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ゲームローカライズの仕事|翻訳との違いと未経験からの入り方

@SOHO編集部
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ゲームローカライズの仕事|翻訳との違いと未経験からの入り方

この記事のポイント

  • ✓ゲームローカライズの仕事を
  • ✓翻訳者・言語テスター・プロジェクト管理の役割
  • ✓未経験からの入り方まで整理しました

ゲームローカライズとは、ある国で作られたゲームを、別の言語と文化の遊び手が違和感なく楽しめるように作り替える仕事です。文章を訳すだけでなく、画面に収まる文字数への調整、キャラクターの口調の作り込み、冗談や言葉遊びの置き換え、国ごとの表現の決まりへの対応までを含みます。この記事では、ゲームローカライズの仕事を受ける側の目線で、翻訳との違い、作業の流れ、仕事の種類、求められる力、未経験からの入り方を順に説明します。業務委託で受けるときに契約で確かめることも整理します。

ゲームローカライズの仕事が広がっている背景

ゲームは、配信で世界に同時に届けられる商品になりました。スマートフォンのアプリやパソコン向けのゲームは、発売の日から多くの国のストアに並びます。家庭用のゲーム機でも、海外での発売を前提に作られる作品が当たり前になっています。日本のゲームを海外に届ける仕事と、海外のゲームを日本に届ける仕事の両方があり、どちらにもローカライズの担い手が必要です。

もう1つの背景は、ゲームの文章の量が多いことです。物語を楽しむゲームでは、会話やアイテムの説明、操作の案内、メニューの文言まで、文章の数が膨大になります。しかも発売の後も、追加の配信や不具合の修正のたびに新しい文章が生まれます。一度訳して終わりではなく、作品の運営が続く間、ローカライズの仕事も続きます。

ゲーム会社の社内に専門の部署を持つところもあれば、翻訳会社やローカライズの専門会社に任せるところもあります。翻訳会社は、社内の翻訳者だけでなく、多くの外部の翻訳者や言語テスターに仕事を振り分けています。そのため、会社員として働く道と、業務委託で在宅で受ける道の両方があるのがこの仕事の特徴です。

ただし、華やかに見える分野だけに、入りたい人も多く、最初の実績を作るまでが難しい仕事でもあります。好きなゲームに関われるという気持ちだけでなく、地道な確認作業や締め切りの管理を続けられるかどうかが、長く続けられるかの分かれ目になります。

翻訳とローカライズの違い

翻訳とローカライズは、よく似た言葉ですが、扱う範囲が違います。翻訳は、ある言語の文章を別の言語の文章に移す作業です。ローカライズは、翻訳を含みつつ、その国の遊び手が自然に受け取れるように、表現や内容そのものを調整する作業です。

例えば、英語のゲームで「アメリカの祝日」にちなんだイベントがあったとします。文章をそのまま日本語に訳しても意味は通じますが、日本の遊び手には季節感が伝わりにくいことがあります。ローカライズでは、作り手と相談したうえで、説明を補ったり、表現を日本で通じるものに変えたりすることがあります。冗談、ことわざ、言葉遊び、方言、キャラクターの一人称なども同じで、意味だけでなく「その場の面白さ」や「キャラクターらしさ」を移すことが求められます。

ゲームならではの制約もあります。画面のボタンや吹き出しには入る文字数に限りがあり、英語では短い言葉が、日本語やドイツ語では長くなることがあります。逆に、日本語の短い文が英語では長くなる場合もあります。文字数の上限に収めながら意味を保つのは、ゲームの翻訳で特に工夫が要る部分です。

また、ゲームの文章には、プレイヤーの名前や数値が後から入る「変数」や、文字の色や改行を指定する「タグ」が埋め込まれています。これらを誤って消したり位置を変えたりすると、ゲームの画面で表示が崩れたり、動かなくなったりします。文章の質に加えて、技術的な決まりを守る正確さが求められる点も、一般の翻訳との違いです。

ローカライズの作業の流れ

ゲームローカライズの作業は、作品の規模や会社によって違いますが、おおむね次の順番で進みます。

  1. 作品の理解と準備(資料の読み込み、用語集とスタイルガイドの用意)
  2. 翻訳(文章を訳し、文字数や変数の決まりに合わせる)
  3. 校正とレビュー(別の担当者が誤訳や表記の揺れを確かめる)
  4. 組み込み(訳した文章をゲームのデータに反映する)
  5. 言語テスト(実際にゲームを遊び、画面の上で文章を確かめる)
  6. 修正と最終確認(見つかった問題を直し、発売の版に仕上げる)

最初の準備で作られるのが、用語集とスタイルガイドです。用語集とは、キャラクターの名前、地名、技の名前、アイテムの名前などを、どう訳すかを決めた一覧のことです。スタイルガイドとは、文体、敬語の使い方、数字や記号の表記、キャラクターごとの口調などをまとめた決まりのことです。大きな作品では多くの翻訳者が同時に作業するため、この2つがないと、同じ言葉が場所によって違う訳になってしまいます。

翻訳の段階では、多くの場合、文章は表計算のファイルや翻訳の専用ツールで渡されます。翻訳者は画面を見ずに文章だけを訳すことも多く、前後の文脈が分からないまま訳さなければならない場面があります。そのため、分からない点を質問としてまとめ、作り手に確かめる作業も大切な仕事の一部です。

言語テストは、LQA(言語の品質の確認)とも呼ばれます。実際にゲームを遊びながら、文字がはみ出していないか、訳が場面に合っているか、変数が正しく表示されているかを確かめます。見つけた問題は、どの画面で、どんな操作をしたときに、何が起きたかを具体的に報告します。この報告の分かりやすさが、修正の速さを左右します。

ローカライズに関わる仕事の種類

ゲームローカライズには、いくつかの役割があります。自分がどこから入れそうかを考えるために、主な役割を整理します。

  • 翻訳者:ゲームの文章を訳す役割。作品の世界観とキャラクターの口調を作り込む
  • 校正・レビューの担当:翻訳者の訳を確かめ、誤訳や表記の揺れを直す役割
  • 言語テスター:実際にゲームを遊び、画面の上で文章の問題を見つけて報告する役割
  • ローカライズのコーディネーター、プロジェクトマネージャー:作業の分担、締め切り、質問のやり取り、品質の管理をまとめる役割
  • 音声の収録に関わる担当:台本の調整や、声の長さに合わせた文章の調整を行う役割

翻訳者は、外部の翻訳者として業務委託で受けることが多い役割です。在宅で受けられる一方で、実績と語学力の証明が求められます。

言語テスターは、未経験から入りやすい入口の1つとされています。ゲームの不具合を探すテストの仕事の一部として、言語の確認を担当することがあり、作業の場はテストを受け持つ会社の事務所であることが多いです。発売前の作品を扱うため、情報の管理が厳しく、在宅での作業が認められない場合もあります。

ローカライズのプロジェクトマネージャーは、言葉の力に加えて、スケジュールと人を管理する力が求められます。翻訳者や言語テスターとして経験を積んだあと、この役割に進む人も少なくありません。ゲームの開発の進み方を理解していると、作り手との調整がしやすくなります。ゲームを含むアプリの開発の仕事の全体像はアプリケーション開発のお仕事で説明しています。

日本語に訳すときに特に難しい点

海外のゲームを日本語に訳す仕事では、日本語ならではの難しさがいくつもあります。翻訳者が日々どんな判断をしているのかを知っておくと、この仕事の中身がつかみやすくなります。

まず、一人称と語尾の選び方です。英語では、主人公も老人も子どもも「I」で話しますが、日本語では「俺」「僕」「拙者」「わし」「あたし」など、一人称だけでキャラクターの印象が大きく変わります。語尾も同じで、「〜だぜ」「〜ですわ」「〜じゃ」のどれを選ぶかで、性格や年齢、育ちまでが伝わります。原作の設定資料を読み込み、キャラクターごとの話し方を決めてから訳し始めるのが基本です。一度決めた話し方は、用語集やスタイルガイドに書き残し、ほかの翻訳者と共有します。

次に、敬語と人間関係の表し方です。英語の会話では、上下の関係が言葉の形にあまり表れません。日本語では、同じ内容でも、相手が王か友人か部下かで話し方を変える必要があります。物語の途中で関係が変わる場合は、どの場面で話し方を変えるのかも決めなければなりません。

3つ目は、性別や数が後から決まる文章です。プレイヤーが主人公の性別を選べるゲームでは、同じ文章が男性の主人公にも女性の主人公にも使われることがあります。英語では代名詞を入れ替える仕組みで対応できても、日本語では語尾や呼び方まで変わるため、どちらにも合う中立な文章を考える工夫が要ります。アイテムの数で単数と複数を切り替える仕組みも、日本語では不要な場面と必要な場面があります。

4つ目は、文字数と読みやすさの両立です。日本語は漢字を使うと短く書けますが、漢字が多すぎると読みにくくなり、特に年齢の低い遊び手には伝わりにくくなります。対象の年齢や作品の雰囲気に合わせて、漢字とひらがなの割合を調整するのも翻訳者の仕事です。

こうした判断の1つ1つに、正解は1つではありません。だからこそ、なぜその訳にしたのかを説明できることが大切です。レビューの担当や作り手から質問されたときに、根拠を示して答えられる翻訳者は信頼されます。

日本のゲームを海外に届けるローカライズ

日本のゲームを英語などに訳して海外に届ける仕事も、ローカライズの大きな分野です。日本の作品は海外でも人気が高く、日本語から外国語への翻訳の担い手は常に求められています。

この方向の仕事では、日本語の読み取りの深さが特に問われます。日本語の会話は主語を省くことが多く、誰が誰に向かって話しているのかを、前後の流れから読み取らなければなりません。英語では主語を省けないため、誤って読み取ると、物語の意味そのものが変わってしまいます。ダジャレや言葉遊び、方言、時代劇のような古い言い回しも、英語でどう面白さを伝えるかを考える必要があります。

一般的に、外国語への翻訳は、その言語を母語とする翻訳者が担当することが多いと言われます。訳す先の言語で自然な文章を書く力が、最終的な品質を決めるからです。日本語を母語とする人がこの方向の仕事に関わる場合は、日本語の意図を正確に説明する役割や、海外の翻訳者からの質問に答える役割、訳の確認を担当する役割で力を発揮することが多くなります。

日本の文化に根ざした要素をどこまで残すかも、作り手と相談して決める大切な点です。食べ物、行事、学校の仕組み、言葉の響きなど、日本らしさがそのまま作品の魅力になっている場合は、あえて残して説明を補う判断もあります。逆に、遊び手が意味をつかめずに物語から離れてしまう場合は、置き換えを検討します。どちらにするかを翻訳者だけで決めず、作品の方針として確かめておくことが、後の手戻りを防ぎます。

国ごとの年齢区分と表現の違い

ローカライズで見落とされがちなのが、国ごとに年齢区分の仕組みが違うことです。年齢区分とは、ゲームの表現の内容に応じて、何歳以上向けかを示す仕組みのことです。日本では、特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)が審査を行っています。CEROは制度の目的を次のように説明しています。

ゲームソフトの表現内容にもとづき、対象年齢等を表示する制度です。 出典: cero.gr.jp

CEROの年齢区分マークは、AからZまでの5種類です。審査では、性の表現、暴力の表現、反社会的な行為の表現、言葉や思想に関する表現など、決められた表現の項目ごとに上限があり、上限を超える表現を含むソフトには区分が与えられません。北米ではESRB、欧州ではPEGIという別の団体が、それぞれの基準で区分を決めています。

この違いは、ローカライズの作業に直接関わります。ある国では問題にならない表現が、別の国では年齢区分を引き上げる理由になったり、販売そのものができなくなったりすることがあるためです。飲酒や喫煙、賭け事、宗教や歴史にかかわる表現、言葉の汚さなどは、国によって受け止め方が大きく違います。

翻訳者がこうした判断を自分だけで下すことはありません。気になる表現があったときに「この表現は対象の国で問題になる可能性がある」と作り手に伝えるのが役割です。年齢区分や表現の決まりの知識を持っていると、作り手から頼られる翻訳者になれます。

求められる力と、向いている人

ゲームローカライズで求められる力は、語学力だけではありません。主に次の5つが挙げられます。

1つ目は、元の言語を正確に読み取る力です。ゲームの文章には、くだけた会話、古風な言い回し、作品独自の造語が多く含まれます。辞書に載っていない表現の意図をくみ取る力が必要です。

2つ目は、訳す先の言語で魅力的な文章を書く力です。日本語に訳す場合、最終的に遊び手が読むのは日本語の文章です。正確でも硬い文章では、物語の楽しさが伝わりません。キャラクターごとに話し方を書き分け、場面の緊張や笑いを日本語で再現する力が問われます。小説や脚本をたくさん読んでいる人は、この力が身につきやすい傾向があります。

3つ目は、ゲームそのものへの理解です。ジャンルごとの決まり文句や、遊び手が慣れ親しんでいる用語を知っていると、自然な訳になります。例えば、ロールプレイングゲームでよく使われる能力値の呼び方や、対戦ゲームの操作の言い回しなどです。

4つ目は、決まりを守る正確さです。用語集とスタイルガイドに従い、変数やタグを崩さず、文字数の上限を守る作業は、地味ですが欠かせません。ミスが1つあるだけで、ゲームの表示が崩れることがあります。

5つ目は、やり取りの力です。翻訳者は、分からない点を質問としてまとめ、作り手やプロジェクトマネージャーとやり取りします。質問は短く、具体的に、答えやすい形で書くことが求められます。こうした仕事の文章を書く力を確かめる資格としてビジネス文書検定があり、報告や質問の書き方を整理するのに役立ちます。

向いているのは、ゲームが好きなだけでなく、文章を何度も読み直して直すことが苦にならない人です。逆に、締め切り前の大量の修正に追われる時期もあるため、作業の段取りを自分で組めることも大切です。

機械翻訳とAIの使われ方

ゲームのローカライズでも、機械翻訳や生成AIを使う場面が増えています。大量の文章を短い時間で処理できるため、下訳を作ったり、表記の揺れを探したりする作業に使われています。

一方で、機械翻訳は、キャラクターの口調、前後の場面の流れ、冗談の面白さを移すのが苦手です。機械が作った訳を人が直す作業は、ポストエディットと呼ばれます。ポストエディットでは、誤訳を直すだけでなく、ゲームの文章として読んで面白いかどうかを判断する力が求められます。機械翻訳が広がるほど、最終的な品質を判断できる人の価値はむしろ高くなります。

注意したいのは、機械翻訳を使ってよいかどうかは、依頼する側が決めることだという点です。発売前のゲームの文章は秘密の情報です。依頼する側の許可なく、外部の翻訳サービスに文章を入力すると、秘密保持の約束に反するおそれがあります。翻訳の検定でも扱いは決められていて、日本翻訳連盟(JTF)のJTF<ほんやく検定>は、2022年7月の検定から機械翻訳の使用を禁止しています。仕事を受けるときは、機械翻訳やAIの使用が認められているか、認められているならどのサービスなら使ってよいかを、最初に確かめておきましょう。

AIを業務に取り入れる支援そのものを仕事にする道もあります。翻訳やローカライズの現場でAIをどう使うかを企業に提案する仕事の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で説明しています。

未経験からの入り方

未経験からゲームローカライズの仕事に入るには、いくつかの道があります。自分の今の状況に合う道を選びましょう。

1つ目は、ゲームのテストの仕事から入る道です。ゲームの不具合を探すテストの会社では、言語の確認を担当する人を募集していることがあります。実際の開発の現場で、ローカライズの作業がどう進むのかを見られるのが利点です。ここで経験を積み、翻訳やプロジェクトの管理に進む人もいます。

2つ目は、翻訳会社の外部の翻訳者として登録する道です。多くの翻訳会社は、登録の前にトライアルと呼ばれる試験を課しています。トライアルとは、短い文章を実際に訳して提出し、翻訳の質を見てもらう試験のことです。ゲームの分野に特化したトライアルを用意している会社もあります。合格すれば、少しずつ仕事を受けられるようになります。

3つ目は、翻訳の力を客観的に示せる資格を取る道です。JTF<ほんやく検定>は、インターネットで在宅受験できる翻訳の検定です。実用レベルは英日翻訳と日英翻訳があり、政経・社会、科学技術、金融・証券、医学・薬学、情報処理の5分野から1つを選び、訳の完成度に応じて1級から3級が判定されます。ゲームの分野そのものの試験ではありませんが、翻訳の基礎の力を示す材料になります。

4つ目は、ゲームの会社や翻訳会社に社員として入る道です。ローカライズの部署の求人では、語学力に加えて、ゲームが好きであることや、関連する実務の経験が求められることが多いです。

どの道でも、自分の訳を見せられる材料を持っておくと有利です。ただし、市販のゲームの文章を勝手に訳して公開することには注意が必要です。著作権法の第27条は、著作者が著作物を翻訳する権利を持つと定めています。作品を訳して公開すると、この権利に触れるおそれがあります。練習の訳を見せたいときは、自分で書いた架空のゲームの台本を訳す、公開してよいと明示された素材を使うなど、権利の問題がない形で作りましょう。

トライアルに受かるための準備

翻訳会社に外部の翻訳者として登録するときに避けて通れないのが、トライアルです。トライアルの結果で、仕事を任せてもらえるかどうかが決まるため、準備の仕方が大切です。

まず、課題の指示を最後まで正確に読みます。文字数の上限、表記の決まり、提出の形式、締め切りなど、指示に1つでも従っていないと、訳の質に関係なく不合格になることがあります。ゲームのトライアルでは、変数やタグが入った文章が出されることも多いため、それらを崩さずに訳せているかも見られます。

次に、訳を何度も読み直します。誤字や脱字、表記の揺れ、同じ言葉の訳が場所によって違っていないかを確かめます。声に出して読むと、会話の不自然さに気づきやすくなります。キャラクターの台詞であれば、その人物が本当にそう話しそうかを想像しながら読みましょう。

3つ目に、迷った点は訳注として書き添えます。訳注とは、訳の判断の理由や、元の文章の解釈に迷った点を、訳文とは別に説明するメモのことです。「この台詞は皮肉として訳しました」「この固有名詞は用語集がないため仮の訳にしています」といった訳注があると、採点する側は翻訳者の考え方を理解できます。ただし、訳注が多すぎると読む手間が増えるため、本当に必要な点に絞ります。

日ごろの準備としては、遊んだゲームの中で、印象に残った台詞やうまい訳を書き留めておくことが役立ちます。原語版と日本語版の両方がある作品であれば、同じ場面をどう訳しているかを比べると、プロの判断の仕方が見えてきます。小説や脚本、漫画など、ゲーム以外の物語の文章を幅広く読むことも、日本語の引き出しを広げる助けになります。

不合格だった場合も、あきらめる必要はありません。多くの翻訳会社は、一定の期間を空ければ再挑戦を認めています。落ちた理由が分からないときは、自分の訳を時間を置いて読み直し、指示の読み落としや表記の揺れがなかったかを確かめましょう。

業務委託で受けるときに契約で確かめること

ゲームローカライズの仕事を業務委託で受ける場合は、作業を始める前に、取引の条件を書面やメールで確かめておくことが大切です。確かめたい項目は次のとおりです。

  • 作業の範囲(翻訳だけか、校正や用語集の作成も含むか)
  • 報酬の決め方(文字数や単語数で計算するか、時間で計算するか、一式か)
  • 修正の扱い(何回まで報酬に含まれるか、仕様の変更による作り直しはどうなるか)
  • 納期と支払いの時期
  • 機械翻訳やAIの使用の可否
  • 秘密保持の範囲と、実績として作品名を出してよいか

フリーランスとして受ける人を守る法律として、フリーランス・事業者間取引適正化等法があります。厚生労働省は、この法律について次のように説明しています。発注する事業者には、業務を委託したときの取引条件の明示、成果物を受け取った日から原則60日以内の報酬の支払い、ハラスメントへの対策の体制づくりなどが義務付けられています。詳しくは厚生労働省のフリーランスの方向けのページで確かめられます。

ゲームの仕事で特に揉めやすいのが、秘密保持と実績の扱いです。発売前の作品は、作品名すら外に出せないことが多く、発売後も、自分が担当したと公表してよいかは契約によって違います。実績として紹介したい場合は、契約の段階で「発売後に担当したことを公表してよいか」を確かめておきましょう。

報酬の相場は、言語の組み合わせ、作品の種類、作業の範囲、依頼する側が会社かどうかで大きく違います。一般的な相場の数字だけで判断せず、作業の量と期間から時間あたりの手取りを計算して、引き受けるかどうかを考えるのが現実的です。

在宅で受けるために整えておく作業の環境

業務委託で在宅の翻訳を受けるなら、作業の環境を整えておくことも準備の1つです。依頼する側は、訳の質と同じくらい、情報を安全に扱えるかどうかを気にしています。

まず、パソコンの管理です。発売前の作品の文章を扱うため、家族と共有しているパソコンで作業するのは避け、仕事用のアカウントを分けておくのが安全です。OSとソフトを最新の状態に保ち、画面のロックとパスワードを設定しておきます。カフェなどの公共の場所で作業すると、画面を後ろからのぞかれたり、安全でない通信を使ってしまったりするおそれがあるため、作業の場所は自宅に限るのが基本です。

次に、ファイルの受け渡しの方法です。依頼する側が指定する受け渡しの方法がある場合は、必ずそれに従います。個人のメールや無料の共有サービスに勝手にファイルを預けると、秘密保持の約束に反することがあります。作業が終わったファイルをいつ削除するかも、契約や指示に合わせて管理します。

3つ目は、翻訳の作業を支える道具です。翻訳会社によっては、翻訳の専用ツールの使用を求めることがあります。過去の訳を検索して再利用したり、用語集との食い違いを自動で見つけたりできる道具で、大量の文章を扱うゲームの翻訳では作業の正確さを支えます。どの道具を使うかは依頼する側が決めることが多いため、登録の段階で使える道具を伝えておくと、仕事を割り振ってもらいやすくなります。

辞書や資料も、紙と電子の両方で揃えておくと調べ物が速くなります。ゲームの分野では、作品ごとの公式の設定資料や過去作の訳が最も大切な資料になるため、依頼する側から渡された資料は、すぐに見返せるよう整理しておきましょう。

働き方の比べ方と、キャリアの広げ方

ゲームローカライズの働き方には、社員、派遣、業務委託があります。社員や派遣では、テストの会社やゲームの会社の事務所で、チームの一員として作業することが多くなります。発売前の情報を扱うため、作業の場所が会社の中に限られることがあるからです。業務委託では在宅で受けられることが多い一方、仕事の量が作品の発売の時期によって大きく変わります。

キャリアの広げ方としては、言語を軸にする道と、ゲームを軸にする道があります。言語を軸にする道では、ゲームで身につけた翻訳の力を、アプリやWebサービスの画面の翻訳、マニュアルの翻訳などに広げていきます。画面の文言の翻訳は、ゲームと同じく文字数の制約や変数の扱いがあり、経験を生かしやすい分野です。

ゲームを軸にする道では、ローカライズのプロジェクトマネージャーや、海外向けの運営の担当、遊び手の声を集めて作り手に伝える担当などに進むことがあります。言語とゲームの両方が分かる人は、作り手と海外の遊び手をつなぐ役割として重宝されます。

文章を書く力を収入につなげる考え方は、Webライティングの仕事とも共通します。文章の単価を上げていく段階の踏み方はWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで説明しています。翻訳の仕事でも、専門分野を決め、実績を積み、単価の交渉をする流れは似ています。

現場を見てきて分かること

在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、翻訳やローカライズの仕事を長く続けている人には共通点があります。それは、訳の上手さだけでなく、「この人に頼むと確認の手間が少ない」と思われていることです。質問が的確で、用語集を守り、納期の前に進み具合を報告する。こうした積み重ねが、次の作品の依頼につながっています。

もう1つ見てきたのは、間に入る手数料が少ないほど、受ける側の手取りが厚くなるという構造です。同じ予算でも、中間の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、依頼する側はより多くの作業を頼め、受ける側は1件あたりの手取りが厚くなります。ゲームのローカライズのように、作品ごとに長い付き合いになる仕事では、直接の信頼関係が特に生きてきます。

ゲームの仕事は、デザインやイラストなど、ほかの制作の仕事とも近い分野です。ゲームの画面やキャラクターの制作に関わる仕事の収入の目安はデザイナーの年収・単価相場で確かめられます。また、Webの制作の分野でフリーランスとしてどのように収入を組み立てるかは、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスが参考になります。ローカライズの仕事だけに絞らず、言葉とゲームの知識を生かせる周りの仕事にも目を向けると、仕事の波に左右されにくい働き方を作れます。

よくある質問

Q. ゲームローカライズの仕事に資格は必要ですか?

必須の資格はありません。採用やトライアルで見られるのは、元の言語を読み取る力、訳す先の言語で自然な文章を書く力、ゲームへの理解、決まりを守る正確さです。翻訳の力を示す材料として、在宅で受けられるJTF<ほんやく検定>のような翻訳の検定を受ける人もいます。資格よりも、トライアルの結果と実際の訳文が重視されることが多い仕事です。

Q. 未経験でもゲームの翻訳の仕事を受けられますか?

未経験からでも入る道はあります。ゲームのテストの会社で言語の確認を担当して現場を知る道や、翻訳会社のトライアルに合格して外部の翻訳者として登録する道が代表的です。最初は小さな作業から任されることが多いため、用語集の順守や質問の書き方など、確認の手間をかけさせない仕事ぶりで信頼を積むことが次の依頼につながります。

Q. ゲームローカライズは在宅でできますか?

翻訳や校正は、業務委託で在宅で受けられることが多い仕事です。一方で、言語テストは発売前の作品を実際に遊ぶため、情報の管理の都合から会社の事務所での作業に限られる場合があります。在宅で受ける場合も、秘密保持の約束を守れる作業の環境を整え、機械翻訳やAIを使ってよいかを契約の前に確かめておくことが大切です。

Q. 好きなゲームを勝手に翻訳して実績として公開してもよいですか?

避けたほうが安全です。著作権法の第27条は、著作者が著作物を翻訳する権利を持つと定めていて、市販のゲームの文章を無断で訳して公開すると、この権利に触れるおそれがあります。実績を見せたいときは、自分で書いた架空の台本を訳す、公開してよいと明示された素材を使うなど、権利の問題がない形で練習の訳を作りましょう。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月16日最終更新:2026年10月22日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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