実績ゼロの建築士が提案で見せるもの、練習で描いた設計案は載せてよいのか


この記事のポイント
- ✓建築士 実績ゼロの状態で提案に何を載せるか
- ✓練習で描いた設計案の扱い
- ✓勤務先で描いた図面を出せない理由
建築士 実績ゼロの状態で仕事を探すとき、必ずぶつかる壁があります。見せられるものが何もない、という壁です。資格は取った。図面も描ける。でも、提案書に載せる作品がない。そこで多くの人が考えるのが、「練習で描いた設計案を載せてもいいのだろうか」という問いです。結論から言うと、条件を満たせば載せられます。ただし、載せてはいけないものもはっきりあって、そこを間違えると法的な問題になります。これ、知らないまま出してしまう人が本当に多いんです。この記事では、何を載せてよくて、何を載せてはいけないのか、そして実績ゼロでも判断材料になる見せ方を、権利関係の整理とあわせて説明します。
実績ゼロには、二つのまったく違う状態がある
まず、自分がどちらの状態にいるかを確認してください。ここを混ぜると、対策がずれます。
一つめは、実務経験はあるが、個人としての受託実績がない状態です。設計事務所やハウスメーカーに勤めていて、図面は日常的に描いている。ただ、自分の名前で仕事を受けたことがない。この場合、技術的な蓄積はあるので、問題は「その蓄積をどう示すか」に絞られます。そして、ここでは著作権と守秘義務が最大の論点になります。
二つめは、資格は取得したが、実務そのものが浅い状態です。試験には合格したけれど、実施設計図を一式描いた経験がない。あるいは、別の職種から転じてきた。この場合は、示すべきものを自分で作る必要があります。
つまり、一つめの人の課題は「持っているものを出せない」ことで、二つめの人の課題は「持っているものが少ない」ことなんです。同じ実績ゼロという言葉でも、やることが逆になります。
どちらの場合でも、共通して言えることが一つあります。相手が見たいのは作品の美しさではなく、任せたときにどう動く人かという情報です。ここを勘違いすると、きれいなパースを並べたのに反応がない、という結果になります。
練習で描いた設計案は、載せてよいのか
本題です。結論から言うと、載せられます。ただし三つの条件があります。
一つめの条件は、自分が描いたオリジナルであることです。自分で条件を設定し、自分でプランを起こし、自分で図面化したもの。これは自分の著作物ですから、公開する権利は自分にあります。
二つめの条件は、実在の他人の情報を使っていないことです。実際の敷地を勝手に使う、知人の家の間取りをそのまま使う、実在の施主の要望をもとにする。こうした場合、個人情報や敷地に関する情報の扱いが問題になります。練習であっても、条件は架空のものを設定してください。
三つめの条件は、練習であることを明示することです。ここが一番大事です。実務で受託した案件のように見せると、経歴の誤認を招きます。「自主制作」「練習課題として作成」と一行書いてください。この一行を入れないと、後から発覚したときに信用を失います。逆に、明示したうえで載せている人は、誠実な人として扱われます。
つまり、練習作品が減点になるわけではないんです。減点になるのは、それを実績のように見せることです。相手も、実績ゼロの人に受託実績を期待してはいません。期待しているのは、どのレベルの図面が描けるのかという情報のほうです。
※実在の建物や他人の設計をもとにした模写や改変は、元の著作物の複製や翻案にあたる可能性があります。学習目的で自分の手元に置く分と、公開する分では扱いが変わりますので、公開するものはオリジナルにしてください。判断が難しい場合は弁護士に相談することをおすすめします。
勤務先で描いた図面は、原則として出せない
一方で、はっきり気をつけてほしいのがこちらです。
勤務先で担当した図面を、そのまま提案書に載せる。これ、やってしまう人が本当に多いのですが、複数の問題があります。
まず、著作権の帰属です。著作権法には職務著作という考え方があり、法人の発意に基づいて従業者が職務上作成し、法人名義で公表する著作物については、原則として法人が著作者となるとされています。つまり、あなたが手を動かして描いた図面でも、権利があなたのものとは限らないということです。
次に、契約上の守秘義務です。設計事務所と施主の間の契約に秘密保持の条項が入っていることは珍しくありませんし、就業規則にも守秘の定めがあるのが普通です。図面には、施主の氏名、住所、家族構成、資産の状況が推測できる情報が含まれます。防犯上の観点から、建物の詳細な平面図が外に出ること自体を嫌う施主もいます。
そして三つめが、退職後の扱いです。退職したから自由になる、というものではありません。秘密保持の義務は、退職後も一定期間続く形で定められていることが多いからです。
では、勤務先での経験は一切示せないのか。そんなことはありません。
図面そのものを出さずに、経験の中身を文字で示す方法があります。用途、規模、構造、自分が担当した工程。この四つは、施主を特定しません。「木造2階建て住宅、延床120平方メートル、実施設計図の作成を担当」と書いても、どの案件かは分かりません。この粒度なら、多くの場合は問題なく伝えられます。
判断に迷うときは、勤務先に確認してから使ってください。確認したという事実そのものが、相手にとっての安心材料になります。守秘の扱いに慎重な人は、自分の案件でも慎重に扱うだろう、と読まれるからです。
試験の課題図面は、どう扱えばよいか
もう一つ、よく聞かれるのが試験の課題図面です。
建築士の設計製図試験は、事前に課題が公表され、その条件に沿って設計と製図を行う形式です。
設計製図試験は、事前に試験課題が公表され、指定されたテーマや入居人数、構造などの条件に沿った建築を考え、実際に設計製図を行います。
二級建築士の設計製図試験では、カフェ併設二世帯住宅、3世代住宅など、条件の付帯した住宅の設計製図が出題される年が多いです。
製図試験は、法令違反なくテーマに合った設計ができること、5時間の試験時間の中で指定された図面を全て書くことができる、製図スキルが求められます。 出典: ksknet.co.jp
ここで注目してほしいのは、試験が何を測っているかです。法令違反なく条件に合った設計ができること。そして、5時間という制限の中で指定された図面を描き切れること。
つまり、製図試験の課題に取り組んだ経験は、「法規を踏まえた設計判断ができる」ことと「時間内に図面をまとめられる」ことの証明になります。これ、実務でも直接必要な能力なんです。
その練習で描いた図面を提案に載せてよいかというと、自分で描いたものであれば載せられます。ただし、課題の条件自体は試験元が設定したものですから、条件文をそのまま転載するのは避けてください。「二世帯住宅の設計課題として、自主的に条件を設定して作成」といった形で、自分で条件を作り直したものを載せるのが安全です。
そして、ここでも明示が必要です。試験対策として描いたものであることを一行書く。隠す必要はまったくありません。むしろ、資格取得の過程で何をどれだけ描いたかは、実務経験の浅さを補う情報になります。
資格と実務経験の関係を、制度の側から確認する
ここで一度、制度の話を挟みます。実績ゼロという言葉の意味が、人によって違うからです。
建築士の資格には、取得の段階で実務経験が関わる仕組みがあります。
二級建築士にも受験資格があります。
二級建築士試験を受けるためには、以下のいずれかの条件(学歴要件、実務経験要件)を満たしている必要があります。 出典: ksknet.co.jp
学歴要件を満たして受験した人と、実務経験要件で受験した人では、資格取得時点で持っているものが違います。前者は設計の理論と製図の訓練を持ち、後者は現場での経験を持っている。どちらも実務での受託経験とは別物ですが、示せる中身が変わってきます。
学歴で取得した人なら、設計課題への取り組みが見せる材料になります。実務経験で取得した人なら、現場で何を担当したかが材料になります。施工側にいた人が設計の仕事を受けるとき、施工のことが分かっているという点は、実は強い差別化になります。図面が現場で成立するかどうかを判断できる人は、そう多くないからです。
なお、資格の登録には試験合格に加えて所定の実務経験が必要とされる場合があり、要件は制度改正で変わってきた経緯があります。自分がどの区分に当たるかは、2026年時点の最新の要件を、公益財団法人建築技術教育普及センターや所管の窓口で確認してください。ここは伝聞で判断せず、必ず一次情報に当たってほしいところです。
つまり、実績ゼロと言っても、制度上のどの経路で資格を得たかによって、示せるものは違うということです。自分の経路を確認したうえで、材料を選んでください。
実績ゼロでも判断材料になる、四つの見せ方
では、具体的に何を用意すればよいか。実務で受託した実績がなくても、相手の判断材料になるものは作れます。
一つめは、条件を自分で設定した設計案です。敷地条件、用途、想定する居住者、予算感。これらを架空で設定し、そこから平面、立面、断面まで一式描く。ポイントは、条件を明示することです。相手は、その条件のもとでどういう判断をしたのかを見ています。図面だけを見せるより、「なぜこの配置にしたか」を三行添えるほうが、はるかに伝わります。
二つめは、法規チェックの手順を示したものです。ある敷地条件を仮定して、用途地域、建蔽率、容積率、高さ制限、斜線制限、日影規制をどう確認したかを整理する。これは図面ではありませんが、実務で最も価値のある部分です。特に2025年4月に施行された建築基準法の改正で、いわゆる4号特例の範囲が縮小され、省エネ基準への適合が原則として義務づけられたことにより、確認すべき項目は増えています。制度の適用範囲は建物の規模や用途で細かく分かれるため、実際の案件では所管の特定行政庁への確認が必要になりますが、確認の手順を整理できること自体が、実務で使える能力の証明になります。
三つめは、使えるツールの提示です。どのCADを、どのバージョンで、どこまで使えるのか。作図速度の目安も添えられるとなお良い。「木造2階建ての平面図と立面図一式を、支給の基準図をもとに何時間で仕上げられる」といった情報は、相手にとって具体的な判断材料です。
四つめは、既存の図面を読む力を示すものです。実務で外部に出る仕事の多くは、ゼロから設計するのではなく、既存の図面や資料をもとに進める作業です。渡された資料から必要な情報を抽出し、不足を指摘できるか。この能力は、設計案よりも実際の受注に直結します。演習として、公開されている一般的な図面表記のルールに沿って、自分でチェックリストを作っておくとよいでしょう。
この四つを揃えると、受託実績がなくても「何を任せられるか」が相手に伝わります。実績ゼロで足りないのは経験の年数であって、判断材料そのものではないんです。
無償で実績を作ろうとするときの、注意点
実績ゼロの人が陥りやすい落とし穴についても、触れておきます。
「実績が欲しいので無償でやります」「勉強させてもらうので報酬は不要です」。この申し出、気持ちは分かりますが、いくつか問題があります。
まず、無償の仕事は実績として扱いにくい。相手が無償で頼んだ仕事は、扱いも軽くなりがちです。丁寧なフィードバックも返ってこないことが多く、学びの量も期待より少なくなります。
次に、責任の問題です。無償であっても、設計図書に不備があれば責任は生じ得ます。報酬がゼロなのに責任だけを負う構造は、割に合いません。特に建築の場合、損害の金額が大きくなる可能性があります。
そして、価格の基準が作られてしまうことです。一度無償で受けると、その相手との関係では、それが基準になります。二件目から有償にするのは、想像以上に難しい。
もし経験を積むことが目的なら、無償ではなく、範囲を限定した有償の仕事を受けるほうが健全です。「実施設計図一式」ではなく「平面図のみ」といった形で、責任の範囲を絞る。金額が小さくても、有償であれば契約が成立し、記録が残ります。この記録が、次の案件での実績になります。
なお、業務委託として個人で受ける場合、2024年11月に施行されたフリーランスと発注事業者の取引に関する法律により、発注事業者には業務の内容や報酬額などを書面や電子メールで明示することが求められています。条件が曖昧なまま進みそうなときは、自分から内容を文章にまとめて送り、確認をお願いしてください。法律はあなたの味方ですが、記録が残っていなければ使えません。
応募文で、実績ゼロをどう書くか
資料が整ったら、次は文章です。ここで悩む人が多いのが、実績がないことをどう書くかです。
まず、隠さないでください。「実績豊富です」と読める書き方をして、あとから浅いと分かると、そこで信用が終わります。相手が問題にするのは経験の浅さではなく、事実と違うことを書いたという点です。
一方で、必要以上に下げる書き方もおすすめしません。「未熟ですが」「至らない点ばかりですが」と並べると、相手は判断できなくなります。謙遜は日本語の作法ですが、業務の依頼判断の場面では情報量がゼロなんです。
では、どう書くか。事実と、できることと、できないことを分けて書きます。
事実として、個人での受託実績はまだないこと。できることとして、どの図面をどのツールで、どの程度の時間で描けるか。できないこととして、現時点では引き受けられない範囲。この三つを並べると、相手はそのまま判断できます。
具体的にはこうなります。「個人としての受託は今回が初めてになります。木造2階建て住宅の平面図と立面図の作成であれば、支給の基準図に沿って対応できます。構造計算は現時点ではお受けしておりません」。
この書き方の良いところは、相手が安心して小さく試せることです。いきなり大きな案件は来ないかもしれませんが、小さな一件は来ます。そして、その一件が実績になります。
もう一つ、返信の速さも実績の代わりになります。経験が浅い人ほど、応答の速さと確認の丁寧さで補えます。相手が外注で恐れているのは、進んでいるかどうか分からない時間です。その不安を消せる人は、経験年数に関係なく選ばれます。
資料を出す前に、権利の確認をひととおり済ませる
提案資料を送る前に、確認してほしい項目を並べておきます。ここを飛ばして送ってしまうと、あとから取り返しがつきません。
一つめ、掲載しているものはすべて自分が作成したものか。他人が描いた図面や、ウェブ上で見つけた画像が混ざっていないか。参考として引用する場合でも、出典の明示と引用の要件を満たす必要があります。
二つめ、実在の施主や実在の敷地に関する情報が含まれていないか。図面の隅に残っている表題欄、ファイル名、レイヤ名に情報が残っていることがあります。PDFにしたあとの属性情報にも作成者名などが入るため、出す前に確認してください。
三つめ、勤務先の就業規則や契約に反していないか。副業として受けるのであれば、そもそも副業が許可されているかの確認が先です。無断で始めると、懲戒の対象になり得ます。
四つめ、名義に関する誘いが含まれていないか。これは相手側の話ですが、「図面はこちらで用意するので記名だけしてほしい」という依頼は、建築士法が禁じる名義貸しに当たり得ます。実績が欲しい時期ほど、こうした話は魅力的に見えます。ですが、資格そのものを失う可能性がある話です。断ってください。
五つめ、報酬と責任の範囲が契約書に書かれているか。損害賠償の条項に上限の定めがない場合、報酬の何倍もの責任を負う可能性が残ります。金額の大きな案件では、署名の前に弁護士に確認することをおすすめします。
この五つは、慣れれば数分で終わります。最初の数件で習慣にしておくと、あとが楽になります。
提案資料の形式を、どう整えるか
見せ方の形式についても、実務的な点を書いておきます。
提案に添える資料は、PDF一つにまとめるのが扱いやすい形です。相手はソフトを選ばずに開けますし、レイアウトも崩れません。ファイル容量は、メールに添付できる範囲に収めてください。開けない資料は、存在しないのと同じです。
構成としては、最初のページに要約を置きます。何ができるのか、どのツールを使えるのか、どれくらい動けるのか。この三つを一枚にまとめる。相手が最初に見るのはここです。
二ページ目以降に、設計案や法規チェックの例を置きます。それぞれに、条件と自分の判断を三行程度で添える。図面だけを並べても、判断のプロセスは伝わりません。
そして最後に、注記のページを置きます。掲載しているものが自主制作であること、実務で担当した案件は守秘義務のため掲載していないこと。この二点を書いておけば、誤認も生じませんし、権利の扱いを理解している人だと分かります。
ファイル名にも気を配ってください。氏名と日付が入っていると、相手が管理しやすくなります。細かい話ですが、こういう細部が「仕事の進め方が分かっている人」という印象を作ります。
資料の作り方そのものは、職種を問わず共通する部分があります。他分野の考え方を参考にするならWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】に、実績が少ない段階での構成の考え方が整理されています。
実績が一件できたら、資料を作り直す
最初の一件が終わったあとに、やっておいてほしいことがあります。資料の更新です。
受託した案件は、練習作品とは重みが違います。ただし、ここでも権利の確認は必要です。受託した図面を提案資料に載せてよいかどうかは、その案件の契約次第だからです。契約書に成果物の権利や秘密保持について定めがあるなら、その範囲に従ってください。定めがない場合でも、掲載してよいかを依頼主に確認するのが安全です。
確認のしかたは簡単です。「今回の案件について、用途と規模と担当工程の範囲で実績として記載してもよろしいでしょうか。図面や施主が特定される情報は掲載しません」。この一文を、納品後のやり取りに添えるだけです。
多くの場合、この粒度なら了承されます。断られたとしても、その事実自体は問題になりません。聞いたうえで従ったという記録が残ります。
そして、了承が得られたら、練習作品のページを一つ減らして、受託実績のページに差し替えます。この入れ替えを続けていくと、半年から一年で資料の中身がまるごと変わります。実績ゼロという状態は、思っているより早く抜けられるものです。
一件ごとに、担当した工程、使用したツール、かかった時間、注意した点をメモに残しておいてください。次の提案文を書くときに、この記録がそのまま材料になります。記憶に頼ると、細かい条件を思い出せなくなります。
実績ゼロの期間を、どう短くするか
最後に、市場の側から見た話をします。
この市場を20年見てきた立場から言うと、実績ゼロの期間が短い人には共通点があります。作品の質が高いことではありません。範囲を絞って始めていることです。
いきなり実施設計一式を受けようとすると、実績ゼロでは選ばれません。一方、平面図の作成だけ、既存図面のCAD化だけ、数量拾いだけ、といった単一工程であれば、実績が浅くても任せてもらえる可能性が上がります。責任の範囲が小さく、確認もしやすいからです。
そして、その一件が終わると、次からは「その工程の実績がある人」になります。実績は、大きな案件で一気に作るものではなく、小さな工程を重ねて作るものです。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料が乗らない直接の取引は、始めたばかりの人ほど効きます。最初の案件は金額が小さいことが多く、そこから手数料が引かれると、手取りが実感として残りません。手数料0%の意味は、金額の大小というより、続けようと思えるかどうかという質の話です。手取りが厚いほど、次も受けようという判断がしやすくなります。
在宅で完結する業務委託の形を知っておくと、建築以外の選択肢も見えてきます。専門知識を持つ人が場所を問わず関われる業務は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されています。技術寄りの方向を見るならアプリケーション開発のお仕事も参考になります。
報酬の考え方を比べる材料としては、他職種の相場の作られ方が役に立ちます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、経験年数と単価の関係が職種ごとに整理されています。実績が増えたあとに条件をどう見直すかについてはWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】の考え方が、職種を超えて参考になります。
提案文や条件確認は文章の仕事でもあるので、実務文書の型は押さえておいて損がありません。ビジネス文書検定はその基礎を体系的に確認できます。IT側の知識を足すならCCNA(シスコ技術者認定)のような選択肢もあります。学習を続けるための助成制度に関心があるなら福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法に、公的な支援制度の使い方の例がまとまっています。
もう一度、結論を書きます。練習で描いた設計案は、自分のオリジナルであり、架空の条件であり、練習であると明示すれば載せられます。勤務先で描いた図面は、著作権と守秘義務の観点から原則として出せませんが、用途と規模と構造と担当工程は文字で伝えられます。実績ゼロで足りないのは経験の年数であって、示せるものがないわけではありません。 最後にもう一点だけ補足します。実績がない時期は、自分の価値を低く見積もりがちです。だからこそ、相手の言い値をそのまま受け入れてしまう場面が出てきます。ここで思い出してほしいのは、資格を持っていること自体が、法律上の一定の役割を担える立場を意味するということです。設計と工事監理は誰にでもできる業務ではありません。実績が浅いことと、資格が持つ意味が軽いことは、別の話です。条件が合わないと感じたら、断ってよいのだと知っておいてください。
よくある質問
Q. 練習で描いた設計案を提案資料に載せてもよいですか?
自分が描いたオリジナルであり、実在の敷地や他人の情報を使っておらず、練習であると明示していれば載せられます。実務で受託した案件のように見せると経歴の誤認を招くため、「自主制作」と一行添えてください。相手は実績ゼロの人に受託実績を期待しておらず、どのレベルの図面が描けるかを見ています。
Q. 勤務先で担当した図面は使えないのですか?
図面そのものを出すのは避けてください。著作権法の職務著作の考え方により権利が法人にある場合があり、契約上の秘密保持義務や施主の個人情報の問題も生じます。用途、延床面積と階数、構造、自分が担当した工程の四つであれば施主を特定しないため、文字で伝えることができます。
Q. 建築士試験の製図課題は、実績の代わりになりますか?
製図試験は法令に沿った設計判断と、5時間という制限内で図面を描き切る力を測る試験です。この練習で描いた図面は、自分で条件を設定し直したものであれば掲載できます。試験対策として作成したことを明示してください。実務経験の浅さを補う情報として扱えます。
Q. 実績を作るために、無償で仕事を受けるべきですか?
おすすめしません。無償の仕事は扱いが軽くなりやすく、フィードバックも得にくいうえ、報酬がなくても責任は生じ得ます。経験を積む目的なら、平面図のみなど範囲を絞った有償の仕事を受けるほうが健全です。金額が小さくても契約と記録が残り、それが次の実績になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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