退職後は任意継続と国民年金・国民健康保険のどっちにするか、比べる点と届け出 2026


この記事のポイント
- ✓任意継続と国民年金・国民健康保険のどっちにするかで迷う人に向けて
- ✓退職後の健康保険と年金を分けて考える順番
- ✓任意継続の保険料の上限と20日の期限
会社を辞めることが決まると、人事の担当者から「健康保険は任意継続にしますか、それとも国民健康保険にしますか」と聞かれることがあります。そこで「任意継続と国民年金、どっちがいいのだろう」と調べ始める人は少なくありません。ただ、ここには最初の思い違いが隠れています。任意継続は健康保険の話で、国民年金は年金の話です。この2つはどちらか一方を選ぶものではなく、健康保険と年金をそれぞれ別に決める必要があります。
この記事では、退職後の健康保険と年金を分けて整理したうえで、任意継続と国民健康保険のどちらが合うかを比べる手順、国民年金に切り替えるときの届け出と保険料、払えないときの免除、家族構成ごとの考え方を、全国健康保険協会(協会けんぽ)と日本年金機構の公開資料をもとに説明します。読み終えたときに、自分が退職後の何日以内にどこへ何を出せばよいかが分かる状態を目指します。
任意継続と国民年金は比べる相手が違う
まず言葉を整理します。任意継続とは、会社の健康保険を退職後も最長2年間、個人で続けられる制度のことです。会社員だったときと同じ健康保険証の仕組みで病院にかかれますが、保険料は全額を自分で払います。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人が加入する公的年金です。会社員のときは厚生年金に入っていて、国民年金の区分では「第2号被保険者」と呼ばれていました。退職して次の勤め先が決まっていなければ、この区分が「第1号被保険者」に変わり、毎月の保険料を自分で納めることになります。
つまり、退職したときに決めることは次の2つです。
・健康保険をどうするか(任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の扶養に入る、のどれか)
・年金をどうするか(国民年金の第1号に切り替える、配偶者の扶養に入って第3号になる、のどちらか)
ここで多い勘違いが、「任意継続を選んだら年金も会社のものが続く」という思い込みです。任意継続で続くのは健康保険だけで、厚生年金は退職した日の翌日に資格がなくなります。任意継続の手続きをしたから年金は安心、と考えて国民年金の切り替えを忘れると、未納の月が積み重なります。これ、知らない人が本当に多いんです。
年金の未納が困るのは、老後に受け取る年金が少なくなるからだけではありません。病気やけがで障害が残ったときの障害基礎年金や、亡くなったときに家族が受け取る遺族基礎年金にも、保険料をきちんと納めているかという条件があります。退職後の数か月の未納が、いざというときの保障を外してしまうことがあるわけです。
検索で「どっち」と調べた人の本当の悩みは、多くの場合「退職後の保険料をどうすれば一番負担が軽くなるか」と「手続きを漏れなく済ませたい」の2つです。この記事では、健康保険は比べて選ぶもの、年金は原則として切り替えるもの、と分けて考えていきます。
退職後の選択肢を一覧で整理する
協会けんぽの案内では、退職後の健康保険には「健康保険任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険の被扶養者」の3つの選択があると説明されています。再就職して新しい会社の健康保険に入る場合を加えると、選択肢は4つです。
| 選択肢 | 手続き先 | 期限の目安 | 保険料の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 任意継続 | 住所地の協会けんぽ支部(健康保険組合なら組合) | 退職日の翌日から20日以内 | 退職時の標準報酬月額をもとに計算。上限あり |
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村の国保担当課 | 資格を得た日から14日以内 | 前年の所得と世帯の人数で決まる |
| 家族の扶養に入る | 家族の勤務先 | 勤務先の指示による | 本人の保険料はかからない |
| 再就職先の健康保険 | 新しい勤務先 | 勤務先が手続き | 給与に応じて会社と折半 |
年金のほうは、選ぶというより状況で決まります。
| 状況 | 国民年金の区分 | 手続き先 | 保険料 |
|---|---|---|---|
| 退職して次の勤め先がない | 第1号被保険者 | 住所地の市区町村役場 | 1か月あたり17,920円(令和8年度) |
| 会社員や公務員の配偶者に扶養される | 第3号被保険者 | 配偶者の勤務先 | 本人の負担なし |
| すぐ再就職して厚生年金に入る | 第2号被保険者 | 新しい勤務先 | 給与に応じて会社と折半 |
日本年金機構によると、第1号被保険者になる人の届け出は、住所地の市区役所または町村役場に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を出し、提出期限は退職日の翌日から14日以内とされています。マイナンバーカードがあればそれで手続きでき、電子申請も用意されています。
退職直後に手続きをするときは、厚生年金の資格を失った日が分かる書類(離職票など)を求められることがあります。離職票は会社から届くまでに時間がかかることもあるので、窓口に行く前に、手元の書類で足りるかを市区町村に電話で確かめておくと二度手間を防げます。
国民年金保険料の額は日本年金機構の国民年金保険料のページに令和8年度の額として載っています。前納(まとめて前払い)をすると割引があるので、退職後の収入の見通しが立った段階で検討するとよいでしょう。
任意継続のしくみと保険料の上限
任意継続に入れるのは、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある人です。申し出の期限は、健康保険法で「資格を喪失した日から20日以内」と決められています。資格を喪失した日とは退職日の翌日のことなので、実務では「退職日の翌日から20日以内」と覚えておけば間違いありません。
協会けんぽの案内では、次のように説明されています。
お住まいの都道府県の協会けんぽ支部に、「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を退職日の翌日から20日以内(20日目が土日、祝日の場合は翌営業日)にご提出ください。 郵送で申請される場合は、20日以内に必着するようお送りください。 出典: kyoukaikenpo.or.jp
郵送なら「20日以内に届くこと」が条件で、消印の日付ではありません。退職後に有給休暇の消化や引っ越しが重なると、気づいたときには期限ぎりぎりということがよくあります。
保険料は、退職時の標準報酬月額に住所地の都道府県の保険料率をかけて計算します。標準報酬月額とは、毎月の給与をいくつかの段階に区切って当てはめた、保険料計算のための金額のことです。在職中は会社が半分を負担していましたが、退職後は事業主の分も自分で払うので、おおむね在職中の健康保険料の2倍になります。保険料率には子ども・子育て支援金率も含まれ、40歳から64歳までの人は介護保険料も加わります。
ただし上限があります。協会けんぽでは、退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた場合は、32万円として計算します。給与が高かった人ほど、この上限のおかげで任意継続の保険料が抑えられる仕組みです。勤め先が健康保険組合だった場合は、上限の決め方が組合ごとに違うので、組合の案内を確かめてください。
保険料は原則2年間変わりません。ただし、保険料率が変わったとき、40歳になって介護保険料がかかるようになったとき、保険料率の違う都道府県へ引っ越したときなどは変わります。
もう1つ大事なのが、扶養している家族の保険料がかからない点です。配偶者や子どもを被扶養者として入れても、任意継続の保険料は本人の分だけです。後で説明する国民健康保険では、家族一人ひとりが加入者になって保険料の計算に入るので、ここが大きな違いになります。
納付は毎月10日までに納付書で納めるか、口座振替です。6か月分や12か月分をまとめて前納すると割引があります。注意したいのは、保険料を納付期限までに納めないと、その翌日に任意継続の資格を失うことです。最初の保険料を期限までに納めなかったときは、任意継続に入らなかったものとみなされます。国民健康保険のように、滞納しても資格が続く制度とは扱いが違います。
国民健康保険のしくみと失業したときの軽減
国民健康保険は、市区町村(都道府県と共同)が運営する健康保険です。会社の健康保険や任意継続に入らない人は、住んでいる市区町村の国民健康保険に入ります。届け出は、国民健康保険法施行規則で、資格を得た日から14日以内に世帯主が市区町村へ出すことになっています。
保険料(自治体によっては「保険税」)は、前年の所得や世帯の人数などで決まります。計算の方法や料率は市区町村ごとに違うため、同じ年収でも住んでいる場所で保険料が変わります。協会けんぽのよくある質問でも、国民健康保険の保険料は前年の所得や世帯人員数に応じて決まり、減免の制度がある、と説明されています。
前年の所得で決まるということは、退職した年とその翌年度は、会社員だったときの給与をもとに保険料が計算されるということです。退職して収入が大きく減っていても、最初の1年ほどは高めの保険料になりやすい点に注意が必要です。
ここで知っておきたいのが、会社都合などで離職した人向けの軽減です。国民健康保険法施行令では、雇用保険の特定受給資格者(倒産や解雇などで離職した人)や、特定理由離職者(雇い止めや、やむを得ない理由で離職した人)にあたる場合、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算する特例が定められています。対象になる期間は、離職日の翌日が属する年度の翌年度末までです。
つまり、会社都合の退職なら、前年の給与所得を3割として計算してもらえるので、国民健康保険の保険料が大きく下がる可能性があります。この軽減は申告しないと受けられないことが多く、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証を持って市区町村の窓口で申し出るのが一般的です。離職理由の区分は受給資格者証に書かれているので、自分がどの区分にあたるかを確かめてから窓口に行きましょう。
また、国民健康保険には、所得が一定以下の世帯の保険料を自動的に下げる軽減や、災害や事業の休廃止などで払うのが難しいときの減免の制度があります。減免の基準は自治体ごとに違うので、市区町村の国保担当課に相談してください。
保険料を比べる具体的な手順
任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、計算してみないと分かりません。一般に、給与が高かった人や扶養家族が多い人は任意継続が有利になりやすく、単身で前年の所得が低めの人や会社都合で軽減を受けられる人は国民健康保険が有利になりやすい傾向があります。ただし、これはあくまで傾向で、住んでいる自治体の料率次第で逆転します。
比べる手順は次のとおりです。
- 任意継続の保険料を出す。在職中の給与明細で健康保険料(介護保険料を含む)を確認し、その2倍をおおよその目安にする。標準報酬月額が32万円を超えていた人は、32万円で計算し直す。正確な額は協会けんぽ支部か健康保険組合に問い合わせる
- 国民健康保険の保険料を出す。市区町村の国保担当課に、前年の所得と世帯の人数を伝えて試算してもらう。多くの自治体はホームページに試算のしかたを載せているが、窓口や電話で聞くのが確実
- 会社都合の退職なら、失業者の軽減を反映した額で試算してもらう
- 1年目と2年目を分けて比べる。国民健康保険は前年の所得で決まるので、退職後に収入が減れば2年目の保険料が下がる。任意継続は原則2年間同じ額
- 家族の扶養に入れるかを確かめる。入れるなら本人の保険料はかからないので、まずこれを検討する
4つ目の視点が意外と見落とされます。たとえば1年目は任意継続のほうが安くても、退職後に収入がほとんどない場合、2年目は国民健康保険のほうが安くなることがあります。任意継続は、本人が希望すれば途中でやめられます。健康保険法では、任意継続でなくなることを希望して申し出た場合、申し出が受理された月の末日が来た時点で資格を失うと定められています。1年目は任意継続、2年目は国民健康保険、という組み合わせも選択肢に入ります。
ただし、途中でやめるときは、国民健康保険の加入手続きを続けて行う必要があります。資格を失う日と国民健康保険に入る日の間に空白ができないよう、協会けんぽ支部と市区町村の両方に日付を確かめてから手続きしましょう。
国民年金への切り替えと、払えないときの免除
健康保険の比較に気を取られて、年金の手続きを後回しにしてしまう人は多いものです。退職して次の勤め先がない場合、国民年金の第1号被保険者になる届け出を、退職日の翌日から14日以内に住所地の市区町村役場で行います。
忘れやすいのが配偶者の手続きです。日本年金機構の案内では、会社員などの第2号被保険者が退職したとき、その人に扶養されていた配偶者も同時に第3号被保険者の資格を失うので、第1号被保険者の手続きをする必要があると説明されています。夫が退職して妻が専業主婦という家庭なら、夫だけでなく妻も第1号への切り替えが必要で、2人分の保険料がかかります。
国民年金の保険料は、令和8年度は1か月あたり17,920円です。夫婦2人なら1か月あたり35,840円になり、退職直後の家計には重く感じられます。
払うのが難しいときは、未納のままにせず免除を申請します。日本年金機構によると、失業や倒産、事業の廃止などの事実が確認できれば、本人の前年所得にかかわらず免除や納付猶予を受けられる特例があります。申請には、雇用保険被保険者離職票のコピーなど、失業の事実が分かる書類を添えます。
免除を受けた期間は、年金を受け取るための資格期間に数えられ、全額免除なら老齢基礎年金の額にも一部が反映されます。未納とは扱いがまったく違います。さらに、免除を受けた保険料は後から納める「追納」ができます。追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間です。ただし、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。
つまり、退職直後に収入が途切れたら、まず免除を申請しておき、再就職や事業が軌道に乗ってから追納する、という順番が取れます。未納のまま放置すると、障害基礎年金や遺族基礎年金の要件に影響することがあるので、免除の申請だけは早めに済ませておきましょう。
失業の特例免除は原則として年度ごとの申請が必要で、翌年度も続けて受けたい場合はあらためて申請します。全額免除や納付猶予は継続審査の仕組みがありますが、失業による特例は対象外とされているので注意してください。
家族構成で変わる判断のしかた
ここからは、よくある家族構成ごとに考え方の筋道を示します。数字は住んでいる自治体や前年の所得で変わるので、最終的には試算で確かめてください。
単身で、退職後しばらく収入がない人
前年の給与が平均的な水準なら、1年目は任意継続と国民健康保険の差が小さいことが多く、2年目は国民健康保険が下がりやすい組み合わせです。会社都合の退職なら国民健康保険の軽減が使えるので、国民健康保険が有利になる可能性が高まります。年金は第1号に切り替え、払えなければ失業の特例免除を申請します。
配偶者と子どもを扶養している人
任意継続は扶養家族の保険料がかからないため、家族が多いほど有利になりやすい形です。国民健康保険は加入者一人ひとりに保険料がかかる部分があるので、家族の人数が多いと負担が重くなります。年金は、本人だけでなく扶養していた配偶者も第1号への切り替えが必要です。配偶者が20歳以上60歳未満なら、2人分の保険料か免除の申請を考えます。
配偶者が会社員で、その扶養に入れる人
配偶者の健康保険の被扶養者になれれば、本人の健康保険料はかかりません。年金も第3号被保険者になれば本人の保険料負担はありません。協会けんぽでは、令和8年4月から被扶養者の認定で、労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満(60歳以上や一定の障害がある人は180万円未満、19歳以上23歳未満の人は配偶者を除いて150万円未満)などの基準で判断すると説明しています。
気をつけたいのが雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)です。受け取る日額によっては、扶養の収入基準を超えると判断され、受給中は扶養に入れないことがあります。扱いは健康保険の保険者ごとに違うので、配偶者の勤務先を通じて確かめてください。
給与が高かった人
標準報酬月額が32万円を超えていた人は、任意継続の保険料に上限がかかるので、国民健康保険より安くなる場合が多くなります。国民健康保険にも年間の上限額がありますが、前年の所得が高いとその上限近くまで保険料がかかることがあります。
保険料以外で比べておく点
保険料の安さだけで決めると、後から思わぬ違いに気づくことがあります。保険料のほかに比べておきたい点を整理します。
傷病手当金と出産手当金
傷病手当金とは、病気やけがで働けない間に健康保険から出るお金のことです。任意継続の期間中に新たに起きた病気やけがでは、傷病手当金と出産手当金は出ません。協会けんぽの案内でも、在職中から続けて受けている場合に限り、引き続き申請できると説明されています。国民健康保険にも、原則として傷病手当金の仕組みはありません。退職前から療養している人は、在職中からの継続給付の要件を満たすかどうかを先に確かめておきましょう。
健康保険組合ならではの給付
勤め先が健康保険組合だった場合、任意継続でも組合独自の付加給付や、人間ドックの補助、保養所の利用などが続くことがあります。協会けんぽにはこうした独自の給付は少ないので、組合に入っていた人は保険料の差に加えて、この点も考えに入れるとよいでしょう。
支払いの厳しさ
任意継続は、保険料を納付期限までに納めないと翌日に資格を失います。国民健康保険は滞納しても加入は続きますが、延滞金がかかったり、保険証の扱いが変わったりします。口座振替を設定して、納め忘れを防ぐ手立てを先に用意しておくことが大切です。
再就職したときの手続き
任意継続の加入中に再就職して新しい会社の健康保険に入ると、任意継続の資格は自動的になくなります。ただし協会けんぽでは資格喪失申出書の提出が必要とされています。国民健康保険の場合も、会社の健康保険に入ったら市区町村に脱退の届け出が必要です。どちらも放置すると保険料の二重払いが起きるので、再就職したらすぐ手続きします。
窓口で聞くことと持っていくもの
手続きの窓口が3か所に分かれているため、1回の訪問で済ませるには、聞くことと持ち物を先に決めておくのが近道です。
協会けんぽ支部(または健康保険組合)で聞くこと
・退職時の標準報酬月額と、それをもとにした任意継続の1か月あたりの保険料
・前納した場合の額と、口座振替の申し込み方法
・扶養に入れる家族の添付書類(収入の有無にかかわらず、生計を同じくしていることを示す書類を求められる場合がある)
・在職中から受けている傷病手当金を、退職後も続けて受けられるか
市区町村の国保担当課で聞くこと
・前年の所得と世帯の人数をもとにした国民健康保険料の試算額
・会社都合の離職による軽減を受けた場合の額と、申し出に必要な書類
・保険料の納め方(口座振替、納付書)と、払えないときの減免の基準
国民年金の窓口で聞くこと
・第1号への切り替えに必要な書類(離職票が届いていない場合の扱い)
・失業の特例免除の申請に必要な書類と、承認までの期間
・前納した場合の割引額
持っていくものは、マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)、基礎年金番号が分かる書類、退職日が分かる書類(離職票や退職証明書)、在職中の給与明細、印鑑、口座振替に使う通帳かキャッシュカードです。窓口によって必要なものが少しずつ違うので、出かける前に電話で確かめると確実です。
市区町村の窓口では、国民年金と国民健康保険の担当課が同じ庁舎にあることが多く、続けて手続きできます。任意継続を選ぶ場合でも、国民年金の切り替えのために市区町村には一度足を運ぶことになるので、そのときに国民健康保険の試算も頼んでおくと、比べる材料が一度にそろいます。
退職前後のスケジュールと届け出の一覧
手続きの漏れを防ぐには、日付の順に並べて確認するのが一番です。退職日を基準にした流れを示します。
| 時期 | やること | 提出先 |
|---|---|---|
| 退職の1か月前まで | 在職中の給与明細で健康保険料を確認し、任意継続の保険料の目安を出す | 手元の給与明細で確認 |
| 退職の2週間前まで | 市区町村に国民健康保険の保険料を試算してもらう | 市区町村の国保担当課 |
| 退職日 | 会社に健康保険証または資格確認書を返す | 勤務先 |
| 退職日の翌日から14日以内 | 国民年金の第1号への切り替え(配偶者も) | 市区町村役場 |
| 退職日の翌日から14日以内 | 国民健康保険を選ぶなら加入の届け出 | 市区町村の国保担当課 |
| 退職日の翌日から20日以内 | 任意継続を選ぶなら資格取得申出書を提出(必着) | 協会けんぽ支部または健康保険組合 |
| 離職票が届いたら | ハローワークで求職の申込み。会社都合なら受給資格者証を持って国保の軽減を申し出る | ハローワーク、市区町村 |
| 保険料が払えないとき | 国民年金保険料の免除(失業の特例)を申請 | 市区町村役場または年金事務所 |
国民健康保険の加入手続きで、会社の健康保険をやめた日を証明する書類が必要になることがあります。日本年金機構では、国民健康保険に入るための健康保険の資格喪失証明を年金事務所で発行しているので、会社からの書類が遅れているときは年金事務所に相談できます。
相談の現場でよくあるつまずき
法務や手続きの相談の場では、退職後の保険について、似たようなつまずきがくり返し起きます。匿名化したうえで、典型的な例を紹介します。
1つ目は、任意継続の期限を過ぎてしまった例です。退職後に有給休暇の消化で旅行に出て、戻ってきてから申出書を郵送したところ、21日目に到着して受け付けてもらえなかった、というものです。健康保険法には、正当な理由があると保険者が認めれば期限後でも受理できる、というただし書きがありますが、旅行は正当な理由にあたりにくいと考えるべきです。任意継続にするかどうか迷っているなら、退職前に申出書の書き方だけでも確認しておくと安心です。
2つ目は、配偶者の年金の切り替え漏れです。夫が退職して任意継続を選び、妻もその被扶養者として健康保険には入れたので安心していたところ、半年後に妻あてに「国民年金加入のご案内」が届いた、という例です。任意継続で家族が扶養に入れるのは健康保険だけで、年金の第3号被保険者は厚生年金に入っている人の配偶者に限られます。夫が退職した時点で、妻の年金は第1号に切り替える必要がありました。
3つ目は、会社都合なのに国民健康保険の軽減を申し出ていなかった例です。雇い止めで離職したのに、自己都合と同じ保険料を1年近く払い続けていた、というものです。離職理由の区分が特定理由離職者にあたるかどうかは受給資格者証で確かめられるので、ハローワークで手続きをしたらすぐ市区町村に持って行きましょう。
※離職理由について会社と意見が食い違っている場合や、手続きの遅れで不利益を受けている場合は、ハローワークや都道府県労働局の総合労働相談コーナー、場合によっては弁護士や社会保険労務士に相談してください。
退職後に業務委託や在宅の仕事で働き始める人が確かめること
退職を機に、会社員に戻らず業務委託やフリーランスとして働き始める人もいます。その場合、健康保険と年金の選び方は、始めた仕事の収入とも関わってきます。
国民健康保険は前年の所得で保険料が決まるので、独立1年目に事業の所得が伸びると、翌年度の保険料も上がります。一方、任意継続は退職時の標準報酬月額で2年間決まるため、独立後に収入が伸びても保険料は変わりません。独立直後から収入の見込みがある人は、この点で任意継続を選ぶ考え方もあります。
業務委託で受ける仕事は、職種によって単価の水準がかなり違います。会社で文書を作る仕事をしていた人なら、ライティングや編集の請負が入口になりやすく、その相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。社内でシステム開発をしていた人なら、アプリケーション開発のお仕事のように、業務委託で募集される開発案件の内容や進め方が参考になります。
独立して取引を始めると、契約書や発注書の確認が欠かせません。報酬の支払期日や成果物の受け取り方は、取引のトラブルを防ぐうえで重要です。発注書や契約書で確かめる項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで整理されているので、最初の契約の前に目を通しておくと安心です。
運営者として見てきたこと
フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、退職直後の手続きでつまずく人ほど、その後の働き方の立ち上がりも遅れがちです。保険と年金の届け出は、期限が14日や20日と短く、しかも窓口が市区町村、協会けんぽ、ハローワークと分かれています。ここで迷っているうちに最初の数週間が過ぎ、仕事探しに使えるはずの時間が削られてしまうのです。
逆に、退職前に保険料の試算と届け出の段取りを済ませておいた人は、退職した翌週から仕事探しや取引先との打ち合わせに時間を使えています。業務委託の仕事では、中間の手数料が乗らない直接の取引なら、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側も同じ予算で多く頼めます。手数料0%の直接取引は、退職後の収入が不安定な時期ほど、手取りの厚さという形で効いてきます。保険料の負担を正しく見積もることと、手取りの厚い取引先を選ぶことは、退職後の家計を守るという点で同じ方向を向いています。
まずは、退職日から数えて14日と20日の期限を手帳に書き込み、在職中の給与明細と市区町村の試算で、任意継続と国民健康保険の保険料を並べてみてください。年金は第1号への切り替えを忘れずに、払えないときは免除を申請する。この順番さえ押さえておけば、退職後の手続きで大きく損をすることはありません。在宅や業務委託でどんな仕事が募集されているかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のような職種別のガイドで具体的に確かめられます。法律と制度はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 任意継続を選んだら国民年金の手続きはいりませんか?
いいえ、必要です。任意継続で続くのは健康保険だけで、厚生年金は退職日の翌日に資格がなくなります。次の勤め先がなければ、退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で国民年金の第1号被保険者への切り替えを届け出ます。扶養していた配偶者も第3号の資格を失うので、同じように第1号への切り替えが必要です。
Q. 任意継続と国民健康保険はどちらが安くなりますか?
一般に、給与が高かった人や扶養家族が多い人は任意継続が、単身で前年の所得が低めの人や会社都合で離職した人は国民健康保険が有利になりやすい傾向があります。ただし国民健康保険の料率は市区町村ごとに違うため、在職中の健康保険料の2倍と、市区町村に試算してもらった国保の額を並べて比べるのが確実です。
Q. 任意継続の申し込みを20日以内にできなかったらどうなりますか?
健康保険法では、正当な理由があると保険者が認めた場合に限り、期限後の申し出も受理できるとされています。ただし旅行や手続きの忘れは正当な理由にあたりにくいため、原則として任意継続には入れず、国民健康保険か家族の扶養を選ぶことになります。郵送は20日以内の必着なので、余裕をもって送ってください。
Q. 退職後に国民年金保険料を払えないときはどうすればいいですか?
未納のままにせず、市区町村役場か年金事務所で免除を申請してください。失業や倒産などの事実が離職票のコピーなどで確認できれば、本人の前年所得にかかわらず免除や納付猶予を受けられる特例があります。免除の期間は後から10年以内なら追納でき、未納と違って年金を受け取る資格期間にも数えられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







