二以上勤務者の月額変更届の用紙を入手する方法と書き方と提出先

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二以上勤務者の月額変更届の用紙を入手する方法と書き方と提出先

この記事のポイント

  • ✓二以上勤務者月額変更届の用紙は
  • ✓通常の報酬月額変更届と同じ様式で
  • ✓備考欄の「二以上勤務」に○を付けて使います

2つの会社で社会保険に加入している人の給与が大きく変わったとき、会社の担当者から「二以上勤務者の月額変更届を出します」と言われたり、自分で用紙を探してみたものの、それらしい名前の様式が見つからずに戸惑ったりする人が少なくありません。結論から言うと、二以上勤務者のための専用の月額変更届という用紙はありません。通常の「被保険者報酬月額変更届」を使い、備考欄の「2. 二以上勤務」に○を付けて提出します。

これ、知らない人が本当に多いんです。用紙の名前で探すと見つからないので、「自分の場合は特別な手続きが要るのでは」と不安になってしまう。この記事では、日本年金機構の様式ページと記入例(2026年10月3日に確認)をもとに、用紙の入手方法、二以上勤務者の標準報酬月額の決まり方、月額変更届が必要になる場面、書き方、提出先、提出のあとに本人が確かめておきたいことまでを、順番に整理します。

二以上勤務者と月額変更届の関係を最初に整理する

用紙の話に入る前に、言葉の意味をそろえておきます。ここが曖昧なままだと、どの届書を誰が出すのかが分からなくなります。

「二以上勤務者」とは、同時に2か所以上の会社(社会保険では「適用事業所」と呼びます)で、それぞれ健康保険と厚生年金保険に加入する条件を満たしている人のことです。つまり、副業や兼業で2つの会社に雇われ、どちらの会社でも社会保険に入る働き方をしている人を指します。日本年金機構のリーフレットでは、対象になる働き方の例として、2つの会社でどちらも法人の代表者をしている人、片方で代表者をしながらもう片方で正社員として勤める人、2つの会社でどちらも正社員として勤める人、2つの会社で短時間労働者としてそれぞれの加入要件を満たす人が挙げられています。

一方、「月額変更届」とは、給与が大きく上がったり下がったりしたときに、社会保険料の計算の元になる金額を見直すために会社が出す届書です。正式な名前は「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」といいます。保険料の計算の元になる金額は「標準報酬月額」と呼ばれ、給与の額を区切りのよい金額の等級に当てはめたものです。つまり、給与そのものではなく、給与を一定の幅ごとに丸めた数字で保険料を計算している、ということです。

二以上勤務者の場合、この標準報酬月額は2つの会社の給与を合計して決まります。そのため、どちらか一方の会社で給与が変わったときも、合計の金額に影響が出ます。ここで出てくるのが「二以上勤務者の月額変更届」という呼び方です。届書としては通常の月額変更届と同じものを使い、二以上勤務であることを備考欄で示す。この関係を押さえておけば、用紙探しで迷うことはなくなります。

用紙はどこで入手できるか

月額変更届の用紙は、日本年金機構のホームページから無料でダウンロードできます。窓口に出向いて受け取る必要はありません。

様式があるのは、日本年金機構の「申請・届出様式(健康保険・厚生年金保険)」の中の「ケース4:報酬月額関係届書」です。その中の「4-3:月額変更届(報酬額に大幅な変動があり、随時改定に該当するとき)」のページに、次の4つがまとめて掲載されています。

  • 届書のPDF版
  • 届書のエクセル版
  • 記入例のPDF
  • 手続きの詳細説明のPDF

日本年金機構の月額変更届の様式ページでは、この届書について次のように説明されています。

「月額変更届」は、被保険者および70歳以上被用者の受ける報酬に、昇給や降給による大幅な変動があった場合に提出する届出です(70歳以上被用者も被保険者と同一の届書をご使用ください)。 出典: 日本年金機構

ここでも「二以上勤務者用」という別の様式は案内されていません。用紙は1種類で、二以上勤務者も、70歳以上で働いている人も、同じ届書を使います。

エクセル版は、パソコンで入力してから印刷できるので、手書きより読みやすく、書き間違いも直しやすい形です。ただし、日本年金機構のページには、使う端末の設定によって印刷位置がずれることがあると書かれています。印刷する前に、余白とレイアウトを確認しておきます。

年間報酬の平均で計算することを申し立てる場合(繁忙期だけ給与が増える仕事などで、3か月の平均を使うと実態とかけ離れるとき)は、隣の「4-4」のページにある申立書と同意書も一緒に使います。この申立ては、毎年同じ時期に給与が大きく増減するような事情があるときの仕組みで、多くの人には関係しませんが、季節で仕事量が大きく変わる業種では知っておくと役に立ちます。

なお、会社が電子申請を使っている場合は、紙の用紙を使わずに、日本年金機構の電子申請や事業所向けのオンラインサービスで提出することもできます。提出の方法は、電子申請、郵送、窓口持参の3つから選べます。

二以上勤務者になったときに先に出す届書

月額変更届を出す前提として、二以上勤務者になったときには、もう1つ別の届書が必要です。これを出していないと、そもそも2つの会社の給与を合計する仕組みに乗りません。

その届書が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択/二以上事業所勤務届」です。つまり、2つの会社のうち、どちらを「主たる事業所」にするかを選ぶ届書です。日本年金機構の手続きページには、提出の期限と出す人が次のように書かれています。

事実発生から10日以内に被保険者が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構へ提出する必要があります。 出典: 日本年金機構

ここで大事なのは、この届書を出すのが会社ではなく、働いている本人だという点です。月額変更届は会社(事業主)が出すのに対して、所属選択の届書は本人が出します。役割が逆になっているので、ここで取り違える人が多いんです。

主たる事業所として選んだ会社の保険者(協会けんぽや健康保険組合)から、医療の給付を受けることになります。健康保険の料率も、選んだ会社の保険者の料率になります。そして、選んだ会社の所在地を受け持つ事務センターが、その人の手続きをまとめて扱うことになります。

提出先は、選んだ事業所の所在地を受け持つ事務センターか年金事務所です。マイナンバーを書いて郵送する場合は、マイナンバーカードの表裏のコピーなど、番号と本人を確かめる書類の添付が必要です。日本年金機構は「届出に不備や記入誤りの多い事例」として、郵送でこの確認書類を付け忘れるケースを挙げています。用紙は、日本年金機構の様式ページ「2-4:被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき」から、PDF版、エクセル版、記入例を入手できます。

短時間で働く人が二以上勤務者になる条件

副業や兼業で2つ目の会社に勤めるとき、「短い時間しか働かないから社会保険は関係ない」と思っている人がいます。ところが、働く時間や会社の規模によっては、パートやアルバイトでも加入の対象になります。2つの会社でそれぞれ条件を満たせば、二以上勤務者になります。

厚生労働省の社会保険適用拡大の特設サイトでは、短時間で働く人が加入の対象になる条件として、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生ではないこと、2か月を超えて雇われる見込みがあることが挙げられています。以前は「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金の要件もありましたが、同じサイトのQ&Aで、2026年10月に撤廃されたと案内されています。

会社の規模の条件もあります。2024年10月からは、従業員数(社会保険の被保険者数)が51人以上の会社で働く短時間労働者が対象です。厚生労働省は、この規模の条件を段階的に広げる予定を公表しており、従業員数36〜50人の会社は2027年10月から、21〜35人の会社は2029年10月から、11〜20人の会社は2032年10月から、10人以下の会社は2035年10月から対象になります。

つまり、いまは2つ目の勤め先で加入の対象になっていない人でも、勤め先の規模によっては、数年のうちに二以上勤務者になる可能性があります。副業先で働く時間を増やすときや、勤め先の会社が規模の拡大の対象になる時期には、加入の対象になるかどうかを勤め先の担当者に確かめておくと安心です。

二以上勤務者の標準報酬月額は2つの会社の給与を合計して決まる

二以上勤務者の社会保険料が、1つの会社だけで働く人とどう違うのかを見ていきます。月額変更届がなぜ必要になるかは、この仕組みを知ると分かりやすくなります。

健康保険法には、同時に2つ以上の事業所で報酬を受ける人の報酬月額について、次のような定めがあります(e-Govの健康保険法第44条第3項)。

同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項又は第一項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。 出典: e-Gov法令検索

つまり、会社ごとにそれぞれのルールで報酬月額を出し、その合計を本人の報酬月額にする、ということです。条文に並んでいる第43条第1項は、給与が大きく変わったときの見直し(随時改定)の規定です。会社ごとに見直しの計算をして、それを合算する形になっています。厚生年金保険法にも同じ趣旨の定め(第24条第2項)があります。

保険料の分け方は、日本年金機構のリーフレットに計算例があります。A社の報酬月額が200,000円、B社の報酬月額が100,000円の人なら、合算した標準報酬月額は300,000円です。これに厚生年金保険料率(1000分の183)をかけると、厚生年金保険料は月額54,900円になり、事業主と本人で半分ずつ負担するので、本人の負担は27,450円です。

この本人負担を、それぞれの会社の報酬の割合で分けます。A社では27,450円に「200,000円÷300,000円」をかけた18,300円、B社では27,450円に「100,000円÷300,000円」をかけた9,150円が、給与から差し引かれる計算です。健康保険料も、選んだ会社の保険者の料率を使って同じように分けます。

ここから分かるのは、片方の会社の給与が変わると、合計の標準報酬月額が変わり、両方の会社で差し引かれる保険料の額が変わるということです。A社で昇給があったのに、B社の保険料まで変わるのはこのためです。給与明細を見て、昇給していない方の会社の保険料が変わっていても、計算の誤りとは限りません。

月額変更届が必要になる3つの要件

月額変更届は、給与が少しでも変わったら出すものではありません。日本年金機構の「随時改定(月額変更届)」のページでは、次の3つの要件をすべて満たしたときに見直し(随時改定)を行うと説明されています。

1つ目は、昇給や降給などで「固定的賃金」が変わったことです。固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっている給与のことで、基本給、家族手当、住宅手当、役付手当などが当たります。日給や時給の単価が変わった場合、日給制から月給制に変わった場合、歩合の率が変わった場合も含まれます。残業手当のように、働いた時間で毎月変わる手当は固定的賃金ではないので、残業が増えただけでは対象になりません。

2つ目は、給与が変わった月から3か月間の報酬の平均で出した標準報酬月額と、それまでの標準報酬月額との間に「2等級以上」の差が出たことです。等級とは、標準報酬月額の段階のことで、1等級の差は、おおむね給与の数万円の違いに当たります。なお、標準報酬月額の上限や下限にまたがる変更の場合は、1等級の差でも見直しの対象になることがあります。厚生年金保険の標準報酬月額は1等級の88千円から32等級の650千円まで、健康保険は1等級の58千円から50等級の1,390千円までです。

3つ目は、その3か月間のどの月も、給与計算の対象になった日数(支払基礎日数)が17日以上あることです。特定適用事業所で働く短時間労働者は11日以上です。月給制なら暦の日数、日給制や時給制なら出勤した日数で数えます。

注意したいのは、固定的賃金が上がったのに、残業が減ったせいで3か月の平均が2等級以上下がった場合のように、固定的賃金の変化と平均額の変化の向きが逆のときは、対象にならない点です。詳細説明のPDFにも、この2つのケースは届書が不要だと明記されています。

標準報酬月額が見直されるのは、変更後の給与を初めて受け取った月から数えて4か月目です。たとえば4月に支払われた給与から変わった場合、4月から6月の平均で判定し、7月から新しい標準報酬月額になります。6月までに見直された標準報酬月額はその年の8月まで、7月以降に見直された場合は翌年の8月まで使われます。

二以上勤務者の場合に判定で気をつけること

二以上勤務者の場合は、前の節の要件を当てはめるときに、少し考え方が加わります。先ほどの健康保険法の条文のとおり、報酬月額は会社ごとに出して合算します。給与が変わった側の会社で見直しの計算をして、その結果を合算額に反映させる、という流れです。

競合する解説の中には、「各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか判断し、各事業所で2等級以上の変動がある場合に月額変更届が必要」と説明しているものもあります。一方で、合計の標準報酬月額で何等級変わるのかを気にする人もいます。実際の判定の細かい扱いは、2つの会社の給与の組み合わせによって結果が変わることがあります。会社の担当者が迷う場合は、選んだ事業所の所在地を受け持つ年金事務所に、給与の数字を手元に用意して問い合わせるのが確実です。

ここで、相談の現場でよくある例を1つ挙げます。2つの会社で正社員として働く人が、片方の会社で役職手当が付いて給与が上がったのに、もう片方の会社の担当者が「うちでは給与を変えていないから関係ない」と考えていた、というものです。実際には、標準報酬月額が見直されれば、もう片方の会社で差し引く保険料の額も変わります。決定の通知は届け出た会社に届きますが、本人が両方の会社に「片方で給与が変わった」と伝えておかないと、もう片方の会社の担当者が事情を把握できず、給与計算の処理が遅れることがあります。

つまり、二以上勤務者は、自分の給与の変化を2つの会社の両方に知らせる役割を自分で担う場面がある、ということです。会社同士は、本人の同意なく給与の情報を直接やり取りしないのが普通です。ここは本人が動いた方が早く、間違いも起きにくくなります。

月額変更届の書き方を項目ごとに確認する

用紙の書き方は、記入例のPDFと届書の2枚目にある説明に沿えば迷いません。ここでは、主な項目と、二以上勤務者が気をつける点を整理します。

被保険者整理番号は、社会保険に加入したときに会社ごとに割り振られた番号です。二以上勤務者は、会社によって番号が違うことがあるので、届書を出す会社で使っている番号を書きます。生年月日は、元号を番号(昭和は5、平成は7、令和は9)で書き、続けて年月日を書きます。

改定年月は、標準報酬月額が見直される年月で、変更後の給与を初めて支払った月から4か月目を書きます。日本年金機構は、この欄の書き漏れや書き間違いを、不備の多い事例の1番目に挙げています。たとえば、変更後の給与が令和7年10月に初めて支払われた場合、改定年月は令和8年1月です。

従前の標準報酬月額は、いまの標準報酬月額を千円単位で書き、その金額が適用された年月を従前改定月の欄に書きます。昇給や降給の欄には、変更があった給与を支払った月を書き、昇給か降給かに○を付けます。さかのぼって昇給の差額が支払われた場合は、遡及支払額の欄に支払った月と差額を書きます。

給与支給月と給与計算の基礎日数の欄には、変更後の給与を支払った月から3か月分を書きます。基礎日数は、月給制なら暦の日数、日給制や時給制なら出勤した日数です。給与の支払日の日付を書く欄ではないので注意が必要です。報酬の欄には、通貨で支払ったものと、食事や住宅などの現物で支払ったものを分けて書き、3か月の合計と平均額を出します。平均額は1円未満を切り捨てます。

そして、二以上勤務者にとって一番大事なのが備考欄です。届書の説明には、次のように書かれています。

「2.二以上勤務」は、被保険者(70歳以上被用者を含む)が2カ所以上の適用事業所で勤務している場合に○で囲んでください。 出典: 日本年金機構(月額変更届の様式)

備考欄には、ほかに「4. 昇給・降給の理由」の欄もあり、基本給の変更、家族手当の支給など、具体的な理由を書きます。短時間労働者に当たる場合は「3. 短時間労働者」にも○を付けます。二以上勤務で、かつ短時間労働者という人もいるので、当てはまるものすべてに○を付けます。

数字を当てはめて流れを確かめる

ここで、架空の例で届書を作るまでの流れを追ってみます。数字はあくまで説明のためのものです。

A社とB社の両方で社会保険に加入している人がいて、A社で基本給が上がり、変更後の給与が4月の支払日から支払われたとします。A社の担当者は、4月、5月、6月の3か月の給与を待ち、その3か月の支払基礎日数がどの月も17日以上あるかを確かめます。月給制なら暦の日数で数えるので、多くの場合は満たします。

次に、3か月の報酬の合計を出し、3で割って平均額を出します。この平均額を標準報酬月額の等級表に当てはめ、それまでの標準報酬月額と比べて等級の差を確かめます。等級表は、協会けんぽの都道府県支部ごとに保険料額表として公表されているので、担当者はそれを見て判定します。

差があると判断したら、7月を改定年月として月額変更届を作り、備考欄の「2. 二以上勤務」と「4. 昇給・降給の理由」(基本給の変更)に記入して、事務センターに出します。B社の担当者には、本人から「A社で給与が変わり、7月から標準報酬月額が見直される見込み」と伝えておきます。こうしておけば、B社でも差し引く保険料の額が変わることを前もって把握でき、給与計算で慌てずに済みます。

この流れのうち、本人が関わるのは、B社への連絡と、給与明細での確認の2点です。手続きの大半は会社が進めますが、2つの会社をつなぐ役は本人にしかできません。

提出先と提出の期限

月額変更届を出すのは、給与が変わった会社の事業主です。本人が自分で出す届書ではありません。日本年金機構の手続きページには、提出の時期と場所が次のように示されています。

提出の時期は「速やかに」です。何日以内という日数の定めではなく、要件に当てはまることが分かったら、できるだけ早く出すという意味です。見直しの判定には3か月分の給与が必要なので、実際には、変更後の給与を3回支払ったあとに届書を作ることになります。

提出先は、事務センターまたは管轄の年金事務所です。二以上勤務者の場合、所属選択の届書で選んだ事業所の所在地を受け持つ事務センターが、その人の手続きをまとめて扱います。会社が郵送で出すときは、送り先を間違えないよう、日本年金機構の「全国の事務センター一覧」で確かめます。

選んだ事業所が健康保険組合に加入している場合は、健康保険の分について、その健康保険組合への届け出も必要になります。健康保険組合によっては独自の様式や手順を定めていることがあるので、組合のホームページか担当窓口で確かめます。

本人の立場で知っておきたいのは、届書が出たあと、保険料の額が変わるのは改定年月の分からだという点です。改定年月が7月なら、7月分の保険料から新しい額になります。保険料をどの月の給与から差し引くかは会社の締め日や支払日で変わるので、給与明細で差し引かれる額が変わる月は、7月とは限りません。

提出の前後に本人が確かめておきたいこと

月額変更届は会社が出すものですが、二以上勤務者の場合は、本人が確かめておいた方がよいことがいくつかあります。届書の不備で差し戻されると、その分だけ手続きが遅れ、保険料の精算もずれ込むからです。

1つ目は、所属選択の届書が出ているかどうかです。2つ目の会社で社会保険に加入したのに、本人が所属選択の届書を出し忘れていると、合算の仕組みが正しく動きません。加入した時期から10日以内という期限があるので、過ぎてしまっている場合は、選んだ事業所を受け持つ年金事務所に早めに相談します。

2つ目は、両方の会社の担当者が、自分が二以上勤務者であることを知っているかどうかです。届書の備考欄に○を付けるのは会社の担当者なので、担当者が知らなければ○は付きません。入社のときに伝えたつもりでも、担当者が替わっていることもあります。

3つ目は、給与明細で保険料の額を確かめることです。改定年月を過ぎても保険料の額が変わらない、あるいは一方の会社だけ変わって他方が変わらない、といったことがあれば、会社の担当者に確認を頼みます。年金の記録は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確かめることもできます。

4つ目は、片方の会社を辞めたときの手続きです。退職した会社が資格喪失の届書を出すと、二以上勤務の状態ではなくなります。残った会社での給与だけで標準報酬月額が決まり直すことになるので、退職のときは残る会社の担当者にも知らせておきます。

二以上勤務者の手続きでつまずきやすい場面

ここからは、相談の現場でよく見る、つまずきやすい場面を整理します。いずれも、仕組みを知っていれば防げるものです。

1つは、副業の勤め先が社会保険の加入の対象になることを、本人も会社も想定していなかった場面です。たとえば、本業の会社で正社員として働きながら、規模の大きい会社で週20時間以上のアルバイトを始めた人は、アルバイト先でも加入の対象になり得ます。アルバイト先が資格取得の届書を出した段階で、本人が所属選択の届書を出す必要が出てきます。副業を始めるときは、働く時間と勤め先の規模を手元で確かめ、加入の対象になりそうなら、早めに両方の会社に相談しておくと慌てません。

2つ目は、本業の会社に副業を伝えていない場面です。二以上勤務者になると、保険料を2つの会社の報酬の割合で分けて差し引く仕組みになるので、どちらの会社も、もう1つの会社で社会保険に加入していることを前提に給与計算をすることになります。本業の会社に知られずに済ませることは、まず考えにくい形です。副業を会社に伝えずに始めることは、就業規則の内容によっては問題になることもあります。厚生労働省のモデル就業規則では、副業・兼業について、労働者は事前に会社に届け出るものとされています。勤め先の就業規則を事前に確認しておくことをおすすめします。

3つ目は、役員としての報酬と、別の会社での給与がある場面です。自分で会社を作って代表者をしながら、ほかの会社に勤める人もこの形になります。役員報酬は、株主総会などで決めた額で毎月同じ額を受け取ることが多いので、報酬を変えたときが月額変更の検討の時期になります。役員報酬の額を年の途中で変えると、税務上の扱いにも影響することがあるので、税理士などの専門家に相談したうえで進めます。

4つ目は、70歳以上の人の場面です。70歳以上で厚生年金保険の被保険者ではなくなった人も、働いて給与を受けている間は「70歳以上被用者」として届け出が必要です。月額変更届の備考欄には「1. 70歳以上被用者月額変更」の欄があり、二以上勤務であれば「2. 二以上勤務」にも○を付けます。70歳以上で複数の会社に勤める場合は、別に「厚生年金保険 70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出も必要になります。

いずれの場面でも、本人が自分の働き方を正確に伝えることが、手続きを早く正しく進めるための一番の近道です。分からないことがあれば、選んだ事業所を受け持つ年金事務所に電話で相談できます。相談は無料です。

複数の仕事を持つ働き方と社会保険の手続き

最後に、複数の仕事を持つ働き方が広がる中で、この手続きがどう位置づけられるかを整理しておきます。

厚生労働省は副業・兼業の促進に関するガイドラインを公表し、モデル就業規則でも副業を原則として認める形を示しています。2つの会社に雇われる働き方は、以前より珍しいものではなくなりました。社会保険の適用拡大も進み、短時間で働く人が加入の対象になる範囲は、2035年10月にかけて段階的に広がります。二以上勤務者の手続きに出会う人は、これから確実に多くなります。

一方で、副業の形は雇われるものばかりではありません。業務委託でWeb制作やライティング、アプリ開発を請け負う働き方は、社会保険の上では「雇われている」ことにならないので、二以上勤務者にはなりません。業務委託の収入は、本業の会社の標準報酬月額にも入りません。どちらの形で副業をするかで、社会保険の手続きは大きく変わります。

業務委託で受ける仕事の相場は、職種ごとの公的な統計からも読み取れます。たとえば、ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、システムやアプリを作る仕事の年収の分布と、業務委託の単価の目安を、厚生労働省の統計をもとに整理しています。文章を書く仕事なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、記者や編集者、ライターの年収と単価の水準を確かめられます。

業務委託の仕事の内容を知るには、職種ごとの解説も参考になります。アプリケーション開発のお仕事では、アプリ開発の案件で求められる技術や、在宅で受ける仕事の進め方を紹介しています。業務委託の契約で報酬が支払われないといったトラブルに備えるには、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、発注書や契約書に入れておくべき項目を確かめておくと安心です。

フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、複数の仕事を長く続けている人ほど、手続きの面倒を後回しにせず、最初の段階で勤め先や取引先に自分の働き方を伝えています。社会保険の届書も、契約書も、最初にきちんと整えておけば、後から揉めることはほとんどありません。業務委託の仕事では、仲介の手数料が乗らない直接の取引ができれば、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側も頼みやすくなります。手続きと契約の土台を固めておくことが、複数の仕事を無理なく続けるための前提です。

二以上勤務者の月額変更届は、用紙さえ分かれば、決して難しい手続きではありません。通常の月額変更届の備考欄で「2. 二以上勤務」に○を付ける。この1点を覚えておけば、会社の担当者とも話が通じやすくなります。分からないことは年金事務所に相談できます。制度は、正しく使う人の味方です。

よくある質問

Q. 二以上勤務者の月額変更届には専用の用紙がありますか?

専用の用紙はありません。日本年金機構の様式ページにある「被保険者報酬月額変更届/70歳以上被用者月額変更届」を使い、備考欄の「2. 二以上勤務」に○を付けて提出します。用紙はPDF版とエクセル版があり、記入例と詳細説明のPDFも同じページから無料でダウンロードできます。

Q. 二以上勤務者の月額変更届は誰が提出しますか?

給与が変わった会社の事業主が提出します。本人が出す届書ではありません。ただし、2つの会社で社会保険に加入したときに出す「所属選択・二以上事業所勤務届」は、本人が事実の発生から10日以内に提出します。月額変更届と所属選択の届書で、出す人が違う点に注意が必要です。

Q. 月額変更届の提出先はどこですか?

提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。二以上勤務者の場合は、所属選択の届書で選んだ事業所の所在地を受け持つ事務センターが手続きをまとめて扱います。選んだ事業所が健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合への届け出も必要です。提出は電子申請、郵送、窓口持参のいずれでもできます。

Q. 片方の会社だけ昇給したのに、もう片方の保険料も変わるのはなぜですか?

二以上勤務者の標準報酬月額は、2つの会社の報酬月額を合計して決まり、保険料はそれぞれの会社の報酬の割合で分けて差し引かれるためです。片方の給与が変わると合計の標準報酬月額が見直され、両方の会社で差し引く額が変わります。額に疑問があれば、会社の担当者か年金事務所に確認します。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月10日最終更新:2026年10月5日
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