復職に向けた準備を書きます。研修の受講、資格の更新、情報の収集。

そして、復職後の働き方の希望を本人希望欄に書いてください。「まずは日勤帯から段階的に慣らしていきたい」と書くことは、消極的な姿勢ではありません。無理のない形で長く働く意思の表明として受け取られます。

クリニックから病院へ、病院からクリニックへ移る場合

環境が大きく変わる転職です。自分が持っている経験のうち、移った先で何が活きるのかを明示してください。

クリニックから病院に移るなら、一人で幅広く担当してきた経験が強みになります。病院からクリニックに移るなら、症例の幅と急変時の対応経験が強みになります。どちらの方向でも、書き方次第で説得力が変わります。

年収や条件の希望を、どこに書くか

年収の希望をどこに書くかは、迷いやすい部分です。

原則として、履歴書の志望動機欄には書きません。志望動機は「なぜこの職場か」を書く場所であり、条件の話は入りません。

書くとすれば本人希望欄です。ただし、金額を明記するかどうかは慎重に判断してください。「貴院の規定に従います」と書いておき、面接や内定後の条件確認の場で具体的に話すのが一般的な流れです。

明記したほうがよいのは、譲れない条件がある場合です。夜勤の回数、勤務地、入職可能時期。これらは書いておいたほうが、双方の時間を節約できます。

助産師の求人では、基本給が細かい額で提示されることがあります。これは経験年数に応じた号俸表がある職場の特徴で、前職の経験を何割で換算するかによって着任時の額が変わります。この換算方法は聞かなければわからないことが多いので、面接での確認事項に入れておいてください。

そして、内定後に示される労働条件の書面は必ず保管してください。相談を受けていて多いのが、「面接で聞いた話と入職後の条件が違う」というケースです。書面が手元にあれば、話し合いの土台になります。書面がないと、記憶と記憶のぶつかり合いになってしまいます。

埋めにくい欄の扱い方

ここからが本題かもしれません。多くの方が止まるのは、この部分です。

ブランクがある場合

出産、育児、介護、療養、進学。理由はさまざまです。空白期間があること自体は、まったく珍しくありません。

書き方としては、職歴欄に理由を1行で書きます。「出産・育児のため離職」「家族の介護に専念」。これだけで構いません。詳しく書く必要はありません。

大事なのは、そのあとに現在の状況を添えることです。「〇年〇月より復職に向けて研修を受講」「〇年〇月より看護師として復職」。復職に向けて何かしていれば、それを書きます。何もしていない場合でも、本人希望欄に「まずは日勤帯から慣らしていきたい」といった希望を書けば、前向きな姿勢が伝わります。

ブランクを恥ずかしいことのように感じている方に、お伝えしたいことがあります。医療の現場は、人手が足りている領域ではありません。戻ってきてくれる人を歓迎する施設は、確実にあります。空白期間を隠そうとして書類が不自然になるほうが、よほど不利です。

短期間で辞めた職歴がある場合

3か月、半年で退職した職歴。書くべきか迷う方が多い部分です。

原則として、書いてください。書かないと経歴に空白が生まれ、面接でその期間を必ず聞かれます。そのときに答えられないほうが不利になります。

書いたうえで、理由を簡潔に添えます。「業務内容が事前の説明と異なったため」「体調不良により退職」。詳しく説明する必要はなく、事実を短く書けば十分です。面接で聞かれたときに、感情的にならずに説明できる形にしておくことが大切です。

転職回数が多い場合

回数そのものより、一貫性が見られます。産科の領域で経験を積んできたのなら、施設が変わっていても軸はぶれていません。職務要約で「産科領域で一貫して経験を積んできた」と最初に示せば、回数の印象は和らぎます。

本人希望欄

「貴院の規定に従います」で構いませんが、これだけで終える必要はありません。譲れない条件があるなら、ここに書いてください。

「夜勤は月4回程度まで希望します」「〇年〇月以降の入職を希望します」。書いておくことで、条件が合わない施設との面接を避けられます。これは双方にとって時間の節約になります。

条件を書くと不利になるのではと心配される方がいますが、条件を隠して入職して続かないほうが、はるかに大きな損失です。書いてよい欄なので、遠慮せずに使ってください。

通勤時間と扶養

通勤時間は、実際に測った時間を書きます。多少多めに見積もっておくほうが安全です。扶養の有無は、記載欄があれば正確に書きます。

写真、様式、提出の方法

内容が固まったら、体裁を整えます。

写真 3か月以内に撮影したものを使います。スピード写真より写真館で撮ったもののほうが、印象がよくなる傾向があります。服装はスーツかジャケット、髪はまとめて顔が見えるように。医療職の書類では、清潔感が特に重視されます。裏面に氏名を書いてから貼ってください。剥がれた場合に判別できるようにするためです。

様式 JIS規格の様式でも、市販の様式でも構いません。志望先から指定がある場合はそれに従います。手書きと印刷は、どちらでも問題ありません。手書きが有利という時代ではなくなっていますが、指定があればそれに従ってください。

文字 黒のボールペンを使い、消せるペンは使いません。修正液も使わないのが原則です。書き損じたら書き直します。

封筒 角形2号の白封筒に、折らずに入れます。表面に「応募書類在中」と赤字で書き、宛名は正式名称で。クリアファイルに挟んでから入れると、雨に濡れても書類が守られます。

郵送か持参か 指定がなければ郵送で構いません。郵送する場合は、簡単な添え状を1枚つけると丁寧です。持参する場合は、封筒に入れたまま受付で渡します。

データで提出する場合 近年はメールやフォームでの提出も増えています。ファイル名は「助産師_氏名_履歴書」のようにわかりやすくつけてください。「無題」「新規ファイル」のまま送るのは避けます。PDFに変換してから送ると、レイアウトが崩れません。

文書作成の基本を体系的に身につけたい方には、ビジネス文書検定のような検定もあります。この資格ガイドでは、社会人として通用する文書の作法や敬語の使い分けが学習範囲として整理されています。助産師の採用に必須ではありませんが、書類に苦手意識がある方には基礎固めとして役立ちます。

提出前に確認したいこと

書き上げたら、提出の前に次の項目を確認してください。

志望先の名称が正式名称で、正しく書けているか。年月に誤りや矛盾がないか。学歴と職歴の期間がつながっているか、または空白の理由が書かれているか。免許の取得年月が免許証と一致しているか。誤字脱字がないか。写真が貼られているか。押印が必要な様式なら押されているか。志望動機が志望先ごとに書き分けられているか。

そして、必ずコピーを取ってください。面接では書類の内容を掘り下げられます。自分が何を書いたか覚えていないと、その場で矛盾が生まれます。提出前にスマートフォンで撮影しておくだけでも十分です。

もうひとつ、声に出して読むことをおすすめします。黙読では気づかない誤字と、不自然な言い回しは、音読で見つかります。ここまでやれば、書類の不備で落ちることはまずありません。

書き終えたあと、疲れを感じる方が多いと思います。それは自然なことです。自分の経歴を振り返る作業は、想像以上に体力を使います。提出したら、少し休んでください。

運営者の視点から見た、経歴を言葉にする力

在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、ひとつ観察をお伝えします。

外部から仕事を受けるようになった専門職の方を見ていると、最初に依頼が来るかどうかは、実力そのものより「何ができる人か」が伝わっているかで決まっています。職務経歴書を書く作業は、この伝え方を作る作業そのものです。

運営者として見てきた限り、継続して仕事が続く人には共通点があります。自分の経験を、相手の困りごとに翻訳して説明できる人です。「これができます」と並べるのではなく、「あなたが困っているここを、私が引き受けられます」と言える人。職務経歴書で、志望先ごとに書く順番を変えるべきだとお伝えしたのは、これと同じ理由です。

もうひとつ、市場の構造の話をします。専門職が外部から仕事を受けるとき、仲介が何段も入るほど、依頼者が支払った金額と受け手に届く金額の差が広がります。中間の取り分が乗らない直接のやり取りなら、同じ予算でも依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りが厚くなる。金額の大小ではなく、手元に残る質が変わるという話です。

助産師の資格と経験は、病院の外でも通用します。産後ケアを軸に事業を立ち上げる道については、助産師の産後ケア事業|フリーランスとしての独立【2026年版】で必要な準備が具体的に整理されています。また、臨床経験を活かした在宅の仕事の探し方は看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】にまとまっており、経験をどう言語化して仕事に変えるかという考え方は助産師にもそのまま応用できます。文章を書く仕事の相場感を知りたい方は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。

最後にお伝えしたいことがあります。

履歴書を書く作業は、自分がやってきたことを認める作業でもあります。書き出してみると、思っていたより多くのことをしてきたと気づく方がほとんどです。手が止まっているのは、材料がないからではありません。まだ並べていないだけです。

今日は、免許証と雇用契約書を机に出すところから始めてみてください。それだけで、明日の作業がずいぶん楽になります。

よくある質問

Q. 助産師の履歴書と職務経歴書は、どう書き分ければよいですか?

履歴書は自分が誰かを伝える書類で、氏名、学歴、職歴、資格などを事実で埋めます。職務経歴書は何をしてきたかを伝える書類で、施設の規模、担当した業務、身につけたことを具体的に書きます。助産師の中途採用では業務範囲が施設ごとに違うため、職務経歴書の中身が特に見られます。

Q. ブランクがある場合、履歴書にどう書けばよいですか?

職歴欄に理由を1行で書きます。出産や育児のため離職、家族の介護に専念、といった簡潔な記載で十分です。詳しく書く必要はありません。そのうえで、復職に向けて研修を受けているなど現在の状況を添えると前向きに伝わります。隠そうとして経歴が不自然になるほうが不利になります。

Q. 職務経歴書に分娩件数を書くべきですか?

書けると経験の規模が伝わりやすくなります。正確な数がわからない場合は、年間およそという形で構いません。ただし実際より多く書くのは避けてください。面接で必ず掘り下げられます。件数だけでなく、正常分娩の割合やハイリスクの有無など環境の性質も添えると伝わり方が変わります。

Q. 短期間で辞めた職歴は、書かなくてもよいですか?

書いてください。省くと経歴に空白が生まれ、面接でその期間を必ず聞かれます。答えられないほうが不利になります。書いたうえで、業務内容が事前の説明と異なったため、体調不良により退職、といった理由を簡潔に添えれば十分です。長い説明は不要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月22日最終更新:2026年9月12日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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