ドイツ語の単価の相場|文字単価・ワード単価の決まり方【2026年版】


この記事のポイント
- ✓ドイツ語の翻訳・通訳の単価がどう決まるのかを整理しました
- ✓日本語1文字あたりとドイツ語1ワードあたりの違い
- ✓支払期日の法的な扱いまでまとめます
ドイツ語ができるのに、いくらで請けたらいいのか分からない。この相談は本当に多く寄せられます。結論から言うと、ドイツ語の単価は「言語がドイツ語だから高い」という決まり方をしません。決まるのは、計算の単位、分野、そして責任の範囲の3つです。
この記事では、受け手の側から見た単価の決まり方を整理します。発注する側の費用感ではなく、自分が請けるときにいくらと書けばよいのか、その根拠をどう作るのかという話です。法律の話も少し出てきますが、必ず「つまり」で言い換えるので、身構えなくて大丈夫です。
まず、計算の単位を3つに分けて考える
単価の話が噛み合わない原因の大半は、単位を揃えずに金額だけを比べていることです。ドイツ語の翻訳では、算定の基準が案件によって違います。
ドイツ語翻訳を外注する際は、「日本語1文字あたりの単価」あるいは「ドイツ語1単語あたりの単価」で翻訳料金を算出します。 出典: crowdworks.jp
つまり、同じ仕事でも数え方が2通りあるということです。ここに時間単価を加えた3つが、実務で使われる計算単位になります。
日本語1文字あたりの単価
日本語からドイツ語に訳す方向(日独)で使われるのがこれです。原文である日本語の文字数に単価をかけて金額を出します。
このやり方の利点は、依頼者が発注前に金額を確定できることです。原文は手元にあるので、文字数がすぐ数えられます。受け手にとっても、着手前に総額が確定するので、作業量の見積もりが立てやすい。
注意点は、文字数のカウント基準です。スペースや改行、記号を含めるか、図表の中の文字を含めるか、繰り返しの定型文をどう数えるか。この取り決めがないと、納品後に「うちの計算では文字数が違う」という話になります。見積書には「日本語原文の文字数(スペースおよび改行を除く、図表内の文字を含む)」のように、数え方まで書いておくべきです。
ドイツ語1ワードあたりの単価
ドイツ語から日本語に訳す方向(独日)では、原文であるドイツ語の単語数で数えるのが一般的です。
ここでドイツ語特有の問題が出ます。ドイツ語は複合語を1語として綴る言語なので、他の欧州言語より単語数が少なく出ます。Krankenversicherungskarte(健康保険証)は1ワードですが、英語なら health insurance card で3ワードです。つまり、英語と同じワード単価を設定すると、ドイツ語の案件は実質的に安くなります。
実務では、この差を単価そのもので調整します。英語のワード単価より2割から3割高く設定するのが、複合語の分を吸収する一般的なやり方です。この理由を見積書の注記に1行書いておくと、値下げ交渉になったときの説明材料になります。
時間単価
通訳、翻訳のチェック(校正・レビュー)、機械翻訳の出力を直すポストエディット、そして問い合わせ対応。これらは成果物の量で測りにくいため、時間単価で計算します。
時間単価にすべきかどうかの判断基準は単純で、「作業量が事前に読めるか」です。読めるなら文字・ワード単価、読めないなら時間単価。既存の訳文をチェックする仕事を文字単価で請けると、訳文の品質が悪かったときに実質的な時給が崩壊します。ここは経験のある人ほど時間単価を主張します。
相場のレンジをどう見るか
具体的な数字を出します。ただし、相場は幅で理解してください。1つの数字を信じると、必ずどこかで事故ります。
一般的なビジネス文書の独日翻訳では、ドイツ語1ワードあたり12円から25円程度が1つのレンジです。日独では日本語1文字あたり10円から20円程度が目安になります。
参考として、文字単価20円という水準がどう使われるかを示した説明があります。
また、ミニマムチャージ(最低依頼料金)の有無によって料金が変わる場合もあります。通常であれば、文字単価20円で400文字のドイツ語翻訳を依頼すると、翻訳費用は8,000円です。しかし、ミニマムチャージを1万円に設定している(=依頼料金が1万円を下回った場合は一律1万円となる)依頼先に同条件で翻訳を依頼するとミニマムチャージが適用されるため、1万円の翻訳費用がかかります。 出典: crowdworks.jp
この例は依頼する側の視点で書かれていますが、受け手の側から読むと重要な示唆があります。400文字の案件を単純に単価計算すると8,000円ですが、実際にはメールのやりとり、用語の確認、納品、請求という手間が同じだけかかります。小口の案件ほど、単価計算だけでは割に合わないということです。
通訳の時間単価は、逐次通訳で5,000円から15,000円、同時通訳や専門性の高い会議ではこれを上回ります。ただし通訳は半日・1日単位の拘束で計算するのが通例で、時間単価をそのまま短時間に適用できるわけではありません。
チェックやポストエディットは、翻訳単価の3分の1から2分の1程度に設定されることが多い。ただし、これは「元の訳文が一定の品質にある」という前提つきです。前提が崩れたときの取り決めについては後で触れます。
分野で単価が変わる理由
同じドイツ語でも、扱う内容で単価は倍以上違います。ここを理解しないまま一律の単価表を出すと、簡単な仕事は取れて難しい仕事は逃げていく、という状態になります。
一般文書とビジネス文書
社内資料、メール、Webサイトの一般的なページなど。相場の下限に近い水準です。競合が多く、機械翻訳との比較にもさらされやすい領域です。
技術文書・マニュアル
機械、自動車、化学、電気。ドイツ語圏はこの分野の文書が非常に多く、需要も安定しています。用語の統一が厳しく求められ、用語集や翻訳支援ツールの使用が前提になることが多い。単価は一般文書より3割から5割ほど上がります。
医薬・治験
規制文書が絡むため、誤訳の影響が大きく、単価は高めです。ただし参入には分野知識が要求され、トライアルの難度も上がります。
法務・契約
契約書、約款、規約。ここで注意が必要なのは、翻訳と法的助言の線引きです。契約書の訳文を作ることと、その契約の効力について助言することは別の行為です。後者は弁護士法などが規律する領域にあたる可能性があるため、翻訳者の立場では「この条項は日本法では無効です」といった判断を成果物に書き込むべきではありません。訳注として「原文の用語は日本法の同名の概念と一致しない可能性がある」と事実を示すにとどめ、判断は依頼者と専門家に委ねる。これが安全な線です。
特許
もっとも単価が高い領域の1つで、専門性と定型性が両立します。特許の翻訳がどういう仕事なのかは、フリーランスの特許翻訳|高単価ニッチ翻訳の始め方で、必要な知識と案件の入り方をまとめています。単価の水準感を含めた全体像は特許翻訳のフリーランス|単価相場・必要スキル・案件獲得法【2026年版】のほうが詳しく、ドイツ語で同じ路線を狙うときの基準として使えます。
映像・字幕
字幕は文字数制限があるため、単純な文字単価では計算できません。分単位(尺)での計算が一般的です。案件の形と発注のされ方は、映像翻訳・字幕・通訳のお仕事で、映像系の仕事がどう切り出されるかを確認できます。
他言語との比較で相場感を掴みたい場合は、中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安が参考になります。話者人口の多い言語との単価構造の違いを見ておくと、ドイツ語の位置づけが分かりやすくなります。
ミニマムチャージを必ず設定する
先ほどの例で出てきたミニマムチャージは、受け手の側こそ設定すべき条件です。
理由は3つあります。第1に、案件1件あたりの固定的な手間(連絡、確認、納品、請求、記帳)は分量に関係なくかかること。第2に、小口案件が積み重なると、単価が高くても時給が下がること。第3に、最低額を示すことで、依頼者がまとめて依頼するようになり、結果的に双方の手間が減ること。
金額の目安としては、3,000円から10,000円のあいだで設定している人が多い。継続案件では免除する、という運用も一般的です。
見積書には「1件あたりの最低料金は5,000円とします。継続的な取引の場合は月次で合算します」といった形で書きます。これ、知らずに設定していない人が本当に多いんです。
見積書と契約書に書くべき条件
単価を決めても、条件が曖昧なら結局その単価は守られません。書いておくべき項目を挙げます。
第1に、単価と算定の単位。「日本語原文1文字あたり15円」のように、どちらの言語のどの単位で数えるかまで書きます。
第2に、ミニマムチャージ。
第3に、修正対応の範囲と回数。「納品後7日以内、誤訳・訳抜けの修正は無償。表現の好みによる修正は2回まで無償、以降は別途見積もり」という書き方が一般的です。ここを書かないと、無限に修正が続きます。
第4に、特急料金。通常の納期より短い依頼には20%から50%の割増を設定します。
第5に、キャンセル規定。着手後に中止になった場合、進捗に応じて請求できるようにしておきます。
第6に、支払期日。ここは法律が関わるので、次で詳しく書きます。
第7に、原文の品質が前提を下回った場合の扱い。チェックやポストエディットで特に重要で、「元の訳文の品質が著しく低く、実質的に再翻訳が必要と判断される場合は、翻訳単価での再見積もりとする」という条項を入れておくと身を守れます。
翻訳の品質を客観的に示す枠組みとしてはJTF翻訳品質認証のような認証があり、その位置づけをまとめたページを用意しています。認証があるから単価が上がるという単純な話ではありませんが、品質の基準を言葉にできることは交渉で効きます。
支払いと税務の基礎
ここからは法律の話です。堅く聞こえますが、知らないと損をする部分だけに絞ります。
支払期日は法律で上限がある
フリーランスとして業務委託を受ける場合、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス保護新法)が適用される取引があります。この法律では、発注者は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに報酬を支払う義務を負います。
つまり、「支払いは検収後、翌々月末」といった条件は、受領日から60日を超えるなら問題になり得るということです。取引条件の明示も義務づけられているので、業務内容と報酬額が書面や電子メール等で残っていない発注は、その時点で受けるべきではありません。条文は法令のデータベースで確認できますが、実務上は「受領から60日以内」「条件は書面で」の2点を覚えておけば足ります。
なお、発注者が資本金の一定額を超える法人である場合には、下請代金支払遅延等防止法の適用がある取引もあります。どちらが適用されるかを受け手が判断するのは難しいので、支払いが遅れたときは「60日を超えていませんか」と事実だけを確認するのが現実的な進め方です。深刻な場合は弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
翻訳料と源泉徴収
翻訳の報酬は、支払者が法人などである場合、原稿料等として所得税の源泉徴収の対象になることがあります。請求書の金額から10.21%が差し引かれて振り込まれるケースがこれにあたります。
つまり、手取りが減っているのではなく、税金を先に納めている状態です。確定申告で精算されるので、源泉徴収された金額は必ず記録しておいてください。取扱いの詳細は国税庁の情報で確認できます。請求書には「源泉徴収税額」の行を設けておくと、双方の計算が合いやすくなります。
消費税とインボイス
課税事業者として登録しているかどうかで、請求書の書き方が変わります。登録していない場合でも、消費税相当額を請求すること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、取引先から扱いを尋ねられることは増えています。単価表を作るときは、税込か税抜かを必ず明記してください。「文字単価15円」とだけ書かれた見積もりは、後から必ず揉めます。
手取りで考えるという視点
単価表を作り込んでも、経路によって手取りは変わります。
クラウドソーシング経由の案件では、システム利用料として16.5%から20%が引かれます。年間200万円の受注なら33万円から40万円です。単価を1割上げる交渉より、経路を変えるほうが手取りへの影響が大きい場面は珍しくありません。手数料0%で直接契約ができる仲介を併用している人が多いのは、この計算があるからです。
翻訳会社を経由する場合も同じ構造です。翻訳会社は品質管理と営業を担うぶんマージンを取りますが、その代わり案件が安定します。両方を組み合わせて、収入の柱と単価の高い柱を分けるのが現実的な設計になります。
翻訳系の案件がどう発注されているかは、英語・多言語翻訳のお仕事で、言語別の案件の切り出され方を確認できます。指導や添削の形で語学を収益化する道もあり、翻訳・ライティングレッスンのお仕事ではそちらの発注形態がまとまっています。
語学系の資格が単価にどう関わるかを他言語で確認したい場合は、中国語検定(中検)1級のように上級資格の位置づけを整理したページも参考になります。文章を扱う職種全体の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、技術系との比較はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとめてあります。
単価表を1枚作る手順
相場を知っただけでは収入は変わりません。変わるのは、自分の単価表を持ったときです。作り方を順に示します。
目標の時給から逆算する
最初にやるのは、単価から考えることではなく、時給から考えることです。
自分が1時間に処理できる分量を測ります。独日翻訳なら1時間あたり400ワードから700ワードが一般的なレンジで、専門性が高い文書や調査が要る内容では250ワード程度まで落ちます。日独なら日本語で1時間あたり800文字から1,500文字が目安です。
次に、確保したい時給を決めます。仮に時給4,000円を目標とし、1時間に500ワード処理できるなら、必要なワード単価は8円です。ここに、直接の作業時間以外(用語調査、依頼者とのやりとり、請求処理)が全体の3割ほど乗ることを見込むと、実際に提示すべき単価は11円前後になります。
つまり、相場表の下限に張り付いた単価は、間接時間を計算に入れていない金額だということです。これ、気づいていない人が本当に多いんです。
分野別に3段階の階段を作る
単価は1つではなく、3段階で持つのが実務的です。
第1段階は、一般文書。参入の窓口として使う水準で、相場の中位に置きます。第2段階は、自分の得意分野。前職や学習歴で説明できる領域で、第1段階の1.3倍から1.5倍。第3段階は、責任が重い文書(規制文書、契約書、公開される広報物など)で、第1段階の1.8倍以上。
階段を作っておくと、依頼者に「なぜこの案件はこの金額なのか」を説明できます。説明できる金額は値切られにくい。逆に、単一の単価しか持っていない人は、難しい案件でも同じ金額で受けることになり、実質的な時給が下がります。
値上げのタイミングを決めておく
既存の依頼者に対する値上げは、切り出しにくいものです。だからこそ、あらかじめルールを決めておきます。
現実的な方法は、年に1回、時期を固定して見直すことです。「毎年4月に単価表を改定します」と最初の契約時に伝えておけば、値上げの連絡は事務手続きになります。突然の交渉ではなくなるので、関係も壊れません。
もう1つの方法は、条件の変化に紐づけることです。分量が増えた、納期が短くなった、対応範囲が広がった。事実の変化を根拠にすれば、単価の話は自然に持ち出せます。
単価を下げずに受注を増やす方法
単価を下げる以外にも、依頼者にとっての魅力を上げる手段はあります。
1つ目は、納期の刻み方です。全体を一度に納品するのではなく、分割して先に一部を渡す。依頼者は早く確認に入れるので、同じ金額でも価値が上がります。
2つ目は、用語集の提供です。訳語の統一表を作って一緒に渡すと、次回以降の作業が速くなり、依頼者側の社内確認も楽になります。継続の理由が生まれます。
3つ目は、原文への指摘です。日独翻訳では、日本語の原文があいまいで訳しようがない箇所がよく出てきます。そこを黙って推測で訳すのではなく、「この文は2通りに読めるので確認したい」と伝える。手間は増えますが、依頼者から見ると品質管理をしてくれる相手になります。
4つ目は、請求と納品の事務を整えることです。請求書の様式が整っていて、期日どおりに届く。地味ですが、経理を持つ企業からは非常に評価されます。
これらはすべて、単価を下げずに選ばれる理由を作る行為です。金額を削って受注を取る方向に進むと、次の依頼者にも同じ金額を提示することになり、戻れなくなります。
トラブルになりやすい3つの場面
単価をめぐる相談は、だいたい同じ場所で起きます。事前に知っておけば避けられるものばかりです。
追加作業が単価に含まれていると言われる
翻訳を納品したあとに、レイアウト調整、表の作り直し、字幕データへの流し込みを求められる。これらは翻訳とは別の作業ですが、「翻訳の一部」と主張されることがあります。
対処は、見積書の段階で成果物の形式を確定させることです。「納品形式はテキストファイルまたはWordファイルとし、DTP作業およびレイアウト調整は含みません」と書いておく。1行で防げます。
検収がいつまでも終わらない
納品したのに検収の連絡が来ず、支払いも始まらない。この状態が続くと、報酬の支払期日そのものが宙に浮きます。
フリーランス保護新法の考え方では、支払期日は給付を受領した日から起算します。つまり、検収が終わらないことを理由に支払いを先延ばしにできるわけではありません。契約書には「納品後7日以内に検収の連絡がない場合は検収完了とみなす」というみなし条項を入れておくと、期日の起点が明確になります。
機械翻訳の下訳を渡されて単価を下げられる
近年増えているのがこれです。機械翻訳の出力を渡され、「直すだけだから安くていい」と言われる。
判断の基準は、実際の作業量です。出力の品質が高ければ確かに時間は減りますが、専門文書や日独方向では、直すより訳し直したほうが速いことが珍しくありません。受ける前にサンプルを見せてもらい、一定量を実際に処理して所要時間を測る。そのうえで、時間単価に換算して条件が合うかを判断します。合わなければ、翻訳単価での再見積もりを提示すればよい。ここで安易に受けると、以後その金額が基準になります。
為替と海外からの入金
ドイツ語圏の企業から直接受注する場合、報酬がユーロ建てになることがあります。この場合、単価そのものより為替と送金手数料の影響が大きくなります。
送金手数料は、経路によって1件あたり2,000円から5,000円程度かかることがあり、小口の案件では利益を削ります。対策は2つで、月次でまとめて請求すること、そして見積書に「送金手数料は依頼者負担とする」と明記することです。為替レートについても、いつの時点のレートを使うかを事前に決めておかないと、請求額の認識がずれます。円建てでの請求を提案できる相手であれば、そのほうが管理は簡単になります。
運営者として見てきた、単価が上がる人の共通点
在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から言うと、単価が上がっていく人には、はっきりした共通点があります。単価表を持っていることです。
聞かれてから考える人は、その場の空気で安いほうに寄ります。逆に、単位・分野別・ミニマムチャージ・特急料金まで書いた1枚を持っている人は、交渉が「いくらですか」ではなく「この条件で合いますか」から始まります。同じ語学力でも、この差が年間の収入に出ます。
もう1つ、運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど値下げに応じる代わりに条件を取っています。単価を下げるなら納期を延ばす、修正回数を減らす、まとめ発注にする。金額だけを削って条件をそのままにすると、時間あたりの収入が静かに落ちていき、数か月後には理由が分からないまま消耗している状態になります。
そして手取りの話です。中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼者が出す金額と受け手が受け取る金額の差が縮まります。これは受け手だけが得をする構造ではありません。同じ予算で依頼者はより多くの分量を頼めるようになり、受け手は同じ作業量で手取りが厚くなる。翻訳のように継続しやすい仕事では、この差が年単位で効いてきます。
単価の相談を受けるたびに思うのは、金額そのものより「根拠を持っているか」で結果が変わるということです。根拠は法律と市場の相場から作れます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. ドイツ語の翻訳単価はどのくらいが目安ですか?
一般的なビジネス文書の独日翻訳で、ドイツ語1ワードあたり12円から25円程度、日独では日本語1文字あたり10円から20円程度が1つのレンジです。技術文書は一般文書より3割から5割ほど上がり、医薬や特許はさらに高くなります。分野と責任範囲で大きく変わるため、単一の数字ではなく幅で捉えるのが実務的です。
Q. ドイツ語のワード単価を英語と同じにしてよいですか?
避けたほうがよいです。ドイツ語は複合語を1語として綴るため、同じ内容でも英語よりワード数が少なく出ます。英語と同じワード単価にすると、実質的に単価を下げたのと同じ結果になります。英語のワード単価より2割から3割高く設定して、複合語の分を吸収するのが一般的な調整方法です。
Q. ミニマムチャージは設定したほうがよいですか?
設定を推奨します。連絡、用語確認、納品、請求といった固定的な手間は分量に関係なく発生するため、小口案件は単価計算だけでは割に合いません。3,000円から10,000円のあいだで設定する人が多く、継続取引では免除する運用も一般的です。見積書に最低料金として明記し、月次で合算する条件を添えると運用しやすくなります。
Q. 報酬の支払いが遅い場合はどうすればよいですか?
フリーランス保護新法では、発注者は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払う義務を負います。まずは受領日からの日数を確認し、事実として問い合わせるのが現実的です。取引条件の明示も義務なので、書面やメールで条件を残しておくことが前提になります。深刻な場合は弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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