AI翻訳・ポストエディットのお仕事

AI翻訳・ポストエディットとは
AI翻訳・ポストエディットは、機械翻訳やAI翻訳が出した訳文を、原文と一文ずつ突き合わせて確認し、誤訳、訳し漏れ、不自然な表現を直して、公開や社内利用に耐える訳文に仕上げる仕事です。英語から日本語、日本語から英語の案件が中心で、中国語や韓国語などの案件もあります。
AI翻訳の精度は大きく上がりましたが、否定と肯定の取り違え、数字や固有名詞の誤り、専門用語の訳し分け、文脈に合わない言い回しは今も起こります。一から訳すより速く安く、それでいて人の目で品質を保ちたい企業から、ポストエディットの依頼が増えています。
2026年9月時点で、大手クラウドソーシングでは「ポストエディット」「AI翻訳」の募集中の案件が35件ほどあり、@SOHOでもAI翻訳に関する検索が増えています。
仕事内容の詳細
訳文と原文の突き合わせ
AIの訳文を原文と並べて、意味が正しく移っているかを一文ずつ確かめます。否定、数量、条件、主語の取り違えは、読み流すと見落としやすいので、原文を先に読んでから訳文を確かめるのが基本です。
用語の統一と表記の調整
発注者の用語集や過去の訳文に合わせて、専門用語、製品名、表記の揺れを統一します。用語集が無い場合は、作業の中で用語の一覧を作って納品することもあります。
読みやすさの調整(フルポストエディット)
意味の正しさに加えて、読み手にとって自然な文章に直す作業です。マニュアル、Webサイト、マーケティングの文章など、そのまま公開する用途ではこの水準が求められます。
ライトポストエディット
社内で内容を把握するための資料など、意味が正しく伝わればよい用途では、誤訳と訳し漏れの修正に絞って短時間で仕上げます。依頼の段階で、どちらの水準かを確かめることが大切です。
1日のフロー例
午前中に発注者の用語集と参考資料を読み、午後はAIの訳文の確認と修正を進めます。夕方に訳文だけを通して読み直し、読みにくい箇所を整えて納品します。
必要なスキル・資格
必須スキル
- 語学力: 原文を正確に読み取る力と、訳文側の言語で自然に書く力
- 誤りを見抜く力: 否定、数字、条件、固有名詞の取り違えに気づく注意深さ
- 調べる力: 専門用語や固有名詞を公式の資料で確かめる習慣
- AI翻訳の癖の理解: ツールごとの得意・不得意の把握
- 納期管理: 分量の多い案件を計画的に進める力
あると有利なスキル
- 専門分野の知識: IT、医薬、法務、金融、特許など
- 翻訳支援ツール: Trados、memoQ などの操作
- 生成AIへの指示: 用語集を渡して訳し直させるなど、下訳の質を上げる工夫
- ネイティブチェックの経験: 英文の最終確認まで担当できる
資格(参考になるもの)
- TOEIC L&R(850点以上が目安)
- 翻訳実務検定 TQE
- JTFほんやく検定
始め方ロードマップ
ステップ1: AI翻訳の誤りを探す練習(2〜4週間)
公開されている英文の記事をAIで翻訳し、原文と突き合わせて誤りを探します。どんな種類の誤りが多いかをメモしておくと、確認の速さが上がります。
ステップ2: 得意分野を決める(1か月)
自分の仕事の経験や学んできた分野から、訳せる分野を決めます。専門分野があると、単価の高い案件に応募しやすくなります。
ステップ3: 見本の訳文を作る(1か月)
AIの訳文と、自分が直した訳文を並べた見本を作ります。どこをなぜ直したのかを説明できると、発注者に力が伝わります。
ステップ4: ライトポストエディットの案件から受注する
分量が少なく納期に余裕のある案件から始めて、評価を集めます。継続の依頼が増えたら、フルポストエディットや専門分野の案件に広げます。
案件相場
ライトポストエディット
原文1文字(英語は1ワード)あたりの単価で、通常の翻訳の3割〜5割程度が目安です。
フルポストエディット
通常の翻訳の5割〜8割程度が目安です。専門分野や公開用の文章は高くなります。
時間単位の確認作業
訳文のチェックを時間単位で依頼される案件もあり、1時間1,500〜4,000円程度が見られます。
時間単価の目安
| レベル | 時間単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 初心者(経験半年未満) | 1,500〜2,200円 | ライトポストエディット |
| 中級者(経験1〜2年) | 2,200〜3,200円 | フルポストエディット・用語の統一 |
| 上級者(経験3年以上) | 3,200〜4,000円 | 専門分野・最終の品質確認 |
この仕事に向いている人
- 原文と訳文を細かく見比べる作業が苦にならない人
- 数字や固有名詞の誤りにすぐ気づく人
- 特定の分野について、仕事や学びで身につけた知識がある人
- 自然な日本語(または英語)を書くのが得意な人
- 新しい翻訳ツールを試すのが好きな人
よくある質問
Q. AI翻訳があれば、翻訳の仕事は無くなりませんか?
A. 一から訳す仕事は減っていますが、AIの訳文を確かめて直す仕事は増えています。誤訳が許されない文書や公開する文章では、人の確認が欠かせないためです。AIを使いこなして速く正確に仕上げられる人ほど、依頼が集まりやすくなります。
Q. 翻訳の実務経験がなくても始められますか?
A. ライトポストエディットの案件なら、語学力と注意深さがあれば始められます。見本の訳文で、どこをなぜ直したのかを示せるようにしておくと、実務経験が少なくても評価されやすくなります。
Q. 発注者から渡された原文をAI翻訳に入れても大丈夫ですか?
A. 社外秘の文書の場合、外部のAIサービスに入れてよいかを必ず発注者に確かめましょう。入力した内容を学習に使わない契約のサービスを指定されることもあります。
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