BOOTHでの副業が会社に知られる場面と、避けるための設定

@SOHO編集部
@SOHO編集部
BOOTHでの副業が会社に知られる場面と、避けるための設定

この記事のポイント

  • ✓BOOTHでの販売が会社に知られる経路を
  • ✓住民税・年末調整・社会保険・ショップの公開情報の4つに分けて整理します
  • ✓20万円の線が何の話なのか

結論から書きます。BOOTHでの販売が会社に知られる経路は、実質的に4つしかありません。住民税の通知、年末調整の書類、社会保険の手続き、そしてショップ自体の公開情報です。そして、このうち税金が原因になる経路は、手続きの選び方でほぼ塞げます。逆に言えば、よく語られる「20万円を超えると知られる」という説明は、経路の説明としては的を外しています。この記事では、それぞれの経路で何が起きているのかを制度の側から確かめ、どこに手を打てばよいのかを順番に整理します。

「20万円」が何の話なのかを先に切り分ける

BOOTHの売上について検索すると、20万円、48万円、住民税、確定申告といった数字と言葉が並びます。まずここを整理しないと話が進みません。

20万円という線は、所得税の確定申告が必要かどうかの話です。国税庁の説明を見ます。

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人 出典: nta.go.jp

この条件に当たる人は確定申告をしなければなりません。つまり20万円という線は「所得税の申告が要るかどうか」を分けているだけです。会社に知られるかどうかを分けている線ではありません。ここを混同した説明が広く出回っています。

重要なのは、この20万円の免除が所得税だけの話だという点です。住民税には20万円の免除がありません。所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要です。そして、会社に知られる経路として最も現実的なのは住民税のほうです。したがって「20万円以下だから何もしなくてよい」と考えると、かえって知られる可能性が残ります。

なお、BOOTHの売上が何の所得に当たるかも押さえておきます。国税庁は、給与所得者の副収入として、インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリを使った個人取引による所得を雑所得の例に挙げています。同じページでは、NFTを組成して第三者に譲渡した所得も雑所得の例に含まれています。自分で作った作品やデータを継続して販売している場合は、規模や継続性によって事業所得として扱われることもあります。どちらに当たるかは状況で変わるため、金額が大きくなってきたら税務署か税理士に確認してください。

経路1 住民税の通知から知られる

もっとも多い経路がこれです。仕組みを理解すると、対処もはっきりします。

会社員の住民税は、原則として給与から毎月差し引かれます。これを特別徴収といいます。地方税法は、前年に給与の支払を受けていて、その年度の初日にも給与の支払を受けている人の住民税について、特別徴収の方法で徴収するものとしています。

会社には、従業員ごとの住民税の額が書かれた通知が市区町村から届きます。給与から差し引く額を会社が知る必要があるためです。ここで、副業の所得が住民税に上乗せされていると、給与の額から計算される住民税より高い金額が通知されます。経理の担当者がこの差に気づくと、給与以外の収入があることが分かります。

ただし、法律には副業の分を切り離すための規定があります。

前項の給与所得者について、当該給与所得者の前年中の所得に給与所得以外の所得がある場合においては、市町村は、当該市町村の条例の定めるところによつて、当該給与所得以外の所得に係る所得割額を同項本文の規定によつて特別徴収の方法によつて徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額に加算して特別徴収の方法によつて徴収することができる。 ただし、第三百十七条の二第一項の申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない。 出典: laws.e-gov.go.jp

後半のただし書きが要点です。申告書に「給与所得以外の所得に係る分は普通徴収でお願いします」と書いてあるときは、給与から差し引く分に上乗せしない、と定められています。普通徴収とは、市区町村から送られてくる納税通知書で自分で納める方法です。東京都主税局の説明でも、給与所得者以外の方については区市町村から送付される納税通知書で年4回に分けて納めると案内されています。

ここで見落としてはいけない条件があります。条文が対象にしているのは「給与所得以外の所得」です。BOOTHでの販売のように雑所得や事業所得であれば選べますが、副業がアルバイト(給与所得)の場合は選べません。この違いはよく間違われます。BOOTHの売上は給与ではないため、普通徴収を選べる側に入ります。

経路2 確定申告と住民税申告のどちらを出すか

普通徴収を選ぶには、申告のときに欄にチェックを入れる必要があります。どの書類で申告するかが、金額によって変わります。

所得が20万円を超える場合は、所得税の確定申告をします。確定申告書の第二表に「住民税に関する事項」という欄があり、給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法を選ぶ箇所があります。ここで自分で納付(普通徴収)を選びます。確定申告のデータは市区町村へ回るので、住民税の申告を別に出す必要はありません。

所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告が必要です。地方税法の317条の2が申告の義務を定めており、期限は3月15日、提出先は1月1日現在の住所地の市区町村です。住民税の申告書にも徴収方法を選ぶ欄があります。

どちらの場合も、選ぶ手続きを飛ばすと自動で特別徴収になります。放っておくと上乗せされるのが原則で、普通徴収は申し出て選ぶものだという構造を覚えておいてください。

もう1つ、経費の記録を残す意味もここにあります。所得は売上ではなく、売上から経費を引いた額です。BOOTHのサービス利用料、印刷や制作の外注費、材料費、送料、通信費のうち業務に使った割合などは経費になります。記録がないと売上がそのまま所得として扱われ、住民税の額が大きくなります。額が大きくなるほど、通知の差も目立ちます。記録を残すことは、節税と目立たなさの両方に効きます。

経路3 年末調整の書類から知られる

会社に毎年出す年末調整の書類からも、情報が漏れる余地があります。ここは書類の性質を理解しておけば避けられます。

年末調整で会社に出すのは、扶養控除等申告書、保険料控除申告書、基礎控除申告書などです。これらに副業の売上を書く欄はありません。したがって、正しく書けばここから漏れることはありません。

問題が起きるのは、副業のために支払った国民年金や小規模企業共済の掛金などを年末調整で申告した場合です。金額の性質から、給与以外の活動があることが推測されます。副業に関係する控除は年末調整で出さず、確定申告のほうで申告すれば、会社に情報を渡さずに済みます。

もう1つは、住宅ローン控除やふるさと納税の手続きです。ふるさと納税のワンストップ特例は、確定申告をすると使えなくなります。確定申告をする年は、寄附金の控除も確定申告で申告します。ここを忘れると控除が漏れるので、副業の申告とセットで確認してください。

事業所得として申告する場合は、開業届の提出も検討することになります。提出期限は誤解が多い部分です。

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで 出典: nta.go.jp

開業した年分の確定申告期限までが期限です。「開業から1か月以内」という説明が世に多く残っていますが、現在の記載とは違います。開業届は税務署に出すもので、勤務先に通知されるものではありません。青色申告の承認申請は、原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以後に事業を始めた場合は開始の日から2か月以内です。

経路4 社会保険の手続きから知られるか

社会保険の経路については、正確に切り分ける必要があります。ここを不安の種にしている方が多いのですが、BOOTHでの販売に限れば、この経路は原則として発生しません。

社会保険(健康保険と厚生年金)の加入は、雇用されていることが前提です。2か所以上の事業所で被保険者になる場合、二以上事業所勤務届を提出することになり、保険料の計算が合算されるため、双方の勤務先に情報が回ります。副業がアルバイトで、そのアルバイト先で社会保険に加入する条件を満たした場合に起きるのがこの経路です。

BOOTHでの販売は雇用ではありません。自分で作ったものを自分で売っているので、被保険者になる話が出てきません。したがって、この経路からは知られません。同じ理由で、雇用保険の加入手続きも発生しません。

ただし、将来的に売上が伸びて法人を設立し、その法人から役員報酬を受け取る形にすると、そこで社会保険の加入が生じます。個人で販売している段階と、法人化した段階では扱いが変わります。

短時間のアルバイトを併用している方は、社会保険の加入要件を確認しておいてください。週20時間以上、2か月を超える雇用の見込み、学生ではないことが要件です。所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月に撤廃されました。企業規模の要件も段階的に拡大しており、36人から50人の企業は2027年10月、21人から35人は2029年10月、11人から20人は2032年10月、10人以下は2035年10月に対象になります。アルバイトを足すと、BOOTHとは別の経路が開くことになります。

経路5 ショップの公開情報から知られる

制度ではなく、人の目から知られる経路です。実際にはこれが一番多いのではないかと考えています。税金の話ばかりが語られて、この部分の対策が薄くなっているのは、正直なところ順番が逆だと思います。

確認すべき箇所を挙げます。第1に、ショップ名とプロフィールです。本名や社名に近い文字列を含めていないか、過去に使っていたハンドルネームと同じものを使っていないかを見ます。検索でつながる文字列は、思っているより多く残っています。

第2に、商品画像に写り込む情報です。作業机の背景、パソコンの画面、書類、名札、社員証、窓の外の景色。特に画面のスクリーンショットを商品説明に使う場合、タブやブックマークバーに業務のサービス名が残っていないかを確認します。

第3に、画像の付帯情報です。カメラやスマートフォンで撮った写真には、撮影日時や位置情報が記録されていることがあります。出品前に画像を書き出し直して、この情報を落としておくのが確実です。

第4に、発送時の差出人情報です。自宅発送の場合、伝票に住所と氏名が載ります。BOOTHにはあんしんBOOTHパックのように、発送元の住所と氏名を相手に伏せられる仕組みがあります。ダウンロード販売であれば、そもそも発送が発生しません。

第5に、SNSとの接続です。作品の宣伝アカウントと、業務で使っているアカウントを同じ端末で運用していると、おすすめの表示や連絡先の同期からつながることがあります。連絡先の同期は明示的に切っておきます。

第6に、勤務先の同僚や取引先が趣味の領域で重なる可能性です。同じジャンルの作品を扱っていれば、遅かれ早かれ目に入ります。ここは完全には防げないので、就業規則を先に確認して、見つかっても問題にならない状態を作るほうが現実的です。

副業の形ごとに経路の数が違う

ここまでの整理を踏まえて、副業の形と、会社に知られる経路の数を対応させておきます。形を選ぶ段階で経路の数が決まるため、先に知っておくと判断が楽になります。

アルバイトやパートのような雇用の形は、経路が最も多くなります。給与所得なので住民税の普通徴収を選べません。勤務時間が週20時間以上などの要件を満たせば、雇用保険と社会保険の加入手続きが発生し、そこから情報が回ります。年末調整も2か所から受けられないため、確定申告が必要になります。隠したい理由があるなら、雇用の形は避けるのが合理的です。

業務委託で仕事を受ける形は、経路が減ります。給与所得ではないので住民税の普通徴収を選べます。雇用ではないので社会保険と雇用保険の手続きも発生しません。残るのは、発注者が勤務先と関係している場合や、公開された納品物から特定される場合です。

BOOTHのように自分で商品を売る形も、業務委託と同じく経路は少なくなります。違いは、ショップやSNSを公開して集客する必要があるため、公開情報から特定される可能性が高くなることです。集客をしないと売れないので、この部分は構造的に避けられません。

不動産や株式のような資産からの収入は、また別の扱いになります。給与所得ではないため住民税の普通徴収を選べますが、一定の規模を超えると事業として扱われる場合があります。

つまり、税や社会保険の経路を減らしたいなら雇用以外の形を選び、公開情報の経路を減らしたいなら集客を必要としない形を選ぶ、という対応になります。両方を減らせるのは業務委託の形です。作品を売る楽しさと、経路の少なさを両立させたいなら、業務委託で土台を作りつつ作品づくりを続ける配分が現実的です。

そもそも就業規則を確認する

対策を積む前に、自分の会社の規則を読んでおくのが先です。副業が全面的に禁じられている職場は減っており、届出制や許可制に変わっている職場が増えています。

厚生労働省が公開しているモデル就業規則では、副業や兼業について、令和7年12月版で第70条に置かれています(同省の副業に関するページの本文には第68条という古い表記が残っています)。この条文では、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、届出により会社が制限できる事由を4つに限定しています。労務の提供に支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破る行為がある場合、そして競業により会社の利益を害する場合です。

モデル就業規則はあくまで例なので、自分の会社の規定がこれと同じとは限りません。ただ、判断の枠組みとしては参考になります。BOOTHで自作のイラストやデータを販売する行為が、この4つのどれかに当たるかを考えてみると、多くの場合は当たりません。当たるとすれば、業務で得た情報や素材を使った場合、勤務先の顧客を相手にした場合、勤務先と競合する商品を出した場合です。

規則に届出制と書かれているなら、届け出たほうが結果的に安全です。隠したまま見つかった場合と、届け出て許可を得ている場合では、扱いがまったく違います。届け出ることに抵抗があるなら、その理由が上の4つのどれかに触れていないかを先に検討してください。

販売にかかる費用と手取りを把握する

住民税の額は所得の額で決まるため、費用の把握がそのまま対策になります。BOOTHで売る場合にかかる費用を整理します。

BOOTHのサービス利用料は5.6%に45円を加えた額です。自宅から発送する場合は商品価格と送料の合計に対して、ダウンロード販売の場合は商品価格に対してかかります。振込の手数料は200円から300円の範囲です。数字は改定されることがあるので、申告の前にサービス側の案内で確かめてください。

他のプラットフォームと比べると、手数料の構造の違いが見えます。ハンドメイドの作品を扱うminneの販売手数料は10.659%(税込)で、作品価格と購入オプション価格と送料の合計にかかります。Creemaの成約手数料は決済総額の10.67%(税込)です。noteは事務手数料とプラットフォーム利用料が別立てで、クレジットカード決済の事務手数料が5%、そこから引いた額の10%がプラットフォーム利用料になります。

数字を並べると、ダウンロード販売を中心にするならBOOTHの手数料は低いほうだと分かります。ただし手数料だけで選ぶと、集客の差で回収できないことがあります。売上に対する手数料の率と、そのプラットフォームで実際に売れる数を掛けて比べるのが妥当です。

いずれにしても、経費として記録すべき項目は同じです。プラットフォームの手数料、振込手数料、印刷や製造の外注費、材料費、梱包材、送料、素材やフォントの購入費、制作に使うソフトの利用料、業務に使った通信費の按分。領収書やメールの控えを月ごとにまとめておけば、申告のときに困りません。

雑所得と事業所得のどちらで申告するか

住民税の額に直結するため、所得の区分についても整理しておきます。BOOTHでの販売が雑所得なのか事業所得なのかで、使える制度が変わります。

国税庁は、給与所得者の副収入のうち、インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリを利用した個人取引による所得を雑所得の例として挙げています。

年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて、確定申告が必要となります 出典: nta.go.jp

同じページには、NFTを組成して第三者に譲渡したことによる所得も雑所得の例として掲載されています。デジタルデータの販売が雑所得に入りやすいことが分かります。

一方、事業所得として認められると、青色申告の特典が使えます。青色申告特別控除は原則55万円で、電子帳簿保存を行うか、e-Taxで申告する場合は65万円になります。赤字が出た年に他の所得と損益を通算できる点も違います。ただし、事業所得として認められるには、継続性、反復性、独立性、営利を目的としていることといった実態が必要です。趣味の延長で年に数回売る程度では、事業と認められません。

どちらに当たるかは、売上の規模、帳簿の備え付け、継続している期間、取引の記録の残し方などを総合して判断されます。一般にはこう扱われるという整理にとどまり、個別の判定は状況で変わります。金額が大きくなってきた段階で、税務署の相談窓口か税理士に確認してください。自分で決めて申告すると、あとから区分を直すことになり、住民税の計算もやり直しになります。

区分によって会社に知られやすさが変わるわけではない点も押さえておきます。どちらであっても、住民税の徴収方法を選ぶ手続きは同じです。区分の話は税額の話であり、経路の話ではありません。

売上と経費の記録をどう残すか

所得の計算は、売上から経費を引いた形で行います。記録が残っていないと、売上がそのまま所得として扱われます。ここが手間の中心なので、続けられる形にしておくことが大事です。

売上の記録は、プラットフォームの管理画面から取得できます。BOOTHであれば注文の一覧と売上の明細を書き出せます。月末に書き出して保存するという習慣にしておけば、年度末にまとめて作業する必要がなくなります。書き出したデータは、期間、注文ID、商品名、販売額、手数料、送料の項目が残る形で保存します。

経費の記録は、支出の性質ごとに分けます。プラットフォームの手数料、振込手数料、印刷や製造の外注費、材料費、梱包材、送料、素材やフォントの購入費、制作に使うソフトの利用料。これらは全額が経費になります。

按分が必要なものもあります。自宅の家賃や電気代、通信費は、業務に使っている割合の分だけが経費です。割合の決め方には合理的な根拠が必要で、作業に使っている面積の比率や、月あたりの作業時間の比率を使うのが一般的です。根拠をメモに残しておけば、後で説明できます。

パソコンやタブレットのように長く使う道具は、金額によって扱いが変わります。取得価額が10万円未満なら購入した年の経費にできます。10万円以上になると減価償却の対象で、複数年に分けて経費にします。青色申告をしている場合は、30万円未満の少額減価償却資産の特例が使える場合があります。

証憑の保存も必要です。領収書、請求書、クレジットカードの明細、電子メールで届いた購入の控え。電子的にやりとりした取引の記録は、電子帳簿保存法の要件に沿って電子のまま保存することになります。制度の内容は国税庁の特設サイトで確認できます。要件を満たす形にしておかないと、あとから紙に印刷しても認められない場合があります。

記録を残す作業は面倒ですが、住民税の額を下げる効果が直接あります。所得が下がれば、会社に届く通知の差も小さくなります。手間の見返りは二重にあると考えてよいでしょう。

会社に知られたときにどう対応するか

対策を積んでも、可能性はゼロになりません。知られた場合の対応を先に決めておくと、慌てずに済みます。

最初に確認するのは、就業規則のどの条文に触れるのかです。多くの規則は、副業そのものを禁じるのではなく、届出を要件にしています。届出を出していなかったのであれば、手続きの不備という話になり、業務への支障や情報の漏洩といった実質的な問題とは別です。

次に、実質的な問題がないことを示せる材料を揃えます。作業をしていた時間帯が勤務時間と重なっていないこと、会社の設備や情報を一切使っていないこと、販売しているものが会社の事業と競合しないこと。この3点を具体的に説明できれば、モデル就業規則が挙げる制限事由には当たりません。

そのうえで、届出が必要だったのであれば、その時点で出します。隠し続けようとするほど状況が悪くなるのは、どの事例でも同じです。

懲戒の対象になりうるのは、実質的な支障があった場合に限られます。勤務中に副業の作業をしていた、業務で得た情報や素材を使った、勤務先の顧客に販売した、といった事情があるとき、対応は変わります。この場合は早めに専門家に相談してください。労働に関する相談は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで無料で受けられます。

なお、副業を理由に一方的に解雇されるかどうかは、就業規則の定めと実際の支障の程度で判断されます。一般にはこう扱われるという整理にとどまり、個別の判断は事情によって変わります。自己判断で結論を出さず、記録を揃えて相談するのが確実です。

20年この市場を見てきた立場からの観察

在宅の仕事の仲介を長く運営している立場から見ると、副業が会社に知られて問題になる事例には偏りがあります。税金の手続きを間違えたケースよりも、本人がうっかり公開情報から特定されたケースのほうが圧倒的に多いのです。住民税の通知は、経理の担当者が全員分の額を突き合わせて調べない限り、そこまで目立ちません。一方、SNSで作品を宣伝している以上、同じ趣味の同僚には届きます。

もう1つ気づくのは、長く続く人ほど「隠す設計」より「説明できる設計」を選んでいることです。就業規則を確認して届出を済ませ、業務で得た情報を一切使わず、勤務時間と重ならない時間に作業する。この3つを守っていれば、知られたところで問題になりません。隠すことに手間をかけるほど、知られたときの説明が難しくなります。

売り方についても傾向があります。作品を単発で売り続ける人より、同じ買い手から次も買ってもらえる関係を作った人のほうが、収入が安定しています。プラットフォームの手数料についても、額面より手取りで見る癖をつけると判断を間違えにくくなります。中間の取り分が乗らない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多く頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の仕組みが効くのは、金額の派手さではなく、この手取りの質のところです。

自分で売る以外の選択肢も並べておく

BOOTHでの販売は、自分で商品を作って自分で売る形です。これは在宅で収入を得る方法の1つですが、唯一の方法ではありません。並べて考えておくと、リスクの取り方を選べます。

自分で売る形の特徴は、上限がないことと、売れるまで収入がゼロなことです。作品が当たれば大きく伸びますが、読みにくい部分が残ります。一方、業務を受けて納品する形は、単価が決まっており、納品すれば報酬が発生します。収入の見通しが立つ代わりに、上限は稼働時間で決まります。

どちらが向いているかは、いま必要なのが安定か伸びかで変わります。両方を並行させる人も多く、平日は業務委託で収入の土台を作り、休日に自分の作品を作るという配分が現実的です。

業務委託の側の相場を知っておくと、配分を決めやすくなります。文章を書く仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、開発の仕事ならソフトウェア作成者の年収・単価相場で、職種ごとの単価と年収の分布を確認できます。自分の作品の売上と比べれば、時間をどちらに配分すべきかが数字で見えます。

説明できる資格を1つ持っておくと、業務委託の側で選考に乗りやすくなります。文書作成の基礎を示すならビジネス文書検定、ネットワークの基礎を示すならCCNA(シスコ技術者認定)のように、業務と地続きのものを選びます。

報酬が支払われないトラブルへの備えも先に知っておくと安心です。未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】には回収の手順と費用の目安があり、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストには発注書に書かれていなければならない項目が一覧で整理されています。

どんな業務が在宅で成立しているかを先に見ておくことも役に立ちます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように業務の中身と必要な経験が書かれたページを読んでおくと、募集の説明が足りているかを自分で判定できるようになります。在宅ワークの求人を扱うサイトで職種ごとの募集内容を並べて見れば、自分の作品づくりと組み合わせられる仕事が見つかります。

BOOTHでの販売が会社に知られる経路は限られていて、そのうち税金に関わる部分は手続きの選び方で塞げます。残る公開情報の部分は、隠すよりも説明できる状態を作るほうが確実です。就業規則を読み、住民税の徴収方法を選び、画像と差出人情報を整える。この3つを押さえれば、必要な対策はほぼ揃います。

よくある質問

Q. BOOTHの売上が20万円以下なら何もしなくてよいのですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。20万円の線は所得税だけの話で、住民税には同じ免除がありません。住民税の申告は期限が3月15日、提出先は1月1日現在の住所地の市区町村です。ここで徴収方法を選ばないと自動で給与に上乗せされるため、かえって会社に知られる可能性が残ります。

Q. 住民税を普通徴収にすれば会社に知られませんか?

BOOTHの売上は給与所得ではないため、普通徴収を選べます。地方税法321条の3第2項のただし書きが根拠で、申告書に自分で納付する旨を記載すれば給与に上乗せされません。ただし副業がアルバイト(給与所得)の場合は選べません。自治体によって運用の幅があるため、市区町村の住民税担当課で確認してください。

Q. 社会保険の手続きからBOOTHの販売が知られることはありますか?

原則としてありません。社会保険の加入は雇用されていることが前提で、自分の作品を自分で売る形は雇用ではないためです。二以上事業所勤務届が必要になるのは、2か所以上の勤務先で被保険者になる場合です。ただし短時間のアルバイトを併用して加入要件を満たすと、そちらの経路が開きます。

Q. 開業届はいつまでに出せばよいのですか?

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。「開業から1か月以内」という説明は現在の記載と違います。開業届は税務署に出すもので、勤務先に通知されるものではありません。青色申告の承認申請は原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以後に開業した場合は開始の日から2か月以内です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月10日最終更新:2026年10月2日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方