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JTA公認翻訳専門職資格試験とは|受ける前に知っておきたいことと仕事での活かし方

@SOHO編集部
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JTA公認翻訳専門職資格試験とは|受ける前に知っておきたいことと仕事での活かし方

この記事のポイント

  • ✓JTA公認翻訳専門職資格試験の仕組みを
  • ✓2次審査の実務経験2年
  • ✓試験日程の順に整理しました

JTA公認翻訳専門職資格試験は、翻訳を仕事にしたい人や、すでに翻訳の仕事をしている人が、自分の力を客観的に示すために受ける試験です。名前に「専門職」と付くとおり、語学の力だけでなく、ITの使い方や仕事の進め方まで問われ、認定を受けるには翻訳の実務経験も必要です。受ける前に仕組みを正しく知っておかないと、「試験に受かったのに認定されない」「どの科目から受ければよいか分からない」と戸惑うことになります。この記事では、日本翻訳協会の公式ページの記載をもとに、試験の科目、認定の条件、受験料と日程、受ける前に知っておきたい決まりを整理したうえで、翻訳の仕事で資格をどう活かすかまでを順に説明します。

JTA公認翻訳専門職資格試験とはどんな試験か

JTA公認翻訳専門職資格試験は、一般社団法人 日本翻訳協会(JTA)が実施する、翻訳のプロとしての力を総合的に審査して認定する試験です。英語での名前はCertified Professional Translator Testで、通称はCPT試験と呼ばれています。対象の言語は英語と中国語です。

協会は、この試験で測る力を次の5つに分けて説明しています。

  • 言語運用能力と翻訳表現技術
  • 文化背景知識と異文化理解力
  • 専門知識と実務能力
  • IT運用力とサーチ力
  • マネジメント能力と職業倫理

サーチ力とは、分からない言葉や背景を、辞書やインターネットで正確に調べ上げる力のことです。翻訳の仕事では、原文を読んで訳すことに加えて、専門用語の確かめ、翻訳の道具の使いこなし、納期の管理といった力が欠かせません。この試験は、そうした仕事の全体を見る試験だと言えます。

試験はインターネットによる在宅試験で、受験資格は国籍、性別、年齢を問いません。科目ごとに合否が判定され、あわせて級(グレード)が示されます。すべての科目を一度に受ける必要はなく、科目ごとに受けて、合格を積み重ねていくことができます。

認定を受けるまでの流れ

「JTA公認翻訳専門職」として認定されるには、試験に合格するだけでは足りません。協会の公式ページでは、認定の条件が次のように示されています。

1. 4科目全てに合格(2級以上取得) 2.2次審査(翻訳経験2年以上の実績審査)に合格 出典: 日本翻訳協会 JTA公認 翻訳専門職資格試験

つまり、4つの科目すべてで2級以上を取ったうえで、翻訳の実務経験が2年以上あることを示す2次審査に合格して、初めて認定されます。試験の合格には有効期限があり、最初の科目で2級以上を取ってから5年以内に、残りの条件をそろえる必要があります。

流れを整理すると、次のようになります。

  1. 本試験の3科目(翻訳文法技能試験、翻訳IT技能試験、翻訳マネジメント技能試験)を受け、2級以上を取る
  2. 4科目目として、英語部門なら出版翻訳能力検定試験かビジネス翻訳能力検定試験の1分野、中国語部門なら中国語翻訳能力検定試験の1分野を受け、2級以上を取る
  3. 4科目に合格すると、協会から2次審査の手続きの案内がメールで届く
  4. 2次審査で、2年以上の翻訳の実務経験を審査される
  5. 合格すると、認定料を払って「JTA公認翻訳専門職」として認定される

認定の有効期間は5年間です。認定料は、JTAメンバーズの会員が21,000円、一般が31,000円と案内されています。JTAメンバーズとは、日本翻訳協会が運営する、翻訳者や翻訳を学ぶ人向けのインターネットの会員制度のことです。

実務経験の2年が条件にあるため、これから翻訳を学び始める人が、すぐに認定まで進めるわけではありません。まず科目の合格を目指し、実務の経験を積みながら認定に近づいていく、という長い道のりを前提に考える資格です。

本試験の3科目の中身と時間割

本試験の3科目は、同じ日に時間を分けて行われます。公式ページの時間割は次のとおりです。

部門 科目 時間
英語部門 第1科目 翻訳文法技能試験 10時から11時30分
英語・中国語共通 第2科目 翻訳IT技能試験 12時30分から13時30分
英語・中国語共通 第3科目 翻訳マネジメント技能試験 13時45分から14時15分
中国語部門 第1科目の1 中日翻訳文法技能試験 10時から11時
中国語部門 第1科目の2 日中翻訳文法技能試験 11時10分から12時10分

翻訳文法技能試験は、原文を正しく読み、訳文として正確で自然な文章に仕上げる力を見る科目です。翻訳IT技能試験は、翻訳の仕事で使うITの道具や、調べものの力を見る科目で、英語と中国語の部門で共通です。翻訳マネジメント技能試験は、納期や品質の管理、取引先とのやりとり、職業としての倫理など、翻訳を仕事として進める力を見る科目です。

語学の試験の多くは、言葉の力だけを測ります。この試験は、ITとマネジメントを独立した科目にしている点に特徴があります。翻訳の仕事を受けたことがある人なら分かるとおり、仕事の場では、訳文の質と同じくらい、ファイルの扱い方や納期の守り方、問い合わせへの対応が評価されます。その力を、試験として測る仕組みです。

協会は、各科目の受験対策のテキストをPDFで販売しています。初めて受ける人は、出題の形式を確かめるためにも、公式の教材を一度見ておくと安心です。

4科目目に選べる能力検定試験

4科目目は、翻訳の分野ごとの能力検定試験から1つを選びます。英語部門では、出版翻訳能力検定試験とビジネス翻訳能力検定試験から、中国語部門では中国語翻訳能力検定試験から選びます。公式ページに載っている分野は次のとおりです。

試験 分野
出版翻訳能力検定試験 絵本、ヤングアダルト・児童書、エンターテインメント小説、スピリチュアル、一般教養書(ビジネス)、一般教養書(サイエンス)、日英の出版翻訳(フィクション、ノンフィクション)
ビジネス翻訳能力検定試験 IR・金融、リーガル、医学・薬学、特許(それぞれ英日と日英)
中国語翻訳能力検定試験 中日ビジネス一般、日中ビジネス一般、中国語リーガル

IRとは、会社が株主や投資家に向けて出す、経営や財務の情報のことです。リーガルは法律の文書、特許は発明の権利を申請する文書を指します。

能力検定試験は、1級から5級の級で翻訳の力を判定します。認定の条件として求められるのは2級以上です。どの分野を選ぶかは、自分が仕事として受けたい翻訳の分野に合わせます。たとえば、会社の決算資料の翻訳を受けたいならIR・金融、医薬品の資料の翻訳を受けたいなら医学・薬学、というように選ぶと、試験の勉強がそのまま仕事の準備になります。

中国語の試験は、大陸の普通話(北京語)を標準とし、文字は簡体字です。受験者の解答は、簡体字と繁体字のどちらでも認められると書かれています。

受験料と試験日程

本試験の受験料は、受ける科目の数で決まります。公式ページの受験料(消費税込み)は次のとおりです。

受ける科目の数 英語部門 一般 英語部門 JTAメンバーズ・学生
1科目 5,500円 4,400円
2科目 11,000円 8,800円
3科目 16,500円 13,200円

中国語部門は、第1科目の中日と日中がそれぞれ一般2,750円、JTAメンバーズと学生が2,200円で、両方を受けると一般5,500円、JTAメンバーズと学生が4,400円です。学生割引の対象は、大学院生、大学生、専門学校生、高校生などです。受験料の支払いは銀行振込が基本で、海外に住んでいて日本の口座に振り込めない人に限り、クレジットカードでの支払いが認められています。4科目目の能力検定試験の受験料は、それぞれの試験のページで確かめます。

試験は年に4回行われます。公式ページに載っている日程は次のとおりです。

回 試験日 申込の締切
第73回 2026年12月5日(土) 2026年12月1日(火)
第74回 2027年3月6日(土) 2027年3月2日(火)
第75回 2027年6月5日(土) 2027年6月1日(火)

日程は変わることがあると書かれているので、申し込む前に公式ページで最新の日程を確かめてください。試験をキャンセルしても受験料は返金されませんが、試験の2日前までにメールなどで連絡すれば、一度だけ次回の試験に振り替えられます。

科目を受ける順番の決め方

4科目すべてで2級以上を取る必要がありますが、受ける順番は自分で決められます。準備の進め方に合わせて、次のような考え方で順番を決めると、無理なく合格を積み重ねられます。

1つ目の考え方は、得意な科目から受けることです。翻訳の仕事の経験がある人なら、仕事の進め方を問う翻訳マネジメント技能試験や、道具の使い方を問う翻訳IT技能試験は、ふだんの経験をそのまま活かせます。最初に1科目合格すると、勉強を続ける気持ちが保ちやすくなります。

2つ目の考え方は、時間のかかる科目から先に手を付けることです。翻訳文法技能試験と4科目目の能力検定試験は、訳文の質そのものを問うので、準備に時間がかかります。5年の期限を考えると、こうした科目に早めに取り組み、必要なら何度か受け直す余裕を残しておく方が安心です。

3つ目の考え方は、同じ日に3科目をまとめて受けることです。本試験の3科目は同じ日に時間を分けて行われるので、準備ができていれば1日で3科目を受けられます。受験料も、まとめて受けた方が科目ごとの手間が少なく済みます。

どの考え方を選ぶにしても、最初の科目で2級以上を取った日から5年の期限が始まることを意識しておきます。実務経験の2年もこの期限の中でそろえる必要があるので、試験の計画と、仕事の経験を積む計画を、あわせて立てておくことが大切です。

受ける前に知っておきたい決まり

2026年度の試験から、大切な決まりが加わりました。公式ページでは、自動翻訳やAI翻訳の技術が大きく進んだことを踏まえ、試験は翻訳者個人の理解力、表現力、判断力にもとづく「人間の翻訳能力」を評価することを主眼にすると説明されています。そのため、試験中に自動翻訳ソフトやAI翻訳ツールを使うことは認められていません。

在宅で受ける試験なので、ふだんの仕事と同じ環境で受けることになりますが、翻訳の道具の中に機械翻訳の機能が組み込まれている場合もあります。試験の前に、使う道具の設定を確かめ、機械翻訳の機能を使わない状態にしておくことが大切です。受験案内書を必ず読んでから申し込むよう、公式ページでも案内されています。

申し込みのときは、受験申請書のメールアドレスの欄に、携帯電話のメールアドレスを使わないよう案内されています。申請書を出したあとに協会からのメールが届かない場合は、迷惑メールのフォルダに入っていないかを確かめます。

試験の結果は科目ごとに出るので、1回の試験ですべてを受ける必要はありません。仕事や勉強の予定に合わせて、1科目ずつ受けていく人もいます。ただし、最初の科目で2級以上を取ってから5年以内という期限があるので、すべての科目と2次審査をそろえるまでの計画は、最初に立てておきます。

翻訳専門職資格基礎試験という入口

いきなり本試験を受けるのは不安だという人に向けて、協会は「JTA公認翻訳専門職資格基礎試験」も実施しています。公式ページでは、次のような人に勧められています。

  • 翻訳の基礎の学力を身につけ、JTA公認翻訳専門職の認定を目指している人
  • 英語の基礎の学力があり、これから翻訳者を目指す人
  • 英語の基礎の学力がある大学生や専門学生で、翻訳者を目指す人

基礎試験は、「英日翻訳」と「英文リライト」の2つのセクションでできています。問題を解く前に翻訳のルールを学び、例題を確かめてから解答する形式です。英文リライトとは、英語の文章を、意味を変えずに読みやすく書き直すことを指します。

翻訳を学び始めたばかりの人は、基礎試験で自分の力の目安をつかみ、本試験の科目に進むと、無理なく段階を踏めます。

2次審査に必要な実務経験をどう積むか

認定の条件のうち、多くの人が時間をかけることになるのが、2年以上の翻訳の実務経験です。これから翻訳の仕事を始める人は、試験の勉強と並行して、実務の経験を積む道を考えておく必要があります。

実務の経験を積む方法には、次のようなものがあります。

  • 翻訳会社のトライアルを受けて、フリーランスとして登録する
  • 会社の中で、翻訳や外国語の文書を扱う仕事に就く
  • 翻訳会社や、外国語の文書を扱う会社で、派遣や契約の社員として働く
  • 在宅で、小さな翻訳の仕事を直接受ける

どの方法で経験を積む場合も、受けた仕事の記録を残しておきます。いつ、どんな分野の、どのくらいの量の翻訳をしたかを、仕事ごとに書き留めておくと、2次審査の準備がしやすくなります。秘密の扱いがある仕事は、文書の中身を記録に書かず、分野と量と時期だけを残すようにします。

最初のうちは、自分の得意な分野でなくても、経験を積める仕事を受けることになるかもしれません。それでも、分野をまたいで訳した経験は、調べものの力や、用語を確かめる習慣を育てます。経験を重ねるうちに、得意な分野がはっきりしてきたら、その分野の能力検定試験を4科目目に選ぶ、という順番で考えることもできます。

翻訳の仕事の種類と、試験の分野の関係

翻訳の仕事は、大きく分けて、実務翻訳、出版翻訳、映像翻訳の3つがあります。JTAの能力検定試験の分野は、このうち実務翻訳と出版翻訳に対応しています。

実務翻訳は、会社の契約書、取扱説明書、決算の資料、医薬品の資料、特許の文書など、仕事で使う文書の翻訳です。ビジネス翻訳能力検定試験の分野(IR・金融、リーガル、医学・薬学、特許)は、この実務翻訳の代表的な分野にあたります。正確さと、用語の一貫性が何より求められます。

出版翻訳は、小説、絵本、児童書、教養書など、本として出版される文章の翻訳です。出版翻訳能力検定試験の分野は、この出版翻訳のジャンルに分かれています。原文の内容を正確に伝えることに加えて、読み物としての日本語の表現の力が問われます。

映像翻訳は、映画やドラマの字幕や吹き替えの翻訳で、決められた文字数や時間に収める独特の技術が必要です。この分野は、JTAの能力検定試験の分野には含まれていないので、映像翻訳を目指す人は、別の学び方も検討します。

在宅で受けやすいのは、実務翻訳です。依頼の数が多く、分野ごとに専門の翻訳者が求められています。自分の職歴や学んできた分野と重なる実務翻訳の分野を選ぶと、試験の勉強も仕事の準備も進めやすくなります。

JTFほんやく検定との違い

翻訳の資格を調べると、もう1つよく名前が出てくるのが、一般社団法人 日本翻訳連盟(JTF)が実施するJTF<ほんやく検定>です。どちらも在宅で受けられる翻訳の試験ですが、仕組みが違います。

比べる点 JTA公認翻訳専門職資格試験 JTF<ほんやく検定>
実施団体 一般社団法人 日本翻訳協会 一般社団法人 日本翻訳連盟
試験の形 翻訳文法、IT、マネジメント、分野別の4科目と2次審査 実用レベルで、英日・日英の5分野から1分野を選んで受ける
認定 4科目2級以上と実務経験2年の審査で「JTA公認翻訳専門職」 3級以上の合格者に「翻訳士」の称号
機械翻訳 試験中の使用は認められない 2022年7月の検定から使用を禁止

JTF<ほんやく検定>の実用レベルは、「政経・社会」「科学技術」「金融・証券」「医学・薬学」「情報処理」の5分野から1つを選び、翻訳の出来に応じて1級から3級の合格か不合格が判定されます。公式ページでは、実用レベルの1級と2級に合格すると、日本翻訳連盟の会員である一部の翻訳会社で、翻訳会社に登録するときの技能審査(トライアル)が免除されたり、受ける条件が緩められたりすると案内されています。

JTF<ほんやく検定>も、お申し込みから受験まですべてオンラインで行う形で、試験中には辞書やウェブの辞書、用語集を使えます。ウェブ検索も自由ですが、機械翻訳は使えません。初めて受ける人のために、当日の受験の仕組みを事前に体験できる試行試験も用意されています。日程や受験の要項は、JTF<ほんやく検定>の公式ページで確かめられます。

どちらを受けるかは、目的で決めます。翻訳会社への登録を近いうちに目指すなら、トライアルの免除などにつながるJTF<ほんやく検定>が分かりやすい選択です。翻訳を職業として、ITや仕事の進め方まで含めた力を示したいなら、JTA公認翻訳専門職資格試験が合っています。両方を受ける人もいます。

在宅で受験するときの準備

JTA公認翻訳専門職資格試験は、インターネットによる在宅試験です。会場に行く必要はありませんが、自宅で受けるからこその準備があります。

  • インターネットの接続が安定しているかを確かめる。試験の途中で回線が切れないよう、できれば有線の接続や、安定した回線を使います
  • 使うパソコンのソフトや、翻訳の道具の設定を確かめる。機械翻訳の機能が自動で働かない設定にしておきます
  • 試験の時間割に合わせて、途中の休憩の時間を確かめる。英語部門は10時から14時15分まで、3つの科目が続きます
  • 家族に試験の時間を伝え、静かに集中できる場所を確保する
  • 受験案内書を読み、試験の進め方と、解答の出し方を確かめる

協会のページでは、インターネットの環境があれば世界中どこにいても受験できると案内されています。海外に住んでいる人にとっても受けやすい試験ですが、試験の時間は日本時間で決められているので、時差のある地域から受ける人は、現地の時刻に直して予定を立てます。

合格を目指す勉強の進め方

この試験は、語学の力だけでなく、翻訳の仕事の全体を問います。勉強も、科目ごとに分けて進めると効率よく準備できます。

  1. 翻訳文法技能試験の準備。原文の構造を正確に読み取り、日本語として自然な訳文に仕上げる練習をくり返します。訳したあとに、原文と照らし合わせて抜けや誤りがないかを確かめる習慣をつけます
  2. 翻訳IT技能試験の準備。翻訳の仕事で使う道具(翻訳支援ツール、表計算ソフト、ファイルの形式の扱いなど)と、調べものの方法を整理します。翻訳支援ツールとは、過去の訳文や用語集を管理し、同じ表現を一貫して訳せるようにするソフトのことです
  3. 翻訳マネジメント技能試験の準備。納期の管理、品質の確かめ方、取引先とのやりとり、秘密の扱いなど、仕事の進め方の基本を学びます
  4. 4科目目の準備。選んだ分野の文書を多く読み、専門用語を自分の用語集にまとめていきます

協会の受験対策テキストで出題の形式を確かめ、科目ごとに弱いところを補っていくのが基本です。1回の試験で3科目を受けるか、1科目ずつ受けるかは、準備の進み具合で決めます。

独学で進めるときは、訳文を自分以外の人に見てもらう機会を作ることも大切です。翻訳は、自分では気づきにくい癖が出やすい作業です。翻訳の学校の講座や勉強会を利用する、翻訳の仕事をしている人に見てもらうなど、外からの目を入れる方法を考えておきます。

AI翻訳の時代に翻訳者に求められる力

この試験がAI翻訳の使用を認めず、「人間の翻訳能力」を評価すると明記したことは、翻訳の仕事の変化をよく表しています。機械翻訳の精度が上がり、下訳を機械翻訳で作り、人が仕上げる形の仕事も増えています。下訳とは、仕上げる前の、最初の訳文のことです。

こうした中で翻訳者に求められるのは、次のような力です。

  • 原文の意図を正しく読み取り、訳文が原文の意味からずれていないかを見抜く力
  • 読み手と場面に合わせて、表現を選び分ける力
  • 専門分野の知識をもとに、用語の誤りや不自然さに気づく力
  • 機械翻訳の結果を確かめ、直すべきところを判断する力

機械翻訳の出力を手直しする作業を、ポストエディットと呼びます。ポストエディットの仕事でも、最終的な品質の責任は人にあります。原文と訳文を照らし合わせ、誤りを見抜く力がなければ、機械翻訳の誤りをそのまま納品してしまうことになります。

翻訳の仕事を受けるときは、依頼者が機械翻訳の使用を認めているかどうかを、必ず確かめます。秘密の文書を機械翻訳のサービスに入力すると、情報の漏れにつながるおそれがあるからです。翻訳マネジメントの科目で問われる職業倫理は、こうした場面での判断にも直結します。

資格を翻訳の仕事に活かす方法

JTA公認翻訳専門職の認定は、公式ページでも、ウェブページのプロフィールや履歴書に書いて資格の証明として役立ててほしいと案内されています。翻訳の仕事で資格を活かす場面には、次のようなものがあります。

1つ目は、翻訳会社への登録です。翻訳会社にフリーランスとして登録するときは、一般にトライアルと呼ばれる技能審査があります。資格があること自体でトライアルが免除されるとは限りませんが、科目ごとの級は、自分の力を説明する材料になります。

2つ目は、直接の依頼を受けるときの信頼の裏付けです。会社や個人から直接翻訳の依頼を受ける場合、依頼者は翻訳者の力を判断する手がかりを求めています。分野別の能力検定試験の級があれば、「この分野の翻訳を任せられる人だ」と伝えやすくなります。

3つ目は、自分の得意な分野をはっきりさせることです。4科目目の分野の選び方は、そのまま自分の専門分野の宣言になります。翻訳の仕事は、分野を絞るほど用語や背景の知識が深まり、仕事の質も単価も上げやすくなります。

翻訳の仕事は、文章を書く仕事とも重なります。翻訳した文書の読みやすさを整える力は、ライティングの力そのものです。文章の仕事の単価を上げていく考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】でも紹介しています。専門分野を持つほど単価を上げやすいという点は、翻訳の仕事にも通じます。

在宅で翻訳の仕事を始めるまでの準備

在宅で翻訳の仕事を始めるときは、資格の勉強と並行して、次の準備を進めておくと立ち上がりが早くなります。

  • 訳文の見本を作る。自分の得意な分野の文書を選び、原文と訳文を並べた見本を3本から5本用意します。原文は、公開されている文書や、自分で作った文章を使い、権利のある文書を無断で使わないよう気をつけます
  • 対応できる分野と、言語の組み合わせ(英日、日英など)、1日に訳せる量の目安を決める
  • 翻訳の道具を整える。辞書、用語集、翻訳支援ツール、ファイルの形式に合わせたソフトを用意します
  • 見積もり、納品、請求の文面のひな形を作る

訳文の見本は、依頼者が翻訳者を選ぶときの大きな判断材料になります。見本の作り方と見せ方は、書く仕事を例にしたWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】も参考になります。実績が少ないうちから作れる見せ方を紹介しています。

会社に勤めながら副業で翻訳を受ける場合は、勤め先の就業規則で副業の扱いと届け出の要否を確かめます。社内の翻訳の仕事と、副業で受ける翻訳の分野が重なる場合は、秘密の扱いにも気をつけます。

翻訳の仕事の市場をどう見るか

翻訳の仕事の需要は、分野によって大きく違います。機械翻訳の広がりで、一般的な文書の翻訳は依頼の形が変わりつつあります。一方で、法律、医薬、特許、金融など、誤りが許されない専門分野の翻訳では、専門知識を持つ翻訳者への需要が続いています。JTAの能力検定試験の分野が、こうした専門分野に分けて設けられているのも、その表れです。

研究や学術の文書の翻訳も、専門知識が求められる分野の1つです。論文や研究資料の翻訳では、その分野の研究の背景を理解していることが欠かせません。研究職の収入の相場は研究者の年収・単価相場で確かめられます。研究の経験がある人が、専門分野の翻訳を在宅で受けるという働き方もあります。

翻訳の仕事は、1件ごとの金額より、同じ依頼者から継続して頼まれることで安定します。用語や表現の好みを覚えてくれる翻訳者は、依頼者にとって代わりの利かない存在になります。

在宅ワークの仲介を続けてきた立場から見えること

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、翻訳を在宅で長く続けている人には共通点があります。訳文の質に加えて、納期の連絡や、分からない点の確かめ方が丁寧な点です。依頼者の多くは、原文の言語を自分で読めないからこそ翻訳を頼みます。訳す前に疑問点をまとめて確かめ、訳したあとに注意点を添えてくれる翻訳者は、安心して任せられる相手として選ばれ続けます。

もう1つ見えるのは、依頼する側と受ける側が直接やりとりできる形の方が、仕事が続きやすいということです。間に入る手数料が少なければ、依頼する側は同じ予算でより多くの文書を頼め、受ける側の手取りは厚くなります。継続して頼まれる翻訳の仕事ほど、手数料0%で直接取引できる場を使えるかどうかの差が積み重なります。

受験を決める前に確かめておきたいこと

最後に、JTA公認翻訳専門職資格試験を受けると決める前に、確かめておきたいことを整理します。

  • 自分が目指すのは、科目の合格か、JTA公認翻訳専門職の認定か
  • 認定を目指すなら、2年以上の翻訳の実務経験をいつまでにそろえられるか
  • 4科目目に、自分が仕事にしたい分野の試験があるか
  • 最初の合格から5年以内に、すべての条件をそろえる計画が立てられるか
  • 試験中に機械翻訳を使わない環境を用意できるか

翻訳の仕事は、文章で依頼者とやりとりすることがほとんどです。見積もりの説明、納品の連絡、疑問点の確かめなど、仕事の文章の書き方も、翻訳の力と同じくらい信頼を左右します。仕事の文章の基礎を体系的に学ぶなら、ビジネス文書検定が目安になります。

JTA公認翻訳専門職資格試験は、翻訳を職業として続けていくための、長い道のりの道しるべになる試験です。科目の合格を1つずつ積み重ね、実務の経験を重ねて認定に近づいていく。その過程そのものが、翻訳者としての力を育てます。

よくある質問

Q. 試験に合格すればすぐにJTA公認翻訳専門職になれますか?

なれません。JTA公認翻訳専門職として認定されるには、本試験の3科目と4科目目の能力検定試験の1分野、合わせて4科目すべてで2級以上を取ったうえで、翻訳の実務経験が2年以上あることを示す2次審査に合格する必要があります。試験の合格には、最初の合格から5年以内という期限もあります。

Q. 受験料と認定料はいくらですか?

日本翻訳協会の公式ページでは、英語部門の本試験は1科目5,500円、3科目16,500円(一般、税込)で、JTAメンバーズ会員と学生は割引があります。認定を受けるときの認定料は、JTAメンバーズ会員が21,000円、一般が31,000円です。4科目目の能力検定試験は別に受験料がかかるので、それぞれのページで確かめてください。

Q. 試験中にAI翻訳や機械翻訳を使ってもよいですか?

使えません。日本翻訳協会は、2026年度の試験から、翻訳者個人の理解力、表現力、判断力にもとづく人間の翻訳能力を評価することを主眼にすると説明しており、試験中に自動翻訳ソフトやAI翻訳ツールを使うことは認められていません。翻訳支援ツールに機械翻訳の機能が組み込まれている場合は、設定を確かめておきます。

Q. JTFほんやく検定とどちらを受ければよいですか?

目的で選びます。翻訳会社への登録を近いうちに目指すなら、実用レベルの1級や2級に合格すると一部の翻訳会社でトライアルが免除されるなどの特典があるJTF<ほんやく検定>が分かりやすい選択です。ITや仕事の進め方まで含めた翻訳の職業の力を示したいなら、JTA公認翻訳専門職資格試験が合っています。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年7月26日最終更新:2026年10月17日
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アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方