労務管理の国家資格|社会保険労務士と衛生管理者


この記事のポイント
- ✓社会保険労務士と衛生管理者を中心に解説
- ✓第58回社労士試験の合格率
- ✓衛生管理者の選任が必要な事業場の規模
労務管理の仕事で国家資格を取りたいと考えたとき、最初に名前が挙がるのは社会保険労務士です。ただ、社会保険労務士は合格率が1割に届かない年が多い難しい試験で、いきなり挑戦するのは不安だという人もいるでしょう。結論から言うと、労務管理に関わる国家資格の中心は、労働と社会保険の法律の専門家である社会保険労務士と、職場の健康と衛生を管理する衛生管理者の2つです。社会保険労務士は労務管理全体の専門性を示す資格で、衛生管理者は常時50人以上の働く人がいる事業場で選任が義務づけられている、実務で必ず必要とされる資格です。この記事では、2つの資格の受験資格、試験の中身、難しさ、取ったあとにできることを、厚生労働省と試験機関の公式の情報で確かめて説明します。あわせて、キャリアコンサルタントなど関連する国家資格や、名前の似た民間資格との違いも整理します。
労務管理の仕事とはどんな内容か
労務管理とは、会社で働く人の労働条件や働く環境を整え、法律に沿って管理する仕事です。人事の仕事のうち、採用や評価よりも、日々の働き方と手続きに近い部分を受け持ちます。主な仕事は次のとおりです。
- 労働時間と休日、休暇の管理:勤怠の集計、残業の上限の管理、有給休暇の取得の管理
- 給与の計算:毎月の給与と賞与の計算、社会保険料や税金の控除
- 社会保険と労働保険の手続き:入社や退職のときの健康保険、厚生年金保険、雇用保険の手続き
- 就業規則の作成と見直し:法改正に合わせた規則の改定、労働基準監督署への届出
- 安全と健康の管理:健康診断の実施、ストレスチェック、職場の環境の点検
このように、労務管理の仕事は、労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法など、多くの法律にまたがっています。法律は毎年のように改正されるため、改正の内容を理解して社内の手続きや規則に反映させる力が求められます。労務管理の国家資格は、この法律の知識を体系的に持っていることを示すものです。
労務管理の国家資格が求められる背景
働き方の多様化に合わせて、労働や社会保険の法律は改正が続いています。短時間で働く人の社会保険の加入の範囲は段階的に広がり、2026年10月には、月額8.8万円以上という賃金の要件が撤廃されました。育児や介護と仕事の両立を支える制度も見直しが続き、会社はそのたびに手続きや規則を見直す必要があります。
こうした改正に正しく対応できないと、会社は保険料の追加の負担や、労働基準監督署からの指導を受けることになります。働く人にとっても、受けられるはずの給付を受けられなかったり、不利な扱いを受けたりするおそれがあります。労務管理の担当者に専門的な知識が求められるのは、会社と働く人の両方を守るためです。
心と体の健康を守る取り組みの重要性も高まっています。長時間労働による健康の悪化や、職場のストレスによる不調を防ぐため、会社には健康診断の実施や、一定の規模の事業場でのストレスチェックの実施などが求められています。衛生管理者は、こうした健康の管理を担う専門職として、法律で配置が決められています。
社会保険労務士は労務管理全体の専門家
社会保険労務士は、労働と社会保険に関する法律の専門家として、社会保険労務士法に基づいて設けられた国家資格です。会社の依頼を受けて、社会保険や労働保険の書類を作って役所に出したり、就業規則を作ったり、労務管理の相談に応じたりします。
社会保険労務士だけができる仕事
社会保険や労働保険の手続きの書類を、他人から報酬を受けて作成し、役所に提出することは、社会保険労務士の独占業務とされています。つまり、会社の外から手続きを代行してお金を受け取ることは、社会保険労務士でなければできません。会社の従業員が自分の会社の手続きをすることは、資格がなくてもできます。
この違いは、資格を取ったあとの働き方に関わります。社内の労務担当者として働く場合、社会保険労務士の資格は知識の証明になり、昇進や手当の判断材料になります。独立して事務所を開く場合や、社会保険労務士の事務所で働く場合には、資格があってはじめてできる仕事が中心になります。
受験資格は学歴、実務経験、国家試験の合格のいずれか
社会保険労務士試験には受験資格があります。試験を実施する社会保険労務士試験センターの案内では、受験資格は学歴、実務経験、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格の3つに分けられ、いずれか1つを満たす必要があるとされています。
学歴では、大学や短期大学、高等専門学校(5年制)を卒業した人や、大学で62単位以上を修得した人などが対象です。実務経験では、労働社会保険の法令に関する事務などに一定の期間従事した人が対象になります。申し込むときには、受験資格を証明する書類の提出が必要です。高校を卒業してすぐの人などは、学歴の要件を満たさない場合があるので、試験センターの案内で自分が当てはまる区分を先に確かめましょう。
試験は8月の1日で、選択式と択一式
第58回(令和8年度)の試験は8月23日(日曜日)に行われました。受験案内によると、午前に選択式(80分)、午後に択一式(210分)が行われ、受験手数料は15,000円です。
試験科目は次のとおりです。
| 試験科目 | 選択式 | 択一式 |
|---|---|---|
| 労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問 | 10問 |
| 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む) | 1問 | 10問 |
| 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む) | 1問 | 10問 |
| 労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問 | 10問(社会保険の一般常識と合わせて) |
| 社会保険に関する一般常識 | 1問 | 同上 |
| 健康保険法 | 1問 | 10問 |
| 厚生年金保険法 | 1問 | 10問 |
| 国民年金法 | 1問 | 10問 |
科目が多く、労働と社会保険の両方の法律を幅広く問われるのが特徴です。合否は、総得点だけでなく科目ごとの得点にも基準があり、1つの科目でも基準を下回ると不合格になります。苦手な科目を作らずに、全体を満遍なく学ぶ必要があります。
第58回の合格率は9.3%
厚生労働省が令和8年10月1日に発表した第58回試験の結果は次のとおりです。
(1) 受験申込者数 52,842 人(前年 53,618 人、対前年 1.4%減) (2) 受験者数 42,510 人(前年 43,421 人、対前年 2.1%減) (4) 合格者数 3,961 人(前年 2,376 人) (5) 合格率 9.3%(前年 5.5%) 出典: 社会保険労務士試験オフィシャルサイト(第58回社会保険労務士試験の合格者発表)
合格率は9.3%で、前年の5.5%より高くなりましたが、それでも10人に1人も受からない試験です。同じ発表によると、合格者の職業は会社員が61.9%と最も多く、働きながら合格している人が多いことが分かります。合格者の年齢は30歳代が31.4%、40歳代が28.2%で、仕事の経験を積んでから挑戦する人が多い資格です。
合格しただけでは社会保険労務士を名乗れない
試験に合格したあと、社会保険労務士として働くには、全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録する必要があります。厚生労働省の発表では、労働社会保険の法令の事務に2年以上従事した人か、厚生労働大臣が指定した講習を修了した人が、登録によって社会保険労務士になれるとされています。実務の経験がない人は、講習を受けてから登録するのが一般的です。登録には費用がかかり、毎年の会費も必要です。
衛生管理者は職場の健康を守る専門職
衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく国家資格(免許)で、職場の衛生に関する技術的な事項を管理する専門職です。試験は公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施しています。
常時50人以上の事業場で選任が必要
衛生管理者が実務で必ず必要とされるのは、法律で選任が義務づけられているからです。安全衛生技術試験協会の案内では、次のように説明されています。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者免許を有する者のうちから労働者数に応じ一定数以上の衛生管理者を選任し、安全衛生業務のうち、衛生に係わる技術的な事項を管理させることが必要です。 出典: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会
選任する人数は、労働安全衛生規則で事業場の規模ごとに決められています。
| 常時使用する労働者の数 | 衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上200人以下 | 1人以上 |
| 200人を超え500人以下 | 2人以上 |
| 500人を超え1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,000人を超え2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,000人を超え3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,000人を超える場合 | 6人以上 |
選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、所轄の労働基準監督署長に報告することも定められています。現在の規則では、この報告は電子情報処理組織、つまりオンラインで行う形になっています。社員が50人を超えた会社や、衛生管理者が退職した会社では、すぐに資格を持つ人を確保する必要があり、労務担当者が衛生管理者の免許を持っていると重宝されます。
第一種と第二種の違い
衛生管理者には第一種と第二種があります。第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれます。第二種は、有害な業務と関わりの少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など、一定の業種の事業場でのみ衛生管理者になれます。
製造業、建設業、運送業、医療業などでは、第一種の免許が必要です。事務職が中心の会社であれば第二種で足りますが、将来ほかの業種の会社に転職する可能性を考えると、最初から第一種を取っておく人も多くいます。
試験の科目と受験資格
第一種の試験は、関係法令、労働衛生、労働生理の3科目で、有害業務に関わる問題と、それ以外の問題が出題されます。試験時間は3時間です。第二種は、有害業務に関わる問題を除いた範囲で出題されます。
受験資格には、学歴と労働衛生の実務経験の組み合わせが求められます。たとえば、大学や短期大学、高等専門学校を卒業した人は、卒業後1年以上の労働衛生の実務経験があれば受験できます。高校を卒業した人は、より長い実務経験が必要です。労働衛生の実務には、健康診断の実施に関する事務や、職場の環境の点検などが含まれるので、労務の担当者として働いていれば、比較的早く受験資格を満たせることが多くあります。受験資格の細かな判断は、協会のサイトの案内で確かめてください。
試験は全国の安全衛生技術センターで、年間を通じて複数回行われています。社会保険労務士試験のように年1回ではないため、受けたい時期に合わせて準備できるのも特徴です。
社会保険労務士と衛生管理者の比較
2つの資格を並べて比べると、性格の違いがよく分かります。
| 項目 | 社会保険労務士 | 衛生管理者 |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 社会保険労務士法 | 労働安全衛生法 |
| 主な役割 | 労働と社会保険の手続き、就業規則、労務の相談 | 職場の衛生の管理、健康障害の防止 |
| 試験の回数 | 年1回 | 年間を通じて複数回 |
| 難しさ | 合格率は1割前後 | 社会保険労務士より取り組みやすい |
| 取ったあと | 名簿への登録が必要 | 免許の交付を受けて選任される |
社会保険労務士は、労務管理の全体を扱う専門家として、長い時間をかけて取る資格です。衛生管理者は、実務で必要とされる場面がはっきりしていて、比較的短い期間で取れる資格です。
労務の担当者として働き始めたばかりの人には、まず衛生管理者を取り、実務の経験を積みながら社会保険労務士の勉強を進める順番がおすすめです。衛生管理者の試験で学ぶ労働安全衛生法の知識は、社会保険労務士試験の「労働基準法及び労働安全衛生法」の科目とも重なります。先に衛生管理者を取ることで、法律の勉強に慣れながら、会社の中で役立つ資格を手にできます。
労務管理に関わるそのほかの国家資格
社会保険労務士と衛生管理者のほかにも、労務管理や人事の仕事に関わる国家資格があります。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、働く人の職業の選び方や能力の開発について相談に応じ、助言や指導を行う専門職の国家資格です。厚生労働省の案内では、キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した人や、技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した人などが受験できるとされています。
会社の人事の部門で、社員の配置やキャリアの相談、研修の企画に関わる人にとって役立つ資格です。試験に合格したあとに登録をしてはじめてキャリアコンサルタントを名乗れ、登録には更新の仕組みがあります。
厚生労働大臣が認定する養成講習は、厚生労働省の講習検索サイトで探せます。講習の形には、動画などで自分のペースで学ぶ通信と、決まった時間に集まって学ぶ通学(オンラインを含む)があり、両方を組み合わせた講習もあります。仕事と両立できる形かどうかを、申し込む前に講習を実施する機関の案内で確かめておきましょう。
技能検定のキャリアコンサルティング職種
キャリアコンサルティング技能士は、技能検定として行われる国家検定です。1級と2級があり、キャリアコンサルタントの経験を積んだ人が、さらに高い水準の力を示すために受けます。人事の仕事で社員の相談の体制を作る立場の人に向いています。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営の診断と助言を行う専門家の国家資格です。人事と労務は経営の一部なので、試験の範囲に組織や人事の分野が含まれています。労務の専門性に加えて、経営全体の視点を持ちたい人が選ぶ資格です。
名前の似た民間資格との違い
労務管理の資格を調べていると、「労務管理士」「人事労務検定」のように、名前の似た資格が多く見つかります。これらの多くは、民間の団体が独自に認定するもので、国家資格ではありません。
民間資格には、短い期間で取れる、通信講座で学べる、費用が手ごろといった利点があります。労務管理の基本を学ぶきっかけとしては役立ちます。ただし、社会保険労務士の独占業務を行えるようになるわけではなく、衛生管理者のように法律で選任が求められるものでもありません。求人の応募資格に書かれていることも、国家資格に比べると少ないのが実情です。
民間資格の講座を申し込む前に、その資格を誰が認定しているのか、取ったあとに何ができるのかを確かめましょう。目的が「法律の知識を体系的に学ぶこと」であれば、社会保険労務士試験の学習を始めるほうが、結果的に遠回りにならない場合もあります。
働きながら社会保険労務士試験に合格するための勉強の進め方
社会保険労務士試験の合格者の多くは会社員です。働きながら合格するには、1年ほどの長い期間をかけて、計画的に勉強を進めることが欠かせません。
まず、試験日から逆算して計画を立てます。試験は毎年8月なので、前の年の秋から勉強を始めると、10か月ほどの期間を確保できます。最初の半年で全科目を一通り学び、残りの期間で過去問題と模擬試験を繰り返す流れが一般的です。
科目の順番も工夫します。労働基準法や労働安全衛生法など、労務の仕事で触れることの多い法律から始めると、具体的な場面を思い浮かべながら学べます。年金の科目は、制度の仕組みが複雑で覚えることが多いため、早めに手を付けて、繰り返し復習する時間を確保しましょう。
一般常識の科目は、範囲が広く対策が難しい科目です。労働や社会保険に関する統計や、最近の法改正が出題されることもあるため、厚生労働省の発表や白書にも目を通しておくと役立ちます。
平日は通勤の時間や昼休みに問題を解き、休日にまとまった時間を取って、テキストの読み直しと苦手な分野の整理をする進め方が続けやすい方法です。教育訓練給付制度の対象になっている講座を使うと、受講料の一部が戻る場合があるので、講座を選ぶ前に厚生労働省の案内とハローワークで確かめましょう。
衛生管理者の試験に向けた準備
衛生管理者の試験は、社会保険労務士試験に比べると範囲が狭く、2か月から3か月ほどの準備で合格をめざす人が多い試験です。
関係法令の科目では、衛生管理者や産業医の選任の基準、健康診断の種類と時期、作業環境の基準など、数字を伴う決まりが多く出題されます。数字は似たものが多いので、表にして整理すると覚えやすくなります。労働衛生の科目では、職場の照明や換気、温度の基準、作業による健康障害と予防の方法を学びます。労働生理の科目では、体の仕組みや働きについて、高校の生物に近い内容が出題されます。
試験は過去の問題と似た形で出題されることが多いため、過去問題を繰り返し解くことが合格への近道です。間違えた問題は、なぜ間違えたのかをテキストで確かめ、同じ論点を何度も解き直します。
合格したあとは、都道府県労働局に免許の申請をして、免許証の交付を受けます。免許を受けてはじめて、衛生管理者として選任されることができます。
労務の実務で起きやすいミスと資格の知識の関係
労務管理の国家資格の価値は、日々の実務で起きやすいミスを防げることにあります。労務の担当者がつまずきやすい場面と、資格の勉強で身につく知識の関係を見てみましょう。
1つ目は、社会保険の加入の判断です。短時間で働く人を雇うとき、社会保険に加入させるべきかどうかの判断を誤ると、あとからさかのぼって保険料を納めることになります。週の労働時間や雇用の見込み期間、会社の規模など、判断に使う要件は改正のたびに変わります。社会保険労務士試験の健康保険法や厚生年金保険法の勉強では、こうした要件の考え方を体系的に学びます。
2つ目は、残業の時間の管理です。時間外労働には上限があり、労使で結ぶ協定(36協定)の範囲を超えて働かせることはできません。月ごとの上限、年間の上限、複数月の平均の上限など、確かめるべき数字がいくつもあります。労働基準法の知識があると、勤怠の集計の段階で危ない働き方に気づけます。
3つ目は、健康診断の実施です。雇い入れのときの健康診断、年1回の定期健康診断、深夜の業務に就く人の健康診断など、種類と時期が細かく決められています。衛生管理者の試験では、これらの決まりを関係法令の科目で学ぶため、会社の健康診断の計画を立てるときにそのまま役立ちます。
4つ目は、退職の手続きです。退職した人の雇用保険の手続きが遅れると、本人が失業したときの給付の手続きに影響します。手続きの期限と必要な書類を正しく理解していることは、辞めていく人への最後の責任でもあります。
法改正の情報を追いかける習慣
労務管理の仕事では、資格を取ったあとも学び続けることが欠かせません。労働や社会保険の法律は毎年のように改正され、施行の日も改正ごとに違います。
改正の情報を確かめるときは、厚生労働省や日本年金機構、ハローワークなど、制度を所管する機関の公式の発表を読む習慣をつけましょう。民間の解説記事は分かりやすい反面、古い情報のまま更新されていないことがあります。数字や施行日を社内の規則や手続きに反映させるときは、必ず公式の発表で確かめます。
改正の内容を社内に伝えるときは、法律の言葉をそのまま並べるのではなく、「誰に」「いつから」「何が変わるのか」を整理して伝えると、社員にも上司にも理解されやすくなります。社会保険労務士試験の一般常識の科目では、こうした改正や統計の知識も問われるため、試験の勉強と日々の情報収集を結び付けると効率よく学べます。
社会保険労務士試験の科目免除と受験の工夫
社会保険労務士試験には、一定の条件を満たした人が一部の科目の免除を受けられる仕組みがあります。受験案内では、試験科目の免除の申請についての手続きが示されており、第58回の試験でも科目免除者として受験した人がいました。公務員として一定の期間、関係する法律の事務に従事した人などが対象になります。自分が対象になるかどうかは、受験案内の科目免除の項目で確かめてください。
受験の申込みは、インターネットと郵送の両方で受け付けられています。受験案内では、インターネットで申し込む場合の決済の手数料と、郵送で申し込む場合の手数料がそれぞれ示されています。第58回の受付期間は令和8年4月13日から5月31日まででした。試験日の3か月ほど前に締め切られるうえ、受験資格を証明する書類をそろえるのに時間がかかることもあるため、早めに準備を始めましょう。法令の基準日も決まっており、第58回では令和8年4月10日の時点で施行されている法令に基づいて解答するとされていました。勉強の終盤には、この基準日までに施行された改正を見落としていないかを確かめておくと安心です。
試験当日は、午前と午後をあわせて長い時間の試験になります。選択式では1つの空欄の誤りが合否を分けることもあるため、問題文を丁寧に読む集中力が求められます。模擬試験を本番と同じ時間割で受けて、長い試験に体を慣らしておくことも大切な準備です。
労務管理の仕事に向いている人
労務管理の国家資格を取る前に、この仕事が自分に合っているかを考えておくことも大切です。労務管理の仕事に向いているのは、次のような人です。
- 法律や規則を読み、その意味を正しく理解することが苦にならない人
- 期限のある手続きを、漏れなく順番に進められる人
- 給与や保険料の数字を、最後まで丁寧に確かめられる人
- 社員の個人的な事情を聞いても、秘密を守れる人
労務の担当者は、社員の給与や家族構成、病気や休職の事情など、とても繊細な情報に触れる立場です。社員から相談を受けたときに、落ち着いて話を聞き、会社の決まりと法律に沿って公平に対応する姿勢が求められます。
反対に、決まった手続きを繰り返すことに飽きやすい人や、細かな数字の確認が苦手な人は、最初は苦労するかもしれません。ただ、労務管理の仕事には、就業規則の見直しや、働き方の制度づくりのように、会社の仕組みそのものを良くしていく役割もあります。手続きの正確さを土台に、制度を考える仕事に広げていけるのが、労務管理の仕事の面白さです。
資格を活かした労務管理の働き方
労務管理の国家資格を取ったあとの働き方は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、会社の中の労務担当者として働く道です。資格は知識の証明となり、労務の責任者や人事の管理職への昇進の材料になります。衛生管理者は、選任されることで社内での役割がはっきりします。
2つ目は、社会保険労務士の事務所で働く道です。多くの会社の手続きや相談を担当するため、短い期間で幅広い経験を積めます。将来独立したい人にとっては、実務を学ぶ場になります。
3つ目は、独立して社会保険労務士の事務所を開く道です。顧問先の会社を自分で開拓する必要があり、営業の力も求められます。最近は、オンラインで手続きを受け付け、遠方の会社とも契約する事務所が増えています。
給与計算や社会保険の手続きは、オンラインの申請が広がったことで、場所を選ばずに行える仕事になりつつあります。労務の知識を持つ人が、業務委託で中小企業の給与計算や手続きの補助を受ける働き方もあります。ただし、報酬を受けて社会保険の書類を作って提出するのは社会保険労務士の独占業務なので、資格のない人が受けられる仕事の範囲には注意が必要です。
労務の知識を在宅の仕事に活かす選択肢
労務管理の知識は、社内の仕事だけでなく、在宅でできる仕事にも活かせます。労働や社会保険の制度を解説する記事の執筆、会社向けの社内規程のひな形の作成の補助、労務の資格の学習教材の校正などは、正確な法律の知識を持つ人が求められる仕事です。
文章の仕事で依頼を受けるには、書いたものの見本を依頼主に見せられる形に整えておく必要があります。見本の選び方からまとめ方まではWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で紹介しています。労務や社会保険のように専門性の高い分野を書ける人は、単価の交渉で有利になりやすく、その進め方はWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で段階ごとに説明しています。
事業所が社員の研修に助成金を使う方法も、労務の担当者が知っておきたい知識です。人材開発支援助成金を使って研修を行う流れは、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、福祉の事業所の例をもとに整理しています。
在宅ワークの仲介サイトを2004年から運営してきた編集部として見てきた限りでは、法律や制度の知識を持つ人が文章の仕事で長く続くかどうかは、正確さを保ちながら、初めて調べる人に通じる言葉で書けるかで決まる傾向があります。労務の現場で社員に制度を説明してきた経験は、そのまま強みになります。仲介の手数料がかからない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手元に残る金額が厚くなります。専門性のある人ほど、この構造の恩恵を受けやすいと感じています。
資格選びの整理
労務管理の国家資格を、目的ごとに整理します。
- 労務の担当者として早く役立つ資格がほしい:第一種または第二種衛生管理者
- 労務管理の専門家として知識を証明したい:社会保険労務士
- 社員のキャリアの相談や研修の企画に関わりたい:キャリアコンサルタント
- 経営全体の視点を持ちたい:中小企業診断士
労務の仕事では、就業規則や社内の通知、手続きの案内など、文書を作る機会が多くあります。法律の内容を誤解なく伝える文書を書く力を身につけたい人は、ビジネス文書検定の資格ガイドで、試験の内容と身につく力を確かめてみてください。
労務管理の国家資格は、社会保険労務士と衛生管理者が中心です。衛生管理者は比較的短い期間で取れ、選任が必要な事業場で確実に役立ちます。社会保険労務士は長い準備が必要ですが、労務管理の専門家としての道を大きく広げます。まずは自分の仕事と会社の状況に合わせて、取り組みやすいほうから挑戦してみてください。
よくある質問
Q. 労務管理の国家資格で、最初に取るならどれがよいですか?
労務の担当者として働き始めたばかりなら、衛生管理者から取るのが現実的です。常時50人以上の事業場で選任が義務づけられているため実務で必ず役立ち、試験は年間を通じて複数回あり、2か月から3か月ほどの準備で合格をめざす人が多い資格です。そのうえで実務を積みながら社会保険労務士の勉強を進めると、法律の知識を無理なく広げられます。
Q. 社会保険労務士試験の合格率はどのくらいですか?
厚生労働省の発表では、第58回(令和8年度)の試験の受験者数は42,510人、合格者数は3,961人で、合格率は9.3%でした。前年の5.5%より高くなりましたが、10人に1人も受からない難しい試験です。合格者の6割以上が会社員で、働きながら1年ほどかけて準備する人が多い資格です。
Q. 第一種衛生管理者と第二種衛生管理者はどう違いますか?
第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれます。第二種は、情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など、有害な業務と関わりの少ない一定の業種の事業場でのみ衛生管理者になれます。製造業や建設業、運送業、医療業などでは第一種が必要なので、転職の可能性を考えて最初から第一種を取る人も多くいます。
Q. 労務管理士は国家資格ですか?
労務管理士は民間の団体が認定する資格で、国家資格ではありません。労務管理の基本を学ぶきっかけにはなりますが、社会保険労務士の独占業務を行えるようになるわけではなく、衛生管理者のように法律で選任が求められるものでもありません。講座を申し込む前に、認定している団体と、取ったあとにできることを確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







