救急外来の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
救急外来の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

この記事のポイント

  • 夕方の申し送りから翌朝までの時間帯ごとに追いました
  • 夜間の人員体制と当直医やオンコールの仕組み
  • 軽症受診が集まる時間帯

救急外来の夜勤は、日中と同じ仕事を、日中より少ない人数と、日中より限られた院内の支えで行う時間です。 結論から言うと、救急外来の夜勤のしんどさを決めるのは「救急車の台数」そのものより、「夜の人員体制がどう組まれているか」と「自分の体がどれだけ夜のリズムに慣れているか」の2つです。

同じ年間の受け入れ台数でも、夜間の看護師の人数、当直医の配置、検査部門の呼び出しの仕組みが違えば、夜勤の中身はまったく別物になります。 そして体の慣れは、根性ではなく順番で作るものです。

この記事では、救急外来の夜勤を夕方から翌朝まで時間帯ごとに追い、夜の人員体制の読み方、2交代と3交代の違い、夜勤に体を慣らしていく順番、求人票で夜間の実態を見抜く方法を整理します。

夜の救急外来は、何が日中と違うのか

最初に、夜の救急外来が日中とどう違うのかを整理しておきます。 違いは大きく3つあります。

1つ目:院内の支えが薄くなる

日中は、各診療科の医師が病院内にいて、放射線技師や臨床検査技師も通常の人数で働いています。 夜になると、医師は当直医と、各科の当番医(オンコールで自宅から呼ばれる医師)に絞られます。 放射線技師や検査技師も、当直の1人か、呼び出しで対応する体制になる病院が多くなります。

つまり、夜の救急外来では「CTを撮りたい」「緊急の検査をしたい」と思ったときに、日中より1つ手順が増えます。 その手順を回すのは、多くの場合、看護師です。

2つ目:看護師の人数が減る

救急外来の看護師の人数も、夜は日中より少なくなります。 規模の小さな病院では、夜間は救急外来の専従を置かず、病棟の看護師が救急の患者さんが来たときに降りてくる体制もあります。 ナース専科の解説でも、この点に触れています。

救急看護師の勤務形態は、基本的に日勤と夜勤の交代制です。病院によっては、日勤・準夜・深夜の三交代制や、早番や遅番がある変則交代制のところもあります。ただし、規模が小さな医療施設のなかには、夜間のみ病棟看護師が救急外来の担当をする場合もあるようです。 出典: recruit.nurse-senka.com

3つ目:来院する人の中身が変わる

日中は、一般外来が開いているため、救急外来に来るのは救急車の患者さんと、一般外来では対応しきれない人が中心です。 夜は一般外来が閉まるため、本来なら翌日にかかりつけ医を受診すればよい軽症の人も、救急外来に集まってきます。 この点について、二次救急を担う病院は次のように案内しています。

当院は、入院や手術が必要な重症な患者を対応する二次救急医療機関としての役割を担っております。昨今、当院の夜間救急外来に緊急性が低く軽症と判断される場合であっても直接受診されるケースが増加しており、重症患者や重篤患者の対応に支障が出るほか、救急担当医をはじめ担当職員に大きな負担をきたしています。 出典: jojinkai.com

夜の救急外来は、人も支えも減る中で、重症と軽症の両方を受ける時間です。 これが、夜勤の構造的な難しさの正体です。

夜は、看護師が判断する場面が増える

この3つの違いが重なると、夜の救急外来では、日中なら誰かに相談できた判断を看護師がその場で下す場面が増えます。 待合で待っている人の状態が変わったとき、当直医がほかの患者さんの処置中で手が離せないなら、トリアージの判定を上げて医師に割り込むかどうかを看護師が決めます。 電話で「受診したほうがよいか」と相談を受けたとき、救急車を呼ぶよう勧めるのか、翌朝の受診でよいと伝えるのかも、医師と相談しながら看護師が組み立てます。

同じ看護師資格でも、夜の救急外来では、日中より一段広い範囲を任されると考えておくのが現実的です。 これは負担であると同時に、判断の力が最も伸びる時間でもあります。 救急外来の経験者が「夜勤で鍛えられた」と口をそろえるのは、この任される範囲の広さによるところが大きいと見ています。

夕方から翌朝まで:夜勤を時間帯ごとに追う

ここからは、2交代制の二次救急病院を想定して、夜勤の流れを時間帯ごとに見ていきます。 時刻は一例で、病院によって前後します。

16時30分から18時:申し送りと、日勤からの持ち越し

夜勤は16時30分前後に始まるのが一般的です。 日勤から申し送りを受けるのは、救急外来に残っている患者さん、夜間に続く対応(家族への連絡待ち、入院先の調整など)、物品や機器の状況です。 入院が決まっているのに病棟の受け入れが済んでいない患者さんがいると、夜勤の最初の仕事は、その患者さんを病棟へ上げる調整になります。 ここで持ち越しが多いと、最初の救急車を受ける前から手がふさがった状態で夜が始まります。

18時から22時:仕事帰りと、子どもの受診が集まる

この時間帯は、一般外来が閉まった直後で、来院が集まりやすい時間です。 仕事帰りに具合の悪さを我慢しきれなくなった人、夕方から熱が上がった子ども、夕食後に腹痛を訴える人。 歩いて来る人のトリアージと、救急車の受け入れが同時に進みます。

夜勤の人数が最もまとまっているのもこの時間帯なので、忙しくても回しやすい時間帯と言えます。 逆に言えば、この時間帯に持ち越しを片付けておかないと、人の少ない深夜に負担が集中します。

22時から2時:酔った人と、状態の悪い高齢の方

22時を過ぎると、歩いて来る人は少しずつ減ります。 代わりに、飲酒に関連したけがや体調不良、自宅や介護施設で様子を見ていたが状態が悪くなった高齢の方の搬送が目立つようになります。 酔って来院した人の対応では、暴れたり大声を出したりする場面もあり、看護師1人で対応しないことが大切です。

この時間帯から、交代で仮眠や休憩に入る病院が多くなります。 2人夜勤なら1人ずつ、3人夜勤なら1人ずつ順番に抜けるため、仮眠中の時間帯は、救急外来に残る看護師がさらに少なくなります。

2時から5時:静かな時間と、突然の重症

深夜から明け方は、救急車の台数が減る時間帯です。 ただし、「減る」だけで「来ない」わけではありません。 この時間帯に来る救急車は、就寝中の急な発症や、呼吸の状態の悪化など、重い症状であることが少なくありません。 人数が最も少ない時間帯に重症の受け入れが入ると、当直医と看護師が総出で対応し、検査部門や当番医を呼び出す手順を同時に回すことになります。

体のリズムとしても、この時間帯は眠気と集中力の低下が最も強くなります。 薬の量の確認をダブルチェックする、声に出して確かめるといった基本を、ここで省かないことが事故を防ぎます。

5時から9時:明け方の搬送と、朝への引き継ぎ

明け方になると、起床後に体の異変に気づいた人の救急要請が入り始めます。 同時に、夜間に使った物品の補充、記録の整理、日勤への申し送りの準備を進めます。 9時前後に日勤へ申し送りを済ませ、夜勤が終わります。 申し送りの直前に救急車が入ると、そのまま処置に加わり、帰る時刻が遅れることもあります。

休日の夜勤は、平日と別物と考える

ここまでは平日の夜勤を想定してきましたが、土曜や日曜、連休の夜勤は中身が変わります。 休日は日中から一般外来が閉まっているため、救急外来は朝から来院が続き、夕方の申し送りの時点で待合に人が残っていることがあります。 地域の休日夜間急患センターが閉まる時間帯になると、そちらで診きれなかった人が二次救急病院へ回ってくることもあります。

年末年始や大型連休は、さらに来院が増える傾向があります。 帰省先で体調を崩した人、かかりつけ医が休みで受診先がない高齢の方、餅をのどに詰まらせた人の搬送など、その時期ならではの来院もあります。 こうした時期は、夜勤の人数を増やす病院もあれば、平日と同じ人数のまま回す病院もあります。 連休中の体制をどう組んでいるかは、面接で聞いておく価値があります。 平日の夜勤に慣れていても、連休の夜勤は別の準備が要ると考えておくと、心の構え方が変わります。

夜の人員体制を読む

夜勤のしんどさを左右する人員体制は、いくつかの要素に分けて見ると読みやすくなります。

看護師の人数

夜間の救急外来の看護師が何人かは、最も基本的な情報です。 年間の救急車の受け入れ台数と合わせて見ると、負担の見当が付きます。 たとえば年間4,000台の病院で、夜間の救急車がそのうち半分だとすると、1晩あたり5台前後です。 これを2人で受けるのか、3人で受けるのかで、1人あたりの負担は大きく変わります。

当直医の配置

夜間に救急外来にいる医師が、救急科の専従医なのか、各科の医師が交代で務める当直医なのかも重要です。 救急科の専従医がいる病院では、初期対応の判断が早く、看護師が医師を探したり、指示を待ったりする時間が短くなる傾向があります。 各科の当直医が交代で務める病院では、当直医の専門によって対応できる範囲が変わるため、当番医を呼ぶ判断に看護師が関わる場面が増えます。

検査と放射線の体制

夜間にCTや検査をすぐに行えるかどうかも、夜勤の動き方を左右します。 放射線技師や検査技師が院内に当直しているのか、自宅から呼び出すオンコールなのかで、検査までの待ち時間が変わります。 オンコールの場合、技師が到着するまでの間、状態が不安定な患者さんを救急外来で見守るのは看護師の役割です。

病棟との関係

夜間に入院が決まったとき、病棟がすぐに受け入れられるかどうかも大切です。 病棟の夜勤も少ない人数で回しているため、救急外来から入院を送ると、病棟側の負担が一気に増えます。 この調整がうまくいかない病院では、入院待ちの患者さんが救急外来に長く残り、次の救急車を受ける場所が足りなくなります。 夜間の入院の受け入れについて、病院全体でルールを決めているかどうかは、見学や面接で聞いておきたい点です。

警備との連携

夜間の救急外来では、暴言や暴力の場面に出会うことがあります。 警備員が救急外来の近くに常駐しているか、呼び出しの手順が決まっているかは、夜勤の安心感に直結します。 正直なところ、この点を求人票に書いている病院はほとんどないので、見学で直接確かめるしかありません。

夜間の受付と事務

夜間は、受付や会計を担う事務の担当者も少なくなります。 事務の当直が1人しかいない病院では、電話の受付、保険証の確認、カルテの作成が重なると、受付で患者さんが待つ時間が延びます。 その間に待合で具合が悪くなる人がいないかを見るのは、多くの場合、看護師です。 病院によっては、夜間の電話での受診相談を看護師が受ける体制になっていることもあり、救急車を受けながら電話にも応じる場面が生まれます。 夜勤の負担を読むときは、看護師の人数だけでなく、夜間の電話と受付を誰が担っているかも確かめておくと、実態に近い見当が付きます。

受け入れを断るという判断

夜間の人数が限られる中では、救急隊からの受け入れ要請に応じられないこともあります。 すでに重症の患者さんの対応で医師も看護師も手がふさがっている、CTが使えない、入院のベッドがない、といった理由です。 受け入れるかどうかの判断は医師が行いますが、救急外来の状況を医師に伝えるのは看護師の役割です。 「いまは受けられる状態か」を正確に伝えることは、目の前の患者さんと、これから来る患者さんの両方を守ることにつながります。 受け入れを断った件数を振り返り、体制を見直している病院は、夜勤の負担を仕組みで減らそうとしている病院だと言えます。

2交代と3交代、夜勤の形の違い

救急外来の夜勤には、主に2交代制と3交代制があります。

項目 2交代制 3交代制
夜勤の時間 16時30分から翌9時前後(約16時間) 準夜16時30分から1時前後、深夜0時30分から9時前後
1回あたりの長さ 長い 短い
月の夜勤の回数 少なめ(4回から5回程度) 多め(準夜と深夜を合わせて8回から10回程度)
仮眠 2時間前後を交代で取ることが多い 取らないことが多い
生活のリズム 夜勤明けと休みがまとまる 勤務の切り替わりが細かい

2交代制の特徴

2交代制は、1回の夜勤が長い代わりに、月の夜勤の回数が少なくなります。 夜勤明けの翌日を休みにする勤務表が組まれることが多く、休みがまとまりやすいのが特徴です。 一方で、16時間の勤務は体への負担が大きく、仮眠が取れなかった夜は明け方の集中力が大きく落ちます。 救急外来では仮眠中にも救急車が来るため、「仮眠の時間はあるが、実際には眠れていない」ということが起きやすくなります。

3交代制の特徴

3交代制は、1回の勤務が8時間程度で短い一方、準夜勤と深夜勤で勤務の回数が増えます。 日勤のあとに同じ日の深夜勤に入る勤務(日勤深夜)がある病院では、勤務と勤務の間が短くなり、睡眠の時間が確保しにくくなります。

どちらが救急外来に向いているか

どちらが良いかは、一概には言えません。 私が話を聞いた救急外来の看護師の中では、「1回は長くても休みがまとまる2交代のほうが生活を組み立てやすい」という人と、「長い夜勤で明け方に判断力が落ちるのが怖いから3交代のほうが安心」という人に分かれました。 自分の体が長時間の勤務に耐えやすいのか、細かい切り替えに耐えやすいのかを基準に選ぶのが合理的です。

勤務表の組み方も見る

同じ2交代制でも、勤務表の組み方で体の負担は大きく変わります。 夜勤明けの翌日が必ず休みになっているか、夜勤が2回続くことがあるか、夜勤明けの翌日に日勤が入ることがないか。 日本看護協会のガイドラインでは、勤務と勤務の間を11時間以上あけること、夜勤の連続は2回までにすること、2回連続の夜勤のあとはおおむね48時間以上の休息をとることなどが目安として示されています。

また、勤務の順番が「日勤、準夜、深夜」のように時計回りに進む組み方(正循環)のほうが、体のリズムに合わせやすいとされています。 逆に、深夜勤のあとに準夜勤、準夜勤のあとに日勤と、時間が早まる方向に進む組み方は、体が慣れにくくなります。 面接で「実際の勤務表を見せてもらえるか」を聞いてみると、夜勤の回数だけでは分からない組み方の特徴が見えてきます。

夜勤に体を慣らしていく順番

救急外来の夜勤に入ったばかりの人の多くが、最初の数か月で体の不調を感じます。 眠れない、食欲が落ちる、休みの日も体がだるい。 これは意志の弱さではなく、体のリズムがまだ夜の働き方に合っていないというだけです。 慣れは、順番を踏むことで作ることができます。

段階1:日勤で救急外来の流れを覚える

夜勤に入る前に、まず日勤で救急外来の流れを覚えることが大前提です。 夜は人数が少なく、分からないことを聞ける相手も限られます。 救急カートの中身、検査部門への連絡の手順、入院の送り方が体に入っていない状態で夜勤に入ると、仕事の不安と体の疲れが重なって、慣れる前に消耗します。 救急未経験で入った人なら、半年ほど日勤で経験を積んでから夜勤に入る病院が多い傾向があります。

段階2:経験者と組んだ夜勤を数回

最初の夜勤は、経験のある看護師と組んで入るのが一般的です。 この時期に意識したいのは、仕事の中身だけでなく、先輩が夜勤の中でどう体を保っているかを見ることです。 いつ水分をとっているか、仮眠に入る前に何をしているか、明け方にどう集中力を保っているか。 私が取材で夜勤に立ち会わせてもらったとき、長く救急外来にいる看護師が、深夜2時を過ぎたあたりで必ず一度、明るい場所で立って記録をしていたのが印象に残っています。 眠気が強くなる時間帯を自分で知っていて、そこで座り続けないようにしていたわけです。

段階3:夜勤前後の過ごし方を決める

夜勤に慣れている人は、夜勤の前後の過ごし方を決めています。

・夜勤の前は、昼過ぎに1時間から2時間ほど仮眠をとる ・夜勤中の食事は、消化のよいものを少なめにして、深夜に食べ過ぎない ・夜勤明けの帰り道は、サングラスなどで強い日の光を避ける ・帰宅したら、長く寝すぎず、昼過ぎに一度起きる ・明けの日の夜は、いつもの時刻に寝る

明けの日に夕方まで寝てしまうと、その夜に眠れなくなり、翌日の体のリズムが崩れます。 明けの睡眠を「短めに区切って、夜にもう一度寝る」形にすると、体のリズムを戻しやすくなります。

段階4:自分に合う夜勤の回数を知る

慣れてきたら、月に何回の夜勤なら体を保てるかを自分で把握します。 日本看護協会のガイドラインでは、3交代制の場合で夜勤は月8回以内を基本とすることなどが示されています。 回数が多い月に体調を崩しやすいと気づいたら、勤務表を作る担当者に早めに伝えることが大切です。 「夜勤の回数を減らしたい」と伝えることは、長く働くための正当な調整です。

家族と暮らす人の工夫

家族と暮らしていると、昼間の睡眠が生活音で途切れがちです。 遮光カーテンで寝室を暗くする、耳栓を使う、明けの日の昼は家族に静かに過ごしてもらうよう伝えておく、といった工夫が役立ちます。 子どもがいる家庭では、夜勤の日の夕食やお迎えを誰が担うのかを、勤務表が出た時点で家族と共有しておくと、直前に慌てずに済みます。

夜勤明けの日を「家事をまとめて片付ける日」にしてしまう人も多いのですが、これは体のリズムを戻す妨げになります。 明けの日は、睡眠と食事を最優先にして、家事は次の休みの日に回すくらいがちょうどよいと考えています。 夜勤に慣れるというのは、職場の中だけで起きることではなく、家の中の段取りも含めて整えていくことです。

慣れにくい人もいる

体質によっては、どれだけ工夫しても夜勤に慣れにくい人もいます。 睡眠の不調が長く続く、持病が悪化するといった場合は、無理に続けず、夜勤の少ない職場や日勤だけの働き方を考えるのも大切な判断です。 夜勤に慣れないことは、看護師としての能力とは関係ありません。

夜勤の収入をどう見るか

救急外来の夜勤を選ぶ理由の1つに、収入があります。

夜勤手当の相場

夜勤手当は、1回ごとに定額で支払われる病院が多く、2交代制の夜勤1回あたり1万円前後が1つの目安です。 3交代制では、準夜勤と深夜勤でそれぞれ数千円程度が相場とされています。 これに加えて、法律で決まった深夜の割増賃金の扱いが病院によって異なるため、求人票の夜勤手当の額だけで比べず、月の夜勤の回数と合わせて見ることが大切です。

夜勤の回数と年収の関係

救急外来の看護師の基本給は、多くの病院で病棟の看護師と同じ給与表で決まります。 年収の差が出るのは、主に夜勤の回数です。 夜勤が月4回と月8回では、年間の手当の合計に数十万円の差が出ることがあります。 ただし、夜勤の回数が多いほど体への負担も大きくなるため、収入だけで回数を決めるのは避けたほうがよいと考えています。 夜勤の回数を増やして収入を上げた人が、数年後に体調を崩して夜勤そのものを続けられなくなる、という話は珍しくありません。 長い目で見れば、無理のない回数で何年も続けるほうが、合計の収入も経験も大きくなります。

看護師の年収全体の水準を知っておくと、夜勤の条件が相場に対してどうかを判断しやすくなります。 看護師の年収・単価相場では、年代や地域ごとの年収の傾向や、働き方による違いがまとめられているので、夜勤のある求人を比べる前に目を通しておくと基準が持てます。

夜間の救急外来では、当直医の働き方も体制に大きく関わっています。 医師の当直の仕組みや収入の構造については医師の年収・単価相場にまとまっており、救急外来の夜の体制を理解する補助線として役立ちます。

夜勤だけで働くという選択

救急外来の経験を積んだ人の中には、夜勤専従(夜勤だけを担当する働き方)を選ぶ人もいます。 夜勤専従は、1回あたりの手当が高めに設定されていることが多く、日中の時間を別のことに使えるのが特徴です。 一方で、生活のリズムを夜に固定することになるため、体への影響を慎重に考える必要があります。

見落としがちな、夜勤にかかる出費

夜勤の収入を考えるときは、夜勤に伴う出費も合わせて見ておくと現実的です。 深夜や早朝に公共交通機関が動いていない地域では、車やタクシーでの通勤が必要になることがあります。 夜勤中の食事を用意する手間やコンビニでの出費、子どもを預ける費用がかかる家庭もあります。 夜勤手当が月に数万円増えても、こうした出費が同じくらいかかっているなら、手取りで見た差は小さくなります。 夜勤の回数を増やす前に、1回の夜勤でいくら残るのかを一度計算してみると、自分にとっての適切な回数が見えやすくなります。

求人票で、夜間の体制を見抜く

最後に、救急外来の夜勤を含む求人を見るときに確かめたい点を整理します。

求人票で見る点

・勤務形態(2交代、3交代、変則交代) ・月の夜勤の回数の目安 ・夜勤手当の額と、深夜の割増賃金の扱い ・救急の段階(一次、二次、三次)と、年間の救急車の受け入れ台数 ・救急外来専従か、病棟との兼務か

面接で聞く点

・夜間の救急外来の看護師は何人か ・夜間の医師は救急科の専従医か、各科の当直医か ・放射線技師や検査技師は夜間に院内にいるか ・仮眠は実際に取れているか、仮眠室はどこにあるか ・夜勤に入るのは入職から何か月後か、最初は誰と組むか ・暴言や暴力があったときの警備との連携の手順

見学は夕方から夜にかけて

見学ができるなら、18時前後の、日勤から夜勤に切り替わる時間帯を選ぶと、夜の体制がよく見えます。 申し送りでどれくらいの持ち越しがあるか、夜勤の人数で救急車と歩いて来る人をどう分担しているかを見ることができます。

夜勤を免除してもらえる制度

子育てや介護をしている人は、夜勤を減らしたり、免除してもらったりできる法律上の制度があることも知っておきたいところです。 育児・介護休業法では、小学校に入る前の子どもを育てている人や、家族の介護をしている人が請求した場合、事業主は午後10時から午前5時までの深夜に働かせてはならないと定めています(深夜業の制限)。 一定の条件にあてはまる人は対象外になることがありますが、救急外来で働きながら子育てをする人にとっては、知っておくと選択肢が広がる制度です。

病院独自に、子育て中の人の夜勤の回数を減らす仕組みを設けているところもあります。 求人票や面接で「子育て中の人は夜勤をどう組んでいるか」を聞くと、制度が実際に使われているかどうかが分かります。 制度があっても、使っている人がいない職場では、使いにくい雰囲気があるかもしれません。

運営者の視点から

在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、医療職の人が長く働き続けるうえで一番の資産になるのは、自分の体と生活に合った働き方の条件を、自分の言葉で説明できることです。 夜勤の回数、時間帯、体の慣れ方を把握している人は、勤め先を変えるときも、将来、看護の知識を生かして個人で仕事を請けるときも、無理のない条件を相手に伝えられます。 仲介の手数料が乗らない直接のやり取りでは、その条件の伝え方がそのまま手取りの厚さと働きやすさにつながり、依頼する側にとっても長く頼める相手になります。

迷ったときは、転職やキャリアの悩みを面談で整理する仕事もあります。 職場・転職・キャリア相談のお仕事では、どのような相談が寄せられ、どう支援が行われているかが紹介されているので、夜勤を続けるか迷ったときの相談先の選び方の参考になります。

救急外来の夜勤は、人が少なく、支えも薄い時間です。 だからこそ、夜の体制を読む力と、体を慣らす順番を知っているかどうかで、同じ夜勤の中身が変わります。

よくある質問

Q. 救急外来の夜勤は何時から何時までですか?

2交代制の病院では16時30分前後から翌朝9時前後までの約16時間が一般的で、途中で交代の仮眠を取ります。3交代制では準夜勤が16時30分から1時前後、深夜勤が0時30分から9時前後です。病院によっては遅番や早番を組み合わせた変則交代制もあるため、求人票と面接で具体的な時間帯を確認しましょう。

Q. 救急外来の夜勤は何人くらいの体制ですか?

病院の規模や救急車の受け入れ台数によって大きく違います。二次救急病院では看護師2人から3人程度で回すことが多く、規模の小さな病院では夜間だけ病棟の看護師が救急外来を兼ねることもあります。看護師の人数に加え、救急科の専従医がいるか、放射線技師や検査技師が院内にいるかも夜勤の負担を左右します。

Q. 救急外来の夜勤に慣れるまでどれくらいかかりますか?

個人差がありますが、まず日勤で救急外来の流れを覚え、経験者と組んだ夜勤を数回経験してから独り立ちする流れが一般的です。夜勤前の仮眠、明けの睡眠を短めに区切るなど過ごし方を決めると体のリズムを整えやすくなります。工夫しても睡眠の不調が長く続く場合は、夜勤の少ない働き方を検討することも大切です。

Q. 救急外来の夜勤手当はどれくらいですか?

2交代制の夜勤1回あたり1万円前後が1つの目安で、3交代制では準夜勤と深夜勤でそれぞれ数千円程度が相場とされています。年収の差は主に夜勤の回数で生まれますが、深夜の割増賃金の扱いは病院によって異なるため、手当の額と月の夜勤回数を合わせて比べることが大切です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月23日最終更新:2026年9月16日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方