返信が来る提案文は何が違うのか、ロゴ・チラシ制作の案件の取り方を分解する


この記事のポイント
- ✓ロゴ・チラシ制作の案件の取り方を
- ✓提案文の構成から分解しました
- ✓募集文から読み取るべき情報
ロゴ・チラシ制作の案件の取り方で最も差がつくのは、デザインの腕ではありません。提案文です。同じ実力の人が同じ案件に応募しても、返信が来る人と来ない人がはっきり分かれます。
これ、知らない人が本当に多いんです。作品の質を上げれば案件が取れると思って、提案文はテンプレートで済ませてしまう。ところが発注する側は、提案文を読んで会うかどうかを決めています。作品を見てもらう前の段階で、選別が終わっているのです。
この記事では、提案文を要素ごとに分解します。何が書かれていると返信が来て、何が書かれていないと落ちるのか。そして、提案の段階で条件を書いておくことが、後の自分をどう守るのかまで整理します。
提案文は最初の3行で読むかどうかが決まる
まず、発注する側の状況を想像してください。
ロゴやチラシの募集を出すと、応募が複数届きます。発注者は本業の合間にそれを読みます。個人店の経営者なら、営業が終わった夜に読むかもしれません。1件あたりにかけられる時間は、長くて1分程度です。
その1分で何を見るか。自分の依頼を理解しているか、任せて大丈夫そうか、いくらでいつまでにやってくれるのか。この3つです。
ところが多くの提案文は、冒頭で自己紹介を始めます。「はじめまして。フリーランスでデザインをしております。デザイン歴は3年で、これまでロゴやチラシを中心に制作してまいりました」。
悪い文章ではありません。ただ、この時点では相手の関心と一致していないのです。相手が知りたいのは、自分の依頼がどうなるかであって、応募者の経歴ではありません。
冒頭に置くべきは、相手の依頼内容の要約です。「開業される美容室のロゴということで、看板と名刺の両方で使う前提のご依頼と拝見しました」。この一文があるだけで、読み手は続きを読みます。募集文を読んでいる人だと伝わるからです。
返信が来ない提案文に共通する4つの型
実際に見てきた中で、返信が来ないものにははっきりした型があります。順に見ていきます。
型が1つで、どの案件にも同じ文を送っている
最も多いのがこれです。使い回しの文章は、読む側にすぐ見抜かれます。
見抜かれる理由は単純で、相手の依頼内容に触れていないからです。業種にも、用途にも、納期にも言及がない。どの案件に出しても成立する文章は、どの案件でも選ばれません。
テンプレート自体は悪くありません。効率のために持っておくべきです。ただし、冒頭と中盤に案件ごとの記述を差し込む。この一手間で結果が変わります。
自分の話が長い
経歴、使えるソフト、対応できる範囲、これまでの実績。こうした情報を丁寧に書きすぎている提案文も、返信率が下がります。
情報として必要ではあるのですが、置く場所が違います。相手の依頼への理解を示した後、この依頼に関係する範囲だけを短く書く。全部書く必要はありません。
たとえば飲食店のチラシの依頼に対して、ウェブサイトの制作実績を長く書いても関心を持たれません。関係する経験だけを選んで書くほうが、むしろ専門性が伝わります。
条件が書かれていない
金額、納期、修正回数、納品物の範囲。この4つが書かれていない提案文は、発注する側にとって判断できません。
「ご予算に合わせます」「納期はご相談ください」と書くと、柔軟に見えて実は逆効果です。相手はその後さらに聞かなければならず、手間が増えます。
つまり、条件を書かないことは相手への配慮ではなく、相手に判断を投げているということです。
次に何をすればよいかが示されていない
読み終えたときに、相手が次の行動を取れるかどうか。ここも見落とされがちです。
「ご検討よろしくお願いいたします」で終わると、相手は何をすればよいかわかりません。「ご不明な点があればこのままご返信ください。詳細をお伺いしたうえで、正式なお見積もりをお送りします」と書けば、次が明確になります。
募集文から何を読み取るか
提案の質は、募集文をどう読むかで決まります。書かれていることだけでなく、書かれていないことにも情報があります。
まず、依頼の目的です。ロゴを作りたいのか、そのロゴで何をしたいのか。開業に合わせてなのか、既存のものを刷新したいのか。目的が書かれていなければ、そこは質問の材料になります。
次に、納期の背景です。「11月末までに」と書かれていたら、その日付には理由があります。イベント、開店日、折込の日程。理由を推測して提案文に書くと、相手は自分の事情を理解されたと感じます。
そして、予算の書き方です。金額が明示されているか、幅で書かれているか、相談と書かれているか。明示されている場合は、その範囲でどこまでできるかを提案します。相談と書かれている場合は、こちらから金額を提示するほうが話が進みます。
最後に、発注の経験があるかどうかです。募集文に専門用語が並んでいれば、発注に慣れています。用語がなく、やりたいことが素朴に書かれていれば、初めての発注である可能性が高い。後者の場合は、工程の説明を丁寧に入れた提案のほうが選ばれます。
返信が来る提案文の構成
具体的な組み立て方を示します。上から順に並べてください。
1つ目が、依頼内容の要約です。相手の募集文を読んだ証拠になります。2行で十分です。
2つ目が、この依頼に対する理解と提案の方向性です。「看板と名刺の両方で使うということは、縮小しても判別できる形が必要になります。そのため、細い線を避けた構成でご提案します」。ここで、考えていることが伝わります。
3つ目が、関係する実績です。同じ業種、同じ用途の制作経験があれば書きます。なければ、近い性質の経験を書きます。
4つ目が、条件です。金額、納期、修正回数、納品物の形式。ここは箇条書きで整理します。
5つ目が、質問です。提案を確定させるために必要な情報を、2つか3つに絞って聞きます。多すぎると負担になります。
6つ目が、次の行動の提示です。返信すれば何が起きるのかを書きます。
全体で、長くても800字程度に収めてください。長い提案文は読まれません。
探す場所によって、提案の書き方は変わる
案件の取り方を考えるとき、どこで探すかによって提案の設計が変わります。同じ文面をどこにでも送るのは、そこでも無理があります。
案件募集型の場では、複数の応募者が並びます。比較されることが前提なので、条件を明記した提案が有利になります。読み手は横に並べて見比べるため、必要な情報が同じ場所に書かれているほど検討されやすい。箇条書きを使うのはこの場です。
求人型の場では、継続的に発注できる人を探していることが多くなります。この場合、1件の出来映えよりも、安定して稼働できるかどうかが見られます。対応できる曜日や時間帯、月にどのくらいの量を受けられるかを書いておくと反応が変わります。
直接の問い合わせ、たとえば知人からの紹介や、自分の作品を見た人からの連絡では、提案の順序が逆になります。相手はすでにこちらに関心を持っているので、条件の確認から入ってよい。ここで長い自己紹介を書くと、かえって距離ができます。
そして、募集が出ていない相手に自分から声をかける場合。これは最も返信率が低い経路ですが、条件が良い案件につながることがあります。書き方は他と大きく違い、相手が抱えていそうな課題への言及が中心になります。ただし、根拠のない指摘は失礼にあたるので、公開されている情報から読み取れる範囲にとどめてください。
最初の返信が来たあと、条件を確定させるまでの動き
提案に返信が来たら、そこからが本番です。ここでの進め方が雑だと、返信をもらえた案件を落とします。
やるべきことは、ヒアリングの設計です。聞くべき項目を先に整理しておいて、順に確認していきます。
まず、用途です。どこで使うのか。看板、名刺、ウェブサイト、店内の掲示。使う場所によって必要なデータの形式が変わります。
次に、期限とその理由です。開店日なのか、イベントなのか。理由がわかると、動かせる期限かどうかも判断できます。
3つ目が、決める人です。依頼してきた人が最終判断をするのか、上長や家族の確認が入るのか。決裁者が複数いる案件は、確認に時間がかかります。
4つ目が、参考にしたいものです。好きな雰囲気の事例があれば見せてもらいます。言葉での説明よりも、具体的な事例のほうが認識がそろいます。
5つ目が、避けたい方向です。実はこれが最も効きます。「こうしたい」より「これは違う」のほうが、相手は明確に答えられます。除外条件がわかれば、外れた案を出す確率が下がります。
これらを一度にすべて聞くと相手の負担になるので、最初は3つ程度に絞ります。残りは、案を出した後の会話の中で自然に確認していけば十分です。
提案文を要素ごとに点検する
自分の提案文を見直すときの手順も示しておきます。書き上げた後に、次の6点を上から確認してください。
1つ目。冒頭2行が、相手の依頼についての記述になっているか。自分の話から始まっていないか。
2つ目。この依頼固有の内容が、少なくとも2箇所入っているか。業種、用途、納期、制約。どれか2つに触れていれば、使い回しには見えません。
3つ目。条件が箇条書きで整理されているか。金額、納期、修正回数、納品物。この4つが揃っているか。
4つ目。含まれない作業が明記されているか。ここが抜けている提案文が最も多い。
5つ目。質問の数が3つ以内に収まっているか。多いと返信の負担になります。
6つ目。最後の行で、相手が次に何をすればよいかがわかるか。
この6点を通す作業は、慣れれば3分で終わります。送る前に必ず通してください。返信率がはっきり変わります。
コンペ形式と個別の提案は、取り方がまったく違う
案件の取り方を考えるとき、形式の違いも押さえておく必要があります。
「副業」という表現が誤解を生んでいるのかなと感じたのですが、「ポートフォリオなどを作って集客/依頼を待つ」みたいなことは考えておらず、「クラウドワークスのようなサイトにて、ロゴ制作の案件にコンペ形式でこちらから参加する」という事のみを現在考えております。ガツガツ副業で稼いでいきたい、みたいな感じではなく、アイデアを考えたりロゴ作るのがすごく楽しいので、誰かの思いも形にしてみたい、それでお金が頂けたら尚嬉しい、その一歩をチャレンジしてみたい、という感じです。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
こうした始め方を考える人は多いのですが、コンペには構造上の性質があります。
もちろん、経験やスキルによって報酬額は変動します。副業初心者が低単価でも実績を積み、徐々に単価を上げていくケースが多いでしょう。また、デザインコンペに参加して受注できれば高額報酬を得られる可能性もありますが、コンペ形式は応募数が多く、採用されないリスクもあります。 出典: jooi-design.io
つまり、コンペは先に制作してから選ばれる形式です。作った時間が報酬にならない可能性が常にあります。
一方、個別の提案は、選ばれてから制作します。作業の前に条件が確定するため、時間の使い方が読めます。
どちらが良いという話ではありません。ただ、案件の取り方として提案文を磨く効果が出るのは、圧倒的に後者です。コンペで評価されるのは提出した作品そのものですが、個別の提案では文章が入口になります。
注意しておきたいのは、コンペで提出した作品の権利の扱いです。募集の要項に、採用されなかった案の権利がどうなるか書かれている場合があります。参加する前に必ず読んでください。※ 条件に納得できない点がある場合は、参加を見送るか、運営に確認するのが確実です。
見積もりは、内訳と範囲を書く
金額の書き方についても触れておきます。総額だけを書く見積もりは、比較されると弱くなります。
内訳を分けてください。デザイン制作費、修正対応、データの書き出し、入稿手続き。どこにいくらかかるのかが見えると、相手は納得しやすくなります。
さらに重要なのが、範囲の明示です。何が含まれ、何が含まれないのか。
含まれるもの。ロゴのデータ1式、指定の形式での書き出し、修正3回まで。
含まれないもの。名刺やチラシへの展開、追加の案の制作、既存資料の作り直し。
これ、書いておかないと後で本当に困ります。含まれないと書いていない作業は、相手にとって含まれていると読めるからです。
もう一つ、金額を出すときの順序にもコツがあります。先に安い金額を提示して、後から追加費用を積み上げていく形は、相手の心証を悪くします。最初に範囲を広めに取った金額を出し、そこから外せる項目を示すほうが、話がまとまりやすい。
たとえばロゴの依頼なら、マークの制作、色違いの展開、使用のルールをまとめた資料、名刺への展開。この4つを並べて金額を出し、「今回は使用ルールの資料を外して構いません」と選べる形にする。相手は自分で調整できるので、納得感が違います。
支払いの条件も忘れずに書いてください。納品後の一括なのか、着手時に一部を受け取るのか。金額が大きい案件や、期間が長い案件では、着手金を設定するのが一般的です。書いておけば、後から切り出すより角が立ちません。
提案の段階で条件を書くことが、後の自分を守る
ここは法務の視点からお伝えします。
提案文に書いた条件は、その後のやり取りの前提になります。相手が承諾して発注すれば、その条件で合意が成立したと扱われるのが原則です。つまり、提案文は営業の道具であると同時に、契約の土台でもあります。
だから、書いておく価値のある項目があります。
報酬の金額と支払いの時期。納品物の範囲と形式。修正の回数と、超過した場合の扱い。著作権の扱い。この4つは、提案の段階で触れておくと後の食い違いが激減します。
著作権については、特に説明が必要です。デザインを作ると、その著作権は原則として制作した側に発生します。納品したからといって自動的に相手のものになるわけではありません。
つまり、相手がロゴを自由に使いたい場合は、著作権を譲渡するのか、使用を許諾するのかを決めておく必要があります。ここを決めずに納品すると、後から「別の用途にも使いたい」という話が出たときに、揉める余地が残ります。
書き方は難しくありません。「納品後の著作権は貴社へ譲渡いたします」あるいは「著作権は制作者に留保し、ご依頼の用途での使用を許諾します」。どちらかを一文入れておくだけです。※ 譲渡の範囲や著作者人格権の扱いなど、込み入った条件が絡む案件では、弁護士や専門の窓口に相談してください。
なお、フリーランスとして業務委託で仕事を受ける場合、発注側が取引条件を明示する義務や、報酬の支払期日に関する定めが法律上設けられています。制度の内容や適用範囲は個別の事情で変わるため、詳しくは公正取引委員会や厚生労働省の案内で最新の情報を確認してください。
断る提案の書き方も、用意しておく
案件の取り方を考えるとき、受けない判断も含めて設計しておくべきです。
条件が合わない案件に無理に応募すると、受注した後に負担が集中します。そして、途中で条件を変えてもらう交渉のほうが、最初に断るよりはるかに難しい。
断る場面は主に3つです。納期が自分の稼働で守れないとき。予算が作業量に対して明らかに合わないとき。求められている範囲に、自分が対応できない作業が含まれているとき。
このとき、ただ断るのではなく、代替案を1つ添えてください。「ご希望の納期では品質を担保できないため、この日程であればお受けできます」「ご予算の範囲であれば、この範囲までの対応となります」。
これ、実は案件の取り方として有効なんです。条件を調整して発注してくれる相手は少なくありませんし、今回合わなくても次の依頼で声がかかることがあります。
一方、はっきり断ったほうがよい相手もいます。条件を書面に残すことを嫌がる、報酬の話をあいまいにする、納品前に作業を進めることを求める。こうした兆候があれば、応募を見送ってください。※ 取引の途中で困った状況になった場合は、中小企業庁の相談窓口や、フリーランス向けの公的な相談先を確認してください。
送ったあとの動き方
提案を送って終わりにしない人が、結果的に多くの案件を取ります。
返信が来ない場合、1週間ほど経ってから一度だけ確認の連絡を入れるのは問題ありません。「先日お送りした件、ご検討状況はいかがでしょうか」。短く、催促の色を出さずに書きます。
2回以上追うのは逆効果です。相手には相手の事情があります。返事がなければ、その案件は終わったものとして次に進んでください。
選ばれなかった場合も、理由を短く聞いてよいでしょう。答えてもらえないことも多いのですが、答えが返ってきたときの情報価値は高い。金額なのか、実績なのか、方向性なのか。それがわかれば次の提案が変わります。
そして、一度取引した相手には、案件が終わったあとも関係を残しておいてください。この分野は、同じ発注者から繰り返し依頼が出る性質があります。ロゴを作れば名刺が要り、名刺ができればチラシが要る。最初の1件を丁寧に終えることが、次の案件の取り方になります。
実績が少ない段階で、何を書くか
始めたばかりの人が最も悩むのがここです。書ける実績がない状態で、どう提案するか。
答えは、実績の代わりに工程を書くことです。どういう順番で進めるのか、どの段階で何を確認するのか、修正はどう扱うのか。これを具体的に書けると、進め方を理解している人だと伝わります。
もう一つが、その依頼に対する具体的な考えです。募集文を読んで気づいたこと、想定される制約、提案したい方向性。これは実績がなくても書けます。むしろ、実績が多い人ほどここを省略しがちなので、差がつく部分です。
金額については、極端に安く出す必要はありません。安さで選ばれた案件は、次も安さで比較されます。相場の下の帯に置きつつ、範囲を明確にする。この組み立てのほうが後につながります。
専門用語を、相手の言葉に置き換える
提案文の細部で、意外と効くのが言葉の選び方です。
デザインの現場で使う言葉は、発注する側には通じないことがあります。アウトライン、トンボ、塗り足し、CMYK、アタリ。こちらでは日常語でも、相手にとっては初めて見る単語です。
通じない言葉が並ぶと、相手は理解できないまま読み進めます。そして、理解できない提案には不安が残ります。金額の妥当性も判断できません。
置き換え方は簡単です。「文字をアウトライン化して入稿します」ではなく、「印刷会社で文字がずれないよう、変換した状態でお渡しします」。専門用語を使いたい場合は、括弧で補足を添えれば済みます。
これ、相手を子ども扱いしているわけではありません。相手の専門は別のところにあります。飲食店の経営者に印刷の用語を求めるのは筋が違いますし、こちらが相手の業界の用語を全部知らないのと同じです。
逆に、相手が発注に慣れている場合は、用語で話したほうが速く進みます。募集文の書き方を見て、どちらのモードで書くかを決めてください。この判断ができる人は、提案の通過率が上がります。
案件の取り方を、月単位の動きとして設計する
最後に、営業活動そのものの回し方です。1件ごとの提案の質と同じくらい、続け方が結果を左右します。
まず、提案の記録を残してください。いつ、どの案件に、いくらで、どんな内容で出したか。そして結果はどうだったか。表計算ソフトで十分です。
記録があると、返信が来た案件と来なかった案件の違いが見えてきます。業種なのか、金額帯なのか、募集の出し方なのか。感覚ではなく記録で判断できるようになると、出す先の選び方が変わります。
次に、月にどのくらい出すかを決めておきます。案件が減ってから慌てて出すと、条件の悪い案件でも受けざるを得なくなります。稼働に余裕があるうちから一定量を出し続けている人は、案件を選べる状態を保てます。
そして、断られた案件を追いかけないこと。この分野は、依頼のタイミングと相手の予算がそろって初めて成立します。今回合わなかっただけの相手も多いので、記録に残して次の募集のときに再度提案すればよいのです。
なお、金額の水準を判断する材料として、市場全体の数字も見ておいてください。グラフィックデザイナー全体の平均年収は約350万円から500万円程度と紹介されており、案件単位の報酬もこの水準から逆算して考えることができます。
案件の取り方は、関係の作り方に収束していく
この市場を20年見てきた立場から言うと、案件を安定して取り続けている人には共通点があります。1件ごとの提案がうまいというより、「この人に任せると楽だ」という状態を作っているのです。
連絡が読める、条件が明確、確認が早い、想定外が起きない。この4つが揃っている相手に、発注する側は繰り返し頼みます。提案文が丁寧な人は、たいてい仕事の進め方も丁寧なので、そこが伝わります。
運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料が乗らない直接の取引は、双方にとって効きます。同じ予算でも発注する側はより多くを頼めますし、受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなる。手数料0%の意味は、金額の大小の話ではなく、手取りが厚いという質の話です。1件あたりの単価がそこまで高くない分野では、この差が続けやすさに直結します。
どんな依頼が実際に動いているかは、ロゴ・名刺・チラシ・パンフレットのお仕事にまとまっています。募集文の書かれ方を読み比べるだけでも、提案で触れるべき点が見えてきます。
制作の依頼は集客や販促の文脈から生まれることが多いため、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事の領域も見ておくと、発注の背景が理解しやすくなります。在宅で成立する制作系の仕事の幅を知りたい場合は、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事も参考になります。
在宅の業務委託がどの程度の報酬水準で動いているかは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場やソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。金額を提示する前に、水準感を持っておくと交渉が安定します。
提案文も見積書も、結局は実務文書です。書き方の作法を押さえておくと、それだけで返信率が変わります。ビジネス文書検定はその基礎を確認できる資格です。技術方面へ広げたい場合はCCNA(シスコ技術者認定)のような選択肢もありますが、この分野で先に効くのは文書のほうです。在宅の仕事に結びつく資格の全体像は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるにまとまっています。
やり取りの環境も、提案の速度に影響します。データの受け渡しやオンラインの打ち合わせが不安定だと、それだけで印象を損ないます。在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方と在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックは、環境を整える段階で目を通しておくとよいでしょう。
提案文に条件を書くことは、営業のためだけではありません。書いた条件が、あとであなたを守ります。法律は、条件を明確にした側の味方です。
よくある質問
Q. 提案文はどのくらいの長さが適切ですか?
800字程度を上限の目安にしてください。発注する側が1件にかけられる時間は長くて1分程度です。冒頭に依頼内容の要約を置き、提案の方向性、関係する実績、条件、質問、次の行動の順で組み立てると、短くても必要な情報が伝わります。
Q. 実績がない段階では、提案文に何を書けばよいですか?
実績の代わりに、進め方を具体的に書いてください。どの順番で作業し、どの段階で確認を取り、修正をどう扱うか。加えて、募集文を読んで気づいた制約や提案したい方向性を書きます。これは実績がなくても書ける部分で、差がつきやすいところです。
Q. コンペ形式と個別の提案では、どちらから始めるべきですか?
コンペは先に制作してから選ばれる形式で、応募数が多く採用されないこともあります。個別の提案は選ばれてから制作するため、作業前に条件が確定します。提案文を磨く効果が出るのは個別提案のほうです。コンペに参加する場合は、不採用案の権利の扱いを要項で確認してください。
Q. 提案の段階で条件をどこまで書くべきですか?
報酬の金額と支払時期、納品物の範囲と形式、修正回数と超過時の扱い、著作権の扱い。この4つは書いておいてください。提案文に書いた条件は、相手が承諾して発注した時点で合意の前提になります。含まれない作業を明記しておくことが、後の食い違いを防ぎます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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