北九州市立大学の不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれ|教員57名・学生等8名 氏名・生年月日・学籍番号・電話番号 偽の警告画面と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓北九州市立大学の不正アクセスについて
- ✓2026年5月26日の発表をもとに整理
- ✓事務職員のパソコンが偽の警告画面をきっかけに遠隔操作され
北九州市立大学の不正アクセスについて、公立大学法人北九州市立大学は2026年5月26日、事務職員が使っていたパソコンが前日の5月25日に不正アクセスを受け、パソコンに保存していた個人情報が漏洩した(閲覧された)可能性を排除できないと発表しました。対象は、現時点で確認できている人数として、教員に関する情報が57名、学生等に関する情報が8名で、大学は「精査中」としています。きっかけは、ファイル共有サービスを使っている途中で偽の警告画面に誘導され、ファイルを実行してしまったことでした。 対象になりうる教員と学生等がまずすることは、大学からの説明とお詫びの連絡を確かめることと、大学や関係者を名乗る不審な電話・メールに注意することです。 2026年11月1日時点で、大学のお知らせの一覧に、この件の続報は出ていません。
この記事は、2026年11月1日時点で北九州市立大学のお知らせ「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」と、そこから開ける詳細の資料を開き直して確かめた内容だけで書いています。報道の見立てや推測は入れていません。
北九州市立大学の不正アクセスで何が起きたのか
北九州市立大学は、福岡県北九州市にある公立大学で、北方キャンパスとひびきのキャンパスなどに学部と大学院を置いています。今回の件は、大学の事務職員が仕事で使っていたパソコン1台が、外部の第三者から遠隔操作されたというものです。
大学の発表の骨子は次のとおりです。
- 2026年5月25日(月)13時40分ごろ、学内ネットワークにつながったパソコンで、ファイル共有サービスを使っている途中に第三者から不正アクセスを受け、パソコンの遠隔操作が始まった
- 13時50分ごろ、職員が異変に気づき、大学の情報セキュリティ部門に報告し、そのパソコンのネットワークを遮断した
- 調べたところ、そのパソコンに教員や学生に関する個人情報のデータが保存されていた
- パソコンに保存していた個人情報が漏洩した可能性があることを排除できないと判断した
- そのパソコン以外の学内の情報システムへの不正アクセスや不具合は確認されていない
- 発表の時点で、何らかの被害の報告はされていない
大学のお知らせでは、「漏洩した(閲覧された)可能性を排除できない」という言い方をしています。つまり、情報が外に持ち出されたと確かめられたわけではなく、遠隔操作されている間に画面越しに見られた可能性を否定できない、という段階です。この記事でも、漏洩したと言い切らず、大学の表現のまま「おそれ」「可能性」として書きます。
異変に気づいてからネットワークを遮断するまでは、大学の発表では約10分です。遠隔操作が続いた時間が短かったことは確かですが、その間に何が見られたのかを外から完全に確かめるのは難しいため、パソコンに保存されていた情報を広めに対象として扱っています。
公表の経緯と2026年11月1日時点で分かっていること
この件で大学が出した発表は、2026年5月26日付の1本です。大学のお知らせの一覧に「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」として掲載され、そこから「不正アクセスによる個人情報漏洩の恐れに関するお知らせ」という詳細の資料(PDF)が開けます。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2026年5月25日(月)13時40分ごろ | ファイル共有サービスの利用中に不正アクセスを受け、パソコンの遠隔操作が始まる |
| 2026年5月25日(月)13時50分ごろ | 職員が異変に気づき、情報セキュリティ部門に報告、パソコンのネットワークを遮断 |
| 2026年5月25日 | 大学の教職員に周知し、注意喚起を実施 |
| 2026年5月26日 | 大学がお知らせと詳細の資料を公表 |
2026年11月1日に、大学のお知らせの一覧を2026年5月から10月まで、各月の次のページも含めて確かめました。この件に関するお知らせは5月26日の1本だけで、続報、確定した人数、補償に関する案内は出ていません。
発表の資料では、漏洩の可能性がある個人情報の項目に「精査中」と書かれ、人数も「現時点で確認できている人数」とされています。つまり、5月26日の時点で見つかっていた分を示したもので、調べが進めば変わる可能性がある数字です。大学は影響を引き続き調査するとしていますが、2026年11月1日時点で更新は公表されていません。
なお、同じ北九州市の機関の件として、北九州市教育委員会の一斉メールの誤送信や、市の防災情報の配信サービスに関する件が別に報じられています。これらは北九州市立大学の今回の件とは別の組織、別の事案です。大学の件を調べている人は、混同しないよう気をつけてください。
漏洩の可能性がある個人情報
発表の資料で示された個人情報は、教員に関するものと学生等に関するものの2つに分かれています。
| 区分 | 中身 | 項目 | 現時点で確認できている人数 |
|---|---|---|---|
| 本学教員に関する個人情報 | 退職した教員、採用した教員の過去4年の一覧(2023年度から2026年度) | 氏名、生年月日、前職、採用退職日 | 57名 |
| 本学学生等に関する個人情報 | 学生等の研究補助従事に係る申請書(2025年度から2026年度) | 氏名、学籍番号、携帯電話番号、メールアドレス | 8名 |
教員の分は、2023年度から2026年度までに退職した教員と採用した教員の一覧です。項目は氏名、生年月日、前職、採用退職日で、住所や電話番号は資料の項目に入っていません。いま在籍している教員でも、この4年間に採用された人であれば一覧に入っている可能性があります。
学生等の分は、学生などが研究の補助の仕事に就くための申請書です。2025年度から2026年度のもので、項目は氏名、学籍番号、携帯電話番号、メールアドレスです。研究補助とは、教員の研究の手伝いをする学内の仕事のことで、申請した学生等の情報がこのパソコンに保存されていました。
表の数字は、合わせて読まないよう注意が要ります。教員の57名と学生等の8名は別の情報で、項目も違います。教員の情報に携帯電話番号やメールアドレスが含まれているわけではなく、学生等の情報に生年月日が含まれているわけでもありません。
パスワード、銀行口座、クレジットカード番号、マイナンバー、成績といった項目は、資料の一覧に入っていません。ただし、大学は「含まれない」という書き方で除外の一覧を示しているわけではないため、この記事でも「一覧に入っていない」という書き方にとどめます。
原因は偽の警告画面からの遠隔操作
大学は原因を次のように説明しています。
ファイル共有サービスを利用したデータ授受の過程において、偽の警告画面に誘導され、ファイルを実行し、その結果、第三者による当該パソコンの不正な遠隔操作が行われたことによるもの。 出典: kitakyu-u.ac.jp(不正アクセスによる個人情報漏洩の恐れに関するお知らせ)
ファイル共有サービスとは、大きなファイルをインターネット経由で相手に渡すためのサービスのことです。データを受け取ったり送ったりしている途中で、本物そっくりの警告の画面が表示され、それに従ってファイルを実行した結果、パソコンを外から操作される状態になった、という流れです。
どのファイル共有サービスだったのか、警告画面にどんな文言が出ていたのか、実行したファイルが何だったのかは、発表には書かれていません。この記事でも推測しません。
一般に、偽の警告画面を出して、利用者に操作をさせたりファイルを実行させたりする手口は、仕事の場面でも家庭でも見られます。「ウイルスに感染しました」「今すぐこのファイルを実行してください」「サポートに電話してください」といった表示で慌てさせるものが多く、画面の指示どおりに動くと、遠隔操作のためのソフトが入ってしまうことがあります。パソコンのサポートを装う詐欺の手口と対処は、パソコンサポートを装う詐欺の手口で詳しく紹介しています。
今回は、職員が約10分で異変に気づき、すぐに報告してネットワークを遮断しました。大学の発表によれば、そのパソコン以外の学内の情報システムへの不正アクセスや不具合は確認されていません。気づいてすぐ報告し、ネットワークから切り離すという初めの動きが、被害を広げないうえで大切だったことが読み取れます。
遠隔操作されると何が起きるのか
遠隔操作とは、離れた場所にいる人が、インターネットを通じてパソコンを自分のもののように動かすことです。本来は、会社の情報システムの担当者が社員のパソコンの不具合を直すときなどに使われる仕組みですが、悪用されると、持ち主が見ている前で画面が勝手に動き、ファイルを開かれたり、中身を見られたりします。
遠隔操作の間にできてしまうことは、操作の権限や時間によって変わります。保存されているファイルを開いて画面に映す、ファイルを別の場所に送る、別のソフトを入れる、ほかの機械に入り込む足がかりにする、といったことが考えられます。大学の発表では、この件で確認されたのは、パソコンに個人情報のデータが保存されていたことと、そのパソコン以外の学内の情報システムへの不正アクセスや不具合は確認されていないことです。ファイルが外に送られたかどうかについては、発表は「漏洩した(閲覧された)可能性を排除できない」とだけ書いています。
遠隔操作が怖いのは、パソコンの持ち主が「自分で許可した」形になりやすい点です。偽の警告画面に従ってファイルを実行すると、パソコンの側から見れば、持ち主が自分でソフトを動かしたのと同じことになります。そのため、ウイルス対策のソフトが入っていても止められないことがあります。画面の指示に従う前に手を止めることが、一番確かな守り方になります。
また、遠隔操作の間に、画面に表示した情報は相手から見えていると考えておく必要があります。メールの画面や、ブラウザに保存されたパスワードの一覧、開いていた書類などです。もし自分のパソコンで同じことが起きたら、遠隔操作の間に画面に出ていたものを思い出して書き出しておくと、あとで何を変えるべきか、誰に知らせるべきかを決めやすくなります。
北九州市立大学の対応と再発防止策
大学の発表に書かれている対応は、次のとおりです。
- 不正アクセスによる影響を引き続き調査する
- 漏洩した可能性のある教員と学生等に状況を説明し、お詫びをすることとしている
- 小倉南警察署に情報を提供し、対応を協議している
再発防止策として挙げられているのは次の3つです。
- 今回の件を大学の教職員に周知し、注意喚起を行った(5月25日に実施済み)
- 情報セキュリティに関する教育研修を行い、再発防止を徹底する
- 情報システム上のセキュリティ対策を強化する
お詫びの金品や補償について、発表には記載がありません。この記事でも、補償の有無を推測では書きません。今後の発表があれば、大学のお知らせの一覧に掲載されるはずなので、そこで確かめてください。
大学は、異変に気づいた当日のうちに教職員へ注意喚起をしています。同じ手口が別の職員のパソコンでも起きないよう、早めに知らせたということです。大学で働く人は、そのときの注意喚起の内容をもう一度読み返しておくと、同じ画面に出会ったときに手を止めやすくなります。
自分が対象かを確かめる方法
対象になりうるのは、次のどちらかに当てはまる人です。
- 2023年度から2026年度までに北九州市立大学を退職した教員、または採用された教員
- 2025年度から2026年度に、研究補助の仕事に就くための申請書を出した学生等
大学は、漏洩した可能性のある教員と学生等に状況を説明し、お詫びをすることとしています。連絡の手段は発表に書かれていません。大学のメール、学内の掲示、所属の学部や研究室からの案内などを確かめてください。退職した教員は、大学に届けていた連絡先あてに案内が届いているかもしれません。
連絡が見当たらず、自分が対象かどうかを確かめたい場合は、大学の発表に載っている問い合わせ先(北九州市立大学総務課)に問い合わせます。そのときは、大学の公式サイトに載っている電話番号を自分で調べてかけてください。メールやSMSに書かれた番号やリンクから問い合わせるのは避けます。
学生等の場合は、研究補助の申請を出したかどうかを思い出すのが手がかりになります。申請した覚えがあり、それが2025年度から2026年度のものであれば、対象になっている可能性があります。研究室の教員や学内の窓口に聞いておくのも1つの方法です。
対象かどうかがはっきりしないうちは、「対象かもしれない」と考えて備えておくほうが安全です。この記事の次の節にある備えは、どれも手間のかからないものばかりで、対象でなかったとしても損をすることはありません。とくに、大学を名乗る連絡への注意と、生年月日をもとにしたパスワードの見直しは、今回の件に限らず役に立ちます。
対象になりうる人がすること
漏洩の可能性がある項目は、教員と学生等で違います。それぞれに合わせて、要るものだけを書きます。
学生等は電話とメールに気をつける
学生等の情報には、携帯電話番号とメールアドレスが含まれています。これがそろうと、大学や研究室を名乗るSMSやメールを送ってくることができます。学籍番号も含まれているため、「学籍番号の確認」「奨学金の手続き」「研究補助の謝金の振込」などをうたった連絡が本物らしく見えるおそれがあります。
大学を名乗るメールでログインやパスワードの入力を求められたら、メールのリンクから開かず、普段使っている大学のポータルを自分で開いて確かめてください。口座番号や暗証番号を電話で聞かれても答えないでください。電話番号の流出が気になるときの確かめ方は、電話番号の流出チェックの方法|流出したらどうなるかと迷惑電話・SMSへの備え 2026にまとめています。
教員は生年月日と前職を使った連絡に気をつける
教員の情報には、氏名、生年月日、前職、採用退職日が含まれています。電話番号やメールアドレスは項目に入っていませんが、教員の氏名と所属は大学の公式サイトなどで公開されていることも多く、そこに生年月日や前職が組み合わさると、本人しか知らないはずの経歴を知っているかのような連絡が作れてしまいます。
たとえば、前の勤め先や学会を名乗って経歴の確認を求める連絡や、生年月日を「本人確認」に使うふりをして、ほかの情報を聞き出そうとする連絡が考えられます。ここに挙げた例は、2026年11月1日時点で大学が確認したと発表した被害ではありません。大学は、何らかの被害の報告はされていないとしています。あくまで、備えておくための例です。
生年月日をパスワードに使っていないか見直す
生年月日は、パスワードや暗証番号に使われやすい数字です。生年月日をもとにしたパスワードや暗証番号を使っている場合は、この機会に変えておくと安心です。とくに、大学のアカウントや、仕事で使うメール、お金を扱うサービスから見直してください。あわせて多要素認証を設定しておくと、パスワードが知られても入られにくくなります。多要素認証の仕組みと選び方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版で解説しています。
しなくてよいこと
資料の一覧には、パスワード、口座番号、クレジットカード番号は入っていません。そのため、この件だけを理由にカードを止めたり口座を作り直したりする必要は、発表からは読み取れません。身に覚えのない請求や引き落としがあれば、今回の件と関係があるかにかかわらず、すぐにカード会社や銀行に連絡してください。
退職した教員と卒業した学生が気をつけること
教員の情報は、2023年度から2026年度までに退職した教員と採用された教員の一覧です。学生等の情報は2025年度から2026年度の申請書なので、すでに卒業した人や、ほかの大学へ移った人が含まれている可能性もあります。こうした人は、大学に届けていた連絡先が今と違っていて、大学からの説明の連絡が届きにくいことがあります。
退職した教員は、いまの勤め先でも同じ名前で働いていることが多く、前職や採用退職日が分かれば、経歴をたどることができます。たとえば、前の勤め先の事務を名乗って「年金や共済の手続きに必要なので、口座を確認したい」と連絡してくる、といったことが考えられます。手続きに関わる連絡が届いたら、その連絡に書かれた番号ではなく、前の勤め先の公式サイトに載っている窓口に、自分で確かめてください。
卒業した学生や、ほかの大学に移った学生等は、在学中の携帯電話番号とメールアドレスをそのまま使っていることがあります。大学を名乗って「卒業生の情報の確認」「証明書の発行の手続き」などをうたうSMSやメールが届いたら、リンクを開かず、大学の公式サイトで連絡先を調べて確かめてください。大学のメールアドレスを卒業後も使える仕組みになっている場合は、そのアカウントのパスワードも見直しておくと安心です。
どちらの場合も、自分が対象かどうか分からないまま不安が続くようなら、北九州市立大学総務課に問い合わせるのが確実です。問い合わせのときは、在籍していた期間や、研究補助の申請をした年度を伝えると話が早く進みます。
大学を名乗る連絡の見分け方
今回の件のあとに届く連絡で、本物の大学からの連絡と、大学を装った連絡を見分けるときのポイントを整理します。ここでも、2026年11月1日時点で大学が確認したと発表した被害の話ではなく、備えとしての話です。
まず、連絡の手段を見ます。大学の発表では、漏洩した可能性のある教員と学生等に状況を説明し、お詫びをすることとしていますが、その手段は書かれていません。そのため「メールで来たから偽物」「電話だから本物」とは言えません。見分けるときは、手段ではなく、何を求められているかを見ます。
次に、求められている手続きを見ます。説明とお詫びの連絡で、パスワードや口座番号、暗証番号の入力を求められることは考えにくいはずです。リンクを開いてログインするよう求められたり、お金の手続きを急がされたりしたら、それだけで疑ってよい合図です。
最後に、確かめる経路を自分で用意します。メールに書かれたリンク、電話で伝えられた折り返しの番号は、相手が用意したものです。大学の公式サイトを自分で開き、そこに載っている連絡先にかけ直すか、普段使っている大学のポータルに自分でログインして確かめてください。見分けるときに役立つのは、文面の「急がせ方」です。「本日中に」「今すぐ」「放置すると停止します」といった言葉で考える時間を奪おうとする連絡は、偽の警告画面と同じ手口です。急がされたと感じたら、そこで一度手を止め、誰かに相談してから動いても遅くありません。
偽の警告画面が出たときの動き方
今回のきっかけは、偽の警告画面でした。大学の外でも、仕事や家庭のパソコンで同じような画面に出会うことがあります。そのときの動き方を整理しておきます。
- 画面の指示に従わない。「今すぐ実行」「電話してください」と書かれていても、ファイルを開いたり、書かれた番号に電話したりしない
- ブラウザを閉じる。閉じられないときは、パソコンの電源を切る方法もある
- もし指示に従ってファイルを実行してしまったり、遠隔操作が始まってしまったりしたら、ネットワークから切り離す。Wi-Fiを切る、LANケーブルを抜く
- 勤め先のパソコンなら、すぐに情報システムの担当者に報告する。自分で片づけようとしない
- 遠隔操作の間に入力したパスワードがあれば、別の安全な端末から変更する
今回の大学の件では、職員が異変に気づいてからネットワークを遮断するまでが約10分でした。気づいたらすぐに報告し、ネットワークから切り離すという順番は、どの職場でも同じように役立ちます。報告をためらう気持ちが出やすい場面ですが、早く知らせるほど、確かめる範囲を小さくできます。
家庭のパソコンで同じことが起きた場合も、考え方は同じです。ネットワークから切り離したあと、遠隔操作の間に開いていたサービスのパスワードを別の端末から変え、ネット銀行やカードの明細を確かめます。書かれた番号に電話してお金を払うよう求められた場合は、払わずに、消費生活センターや警察の相談窓口に相談してください。
発表を読むときに押さえておきたい言葉
大学や会社の漏洩の発表には、似た言葉がいくつも出てきます。違いを知っておくと、自分にとってどのくらい差し迫った話なのかを読み取りやすくなります。
「漏洩した」は、情報が外に出たことが確かめられた段階です。「漏洩した可能性がある」「漏洩のおそれ」は、外に出たとは確かめられていないものの、否定もできない段階です。北九州市立大学の発表は後者で、さらに「(閲覧された)」と添えて、画面越しに見られた可能性を否定できない、という意味を示しています。
「精査中」は、中身を細かく調べている途中だという意味です。今回の発表では、漏洩の可能性のある個人情報の見出しに「精査中」と付いています。人数の「現時点で確認できている人数」という書き方と合わせて、5月26日の時点の数字であり、あとで変わることがありうると読むのが正確です。
「二次被害」は、漏れた情報が悪用されて起きる被害のことで、だましのメールや電話、なりすましなどが当たります。大学は、これまでのところ何らかの被害について報告はされていないとしています。
家族や研究室の仲間に伝えておくこと
対象になりうる人は、自分だけでなく、身近な人にも一声かけておくと安心です。とくに学生等の携帯電話番号は、家族が代わりに電話に出たり、家族あてに同じような連絡が届いたりすることがあります。
家族には、「大学を名乗る電話やSMSで、口座番号や暗証番号を聞かれても答えない」「本人に関わる手続きの連絡が来たら、本人に直接確かめる」の2点を伝えておけば十分です。教員の場合は、研究室の学生や事務の担当者に、自分の名前を使った不審な連絡が届いたら知らせてほしいと伝えておくと、なりすましに早く気づけます。
研究室で同じパソコンや共有フォルダを使っている場合は、仲間どうしで、偽の警告画面が出たときに手を止めること、怪しいファイルを開く前に一声かけ合うことを確かめておくのも役に立ちます。
問い合わせ先
大学の発表に載っている問い合わせ先は次のとおりです。
| 窓口 | 電話番号 |
|---|---|
| 北九州市立大学総務課 | 093-964-4004 |
受付時間は、発表の資料には書かれていません。発表の原文は、大学の公式サイトのお知らせから開けます。
不審な電話やメールが届いて、それが大学からのものか確かめたいときも、電話やメールに書かれた連絡先ではなく、大学の公式サイトに載っている連絡先を使ってください。
大学や職場でファイルを受け渡すときの見直し
今回の件は、ファイル共有サービスを使ったデータのやり取りの途中で起きました。大学に限らず、取引先や外部の人とファイルを受け渡す職場では、同じ場面が毎日のようにあります。ここで書くのは、大学を評価する話ではなく、自分の職場で見直しておくとよい点です。
まず、使ってよいファイル共有サービスを決めておくことです。相手から指定された見慣れないサービスでファイルを受け取るときに、途中で警告の画面や追加のソフトのインストールを求められたら、そこで止まって確かめる決まりにしておきます。
次に、個人情報が入ったファイルを、日々の作業に使うパソコンに残したままにしないことです。今回、遠隔操作されたパソコンには、教員の一覧や学生等の申請書が保存されていました。使い終わった名簿や申請書を、決められた保存場所に移す、必要がなくなったものは決まりに従って削除する、という手入れだけでも、万一のときに見られる範囲を小さくできます。
さらに、職員がだましの画面やメールに気づけるようにしておくことも大切です。訓練でだましのメールや画面を体験しておくと、本物に出会ったときに手が止まりやすくなります。訓練の進め方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドに詳しくあります。
在宅で仕事をする人が気をつけること
大学の教員や学生の中には、研究や学業のかたわら、翻訳、原稿の執筆、データの整理などを在宅の業務委託で受けている人もいます。在宅で働く人は、取引先から顧客の名簿や原稿、データを預かる立場になることがあります。自分のパソコンが遠隔操作されれば、預かった取引先の情報まで見られるおそれがあります。
個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等などが挙げられています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。漏えいが確定したときだけでなく、「おそれ」があるときも対象に含まれています。
業務委託で個人情報を扱う人が、自分の端末から預かった情報を見られてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。
今回の件をきっかけに、仕事で使うパソコンとアカウントについて次の点を見直しておくと安心です。
- 偽の警告画面が出たときに、指示に従わずブラウザを閉じる、ネットワークを切る、という手順を決めているか
- 取引先から預かったファイルを、作業が終わったあとも手元のパソコンに残していないか
- 仕事のメールやクラウドストレージに、多要素認証を設定しているか
- 仕事で使うパソコンと家族が使うパソコンを分けているか
- 不審な動きに気づいたとき、取引先の誰に、どの手段で連絡するかを決めているか
フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。作業が終わったデータを手元に残さない、怪しい画面が出たら手を止めて取引先に相談する、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。
アカウントを守る力を仕事に生かす
情報の守り方は、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。大学や企業の中には、教職員向けのセキュリティ研修の資料づくり、注意喚起の文面の作成、パソコンや共有フォルダに残った個人情報の棚卸しの手伝いなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような発表を正確に読み取り、「何が分かっていて何が分かっていないか」「関係する人は何をすればよいか」を整理する作業も、その一つです。
研究を仕事にしている人の働き方や収入の目安は、研究者の年収・単価相場で紹介しています。セキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分のパソコンとアカウントの管理を整え、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。
北九州市立大学の件は、2026年5月26日に公表され、2026年11月1日時点で続報は出ていません。対象になりうる教員と学生等は、大学からの説明の連絡の確認、大学や関係者を名乗る不審な電話・メールへの注意、生年月日をもとにしたパスワードの見直しの3つを先に済ませておいてください。新しい発表が出たかどうかは、報道ではなく、大学の公式サイトのお知らせで確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 北九州市立大学の学生なら全員が対象になりますか?
対象になりうる学生等は、2025年度から2026年度に研究補助の仕事に就くための申請書を出した人で、現時点で確認できている人数は8名です。それ以外の学生の情報が含まれているとは発表されていません。申請した覚えがある人は、大学からの連絡が届いていないかを確かめてください。
Q. 教員の情報には連絡先も含まれていますか?
発表の資料で示された教員の情報は、2023年度から2026年度に退職・採用された教員の一覧で、項目は氏名、生年月日、前職、採用退職日です。電話番号やメールアドレスは項目に入っていません。ただし、生年月日をもとにしたパスワードを使っている場合は、変えておくと安心です。
Q. 情報は実際に外に持ち出されたのですか?
大学は、パソコンに保存していた個人情報が漏洩した(閲覧された)可能性を排除できないと発表しています。持ち出されたと確かめられたわけではなく、遠隔操作の間に見られた可能性を否定できない段階です。発表の時点で、何らかの被害の報告はされていないとしています。
Q. 偽の警告画面が出たら、まず何をすればよいですか?
画面の指示に従わず、ファイルを開いたり書かれた番号に電話したりしないでください。ブラウザを閉じ、閉じられなければ電源を切ります。指示に従ってしまった場合は、Wi-Fiを切るなどしてネットワークから切り離し、勤め先のパソコンなら情報システムの担当者にすぐ報告してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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