納品後に修正できないホームページを渡された事例|ソース非公開契約の見落とし 2026

中西 直美
中西 直美
納品後に修正できないホームページを渡された事例|ソース非公開契約の見落とし 2026

この記事のポイント

  • ✓ホームページの納品でソースコードが非公開になり
  • ✓後から修正できずに困る発注者は少なくありません
  • ✓契約時の確認ポイントと費用相場

「ホームページが完成して納品されたのに、修正したいところが自分では直せない」。こういうご相談を、私はカウンセリングの現場でも、フリーランス向けの記事執筆の取材でも本当によく耳にします。ホームページ 納品 ソース非公開という言葉で検索されている方の多くは、すでに納品を受けたあとで「あれ、何かおかしい」と気づいた段階にいらっしゃるのではないでしょうか。

大丈夫です。この状況は珍しいことではありませんし、今からでも対処できることがたくさんあります。この記事では、なぜソースコードが非公開になるのか、納品時に何を確認すべきだったのか、そして今困っている方がどう動けばよいのかを、順を追って丁寧にお話しします。

ホームページ納品における「ソース非公開」とは何か

まず整理しておきたいのは、「納品」という言葉が指す範囲が、実は制作会社やフリーランスによってばらばらだという事実です。多くの発注者は「納品=すべてが自分のものになる」と思い込みがちですが、実務ではそうとは限りません。

「ホームーページが納品されるまでの流れってどうなっているの?」「納品後に自分たちで更新できるようになるの?」「何を持って納品になるの?」ホームページ制作を初めて依頼する中小企業や個人事業主の方にとって、「納品」という言葉は少し不安を感じるものかもしれません。 出典: dekirukun-dx.com

ソース非公開とは、具体的には次のような状態を指します。

・HTMLやCSSなどのソースファイル一式が発注者に渡されない ・使用しているCMSやテンプレートの管理画面IDだけが渡され、コアファイルには触れない ・独自の非公開システムで構築されており、外部の別業者では引き継ぎができない ・「著作権は制作会社に帰属する」という契約条項があり、複製や改変が禁止されている

こうした状態自体が違法というわけではありません。ソフトウェアやデザインの著作権は、契約で特に定めがない限り制作した側に帰属するのが原則です。問題は、発注者がこの点を理解しないまま契約し、後から「修正できない」「他社に引き継げない」という事態に直面してしまうことにあります。

ホームページ制作において「納品」とはどういう意味なのでしょうか。実際に手に取れる商品ではないホームページの納品について、その定義や目的を詳しく見ていきましょう。 出典: dekirukun-dx.com

マクロ視点で見るソース非公開問題の背景

ホームページ制作市場全体を俯瞰すると、この「ソース非公開」問題が起きやすい構造が見えてきます。

まず、中小企業や個人事業主向けのホームページ制作は、多くが月額保守契約とセットで販売されています。制作費を安く抑える代わりに、月額5,000円から2万円程度の保守料を継続的に支払ってもらうビジネスモデルです。このモデルでは、発注者が自分で更新・修正できてしまうと保守契約を解約されてしまうため、意図的にソースを非公開にしたり、独自CMSで囲い込んだりするケースが一定数存在します。

次に、ホームページ制作の相場自体が幅広く、10万円程度の格安プランから100万円を超える本格的な制作まで様々です。価格が安いプランほど、テンプレートの権利関係が複雑だったり、納品範囲が曖昧なまま契約が進んだりする傾向があります。発注者側が「安いから」という理由だけで契約を決めてしまい、納品物の定義を確認しないまま進めてしまうことが、トラブルの温床になっています。

さらに、中小企業庁の調査でも中小企業のIT投資における契約リテラシーの課題が指摘されており、発注者側の知識不足が価格交渉力の弱さに直結している構造があります。

しょーごこれは確かに簡単なんですが、正直令和時代にこの納品方法は実際はかなり少数です。制作会社から依頼されるとしても、次の「②サーバーへアップロード」が大半かと思います。 出典: shogo-log.com

つまり、ソース非公開という現象は「悪質な業者だけの問題」ではなく、価格競争が激しい市場において、制作側が継続収益を確保するための一つの戦略として構造的に組み込まれてしまっている面があるのです。だからこそ、発注者側が契約前に正しい知識を持って臨む必要があります。

納品物として本来受け取るべきものの一覧

契約前、あるいは今からでも確認すべき「納品物リスト」を整理します。これから外注する方はもちろん、すでに納品を受けた方も、何が不足しているかのチェックリストとして使ってください。

ソースコード一式

HTML、CSS、JavaScriptのファイル一式です。WordPressなどのCMSを使っている場合は、テーマファイルやプラグインの設定情報も含まれます。これがなければ、将来的に別の制作会社やフリーランスに修正・改修を依頼することが事実上不可能になります。

画像・デザインの元データ

Photoshopやillustratorのpsd・aiファイル、あるいはFigmaのデータです。ウェブサイトに表示されている画像だけでなく、ロゴやバナーの元データも重要です。元データがないと、サイズ変更や色調整のたびに一から作り直しになってしまいます。

サーバー・ドメインの管理権限

サーバーのFTP情報、管理画面のログインID、ドメインの管理者権限です。これらが制作会社名義のままになっていると、契約を解除した瞬間にサイトが表示できなくなるリスクがあります。契約時点でドメインとサーバーの契約名義を発注者本人にしておくことが、最も基本的で重要な自衛策です。

CMSの管理者権限

WordPressなどを使っている場合、管理者権限のアカウントを必ず発注者名義で作成してもらうべきです。制作会社の個人アカウントしか存在しない状態だと、担当者が退職・独立した際に連絡が取れなくなるという事例も少なくありません。

著作権・利用許諾に関する取り決め

デザインやコーディングの著作権を発注者に譲渡するのか、それとも制作会社に残したまま利用許諾だけを与えるのかは、契約書に明記されているべき事項です。この点が曖昧なまま「納品完了」とされてしまうと、後からの改変やリニューアルで揉める原因になります。

よくある納品トラブルと回避方法

具体的にどのようなトラブルが起きやすいのか、事例をもとに見ていきましょう。

担当者が急に連絡不能になる

小規模な制作会社やフリーランス個人に依頼した場合、担当者の廃業や体調不良、方針転換によって突然連絡が取れなくなるケースがあります。ソースコードや管理権限が発注者側に無いと、この時点で身動きが取れなくなります。回避策としては、契約時に「連絡が取れなくなった場合の対応」を条項に含めておくこと、そして納品と同時にソースコードを必ず受け取っておくことです。

「納品済み」の定義がずれている

制作会社側は「サイトが公開されたら納品完了」と考えていても、発注者側は「ソースコードや素材データも含めて全部もらえるのが納品」と考えているケースがあります。この認識のズレは契約書に明記していないと解消できません。見積もり段階で「納品物の一覧」を書面で確認することが重要です。

独自CMSに囲い込まれる

一部の制作会社は自社開発の独自CMSを提供し、他社では絶対に引き継げない仕組みにしています。月額保守費が相場より高めに設定されていることが多く、解約すると別のシステムに一から移行し直す必要が出てきます。WordPressのような広く普及したオープンソースCMSを選ぶ制作会社を選定基準に入れることで、このリスクは大幅に下げられます。

修正のたびに追加費用が発生する

ソースが非公開だと、些細な文言修正でも制作会社に依頼せざるを得ず、その都度5,000円から2万円程度の修正費用がかかることがあります。年間で見ると数十万円規模のコストになることも珍しくありません。契約前に「簡易な修正は自社で対応できる納品形態にしてほしい」と明確に希望を伝えることが大切です。

納品後にやるべきこと

すでに納品を受けている方は、以下を確認してみてください。

まず、サーバーとドメインの契約者名義を確認します。管理画面にログインし、契約者情報が自社名義になっているかをチェックしてください。制作会社名義のままであれば、早めに名義変更を依頼するべきです。

次に、WordPressなどのCMSを使っている場合は、管理者権限のアカウントが自社用に存在するか確認します。存在しない場合は、新規に管理者アカウントを作成してもらうよう依頼しましょう。

そして、ソースコードのバックアップを取得できるか確認します。WordPressであればプラグインを使ってファイル一式とデータベースをエクスポートできる場合があります。独自CMSの場合はこの手段が使えないことも多いため、制作会社に直接、ソースコード一式の提供を依頼する必要があります。

最後に、契約書や見積書を見直し、著作権の帰属や納品物の定義がどう書かれているかを再確認してください。もし曖昧な表現しかない場合は、今後の追加契約や別件依頼の際に、明文化を求めることをおすすめします。

費用相場と外注先の選び方

ホームページ制作の費用は、規模や機能によって大きく変わります。名刺代わりの簡易なコーポレートサイトであれば10万円から30万円程度、EC機能や予約システムを含む本格的なサイトになると50万円から150万円程度が目安です。この相場感を持っておくと、極端に安い見積もりを提示された際に「なぜこの価格なのか」を疑う判断材料になります。

外注先を選ぶ際は、価格だけでなく次の点を確認することをおすすめします。

・見積もり段階で納品物の一覧を書面で提示してくれるか ・ソースコードの譲渡について明確に説明してくれるか ・WordPressなど標準的なCMSを採用しているか ・保守契約の解約条件が明記されているか ・過去の制作実績を確認できるか

これらを丁寧に確認してくれる相手は、契約後のトラブルにも誠実に対応してくれる可能性が高いと言えます。逆に、これらの質問に曖昧な返事しかしない相手は避けたほうが賢明です。

また、制作会社を仲介会社経由で選ぶ場合、仲介手数料が上乗せされて相場より割高になることがあります。フリーランスへ直接依頼すれば、中間マージンが発生しない分、同じ予算でもより丁寧な打ち合わせ時間や追加修正に充ててもらえる余地が生まれます。もちろん直接契約では発注者自身が契約内容を確認する責任も増えますが、その分、納品物の定義やソースコードの取り扱いについて直接すり合わせできるという利点もあります。

私自身、フリーランスとして独立してすぐの頃、最初に依頼した外注先で見積もりの内訳をよく確認せずに契約してしまい、後から「この作業は追加費用です」と言われて戸惑った経験があります。焦って安さだけで決めてしまうと、後になって想定外の費用や制約に直面しやすいのだと、身をもって学びました。それ以来、契約前には必ず「何が納品されるのか」「追加費用が発生する条件は何か」を書面で確認するようにしています。

発注前に確認すべきチェックリスト

契約書にサインする前に、以下の項目を確認しておくと安心です。

  1. ソースコード一式が納品物に含まれているか
  2. 著作権が発注者に譲渡されるのか、利用許諾のみなのか
  3. サーバー・ドメインの契約名義は誰になるのか
  4. CMSの管理者アカウントは発注者名義で作成されるか
  5. 保守契約の解約条件と、解約後のデータの扱い
  6. 修正依頼の際の追加費用が発生する条件
  7. 担当者と連絡が取れなくなった場合の対応方法

このチェックリストを見積もり依頼の段階で相手に提示するだけでも、相手の対応の丁寧さや誠実さを見極める材料になります。曖昧な返答しかもらえない場合は、契約前に立ち止まる判断も大切です。

依頼先を探す際には、ホームページ制作やブログ運用のスキルを持つ人材が集まる場を確認しておくと良いでしょう。ホームページ・ブログ制作のお仕事では、制作や更新運用を依頼できる人材の傾向がまとまっています。またサイト運用にAIツールやセキュリティ対策を組み合わせたい場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考になります。

独自データから見る発注の実態

20年この市場を見てきた立場から言えば、ホームページ制作のトラブルの多くは、契約前の「言葉の定義合わせ」を省略したことに起因しています。長く良い関係が続く発注者と受注者のペアほど、契約前の打ち合わせに時間をかけ、納品物の範囲や修正対応の条件を細かく文書化している傾向があります。逆に、価格交渉だけを急いで契約を進めたケースほど、後になって「聞いていない」というトラブルに発展しやすいのです。

もう一つ運営者として見てきた実感があります。中間マージンが乗らない直接取引の構造は、単に「安くなる」だけの話ではありません。同じ予算であれば、発注者はより丁寧な打ち合わせやドキュメント作成に時間を割いてもらえる余地が生まれますし、受注者側も手取りが厚くなることで、無理のない範囲で誠実な対応をしやすくなります。手数料0%で直接つながるという仕組みは、金額の多寡ではなく、双方が納得できる仕事のやり取りを実現しやすくするという質的な違いを生み出しているように感じます。

また、依頼先の単価相場を事前に把握しておくことも交渉の助けになります。例えばソフトウェア作成者の年収・単価相場を見れば、エンジニアリング寄りの制作を依頼する際の目安がつかめますし、サイトのテキストコンテンツやブログ記事の外注を考えている場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります。契約書の文言に不安がある場合は、ビジネス文書検定のような資格を持つ担当者がいる制作会社を選ぶという視点も一つの目安になり得ます。

なお、ホームページ制作を副業として請け負う側の実務フローを知っておくと、発注者としても「相手が何を負担に感じているか」が見えてきて、交渉がスムーズになることがあります。ホームページ制作を副業にする方法|営業から納品まで完全解説では、受注側の視点から納品までの流れが解説されているので、発注前の予備知識として目を通しておくのも良いでしょう。また契約に伴う請求書や納品書の実務についてはフリーランスの法人取引|請求書・見積書・納品書の正しい書き方セットやSOHO 見積書 納品書 一体の作成術!2026年最新の事務効率化も参考になります。

ソース非公開という状態は、それ自体が必ずしも悪いわけではありません。しかし、その意味を理解しないまま契約してしまうと、後から「直したいのに直せない」という不自由さに悩まされることになります。契約前に何を確認すべきかを知っておくだけで、こうした困りごとの多くは未然に防げます。すでに困っている方も、今からできることは必ずあります。一つずつ、落ち着いて確認していきましょう。

よくある質問

Q. ソースコードが非公開の契約でも、後から開示してもらうことは可能ですか?

契約書に譲渡不可の条項がなければ交渉の余地はあります。まずは制作会社に開示を依頼し、応じてもらえない場合は著作権の帰属を契約書で確認したうえで、専門家に相談することをおすすめします。

Q. ホームページ制作の見積もりで、納品物を確認する際にどう聞けばよいですか?

「納品時に受け取れるものを一覧にしてください」と具体的に依頼するのが有効です。ソースコード、画像元データ、管理者権限の3点は必ず含まれているか確認しましょう。

Q. 独自CMSと標準的なCMSでは、どちらを選ぶべきですか?

将来的に他社への引き継ぎや自社での更新を想定するなら、WordPressなど広く普及したCMSを選ぶ方が安全です。独自CMSは高機能な場合もありますが、乗り換えの自由度が下がります。

Q. フリーランスに直接依頼する場合、契約書はどう準備すればよいですか?

簡易な業務委託契約書のひな形を用意し、納品物の範囲、著作権の帰属、修正対応の条件を明記するのが基本です。不安な場合は行政書士や中小企業庁の相談窓口を活用する方法もあります。

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この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月31日最終更新:2026年9月3日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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