マニュアルの作り方を見本で確かめる|手順書の項目の並べ方と書き方の例

@SOHO編集部
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マニュアルの作り方を見本で確かめる|手順書の項目の並べ方と書き方の例

この記事のポイント

  • ✓請求書の発行と問い合わせの一次対応の2つの見本で確かめます
  • ✓目的・対象・手順・例外・更新日の項目の並べ方
  • ✓1つの手順に1つの動作を書く書き方

職場でマニュアルを作るように頼まれたものの、何から書けばよいか分からず、まずは見本を探している人は多いはずです。マニュアルの作り方を説明した記事は多くありますが、「わかりやすく」「見やすく」といった言葉が並ぶだけで、実際にどんな項目をどの順に並べ、1行1行をどう書けばよいのかまでは見えてこないことがあります。

マニュアルは、決まった項目を決まった順に並べ、1つの手順に1つの動作だけを書く、という2つの決まりを守るだけで、ぐっと読みやすくなります。この記事では、マニュアルの作り方を、請求書の発行の手順書と、問い合わせの一次対応のマニュアルという2つの見本で確かめます。項目の並べ方、手順の書き方、画面の写しの入れ方、例外の書き方、作ったあとの更新と引き継ぎの回し方までを順に整理します。マニュアルの更新の作業をチームで分担して回す方法として、ボードで仕事を管理できるPinatecaのような道具にも触れます。

マニュアルと手順書の違い

マニュアルを作り始める前に、何を作るのかをはっきりさせておきます。職場で「マニュアル」と呼ばれるものには、大きく2つの種類があります。

種類 書くこと 例
業務マニュアル 仕事全体の流れ、決まり、判断の基準 経理の仕事の全体像、問い合わせ対応の方針
手順書 1つの作業を進める具体的な手順 請求書の発行の手順、会計ソフトへの入力の手順

業務マニュアルは、仕事の全体像を示し、「なぜそうするのか」「迷ったときにどう判断するか」を伝えるものです。手順書は、1つの作業について「何を、どの順に、どう操作するか」を書くものです。

実際の職場では、業務マニュアルの中に、いくつもの手順書が入っている形がよく見られます。たとえば、経理の業務マニュアルの中に、請求書の発行の手順書、経費精算の点検の手順書、月末の締めの手順書が並ぶ形です。

最初に作るなら、手順書から始めるのが取り組みやすい方法です。1つの作業に絞るので、書く範囲がはっきりしていて、書き終えるまでの見通しが立ちます。手順書がいくつかそろってから、それらをつなぐ業務マニュアルにまとめていくと、無理なく全体ができあがります。

マニュアルに入れる項目と並べ方

マニュアルや手順書には、入れておくと読む人が迷わない項目があります。次の順に並べると、読む人が必要な情報にたどり着きやすくなります。

順 項目 書くこと
1 題名 何の作業の手順かが一目で分かる名前
2 目的 この作業を何のために行うのか
3 対象 誰が、いつ、どんなときに使うのか
4 準備 始める前にそろえるもの、必要な権限
5 手順 作業の進め方を番号つきで
6 確認 作業が正しく終わったかを確かめる方法
7 例外 いつもと違うときの対応と、相談先
8 更新の記録 最後に直した日と、直した人、直した内容

この中で見落とされやすいのが、目的と例外と更新の記録です。

目的が書いてあると、読む人は手順の意味を理解したうえで作業できます。手順どおりに進まない場面に出会っても、目的に照らして判断できます。

例外の項目は、マニュアルの価値を大きく左右します。いつもどおりの作業は、何度かやれば覚えます。困るのは、いつもと違うことが起きたときです。そのときに何をすればよいか、誰に相談すればよいかが書いてあるマニュアルは、現場で頼りにされます。

更新の記録は、マニュアルが今も正しいかを判断する手がかりになります。最後に直した日が何年も前のマニュアルは、画面や手順が変わっている可能性があり、読む人は安心して使えません。

見本1. 請求書の発行の手順書

ここからは、実際の見本でマニュアルの書き方を確かめます。1つ目は、小さな会社の経理担当者が使う、請求書の発行の手順書です。会社名やソフトの名前は説明のための例です。

題名は「月末の請求書の発行(会計ソフトから作成してメールで送る)」とします。

目的は「取引先に、その月に納品した分の代金を請求し、翌月末までに入金してもらうため」と書きます。

対象は「経理担当者が、毎月最終営業日の前日に行う。担当者が休みの場合は、代わりの担当者が行う」と書きます。

準備は次のとおりです。

  • 会計ソフトに、請求書の作成の権限があるアカウントでログインできること
  • 営業担当者から、その月の納品の一覧(表計算のファイル)を受け取っていること
  • 取引先ごとの請求書の送り先のメールアドレスの一覧

手順は次のとおりです。

  1. 営業担当者から受け取った納品の一覧を開き、取引先ごとに納品の件数と金額を確かめる
  2. 会計ソフトにログインし、画面上部の「請求書」を選ぶ
  3. 「新規作成」を選ぶ
  4. 「取引先」の欄で、請求する取引先を選ぶ
  5. 「品目」の欄に、納品の一覧にある品目と数量と単価を入力する
  6. 「支払期日」の欄に、翌月の末日を入力する
  7. 画面右下の「保存」を選ぶ
  8. 作成した請求書を開き、金額と取引先の名前が納品の一覧と一致しているかを確かめる
  9. 「メールで送る」を選び、送り先が取引先の一覧のアドレスと一致しているかを確かめて送る
  10. 4から9を、すべての取引先について繰り返す

確認は「会計ソフトの請求書の一覧で、その月の請求書の件数が、納品の一覧の取引先の数と一致していることを確かめる」と書きます。

例外は次のとおりです。

  • 納品の一覧の金額と、見積もりの金額が違う場合は、請求書を作らずに営業担当者に確かめる
  • 取引先から郵送での請求書を求められている場合は、9の代わりに印刷して郵送する。郵送の取引先は取引先の一覧に印がある
  • 会計ソフトにログインできない場合は、総務の担当者に連絡する

更新の記録は「最終更新日、更新した人の名前、変更点(支払期日の決まりを翌月末に変更)」の形で残します。

この見本で気をつけている点は、手順の1つの番号に、1つの動作だけを書いていることです。「会計ソフトにログインして請求書を新規作成する」と1行にまとめず、ログイン、請求書を選ぶ、新規作成を選ぶ、と分けています。読む人が、どこまで進んだかを見失わずに済みます。

見本2. 問い合わせの一次対応のマニュアル

2つ目の見本は、お客様からのメールの問い合わせに最初に対応する担当者向けのマニュアルです。手順だけでなく、判断の基準が必要な業務の例として見てください。

題名は「お客様からのメールの問い合わせの一次対応」とします。

目的は「お客様の問い合わせに、受け取った日のうちに最初の返信をし、担当の部署に正しく引き継ぐため」と書きます。

対象は「問い合わせの窓口の担当者が、平日の受付時間内に行う」と書きます。

手順は次のとおりです。

  1. 問い合わせの受信箱を開き、未対応の問い合わせを古い順に確かめる
  2. 問い合わせの内容を読み、下の分類の表のどれに当たるかを決める
  3. 分類に合った返信のひな形を開き、お客様の名前と問い合わせの内容に合わせて書き換える
  4. 返信を送る
  5. 担当の部署に引き継ぐ必要がある問い合わせは、引き継ぎの一覧に、受け取った日時、お客様の名前、分類、内容の要約を書く
  6. 受信箱で、その問い合わせに「対応済み」の印を付ける

分類の表は次のとおりです。

分類 例 一次対応 引き継ぎ先
注文・配送 届く日を知りたい、住所を変えたい ひな形Aで返信し、注文の画面で状況を確かめて答える 不要(配送の変更は出荷の担当へ)
返品・交換 商品が壊れていた、違う商品が届いた ひな形Bで受け付けを返信する 出荷の担当
支払い 請求の金額が違う、支払い方法を変えたい ひな形Cで受け付けを返信する 経理の担当
苦情 対応への不満、強い言葉を含むもの ひな形Dで受け付けを返信する 窓口の責任者
その他 分類に当てはまらないもの ひな形Eで受け付けを返信する 窓口の責任者

例外は次のとおりです。

  • お客様の安全や健康に関わる内容(商品でけがをした、など)は、返信の前に窓口の責任者に連絡する
  • 同じお客様から、同じ内容で3回以上問い合わせがある場合は、窓口の責任者に相談する
  • 個人情報の変更(住所、電話番号)は、本人であることを決められた方法で確かめてから受け付ける

この見本で気をつけている点は、判断の基準を表にしていることです。「内容に応じて適切に対応する」と書くと、読む人によって判断がばらつきます。分類と、分類ごとの対応と引き継ぎ先を表にしておくと、誰が担当しても同じ対応ができます。

手順の書き方の決まり

見本で使った書き方を、決まりとして整理します。この決まりを守るだけで、手順書の読みやすさは大きく変わります。

  1. 1つの番号に、1つの動作だけを書く
  2. 文は「〜を選ぶ」「〜を入力する」のように、動作で終える
  3. 画面のボタンや欄の名前は、画面に表示されている名前のとおりに書き、かぎかっこで囲む
  4. 「適切に」「確認のうえ」「必要に応じて」のような、読む人によって受け取り方が違う言葉を使わない
  5. 判断が必要な場面は、判断の基準を表や条件で書く
  6. 1つの手順書に入れる手順は、多くても20ほどにする。それを超える場合は、手順書を分ける

3つ目の決まりは、特に大切です。手順書を書く人は、画面のボタンを自分の言葉で呼びがちです。「保存ボタン」と書いても、画面では「登録」と表示されていれば、読む人はボタンを探して迷います。画面に表示されている名前を、そのまま書きます。

4つ目の決まりも、よく破られます。「内容を確認のうえ、適切に処理する」という文は、書いた人には意味が分かっても、初めて作業する人には、何を確かめ、何をすればよいのかが分かりません。「金額が納品の一覧と一致しているかを確かめる。一致しない場合は営業担当者に連絡する」のように、確かめることと、その結果に応じた動作を具体的に書きます。

マニュアルの作り方を解説している記事でも、完璧を目指すより、使いながら直していくことが大切だと書かれています。

できるだけ修正箇所がない完璧なものを作りたい、と意識するのは良いことですが、実際に仕事をするときにわかりやすい内容かが重要です。粗削りでも作成し、現場で使ってみて改善/更新を重ねたマニュアルこそ、わかりやすいマニュアルとなります。 出典: media.tebiki.jp

画面の写しと図の入れ方

パソコンやソフトの操作を説明する手順書では、画面の写し(スクリーンショット)を入れると、読む人が迷いにくくなります。ただし、入れ方を誤ると、かえって読みにくくなります。

画面の写しを入れるときの決まりは、次のとおりです。

  • 画面の写しは、手順の番号のすぐ下に入れる。どの手順の画面かが分かるようにする
  • 押すボタンや入力する欄を、四角い枠や矢印で示す。画面全体を貼るだけでは、どこを見ればよいかが分からない
  • 画面の一部を切り取って、必要な部分だけを見せる。画面全体を小さく貼ると、文字が読めなくなる
  • お客様の名前や金額など、外に出してはいけない情報は、塗りつぶしてから貼る

画面の写しには、弱点もあります。ソフトの画面が変わると、写しが古くなり、撮り直す手間がかかります。すべての手順に画面の写しを入れると、更新の手間が大きくなるので、迷いやすい手順にだけ入れる、という絞り方が現実的です。

図は、作業の流れや、判断の分かれ道を示すときに役立ちます。たとえば、問い合わせの対応で「返品か、交換か、それ以外か」で進め方が分かれる場合は、分かれ道を図にすると、文章で書くより一目で分かります。

画面の写しの撮り方

画面の写しは、パソコンに標準で入っている機能で撮れます。

Macでは、Appleのサポートページによると、「shift」「command」「4」の3つのキーを同時に押して放すと、ポインタが十字の形に変わり、ドラッグして選んだ範囲を写しとして撮れます。撮った写しは、しばらくするとデスクトップに保存されます。詳しくはAppleの「Macでスクリーンショットを撮る」で確かめられます。

Windowsでは、Microsoftのサポートページによると、Windowsロゴキーと「Shift」と「S」のキーを押すと、Snipping Toolで画面の一部を選んで写しを撮れます。手順はMicrosoftの「Snipping Toolを使ってスクリーンショットをキャプチャする」で確かめられます。

手順書のために写しを撮るときは、ソフトの画面の大きさを毎回同じにしておくと、写しの大きさがそろい、手順書全体が見やすくなります。

チェックリストの形にしたほうがよい作業

手順書の中には、文章で手順を書くより、チェックリストの形にしたほうが使いやすい作業があります。手順の順番より、漏れなく済ませることが大切な作業です。

たとえば、次のような作業です。

  • 月末の締めの前に確かめる項目(請求書の発行、経費精算の締め、勤怠の確定など)
  • 新しく入った人の受け入れの準備(パソコンの用意、アカウントの発行、座席の準備など)
  • 催しの前日の準備(会場の予約の確認、資料の印刷、参加者への連絡など)

チェックリストは、1行に1つの確かめる項目を書き、終わったら印を付ける形にします。項目は「〜したか」「〜があるか」のように、はいかいいえで答えられる形で書きます。「準備を整える」のような曖昧な項目は、「資料を人数分印刷したか」のように具体的に分けます。

チェックリストと手順書は、組み合わせて使えます。チェックリストの各項目に、詳しい手順が書かれた手順書の番号を添えておくと、初めての人はチェックリストで全体を見渡し、分からない項目だけ手順書を開く、という使い方ができます。

チェックリストは、毎回同じ形で使うので、表計算のソフトで作ると便利です。日付ごとに列を足していけば、いつ誰が確かめたかの記録も残せます。

作る道具の選び方

マニュアルは、ワープロのソフト、表計算のソフト、プレゼンテーションのソフト、社内で共有するウェブのページ、マニュアル作成の専用の道具など、いろいろな道具で作れます。

道具 向いているマニュアル 気をつける点
ワープロのソフト 文章が中心の業務マニュアル ファイルが複数できると、どれが新しいか分からなくなる
表計算のソフト 手順を表で並べる手順書、チェックリスト 画面の写しが多いと読みにくくなる
プレゼンテーションのソフト 1画面に1手順を大きく見せる手順書 印刷すると枚数が多くなる
社内で共有するウェブのページ 頻繁に更新するマニュアル 誰が直してよいかを決めておく
マニュアル作成の専用の道具 動画や画像を多く使う手順書 費用と、職場の全員が使えるかを確かめる

道具を選ぶときにいちばん大切なのは、職場の全員がすでに使える道具かどうかです。どんなに便利な道具でも、読む人が開けなければ意味がありません。また、マニュアルは作ったあとに直し続けるものなので、直す人が操作しやすい道具を選びます。

ファイルで管理する場合は、置き場所を1か所に決めます。同じマニュアルが、共有のフォルダとメールの添付と個人のパソコンに散らばると、どれが新しいかが分からなくなります。

マニュアルを作る順番

ここまでの内容を、実際にマニュアルを作るときの順番として整理します。

  1. 作るマニュアルを決める。まずは、よく聞かれる作業、担当者が1人しかいない作業、ミスが起きやすい作業から選ぶ
  2. 実際に作業している人の手順を書き出す。作業している人の横で、操作を1つずつ書き留めるか、本人に作業しながら話してもらう
  3. 項目を並べて下書きを作る。題名、目的、対象、準備、手順、確認、例外、更新の記録の順に書く
  4. 初めての人に使ってもらう。その作業をしたことがない人に、下書きだけを見て作業してもらい、迷った箇所を記録する
  5. 迷った箇所を直す。言葉の言い換え、手順の分割、画面の写しの追加などで直す
  6. 公開して、更新の担当者を決める。誰がいつ見直すかを決めておく

4つ目の「初めての人に使ってもらう」は、省かれがちですが、いちばん効果のある作業です。作業に慣れた人が書いたマニュアルは、慣れた人には当たり前の手順が抜け落ちていることが多くあります。初めての人が迷った箇所こそ、マニュアルで補うべき箇所です。

見本3. 新しく入った人向けの業務マニュアルの目次

手順書がいくつかそろったら、それらをつなぐ業務マニュアルを作ります。ここでは、小さな会社の事務の担当者として新しく入った人が、最初の1か月で読む業務マニュアルの目次を見本として示します。

  1. はじめに。このマニュアルの目的と、読む順番
  2. 仕事の全体像。事務の担当者が受け持つ仕事の一覧と、1か月の流れ(月初・月中・月末に何をするか)
  3. 毎日の仕事。郵便物の受け取り、問い合わせの一次対応、備品の補充
  4. 毎月の仕事。請求書の発行、経費精算の点検、勤怠の締め
  5. ときどきある仕事。新しい取引先の登録、入社と退社の手続きの補助
  6. 判断に迷ったとき。相談先の一覧(内容ごとに誰に聞くか)
  7. よく使う道具。会計ソフト、勤怠のシステム、共有のフォルダの場所とログインの方法
  8. 手順書の一覧。それぞれの手順書の題名と保存場所
  9. 更新の記録

この目次で気をつけている点は、3つあります。

1つ目は、仕事を「毎日」「毎月」「ときどき」の頻度で分けていることです。新しく入った人は、まず毎日の仕事を覚え、次に毎月の仕事、最後にときどきある仕事を覚えます。頻度で分けておくと、覚える順番がそのまま目次の順番になります。

2つ目は、具体的な操作を業務マニュアルに書かず、手順書の一覧で案内していることです。業務マニュアルには「請求書の発行は毎月最終営業日の前日に行う。手順は手順書の4番を見る」とだけ書き、操作の細部は手順書に任せます。業務マニュアルが長くならず、手順が変わったときも手順書だけを直せば済みます。

3つ目は、相談先の一覧を独立した項目にしていることです。新しく入った人がいちばん困るのは、誰に聞けばよいか分からないことです。内容ごとの相談先がまとまっていると、迷う時間が減ります。

文章の表記をそろえる決まり

マニュアルを複数の人で作ると、同じものを違う言葉で呼んだり、数字や日付の書き方がばらばらになったりします。表記がそろっていないと、読む人は「同じものなのか、違うものなのか」で迷います。作り始める前に、表記の決まりを短い表にまとめておきます。

項目 決まりの例
画面のボタン 画面の表示どおりに書き、かぎかっこで囲む(「保存」)
数字 半角で書き、4桁以上は区切りのカンマを入れる
日付 2026年10月15日の形にそろえる
呼び方 「お客様」「取引先」など、相手の呼び方を1つに決める
文末 手順は「〜する」、説明は「〜します」にそろえる
専門用語 初めて出てくるところで、1文で言い換える

専門用語の言い換えは、特に大切です。職場で長く働いている人には当たり前の言葉も、新しく入った人には意味が分からないことがあります。「消し込み」「締め」「稟議」のような言葉は、初めて出てくるところで「消し込みとは、入金された金額を、どの請求書の分かを確かめて記録する作業のこと」のように言い換えます。

表記の決まりの表は、マニュアルの最初か最後に入れておくと、あとから直す人も同じ決まりで書けます。

引き継ぎのときにマニュアルを使う方法

担当者の異動や退職、長い休みのときには、仕事を別の人に引き継ぎます。マニュアルがそろっていると、引き継ぎは大きく楽になりますが、マニュアルを渡すだけでは引き継ぎは終わりません。

引き継ぎでマニュアルを使うときの進め方は、次のとおりです。

  1. 引き継ぐ仕事の一覧を作る。業務マニュアルの目次をもとに、受け持っている仕事を書き出す
  2. マニュアルがない仕事を洗い出す。手順書がない仕事、手順書が古い仕事に印を付ける
  3. 足りない手順書を作る、または直す。引き継ぐ人が作業しながら書き、受け取る人が読んで確かめる
  4. 一緒に作業する。受け取る人が手順書を見ながら作業し、引き継ぐ人が横で確かめる
  5. 受け取る人がひとりで作業する。引き継ぐ人は、聞かれたときだけ答える
  6. 手順書を受け取る人の名前で更新する。更新の担当者を受け取る人に変える

この進め方で大切なのは、4と5の段階です。マニュアルを読むだけでは分からないことは、実際に作業してみて初めて見つかります。引き継ぐ人がまだいる間に、受け取る人がひとりで作業する機会を作ると、引き継ぎの漏れに気づけます。

引き継ぎの作業は、通常の仕事と並行して進むため、どの仕事の引き継ぎがどこまで進んだかが見えなくなりがちです。引き継ぐ仕事を一覧にして、仕事ごとに「未着手」「手順書を作成中」「一緒に作業中」「完了」のように進み具合を記録しておくと、引き継ぎの期限までに何が残っているかが分かります。

作ったあとの更新と引き継ぎを回す

マニュアルは、作ったときがいちばん正しく、時間がたつほど現場とずれていきます。ソフトの画面が変わる、取引先が増える、決まりが変わる、といった変化に合わせて直し続けないと、やがて誰も使わないマニュアルになります。

更新を続けるための決まりを整理します。

  • 更新の担当者を決める。マニュアルごとに、直す責任を持つ人を1人決める
  • 見直しの時期を決める。たとえば半年に1回、すべてのマニュアルを見直す
  • 変更があったら、その場で直す。ソフトの画面が変わった、手順が変わった、と気づいた人が担当者に知らせる
  • 更新の記録を残す。最終更新日と、直した内容を必ず書く

ここで問題になりやすいのが、「誰が、どのマニュアルを、いつまでに直すか」が見えなくなることです。マニュアルの数が増え、担当者が複数になると、表計算の一覧で管理していても、直す予定がいつの間にか忘れられがちです。担当者の異動や退職で引き継ぎが必要になったときも、どのマニュアルが誰の担当だったのかが分からなくなることがあります。

マニュアルの更新や引き継ぎの作業を、担当と期限つきで見える形にしておく道具の1つがPinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaはカンバン・ガント・カレンダー・リスト・ディスカッション・グリッド・時間割・リソースの8種類のボードで仕事を管理でき、チャットも内蔵されています。たとえば、マニュアル1つを1枚のカードにして、「見直し待ち」「修正中」「確認待ち」「公開済み」の列で進み具合を動かしたり、ガントチャートで半年ごとの見直しの時期を並べたりできます。料金のページでは、5人までのチームなら期限なしで無料(ボードは10個まで)と案内されており、それを超える場合のスタンダードプランは1人あたり月額500円(税抜)です。Trelloからボードやカードをそのまま移行する機能もあります。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

道具を使う場合も、使わない場合も、大切なのは、マニュアルの更新を「誰かが気づいたらやる」作業にせず、担当と期限のある仕事として扱うことです。

よくある失敗と直し方

マニュアルを作るときによくある失敗を、直し方と合わせて整理します。

失敗 起きること 直し方
1つの手順に複数の動作を書く 読む人がどこまで進んだか分からなくなる 1つの番号に1つの動作に分ける
画面の名前を自分の言葉で書く 読む人がボタンを探して迷う 画面に表示されている名前をそのまま書く
例外を書かない いつもと違うときに作業が止まる よくある例外と相談先を書く
長すぎる 読まれない 手順書を分ける。業務マニュアルから手順書を参照する
更新日を書かない 正しいか判断できない 最終更新日と変更点を必ず書く
作った人しか直せない 担当者がいなくなると古くなる 更新の担当者と見直しの時期を決める

いちばん多いのは、長すぎるマニュアルです。仕事のすべてを1つのマニュアルに書こうとすると、何十ページにもなり、必要な手順を探すのに時間がかかります。業務マニュアルには全体の流れと判断の基準だけを書き、具体的な操作は手順書に分ける、という形にすると、読む人が必要なところだけを開けます。

医療機関や介護の施設など、法令や施設の規程で手順が決まっている職場では、マニュアルの内容が規程と食い違わないように注意が要ります。施設の規程や所属先の決まりを優先し、マニュアルを作ったら規程の担当者にも確かめてもらいます。

マニュアル作りの力を仕事に活かす視点

マニュアルは、決まった項目を決まった順に並べ、1つの手順に1つの動作を書き、作ったあとも担当と期限を決めて直し続ける、というのがこの記事の要点でした。

フリーランスと在宅ワークの仲介を20年にわたって続けてきた運営者として見てきた限りでは、マニュアル作りの依頼で長く信頼される人は、文章のうまさよりも、実際に作業している人の横で手順を聞き取り、初めての人に試してもらって直す、という地道な手順を省かない人です。依頼する会社と受ける人が直接やりとりできる仕組みでは、こうした丁寧さがそのまま次の依頼につながり、間に仲介の手数料が入らない分だけ、受ける人の手取りも厚くなります。

マニュアル作りは、会社の業務を整理し、効率を上げる仕事の入り口でもあります。表計算やAIを使って会社の業務を効率よくする手伝いの仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事の中身と求められる力を紹介しています。業務の仕組みを整える力をさらに深めたい人には、中小企業の経営と業務の改善を支援する専門家の資格として、中小企業診断士の試験の内容と活かし方もまとめています。

よくある質問

Q. マニュアルと手順書はどう違いますか?

業務マニュアルは、仕事全体の流れや決まり、迷ったときの判断の基準を伝えるものです。手順書は、1つの作業について、何をどの順にどう操作するかを書くものです。職場では、業務マニュアルの中に複数の手順書が入っている形がよく見られます。初めて作る場合は、範囲がはっきりしている手順書から始めると取り組みやすくなります。

Q. マニュアルにはどんな項目を入れればよいですか?

題名、目的、対象、準備、手順、確認、例外、更新の記録の順に並べると、読む人が迷いにくくなります。特に、いつもと違うことが起きたときの対応と相談先を書く例外の項目と、最後に直した日と内容を書く更新の記録は、見落とされやすいものの、現場で使われ続けるマニュアルには欠かせない項目です。

Q. わかりやすい手順の書き方のコツはありますか?

1つの番号に1つの動作だけを書き、文を「〜を選ぶ」「〜を入力する」のように動作で終えます。画面のボタンや欄の名前は、画面に表示されているとおりに書きます。「適切に」「確認のうえ」のような、読む人によって受け取り方が違う言葉は使わず、何を確かめ、結果に応じて何をするかを具体的に書きます。

Q. 作ったマニュアルが使われなくなるのを防ぐにはどうすればよいですか?

マニュアルごとに更新の担当者を決め、半年に1回などの見直しの時期を決めておきます。画面や手順が変わったことに気づいた人が担当者に知らせ、直したら最終更新日と変更点を書きます。更新を「気づいたらやる」作業にせず、担当と期限のある仕事として管理すると、マニュアルが現場とずれにくくなります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年6月19日最終更新:2026年10月16日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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