チラシのポスティングのバイトを選ぶ前に|配布の流れと報酬の決まり方

吉田 沙織
吉田 沙織
チラシのポスティングのバイトを選ぶ前に|配布の流れと報酬の決まり方

この記事のポイント

  • ✓チラシのポスティングのバイトを選ぶ前に知っておきたい
  • ✓時給制と単価制の報酬の決まり方
  • ✓雇用と業務委託の違いを整理します

人と話すのは得意ではないけれど、体を動かしながら自分のペースで働きたい。空いた時間に近所を歩いて収入にしたい。そう考えてチラシのポスティングのバイトを調べ始めると、「時給1,100円」と書かれた求人と「1枚2円から」と書かれた求人が並んでいて、どちらが得なのか分かりにくく感じます。

結論から言うと、チラシのポスティングのバイトは、報酬の決まり方によって中身がまったく違う仕事になります。時給制は会社に雇われて働く形で、配った枚数にかかわらず働いた時間で給料が決まり、最低賃金や労災保険の決まりが当てはまります。単価制は多くが業務委託で、配った枚数で報酬が決まり、自由度が高い代わりに、配るのが遅いと1時間あたりの金額が大きく下がります。どちらが合うかは、配布にかけられる時間と、配る速さの見込みで決まります。この記事では、求人の実例、労働基準法、刑法、国税庁と厚生労働省の資料をもとに、ポスティングの配布の流れと報酬の決まり方、選ぶ前に確かめる点を整理します。内容は2026年10月9日時点で各機関が公表している情報です。

ポスティングのバイトとはどんな仕事か

ポスティングとは、チラシや広告、地域の情報誌などを、住宅や事業所の郵便受けに1枚ずつ入れて回る仕事です。依頼主は、スーパー、不動産会社、学習塾、飲食店、地域の情報誌の発行元などで、ポスティングの会社がまとめて配布を請け負い、配布する人を募集しています。

仕事の中身は、決められた地域の郵便受けにチラシを入れて回ることです。接客や電話の対応はほとんどなく、配布の途中で人と話す機会も多くありません。自分のペースで黙々と進められる点が、この仕事が選ばれる大きな理由です。

ポスティングの求人には、大きく分けて3つの形があります。

形 主な報酬の決まり方 特徴
会社に雇われて配る 時給制 集合場所に集まり、決められた時間だけ配る
業務委託で自宅周辺を配る 単価制(1枚あたり) 自宅にチラシが届き、期限までに好きな時間に配る
情報誌などを決まった曜日に配る 時給制または部数ごと 毎週決まった曜日に、決まった区域を回る

同じ「ポスティング」でも、働き方と報酬の決まり方がこれだけ違います。求人を見るときは、まずどの形の仕事なのかを見分けることが出発点です。

ポスティングは、写真の仕事にも少し似ています。撮影の現場では、どの順番でカットを撮るかを先に決めておくと、撮り漏れが減り、時間も短く済みます。ポスティングも、どの順番で回るかを先に決めておくかどうかで、同じ枚数を配る時間が大きく変わります。

配布の流れ

ポスティングの仕事の流れを、時給制と単価制に分けて追います。

時給制の流れ

  1. 指定された時刻に、ポスティングの会社の事務所や集合場所に集まる
  2. その日に配るチラシと、配布する区域の地図を受け取る
  3. 担当の区域まで、徒歩、自転車、会社の車などで移動する
  4. 地図に沿って、郵便受けにチラシを入れて回る
  5. 配り終えたら、配った区域と残った枚数を報告する

時給制では、配る区域と時間を会社が決めるため、自分で計画を立てる必要はあまりありません。そのかわり、集合時刻に合わせて動く必要があります。

単価制の流れ

  1. 自宅にチラシと配布する区域の地図が届く
  2. 配布の期限を確かめ、いつ配るかを自分で決める
  3. 自分で決めた時間に、区域を回って配る
  4. 配り終えたら、配った枚数や区域を会社に報告する
  5. 報告した枚数をもとに、報酬が計算される

単価制では、配る日と時間を自分で決められるのが大きな特徴です。平日の夕方に1時間だけ、休日の午前に2時間、というように、生活の空いた時間に合わせて配れます。一方で、期限までに配り終える責任は自分にあります。雨が続いたり、体調を崩したりして期限が迫ると、短い時間で多くの枚数を配る必要が出てきます。

配布報告の大切さ

どちらの形でも、配った結果を正しく報告することが求められます。地図に配った範囲を塗る、配布の前後に写真を撮る、スマートフォンのアプリで位置情報を記録する、といった方法を指定する会社もあります。依頼主は、チラシが本当に配られたかを確かめられないと、次の依頼をしなくなるからです。報告の方法は会社によって違うので、始める前に確かめておきます。

報酬の決まり方は時給制と単価制で違う

ポスティングを選ぶうえで最も大切なのが、報酬の決まり方です。

時給制は働いた時間で決まる

時給制は、会社に雇われて働く形で、配った枚数にかかわらず、働いた時間に時給をかけた額が給料になります。求人の中には「時給1,100円」のように具体的な額が書かれたものがあります。雇われて働く場合、時給は働く都道府県の地域別最低賃金を下回ってはいけません。最低賃金は毎年秋ごろに改定され、令和8年度の改定は都道府県ごとに10月から順に発効しているので、発効日と一緒に確かめてください。

時給制のよい点は、配るのが遅くても、働いた時間分の給料は受け取れることです。慣れないうちや、坂道の多い区域を担当したときでも、収入が大きく下がることはありません。

単価制は配った枚数で決まる

単価制は、配ったチラシの枚数に1枚あたりの単価をかけた額が報酬になります。実際の求人には、次のような書き方があります。

【仕事内容】チラシをポストに投函するだけ!自由度MAXのお仕事!...【給与補足・福利厚生・受動喫煙防止措置など】<給与補足>業務委託(ご自宅周辺のポスティング)の方は単価制となります。1枚\2円~、配布した... 出典: 求人ボックス

この求人のように、同じ会社の中でも、雇われて配る人は時給制、自宅の周辺を業務委託で配る人は単価制、と分けていることがあります。

単価制で大切なのは、1時間あたりにいくらになるかを自分で計算することです。仮に1枚2円で1,000枚を配る場合、報酬は2,000円です。1時間に200枚配れる人なら5時間で配り終え、1時間あたり400円になります。1時間に400枚配れる人なら2.5時間で、1時間あたり800円です。配る速さによって、1時間あたりの金額は倍も変わります。

配る速さは、区域の形で大きく変わります。マンションが集まる地域では、1か所で多くの郵便受けに入れられるので速く配れます。一戸建てが離れて並ぶ地域や坂道の多い地域では、歩く距離が長くなり、配る速さは落ちます。

チラシを複数枚まとめて配る場合

1つの郵便受けに、種類の違うチラシを2枚、3枚とまとめて入れる「併配」と呼ばれる配り方もあります。1軒回るごとに配る枚数が増えるため、同じ距離を歩いても報酬は増えます。ただし、チラシをまとめて折る作業に時間がかかる、荷物が重くなる、といった負担も増えます。併配があるかどうかで1時間あたりの金額が変わるので、単価と一緒に確かめておきます。

雇用と業務委託で変わること

時給制と単価制の違いは、報酬の計算の仕方だけではありません。多くの場合、時給制は「雇用」、単価制は「業務委託」という、契約の種類そのものが違います。契約の種類によって、守られる決まりが変わります。

比べる点 雇用(時給制が多い) 業務委託(単価制が多い)
最低賃金 当てはまる 当てはまらない
労災保険 当てはまる 原則として当てはまらない
働く時間と場所 会社が決める 自分で決める
税金の扱い 給与として源泉徴収される 自分で所得を申告する
道具や交通費 会社の負担があることが多い 自分で負担することが多い

業務委託でも守られる決まりがある

業務委託だからといって、何の決まりもないわけではありません。2024年11月に始まったフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)は、個人で仕事を受ける人を守るための法律です。厚生労働省の解説ページでは、個人で働くフリーランスに業務を委託する発注事業者に対し、取引の条件を明示すること、給付を受け取った日から原則60日以内に報酬を支払うこと、ハラスメント対策の体制を整えることなどが義務付けられると説明されています。

同じページには、会社に雇われている人が副業で業務委託を受けている場合も、この法律のフリーランスにあたると書かれています。報酬の額や支払日、配布の条件が書面やメールで示されない場合は、示してもらうよう求めることができます。ただし、発注事業者の規模などによって義務の内容が変わるので、詳しくは厚生労働省の解説ページで確かめてください。

労災保険の違いに注意する

雇用で配る場合、配布の途中で転んでけがをしたり、自転車で事故にあったりしたときは、労災保険の対象になります。業務委託の場合は、原則として労災保険の対象になりません。業務委託で配る人は、自分でけがや事故に備える保険を確かめておくと安心です。

配布の決まりとトラブルを避けるために

ポスティングの仕事で最も気をつけたいのが、配布先とのトラブルです。郵便受けにチラシを入れられることを嫌がる人もいて、配り方を誤ると苦情につながります。

「チラシお断り」の表示は必ず守る

郵便受けや玄関に「チラシお断り」「投函禁止」と書かれた家には、チラシを入れません。多くのポスティングの会社は、配布禁止の住宅の一覧を作っていて、配る人に渡しています。一覧に載っていない家でも、表示があれば入れないのが基本です。

集合住宅の敷地に入るときの注意

マンションやアパートでは、管理会社や管理組合が、チラシの投函を禁じていることがあります。入口に「チラシの投函禁止」「関係者以外立入禁止」と掲示されている場合は、敷地に入って配ること自体をやめます。

刑法第130条には、次のように書かれています。

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。 出典: laws.e-gov.go.jp

ここでいう「看守する邸宅」とは、管理人がいるマンションのように、誰かが管理している住宅のことです。管理者がはっきり立ち入りを断っている場所に入ってチラシを配ると、この決まりに触れるおそれがあります。どの場合に当たるかは状況によって判断されるので、迷う場所には入らず、会社に確認するのが安全です。オートロックのマンションで、住人の後について建物の中に入ることも避けます。

配れなかったチラシは会社に返す

期限までに配りきれなかったチラシを、捨てたり、まとめて1か所に入れたりしてはいけません。依頼主は、配られることを前提に料金を払っています。配りきれなかった場合は、正直に会社に報告し、残ったチラシを返します。配ったと偽って報告すると、契約違反として報酬が支払われないだけでなく、損害の賠償を求められることもあります。

住人に声をかけられたとき

配布の途中で住人に声をかけられることがあります。「うちには入れないで」と言われたら、その場で謝り、地図に印を付けて、会社に報告します。言い返したり、言い訳をしたりすると、苦情が大きくなります。

ポスティングが向いている人ときついと感じる場面

ポスティングは、人によって合う、合わないがはっきり分かれる仕事です。

向いている人

1つ目は、歩くことが苦にならない人です。区域によっては、1日に1万歩を超えて歩くことも珍しくありません。運動の代わりになると考えられる人には、続けやすい仕事です。

2つ目は、1人で黙々と作業することが好きな人です。配布の途中で誰かと話すことはほとんどありません。

3つ目は、時間を自分で決めたい人です。単価制の業務委託であれば、子どもが学校に行っている間、本業が休みの日など、空いた時間に合わせて配れます。

きついと感じやすい場面

1つ目は、天気の悪い日です。雨の日はチラシが濡れないように気を配る必要があり、夏の暑い日や冬の寒い日は、長く歩くこと自体が体に負担になります。

2つ目は、坂道や階段の多い区域です。エレベーターのない集合住宅で上の階まで郵便受けがある場合や、坂の上に家が点在している区域では、歩く距離に比べて配れる枚数が少なくなります。

3つ目は、苦情を受けたときです。正しく配っていても、チラシを嫌がる住人から強い言葉をかけられることがあります。

撮影の仕事を始めたころ、知人の誘いでポスティングを手伝ったことがある人の話では、最初の日は地図の読み違いで同じ通りを2回歩き、予定の倍の時間がかかったそうです。地図を見ながら歩く仕事に慣れていない人は、最初の数回は時間がかかると考えておくと、気持ちに余裕が生まれます。

求人を選ぶときに確かめる点

ポスティングの求人を見るときに確かめたい点を整理します。

  1. 時給制か単価制か、契約は雇用か業務委託か
  2. 単価制なら、1枚あたりの単価と、併配があるか
  3. 配布の区域は自宅の近くか、集合場所から離れた場所か
  4. 移動の手段は徒歩、自転車、会社の車のどれか
  5. 交通費や自転車の使用に手当があるか
  6. 配布の期限と、1回あたりに届くチラシの枚数
  7. 配布の報告の方法(地図、写真、アプリ)
  8. 報酬の締め日と支払日

求人を探すときは、地域名と「ポスティング」を組み合わせて検索すると、近くの求人が見つかります。求人の検索サイトでは、似た求人がまとめて表示されることがあります。

求人ボックスでは、類似する求人が複数ヒットした際に求人を探しやすくなるよう自動で非表示にしています。 そのため、記載されたヒット件数と実際に検索結果に表示されている求人の数が異なる場合がございます。 出典: 求人ボックス

応募する前には、ポスティングの会社の所在地と連絡先が求人票に書かれているかも確かめます。チラシの受け渡しや報酬の支払いで困ったときに連絡が取れない会社は、避けたほうが安全です。

同じ会社が複数の地域で同じ内容の求人を出していることも多いので、件数の多さだけで判断せず、1件ずつ条件を読み比べてください。

注意したい求人の書き方

「誰でも簡単に高収入」「1日1時間で月10万円」のように、報酬の高さだけを強調する求人には注意が必要です。単価と1時間に配れる枚数から、本当にその金額になるかを計算してみてください。また、仕事を始める前に、登録料や研修費、道具の代金を払うよう求める求人は避けます。仕事を紹介する代わりに先にお金を払わせる手口は、消費者庁が注意を呼びかけている業務提供誘引販売取引にあたる場合があります。

1日の組み立て方の例

単価制の業務委託で、自宅の周辺を配る場合を例に、1回の配布の組み立て方を追ってみます。

前の日の夜に、届いた地図を見て、配る順番を決めます。マンションが集まる場所を先に回り、一戸建ての多い場所をあとに回る、というように、効率のよい順番を考えます。チラシは、配る区域ごとに分けて袋に入れておきます。

当日は、配布に2時間を取ると決めたら、最初の1時間で地図の半分を配り終えることを目安にします。半分の時点で予定より遅れていれば、残りの区域を次の日に回すか、配る時間を延ばすかを決めます。

配り終えたら、その日のうちに地図に配った範囲を塗り、残った枚数を数えて会社に報告します。報告を後回しにすると、どこまで配ったかを忘れてしまいます。

この組み立て方は、商品撮影の段取りとよく似ています。撮影の前日に、撮る商品を並べる順番とライトの位置を決めておくと、当日は迷わずにシャッターを切れます。ポスティングも、前の晩の5分の準備で、当日の配る時間が大きく変わります。

道具と身だしなみ

ポスティングに特別な道具は要りませんが、あると便利なものがあります。

チラシを入れるかばんは、肩にかけられて、口が大きく開くものが向いています。雨の日に備えて、チラシを入れる防水の袋や、かばんにかぶせるカバーを用意しておきます。歩きやすい靴は必須で、底が厚く滑りにくいものを選ぶと、長く歩いても疲れにくくなります。

スマートフォンは、地図を確かめたり、配布の報告をしたりするのに使います。長い時間使うと電池が減るので、予備の電池を持っておくと安心です。配布の範囲を写真で報告するよう求められる場合は、スマートフォンのカメラで十分です。撮るときは、郵便受けの表札や住人が写り込まないように気をつけます。

配布の地図は、紙で渡されることもあれば、スマートフォンのアプリで見る形のこともあります。紙の地図は雨に弱いので、透明な袋に入れておくと、濡れても読めます。アプリの地図を使う場合は、電波の届きにくい場所でも見られるよう、出かける前に地図を表示して確かめておきます。

身だしなみは、清潔感のある服装を心がけます。住人から見ると、知らない人が郵便受けに近づいてくるので、不審に思われない服装と、会うたびに軽く会釈する態度が、苦情を減らすことにつながります。

税金の手続き

ポスティングで得た収入にかかる税金は、契約の種類で扱いが変わります。

雇用で時給制の場合は、給料から所得税が源泉徴収されます。本業の会社で年末調整を受けていて、ポスティングの給料が副業になる場合、国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」によると、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要になります。

業務委託で単価制の場合は、報酬は給料ではなく、事業所得や雑所得として扱われます。会社員が副業で業務委託を受けている場合、同じく国税庁のNo.1900によると、給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人は、確定申告をしなければなりません。所得とは、受け取った報酬から、かかった経費を引いた額のことです。かばんや靴、雨具などの費用は、仕事のために使った分を経費として差し引ける場合があります。

所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。どの手続きが必要かは、収入の合計や控除の内容で変わるので、税務署や住んでいる市区町村の窓口で確かめてください。

新聞配達と比べたときの違い

郵便受けに紙を入れて回るという点で、ポスティングと新聞配達はよく比べられます。どちらにするか迷っている人のために、違いを整理しておきます。

1つ目の違いは、配る時間帯です。新聞配達は、朝刊なら深夜から早朝、夕刊なら昼過ぎから夕方と、配る時間が決まっています。ポスティングは、時給制なら会社が決めた時間、単価制なら期限までの好きな時間に配れます。毎日決まった時刻に起きる生活が合う人は新聞配達、時間を自由に決めたい人はポスティングが向いています。

2つ目の違いは、配る先です。新聞配達は、新聞を購読している家だけに届けます。ポスティングは、配布禁止の家を除いて、区域内の郵便受けに広く入れて回ります。新聞配達は配る先が決まっている分、順路を覚えれば毎日同じように回れます。ポスティングは配るたびにチラシの種類や区域が変わることもあり、地図を読みながら回る力が求められます。

3つ目の違いは、頻度です。新聞配達は休刊日を除いて毎日配達があるため、週に何日働くかを販売所と決めて、決まった区域を担当します。ポスティングは、チラシの依頼がある時だけ仕事があり、時期によって量が増えたり減ったりします。

4つ目の違いは、移動の手段です。新聞配達は区域が広いことが多く、原付バイクを使う販売所が多くなります。ポスティングは、徒歩や自転車で回れる区域を任されることが多く、免許がなくても始めやすい仕事です。

収入を安定させたいなら新聞配達、空いた時間に合わせて柔軟に働きたいならポスティング、というのが大まかな選び方です。

副業として始めるときに本業との関係で確かめること

会社に勤めながら副業としてポスティングを始める場合は、本業の会社との関係でも確かめておくことがあります。

まず、就業規則です。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業・兼業は第70条に定められていて、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、会社に届け出る形になっています。会社が副業を禁止したり制限したりできるのは、労務の提供に支障がある場合、企業の秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業によって会社の利益を害する場合とされています。自分の会社の就業規則がこのモデルと同じとは限らないので、始める前に読んで、届け出が必要なら済ませておきます。

次に、雇用の契約で時給制のポスティングをする場合の労働時間です。労働基準法第38条には「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と書かれています。本業と副業の労働時間は合算して数えられ、合計が法定の労働時間を超える分には割増賃金の考え方が関わってきます。業務委託の単価制であれば、この通算の対象にはなりませんが、本業に響かない時間の使い方を考える必要があるのは同じです。

最後に、住民税です。雇用の契約で受け取る給料の住民税は、本業の給料から天引きされる住民税と合わせて計算されるのが一般的です。業務委託の報酬は給与以外の所得なので、住民税の申告のときに自分で納める形を選べる場合があります。どちらにしても、副業を会社に知られないことを前提にするのではなく、就業規則に従って届け出たうえで始めるのが確実です。

季節ごとの配り方の工夫

ポスティングは外を歩く仕事なので、季節によって負担が大きく変わります。季節ごとの工夫を整理します。

夏

夏の日中は、長く歩くと体に大きな負担がかかります。単価制で時間を自分で決められるなら、気温の上がる昼の時間を避け、朝の早い時間か夕方に配ります。水分を持ち歩き、30分に1回は日陰で休むと決めておくと、気づかないうちに体調を崩すことを防げます。帽子と、汗を吸いやすい服を用意しておきます。

冬

冬は日が暮れるのが早く、夕方に配り始めると、すぐに暗くなります。暗い中では郵便受けの表示を見落としやすく、「チラシお断り」の家に入れてしまう失敗が増えます。冬はできるだけ明るい時間に配るように予定を組みます。手袋は、チラシをつまみやすいよう指先の出せるものが便利です。

雨の日

雨の日は、チラシが濡れて郵便受けの中でよれてしまうことがあります。濡れたチラシを入れると、受け取った住人の印象が悪くなり、依頼主にも迷惑がかかります。単価制で期限に余裕があるなら、雨の日は配らずに晴れた日に回すのが基本です。どうしても配る必要があるときは、防水の袋からチラシを1枚ずつ取り出して、すぐに入れるようにします。

年末と年度の替わり目

年末や3月から4月にかけては、引っ越しや新生活に向けた広告が増え、配るチラシの量が増える時期です。単価制では稼ぐ機会が増える一方、期限が重なって忙しくなります。この時期に引き受ける量は、自分が1週間に配れる枚数から逆算して決めます。

長く続けるための体のケア

ポスティングは、毎回数時間歩き続ける仕事です。始めたばかりのころは足腰に疲れがたまりやすいので、体のケアを習慣にしておくと長く続けられます。

まず、靴を見直します。底のすり減った靴で長く歩くと、足の裏やひざに負担がかかります。ポスティング用の靴を1足決めておき、底がすり減ったら早めに替えます。

次に、かばんの持ち方です。チラシは1,000枚になるとかなりの重さになります。片方の肩にだけかけ続けると、肩や腰を痛める原因になります。左右の肩を交互に使うか、背負える形のかばんを使うと、体への負担を分散できます。

最後に、配り終えたあとの休み方です。配り終えた直後に座り込むより、軽く体を伸ばしてから休むほうが、翌日に疲れが残りにくくなります。最初の1か月は、配る日を連続させず、1日おきに配るくらいの予定にしておくと、体が仕事に慣れていきます。

体のどこかに痛みが続く場合は、無理をせず配る量を減らし、必要に応じて医療機関に相談してください。

ポスティングの経験を次の仕事につなげる

最後に、フリーランスや副業の市場を長く見てきた運営者の視点から、ポスティングの仕事を次の働き方につなげる考え方を整理します。

運営者として見てきた限りでは、ポスティングのような単価制の仕事を経験した人は、自分の時間あたりの価値を計算する感覚を早く身につけます。1枚あたりの単価と配る速さから、1時間あたりの金額を出す。この計算は、在宅で仕事を受けるときの見積もりの考え方と同じです。

在宅で受ける仕事に移るときに意識したいのは、仲介の手数料がかからない直接の取引です。手数料0%で直接取引できる場では、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側は受け取る金額が目減りしません。ポスティングで身につけた「1時間あたりにいくら残るか」という見方は、こうした取引の条件を比べるときにそのまま役立ちます。

在宅の仕事の入り口として多いのが、文章を書く仕事です。単価の上げ方はWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで段階ごとに整理しています。文章の力を客観的に示したい人には、ビジネス文書検定のような資格もあります。

チラシそのものを作る側に回る道もあります。チラシや広告のデザインを受ける仕事の相場は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。フリーランスのデザイナーの稼ぎ方とキャリアの積み方は、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスが参考になります。配る側として「どんなチラシが読まれやすいか」を毎日見てきた経験は、作る側に回ったときの大きな強みになります。

まずは自宅の近くで、少ない枚数から始めてみてください。1回配ってみて、1時間に何枚配れたかを記録すれば、時給制と単価制のどちらが自分に合うかを、数字で判断できるようになります。

よくある質問

Q. ポスティングのバイトは時給制と単価制のどちらが得ですか?

配る速さで変わります。単価制は配った枚数で報酬が決まるため、1時間に配れる枚数が多い人ほど1時間あたりの金額が上がります。慣れないうちや坂道の多い区域では、働いた時間で給料が決まる時給制のほうが収入が安定します。まず1回配ってみて、1時間に何枚配れたかを記録してから選ぶのが確実です。

Q. 業務委託のポスティングにも最低賃金は当てはまりますか?

業務委託は雇用の契約ではないため、最低賃金の決まりは当てはまりません。そのため、配る速さによっては、1時間あたりの金額が最低賃金を下回ることもあります。一方で、フリーランス法により、発注事業者には取引条件の明示や、原則60日以内の報酬支払などが義務付けられています。条件は書面やメールで示してもらいましょう。

Q. 「チラシお断り」と書かれた家に入れてしまったらどうすればよいですか?

気づいた時点で、ポスティングの会社に正直に報告してください。住人から苦情があった場合も、会社が対応の仕方を指示してくれます。次からは、配布禁止の住宅の一覧と表示の両方を確かめてから入れるようにします。管理者が投函や立ち入りを断っている集合住宅には、敷地に入らないことが基本です。

Q. ポスティングの副業で確定申告は必要ですか?

会社員が副業でポスティングをする場合、給料として受け取るなら、年末調整をされなかった給与とほかの所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。業務委託の報酬なら、報酬から経費を引いた所得が20万円を超えると必要になります。住民税の申告は別に必要なことがあるので、市区町村の窓口で確かめてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月30日最終更新:2026年10月10日
吉田 沙織

この記事を書いた人

吉田 沙織@SOHO編集部

フリーランスカメラマン・レタッチャー

写真スタジオで5年間勤務後、フリーランスに独立。EC商品撮影・画像編集・レタッチを手がけ、写真・カメラ・画像編集系の記事を執筆しています。

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