実績ゼロのUI/UXデザインで出す自主制作は、課題の設定まで書くと通る

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
実績ゼロのUI/UXデザインで出す自主制作は、課題の設定まで書くと通る

この記事のポイント

  • ✓UI/UXデザインで実績ゼロから自主制作を出すとき
  • ✓通る作品と通らない作品の差は完成度ではなく課題設定の記述にあります
  • ✓ケーススタディの書き方

実績ゼロの状態でUI/UXデザインの自主制作を出すとき、通る作品と通らない作品を分けているのは何か。結論から言うと、完成度ではありません。課題の設定が書かれているかどうかです。

きれいな画面が並んだ資料は、見る側から見れば「作れることは分かった」で終わります。判断材料にならないのです。一方、誰のどんな困りごとを、どう捉えて、なぜこの形にしたのかが書かれている資料は、実績がゼロでも読まれます。読まれれば、話が始まります。

正直なところ、この分野の入門記事の多くは「まずポートフォリオを作りましょう」と言うだけで、中身の書き方には踏み込んでいません。それでは、何時間かけて画面を磨いても状況は変わりません。この記事では、実績ゼロの段階で出す自主制作について、題材の選び方から課題設定の書き方、掲載する本数の目安、やりがちな失敗まで、選考で実際に見られている基準に沿って整理します。

実績ゼロの自主制作で見られているのは、思考の再現性

まず、見る側が何を確かめようとしているのかを押さえます。ここが分かると、資料に書く内容が変わります。

「作れるか」はすでに前提になっている

制作ツールの習熟度は、いまや差がつきにくい要素です。学習の教材は充実していますし、ツール自体も操作が平易になりました。画面をきれいに整えられる人は、以前よりずっと多くなっています。

その結果、見る側の関心は「作れるか」から「同じことを別の題材でも再現できるか」に移りました。目の前の一作品がたまたま上手くいったのか、手順として身についているのか。これを確かめるために、思考の過程を読んでいます。

つまり、資料に載せるべきは成果物の画像だけではなく、そこに至った手順です。何を課題と定義し、どんな情報を集め、どの仮説を立て、なぜその案を選んだのか。この記述が、思考の再現性を示す唯一の証拠になります。

実務経験がなくても、この土俵には上がれる

未経験からこの分野に入り、実際に仕事につなげている人の記録も公開されています。

わたし自身、UI/UXデザインを学び始めた頃はそんな不安でいっぱいでした。実際のところ、UI/UXデザイナーとして正社員で働いた経験は一度もありません。それでも今、私はフリーランスのUI/UXデザイナーとして約1年間活動しています。 出典: note.com

正社員としての経験がない状態からでも、活動を継続している例があるという事実は、押さえておく価値があります。もちろん誰にでも同じ結果が出るわけではありません。ただ、実績ゼロという条件そのものが決定的な障壁ではない、という点は確かです。

通らない自主制作に共通する三つの特徴

逆に、見送られやすい資料の特徴を先に挙げておきます。

ひとつ目は、有名なサービスを題材にした「勝手にリデザイン」を、見た目の刷新だけで終えているもの。二つ目は、複数の作品が並んでいるのに、どれも同じ手順で作られたように見えるもの。三つ目が、画面の説明はあるのに、誰のための画面なのかが書かれていないものです。

どれも、作り手の時間はかかっています。それでも通らないのは、見る側が判断に使える情報が入っていないからです。時間の投じ方の問題であって、能力の問題ではありません。

題材をどう選ぶか、ここで半分が決まる

自主制作は、題材を決めた時点で結果の半分が決まります。選び方の基準を三つ挙げます。

自分が事情を知っている領域を選ぶ

最も強いのは、自分が実際に困った経験のある領域です。前職の業務システム、通っている習い事の予約、地域の施設の申込手続き。こうした題材は、課題の記述に説得力が出ます。

なぜなら、外から見ただけでは分からない事情を書けるからです。「予約フォームの入力項目が多い」は誰でも書けます。「予約の直前に持ち物の確認が必要なのに、その情報が別ページにあり、戻ると入力が消える」は、使ったことのある人にしか書けません。

デザインの善し悪しではなく、この観察の解像度が評価されます。事情を知っている領域を選べば、その解像度が自動的に上がります。

検証できる相手が身近にいる題材を選ぶ

自主制作でも、作ったものを誰かに触ってもらう工程は入れられます。家族でも友人でも構いません。3人に触ってもらえば、想定していなかった詰まり方が必ず出てきます。

「3人に操作してもらったところ、2人が同じ箇所で手が止まりました。原因は、次に進むボタンが画面の下端にあり、スクロールしないと見えないことでした。そのため配置を変更しています」。この記述があるだけで、資料の性格が変わります。作っただけの人と、確かめた人の差です。

規模の大きすぎる題材は避ける

総合的な通販サイトの全面刷新、大手SNSの再設計。こうした題材は、範囲が広すぎて焦点が定まりません。結果として、見た目の変更だけが目立つ資料になります。

推奨できるのは、画面数で3枚から6枚程度の、ひとつの流れに絞った題材です。申込、予約、検索から詳細まで、設定の変更。範囲が狭いほど、判断の理由を深く書けます。

実務で扱われている依頼の粒度を知りたい方は、UI/UX・アプリデザインのお仕事にどのような業務が動いているかがまとまっています。自主制作の規模を実際の案件に寄せておくと、そのまま提案の材料として使えます。

課題の設定を、どこまで書くか

ここが本題です。資料に書く順番と、それぞれの分量の目安を示します。

誰の、どんな場面での困りごとかを一行で書く

最初に置くのは、対象と場面です。「子どもの習い事の振替を、仕事の休憩中にスマートフォンで申し込みたい保護者」。この一行があるだけで、以降の判断すべてに文脈が通ります。

避けたいのは、対象を広く書くことです。「すべてのユーザー」「幅広い年齢層」と書くと、優先順位がつけられません。対象を狭く定義するほど、設計の判断は明快になります。狭く定義したことで機会を逃す心配はありません。自主制作は網羅性を競うものではないからです。

現状の何が問題なのかを、事実と推測に分けて書く

ここで多くの人がつまずきます。「使いにくい」は感想であって、課題の記述ではありません。

書き分けの型はこうです。事実として観察できたこと、そこから立てた推測、確かめるために行ったこと。「振替の申込ページは4画面で構成されており、途中に会員情報の再入力があります(事実)。この再入力が離脱を招いていると考えました(推測)。3人に操作してもらい、2人が再入力の画面で操作を中断しました(検証)」。

事実と推測を分けて書く姿勢は、実務でも重視されます。断定できないことを断定しない人は、進行中の案件で誤った前提のまま突き進むリスクが低いと判断されます。

なぜその案にしたのか、選ばなかった案とともに書く

選択肢を複数検討した記録は、思考の再現性を示す最も直接的な材料です。

「入力の負担を減らす方法として、項目自体を減らす案と、入力を後回しにする案を検討しました。項目を減らす案は、運営側が必要とする情報が欠けるため採用していません。入力を後回しにする案を選び、申込の確定後に情報を補う流れにしています」。

この記述には、利用者だけでなく運営側の都合も考慮した形跡が入っています。実務では、この両方を見られる人が求められます。片側だけを主張する提案は、現場で通らないからです。

検証の結果と、次に確かめたいことを書く

最後に、やってみてどうだったかと、まだ確かめられていないことを書きます。「配置の変更で操作の中断は減りましたが、確認画面での離脱については検証できていません。実際の利用データがあれば次に確認したい点です」。

未完のまま出すことをためらう方がいますが、むしろ逆です。何が分かっていないかを把握している人のほうが信頼されます。全部解決したように書かれた資料は、読む側から見ると疑わしく映ります。

掲載する本数と、資料の作り方

内容の書き方が決まったら、次は形式です。

三本を目安に、質を揃える

掲載する作品の数は、3本程度が目安になります。多ければよいというものではありません。読む側は最初の一本で判断の水準を測り、残りは確認のために眺めるだけ、ということが多いからです。

重要なのは、粒度の揃った三本にすることです。一本目だけ丁寧に書き、残り二本が画像のみという構成は、かえって印象を悪くします。書ける材料が二本分しかないなら、二本で出したほうが良いです。

三本の中身は、できれば領域を変えます。業務システム、消費者向けアプリ、情報を探す画面。異なる性格の題材で同じ手順を踏めていることが、再現性の証明になります。

一本あたりの構成は、決まった順番で並べる

対象と場面、観察した事実、立てた仮説、検討した案、選んだ理由、検証、残る論点。この順番で並べます。作品ごとに構成が違うと、比べにくく読みにくくなります。

分量は一本あたり文章で800文字から1500文字程度が読みやすい範囲です。それを超えると読まれません。画像は、判断の根拠になるものだけを選びます。全画面を並べる必要はありません。

実際の企業事例の書き方が参考になる

制作会社が公開している事例記事は、構成の手本として使えます。

株式会社ワンキャリアは、就職活動中の学生を対象にしたキャリア支援サービスを提供する企業です。戦略人事をターゲットとしたSaaSプロダクト「」では、50万件の就職活動の体験情報を独自に保有しており、このデータを活用して新卒採用の課題を解決しています。 出典: goodpatch.com

注目したいのは、デザインの話に入る前に、企業が何をしていて、どんな課題を持っているかから書き起こしている点です。自主制作の資料も同じ順序で構いません。背景を書いてから設計の話に入る。この順番だと、読む側は判断の前提を共有した状態で画面を見られます。

置き場所は、相手が数秒で開ける形にする

作った資料をどこに置くかも、通過率に影響します。原則は、リンクをひとつ送れば会員登録なしで開けることです。ダウンロードが必要な形式や、閲覧に申請が要る置き場所は、それだけで見られない確率が上がります。

形式は、Webページでも文書ファイルでも構いません。ただし、スマートフォンで開いたときに文字が読める大きさで表示されるかは、送る前に確認してください。移動中に確認する担当者は珍しくありません。画面の画像が縮んで読めない資料は、そこで閉じられます。

冒頭には、名前と連絡先、対応できる業務の範囲、稼働できる時間帯を短く置きます。作品を見て良いと思った相手が、次に確認するのがこの情報だからです。ここが見つからないと、問い合わせの前に検討が止まります。

守秘の扱いを、実績ゼロの段階から意識しておく

自主制作の題材に、前職の業務システムをそのまま使うのは避けてください。画面の構成や業務の手順が、勤務先の秘密情報にあたる可能性があります。

扱いたい場合は、業務の型だけを借りて、対象と数値を架空のものに置き換えます。「在庫の引き当てを行う画面」といった一般的な機能の水準まで抽象化すれば、題材としての価値は保ったまま問題を避けられます。この配慮ができていること自体が、実務で情報を任せられる相手かどうかの判断材料になります。

文章の型は、他分野の資料からも学べる

構成の考え方は、デザインに限った話ではありません。文章を仕事にしている人の資料の作り方も参考になります。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】には、実績が少ない段階で何を載せるかという共通の課題への対処がまとまっています。職種は違っても、選ばれる資料の条件は驚くほど似ています。

やりがちな失敗と、その避け方

ここまでの内容を踏まえて、実績ゼロの段階で起きやすい失敗を挙げます。

有名サービスの「勝手にリデザイン」を見た目だけで終える

題材としての人気は高いのですが、扱い方を間違えると逆効果になります。大手のサービスは、すでに多くの検証を経て現在の形になっています。事業上の制約や、こちらからは見えない理由があって、その画面になっているのです。

それを外から見て「使いにくいので直しました」と書くと、制約を考慮しない人だと受け取られます。もし題材にするなら、「公開情報から読み取れる範囲では、この画面はこういう意図に見えます。その意図を保ったまま、別の解き方がないかを検討しました」という書き方にしてください。前提を尊重したうえで代案を出す姿勢は、実務でそのまま評価されます。

学習教材の課題を、そのまま並べる

スクールや教材で作った課題は、題材も要件も与えられたものです。同じ教材を受けた人が同じ作品を出すため、差がつきません。

使うなら、課題の設定部分を自分で作り直します。与えられた要件をいったん外し、自分で対象と場面を定義し直して、結果がどう変わったかを書く。この加工をすれば、教材の課題も十分に材料になります。

生成ツールで作った画面を、そのまま並べる

画面の草案を生成ツールで作ること自体は、いまや珍しくありません。問題は、出てきたものをそのまま資料に載せてしまう場合です。

見る側から見ると、生成された画面には特徴があります。要素の配置が整いすぎていて、実際の運用で必要になるはずの例外が抜けているのです。エラー時の表示、データが空のときの画面、文字数が想定より長い場合。こうした状態の設計が欠けていると、実務の経験がないことがそのまま露呈します。

対処は、ツールを使ったことを隠すのではなく、そこから何を検討したかを書くことです。「初期案の生成には支援ツールを使い、そこから例外時の状態を追加設計しました」と書けば、道具を使いこなしている人として読まれます。むしろ、例外の設計を丁寧に足してある資料は、実績ゼロでも実務の想像力があると評価されます。

前職の経験と切り離して見せてしまう

デザインとは関係ない職歴だから、と経歴を隠す方がいます。これは機会を減らします。

医療事務、経理、物流、接客。どの経験も、その業界のシステムを設計するときには強みになります。業務の流れを知っている人は、画面を作るときに必要な確認の回数が少なくて済むからです。

自主制作の題材を前職の業界に寄せ、資料の冒頭で「この業務の実務経験があるため、現場で起きる例外を想定して設計しています」と書く。この組み合わせは、実績ゼロの状態で最も効く見せ方のひとつです。

完成を待ちすぎて出さない

最も多く、最ももったいない失敗がこれです。もっと磨いてから出そうと考えているうちに、数か月が過ぎます。

公開されている体験の記録にも、この点について触れたものがあります。

これからUI/UXデザインを学びたい人、フリーランスを目指したい人に伝えたいのは、「とりあえずやってみること」です。小さな行動でもいい。やってみれば、次の一歩が見えてきます。そして自信を持てるようになるはずです。 出典: note.com

自主制作は、一度出したら終わりではありません。反応を見て書き直せます。むしろ、出したあとに受けた指摘を反映した記録そのものが、次の材料になります。完成度の追求は、公開してから続けたほうが効率的です。

資格や学習で、どこを補うか

自主制作と並行して、基礎を体系的に補いたい方もいると思います。優先順位の考え方を書いておきます。

デザインツールの操作は、独学の教材で足ります。優先度が高いのは、むしろ説明の技術です。課題の設定を文章で伝えるという作業は、デザインの学習ではあまり扱われません。報告や提案の型を扱うビジネス文書検定の学習範囲は、資料の書き方に直接効いてきます。

開発側と話す語彙を増やしたい方には、CCNA(シスコ技術者認定)で扱われるネットワークの基礎が土台になります。UIの設計は実装の制約と切り離せないため、技術側の話が通じる範囲が広いほど、任される工程が増えます。

学費や講座の費用をかける前に、費用対効果は冷静に見てください。制度や助成の要件は年度で変わるため、2026年時点の条件を各機関の窓口で確認する必要があります。助成金の仕組みそのものに関心がある方は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法に、人材開発支援助成金がどういう構造で使われるのかがまとまっています。分野は違いますが、制度の読み方の練習になります。

実績ゼロから、最初の一件につなげる順序

自主制作ができたら、次は使い方です。

単価の物差しを先に持つ

最初の案件で提示された金額が妥当かどうかを判断できないと、そのまま受けることになります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場に職種別の分布がまとまっており、UI設計は開発工程と隣接するため、この相場観が土台になります。文章の仕事も併せて請ける方は著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります。

単価を上げていく考え方そのものは、他職種の記録も役に立ちます。Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】には、実績を積みながら条件を変えていく段取りが具体的に書かれています。

最初は範囲の狭い依頼から受ける

実績ゼロの段階で、いきなりサービス全体の設計を任される依頼を狙う必要はありません。むしろ、範囲が狭く成果物が明確な依頼のほうが、初回としては成功しやすくなります。

具体的には、既存画面へのひとつの機能追加、入力フォームの改善、資料のテンプレート整備といった規模です。こうした依頼は、要件が固まっているため判断待ちで止まりにくく、納品までの期間も読めます。一件やり切ると、次の提案で「実際の依頼で同じ手順を踏んだ」と書けるようになります。これが自主制作と実務の間を埋める一段目になります。

注意したいのは、金額の低さを理由に手順を省かないことです。小さな依頼でも、課題の確認と選択の理由の記述は必ず残してください。この記録が次の案件の材料になるので、単価以上の価値が手元に残ります。

断られた理由を、一度だけ聞いてみる

提案が通らなかったとき、理由を聞ける関係であれば短く尋ねてみる価値があります。「今後の参考にしたいので、判断のポイントを一点だけ伺えますか」という聞き方であれば、答えてもらえることがあります。

返ってくる答えは、たいてい自分の想定と違います。作品の質だと思っていたら稼働時間の条件だった、というような食い違いが普通に起きます。自主制作を磨き続ける前に、そもそも何で落ちているのかを確かめる。この一手間が、無駄な作り込みを防ぎます。

隣接分野を視野に入れておく

UIの設計だけで案件を探すより、隣接する領域と組み合わせたほうが、実績ゼロの段階では入口が広がります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事や作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のように、制作物の周辺で必要とされる業務は幅があります。自分の前職の知識と組み合わせられる領域があれば、そこが最初の入口になりやすいです。

独自データから見える傾向と、運営者としての観察

在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から、実績ゼロの段階について見えていることを書いておきます。

最初の一件を取るまでの期間は、作品の完成度とはあまり相関していません。相関しているのは、出した回数と、指摘を反映した回数です。丁寧に作り込んで数か月に一度提案する人より、粒度は粗くても課題設定を書いた資料を毎週改善している人のほうが、先に仕事が決まっています。理由は単純で、後者のほうが「何が足りないか」を早く知れるからです。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。中間に手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多くの工程を頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の意味は、金額の大小そのものより、次の学習と自主制作に投じられる時間が手元に残るという質の違いにあります。実績ゼロから始める人ほど、この時間の残り方が伸び方を左右します。

傾向として、実績ゼロの期間が長引く人には共通点があります。誰にも見せないまま作り続けていることです。見せる相手は選考の担当者でなくても構いません。同じ分野を学んでいる人、前職の同僚、家族。誰かに読ませて「ここが分からない」と言われる経験を早く積んだほうが、資料は速く仕上がります。一人で判断していると、自分にとって自明な前提が抜けていることに気づけないからです。

実績ゼロの自主制作で通るかどうかは、画面の完成度ではなく課題の設定が書かれているかで決まります。そして課題の設定は、今日から書けます。すでに作ってある作品があるなら、画面はそのままで、対象と場面を一行足すところから始めてみてください。それだけで、読まれ方が変わります。

よくある質問

Q. 実績ゼロの自主制作は、何本くらい載せるべきですか?

3本程度が目安です。多ければよいわけではなく、読む側は最初の一本で判断の水準を測ります。重要なのは粒度を揃えることで、一本目だけ丁寧に書き残りが画像のみという構成は印象を悪くします。書ける材料が二本分しかないなら二本で出してください。可能なら業務システム、消費者向けアプリなど領域の違う題材にすると再現性を示せます。

Q. 有名サービスの「勝手にリデザイン」は題材として有効ですか?

扱い方次第です。見た目を刷新しただけで「使いにくいので直しました」と書くと、事業上の制約を考慮しない人だと受け取られます。題材にするなら、公開情報から読み取れる範囲で現状の意図を推測し、その意図を保ったまま別の解き方を検討する形にしてください。前提を尊重したうえで代案を出す姿勢は実務でも評価されます。

Q. 自主制作でユーザー検証まで行う必要はありますか?

家族や友人3人程度に触ってもらうだけでも十分に価値があります。想定していなかった詰まり方が必ず出てくるからです。何人に試して何人がどこで止まったか、その結果どう変更したかを書くと、作っただけの資料とは性格が変わります。大規模な調査は不要で、検証したという手順が踏まれていることが評価されます。

Q. 課題の設定は、どのくらいの分量で書けばよいですか?

一本あたり文章で800文字から1500文字程度が読みやすい範囲です。対象と場面を一行、観察した事実、立てた仮説、検討した案と選んだ理由、検証結果、残る論点の順に並べます。事実と推測を書き分けることが重要で、「使いにくい」といった感想ではなく、観察できたことと推測を分けて記述してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月28日最終更新:2026年9月24日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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