副業がバレる理由は何か、会社に伝わる仕組みと防ぎ方


この記事のポイント
- ✓住民税や社会保険の手続きという実際の経路から整理しました
- ✓20万円以下なら申告不要という説の中身
- ✓届出制の会社での動き方
副業がバレる理由を調べると、「住民税で分かる」「20万円以下なら大丈夫」という短い説明ばかりが並びます。どちらも半分は正しく、半分は抜けています。抜けている部分でつまずくと、隠すつもりがなかったのに隠していたことになり、話がややこしくなります。
会社に副業が伝わる経路は、うわさや人づてだけではありません。むしろ多いのは書類です。住民税の通知、社会保険の手続き、年末調整の書類など、毎年決まった時期に会社へ届く紙の中に、副業の存在が表れます。この記事では、その経路を一つずつ分解し、どの段階で何が伝わるのか、そして伝わったときに何が起きるのかを、国税庁と厚生労働省、日本年金機構、東京都主税局の公表内容に沿って整理します。加えて、隠すことに労力を使うより早く済む「届け出る道」の手順も扱います。
会社に伝わる経路は、うわさよりも書類のほうが多い
まず全体像です。副業の存在が勤務先に伝わる経路は、大きく4つに分かれます。
1つ目は税金の経路です。住民税は、前の年の所得をもとに市区町村が計算し、給与から引く形で会社に通知します。副業の所得が加わると、その分だけ税額が動きます。
2つ目は社会保険の経路です。副業先でも健康保険と厚生年金の加入要件を満たすと、どちらの勤務先を主にするかを決める届出が必要になり、両方の会社が関わる手続きが発生します。
3つ目は書類の経路です。年末調整で提出する扶養控除等申告書は、原則として1か所にしか出せません。2か所で給与を受け取っていると、この提出のやり方でつじつまが合わなくなることがあります。
4つ目は人の経路です。SNSでの発信、取引先の重なり、同僚との会話、名刺やポートフォリオへの掲載など、書類を通らない経路です。
このうち1つ目と2つ目は、制度としてそうなっているので避けようがありません。3つ目は手続きを正しく踏めば整理できます。4つ目だけが自分の振る舞いで変わります。順に見ていきます。
住民税の仕組みを押さえると、伝わる理由が分かる
住民税は、都道府県民税と市区町村民税をまとめた呼び方です。前の年の所得に応じてかかる所得割と、定額でかかる均等割があり、1月1日に住んでいる市区町村が計算します。
納め方には2つの形があります。東京都主税局の説明では、給与所得者については6月から翌年5月までの毎月の給料から特別徴収され、それ以外の人は市区町村から送られる納税通知書で年4回に分けて納めます。この特別徴収が、副業の存在が会社の手元に見える仕組みの正体です。会社は従業員ごとの税額を市区町村から通知され、毎月の給与から引いて納めます。本業の給与から計算されるはずの税額より多ければ、経理の担当者が気づく可能性が出てきます。
均等割の金額も押さえておくと、通知書を読むときに迷いません。個人都民税は1,000円、個人区市町村民税は3,000円で、令和6年度からは森林環境税が一人年額1,000円、住民税の均等割と併せて課税されています。金額の水準は自治体によって扱いが異なる部分があるので、手元の通知書で確かめてください。
「副業分だけ普通徴収にすれば通知が会社に行かない」という説明を見かけますが、これは自治体の運用次第です。東京都主税局は、東京都と都内の全62区市町村で平成29年度から個人住民税の特別徴収を徹底していると明記しています。給与所得に係る住民税は給与から引くのが原則で、副業が給与である場合はまとめて特別徴収になるのが基本の形です。給与以外の所得について自分で納める方法を選べるかどうかは、住んでいる市区町村の課税の窓口で確認するのが確実です。
確定申告と住民税の申告は、別の手続き
「20万円以下なら申告しなくてよい」という説明は、所得税の話です。国税庁のタックスアンサーでは、年末調整が済んでいる給与所得者であっても、給与所得以外の副収入で20万円を超える所得を得ている場合には確定申告が必要だと示されています。
しかし、年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて、確定申告が必要となります 出典: nta.go.jp
ここで大事なのは、20万円という線が所得税の確定申告についての線であって、住民税の計算をしなくてよいという意味ではないことです。所得税の確定申告をしなかった場合、市区町村は副業の所得を把握できないため、別に住民税の申告が必要になります。手続きの要否と提出先は市区町村ごとに案内が違うので、住んでいる自治体の税の窓口で確認してください。
もう一つ、国税庁の説明で押さえておきたいのが「所得」の意味です。20万円は売上ではなく、収入から必要経費を引いた後の金額です。ネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリでの個人取引による所得、自家用車などの資産の貸付けによる所得、ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得は、一般的には雑所得に該当するとされています。暗号資産の売却などによる所得、民泊による所得も同じ扱いです。生活の用に供している資産、たとえば古着や家財の売却による所得は非課税とされ、この所得については確定申告が不要です。
確定申告が必要な人の条件そのものは、国税庁のコード1900にまとまっています。給与の年間収入金額が2,000万円を超える人、1か所から給与を受けていて給与所得と退職所得を除く所得の合計額が20万円を超える人、2か所以上から給与を受けている人などが挙げられています。自分がどれに当たるかを先に確かめておくと、必要のない心配が減ります。判定が難しい場合は税務署の相談窓口で確認してください。
社会保険と雇用保険の手続きから伝わるとき
副業が「雇われて働く形」である場合、税金より先に社会保険で分かることがあります。
健康保険と厚生年金保険は、勤務先ごとに加入の要件を判定します。パートやアルバイトの人が加入の対象になる要件は、厚生労働省の特設サイトに整理されています。勤め先の従業員数が2027年9月までは51人以上、2027年10月以降は36人以上であること、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生ではないこと、そして2か月を超えて雇用される見込みであることです。以前あった所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金の要件は、2026年10月に撤廃されました。企業規模の条件も段階的に下がり、従業員数21人から35人の企業は2029年10月から、11人から20人の企業は2032年10月から、10人以下の企業は2035年10月から対象になります。
2か所の勤務先でこの要件を満たすと、どちらを主とするかを決める手続きが必要です。日本年金機構の様式の案内には「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択/二以上事業所勤務届」があり、被保険者が同時に2か所以上の適用事業所に使用される場合に、主たる事業所を選択するために提出する届出だと説明されています。同じページには、兼業や副業で2か所以上の事業所で勤務する人向けのリーフレットも置かれています。この届出を出すと、保険料は両方の報酬を合わせた額で決まり、それぞれの勤務先が按分して負担します。つまり本業の会社の手続き担当者に、もう1か所で働いていることが手続きの形で伝わります。
要件に届かない働き方、たとえば週の所定労働時間が20時間未満のアルバイトや、雇用ではない業務委託の仕事では、この届出は発生しません。ここが「副業の形によって伝わりやすさが変わる」と言われる理由です。ただし、伝わらないことを目的に働き方を選ぶと、社会保険に入れず将来の年金や傷病時の保障が薄くなるという別の損が出ます。目的をどこに置くかで判断が変わる部分です。
年末調整の書類で起きる行き違い
毎年11月から12月に、勤務先から扶養控除等申告書が配られます。ここでも副業の有無が形として表れます。
この申告書は、給与を受け取っている勤務先のうち1か所にしか提出できません。提出した勤務先では、月々の給与から引かれる所得税が本来の水準で計算され、年末調整で1年分の精算が行われます。提出していない勤務先では、税額の計算の仕方が変わり、引かれる所得税が高めになります。つまり掛け持ちで働いていると、副業先の給与明細に引かれている所得税の欄が、本業とは違う見え方になります。
さらに、年末調整は提出した1か所でしか行われません。もう1か所の給与は精算されないままなので、自分で確定申告をして合算する必要が出てきます。国税庁のコード1900では、2か所以上から給与を受けていて年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。ここを飛ばすと、後から納める税額が増えるだけでなく、市区町村の側で所得が把握された結果として勤務先に伝わることもあります。
確定申告の時期に慌てないためには、副業先から受け取る源泉徴収票を年末に必ず保管しておくことです。雇われる形の副業なら源泉徴収票が発行され、業務委託なら支払調書が届く場合があります。支払調書は発行が義務ではない書類なので、届かない前提で自分の記録を持っておくほうが確実です。
記録の付け方で、手間と税額が変わる
副業を続けるなら、記録の付け方を最初に決めておくと後が楽になります。
まず、収入と経費を分けて記録します。経費として認められるのは、その収入を得るために直接必要だった支出です。仕事で使った通信費や機材の代金のうち、私用と混ざっているものは、使った割合で分ける考え方になります。どこまでが経費に当たるかは仕事の内容によって変わり、金額や事情で判断が分かれるため、迷う場合は税務署の相談窓口で確認してください。
次に、所得の種類を意識します。国税庁の説明では、ネットのオークションやフリーマーケットアプリを使った個人取引による所得、自家用車などの資産の貸付けによる所得、ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得は、一般的には雑所得に該当するとされています。継続して事業として行っている場合の扱いは変わってくるため、規模が大きくなってきた段階で一度相談しておくと安心です。
記録の道具は、表計算でも会計ソフトでも構いません。大事なのは、毎月決まった日に入力することです。1年分をまとめて思い出そうとすると、経費の領収書が見つからず、結果として払う税額が増えます。
そして、記録があることは会社に説明するときにも役立ちます。稼働した時間と受け取った金額を月ごとに示せれば、本業に影響していないことを数字で説明できます。届出制の会社では、この資料があるだけで話が早く終わります。
会社が副業を知ったとき、何が起きるのか
副業が伝わったときにどうなるかは、勤務先の就業規則の書き方で決まります。ここは一般論で語るより、国の考え方の変化を知っておくほうが役に立ちます。
厚生労働省は、副業と兼業について企業や働く人が現行の法令のもとでどのような点に留意すべきかをまとめたガイドラインを公開しています。同時に、平成30年1月にモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除して、副業と兼業についての規定を新設しました。その後、令和2年9月と令和4年7月にガイドラインが改定され、パンフレットは令和7年3月31日改定版が公開されています。届出様式例や合意書様式例も同じページに置かれています。
つまり国が示す標準の就業規則は、副業を全面的に禁止する形ではなくなっています。ただし、これは会社が副業を必ず認めなければならないという意味ではありません。会社ごとの就業規則が上で、そこに許可制や届出制が書かれていればそれに従う必要があります。無許可の副業が就業規則違反に当たるかどうか、また処分の対象になるかどうかは、業務への影響、競合の有無、情報の扱い方など個別の事情で判断が変わります。断定できる話ではないので、不安があるなら人事の窓口か、労働局の相談窓口に匿名で聞くのが安全です。
ひとつ現実的な線引きを挙げておきます。勤務先が問題視しやすいのは、本業の時間や体力を削っている場合、競合する相手の仕事をしている場合、そして本業で知った情報を持ち出している場合です。この3つに触れない副業は、届け出ても止められにくい傾向があります。逆に、この3つのどれかに当たる副業は、隠していても後で大きな問題になります。
労働時間の通算という、見落とされやすい論点
雇われる形の副業には、税や保険とは別の論点があります。労働時間の通算です。
厚生労働省の副業・兼業のページには、副業と兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等を示した通達(基発0901第3号、令和2年9月1日付)が掲載されています。同じページには労働時間の通算の考え方を解説した資料や、手続き上の負担を軽くするための「管理モデル」の解説資料もあります。
考え方の骨格はこうです。雇用されて働く時間は、事業場が違っても通算して考えます。通算した結果が法定の労働時間を超えると、割増賃金の支払いという問題が出てきます。そのため、雇用の形で副業をする人は、勤務先に労働時間を伝える必要が生じます。届出制を採っている会社が多いのは、この通算の管理をしなければならないからです。
この点は、働く側にとって不利な話ばかりではありません。通算の考え方があるからこそ、会社は健康への配慮をする立場になります。厚生労働省が公開しているマルチジョブ健康管理ツールというアプリは、本業と副業の労働時間や健康状態を働く人が自分で管理できるようにするものです。長く続けるつもりなら、記録を自分でも持っておくほうが交渉の材料になります。
なお、業務委託で受ける仕事はここでの労働時間の通算の対象になりません。ただし、実態として指示を受けて時間で拘束されている場合は、契約の名前ではなく実態で判断されることがあります。区別が難しい場合は労働基準監督署で相談してください。
住民税の通知書を、6月に自分で読む習慣
副業をしている人が年に一度必ずやっておくとよいのが、住民税の通知書を自分で読むことです。給与から引かれる形の人は、6月ごろに勤務先から税額の通知が配られます。自分で納める形の人は、市区町村から納税通知書が届きます。
読むところは3つです。1つ目は課税の対象になっている所得の金額です。前の年の収入がどう集計されたかが分かります。2つ目は所得控除の欄です。生命保険料や社会保険料、扶養の控除が反映されているかを確認します。3つ目は月ごとの徴収額です。6月だけ金額が違うことがあり、これは端数の調整によるものです。
この確認には副業の管理以外の意味もあります。控除の記載が漏れていると、払う税額が多くなったままになります。気づいたときに市区町村の課税の窓口へ問い合わせれば、内容を確認してもらえます。年に一度、10分見るだけで済む作業です。
通知書の金額が想定より多い場合、原因は副業の所得だけではありません。前の年に賞与が増えた、控除の申告を忘れた、扶養の状況が変わった、といった理由も考えられます。原因が分からないまま慌てるより、通知書を持って窓口で聞くほうが早く解決します。
副業を始める前に決めておく3つの数字
制度の話が続いたので、実際に動くときの決め方を整理します。始める前に3つの数字を決めておくと、判断に迷う回数が減ります。
1つ目は、週に何時間までにするかです。雇われる形なら労働時間の通算に直結し、業務委託でも体力の限界に直結します。週10時間のように具体的な上限を決め、その範囲で単価を上げる方向に動くほうが長く続きます。
2つ目は、年間でいくらまで受けるかです。所得が20万円を超えるかどうかで確定申告の必要性が変わり、金額が大きくなれば記録の付け方も変わります。年の途中で超えることが見えた時点で、帳簿の付け方を切り替える準備をしておきます。
3つ目は、やらない仕事の線です。本業と競合する相手、本業の情報を使う仕事、深夜に納期が来る仕事のうち、自分が受けないものを先に決めておきます。断る理由を用意しておくと、話が来たときに迷いません。
この3つを紙に書いて手元で見返せるようにしておくと、届出のときの説明にもそのまま使えます。会社に伝えるのは金額の細かい内訳ではなく、この3つの範囲で収まっているという事実です。
書類以外の経路を塞ぐ、地味で効く手当て
書類の経路を整えても、人の経路が残ります。実際に伝わるきっかけになりやすいのは次の3つです。
1つ目はSNSです。実名や顔写真とともに副業の成果を発信すると、同僚や取引先の検索で見つかります。発信をやめる必要はありませんが、本名と勤務先が結び付く形を避ける、写真に社内の備品や制服が写らないようにする、といった点は最低限の注意です。
2つ目は取引先の重なりです。副業の相手が本業の取引先や競合だと、営業の会話の中で名前が出ます。受ける前に相手の事業内容を調べ、本業と重ならないかを確かめてください。ここは伝わるかどうか以前に、就業規則で問題になりやすい部分です。
3つ目は同僚との会話です。悪意がなくても、話は伝わります。届け出ていない副業について話す相手を選ぶだけで、経路が1つ減ります。
技術的な情報や顧客の情報を扱う副業では、情報の持ち出しに見えないようにする配慮も必要です。ネットワークやセキュリティの基礎を押さえておくと、どこからが危ないのかの線が自分で引けるようになります。体系的に学ぶならCCNA(シスコ技術者認定)の学習範囲が土台になります。書類や連絡の形を整える力も効きます。届出書や説明のメールを短く正確に書けるかどうかで、会社との話が滑らかに進みます。文書の型を確かめたいならビジネス文書検定の出題範囲が実務の目次として使えます。
公務員と、規制のある職業の場合
副業の話は、勤め先の種類によって前提が変わります。公務員は法律で兼業が制限されており、営利企業への従事や報酬を受ける事業への関与には許可が必要とされています。会社員向けの「届け出れば大丈夫」という説明はそのまま当てはまりません。制度の詳細と許可の基準は所属する組織の規程で決まるため、必ず人事の担当部署に確認してください。
士業のように資格で仕事の範囲が決まっている職業、金融機関のように情報の取り扱いが厳しい職場、競合が明確な業界も、同じように前提が違います。副業の可否だけでなく、受けてよい相手の範囲まで決まっている場合があります。
医療や介護のように資格と勤務時間の管理が厳しい職場では、労働時間の通算が実務上の壁になります。夜勤のある職場で副業を足すと、休息時間が確保できず、本業の側で止められることがあります。この場合は、時間で売る副業ではなく、成果で納める形の仕事に寄せるほうが現実的です。
いずれの場合も、自分の職場の規程を読むのが最初の一歩です。就業規則や服務規程が社内の共有フォルダにあるはずで、なければ人事に「副業に関する規程を確認したい」と伝えれば見られます。この確認をせずに始めて、後から知るのが一番損です。
隠すより届け出るほうが早い場合が多い
副業が伝わらないようにする工夫には限りがあります。住民税と社会保険の経路は制度上のものなので、完全に塞ぐことはできません。だとすると、隠す努力に使う時間を、届け出て認めてもらう手続きに回したほうが結果的に早く済みます。
手順は3つです。1つ目に、就業規則の副業に関する条項を読みます。禁止か、許可制か、届出制かを確かめます。2つ目に、届出が必要なら、何の仕事を、どのくらいの時間、どこから受けるのかを書いて出します。厚生労働省のページには届出様式例と合意書様式例が置かれていて、会社側が様式を持っていない場合の下敷きになります。3つ目に、認められた範囲を文字で残します。口頭の了解だけだと、担当者が変わったときに話が戻ります。
届け出ることで得られるものもあります。労働時間の通算や健康の配慮が制度として働くので、体を壊すまで働く流れを止めやすくなります。本業と関係する分野の副業なら、社内での評価につながることもあります。
伝わってしまった後の、落ち着いた対応
制度を整えていても、想定より早く会社に知られることはあります。そのときの動き方を先に決めておくと、慌てて話をこじらせずに済みます。
最初にやることは、事実を短く整理することです。どの会社から、どんな仕事を、月に何時間、いくらで受けているか。この4点を紙1枚にまとめます。聞かれてから思い出そうとすると、答えが揺れて疑われます。
次に、就業規則のどの条項に関わるのかを自分で確認します。禁止と書かれているのか、許可制なのか、届出制なのか。条項の番号まで押さえておくと、話し合いが感情論になりません。
そして、本業への影響がないことを示す材料を用意します。稼働の記録、納期の実績、遅刻や欠勤がないことなどです。会社が気にするのは副業そのものより、本業の質が落ちるかどうかです。
処分の話になった場合は、その場で結論を受け入れる必要はありません。就業規則の根拠と、どの点が問題なのかを文字で示してもらい、期限をもらって回答します。労働の問題は労働局や労働基準監督署に無料の相談窓口があり、匿名で相談できます。個別の判断は事情によって変わるため、自分のケースについては専門の窓口で確認してください。
副業を止めることになった場合も、受けていた仕事を放り出すと信用を失います。引き継ぎと納期の調整を先に済ませてから止めるのが、次につながる終わり方です。取引先には理由を細かく説明する必要はなく、いつまで対応できるかと、代わりの手当てをどうするかを伝えれば足ります。数年後に状況が変わって再開したときに、同じ相手から声がかかるかどうかは、この終わり方で決まります。
副業の形ごとに、経路と難易度は変わる
最後に、副業の形で何が変わるのかを並べます。
雇われる形の副業は、社会保険と労働時間の通算という2つの経路が加わるため、伝わりやすい形です。その代わり、最低賃金や労災の保護が働きます。
業務委託で受ける仕事は、社会保険の届出や労働時間の通算が発生しないため、税の経路が主になります。その代わり、自分で確定申告をし、報酬の交渉や未払いへの対応も自分で行います。報酬が支払われない場合の手順を知っておきたいなら未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】が、費用の目安と流れの参考になります。契約書や発注書で確かめる項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにまとまっています。
どの分野を選ぶかで、相場も難易度も変わります。文章を書く仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、開発の仕事の相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。業務の効率化を支援する側の仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、情報やマーケティングを扱う仕事の範囲はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。資格で縛りのある職業の副業は事情が違うため、専門職の例として会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】も目を通しておくと、規制がある仕事の考え方が分かります。
運営者として在宅と副業の市場を20年見てきた限りでは、副業で失敗する人の多くは税や保険でつまずくのではなく、本業の時間を削って体を壊す形で止まります。伝わることを恐れて記録を残さず、稼働時間の把握もしないまま増やしていくと、限界が来たときに減らす判断が遅れます。逆に長く続く人は、週に何時間までと決め、その範囲で単価を上げる方向に動きます。中間の手数料が乗らない直接のやり取りは、同じ予算で依頼する側はより多く頼めて、受ける側の手元には厚く残ります。同じ時間で手取りが厚くなるほど、無理に本数を増やす必要がなくなり、結果として本業への影響も小さくなります。
数字の面でも確かめておくべき順番があります。まず、住民税の通知書を毎年6月に自分で確認します。次に、副業の所得を月ごとに記録し、年間で20万円を超えるかを早めに把握します。そして、雇われる形で働く場合は週の所定労働時間を数えます。この3つを続けていれば、会社に伝わったときにも説明ができ、伝わっていない段階でも判断を間違えません。副業がバレる理由を心配するより、この3つの数字を手元に持っておくことのほうが、結局のところ効きます。
よくある質問
Q. 副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいのですか?
20万円という線は所得税の確定申告についてのものです。国税庁は、年末調整が済んだ給与所得者でも給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要としています。所得税の確定申告をしない場合、市区町村が副業の所得を把握できないため、別に住民税の申告が必要になることがあります。手続きの要否は住んでいる自治体の税の窓口で確認してください。
Q. 住民税から副業が分かるのは、どういう仕組みですか?
給与所得者の住民税は、6月から翌年5月までの毎月の給与から引かれる特別徴収が原則です。市区町村が計算した税額は勤務先に通知されるため、本業の給与だけでは説明がつかない税額になっていると気づかれる可能性があります。東京都と都内の全62区市町村は平成29年度から特別徴収を徹底しています。
Q. アルバイトの掛け持ちと業務委託では、伝わりやすさが違いますか?
違います。雇われる形の副業は、社会保険の加入要件を満たすと主たる事業所を選ぶ届出が必要になり、労働時間の通算も関わるため手続きの形で伝わります。業務委託は社会保険の届出や労働時間の通算が発生せず、税の経路が主になります。ただし保護の仕組みも違うので、伝わりにくさだけで選ぶ判断は勧められません。
Q. 会社に副業を届け出ると、断られてしまうのではないですか?
会社の就業規則によります。厚生労働省は平成30年1月にモデル就業規則を改定し、許可なく他の会社の業務に従事しないという規定を削除して副業と兼業の規定を新設しました。届出様式例や合意書様式例も公開されています。本業の時間を削らない、競合しない、情報を持ち出さないという3点を満たす副業は認められやすい傾向があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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