デジタルアーツの不正アクセス|i-FILTER@Cloudなど6サービスの顧客情報と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓デジタルアーツの情報漏洩が気になる人へ
- ✓2026年10月21日の発表をもとに
- ✓i-FILTER@Cloudなどクラウド6サービスの顧客情報が閲覧された可能性
デジタルアーツ株式会社は2026年10月21日、クラウドサービスの運用環境と社内環境に不正アクセスの痕跡を見つけ、i-FILTER@Cloud など6つのクラウドサービスを利用する一部の顧客の情報が第三者に閲覧された可能性があると発表しました。件数は発表に書かれておらず、10月21日正午時点で顧客情報の外部への持ち出しは確認されていない、とされています。 利用者がまずすることは、対象の6サービスについて、管理者用と利用者用のパスワードを変更することです。デジタルアーツは対象サービスを利用するすべての顧客にこの変更を求めています。
この記事では、2026年10月22日時点で公開されているデジタルアーツの発表だけをもとに、何が起きて、何が分かっていて、何がまだ分かっていないのかを順番に整理します。今回の発表は「漏えいした」とは書いておらず、「閲覧された可能性」という言い方をしています。この記事でも、その表現のまま扱います。対象になるのは主に、勤め先や学校でこれらのサービスを使っている人と、その管理を担当している人です。在宅で仕事をしていて、取引先のサービスにゲストとして参加している人が気をつけたいことも、後半で説明します。
2026年10月22日時点で分かっていること
最初に、結論にあたる事実を並べます。どれもデジタルアーツが2026年10月21日に自社サイトと適時開示で公表した内容で確かめたものです。
- デジタルアーツは2026年10月9日、AIを活用して自社のシステム・製品と社内環境の総点検を行いました
- その点検で、従来の点検では見つからなかった、クラウドサービスの運用環境と社内環境への不正アクセスの痕跡を見つけたとしています
- 見つかった痕跡には、2025年7月頃にさかのぼるものが含まれるとされています
- クラウドサービスの運用に使う認証情報が第三者に不正に取得され、それを使ってサービスの運用環境に侵入されたことが分かったと説明しています
- この侵入によって、6つのクラウドサービスを利用する一部の顧客の情報が第三者に閲覧された可能性があるとしています
- 2026年10月21日正午時点で、顧客情報の外部への持ち出しは確認されておらず、この件による情報の悪用や二次被害の報告も受けていないとされています
- 対象サービスを利用するすべての顧客に、管理者用と利用者用のパスワードの変更を求めています
- 顧客が自分の環境に導入しているソフトウェア版は、この件の対象ではないと明記されています
件数について、発表には何件、何社、何人といった数字が書かれていません。「一部のお客様の情報」とあるだけです。どの項目が閲覧された可能性があるのかも、発表には具体的に書かれていません。分からないことを、少ないと読み替えたり、含まれていないと読み替えたりしないことが大切です。
もう1つ押さえておきたいのは、持ち出しが確認されていないという説明に「2026年10月21日正午時点で」という時点が付いていることです。調査が進めば、この説明が変わることもありえます。続報が出たときに読み比べられるよう、この時点を覚えておくと役に立ちます。
公表の経緯:2025年7月頃の痕跡から2026年10月21日の発表まで
発表の文面から日付を並べると、次のようになります。
| 日付 | 発表に書かれていること |
|---|---|
| 2025年7月頃 | 見つかった不正アクセスの痕跡に、この時期にさかのぼるものが含まれる |
| 2026年10月9日 | AIを活用してシステム・製品と社内環境の総点検を実施し、痕跡を見つけた |
| 発覚後 | 不正アクセスに使われた認証情報の無効化などの対応を速やかに実施 |
| 2026年10月21日 | 自社サイトのトピックスと適時開示で「当社への不正アクセスに関するお知らせとお詫び」を公表 |
| 2026年10月21日正午時点 | 顧客情報の持ち出しは未確認。新たな不正アクセスも未確認で、監視を継続中 |
2026年10月22日の時点で、デジタルアーツのトピックスとIRニュースの一覧に、この件の続報や訂正は出ていません。今回の発表が初報で、続報はまだありません。
日付の並びで目を引くのは、痕跡の古さです。発表は、痕跡の中に2025年7月頃にさかのぼるものがあると書いています。ただし、2025年7月頃から侵入が続いていたのか、その時期に何が行われたのかまでは書かれていません。「1年以上前から情報が見られていた」と読むのは、発表の書き方を超えた推測になります。
発見のきっかけが、外部からの指摘や被害の報告ではなく、自社の総点検だった点も発表から読み取れます。発表の冒頭には、昨今のサイバー攻撃の増加を受けて総点検を行ったと書かれています。
適時開示の版には、自社サイトの版にない「業績への影響について」という項目があります。影響は現在精査中で、開示が必要な事項が生じたら速やかに知らせる、と書かれています。東京証券取引所のプライム市場に上場している会社なので、続報は自社サイトのトピックスとIRニュース、適時開示の3か所に出る可能性があります。
発表の原文で確かめる
今回の件の要点は、発表の「不正アクセスの概要」という項目に書かれています。原文をそのまま引きます。
当社クラウドサービスの運用に用いる認証情報が第三者に不正に取得され、これを用いたサービス運用環境への侵入が判明しました。この侵入によって、以下に記載のクラウドサービスをご利用の一部のお客様の情報が第三者に閲覧された可能性があります。 2026年10月21日正午時点で、お客様情報の外部への持ち出しは確認されておらず、本件に起因する情報の悪用や二次被害の報告は受けておりません。 出典: daj.jp
この文から分かることを、言葉ごとに分けて読みます。
「運用に用いる認証情報」とは、デジタルアーツの側がクラウドサービスを動かし、管理するために使っているIDやパスワード、鍵などのことです。利用者がログインに使うパスワードそのものが盗まれた、とは書かれていません。
「閲覧された可能性」は、第三者が情報を見ることができる状態にあった、あるいは見たかもしれない、という意味です。「漏えいした」「流出した」とは書かれていません。
「外部への持ち出しは確認されておらず」は、情報が社外にコピーされて持ち出されたことは、正午の時点では確認できていない、という意味です。「持ち出されていない」と言い切っているわけではありません。
同じ内容は、適時開示の資料でも確かめられます。適時開示とは、上場している会社が、投資家の判断に影響する出来事を東京証券取引所の仕組みを通じて公表することです。資料は適時開示の資料(PDF)で開けます。
対象の6サービスと、それぞれの役割
発表が対象として挙げたのは、次の6つのクラウドサービスです。どんなサービスかは、デジタルアーツの製品ページの説明をもとに短く添えます。
| 発表に挙がったサービス | 製品ページでの説明(要旨) |
|---|---|
| i-FILTER@Cloud | Webのセキュリティ(URLフィルタリングなど)をクラウドで提供するサービス |
| m-FILTER@Cloud(Modern Edition) | メールのセキュリティをクラウドで提供するサービス |
| m-FILTER MailAdviser Microsoft 365 対応版 | メールを送る前に、送る人自身に確認を促して誤送信を防ぐサービス |
| FINAL CODE@Cloud | ファイルを暗号化し、渡したあとも閲覧を制御したり削除したりできるサービス |
| z-FILTER | ネットワークのセキュリティと認証をまとめて扱うサービス |
| Desk | チャットとオンライン会議のサービス。社外のゲストともやりとりできる |
i-FILTER@Cloud と m-FILTER@Cloud は、デジタルアーツが「DigitalArts@Cloud」という名前で、Web・メール・ファイルのセキュリティをまとめてクラウドで提供している中の主なサービスです。製品ページには次の説明があります。
「DigitalArts@Cloud」なら、統合レポート画面によりWeb・メール・ファイルにおける外部攻撃、内部情報漏洩の可能性を1画面で横断的に表示可能です。業務利用せざるを得ないWebとメールとファイルの間隙を突く攻撃も即座に確認できます。 出典: daj.jp
6つとも、企業や官公庁、学校などの組織が契約して、職員や社員、児童生徒が使う形のサービスです。個人が自分で契約して使うものではありません。
家庭向けに売られている「i-フィルター」は、名前が似ていますが、発表の対象サービスの一覧には挙がっていません。また、i-FILTER や m-FILTER には、組織が自分のサーバーに導入するソフトウェア版もあります。発表は、顧客が自分の環境に導入しているソフトウェア版は対象ではないと明記しています。同じ製品名でも、クラウド版かソフトウェア版かで扱いが分かれる点に気をつけてください。
i-FILTER@Cloud には学校向けの「GIGAスクール版」もありますが、発表は版の区別を書いていません。学校で使っているかどうかを、自分で対象外と決めつけず、学校や教育委員会からの案内を待つのが確実です。
閲覧された可能性がある情報と、対象外と明記されたもの
ここが一番気になるところですが、発表の書き方は大まかです。発表の記載と、発表に書かれていないことを分けて並べます。
| 区分 | 発表の記載 |
|---|---|
| 閲覧された可能性があるもの | 6つのクラウドサービスを利用する一部の顧客の情報 |
| 具体的な項目 | 記載なし(氏名、メールアドレス、パスワードなどの区別は書かれていない) |
| 件数 | 記載なし |
| 対象外と明記されたもの | 顧客が自分の環境に導入しているソフトウェア版 |
| 持ち出し | 2026年10月21日正午時点で未確認 |
| 悪用や二次被害 | 2026年10月21日正午時点で報告なし |
項目について、発表は「お客様の情報」としか書いていません。ここでいう「お客様」は、サービスを契約している組織を指すのか、そこで使っている個人を指すのか、両方なのかも、文面からは決められません。
一方で、デジタルアーツが管理者用と利用者用の両方のパスワードの変更を求めていることは、判断の手がかりになります。管理者だけでなく、ふだんサービスを使う一人ひとりにも対応を求めているからです。対象サービスを使っている人は、自分が個人として対象かどうかが分からなくても、パスワードの変更は済ませておくのが現実的です。
原因:運用に用いる認証情報の不正取得
発表が原因として書いているのは、「当社クラウドサービスの運用に用いる認証情報が第三者に不正に取得され、これを用いたサービス運用環境への侵入が判明」したことです。
認証情報とは、システムに入るときに本人であることを確かめるための情報のことで、IDとパスワードの組み合わせや、サーバーどうしが相手を確かめるための鍵などが含まれます。今回は、利用者のものではなく、デジタルアーツがサービスを運用するための認証情報が狙われたと説明されています。
認証情報がどのような経路で第三者に取得されたのかは、発表に書かれていません。外部からの攻撃の手口や、どの機器やアカウントが入口になったのかも、2026年10月22日時点では公表されていません。
発表は、クラウドサービスの運用環境だけでなく、社内環境にも不正アクセスの痕跡があったと書いています。社内環境で何が行われたのかも、発表には書かれていません。
デジタルアーツの対応
発表に書かれている対応を、そのまま並べます。
- 不正アクセスに使われた認証情報を無効にした
- デジタルアーツが運用に使う認証情報を交換した
- 不審なプログラムを停止した
- サーバー認証鍵を交換した
- 2026年10月21日正午時点で新たな不正アクセスは確認しておらず、監視を続けている
- 今後のサイバー攻撃の変化を見据えて、サービスとネットワークの再構築に取り組んでいる
- 関係機関に報告し、必要な協力を行う
- 認証情報の管理、アクセスの管理、監視の体制を強めて再発を防ぐ
サーバー認証鍵とは、利用者のパソコンやブラウザが、つながった先が本物のサーバーかどうかを確かめるために使う鍵のことです。これを交換したということは、盗まれた鍵を使って本物になりすますことができないようにした、という意味に読めます。
顧客へのお願いとしては、対象サービスを利用するすべての顧客に管理者用と利用者用のパスワードの変更を求め、追加の対応が必要な一部の顧客には、デジタルアーツから個別に連絡するとしています。
補償やお詫びの品については、発表に記載がありません。個別の連絡がどんな形で、いつまでに届くのかも書かれていません。サービスの停止や、利用者の側でのログインの一時停止についても、発表には記載がありません。
自分が対象かを確かめる方法
今回の件は、個人が自分で契約するサービスではないため、確かめ方が立場によって変わります。
組織のシステム担当者の場合
自分の組織が、6つのクラウドサービスのどれかを契約しているかを、契約書や請求書、管理画面で確かめます。ソフトウェア版を自社のサーバーに導入しているだけなら、発表では対象外とされています。クラウド版とソフトウェア版を両方使っている組織もあるので、製品ごとに分けて確かめてください。
対象のクラウドサービスを使っているなら、管理者用のパスワードの変更は、発表に従ってすぐに進める対応です。そのうえで、デジタルアーツから個別の連絡が来ていないかを、契約時に登録した連絡先のメールで確かめます。担当者が替わっていると、連絡が前任者のアドレスに届いていることがあります。
組織でサービスを使っている社員や職員の場合
社内のWeb閲覧の仕組みやメールの誤送信の確認、ファイルの暗号化、社内チャットが、どの製品で動いているかを、ふだん意識していない人も多いはずです。Deskのようにログインして使うサービスなら名前で分かりますが、i-FILTER@Cloud や m-FILTER@Cloud は裏で動いていて、利用者が名前を見る機会が少ないこともあります。
まずは、社内のシステム担当や情報システム部門からの案内を確かめてください。自分でサービスの名前を調べて、思い当たる画面でパスワードを変えるより、組織の指示に沿って動くほうが確実です。
学校で使っている児童生徒や保護者の場合
学校のタブレットのWebの制限に i-FILTER@Cloud が使われていることがあります。どの製品を使っているかや、パスワードの変更が必要かは、学校や教育委員会が判断します。学校からの案内を待ち、案内があればそれに従ってください。
家庭向けの i-フィルターを使っている場合
家庭向けの「i-フィルター」は、発表の対象サービスの一覧には挙がっていません。名前が似ているので心配になった人もいると思いますが、発表の一覧と製品名を見比べて、自分の使っているものが含まれているかを確かめてください。
利用者がすること
デジタルアーツが求めているのは、管理者用と利用者用のパスワードの変更です。発表に項目が書かれていないため、ここでは、パスワードの変更と、それに関わる偽の連絡への備えに絞って説明します。
管理者用のパスワードを変更する
組織のシステム担当者は、対象サービスの管理画面に入るための管理者用のパスワードを変更します。管理者のアカウントが複数ある組織では、すべての管理者アカウントで変更が要ります。使っていない古い管理者アカウントが残っていれば、この機会に整理すると、次に何かあったときに確かめる範囲が狭くなります。
利用者用のパスワードを変更し、使い回しを見直す
ふだんサービスを使う人は、組織の案内に従って、自分のパスワードを変更します。大事なのは、同じパスワードをほかのサービスでも使っていないかを見直すことです。
もし今回の対象サービスと同じパスワードを、個人用のメールやネット通販、SNSでも使っていたら、そちらも変更してください。パスワードは、サービスごとに別のものにするのが基本です。覚えきれない場合は、パスワード管理のアプリにまとめて保存すると、サービスごとに長く複雑なパスワードを使い分けられます。
二段階認証を設定する
二段階認証とは、パスワードに加えて、スマホに届く番号や認証アプリの番号など、もう1つの確認を求める仕組みのことです。パスワードが知られても、もう1つの確認を通らなければログインできないので、被害を防ぎやすくなります。
対象サービスの中にも、ワンタイムパスワードによる認証を加えられるものがあります。設定できるかどうかは組織の管理者が決めるので、使える場合は有効にするよう管理者に相談してみてください。個人用のメールやクラウドストレージなど、二段階認証を自分で設定できるサービスでは、この機会に設定しておくと安心です。導入の考え方と製品の違いは、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版で整理しています。
偽のメールと電話を見分ける
漏えいや不正アクセスの発表が出たあとは、その会社を名乗る偽の連絡が届きやすくなります。発表に、利用者に連絡してパスワードを聞くといった記載はありません。デジタルアーツから個別に連絡するとされているのは、追加の対応が必要な一部の顧客だけです。
次のような連絡は、送り主を確かめるまで反応しないでください。
- パスワードの変更のためと言って、メールのリンクからログインさせようとする
- お詫びの手続きや補償の受け取りのためと言って、個人情報やカードの番号を入力させようとする
- 電話でパスワードや認証の番号を読み上げさせようとする
- 「至急」「本日中」などと期限を切って、確かめる時間を与えない
- 送り主のアドレスのドメインが、ふだんやりとりしている相手のものと違う
パスワードを変えるときは、メールのリンクを使わず、ふだん使っているブックマークや、組織が案内した手順から管理画面やログイン画面に入るのが安全です。偽のメールの見抜き方を組織で練習する方法は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。
管理者が組織の中で進める順番
対象サービスを契約している組織の担当者に向けて、発表の内容から考えられる進め方を順番に並べます。
- 自組織で契約しているデジタルアーツの製品を洗い出し、クラウド版とソフトウェア版に分ける
- 対象の6つのクラウドサービスのうち、契約しているものの管理者用パスワードを変更する
- 利用者に、パスワードの変更を依頼する案内を出す。変更の手順と期限を具体的に書く
- 契約時の連絡先のメールを確かめ、デジタルアーツからの個別の連絡が届いていないかを見る
- 管理画面のログイン履歴や設定の変更履歴を、見られる範囲で確かめる
- 社内向けに、デジタルアーツを名乗る偽の連絡に注意するよう知らせる
- 対象サービスで扱っている情報に、取引先や顧客の個人情報が含まれるかを整理する
- 続報を確かめる担当と頻度を決める
7番目の整理は、組織が自分で判断を求められる場面に備えるためのものです。個人情報保護委員会とは、個人情報の扱いについて事業者を監督する国の機関です。そのページには、漏えい等の報告の記入例の1つとして「クラウド事業者による代行報告」の例が載っています。クラウドのサービスで預けている情報に何かあったときに、誰が報告するのかは、契約の内容と事情で変わります。一般論で決めつけず、デジタルアーツからの個別の連絡と、個人情報保護委員会の案内を見比べて判断してください。
中小企業でセキュリティの対策を見直すときに使える補助の制度は、中小企業のサイバーセキュリティ対策2026|IT導入補助金で防御力を強化する方法で紹介しています。
続報で確かめたい点
2026年10月22日時点の発表には、まだ書かれていないことがいくつもあります。続報が出たら、次の点を確かめてください。
- 閲覧された可能性がある情報の具体的な項目(組織の情報か、利用者個人の情報か、パスワードやメールの中身を含むか)
- 対象になった顧客の数
- 持ち出しの有無についての、正午以降の調査の結果
- 認証情報が取得された経路と、2025年7月頃の痕跡の意味
- 社内環境で何が行われたか
- 個別の連絡を受けた顧客が何をすればよいか
- 業績への影響
続報は、デジタルアーツの公式サイトのトピックスとIRニュース、適時開示に出る可能性があります。報道やSNSの投稿で新しい数字を見かけても、公式の発表で確かめてから判断するのが確実です。報道には、取材で得た情報や推測が混じることがあり、会社の発表とは書き方が違うことがあるためです。
問い合わせ窓口
発表に載っている問い合わせ先は、次の2つです。
| 対象 | 窓口 | 連絡方法 |
|---|---|---|
| 顧客・パートナー | お客様専用サポート窓口 | メール([email protected]) |
| 株主・投資家 | IR室 | メール([email protected]) |
受付時間や電話番号は、この件の窓口としては発表に書かれていません。株主・投資家向けの窓口は適時開示の資料に載っているもので、自社サイトの版には顧客・パートナー向けの窓口だけが書かれています。
顧客の窓口は、サービスを契約している組織とパートナーのためのものです。組織で使っている社員や職員、学校の児童生徒や保護者が直接問い合わせるより、まず組織の担当者に確かめるほうが、契約の内容に沿った答えを得やすくなります。
届いたメールや電話で案内された番号や窓口には、そのまま連絡しないでください。偽の連絡が使う手口の1つです。問い合わせるときは、デジタルアーツの公式サイトの発表に書かれた窓口を、自分で開いて確かめてから使います。不審な連絡が届いて判断に迷ったときは、情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口に相談する方法もあります。IPAは、情報セキュリティの対策を支援する国の機関です。
自分のメールアドレスが過去の漏えいに含まれていないかを調べる
今回の件をきっかけに、仕事用のメールアドレスやパスワードが、ほかのサービスの漏えいに含まれていないかが気になった人もいるはずです。海外には、過去に世界で出回った漏えいのデータと照らし合わせて、メールアドレスが含まれているかを無料で調べられるサイトがあります。
調べ方と画面の見方はHave I Been Pwnedの使い方|メールアドレスとパスワードの漏洩を確認する方法で順を追って説明しています。国内のサービスの漏えいはそのサイトに載らないことも多く、今回の件のように項目や件数が公表されていない事案は、照らし合わせの対象になりません。「載っていないから安全」とは読まないことが大切です。
在宅で仕事をする人が気をつけること
ここからは、フリーランスや在宅で仕事をする人に向けた話です。今回の6つのサービスは組織が契約するものですが、在宅で仕事をしていても、取引先を通じてこれらのサービスに触れていることがあります。
取引先のDeskにゲストとして参加している場合
Deskは、社外の人をゲストユーザーとして招いて、チャットやオンライン会議でやりとりできるサービスです。取引先のDeskに招かれて、打ち合わせやファイルのやりとりに使っている人もいるはずです。
発表は、ゲストとして参加している社外の人が対象に含まれるかを書いていません。招かれて使っている場合は、取引先から案内が届いていないかを確かめ、案内がなければ、担当者にパスワードの変更が必要かを聞いてみてください。ゲストのアカウントのパスワードを、ほかのサービスと同じものにしているなら、そちらも変更しておくと安心です。
FINAL CODEで暗号化されたファイルを受け取っている場合
FINAL CODEは、ファイルを暗号化して渡し、渡したあとも閲覧を制御できるサービスです。取引先から暗号化されたファイルを受け取るときに、無料の「FINAL CODE Client」を入れてユーザー登録をしている人もいます。
発表に挙がっているのは「FINAL CODE@Cloud」で、受け取る側の登録が対象に含まれるかは書かれていません。受け取る側として登録している人は、取引先からの案内を確かめ、登録に使ったパスワードをほかのサービスで使い回しているなら変更してください。
誰の情報で、誰が管理しているかを分ける
取引先に知らせる必要があるかを考えるときは、まず、その情報が誰のもので、誰が管理しているかを分けます。
今回の件で閲覧された可能性があるのは、デジタルアーツのクラウドサービスに預けられていた顧客の情報です。在宅で仕事をする人が、取引先のサービスにゲストとして参加していただけなら、その人は情報を預けた側の1人で、報告の義務を負う側ではありません。
一方、在宅で仕事をする人が、自分の事業でこれらのサービスを契約し、取引先から預かった個人情報を扱っていた場合は、事情が変わります。預かった情報に何かあったときに、取引先へ事実を伝える立場になります。
自分が報告する側になる場面
個人情報保護委員会は、事業者が漏えい等の報告を義務づけられる場合として、次の4つを挙げています。
- 要配慮個人情報(病歴や健康診断の結果など、特に配慮が要る個人情報)が含まれるもの
- 不正に使われることで、財産的な被害が生じるおそれがあるもの
- 不正の目的をもって行われたおそれがあるもの
- 本人の数が1,000人を超えるもの
どれも、漏えいが確定したときだけでなく、そのおそれがあるときも含まれます。不正アクセスによる漏えいは、3つ目の「不正の目的をもって行われたおそれ」の例に挙がっています。報告の期限は、不正な目的で行われたおそれがある場合は、発覚した日から60日以内とされています。詳しくは個人情報保護委員会の漏えい等報告のページで確かめられます。
在宅で仕事をする人が、取引先から預かった名簿や顧客の情報を、自分が契約したクラウドのサービスで扱っていることは珍しくありません。どの場合に誰が報告するかは、契約の内容と事情によって変わります。一般論で決めつけず、取引先との契約書の決まりと、取引先の指示を確かめてください。契約書に、事故のときの連絡先と期限が書かれているかを一度見直しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
取引先に伝えるときの書き方
伝える必要があると判断したときは、次の点を押さえると誤解が生まれにくくなります。
- 何があったかを、発表した会社の名前と発表の日付とあわせて書く
- 発表の表現どおりに「閲覧された可能性」と書き、「漏えいした」と言い換えない
- 件数と項目は発表に書かれていないことを、そのまま書く
- 自分がすでに済ませた対応(パスワードの変更など)を書く
- 自分の推測や、発表に書かれていないことは書かない
事実と推測を分け、敬語を整えた短い文面は、取引先からの信頼につながります。ビジネス文書検定の内容は、こうした報告の文書を整える練習にもなります。
在宅の仕事で、ふだんからできる備え
不正アクセスの発表が出たときに慌てないために、ふだんからできることを整理します。どれも費用はほとんどかかりません。
- 仕事用と個人用のメールアドレスを分ける。取引先のサービスに個人用のアドレスを登録しない
- 取引先ごとに、やりとりに使っているサービスと、自分のアカウントの名前を記録しておく。発表が出たら、どの取引先に関係するかをすぐ確かめられる
- パスワードはサービスごとに別のものにし、パスワード管理のアプリに保存する
- 仕事用のメールと、原稿や資料を保存するクラウドストレージには、二段階認証を設定する
- 取引先から預かった個人情報を、個人用のサービスで扱わない
- 振込先の変更や急ぎの支払いを求めるメールは、必ず電話など別の手段で確かめると決めておく
在宅で仕事をしていると、取引先ごとに違うチャットやファイル共有の仕組みに招かれ、アカウントが少しずつ増えていきます。自分では管理できない場所にアカウントが散らばっている状態なので、どこか1か所で何かあっても被害が広がりにくい形を、自分の側で整えておくことが現実的な備えです。
運営者の視点:情報を預かる人として見られている
@SOHO編集部は、2004年から在宅ワークとフリーランスの仕事の仲介を続けてきました。その中で感じるのは、取引先が受注する人を選ぶときに、技術や実績と同じくらい「情報を安心して預けられるか」を見ているということです。不正アクセスの発表が出たときに、自分が関係するかをすぐ確かめ、必要なら事実だけを簡潔に伝えられる人は、それだけで信頼を得やすくなります。セキュリティの知識をいかせる仕事の種類は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。
中間の手数料がかからない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くの仕事を頼めて、受ける側は手取りが厚くなります。その分、情報の扱いや、事故が起きたときの連絡の決まりを、当事者どうしで決める場面も増えます。今回のように、取引先が使っているサービスで顧客の情報が閲覧された可能性が発表されたときに、どう確かめ、どう知らせるかをあらかじめ考えておくことは、直接の取引を長く続けるための土台になります。
よくある質問
Q. デジタルアーツの情報漏洩で、何が閲覧された可能性があるのですか?
デジタルアーツは2026年10月21日、i-FILTER@Cloud など6つのクラウドサービスを利用する一部の顧客の情報が、第三者に閲覧された可能性があると発表しました。具体的な項目と件数は発表に書かれておらず、10月21日正午時点で外部への持ち出しは確認されていないとされています。
Q. 家庭向けの i-フィルターを使っていますが、対象になりますか?
発表の対象サービスの一覧は、i-FILTER@Cloud、m-FILTER@Cloud(Modern Edition)、m-FILTER MailAdviser Microsoft 365 対応版、FINAL CODE@Cloud、z-FILTER、Desk の6つで、家庭向けの i-フィルターは挙がっていません。一覧と自分の使っている製品名を見比べて確かめてください。
Q. 対象のサービスを使っている場合、まず何をすればよいですか?
デジタルアーツは、対象サービスを利用するすべての顧客に、管理者用と利用者用のパスワードの変更を求めています。組織で使っている人は、システム担当者の案内に従って変更し、同じパスワードをほかのサービスで使っていればそちらも変更してください。
Q. デジタルアーツの不正アクセスの件は、どこに問い合わせればよいですか?
発表では、顧客とパートナー向けにお客様専用サポート窓口([email protected])が案内されています。組織で使っている社員や学校の児童生徒は、まず組織の担当者に確かめるほうが確実です。届いたメールに書かれた連絡先には連絡しないでください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
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