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干し芋の販売の許可|必要な届け出と表示

@SOHO編集部
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干し芋の販売の許可|必要な届け出と表示

この記事のポイント

  • ✓干し芋の販売に許可は要るのかを
  • ✓食品衛生法の営業届出と採取業の扱い
  • ✓ラベルの表示に分けて説明します

干し芋の販売の許可を調べている人は、さつまいもを育てている農家の人か、家で作った干し芋が好評で「直売所やネットで売れないか」と考え始めた人がほとんどです。干し芋は、菓子やそうざいのような「営業許可」は要らない食品です。ただし、誰がどの芋で作るかによって、保健所への「営業届出」が要る場合と要らない場合に分かれます。この記事では、その分かれ目と、袋詰めとラベルの決まり、売り始めるまでの段取りを順番に説明します。

干し芋の販売に関わる決まりの全体像

干し芋を売るときに関わる決まりは、主に次の2つです。

  • 食品衛生法:食品を作ったり売ったりする仕事の衛生を守る法律。保健所への許可や届出はこの法律に基づきます
  • 食品表示法:売る食品の名前や賞味期限などを正しく表示させる法律。袋に貼るラベルの中身はこの法律の基準で決まります

ほかに、ネットで売るなら特定商取引法の表示、会社員の副業なら税金と勤め先の規則も関わります。この記事では、食品衛生法と食品表示法を中心に、その他の決まりにも触れていきます。

2021年6月の改正で全国の区分がそろった

食品衛生法は2021年6月に大きく改正され、営業の許可が必要な業種が32に整理されました。同時に、許可の対象ではない食品の仕事の多くに、保健所への届出が求められるようになりました。改正前は、干し芋の製造を都道府県が独自の条例で許可の対象にしていた地域もあり、古い情報では地域の決まりがそのまま書かれていることがあります。2021年より前の記事や資料を見たときは、今の区分と合っているかを確認してください。

許可と届出の違い

営業許可とは、保健所が施設を審査し、設備の基準を満たしていれば営業を認める仕組みのことです。手数料がかかり、更新もあります。営業届出とは、どこで、誰が、どんな食品を扱う仕事をするかを保健所に知らせる仕組みで、施設の審査はありません。東京都の営業届出の案内は、届出の営業者について、許可と違って施設や設備の要件はないと説明しています。同じ案内では、届出が必要かどうかを「調理して提供している」「製造や加工をしている」「販売している」などの形から確かめられるようになっていて、許可業種に当たらない製造や加工は届出の対象と整理されています。

届出だから気楽に始められる面はありますが、届出をした事業者にも衛生管理の計画と記録、食品衛生責任者を決めることが求められます。手続きが軽い分、日々の管理は自分で組み立てる必要がある、と考えておくのが正確です。

自分の畑の芋で作るなら届出が要らない場合がある

干し芋の販売で一番大きな分かれ目は、「農家が自分で育てたさつまいもで作るかどうか」です。

食品衛生法では、農業や水産業で食品を採取することは、営業に含まれません。採取業とは、作物を収穫したり魚をとったりする、自然から食べ物を得る段階の仕事のことです。厚生労働省は、農家が自分の農産物で行う簡単な加工も採取業として扱う考え方を示していて、品目ごとの一覧で干し芋を次のように整理しています。

干し芋の製造 × ただし、農家(生産者団体を含む)が自ら生産した農産物を原材料として使用する場合を除く。 出典: 厚生労働省「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」

一覧の「×」は採取業の範囲に入らないこと、つまり営業として届出などの対象になることを表しています。そのうえで、ただし書きにあるとおり、農家や生産者団体が自分で育てた芋を原料にする場合は除くとされています。

作る人と芋の組み合わせで見る

この考え方を、よくある組み合わせにあてはめると次のようになります。最終的な判断は保健所が行うので、目安として読んでください。

作る人と原料 食品衛生法の扱いの目安
農家が自分の畑の芋で干し芋を作り、直売する 採取業として扱われ、届出は不要とされる
生産者団体が組合員の芋で干し芋を作る 採取業として扱われる場合がある
農家ではない人が、仕入れた芋で干し芋を作る 営業届出が必要
農家が、他の農家から買い足した芋も使って作る 届出が必要になる可能性が高い
干し芋にチョコレートをかけるなど、菓子として加工する 菓子製造業などの許可が必要になる場合がある

4行目は判断が分かれやすいところです。自分の芋だけで足りない年に、近所の農家から芋を買い足して作ると、「自ら生産した農産物を原材料として使用する」という条件から外れる部分が出てきます。買い足す可能性があるなら、最初から届出をしておくほうが安全です。

採取業でも衛生の責任はある

採取業にあたる場合でも、食品を扱う人として安全を守る責任がなくなるわけではありません。厚生労働省のQ&Aも、採取業にあたる人は食品等事業者であり、許可や届出の有無にかかわらず、必要に応じて衛生管理の指導を受けることがあると示しています。届出が要らないことと、衛生に気を配らなくてよいことは別の話です。

袋に密封して売るときの扱い

干し芋は、袋に入れて封をして売るのが普通です。ここで気になるのが「密封包装食品製造業」という許可業種です。密封包装食品とは、缶詰や瓶詰、レトルトパウチのように容器に密封した食品のことで、常温で保存する密封食品を作る営業には原則として許可が要ります。

ただし、干し芋はこの許可の対象から外されています。厚生労働省は、密封しても許可が要らず、届出でよい食品を省令で列挙していて、その中に「干しいも」が入っています。

下記の食品を密封包装する場合は、管轄の保健所に営業届出をする必要があります。 出典: 厚生労働省「密封包装食品製造業の対象食品が令和5年1月19日に変わりました」

このリーフレットの一覧には、干しいものほか、はちみつ、乾燥きのこ類、乾燥豆類、焙煎コーヒー豆なども並んでいます。干し芋を袋に入れて封をして売るのは、許可ではなく届出の範囲だというのが今の国の整理です。

真空包装にするときの注意

脱気して袋を真空にする包装は、干し芋の乾燥や変色を防ぐために使われることがあります。真空包装でも、干しいもであることに変わりはないので、扱いは届出です。ただし、しっとりした仕上がりにするために水分を多く残した商品や、加熱殺菌をして長く持たせる商品を作る場合は、どのような保存方法と期限にするかを保健所に相談してください。水分が多いほど、カビや傷みが出やすくなります。

届出の手順と食品衛生責任者

届出が必要な場合の流れは、次のとおりです。

  1. 作業をする場所を管轄する保健所に、作る物と作業場所を伝えて事前に相談する
  2. 食品衛生責任者を決める(自分がなる場合は講習会を受ける)
  3. 保健所の窓口か、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」で届出をする
  4. 衛生管理の計画を作り、作業ごとに記録を残す

届け出る内容は、届出をする人の氏名と住所、施設の所在地と屋号、営業の形態と主に扱う食品、食品衛生責任者の氏名です。施設の審査はありませんが、保健所によっては作業場所の様子を聞かれることがあります。

食品衛生責任者とは

食品衛生責任者とは、施設で衛生管理の中心になる人のことです。調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格を持っている人はそのままなれる場合がありますが、持っていない人は、都道府県の食品衛生協会などが開く養成講習会を受けて資格を得ます。講習は1日で終わる形が多く、オンラインで受けられる地域もあります。日程と受講料は地域ごとに違うので、作業場所の都道府県の案内を確認してください。

自宅で作るときに考えること

届出は施設の基準がないので、自宅の一角で作ることも手続きの上ではできます。ただし、芋を洗う、蒸す、皮をむく、切る、干す、袋に詰めるという工程は、それなりの広さと水回りを使います。家族の食事の支度と同じ流し台や作業台を使うなら、作業の前後に洗浄と消毒をする手順を決め、計画に書いておきましょう。干し芋を、チョコレートがけや芋けんぴのような別の食品に広げる場合は許可が要ることがあり、厚生労働省は住居の台所と営業施設は物理的に区画されている必要があると示しています。

干し芋を作る工程で気をつけること

2021年の改正で、原則としてすべての食品事業者に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が求められるようになりました。HACCPとは、作る工程のどこで危険が生じるかを先に考え、特に大事な工程を重点的に管理する方法のことです。小さな事業者は、手引書を参考にして簡単な計画と記録を作れば足りるとされています。

干し芋の工程を並べると、次のようになります。

  1. 原料の芋を選び、傷んだものを取り除く
  2. 洗って土を落とす
  3. 蒸す、またはゆでる
  4. 皮をむき、厚さをそろえて切る
  5. 干す(天日、または乾燥機)
  6. 袋に詰めて封をする
  7. ラベルを貼って保管、出荷

特に管理したい3つの場面

工程の中で、衛生上とくに気をつけたい場面は次の3つです。

  • 蒸したあと:芋がやわらかく、手や器具から菌が付きやすくなります。皮むきと切る作業は、手洗いをして清潔な器具で行います
  • 干している間:天日干しでは、虫、鳥、ほこり、雨が入らないように網をかけます。乾燥機を使う場合は、温度と時間を記録します
  • 袋詰めの前:干し上がりの水分が多すぎると、袋の中でカビが出やすくなります。手で触った感触や重さの減り方など、出荷してよい状態の目安を決めておきます

記録の付け方の例

記録は、ノートか表計算ソフトで次の項目を残すだけでも形になります。

記録する項目 例
作った日とロット番号 11月20日、ロット1120A
原料の芋の産地と品種 自家産、紅はるか
蒸した時間 60分
干した方法と日数 天日干し5日
袋詰めした数 150g入り40袋
異常の有無 傷んだ芋を3本除いた

ロット番号とは、同じ日に同じ条件で作った商品につける番号のことです。お客様からカビや異物の問い合わせがあったとき、どの日のどの芋かをすぐに追えるようにしておくための番号です。

干し芋のラベルに書くこと

袋に入れて売る干し芋は、食品表示基準でいう加工食品にあたり、原則として次の項目を表示します。

表示項目 書き方の例
名称 干しいも
原材料名 さつまいも(国産)
内容量 150g
賞味期限 2027.1.20
保存方法 直射日光、高温多湿を避けて保存してください
製造者の氏名と住所 屋号ではなく、氏名か法人名と住所
栄養成分表示 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量

原料原産地の表示も必要です。原料原産地とは、一番多い原材料がどこで採れたかを示す表示のことで、2022年4月から国内で作るすべての加工食品が対象になっています。干し芋なら原料のさつまいもの産地を書きます。国産なら「国産」と書くほか、都道府県名などの地名で書くこともできます。

賞味期限は自分で決める

賞味期限は、作った人が、品質が保たれる期間を根拠をもって決めます。根拠とは、同じ作り方の干し芋を保管して、においや見た目、カビの有無を日ごとに確かめた結果などのことです。初めて売る年は、短めの期限にして様子を見るのが安全です。製造から賞味期限までが3か月を超える場合は、年月だけの表示にしてもよいと基準に書かれています。

保存方法には、開封後の扱いも添えておくと親切です。干し芋は開封すると乾燥や湿気で状態が変わりやすいので、「開封後は冷蔵庫で保存し、早めにお召し上がりください」といった一文を入れている商品が多く見られます。

表示を省略できる場合

栄養成分表示は、消費税を納める義務が免除されている事業者や、中小企業基本法でいう小規模企業者が売る場合などには、省略できると基準に書かれています。副業や小さな農家の規模では、この例外にあたることが多いはずです。ただし、袋に「食物繊維たっぷり」など栄養に関わる言葉を書くと、栄養成分表示が必要になります。干し芋は栄養を売りにしたくなる食品なので、言葉を選ぶときは注意してください。

作った場所でそのまま売る場合は、原材料名や製造者などの表示を省略できる特例もあります。とはいえ、直売所への委託やネット販売には使えないので、最初から全項目を表示したラベルを作っておくと、売り先を広げるときに作り直さずに済みます。表示の全体像は、消費者庁の食品表示法のページにまとまっています。

白い粉とカビの見分けの案内

干し芋の表面には、白い粉のようなものが出ることがあります。これは芋の糖分が表面に出て固まったものと説明されることが多く、品質の問題ではない場合がほとんどです。ただ、お客様からはカビと見分けがつかないため、問い合わせになりやすい点です。販売ページや同梱の案内に、白い粉が出る理由と、ふわふわした綿のようなもの、黒や緑の点が出た場合は食べずに連絡してほしいことを書いておくと、問い合わせと不安を減らせます。

商品の作り分けと干し方の選び方

干し芋は、同じさつまいもでも、切り方と干し方で別の商品のように味わいが変わります。売る前に、どの形で何種類を出すかを決めておくと、袋やラベルの準備がしやすくなります。

形 特徴 売るときの考え方
平干し 薄く切って干す。もっとも一般的な形 品種の違いで食べ比べのセットを作りやすい
丸干し 細い芋を切らずに丸ごと干す 干す日数が長く、数が限られるので価格を高めに設定しやすい
角切り・スティック 細かく切って干す 少量の袋で試しに買ってもらう入口の商品に向く
切り落とし 形がそろわない部分を集める 自宅用として手ごろな価格で出せる

品種によって、ねっとりした食感のもの、ほくほくした食感のもの、色が濃く仕上がるものなど違いがあります。品種名をラベルや販売ページに書くと、食べ比べを楽しみたいお客様に選ばれやすくなります。名称の欄は「干しいも」とし、品種名は別の場所に書くのが一般的です。

天日干しと乾燥機の違い

天日干しは、日光と風で時間をかけて乾かす方法で、昔ながらの干し芋の売り文句にもなります。一方で、天気に左右され、雨や湿気の多い日が続くと乾きが遅れ、カビのおそれが高まります。虫や鳥、ほこりを防ぐ網も欠かせません。

乾燥機は、温度と時間を決めて安定して乾かせるので、仕上がりをそろえやすく、記録も残しやすくなります。電気代や機械の費用はかかりますが、天候に左右されずに注文に合わせて作れる利点があります。天日干しと乾燥機を組み合わせ、天気の悪い日だけ乾燥機を使う作り手もいます。どちらの方法でも、工程表と記録には実際に使った方法を書いておきましょう。販売ページで「天日干し」とうたうなら、乾燥機で仕上げた分と区別して売る必要があります。

1袋の量と価格の組み立て

1袋の量は、100gから200g程度で出している商品が多く見られます。量を変えた袋を2種類ほど用意すると、自宅用と贈り物用で選んでもらいやすくなります。量を決めたら、内容量の表示どおりに入っているかを毎回はかりで確かめてください。表示より少ない商品を売ると、計量の決まりや表示の決まりに触れるおそれがあります。

直売所やイベントで売る前の準備

農産物直売所や道の駅に出すときは、運営者に出品の登録をします。登録の際、届出が必要な人は届出済みであることを確認されることがあるので、届出の控えやオンラインで届け出た記録を保存しておきましょう。農家が自分の芋で作るため届出をしていない場合は、その旨を説明できるように、保健所に相談した日と担当者の答えをメモしておくと話が早く進みます。

直売所では、同じ棚に多くの作り手の干し芋が並ぶことがあります。品種、干し方、作った地域を書いた小さなカードを添えるだけでも、違いが伝わりやすくなります。

イベントで試食を出すとき

マルシェや収穫祭のようなイベントでは、試食が売上を大きく左右します。ただし、袋から出した干し芋を切り分けて配る行為は、袋のまま売る場合と扱いが変わることがあります。開催地の保健所や主催者が、試食の出し方に条件を設けている場合もあるので、出店の申し込みの段階で確認しておきます。切り分けた試食は、ふた付きの容器に入れ、つまようじなどで1つずつ取ってもらう形にすると衛生的です。

卸すときに求められること

飲食店、菓子店、土産物店などに卸す場合は、取引先から届出の有無や、製造の記録、原料の産地を示す書類を求められることがあります。取引先が自分の店のラベルを付けて売る場合は、誰が表示の責任を持つかを事前に決めておく必要があります。卸の取引は、1回の量が多い分、品質の問題が起きたときの影響も大きくなるので、ロット番号と記録の管理を個人向けの販売より丁寧にしておきましょう。

届出をしたあとの変更と続け方

届出は一度出せば更新の手続きはありませんが、届け出た内容が変わったときは、保健所に変更を届け出ます。たとえば、作業場所を移したとき、屋号を変えたとき、食品衛生責任者が別の人に代わったときなどです。作業場所を別の市区町村に移す場合は、管轄の保健所も変わることがあるので、移る先の保健所に新しく届け出る必要が出てきます。干し芋の販売をやめるときは、廃業の届出をします。

干し芋は季節の商品なので、1年のうち数か月だけ作る人も多いはずです。作らない時期があっても、届出をやめる必要はありません。ただし、毎年の作り始めには、器具の点検、乾燥機の掃除、袋やラベルの在庫の確認をしてから作業に入ると、シーズン初めの失敗を防げます。

原料の芋の選び方と保管

干し芋の仕上がりは、原料の芋で大きく変わります。収穫したてのさつまいもは甘みが十分でないことがあり、一定期間貯蔵してから干し芋にする作り手が多く見られます。貯蔵中は、低すぎる温度で傷みが出たり、湿気で腐ったりすることがあるので、保管の場所と状態をこまめに確かめてください。傷みやカビのある芋は、蒸す前に必ず取り除きます。

仕入れた芋で作る人は、仕入れ先、品種、産地、仕入れた日を記録しておきます。原料原産地の表示の根拠にもなり、お客様からの問い合わせにも答えやすくなります。産地を都道府県名で表示したい場合は、仕入れ先からその根拠を書面でもらっておくと安心です。

干し芋を売る場所と販売方法

届出と表示の準備ができたら、売り先を選びます。主な販売方法は次のとおりです。

販売方法 向いている人 気をつけること
農産物直売所・道の駅 地元で少しずつ売りたい人 委託手数料がかかる。ラベルの全項目表示を求められることが多い
マルシェ・イベント出店 試食で味を知ってほしい人 試食の扱いを保健所と主催者に確認する
ネットのモール・ハンドメイドサイト 全国に売りたい人 食品の出品に審査がある。送料で割高になりやすい
自分のネットショップ 定期的に買ってくれる人を育てたい人 集客を自分でする必要がある
飲食店や菓子店への卸 まとまった量を作れる人 取引先から製造の記録や届出の確認を求められる

干し芋は冬から春にかけてが主な時期で、贈り物の需要もあります。年末に向けて詰め合わせや箱入りの商品を用意すると、1回の注文で複数袋が売れやすくなります。詰め合わせの箱で外から一括表示が見えなくなる場合は、箱にも表示を付けるか、中の袋それぞれに表示があることを確かめてください。

ネットで売るときの表示

ネットで売る場合は、食品の決まりとは別に、特定商取引法の「通信販売」にあたります。特定商取引法とは、通信販売や訪問販売で消費者が不意打ちの被害にあわないようにする法律のことで、販売ページに事業者の氏名、住所、電話番号、代金の支払い方法、引き渡しの時期、返品の条件などを表示します。個人で売る場合も対象です。詳しくは消費者庁の特定商取引法のページで確認できます。

返品の条件は特に大事です。食品は開封後の返品を受け付けない店が多いので、「開封後の返品は受け付けない」「破損や品質の問題があった場合は到着から何日以内に連絡」などを決めて明記してください。返品の条件を表示していないと、商品の到着から8日以内であれば、送料をお客様の負担として返品を受け付けなければならない決まりがあります。

梱包と同梱する案内

ネットで売る干し芋は、届くまでに数日かかり、配送中の温度の変化も受けます。袋の封がしっかりできているか、ピンホール(針で突いたような小さな穴)がないかを出荷前に確かめ、箱の中で袋が折れ曲がらないように詰めます。夏場や暖房の効いた季節は、袋の中で湿気がこもりやすくなるため、発送の日を選ぶ、届いたら早めに涼しい場所へ移してもらうよう案内する、といった配慮をしておくと、品質の問い合わせを減らせます。

同梱する案内には、保存方法、開封後の扱い、白い粉についての説明、問い合わせ先を書きます。食べ方の提案として、軽くあぶる、トースターで温めるといった楽しみ方を添えると、リピーターにつながりやすくなります。案内の紙もお客様の目に入る文面なので、ラベルと食い違う内容を書かないよう、印刷の前に読み合わせてください。

値付けと送料の考え方

干し芋の値段は、品種、天日干しか乾燥機か、平干しか丸干しか、そして1袋の量で大きく変わります。値付けでは、売値から何が引かれるかを先に並べてください。

  • 原料の芋の費用(自家産なら、売らずに加工に回した分の機会損失も考える)
  • 蒸す燃料、乾燥機の電気代
  • 袋、ラベル、脱気や封をする道具の費用
  • 直売所の委託手数料、ネットの販売手数料
  • 送料と梱包材

干し芋は、芋の重さに比べて仕上がりの重さが大きく減る食品です。生の芋から皮を除き、干して水分を飛ばすため、仕上がりは原料の重さの何割かになります。原料の重さだけで原価を考えると、1袋あたりの原価を低く見積もりがちです。最初の数回は、原料の重さと仕上がりの重さを量って記録し、1袋あたりに必要な芋の量をつかんでおきましょう。

送料は、干し芋のように軽くて割れにくい商品なら、薄型の箱や封筒で送れる配送の方法を選ぶと抑えられます。ただし、薄型の配送は追跡や補償の範囲が限られることがあるので、贈り物の注文には追跡のできる方法を選べるようにしておくと安心です。

副業で始めるときの段取りと税金

農家ではない会社員が副業で干し芋を作って売る場合、やることを順番に並べると次のようになります。

  1. 作業場所を決め、管轄の保健所に事前に相談する
  2. 食品衛生責任者の講習を受ける
  3. 保健所に営業届出を出す
  4. 衛生管理の計画と記録用紙を作る
  5. 表示項目をそろえたラベルを作る
  6. 売り先を決め、ネットで売るなら特定商取引法の表示を用意する

農家が自分の芋で作る場合は、1から3の届出が要らないことがありますが、事前の相談だけはしておくと安心です。自治体によっては、国の整理とは別に、条例で独自の決まりを残しているところもあります。

税金と勤め先の規則

売上から経費を引いて所得が出れば、所得税の申告が必要になる場合があります。会社員なら、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが原則ですが、住民税の申告は金額にかかわらず必要になるなど、扱いは人によって違います。農家の場合は、干し芋の売上が農業所得に含まれるのか、別の所得になるのかも事情で変わります。具体的な扱いは、税務署か税理士に確認してください。会社員は、勤め先の就業規則で副業に届出が要るかどうかも、始める前に確認しておきましょう。

申告に備えて、売上と経費は最初から記録しておきます。芋の仕入れ、袋やラベル、乾燥機の電気代、送料、売り場の手数料などの領収書やレシートを日付順に保存し、売上は売り場ごとの明細を残しておくと、年が明けてから慌てずに済みます。家族で作業を分担している場合は、誰が何を負担したかも分けて書いておくと、後で整理しやすくなります。

つまずきやすい点の確認

干し芋の販売を始めた人がつまずきやすい点を、手続きの順に並べると次のとおりです。

  • 農家だから届出は要らないと思い込み、買い足した芋で作ってしまう:買い足す可能性があるなら届出をしておきます
  • チョコレートがけなどの商品を、干し芋と同じ扱いで作ってしまう:干し芋以外の食品になると許可が要る場合があります
  • 賞味期限を根拠なく長くしてしまう:保存の試しをして、短めから始めます
  • 白い粉の問い合わせに答えられない:販売ページと同梱の案内に先に書いておきます
  • 原料原産地の表示が抜けている:2022年4月から全ての加工食品が対象です

ラベルは、刷り直すと費用も手間もかかります。最初の印刷の前に、保健所や都道府県の食品表示の相談窓口に見てもらうと、抜けや誤りを減らせます。

仲介の現場から見た食品販売の副業

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見ると、食品を売る副業で長く続く人は、作る技術と同じくらい、売るための準備に時間をかけています。干し芋なら、品種ごとの甘さや食感の違い、天日干しにこだわる理由、届くまでの流れを、短い言葉で伝えられるかどうかで、選ばれ方が変わります。

商品写真やラベル、販売ページの見た目を整える作業は、在宅でデザインの仕事をしている人に頼む方法もあります。依頼の相場を知りたいときは、デザイナーの年収・単価相場が参考になります。仲介の手数料がかからない直接のやり取りなら、同じ予算でも頼める範囲が広がり、受ける側の手取りも厚くなります。

販売ページの説明文、直売所への出品の連絡、お客様への返信など、文章を書く場面も増えていきます。正確で読みやすい文章の書き方を身につけたい人は、ビジネス文書検定の内容が参考になります。家で取れる資格を広く比べたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるも見てみてください。

干し芋の販売は、許可という大きな壁はない一方で、誰がどの芋で作るかによって届出の要否が変わり、袋詰めとラベルにも決まりがある副業です。売り方を決めたら、最初に作業場所の保健所に相談することが、後から作り直しをしないための一番の近道です。

よくある質問

Q. 農家が自分の畑のさつまいもで干し芋を作って売る場合も届出は必要ですか?

厚生労働省の整理では、農家や生産者団体が自ら生産した農産物を原材料にして干し芋を作る場合は、採取業として扱われ、営業の届出は不要とされています。ただし、他の農家から芋を買い足して作ると条件から外れる可能性があります。自治体の運用もあるので、作業場所の保健所に確認してください。

Q. 干し芋を袋に密封して売ると許可が必要になりますか?

密封包装食品製造業の許可は原則として常温保存の密封食品に必要ですが、干しいもは許可の対象から外され、密封しても営業届出でよい食品として省令に列挙されています。真空包装でも扱いは同じです。ただし、チョコレートがけなど干し芋以外の食品に加工する場合は、別の許可が要ることがあります。

Q. 干し芋のラベルには何を書けばよいですか?

名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者の氏名と住所、原料原産地を表示するのが原則です。栄養成分表示は、消費税の免税事業者や小規模企業者なら省略できる場合があります。ただし「食物繊維たっぷり」など栄養に関わる言葉を書くと、栄養成分表示が必要になるので注意してください。

Q. 干し芋の賞味期限はどう決めればよいですか?

賞味期限は作った人が根拠をもって決めます。同じ作り方の干し芋を保管して、においや見た目、カビの有無を日ごとに確かめた結果などが根拠になります。初めて売る年は短めにして様子を見るのが安全です。製造から賞味期限までが3か月を超える場合は、年月だけの表示にすることもできます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月7日最終更新:2026年10月25日
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