アイゼンハワーマトリクスをエクセルで作る手順と、緊急度と重要度でタスクを振り分ける書き方


この記事のポイント
- ✓アイゼンハワーマトリクスをエクセルで作る手順を
- ✓重要度と緊急度のプルダウン
- ✓4つの領域を自動で判定する式
アイゼンハワーマトリクスをエクセルで作ると、思いついたタスクを1行ずつ入力して「重要度」と「緊急度」を選ぶだけで、4つの枠に自動で振り分けられる表が手に入ります。紙に四角を描いて書き込む方法でも始められますが、タスクが増えたり、毎週書き直したりするうちに、手で書き写すのが面倒になって続かなくなりがちです。
この記事では、エクセルでアイゼンハワーマトリクスを作る手順を、一覧表の作り方から、プルダウンの設定、4つの領域を判定する式、FILTER関数で4つの枠に並べる方法、終わったタスクに取り消し線を引く設定まで、順番に説明します。振り分けで迷わないための基準の決め方や、作った表を続けて使うための見直し方も扱います。チームでタスクを共有したくなったときの選択肢として、縦横2軸のマトリクスをボードで作れるプロジェクト管理ツールPinatecaにも触れます。
アイゼンハワーマトリクスとは、タスクを4つの枠に分ける方法
アイゼンハワーマトリクスは、タスクを「重要か、重要でないか」と「緊急か、緊急でないか」の2つの軸で4つの枠に分け、手をつける順番を決める方法です。名前は、アメリカの第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワーに由来します。日本では、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で紹介された「時間管理のマトリックス」としても知られています。
4つの枠は、一般に次のように呼ばれます。
| 領域 | 重要度 | 緊急度 | 主な扱い方 |
|---|---|---|---|
| 第1領域 | 高 | 高 | すぐに自分で取りかかる |
| 第2領域 | 高 | 低 | いつやるかを予定に入れる |
| 第3領域 | 低 | 高 | 短く済ませるか、人に頼む |
| 第4領域 | 低 | 低 | やめる、または後回しにする |
窓の杜の連載では、エクセルでこの表を作る方法を紹介しながら、考え方を次のように説明しています。
このような表は「アイゼンハワーマトリクス」と呼ばれています。重要度と緊急度に応じて優先順位を付けられるタスクマネジメントの手法です。例えば、重要度「高」で緊急度「高」のタスクは最優先で処理する必要があり、重要度「高」で緊急度「低」のタスクは中長期の予定を立てるといった具合です。 出典: 窓の杜「いまさら聞けないExcelの使い方講座」
この方法の肝は、第2領域です。資格の勉強、仕事の仕組みを整える作業、取引先との関係づくりのように、重要なのに締め切りが迫っていないタスクは、放っておくと毎日の急ぎの仕事に押し出されて、いつまでも手がつきません。マトリクスで見える形にすると、「重要なのに後回しになっているもの」が一目で分かります。
エクセルで作るとよい人と、紙で十分な人
作り始める前に、エクセルで作る必要があるかを確かめておきます。道具選びを間違えると、表を整えることが目的になってしまいます。
紙やメモで十分な場合
- 抱えているタスクが10件前後で、1日か2日で入れ替わる
- 振り分けを考えるのは朝の5分だけで、記録を残す必要がない
- パソコンを開かない時間に考えたい
この場合は、紙に十字を描いて4つの枠に書き込むだけで十分です。完了したら線で消し、翌朝に書き直します。手で書くと、枠の大きさに収まらないほどタスクが多いことにも気づきやすくなります。
エクセルで作ると楽になる場合
- タスクが20件を超え、毎週入れ替わる
- 期限や依頼主、かかる時間もいっしょに記録しておきたい
- 終わったタスクを振り返って、どの領域に時間を使ったかを確かめたい
- 仕事でエクセルを毎日開いている
エクセルの良さは、タスクを1行ずつ入力しておけば、並べ替えや振り分けを式に任せられることです。毎週書き直す手間がなく、過去のタスクも残ります。ここからは、エクセルで作る場合の手順を説明します。
手順1:タスクの一覧表を作る
最初に作るのは、4つの枠の図ではなく、タスクを1行ずつ入力する一覧表です。図から作り始めると、タスクを増やしたり消したりするたびに枠の中を直すことになり、手間がかかります。一覧表をもとに、図は後から自動で作ります。
新しいブックを開き、1枚目のシートの名前を「タスク」に変えて、1行目に次の見出しを入力します。
| 列 | 見出し | 入力する内容の例 |
|---|---|---|
| A | タスク | 見積書を作って送る |
| B | 重要度 | 高 |
| C | 緊急度 | 高 |
| D | 期限 | 2026/10/16 |
| E | 状態 | 未 |
| F | 領域 | (式で自動表示) |
| G | メモ | A社 担当の田中さんから依頼 |
2行目から下に、思いつくタスクを1行に1件ずつ入力していきます。このとき、タスクの書き方には1つ決まりを作っておくと後が楽です。「見積書」ではなく「見積書を作って送る」のように、動詞で終わる形にします。何をすれば完了なのかが、文章からはっきり分かるからです。
一覧をテーブルにしておく
見出しを含む範囲を選び、[挿入] タブの [テーブル] でテーブルにしておくと、行を追加したときに書式や式が自動で下の行に広がります。見出しの行に絞り込みのボタンも付くので、状態が「未」のものだけを表示する、といった操作もすぐにできます。
手順2:重要度と緊急度をプルダウンで選べるようにする
重要度と緊急度の欄に、人によって「高い」「大」「◎」など違う書き方が混ざると、後で振り分けの式が正しく動きません。そこで、決まった値だけを選べるプルダウンにします。窓の杜の連載でも、この方法が勧められています。
アイゼンハワーマトリクスの基準となる指標は、重要度の「高」「低」と、緊急度の「高」「低」の4つです。重要度と緊急度を表す列を用意して、「高」と「低」以外入力できないようにプルダウンリストにしておくといいでしょう。[データの入力規則]を利用します。 出典: 窓の杜
Microsoftのサポートページ「セルにデータの入力規則を適用する」に沿うと、手順は次のとおりです。
- 重要度の列(B列)の入力する範囲を選ぶ
- [データ] タブの [データの入力規則] を選ぶ
- [設定] タブの [入力値の種類] で [リスト] を選ぶ
- [元の値] に「高,低」と半角のカンマで区切って入力する
- [OK] を押す
緊急度の列(C列)にも同じ設定をします。状態の列(E列)には「未,済」のリストを設定しておくと、完了したタスクを選ぶだけで切り替えられます。
3段階にしたくなったら
「中」を加えて3段階にしたくなることがあります。ただ、アイゼンハワーマトリクスは「高か低か」を決めることで迷いを断つ方法です。「中」があると、迷ったタスクがすべて「中」に流れ込み、振り分けの意味が薄れます。最初は2段階で始めて、どうしても分けられないタスクが続いたときに、判断の基準のほうを見直すのがおすすめです。基準の決め方は、後の節で説明します。
手順3:4つの領域を式で自動判定する
重要度と緊急度を選んだら、どの領域に入るかをF列に自動で表示させます。F2セルに次の式を入力し、下の行にコピーします(テーブルにしていれば自動で広がります)。
=IF(AND(B2="高",C2="高"),"第1領域",IF(AND(B2="高",C2="低"),"第2領域",IF(AND(B2="低",C2="高"),"第3領域",IF(AND(B2="低",C2="低"),"第4領域",""))))
式の意味を言葉にすると、「重要度が高で緊急度も高なら第1領域、重要度が高で緊急度が低なら第2領域、重要度が低で緊急度が高なら第3領域、どちらも低なら第4領域、まだ選んでいなければ空欄」です。最後の空欄の指定があることで、重要度や緊急度を選び忘れた行は、どの領域にも入らずに空欄のまま残ります。空欄の行を見れば、振り分けが終わっていないタスクがすぐに分かります。
領域ごとに色を付ける
F列に色を付けておくと、一覧を眺めたときに領域の偏りが分かります。F列を選び、[ホーム] タブの [条件付き書式] から [セルの強調表示ルール] の [文字列] を選び、「第1領域」なら赤、「第2領域」なら青、というように色を決めます。第2領域を目立つ色にしておくと、重要なのに後回しになっているタスクが目に入りやすくなります。
手順4:FILTER関数で4つの枠に振り分ける
ここまでで一覧表はできました。次に、2枚目のシートに4つの枠の図を作り、タスクを自動で並べます。使うのはFILTER関数です。Microsoftのサポートページでは、この関数を次のように説明しています。
FILTER 関数は、ブール値 (True または False) の配列に基づいて配列をフィルター処理します。 出典: Microsoft サポート「FILTER 関数」
言いかえると、「条件に合う行だけを取り出して並べる関数」です。同じページによると、FILTER関数はMicrosoft 365、Excel 2024、Excel 2021で使えます。
4つの枠の作り方
2枚目のシートの名前を「マトリクス」に変え、次のように見出しを入力します。
- B1セルに「緊急」、C1セルに「緊急でない」
- A2セルに「重要」、A3セルに「重要でない」
続いて、4つの枠に当たるセルに式を入力します。たとえば第1領域(重要かつ緊急)のB2セルには次の式を入れます。
=FILTER(タスク!A2:A200,(タスク!B2:B200="高")*(タスク!C2:C200="高")*(タスク!E2:E200<>"済"),"なし")
条件と条件の間にある「」は、「かつ」の意味です。Microsoftのサポートページでも、複数の条件をすべて満たす行を取り出すときは、条件を「」でつなぐ方法が紹介されています。この式は「重要度が高、かつ緊急度が高、かつ状態が済でない行のタスク名」を取り出し、該当がなければ「なし」と表示します。
残りの3つの枠は、条件の「高」と「低」を入れ替えるだけです。
| 枠 | セル | 重要度の条件 | 緊急度の条件 |
|---|---|---|---|
| 第1領域 | B2 | ="高" | ="高" |
| 第2領域 | C2 | ="高" | ="低" |
| 第3領域 | B3 | ="低" | ="高" |
| 第4領域 | C3 | ="低" | ="低" |
FILTER関数は、取り出した結果を下のセルへ自動で広げて表示します。この広がり方を「スピル」と呼びます。枠の下に別の値が入っていると広がれずにエラーになるので、各枠の下には十分な空きの行を空けておきます。重要と重要でないの段を上下に分けるなら、「重要でない」の見出しは20行ほど下に配置すると安心です。
各枠の件数を数える
枠の見出しの横に件数を出しておくと、偏りが分かります。COUNTIFS関数を使い、第2領域の件数なら次のように書きます。
=COUNTIFS(タスク!B2:B200,"高",タスク!C2:C200,"低",タスク!E2:E200,"未")
第1領域が20件、第2領域が2件、という状態なら、急ぎの仕事に追われて重要な準備に手が回っていないことが数字で分かります。
FILTER関数が使えないエクセルの場合
Excel 2019以前など、FILTER関数がない版では、一覧表のテーブルの絞り込みを使います。F列の絞り込みボタンで「第1領域」だけを表示し、状態を「未」に絞れば、同じ内容を確かめられます。図は自動で作れませんが、領域ごとに並べ替えておくだけでも、振り分けの目的は果たせます。
手順5:終わったタスクに取り消し線を引く
一覧表で状態を「済」にしたタスクに、自動で取り消し線が引かれるようにします。終わったものが消えずに残っていると、1日や1週間でどれだけ片付けたかが見えて、続ける力になります。
- 一覧表のA2から最後の行までのタスク名の範囲を選ぶ
- [ホーム] タブの [条件付き書式] から [新しいルール] を選ぶ
- ルールの種類で [数式を使用して、書式設定するセルを決定] を選ぶ
- 数式の欄に「=$E2="済"」と入力する
- [書式] を押し、[フォント] タブで [取り消し線] にチェックを入れ、文字の色を灰色にする
- [OK] を押して閉じる
式の「$E2」のように、列の前にだけ「$」を付けておくのがポイントです。こうすると、どの行でも「その行のE列」を見て判断してくれます。
マトリクスのシートのFILTER関数は、状態が「済」のタスクを取り出さない条件にしてあるので、完了したタスクは枠から自動で外れます。一覧表には取り消し線つきで残り、枠からは消える。この2つの見え方を組み合わせると、「何が残っているか」と「何を終えたか」の両方が分かります。
振り分けで迷わないための基準の決め方
表ができても、実際に振り分けようとすると「これは重要なのか」「これは緊急なのか」で手が止まります。マトリクスがうまく回らない原因の多くは、表の作り方ではなく、この基準があいまいなことです。
緊急度は「日付」で決める
緊急度は、気持ちではなく期限で決めると迷いません。たとえば「期限が3日以内なら高、それより先なら低」と決めます。期限の列(D列)があるので、慣れてきたら、期限から自動で緊急度を出すこともできます。今日から3日以内かどうかは、緊急度の欄に次のような式を入れると判定できます。
=IF(D2-TODAY()>3,"低","高")
TODAY関数は今日の日付を返す関数で、期限から今日を引いた日数が3より大きければ「低」、そうでなければ「高」と表示されます。この式にしておけば、毎朝ファイルを開くたびに緊急度が自動で更新され、期限が近づいたタスクが第2領域から第1領域へ勝手に移ってくれます。ただし、プルダウンの代わりに式を入れることになるので、期限のないタスクには期限の欄に目安の日付を入れておくか、そのタスクだけ手で選ぶようにします。
重要度は「目標につながるか」で決める
重要度は、あらかじめ自分の目標を2つか3つ書き出しておき、「そのタスクが目標に近づくか」で決めます。たとえば「既存の取引先との継続」「新しい仕事の分野を広げる」「資格の取得」が目標なら、それにつながるタスクが「高」です。目標を書き出さずに判断すると、頼まれた仕事がすべて重要に見えてしまいます。
失敗しやすい振り分け
- 頼まれたことをすべて「重要」にしてしまい、第1領域と第2領域があふれる
- メールの返信や連絡を「緊急」にしすぎて、第3領域の作業で1日が終わる
- 第4領域を書き出さないため、なんとなく時間を使っている作業が見えない
- 一度振り分けたら見直さず、期限が近づいたタスクが第2領域に残ったままになる
最後の点は、緊急度を期限から自動で出すようにしておくと防げます。また、第4領域に入れたタスクは、思い切って一覧から削除するか、「やらないこと」として別の欄に移すと、表がすっきりします。
もう1つよくあるのが、大きすぎるタスクをそのまま1行に入力してしまうことです。「サイトを作り直す」のようなタスクは、何から手をつければよいか分からず、第2領域に何週間も残り続けます。こうしたタスクは「構成案を書く」「見本のサイトを3つ集める」「取引先に確認する項目を書き出す」のように、1回の作業で終わる大きさに分けてから入力します。1行のタスクは、長くても半日で終わる大きさにそろえるのが目安です。
例で見る:在宅で働く人の1週間のタスクを振り分ける
基準を決めたら、実際のタスクで振り分けてみます。ここでは、在宅で事務やライティングの仕事を受けている人の、ある月曜日の朝の一覧を例にします。目標は「既存の取引先との継続」「新しい分野の仕事を受けられるようにする」の2つ、緊急度は「期限が3日以内なら高」と決めているとします。
| タスク | 期限 | 重要度 | 緊急度 | 領域 |
|---|---|---|---|---|
| A社の記事2本を書いて納品する | 水曜 | 高 | 高 | 第1領域 |
| B社の請求書を作って送る | 火曜 | 高 | 高 | 第1領域 |
| 新しい分野の見本記事を1本書く | なし | 高 | 低 | 第2領域 |
| 過去の納品物を実績の一覧に整理する | なし | 高 | 低 | 第2領域 |
| 確定申告に向けて領収書を整理する | 来年3月 | 高 | 低 | 第2領域 |
| C社からの打ち合わせ日程の問い合わせに返信する | 今日 | 低 | 高 | 第3領域 |
| 通販サイトのアンケートに回答する | 明日 | 低 | 高 | 第3領域 |
| SNSで同業の人の投稿を見て回る | なし | 低 | 低 | 第4領域 |
この例で考えたいのは、第3領域の扱いです。打ち合わせの日程の返信は、返信自体は大事ですが、仕事の中身を進めるものではありません。こうしたタスクは、朝か夕方にまとめて5分で済ませる時間を決めておき、第1領域の作業の途中で手を止めないようにします。通販のアンケートのように、期限はあっても目標につながらないものは、回答しないと決めて一覧から外してもかまいません。
第2領域に3件並んでいる点にも注目します。見本記事、実績の整理、領収書の整理は、どれも今週やらなくても困りません。けれども、新しい分野の仕事を受けたいという目標に直結しているのは、見本記事と実績の整理です。そこで「火曜の午前に見本記事を1時間」「木曜の午後に実績の整理を30分」というように、予定表に時間を確保しておきます。第2領域は、時間を決めないと永遠に後回しになる領域です。
第4領域のSNSの見て回りは、やめるか、時間を決めて行うかを選びます。情報を集める目的があるなら「金曜の夕方に15分だけ」と決めて第2領域に移し、目的がないなら一覧から消します。こうして振り分けを1回やってみると、自分がどこに時間を使いすぎているのかが、表の上ではっきり見えてきます。
表を見やすく保つための工夫
使い続けるうちに、一覧表の行は増え、マトリクスのシートの文字は詰まっていきます。少しの工夫で、見やすさを保てます。
見出しの行を固定する
一覧表のタスクが50件を超えると、下にスクロールしたときに見出しが見えなくなります。[表示] タブの [ウィンドウ枠の固定] から [先頭行の固定] を選んでおくと、どこまでスクロールしても見出しが表示されたままになります。
マトリクスのシートは印刷の範囲を決めておく
紙に印刷して机の横に貼る使い方をするなら、マトリクスのシートの範囲を選び、[ページ レイアウト] タブの [印刷範囲] から [印刷範囲の設定] を選びます。用紙を横向きにし、4つの枠が1枚に収まるように列の幅を調整しておくと、毎週同じ形で印刷できます。
タスク名は30文字以内を目安にする
タスク名が長いと、マトリクスの枠の中で折り返されて読みにくくなります。詳しい内容はメモの欄に書き、タスク名は「何をすれば完了か」が分かる30文字以内を目安にします。「A社 記事2本 納品」のように、相手と作業と完了の形を短く入れると、枠の中でも一目で分かります。
式の入ったセルを守る
領域の判定やFILTER関数の式を、うっかり上書きしてしまうと、表が正しく動かなくなります。式の入ったシートは、[校閲] タブの [シートの保護] で保護しておくと、誤って消す心配がなくなります。ただし、保護するとプルダウンの設定などを変えられなくなるので、設定を直すときは保護を解除してから行います。
作った表を続けて使うための見直し方
エクセルの表は、作った日がいちばん整っていて、使うほど崩れていきます。続けるためには、見直しの時間を先に決めておくことが大切です。
毎朝5分:今日やるものを決める
朝はマトリクスのシートを開き、第1領域から今日やるものを選びます。そのうえで、第2領域から1件だけ、今日少しでも進めるものを選びます。第2領域を毎日1件ずつ進めるだけでも、1週間で5件の「重要だけど後回しだった」タスクに手がつきます。
週に1回15分:一覧を整理する
週末や月曜の朝に、一覧表の全体を見直します。
- 状態が「済」の行を、別のシート「完了」に移す(行を切り取って貼り付ける)
- 期限が近づいたタスクの緊急度を見直す
- 新しく増えたタスクを入力し、重要度と緊急度を選ぶ
- 第4領域のタスクを、本当に続けるかどうか決める
完了したタスクを別のシートに移しておくと、一覧表が軽く保たれ、月末に「今月どの領域にどれだけ時間を使ったか」を振り返る材料にもなります。
ファイルの置き場所を決める
ファイルをパソコンのデスクトップに保存していると、外出先のスマートフォンからは見られません。OneDriveなどに保存しておけば、Microsoft 365のExcelアプリやブラウザ版のExcelで、外出先からも確かめられます。どこで開くかを最初に決めておくと、「家のパソコンでしか見られない」という理由で使わなくなるのを防げます。
思いついたタスクは、振り分けずにまず書き留める
外出中や作業の途中にタスクを思いついたとき、その場で重要度と緊急度まで決めようとすると、手が止まって書き留めること自体をやめてしまいます。思いついた瞬間は、一覧表の一番下にタスク名だけを入力するか、スマートフォンのメモに書いておくだけにします。重要度と緊急度は空欄のままでかまいません。
手順3で作った式は、重要度と緊急度が空欄の行を、どの領域にも入れずに空欄のまま残します。翌朝の5分の見直しで、領域の列が空欄の行だけを絞り込みで表示し、まとめて振り分ければ十分です。「書き留める」と「振り分ける」を別の時間に分けると、どちらも短い時間で済み、取りこぼしも減ります。タスク管理が続かない人の多くは、この2つを同時にやろうとして疲れてしまっています。
完了したタスクから、時間の使い方を振り返る
エクセルで作る良さの1つは、終わったタスクの記録が残ることです。週の見直しで「完了」のシートに移したタスクがたまってくると、自分がどの領域に時間を使ってきたかを数字で確かめられます。
完了のシートに「終えた日」と「かかった時間」の列を加える
完了のシートには、一覧表と同じ列に加えて、「終えた日」と「かかった時間(分)」の2列を加えておきます。かかった時間は、厳密に計らなくても、15分、30分、1時間といった目安で十分です。この2列があるだけで、振り返りの中身が大きく変わります。
領域ごとの合計時間を出す
月末に、完了のシートで領域ごとの合計時間を出します。SUMIFS関数を使うと、「領域が第2領域の行の、かかった時間の合計」を求められます。かかった時間をH列、領域をF列に入れているなら、式は次のとおりです。
=SUMIFS(完了!H2:H500,完了!F2:F500,"第2領域")
4つの領域の合計を並べると、たとえば「第1領域に40時間、第2領域に6時間、第3領域に18時間、第4領域は記録なし」といった形で、1か月の時間の使い方が見えてきます。第3領域が多いなら、連絡や事務の作業をまとめる時間を決める、テンプレートの文面を用意する、人に頼める作業がないかを探す、といった手を打てます。第2領域が少ないなら、翌月は予定表に第2領域の時間を先に確保します。
見積もりと実際のずれを知る
タスクを入力するときに「見込みの時間」も記録しておくと、完了したときに実際の時間と比べられます。いつも見込みの1.5倍かかる作業があると分かれば、次からはその分を見込んで予定を立てられます。在宅で複数の取引先の仕事を受けている人にとって、この「自分の作業の速さを知っている」ことは、無理のない締め切りで仕事を受けるための大事な材料になります。
振り返りは、表を作り込むことが目的ではありません。月に1回、数字を眺めて、翌月に変えることを1つだけ決める。それだけで、マトリクスはただの一覧から、働き方を整える道具に変わります。
チームで共有したくなったら、ボードで見る方法もある
ここまでは、1人で使うエクセルの表を作ってきました。ところが、チームや取引先と仕事を分け合うようになると、エクセルのマトリクスには限界が出てきます。
エクセルのまま共有するときに起きやすいこと
- 複数の人が同じファイルを同時に直そうとして、誰の変更が最新か分からなくなる
- タスクごとの担当者や、やり取りの経緯をメモの欄に書ききれない
- 期限が近づいても、本人がファイルを開くまで気づかない
共有の設定をすればエクセルでも複数人で編集できますが、タスクごとに担当や会話を持たせたい、期限を知らせてほしい、という段階になると、タスク管理のための道具のほうが向いています。
縦横2軸のボードで並べられるPinateca
Pinatecaは、チームで使うプロジェクト管理ツールです。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあり、そのうち「グリッドボード」は、縦横2軸のマトリクスにカードを自由に並べられるボードです。縦を重要度、横を緊急度にすれば、アイゼンハワーマトリクスをそのままボードの上に作れます。
カードには担当者や期限を付けられ、チャットも内蔵されているので、タスクごとのやり取りをカードのそばで続けられます。同じタスクを、ある日はマトリクスで、別の日はカンバンで進み具合を見る、といった使い分けもできます。公式サイトでは、5人までなら無料で、8種類のボードはすべて無料プランから使え、クレジットカードの登録も不要と案内されています。ChatGPTやClaudeから会話でボードを読んで動かせる機能もあります。
1人でタスクを整理するならエクセルで十分です。チームで同じマトリクスを見ながら、担当と期限を決めて進めたくなったときに、こうしたボードを試してみると、表の書き換えに使っていた時間を減らせます。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
在宅やフリーランスで働く人を見てきて分かること
@SOHO編集部が2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた中で見てきた限りでは、長く仕事を続けている人ほど、急ぎの依頼をこなすだけでなく、第2領域の時間を意識して取っています。過去の仕事の記録を整える、次に使える見本を作っておく、取引先に定期的に近況を伝える。どれも締め切りはありませんが、これを続けている人のところに「この人に任せると楽」という評価が集まり、次の依頼につながっています。
取引先と直接やり取りする働き方では、仕事の段取りも自分で決めます。仲介の手数料が引かれない分、同じ予算でも受け取る金額が厚くなり、依頼する側も同じ予算でより多くを頼めます。手数料0%で直接取引できる環境では、タスクを自分で整理できる人ほど、その良さを生かしやすくなります。
アイゼンハワーマトリクスのように、仕事の進め方そのものを整える力は、業務の改善を手伝う仕事にもつながります。AIや道具を使って会社の業務を整える仕事の中身は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。経営や業務の改善を体系的に学びたい人には、中小企業診断士の資格の内容も参考になります。在宅で働く環境を整える費用については、国の助成の仕組みがあるかをテレワーク 助成金 2026で確かめておくとよいでしょう。
まずは今日、一覧表のシートを作り、頭の中にあるタスクを10件書き出して、重要度と緊急度を選ぶところから始めてください。4つの枠に並んだ瞬間に、明日から何を変えればよいかが見えてきます。
よくある質問
Q. アイゼンハワーマトリクスのテンプレートは、エクセルに最初から入っていますか?
エクセルのテンプレートに必ず入っているとは限らないため、この記事の手順で自分で作るのが確実です。タスクの一覧表を作り、重要度と緊急度をプルダウンで選べるようにし、FILTER関数で4つの枠に並べれば、自分の仕事に合った表になります。列の見出しを変えるだけで、メモや依頼主の欄も自由に加えられます。
Q. FILTER関数が使えないときは、どうすればよいですか?
Microsoftのサポートページによると、FILTER関数はMicrosoft 365、Excel 2024、Excel 2021で使えます。それより前の版では、一覧表をテーブルにして、領域の列の絞り込みボタンで1つの領域だけを表示する方法が使えます。領域ごとに並べ替えておくだけでも、優先順位を決める目的は果たせます。
Q. 重要度と緊急度は、何段階で付けるのがよいですか?
最初は「高」と「低」の2段階で始めるのがおすすめです。「中」を加えると、迷ったタスクがすべて中に入り、振り分けの意味が薄れます。迷うときは段階を増やすより、緊急度は期限の日数、重要度は書き出した目標につながるか、というように判断の基準をはっきりさせると決めやすくなります。
Q. どのくらいの頻度で見直せばよいですか?
毎朝5分で今日やるタスクを第1領域と第2領域から選び、週に1回15分ほどで一覧全体を見直すのが続けやすい形です。週の見直しでは、完了したタスクを別のシートに移し、期限が近づいたタスクの緊急度を直し、第4領域のタスクを続けるかどうかを決めます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







