60代であん摩マッサージ指圧師を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方


この記事のポイント
- ✓60代であん摩マッサージ指圧師を続けるための働き方を整理しました
- ✓働ける場所ごとの負担の違い
- ✓引退までの減らし方をまとめています
あん摩マッサージ指圧師の仕事を、60代になってこの先どうするか。そう考え始める方は多いです。
体力の変化は正直に出てきます。けれども、技術と経験は積み上がっています。この2つをどう折り合わせるかが、この年代の課題になります。
大丈夫ですよ。この職業には、年齢による資格の制限がありません。変えるべきなのは資格の有無ではなく、働き方の組み立て方です。
この記事では、60代で働ける場所、勤務の組み立て方、身体への配慮、年金や契約まわりの確認事項、そして引退までの減らし方までを、順にまとめます。焦らず、1つずつ見ていきましょう。
まず、制度の前提を確認します
あん摩マッサージ指圧師は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に定められた国家資格です。この免許に、年齢による有効期限は設けられていません。更新のために試験を受け直す仕組みもありません。
つまり、60代であっても、70代であっても、免許を持っている限り、この仕事を続けること自体に制度上の障壁はないということです。
ここは、ほっとしていただいてよい部分です。「年齢的にもう無理なのでは」と感じているとしたら、その不安は制度から来るものではなく、身体と職場の条件から来るものです。だとすれば、対処すべきは条件のほうになります。
もう1つ、確認しておきたいことがあります。身体に痛みやしびれ、力が入らないといった症状が出ているのであれば、働き方の話をする前に医療機関を受診してください。ここは私が判断できる領域ではありませんし、我慢して済ませてよいことでもありません。診てもらったうえで、その結果に沿って働き方を考えるのが順番です。
60代で働ける場所と、それぞれの負担
同じ資格でも、働く場所によって身体への負担も一日の流れもまったく違います。順に見ていきます。
治療院や施術所での勤務
もっとも一般的な形です。設備が整っていること、移動がないこと、同僚がいることが利点です。
一方で、夜まで営業する職場が多く、生活のリズムが崩れやすい面があります。また、件数に応じた給与体系の場合、件数を減らすと収入が直接下がります。
60代で続けるなら、勤務時間帯と件数の交渉が要になります。
訪問して施術を行う形
自宅や施設に出向く働き方です。この分野については、事業者から次のような説明がされています。
高齢化が進む日本において、介護保険の利用者は年々増加しています。 訪問マッサージは、「自宅や施設にお伺いしてマッサージ治療を行う」サービスであるため、介護保険利用者との親和性が非常に高く、その需要は年々伸びており、今後も業界としての需要は伸びていく見込みです。 また、介護業界と密接な関係にあるため、集患の種となる縁、知識に多くふれる機会があることや、治療院ではなかなか診る事の出来ない傷病(パーキンソン病・ALS・脳梗塞等)の患者様の治療経験を得られ技術力を養うことができます。 「集患」、「収入」、「技術力の向上」、の観点から訪問マッサージでの働き方をお勧めしています。 出典: magonoteclub.co.jp
需要が語られる一方で、同じ事業者は、移動があること、施術環境が整っていない場所で施術を行う場面があることをデメリットとして挙げています。
60代で検討するなら、この移動の負担をよく確認してください。担当する範囲の広さ、移動の手段、一日の訪問件数、荷物の量。ここを確かめずに移ると、身体の負担がかえって増えることがあります。
逆に、担当地域が狭く、訪問件数が抑えられている条件であれば、日中の勤務が中心になり、生活のリズムは整いやすくなります。同じ訪問という言葉でも、条件の差がとても大きい分野です。
介護や福祉の施設での勤務
デイサービスなどで機能訓練に関わる職種の要件に、この資格が含まれている場合があります。要件は制度の改正で変わることがありますので、応募の前に、その施設が求める資格と実務経験の年数を書面で確認してください。
日中の勤務が中心になることが多く、夜の営業がない点は生活の面で助けになります。
ただし、施設での勤務には、施術以外の役割が含まれることがあります。利用者の見守り、記録の作成、他の職種との連絡。何をどこまで担うのかを、応募の段階で具体的に確認しておくと、入ってからの食い違いを防げます。
また、施設の規模や方針によって、一日に関わる人数がかなり違います。少人数にじっくり関わる場所と、多くの方に短時間ずつ関わる場所とでは、求められるものも疲れ方も別物です。見学ができるなら、一度その場の空気を見てから決めることをおすすめします。
自分の施術所を続ける、あるいは縮小して続ける
すでに開業している方であれば、規模を縮めながら続けるという道があります。営業日を減らす、営業時間を短くする、予約制に絞る。自分で条件を決められることが、この形の最大の利点です。
一方で、経営と施術を一人で担う負担は残ります。事務作業や書類の処理をどう軽くするかが、続けられるかどうかを分けます。
指導や相談に関わる
養成校での指導、職場での後進の育成、地域での健康に関する講座など、施術以外の形で経験を活かす場もあります。募集の数は限られますが、身体の負担が小さく、経験がそのまま価値になる領域です。
週の勤務を、どう組み立てるか
働く場所を決めたら、次は組み立て方です。ここは具体的に考えましょう。
週に何日働くか。連続して働く日数を減らすことが、回復には効きます。3日続けて働くより、2日働いて1日空けるほうが、同じ日数でも身体は楽です。
一日に何件受けるか。件数の上限を自分で決めておくと、忙しい日に無理をしません。1件あたりの時間と、施術と施術の間の余白も一緒に決めます。
どの時間帯に働くか。朝が得意な方、午後のほうが調子が出る方、それぞれです。自分の身体の調子が良い時間帯に予約を寄せると、同じ件数でも消耗が違います。
移動をどう組むか。訪問の場合は、移動の順番で負担が大きく変わります。行き来を減らす順路にできるか、事業者に相談してみてください。
休みをどう置くか。連休を月に一度作るのと、毎週1日ずつ休むのとでは、回復のしかたが違います。どちらが自分に合うかは、しばらく試してみないと分かりません。
大事なのは、これらを頭の中でなんとなく決めるのではなく、紙に書いて職場と共有することです。共有されていない前提は、いつのまにか崩れます。
身体への負担を減らすための工夫
続けるための工夫を、いくつか挙げます。どれも大がかりなものではありません。
施術台の高さを見直す。中腰の姿勢が続く原因は、台の高さが合っていないことにある場合があります。数センチ変えるだけで、腰への負担が変わることがあります。
体重の載せ方を見直す。腕の力だけで押していると、手指や手首に負担が集中します。若い頃は力で補えていた部分が、この年代では負担として跳ね返ってきます。自分の動きを撮影して確認する、同僚に見てもらうといった方法が有効です。
部位に優先順位をつける。全身を均等に、ではなく、その日に必要な部位に時間を寄せる。経験があるほど、この判断は速く正確になります。手数を減らすことは、手を抜くことではありません。
記録と片づけの時間を確保する。施術のあとに休む間もなく次が始まる組み方は、疲れを蓄積させます。5分の余白が、一日の終わりに大きな差になります。
目と手の負担を意識する。細かい文字を読む場面、書類を書く場面での負担も、この年代では無視できません。照明を明るくする、書類を大きく印刷するといった工夫で軽くなることがあります。
これらは、続けるための調整です。若い頃と同じやり方でできないことを、能力の低下として受け取らないでください。やり方を変える時期に来ている、というだけのことです。
年金と契約まわりで、確認しておきたいこと
60代で働くとき、収入と年金の関係は気になるところだと思います。
ここははっきりお伝えします。制度の細かい要件は、働き方や収入、加入の状況によって変わりますし、改正もあります。ですから、記事やネットの情報だけを根拠にせず、必ず年金事務所などの公的な窓口で、自分の場合はどうなるのかを確認してください。日本年金機構の案内が入り口になります。
そのうえで、確認しておきたい項目を挙げます。
いまの契約が雇用か業務委託か。名称ではなく、実態と書面の両方で判断します。雇用であれば、労働時間、休憩、有給休暇、健康保険、労災保険といった仕組みが適用されます。業務委託であれば、これらの多くは適用されません。同じ職場で同じ仕事をしていても、体調を崩したときに使える制度がまったく違います。
業務委託の場合、条件が書面で示されているか。業務の内容、報酬の額、支払期日、契約期間、契約を終了するときの条件。フリーランスとして働く人を保護する法律の整備が進み、発注する側には取引条件を明示する義務が課される方向で制度が動いています。口約束で受けるのは避けてください。
健康保険の扱い。加入の形が変わると、負担も給付も変わります。働き方を変える前に確認しておくと安心です。
労災の扱い。身体を使う仕事ですから、ここは知っておく価値があります。
不安なまま働き続けるより、一度窓口で確認してしまうほうが、気持ちがずっと軽くなります。確認するのは無料ですし、時間もそれほどかかりません。
引退までの道のりを、段階で考える
いつか仕事を終える日が来ます。その終わり方も、設計できます。
急に辞めるのではなく、段階的に減らしていく形を取る方がいます。たとえば、こういう順番です。
第1段階。勤務日数を減らす。週5日から週4日へ、あるいは週3日へ。
第2段階。一日の件数を減らす。長く付き合ってきた患者さんを中心に絞る。
第3段階。施術以外の役割に比重を移す。指導、相談、記録の整理。
第4段階。完全に離れる。
この段階を意識しておくと、「まだ続けられるか」「もう限界か」という二択で悩まずに済みます。減らすという選択肢が、いつでも真ん中にあるからです。
そして、患者さんへの引き継ぎも段階的に進められます。急にいなくなるより、時間をかけて次の担当者に引き継ぐほうが、患者さんも安心しますし、自分の気持ちの整理もつきます。
長く続けてきた仕事を終えるとき、思っている以上に喪失感が来ることがあります。予定が空くこと、必要とされる感覚が薄れること。これは自然な反応です。段階を踏んで進めることで、その落差をやわらげられます。
経験を伝えるという役割について
60代の強みは、施術の速さでも力の強さでもありません。長く見てきたからこそ分かることのほうです。
長く続く不調をどう見立てるか。患者さんの生活の背景をどう聞き出すか。不安を抱えて来た方に、どう言葉をかけるか。予約が途切れない関係を、どう作ってきたか。
こうしたことは、教科書には書かれていません。そして、感覚のまま持っていると、誰にも渡らずに終わります。
自分の手技や判断を言葉にしてみることは、伝えるためだけでなく、自分自身の整理にもなります。何を根拠にその部位を選んでいるのか、どういう順番で確認しているのか。書き出してみると、意外なほど体系立っていることに気づく方がいます。
職場に後進がいるなら、その役割を引き受けたいと伝えてみてください。年齢を重ねたことを引け目に感じて黙っていると、件数で評価される仕組みの中に置かれたままになります。自分が担える役割を、自分の言葉で説明することが、この年代では大切になります。
生活のリズムと、仕事以外の時間
働き方を組み立てるときに、仕事の条件だけを見ていると、大事なものを落とします。
60代は、家族との時間、健康を保つための時間、自分のための時間の比重が変わってくる時期です。仕事の予定を先に埋めてしまうと、これらが残りの時間に押し込まれます。
順番を逆にしてみてください。まず、守りたい時間を先に置く。通院の予定、家族との予定、身体を動かす時間、休む時間。そのうえで、残った枠に仕事を入れる。
この順番にすると、働ける量が見えてきます。そして、その量を職場に伝えるという流れになります。
もう1つ。仕事以外のつながりを持っておくことをおすすめします。同業の集まり、地域の活動、以前の同僚。仕事を減らしていく過程で、つながりが仕事だけだと、減らすことがそのまま孤立になってしまいます。
あなたは一人じゃありません。つながりは、意識して作れば残ります。
収入の考え方を、この年代なりに整える
収入の話は、いまの月収だけを見ても答えが出ません。あと何年、どういう形で働くのか。公的年金と合わせてどうなるのか。時間軸で考える必要があります。
書き出す項目を挙げます。いまの手取り。固定費。公的年金の見込み。医療や介護の備え。そして、あと何年、いまの働き方を続けられそうか。
書き出すと、判断が具体的になります。件数を減らして収入が下がるとしても、働ける年数が伸びるなら、生涯の総額では有利になる場合があります。逆に、無理を続けて数年後に働けなくなると、その後の年数がまるごと失われます。
収入の柱を1本にしないという考え方も、この年代では有効です。身体を使う仕事は、体調を崩したときに収入が止まりやすい。時間帯の融通が利く在宅の業務を副次的な柱にしておくと、その揺れを吸収できます。職種ごとの水準を客観的に知りたいときは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように、公的な統計をもとに整理されたデータを見るのが確実です。
書類や文書を扱う仕事に興味があれば、ビジネス文書検定のように、業務文書の型を体系的に学べる資格が土台になります。長く現場を見てきた方の知識は、それ自体が価値を持ちます。専門知識を業務として提供する形については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事が具体的な進め方を解説していて、考え方の参考になります。
同世代で長く続けている方が、共通してやっていること
相談の場で見えてくる範囲でも、この年代で無理なく続けている方には共通した習慣があります。参考までに挙げます。
自分の体調を記録している。どの曜日に疲れが出るか、どの施術のあとに手が重くなるか。感覚ではなく記録で持っていると、限界が来る前に配分を変えられます。記録は、職場に条件を伝えるときの根拠にもなります。
得意な領域をはっきりさせている。何でも受けるのではなく、自分がいちばん力を発揮できる相手や症状を明確にしています。結果として、患者さんの側も「この相談ならこの人に」と選びやすくなります。
説明の型を持っている。初回に何を聞き、どの順で説明し、次にいつ来てもらうかを伝える。この型が固まっていると、毎回の消耗が減ります。長く続けてきた方ほど、ここが洗練されています。
職場以外のつながりを持っている。同業の勉強会、地域の医療や介護の関係者、以前の同僚。情報が入るだけでなく、働き方を変えたいときの選択肢がここから出てきます。
書類と記録を丁寧に扱っている。施術の記録、必要な書類、契約に関わる書面。これは面倒な事務ではなく、自分を守る材料です。何かあったとき、記録の有無が結論を左右します。
どれも派手なことではありません。ただ、この積み重ねが、続けられる年数の差になって表れています。無理を根性で押し通すのではなく、条件を整えていく。それが、いちばん確かなやり方です。
もう1つ、共通しているのは、自分の働き方を人に説明できるということです。週に何日、一日に何件、どの時間帯に働くのか。なぜその形にしているのか。これを言葉にできる方は、職場と条件を交渉するときも、患者さんに変更を伝えるときも、話が早く進みます。
逆に、なんとなく続けていると、忙しい時期に少しずつ件数が戻り、気づいたときには元の負担に戻っているということが起こります。決めたことを書いて、見えるところに置いておく。それだけで、戻りにくくなります。
働き方を整えることは、自分を甘やかすことではありません。長く続けるための、まっとうな準備です。積み上げてきた技術と経験を、できるだけ長く必要としてくれる人に届けるための工夫だと考えてください。
求人を探すときに、確かめておきたいこと
働く場所を変えると決めたら、応募の前に確かめる項目があります。ここを飛ばすと、移った先で同じ悩みを抱えることになります。
一日の件数の上限があるか。件数に上限がない職場は、忙しい日にそのまま身体へ跳ね返ります。上限の相談ができるかどうかを、面接で聞いてください。
施術以外に何を担うのか。清掃、送迎、受付、事務。どこまでが業務に含まれるのか。そして、それが労働時間としてどう扱われるのか。ここが曖昧なまま働いている方は少なくありません。
勤務時間帯と休みの入り方。夜の営業があるか、休みは固定か、シフト制か。生活のリズムに直結する項目です。
契約の形。雇用なのか業務委託なのか。名称ではなく、書面と実態の両方で確認してください。
教える立場を任せてもらえるか。経験を活かせる役割があるかどうかで、働きがいがまったく変わります。
移動の条件。訪問の場合は、担当範囲、移動手段、一日の訪問件数、持ち運ぶ荷物。ここは具体的に聞いてください。
これらは、聞きにくいことのように感じるかもしれません。けれども、条件を確認することは、失礼でも遠慮すべきことでもありません。長く働いてもらいたい職場ほど、こうした質問に丁寧に答えてくれます。答えを濁す職場は、その時点で判断材料が1つ増えたと考えてよいのです。
患者さんとの関係を、無理なく保つ
長く続けてきた方には、長く通ってくれている患者さんがいます。この関係は、この年代のいちばんの財産です。同時に、働き方を変えるときの気がかりでもあります。
「自分が減らしたら、あの人はどうなるのか」。そう感じて、無理を続けてしまう方がいます。その気持ちは自然なものです。けれども、無理をして急に働けなくなるほうが、患者さんにとっても困ることになります。
進め方としては、早めに伝えることです。「来月から週4日にします」と、理由も含めて先に伝える。多くの場合、患者さんは受け入れてくれます。長く通っている方ほど、こちらの状況を理解してくれるものです。
引き継ぐ場合も、時間をかけると印象が変わります。いきなり担当が変わるのではなく、しばらく併走してから引き継ぐ。次の担当者と一緒に施術に入る回数を作る。こうした段取りがあると、患者さんの不安が小さくなります。
そして、減らしたあとも関係が完全に切れるわけではありません。月に一度だけ、あるいは特定の曜日だけという形で続けている方もいます。0か100かではなく、その間に無数の形があります。
体調が変わったときの備えを、先にしておく
これは、あまり考えたくない話かもしれません。それでも、先に整えておくと安心が違います。
急に働けなくなったときの連絡の段取り。誰に連絡し、予約をどう扱うのか。職場と決めておくと、いざというときに慌てません。開業している方であれば、代わりに連絡してくれる人を決めておくことが必要になります。
記録の整理。施術の記録や患者さんの情報が、自分にしか分からない形になっていないか。整理しておくと、引き継ぐときも、休むときも助かります。
収入が止まったときの備え。何か月分の生活費があるか。使える保障は何か。契約の形によって使える仕組みが違いますので、ここは一度確認しておいてください。
家族との共有。仕事の状況、収入の見込み、いつまで働くつもりか。家族が知らないまま進むと、何かあったときに判断できません。
備えを整えることは、悲観することではありません。むしろ、備えがあるから安心して働ける、という順番です。不安を漠然と抱えているより、1つずつ形にしておくほうが、気持ちはずっと軽くなります。
あわせて、休むことに罪悪感を持たないでいただきたいのです。身体を使う仕事において、休養は仕事の一部です。予約を断ることも、日数を減らすことも、続けるための手当てであって、怠けではありません。長く働いてきた方ほど、ここで自分に厳しくなりがちです。
もし、疲れが取れない状態が続いていたり、眠れない日が重なっていたりするなら、身体だけでなく気持ちのほうも消耗している可能性があります。各自治体や公的機関が案内している相談の窓口があります。事情を知らない相手だからこそ話しやすい、ということもあります。一人で抱え込まないでください。
そして、備えを整える作業は、一度で終わらせなくて構いません。今月は記録の整理、来月は保障の確認、というように、1つずつ進めれば十分です。全部を一度にやろうとすると、それ自体が負担になってしまいます。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から言えば、60代以降も専門職として働き続けている人には、共通した動き方があります。それは、限界が来る前に働き方の条件を小刻みに組み替えているということです。
働く場所を変える。時間の配分を変える。仕事の受け方を変える。この調整を、まだ余力があるうちにやっている人が、長く現場に残っています。逆に、限界まで我慢してから一度に環境を変えようとすると、選ぶ余裕がないまま次を決めることになり、条件が悪くなりがちです。
もう1つ、運営者として見てきた限りで確かなのは、長く仕事が続く人ほど、単発の作業を数多くこなすことよりも、「この人に任せると安心だ」と思われる関係づくりに時間を使っているということです。手技の仕事でも同じでしょう。次の予約が自然に入る関係は、技術だけでなく、説明の丁寧さや連絡の確実さという地味な積み重ねから生まれています。年齢を重ねた方ほど、この部分に厚みがあります。
そして、仲介が何段も入らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額の多寡ではなく、同じ働きに対して自分に残るものの質が変わるからです。件数を増やせない年代にとって、この違いは小さくありません。
他の資格職がどう働き方を広げているかを見ておくと、判断の材料が増えます。医療分野で働く人の職場選びと働き方の違いは、看護師におすすめの職場・働き方・転職支援ツールを徹底解説が施設別に丁寧に整理しています。資格を持つ人が現場から別の場所へ移るときに何が壁になるのかは、企業薬剤師への転職ガイド|年収・働き方・中途採用の壁を突破する方法【2026年版】が具体的に扱っています。専門職が自分で仕事を取りにいく道筋については、インテリアコーディネーターのフリーランス独立ガイド|年収・案件獲得・働き方が案件の獲得経路まで踏み込んでいて、業種を越えて参考になります。
60代は、これまで積み上げてきたものをいちばん活かせる時期でもあります。量では若い人にかないません。けれども、見立ての確かさ、説明の丁寧さ、患者さんとの関係。ここで比べれば、この年代に届く人はそう多くありません。
無理をせず、条件を組み替えて、続けられる形を作ってください。大丈夫ですよ。焦らずに、1つずつ整えていきましょう。
よくある質問
Q. 60代でもあん摩マッサージ指圧師として働けますか?
免許に年齢による有効期限は設けられておらず、更新のために試験を受け直す仕組みもありません。制度上、続けること自体に障壁はありません。課題になるのは身体の負担と職場の条件のほうなので、勤務日数や件数、働く場所を組み替えることで続けやすくなります。
Q. 60代で身体の負担が少ない働き方はどれですか?
一概には決められません。訪問は移動の負担があり、治療院での勤務は夜まで営業する職場が多く、介護施設での勤務は日中中心になりやすいという違いがあります。担当範囲の広さや一日の件数など、同じ働き方でも条件の差が大きいため、応募前に具体的に確認してください。
Q. 働きながら年金を受け取ることはできますか?
制度の要件は働き方や収入、加入の状況によって変わり、改正もあります。自分の場合にどうなるかは、年金事務所などの公的な窓口で確認するのが確実です。記事やネットの情報だけを根拠に判断せず、あわせて健康保険や労災の扱いも確認しておくと安心です。
Q. 引退を考えるとき、どう進めるとよいですか?
急に辞めるのではなく、勤務日数を減らす、一日の件数を絞る、施術以外の役割に比重を移す、という段階を踏む方法があります。患者さんへの引き継ぎも時間をかけて進められます。段階を意識しておくと、続けるか辞めるかの二択で悩まずに済みます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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