焼き芋 干し芋 製造 販売 副業 2026|手作り干し芋を売る始め方と必要な許可


この記事のポイント
- ✓焼き芋・干し芋の製造販売を副業で始めたい方へ
- ✓自宅で作った手作り干し芋を売るために必要な営業許可
- ✓開業届までを法務の視点で具体的に解説します
先日、ある方から相談を受けました。「庭で採れたさつまいもで干し芋を作って、直売所やフリマアプリで売りたいんですけど、これって勝手にやって大丈夫なんですか?」と。結論から言うと、自宅のキッチンで作った干し芋をそのまま販売するのは、ほとんどのケースで「アウト」です。これ、知らない人が本当に多いんです。焼き芋や干し芋の製造販売を副業にするには、食品衛生法に基づく営業許可、あるいは届出が必要で、ここを踏み外すと「副業」どころか「無許可営業」という法律違反になってしまいます。
ただ、誤解しないでください。法律は「副業を禁止する壁」ではなく、「正しく続けるためのルールブック」です。許可の取り方さえ押さえれば、焼き芋・干し芋の製造販売は、初期投資が比較的小さく、農作物の付加価値を高められる魅力的な副業になります。この記事では、手作り干し芋を売るために必要な許可・届出、販売チャネルごとのルール、表示義務、開業届や確定申告まで、実務でつまずきやすいポイントを順に解説します。
焼き芋・干し芋の製造販売を副業にする人が増えている背景
ここ数年、農産物の加工品を個人で製造販売する副業への関心が高まっています。背景にあるのは、食の安全志向の高まりと、ECやフリマアプリの普及で「個人が直接消費者に売る」ことが当たり前になったことです。干し芋は保存性が高く、無添加・無糖の自然食品として根強い人気があり、贈答需要も安定しています。
干し芋の国内市場は、茨城県を中心に長く形成されてきました。茨城県は国内生産量の大半を占める一大産地で、ここ数年は新規参入や六次産業化(生産者が加工・販売まで手がける取り組み)の流れもあって、小規模な作り手が増えています。副業として始める人の多くは、もともと家庭菜園や実家の畑でさつまいもを育てている人、あるいは食品づくりが好きで「自分の手で作ったものを売ってみたい」と考える人です。
需要の面では、健康志向の消費者が「砂糖不使用」「無添加」「国産さつまいも100%」といった付加価値を求めています。大量生産品にはない、品種や干し加減へのこだわりが差別化要素になりやすいのが、この分野の特徴です。つまり、規模では大手に勝てなくても、品質やストーリーで小さく勝てる余地がある。だからこそ副業として成立しやすいんです。
一方で、食品を「製造して」「販売する」となると、趣味の延長では済みません。家族や友人に無償で配るのと、不特定多数に有償で売るのとでは、法律上の扱いがまったく違います。ここを正しく理解しないまま始めてしまうと、保健所からの指導や、最悪の場合は営業停止につながります。次の章から、まずこの「許可の壁」を具体的に見ていきます。
ちなみに、農作物の加工品販売に近い感覚で始められる物販系の副業としては、ガーデニング副業で月5万円|植物販売・庭づくりで稼ぐ方法【2026年版】のように、自分で育てたものを売るタイプの副業も人気です。干し芋づくりと相性のよい「育てる×売る」の発想は共通しているので、あわせて読むと販売の組み立て方の参考になります。
干し芋の製造販売に必要な許可・届出を整理する
ここがこの記事で一番大事なところです。Yahoo!知恵袋にも、まさに同じ疑問がストレートに投稿されています。
個人で生産したさつまいもで干し芋を作って直売所なんかで販売することは出来ますでしょうか? 宜しくお願いします。
この問いへの答えは、「販売は可能。ただし、原則として営業許可または届出が必要」です。順を追って整理します。
2021年の食品衛生法改正で「干し芋」の扱いが変わった
まず前提として知っておいてほしいのが、2021年6月に施行された食品衛生法の大きな改正です。これにより、食品を扱う営業は「営業許可業種(32業種)」と「営業届出業種」、そして一部の「届出不要業種」に整理し直されました。
干し芋のような乾燥させた農産加工品は、どの区分に当たるのか。これは作り方や原料の状態によって変わります。一般的に、さつまいもを蒸して干すという加熱・乾燥の工程を経て製造する場合、「漬物製造業」や「そうざい製造業」とは別に、改正で新設された区分の対象になることがあります。つまり、「干し芋だから一律でこの許可」と単純には言えないんです。これが多くの人を混乱させる原因です。
重要なのは、自己判断で決めないこと。同じ「干し芋」でも、原料を自分の畑で採ったか仕入れたか、製造工程に加熱があるか、包装まで自分でやるかで、必要な手続きが変わります。次に説明するとおり、最終判断は必ず管轄の保健所に確認してください。
まず管轄の保健所に相談するのが鉄則
干し芋の製造販売を始めると決めたら、最初にやるべきは「保健所への事前相談」です。これは法律で義務づけられているからというより、実務上、ここを飛ばすと後で必ず手戻りが発生するからです。
保健所に相談する際は、次の点を整理して伝えると話が早く進みます。第一に、原料のさつまいもをどう調達するか(自家栽培か仕入れか)。第二に、製造をどこで行うか(自宅キッチンか、専用の作業場か)。第三に、どこで売るか(直売所、フリマアプリ、ECサイト、イベント出店など)。第四に、包装・表示をどうするか。これらによって、必要な許可・届出・施設基準が変わります。
※このとき、「自宅のキッチンでそのまま作りたい」という相談は、ほぼ確実に「それでは許可できません」と言われると思っておいてください。理由は次の章で説明しますが、家庭用のキッチンは食品営業用の施設基準を満たさないことがほとんどだからです。保健所は取り締まる側ではなく、正しく始めるための相談先です。怖がらず、計画段階で必ず一度足を運んでください。
営業許可と営業届出の違いを「つまり」で言い換える
法律の条文だけ読むと混乱するので、ざっくり言い換えます。
「営業許可」は、施設の基準を満たして保健所の検査を受け、お墨付き(許可証)をもらってから営業する仕組みです。リスクが相対的に高い食品の製造などが対象で、許可までに時間と費用がかかります。つまり、「事前に検査に合格しないと売っちゃダメ」という重いルールです。
「営業届出」は、許可までは不要だけれど、「こういう食品をこの場所で扱います」と保健所に届け出る仕組みです。つまり、「検査は不要だけど、やることは知らせてね」という軽めのルールです。
干し芋がどちらに当たるか、あるいは原料や工程によっては許可不要になるケースもあるか。これは前述のとおり保健所の判断によります。いずれにしても、「黙って始める」という選択肢だけは存在しないと考えてください。届出さえ怠れば、食品衛生法違反になり得ます。
自宅キッチンでは売れない理由と作業場の選択肢
副業で干し芋を始めたい人が最初にぶつかる壁が、この「製造場所」の問題です。家庭のキッチンで作ったものをそのまま売れない、という事実にショックを受ける方が多いんです。
家庭用キッチンが営業許可で認められにくい理由
食品の製造販売には、施設の衛生基準があります。具体的には、家庭用の生活空間と区切られた製造専用区画であること、手洗い設備が独立していること、二槽式のシンクや適切な床・壁の構造であること、などが求められるケースが多いです。
家庭のキッチンは、料理を作る場所であると同時に、家族の食事を用意する生活空間です。ここで営業用の食品を作ると、家庭の食材との交差汚染リスクや衛生管理の問題が出てきます。つまり、「生活と営業が混ざった場所」は、食品の安全を担保する施設としては認められにくい。だから、家庭用キッチンそのままでは許可が下りないことがほとんどなんです。これ、知らずに設備投資ゼロで始めようとして、後で計画ごと作り直す人を何人も見てきました。
副業で現実的な作業場の確保方法
第一に、自宅に営業専用の区画を増設・改装する方法です。庭先や離れ、ガレージの一部を製造専用の作業場として基準を満たすように整える。初期費用はかかりますが、自宅で完結するメリットは大きいです。第二に、シェアキッチン(許可取得済みの貸し製造スペース)を借りる方法です。自治体や民間が運営するシェアキッチンには、すでに営業許可施設として整備されているところがあり、時間貸しで利用できます。小さく始めたい副業者にはこれが一番現実的なことが多いです。第三に、農産物加工施設を共同利用する方法です。地域の六次産業化を支援する加工施設が、地元の生産者向けに開放されている場合があります。
どの方法を取るにせよ、選んだ施設が「干し芋の製造に必要な許可・届出に対応できるか」を保健所と借り手側の両方に確認してから契約してください。「キッチンを借りたけど干し芋の製造には使えなかった」という手戻りを避けるためです。
HACCPに沿った衛生管理が義務化されている
2021年の改正で、原則すべての食品等事業者に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が義務づけられました。難しそうな横文字ですが、つまり「どの工程に危険があるかを自分で把握して、それを管理して記録してね」という考え方です。
小規模な事業者向けには簡略化されたアプローチが用意されていて、業界団体が作った手引書に沿って衛生管理計画を作り、日々の記録をつければよい形になっています。干し芋なら、原料の受け入れ、洗浄、蒸し、乾燥、包装といった工程ごとに、温度や衛生のチェックポイントを決めて記録する、といったイメージです。最初は面倒に感じますが、これは事故が起きたときに「きちんと管理していた」と示せる、あなた自身を守る記録でもあります。法律はあなたの味方です。
干し芋を売る販売チャネルとそれぞれのルール
許可・施設の準備ができたら、次は「どこで売るか」です。販売チャネルによって手間もコストも、適用されるルールも変わります。副業として無理なく続けられるチャネルを選ぶのが大切です。
直売所・道の駅・委託販売
地域の直売所や道の駅は、農産加工品の定番の販売先です。委託販売の形を取ることが多く、売れた分だけ販売手数料を引かれて精算される仕組みが一般的です。手数料の相場は15%〜25%程度のところが多いですが、施設によって幅があります。
メリットは、すでに集客力のある場所に置いてもらえること。デメリットは、棚に並べてもらうための審査や、表示ラベルの基準を満たす必要があること、そして手数料分だけ利益が削られることです。副業の最初の販路としては、在庫リスクを抱えにくく、対面販売の手間も少ないため始めやすい選択肢です。
フリマアプリ・ネット通販(EC)
メルカリやBASE、minneといったプラットフォームでの販売も人気です。在庫を自分で管理し、注文ごとに発送する手間はありますが、全国の消費者に直接届けられるのが強みです。
ただし、ネットで食品を売る場合も、製造の許可・届出が必要なことは店頭販売と変わりません。「ネットだから許可は要らない」というのは完全な誤解です。むしろ、対面ではないぶん、後述する食品表示をきちんとつけることが一層重要になります。プラットフォームによっては、食品販売にあたって営業許可証の提示を求めるところもあります。
ネット物販という意味では、仕入れて売るせどり副業の始め方|仕入れ・販売・利益計算の基本を解説【2026年版】のような「仕入れ型」の物販とは、利益計算の組み立てが少し違います。干し芋は「自分で作る分の原価・人件費・施設費」を積み上げて値付けする必要があるので、原価管理の発想はせどりよりも製造業に近いと考えてください。
イベント出店・マルシェ
地域のマルシェやイベント、フェスへの出店も有力なチャネルです。対面でファンをつくれるのが最大の魅力で、リピーターや贈答需要につながりやすい販路です。
イベント出店の場合、その場で開封して食べてもらう「試食」や、調理を伴う提供をするかどうかで、必要な手続きが変わります。包装済みの干し芋を販売するだけなのか、その場で焼き芋を提供するのかで話が違ってくるわけです。イベントごとに臨時の届出が必要になるケースもあるので、主催者と保健所の両方に確認してから出店してください。
焼き芋を「その場で売る」場合の注意点
干し芋ではなく焼き芋を、移動販売車や店頭でその場で焼いて売る場合は、また別の話になります。調理して提供する形態は、製造販売とは異なる営業許可(飲食店営業など)や、移動販売特有の基準が関わってきます。
つまり、「焼き芋」と「干し芋」は同じさつまいも由来でも、販売の形態がまったく違うので、必要な許可も別々に考える必要があります。両方やりたい場合は、それぞれについて保健所に確認してください。一度に欲張らず、まずは保存性が高く扱いやすい干し芋の製造販売から始めるのが、副業としては現実的だと考えます。
食品表示のルールを守らないと販売できない
製造許可を取っても、表示ラベルが不適切だと販売できません。ここを軽視して直売所に持ち込み、「この表示じゃ置けません」と突き返される人が本当に多いんです。
包装された干し芋に必要な表示項目
容器包装された加工食品を販売する場合、食品表示法に基づいて、原則として次のような項目を一括表示する必要があります。名称、原材料名、内容量、消費期限または賞味期限、保存方法、製造者(または販売者)の氏名・名称と住所、アレルゲン、栄養成分表示などです。
干し芋の場合、原材料は「さつまいも」だけというシンプルなケースが多いですが、それでも表示は省略できません。砂糖や保存料を使っていれば、それも漏れなく書く必要があります。「無添加」と書きたいなら、本当に何も添加していないことが前提です。表示は消費者との約束であり、ここに虚偽があると景品表示法や食品表示法の問題に発展します。つまり、ラベル一枚が、あなたの信用そのものなんです。
栄養成分表示と小規模事業者の特例
栄養成分表示は原則として義務ですが、小規模事業者(消費税の課税売上高が一定以下など、一定の要件を満たす場合)には省略が認められる特例があります。とはいえ、健康志向の消費者に訴求するうえでは、カロリーや糖質を自主的に表示する価値は十分あります。
特例に該当するかどうかは要件が細かいので、消費者庁の情報や保健所の指導を確認してください。「面倒だから書かない」ではなく、「省略できる根拠があるから省略する」あるいは「武器として書く」という判断ができるよう、まずルールを知っておくことが大切です。
アレルギー表示と製造所固有記号
干し芋単体ではアレルゲンを含まないことが多いですが、同じ施設でアレルゲンを含む他の食品を作っている場合は「本品製造工場では○○を含む製品を製造しています」といった注意喚起が必要になることがあります。
また、製造者表示には住所・氏名を書くのが原則ですが、自宅住所をそのまま全国に公開することに抵抗がある人もいるでしょう。一定の手続きで「製造所固有記号」を使う方法もありますが、これは複数工場を持つ事業者向けの制度で、副業の個人がすぐ使えるとは限りません。プライバシーが気になる場合は、シェアキッチンの所在地を製造所として表示できるか、販売者表示で対応できるかなど、保健所や施設運営者に相談してください。
開業届・確定申告・税金の基本
製造と販売の準備ができたら、次は「事業者」としての手続きです。ここは私の専門に近い領域なので、副業でつまずきやすいポイントを中心に説明します。
開業届は必要か
干し芋の製造販売を継続的・反復的に行い、収入を得るなら、それは「事業」または「雑所得を生む活動」になります。事業として行う場合は、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出するのが基本です。
ここでよくある質問が、「ネット販売と店頭販売で、開業届は別々に出すの?」というものです。実際、似たような相談が知恵袋にも投稿されています。
現在は副業で「コーヒー焙煎のオンライン販売」をしています。 ※保健所から許可をもらい、自宅で焙煎をしております オンライン販売の開業届出(=自宅がビジネスの場所)は2021年にして、青色申告をしております。 ↓ 2026年にコーヒースタンド(店舗)を自宅とは別の場所にオープンします。 【質問】 ・コーヒースタンドで「店舗」を持つ場合も開業届出は別途必要ですか? ↓ ・「YES]の場合、「コーヒー豆の自家焙煎の開業届出」はそのままでいいのでしょうか? (オンライン豆焙煎と、コーヒースタンド店舗で「2カ所」の開業届出をだすのでしょうか?)
つまり、「同じ事業主が、複数の販売チャネルや店舗を持つ場合に、開業届は何枚いるのか」という悩みです。結論を言うと、開業届は「事業主」単位で出すもので、販売チャネルが店頭とネットの2つあっても、同一の事業として営むなら基本的に1枚で足ります。ただし、業種や事業の実態によって扱いが変わることもあるため、判断に迷うケースは税理士や税務署に確認してください。※開業届の要否や記載内容で迷う場合は、税務署の窓口相談を使うのが確実です。
開業届の手続きや様式は、国税庁の案内が一次情報として確実です。国税庁のサイトで「開業届」を確認するか、電子申請ならe-Taxからも提出できます。
確定申告と青色申告のメリット
副業の所得が一定額(給与所得者の副業なら年間20万円超が一つの目安)を超えると、確定申告が必要になります。事業所得として申告する場合、青色申告を選べば、最大65万円の青色申告特別控除や、赤字の繰越などのメリットがあります。
干し芋の製造販売では、原料費、施設の賃料、包装資材、配送費、機材の減価償却などが経費になります。これらをきちんと記帳しておけば、課税対象となる所得を正しく圧縮できます。つまり、「売上=利益」ではなく、かかった費用を差し引いた残りに税金がかかる。だから日々の経費の記録が大切なんです。会計ソフトを使えば記帳の負担はかなり減らせます。
売上規模と消費税・インボイス
売上が小さいうちは消費税の納税義務がない「免税事業者」であることが多いですが、取引先(直売所や卸先)がインボイス(適格請求書)を求める場合、インボイス発行事業者の登録を検討する場面が出てきます。
個人の消費者向けに直接売る分にはインボイスの影響は小さいですが、事業者へ卸す比率が高くなると話が変わります。自分の販売先が誰かによって判断が分かれるので、卸を増やす計画があるなら早めに整理しておきましょう。税の制度設計は複雑なので、迷ったら税理士に相談するのが安全です。
副業として続けるための収支とリスク管理
最後に、感情論ではなく数字とリスクの観点から、この副業を冷静に見ておきます。煽りではなく、続けられる形をつくることが何より大事だからです。
原価と値付けの考え方
干し芋の販売価格は、品質や産地ブランドによって幅がありますが、無添加・国産にこだわった商品は、スーパーの量産品より高めの価格帯で取引されます。値付けは、原料費・人件費(自分の作業時間)・施設費・包装費・販売手数料・配送費をすべて積み上げたうえで、利益を乗せて決めるのが基本です。
副業で陥りがちなのが、「材料費だけ」で価格を考えてしまうこと。実際には乾燥に時間がかかり、手間も大きい商品です。自分の作業時間を時給換算で原価に含めないと、「売れているのに手元に残らない」状態になります。最初に簡単な収支シミュレーションを作り、1袋あたりいくら利益が出るのかを把握してから売り始めてください。
販売単価の相場感をつかむうえでは、販売職の単価データも参考になります。たとえば対面販売を委託する場合のコスト感は販売店員の年収・単価相場が、店舗運営や事務の人件費感覚は営業・販売事務従事者の年収・単価相場が目安になります。自分の作業時間を「いくらの仕事」として原価に乗せるかを考える材料にしてください。
在庫・季節変動・食品ロスのリスク
干し芋はさつまいもの収穫期に原料が集中するため、製造に季節性があります。さらに保存性は高いものの無限ではなく、賞味期限を過ぎれば売れません。つまり、作りすぎは食品ロスと資金の固定化に直結します。
副業として無理なく続けるには、最初は小ロットで作り、売れ行きを見ながら増やすのが鉄則です。委託販売やイベントで反応を見て、固定客がついてからネット通販を強化する、という段階的な拡大が安全です。一気に大量生産して在庫を抱えるのは、副業のキャッシュフローを最も傷めるパターンです。
食品を扱うことの責任とPL保険
食品を製造販売する以上、万一の食品事故(異物混入や体調不良の発生など)への備えは欠かせません。生産物賠償責任保険(PL保険)に加入しておくと、製品が原因で他人に損害を与えてしまった場合の賠償をカバーできます。
保険は「使わずに済むのが一番」のものですが、食品という人の体に入るものを扱う以上、リスクをゼロにはできません。直売所やイベントによっては、出店条件としてPL保険への加入を求めるところもあります。コストとして織り込んでおくべき必要経費だと考えてください。※実際に事故が起きた場合の対応は、保険会社や弁護士に速やかに相談してください。
本業の就業規則と副業のルール
会社員が副業として干し芋づくりをする場合、勤務先の就業規則で副業が認められているかを必ず確認してください。許可制・届出制になっている会社も多く、無断で始めると本業側でトラブルになります。
ここは法律というより社内ルールの問題ですが、見落とすと痛い目を見ます。副業全般のルールや始め方の整理については、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような相談カテゴリも参考になります。自分の働き方全体の中で、この副業をどう位置づけるかを最初に整理しておくと、後で慌てずに済みます。
独自データから見る「製造販売型」副業の位置づけ
ここまで読んで、「思ったより準備が多いな」と感じた方も多いと思います。最後に、在宅・副業の求人データの観点から、干し芋の製造販売という選択をどう捉えるべきかを客観的に考察します。
在宅ワークや業務委託のマッチングデータを見ると、副業の中心はWebライティング、デザイン、データ入力、マーケティング支援といった「スキル提供型」が大きな割合を占めています。これらは初期投資がほぼゼロで、パソコン1台で始められるのが強みです。たとえばAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、スキルさえあれば在宅で完結する案件が数多く流通しています。
これに対して干し芋の製造販売は、「モノづくり型・製造販売型」の副業です。許可取得・施設整備・在庫管理という参入ハードルがある一方で、いったん仕組みを作れば自分のブランドとして資産が積み上がります。スキル提供型が「時間を売る」のに対し、製造販売型は「商品を売る」。この違いが、向き不向きを分けます。
どちらが優れているという話ではありません。手を動かしてモノを作ることに喜びを感じ、地元の農産物や食に思い入れがある人にとっては、製造販売型は続けやすい副業です。逆に、なるべく初期費用とリスクを抑えて素早く始めたいなら、スキル提供型から入って資金を貯め、その後で製造販売に挑戦するという順番も合理的です。手に職をつけて在宅で稼ぐという意味では、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような資格を取ってデザイン副業から始める人や、ハンドメイド作品を売るステーショナリー・アート作品の販売副業ガイドのような物販に進む人もいます。
そして、製造販売を本格化させて「事業」として育てていくと、契約・税務・許認可といった法務まわりの知識が不可欠になります。直売所との委託契約書、卸先との取引条件、ラベル表示の適法性。ここを自分で押さえられない場合は、行政書士のような許認可・契約の専門家に相談する、あるいは自分でその知識を身につけるという選択肢も視野に入ります。許認可申請や契約書作成は、まさに行政書士が扱う実務領域です。
私が現場で見てきた限り、製造販売型の副業で長続きする人に共通しているのは、「最初に許可と表示と数字をきちんと固めた人」です。逆に、勢いで作って売り始め、後から保健所の指導や表示の不備、収支の赤字に直面して撤退する人が多い。つまり、地味に見える「準備」こそが、この副業の成否を分ける最大の分岐点なんです。焼き芋・干し芋の製造販売は、ルールを正しく踏めば、農産物に新しい価値を生み出せる息の長い副業になります。法律と手続きは、あなたの挑戦を縛るものではなく、安心して続けるための土台です。法律はあなたの味方です。
なお、関連テーマを扱った手作り味噌 販売 許可 副業 始め方 2026|手作り味噌を販売する副業に必要な許可と小規模製造の進め方もあわせて参考にしてください。
よくある質問
Q. 飲食店などの営業許可申請に関する書類も作成できますか?
飲食店の営業許可や古物商許可など、特定の業種で必要となる「許認可」の書類作成には対応していません。これらについては別途、保健所や警察署などで申請手続きを行う必要があります。
Q. ネット販売をする際、特別な資格や許可は必要ですか?
自分で育てた植物を国内で販売する場合、特別な資格や免許は基本的に不要です。ただし、海外発送には植物検疫が必要になるため、まずは国内販売に限定しましょう。発送の際は、土がこぼれないよう水を含ませたキッチンペーパーとラップで根元を固定し、段ボール内で動かないよう厳重に梱包します。「第4種郵便」を利用すれば送料を数百円程度に抑えられるため、小品盆栽のような少額商品でも利益を確保しやすくなります。
Q. 会社員の副業として活動している場合でも、開業届を出して青色申告ができますか?
可能です。ただし、副業の所得が「事業所得」として認められる程度の継続性や規模感 を持っている必要があります。単発の小遣い稼ぎ(雑所得)とみなされる場合は、青色 申告の特別控除は受けられないため、自身のビジネスの性質を事前に確認しましょう。
Q. 副業でも開業届は必要ですか?
必須ではありませんが、副業の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。青色申告で節税したい場合や、事業用口座を作りたい場合は提出をおすすめします。
Q. 会社員が開業届を出すと、副業が会社にバレますか?
開業届の提出そのもので会社に通知が行くことはありません。副業がバレる主な原因は、住民税の金額の変化です。確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択することで、会社への通知を避ける対策が可能になります。
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この記事を書いた人
長谷川 奈津
行政書士・元企業法務
企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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