サロンの顧客管理を無料アプリで始めるときに、記録しておきたい項目


この記事のポイント
- ✓サロンの顧客管理を無料アプリで始める前に
- ✓何を記録するかを決めておくと乗り換えや分析で困りません
- ✓紙やスプレッドシートからの移し方を整理しました
サロンの顧客管理を無料のアプリで始めようと思ったとき、多くの人が最初に悩むのは「どのアプリを選ぶか」です。けれども、実際に使い始めてから困るのは、アプリの選び方よりも「何を記録しておけばよかったか」のほうです。半年後に別のアプリへ移ろうとしたら必要な情報が残っていなかった、前回のカラー剤の配合を思い出せない、誕生月のお知らせを送ろうにも生年月日を聞いていなかった。こうした後悔は、記録する項目を最初に決めておけばほとんど防げます。
この記事では、無料の顧客管理アプリを使い始める前に決めておきたい記録の項目、健康や肌に関する情報の扱い方、無料と書かれたアプリの「無料の範囲」の違い、紙の台帳や表計算ソフトから移すときの手順を順に説明します。アプリの機能や料金は、2026年10月3日時点で各社の公式ページを確認した内容です。
顧客管理アプリを選ぶ前に記録の項目を決める理由
顧客管理とは、つまり「お客様ごとに、来店の記録と次の来店に役立つ情報をまとめておくこと」です。サロンではこれを顧客カルテと呼ぶことが多く、紙のカードに手書きしている店もまだ少なくありません。
アプリを選ぶ前に項目を決めておくべき理由は、3つあります。
1つ目は、アプリごとに入力できる項目が違うことです。施術の写真を保存できるもの、使った薬剤を記録する欄があるもの、自由なメモ欄しかないもの。記録したい項目が先に決まっていれば、それを入力できるかどうかでアプリを絞り込めます。
2つ目は、乗り換えのときの手間です。多くのアプリは顧客の一覧をCSV(表計算ソフトで開ける、カンマ区切りの文字データのこと)で書き出せますが、写真や自由メモまで書き出せるとは限りません。最初から「名前」「電話番号」「最終来店日」のような決まった欄に入力しておけば、移し替えがずっと楽になります。
3つ目は、スタッフが増えたときです。ひとりで営んでいるうちは自分だけが分かるメモでも困りませんが、スタッフが入った途端に「前回は何をしたのか」が伝わらなくなります。項目を決めておくことは、記録の書き方をそろえることでもあります。
現場の感覚で言えば、カルテは施術者の記憶を補う道具であると同時に、店の財産です。担当者が辞めても、記録が残っていればお客様は同じ説明を繰り返さずに済みます。
最低限そろえておきたい基本の項目
まず、どの業態でも必要になる基本の項目です。
| 項目 | 記録する理由 |
|---|---|
| 氏名とフリガナ | 同姓同名の区別と、読み方での検索のため |
| 電話番号 | 当日の遅刻や急な変更の連絡のため |
| メールアドレスまたはLINE | 予約の確認とリマインドを送るため |
| 初回来店日 | 新規かリピートかを見分けるため |
| 来店のきっかけ | どの集客が効いているかを知るため |
| 最終来店日 | 来店が途切れたお客様を見つけるため |
フリガナは軽く見られがちですが、検索のしやすさを大きく左右します。漢字の名前だけで登録すると、電話で名乗られたときにすぐ探せません。アプリによってはカナで検索できる機能があるので、フリガナの欄は必ず埋めておきます。
来店のきっかけは、初回のカウンセリングで聞いておかないと後からは分かりません。「Instagramを見て」「知人の紹介」「Googleマップで」「集客サイトから」のように選択肢を決めておくと、半年後に集計したとき、どこにお金と時間をかけるべきかが見えてきます。
生年月日を聞くかどうかは店の方針次第です。誕生月の特典を案内するなら必要ですが、使い道がないのに聞くと、お客様に不要な情報を求めている印象を与えます。使い道が決まっている項目だけを聞くのが基本です。
施術の記録として残したい項目
次に、サロンの顧客管理で中心になる施術の記録です。業態によって必要な項目が変わります。
ヘアサロン
カット、カラー、パーマなどのメニュー名だけでなく、カラー剤の銘柄と配合の割合、放置した時間、パーマのロッドの太さなど、次回に同じ仕上がりを再現するための情報が大切です。つまり「同じ人が次に担当しても同じ結果が出せるか」を基準に書きます。
ネイル・まつげサロン
ジェルやカラーの品番、デザインの写真、まつげエクステンションの長さやカール、本数です。デザインは文字で書くより写真のほうが確実なので、写真を保存できるアプリが向いています。LINEヤフーが提供するLINEビューティープラスのように、予約ごとに施術内容と写真(最大6枚)をカルテに記録できると公式に案内しているサービスもあります。
リラク・エステ・整体
施術した部位、力加減の好み、施術時間、使ったオイルや化粧品です。体の状態に関する情報を記録することが多い業態なので、次の節で説明する情報の扱いに特に注意が必要です。
共通して書いておきたいこと
どの業態でも、担当したスタッフ、支払った金額、次回の来店の提案(「6週間後にリタッチ」など)、会話の中で出た好みは記録しておく価値があります。会話のメモは便利ですが、お客様本人が見ても困らない書き方にするのが鉄則です。後で開示を求められることもあり得るので、容姿や性格を評価するような書き方は避けてください。
健康や肌に関する情報は取得のしかたに注意する
サロンのカウンセリングでは、肌のトラブル、アレルギー、持病、妊娠中かどうかなど、体に関する情報を聞くことがあります。安全に施術するために必要な情報ですが、扱いには法律上の注意があります。
個人情報保護法では、病歴など、不当な差別や偏見につながらないよう特に配慮が必要な情報を「要配慮個人情報」と呼んでいます。この情報を取得するときのルールは、法律の条文に次のように書かれています。
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
つまり、病歴に当たる情報は、本人の同意を得てから聞く必要があるということです。また、この法律でいう個人情報取扱事業者は、条文上「個人情報データベース等を事業の用に供している者」と定義されています。顧客管理アプリで検索できる形にお客様の情報をまとめていれば、個人で営む小さなサロンでも当てはまると考えて準備しておくのが安全です。
実務では、カウンセリングシートの冒頭に「安全に施術するために、体調や肌の状態についてお伺いします。記入いただいた内容は施術のためだけに使います」と書き、署名や同意のチェック欄を設ける形がよく使われています。どの情報が要配慮個人情報に当たるか、同意の取り方として十分かは、事情によって判断が分かれるので、迷う場合は個人情報保護委員会の相談窓口などで確認してください。
あわせて、個人情報を取得したときは利用目的を本人に知らせるか公表すること(同法21条)、漏えいや紛失を防ぐための措置をとること(同法23条)も定められています。アプリを使う場合は、パスワードを使い回さない、スタッフが辞めたらアカウントを止める、スマートフォンに画面ロックをかけるといった基本の対策が、そのまま安全管理の措置になります。
カウンセリングシートの質問を業態ごとに組み立てる
記録する項目が決まったら、それを初回のカウンセリングシートの質問に落とし込みます。カウンセリングシートとは、つまり初めて来店したお客様に記入してもらう問診票のようなものです。ここで聞いた内容がそのままカルテの土台になるので、アプリの入力欄と同じ順番に並べておくと転記が楽になります。
全業態で共通して聞く質問
氏名とフリガナ、連絡先、来店のきっかけ、希望する連絡手段(電話・メール・LINE)の4つは、どの業態でも欠かせません。希望する連絡手段を聞いておくと、予約の確認やリマインドを相手が受け取りやすい方法で送れます。お知らせやキャンペーンの案内を送ってよいかも、この時点で確認しておきます。
ヘアサロンで聞く質問
普段のスタイリングにかける時間、過去1年以内のカラーやパーマの履歴、頭皮のかゆみやしみやすさの有無などです。カラーの履歴は、薬剤の選び方や仕上がりに直接関わるため、他店での施術も含めて聞いておきます。
ネイル・まつげサロンで聞く質問
爪や目元の状態、過去の施術でかぶれや赤みが出たことがあるか、コンタクトレンズを使っているか、仕事の都合で避けたい長さやデザインがあるかです。仕事の制限は、デザインの提案の幅を決める大切な情報になります。
リラク・エステ・整体で聞く質問
気になる部位、力加減の好み、施術を避けたい部位、妊娠の可能性の有無などです。体の状態に関わる質問が多くなるため、前の節で説明したように、聞く理由と使い道をシートの冒頭に書き、同意の欄を設けておきます。
質問は多ければよいわけではありません。初回のシートが長すぎると、記入に時間がかかってお客様の負担になります。初回は必要最低限に絞り、2回目以降の来店時に少しずつ聞き足していくほうが、結果として正確な記録がたまります。
施術の写真を記録するときの決まり
ネイルやヘアの仕上がりを写真で残すと、次回の再現や提案がぐっと楽になります。ただし、写真は文字の記録より扱いに気を配る必要があります。
まず、顔が写る写真は、それだけで特定の個人を識別できる情報になります。カルテ用に撮る写真は、できるだけ手元や髪だけを写し、顔が入らない角度で撮るのが無難です。顔が入る場合は、撮影の前に「次回の施術の参考に、カルテ用の写真を撮ってもよいですか」と一言確認しておきます。
次に、カルテ用の写真と、InstagramなどのSNSに載せる写真は、目的が違うものとして分けて扱います。カルテ用に撮影の了承をもらっていても、それはSNSへの掲載の了承ではありません。作品としてSNSに載せたい場合は、改めて掲載してよいか、顔や名前を出さない形でよいかを確認します。了承の有無は、カルテのメモに「SNS掲載可(顔なし)」のように決まった書き方で残しておくと、スタッフが替わっても判断を誤りません。
最後に、写真の保存先です。スタッフ個人のスマートフォンのカメラロールに写真が残ったままになると、端末の紛失や退職のときに管理が及ばなくなります。撮った写真はアプリに保存したら端末から削除する、店の端末で撮影する、といった決まりを作っておくと安心です。
記録を残す期間と、削除や開示を求められたとき
顧客の記録は、ためるだけでなく、いつまで残すか、求められたらどう対応するかも決めておく必要があります。
残す期間を決める
最後の来店から何年たったお客様の記録を削除するか、店の方針として決めておきます。法律で一律の保存期間が決まっているわけではありませんが、使う見込みのない情報を持ち続けるほど、漏えいしたときの影響は大きくなります。たとえば「最終来店から3年たったら、売上の記録以外は削除する」のように決め、年に1回見直すと管理しやすくなります。会計の記録として残すべき書類の保存期間は税金の決まりで別に定められているので、売上や領収の記録は消さずに分けて保管します。
開示や削除を求められたとき
個人情報保護法では、本人が自分の情報の開示を求めることができると定められています(同法33条)。また、法律に反して取得された情報などについては、利用の停止や消去を求めることもできます(同法35条)。お客様から「自分の記録を見せてほしい」「もう来ないので消してほしい」と言われたときに慌てないよう、誰が対応するか、どの画面から書き出しや削除ができるかを確認しておきます。カルテのメモ欄に、本人に見せられない書き方をしていないかを日頃から意識しておくことも、ここにつながります。
他の店に情報を渡すとき
スタッフが独立するときに、担当していたお客様の記録を持ち出したいという相談はよくあります。個人情報保護法では、本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供することは原則として禁じられています(同法27条)。店の記録を別の店へ渡すことは、この第三者への提供に当たる可能性があります。持ち出しの可否や手順は、独立の話が出る前に雇用契約や業務委託契約で決めておくのが確実で、個別の判断は専門家に相談してください。
「無料」の範囲はアプリによって違う
顧客管理アプリの紹介記事では「無料」という言葉がよく使われますが、その中身はアプリによってかなり違います。大きく分けると次の4つです。
期限なく無料で使えるプランがあるもの
予約システムの中には、件数や人数の上限付きで、期限なく無料で使えるプランを用意しているものがあります。STORES 予約は、公式ページで予約の受付・管理、顧客管理、事前決済まで無料で始められると案内しており、フリープランの月間予約件数は50件です。SelectTypeの予約システムのフリープランは、保存できるお客様情報が100人までと料金表に書かれています。
この型は、予約と顧客台帳が最初からつながっているのが利点です。一方で、件数や人数の上限に達すると有料プランへの移行が必要になります。
集客サイトへの掲載を条件に無料になるもの
ホットペッパービューティーに掲載している店が使うSALON BOARD(サロンボード)は、公式のよくある質問で、SALON BOARD自体は無料で使えるがホットペッパービューティーへの掲載が必要だと説明しています。つまり、掲載料を払っている店にとっての無料であり、掲載をやめると使えなくなります。
一定期間だけ無料で試せるもの
カルテ専用のアプリには、無料の試用期間があり、その後は有料になるものが多くあります。たとえばKaruteKun(カルテくん)の公式サイトでは、30日間無料で試せること、その後の基本利用料金は施術者1名のシングルプランで1か月あたり5,500円(税込)、複数人向けのスタンダードプランで11,000円(税込)であることが案内されています。予約とLINEの連携は追加のオプションです。
表計算ソフトやメモアプリを使う
Googleスプレッドシートのような表計算ソフトや、スマートフォンのメモアプリで管理する方法もあります。費用はかかりませんが、予約との連動や、来店が途切れたお客様の抽出は自分で工夫する必要があります。
どの型が良いかは店の状況次第です。大切なのは、「無料」が期限なしなのか、条件付きなのか、試用期間なのかを最初に確かめることです。試用期間の終わりに慌てて別のアプリへ移すと、せっかく入力したデータの移し替えに追われることになります。
紙やスプレッドシートから移すときの手順
すでに紙のカルテや表計算ソフトで管理している場合、アプリへの移行は次の順で進めると混乱が少なくなります。
移す範囲を決める
過去のお客様をすべて移す必要はありません。たとえば「直近1年に来店したお客様」と範囲を決め、それより前のお客様は紙のまま保管し、来店したときにアプリへ登録する形でも十分です。全件を一度に入力しようとすると、それだけで数週間かかり、途中で止まってしまいがちです。
項目をアプリの欄に合わせる
移す前に、紙のカルテの項目とアプリの入力欄を対応させた表を作ります。アプリに欄がない項目は、自由メモに決まった書き方で入れる(「薬剤:」「好み:」のように頭に見出しを付ける)と、後で検索しやすくなります。
CSVで一括で取り込む
表計算ソフトで管理しているなら、CSVで書き出してアプリに取り込める場合があります。取り込む前に、フリガナの全角と半角、電話番号のハイフンの有無などの表記をそろえておくと、重複登録を防げます。
切り替えの日を決める
移行の途中で紙とアプリの両方に記録すると、どちらが新しいのか分からなくなります。「この日から新しい記録はアプリだけ」と切り替えの日を決め、スタッフにも共有します。
スタッフと共有するときの決まりごと
ひとりで使っているうちは問題にならないことも、スタッフと共有すると決まりごとが必要になります。
まず、誰がどこまで見られるかです。売上の集計や全顧客の書き出しは店主だけ、カルテの閲覧と記入はスタッフも可能、といった権限の分け方ができるアプリを選ぶと安心です。スタッフが退職したときにアカウントをすぐ止められるかも確認しておきます。
次に、書き方の決まりです。略語や記号を店で統一し、新しく入ったスタッフでも読めるようにします。「次回の提案」の欄を必ず埋める、といったルールを決めておくと、担当が替わってもお客様への案内がぶれません。
最後に、個人のスマートフォンでの利用です。スタッフが自分のスマートフォンでアプリを使う場合、端末の紛失がそのまま顧客情報の漏えいにつながります。画面ロックの設定、アプリからのログアウト、退職時のアカウント削除をルールにしておくことをおすすめします。
記録を来店につなげる使い方
記録は、使ってこそ価値が出ます。顧客管理アプリに記録をためたら、次のような使い方を試してください。
1つ目は、来店が途切れたお客様への案内です。最終来店日から一定期間が過ぎたお客様を一覧にして、次回の来店を案内します。ヘアカラーなら6〜8週間、ネイルなら3〜4週間など、メニューごとの目安を決めておくと、送る時期を判断しやすくなります。
2つ目は、施術前の準備です。予約が入ったら前回のカルテを見て、使う薬剤や前回の会話を確認しておきます。お客様は「覚えていてくれた」と感じ、それが次の予約につながります。
3つ目は、来店のきっかけの集計です。3か月に1回、新規のお客様の来店のきっかけを数えるだけでも、どの集客にお金と時間をかけるべきかが分かります。
4つ目は、2回目の来店につながったかの確認です。新規のお客様のうち、次の来店があった人の割合を来店のきっかけ別に見ると、「新規は多いが定着しない入口」と「数は少ないが長く通ってくれる入口」の違いが見えてきます。集客サイトの掲載や広告を続けるかどうかを判断するとき、新規の人数だけでなく、この2回目の来店の割合をあわせて見ると、判断を誤りにくくなります。記録の項目に「来店のきっかけ」と「来店日」がそろっていれば、表計算ソフトでも簡単に数えられます。
無料アプリを選ぶときの確認リスト
ここまでの内容を、アプリを選ぶときに確かめる項目として整理します。公式サイトの料金ページとよくある質問を開き、次の項目に答えが書かれているかを1つずつ確認してください。
- 無料の範囲は期限なしか、条件付きか、試用期間か
- 無料で保存できるお客様の人数と、予約件数の上限
- 施術の写真を保存できるか、1回あたり何枚までか
- 自由メモのほかに、薬剤や品番などを入れる専用の欄があるか
- フリガナで検索できるか
- 顧客の一覧をCSVで書き出せるか、取り込めるか
- スタッフごとに見られる範囲を分けられるか
- 有料に移ったときの1か月あたりの料金と、契約期間の縛り
特に6番の書き出しは見落とされがちですが、将来の乗り換えを左右する大事な項目です。書き出しができないアプリに記録をためると、別のアプリへ移るときに手で入力し直すことになります。
8番は、無料のうちは気にならなくても、店が軌道に乗ったときに効いてきます。人数や件数の上限を超えたときにいくらかかるのか、年契約で一括払いが必要なのかを、最初の時点で把握しておきましょう。
顧客管理でよくある失敗
最後に、顧客管理アプリを使い始めた店でよく見かける失敗を挙げておきます。
1つ目は、入力を後回しにすることです。施術が続いて記録を夜にまとめて入力しようとすると、細かい内容を忘れてしまいます。お客様を見送ったら、次のお客様を迎えるまでの数分で要点だけでも入力する習慣をつけると、記録の質が保てます。
2つ目は、メモ欄に何でも書き込むことです。決まった欄に入れるべき情報まで自由メモに書くと、検索も集計もできなくなります。迷ったら、その情報で後から一覧を作りたいかどうかで判断し、作りたいなら専用の欄に入れます。
3つ目は、バックアップを取らないことです。アプリのサービスが終了したり、契約が切れたりしたときに、記録を取り出せないと困ります。月に1回、顧客の一覧をCSVで書き出して、パスワードをかけた場所に保管しておくと安心です。
使い始めの1週間でやること
顧客管理アプリは、最初の1週間の過ごし方で定着するかどうかが決まります。次の段取りで進めると、営業を止めずに切り替えられます。
1日目と2日目:項目と質問を決める
この記事の基本の項目と施術の記録の項目を参考に、自分の店で記録する項目を紙に書き出します。あわせて、初回のカウンセリングシートの質問を作り直します。アプリの入力欄の並びと質問の順番をそろえるのがこの段階のポイントです。
3日目:アプリを試す
候補のアプリに無料で登録し、架空のお客様を1人登録してみます。名前の登録、カルテの記入、写真の保存、検索、CSVの書き出しまでを一通り試し、書き出したファイルを表計算ソフトで開いて中身を確かめます。ここで違和感があれば、別のアプリに切り替えても失うものはほとんどありません。
4日目と5日目:常連のお客様から登録する
直近によく来ているお客様から順に登録します。全員を一度に入れようとせず、次の1週間に予約が入っているお客様を優先すると、すぐに記録を使う場面が来るので入力の意味を実感しやすくなります。
6日目と7日目:切り替えの日を決めて共有する
新しい記録をアプリだけにする日を決め、スタッフがいる場合は書き方の決まりとあわせて共有します。紙のカルテは捨てずに、鍵のかかる場所に保管しておきます。
1週間たったら、入力に困った項目や使わなかった項目を見直します。最初に決めた項目は、使いながら直していくものです。
来店が途切れたお客様への案内の例
記録を来店につなげる場面として、最も効果を感じやすいのが、しばらく来店していないお客様への案内です。送るときは、売り込みよりも、前回の施術を覚えていることが伝わる書き方にします。たとえば次のような文面です。
「〇〇様、前回はカラーのご来店をありがとうございました。そろそろ根元が気になる時期かと思い、ご連絡しました。来月は平日の午前に空きがございますので、ご都合の合う日があればお知らせください。」
この文面に入っている「前回のメニュー」「時期の目安」「空いている日時」の3つは、どれも顧客管理アプリに記録が残っていれば書けるものです。逆に言えば、この3つを書けるように記録しておくことが、顧客管理を来店につなげる近道です。
送る時期は、メニューごとに決めた来店周期の目安を少し過ぎたころが目安です。一斉に同じ文面を送るより、数人ずつ名前と前回のメニューを入れて送るほうが、お客様の受け取り方は良くなります。お知らせの送付に同意していないお客様には送らないことも、忘れないようにしてください。
予約と顧客台帳をまとめて始めたいときの候補
ここまで見てきたように、予約と顧客台帳が別々のアプリに分かれていると、予約が入るたびに顧客情報を探して転記する手間が生まれます。最初から両方を1つの仕組みで始めたい場合の候補の1つが、Rizaflow(リザフロー)です。
公式サイトによると、フリープランは月50件・スタッフ1名までの予約を期限なく無料で受けられます。顧客管理の機能として来店履歴、メモ、カナ検索が挙げられており、予約完了・前日リマインダー・御礼のメールの自動送信や会員マイページもフリープランから使えます。有料のライトプラン(1か月あたり3,300円、税込)以上は顧客数の上限がなく、今使っているシステムから書き出した顧客のCSVを管理画面から取り込めると案内されています。
一方、公式の機能一覧には施術写真の保存やカラー剤の配合のような専用の入力欄は載っていないため、写真中心のカルテを作りたい店は、カルテ専用のアプリとあわせて検討するのが現実的です。登録にクレジットカードは要らないので、予約と台帳の流れを無料の範囲で確かめてから判断できます。
Rizaflowは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
顧客管理の仕組みづくりを外に頼むという選択
最後に、顧客管理の仕組みを自分で作り込む以外の選択肢にも触れておきます。
カウンセリングシートの項目設計や、アプリへのデータ移行、予約ページとの連携の設定は、慣れていないと思った以上に時間がかかります。こうした作業を外部の人に頼むサロンも増えてきました。アプリの設定や小さな業務の仕組みを作る仕事は、アプリケーション開発のお仕事で扱われている分野に近く、どんな人がどんな形で引き受けているかが紹介されています。
予約ページや会員画面の見やすさを整えたい場合は、UI/UX・アプリデザインのお仕事の分野が当てはまります。お客様からの問い合わせにLINEなどで自動で答える仕組みを検討しているなら、AIチャットボット・アプリ開発のお仕事が参考になります。
依頼する前に相場感をつかみたいときは、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で、仕組みづくりを担う人たちの単価の水準を確認できます。また、受付や事務の仕事に携わってきた人が、医療機関の受付で培った情報管理の感覚をサロンの事務に生かすこともあります。その分野の資格としては医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)があり、個人情報を丁寧に扱う実務の基礎を学べます。
20年この市場を見てきた立場から言えば、小さな店の仕組みづくりがうまくいくのは、作り手が店主と同じ画面を見ながら「毎日どこに何を書いているか」を確かめたときです。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りで頼めれば、店は同じ予算でデータ移行まで任せられ、受ける側の手取りも厚くなります。双方が無理なく続けられる関係が、結果として長く使える台帳を残します。
顧客管理アプリは、選ぶ前に記録の項目を決め、無料の範囲を確かめ、切り替えの日を決めてから使い始めると、後から慌てずに済みます。まずは基本の6項目と、自分の業態で欠かせない施術の記録を紙に書き出すところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 無料の顧客管理アプリでも、サロンの運営に十分ですか?
ひとりで営む店や、月の予約が数十件の店なら、無料の範囲で十分に回ることが多いです。ただし、無料の中身は期限なしのプラン、集客サイトへの掲載が条件のもの、試用期間のものなど様々です。件数や保存できる人数の上限、写真を保存できるかを先に確かめ、上限に近づいたら有料プランや他のアプリを検討してください。
Q. カウンセリングでアレルギーや持病を聞くときに注意することはありますか?
病歴など特に配慮が必要な情報は、個人情報保護法で本人の同意を得てから取得するよう定められています。カウンセリングシートに、聞く理由と使い道を書き、同意の欄を設ける形が一般的です。どの情報が該当するかや同意の取り方は事情で判断が分かれるため、迷う場合は個人情報保護委員会の相談窓口で確認してください。
Q. 紙のカルテはアプリに全部移す必要がありますか?
すべてを一度に移す必要はありません。直近1年に来店したお客様など範囲を決めて移し、それ以前のお客様は来店したときに登録する形でも十分です。移行の途中で紙とアプリの両方に記録すると混乱するので、新しい記録はアプリだけにする切り替えの日を決めておくと進めやすくなります。
Q. スタッフにも顧客情報を見せてよいのでしょうか?
施術のために必要な範囲で共有するのは一般的です。ただし、全顧客の書き出しや売上の集計は店主だけにするなど、権限を分けられるアプリを選ぶと安心です。スタッフが自分のスマートフォンで使う場合は画面ロックを必ず設定し、退職したときはすぐにアカウントを止めるといった決まりも作っておきましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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