東京消防庁の情報漏洩|採点委託先レベルエンターへの不正アクセスで採用試験の論文198件が漏えいの可能性 受験者が知ること 2026


この記事のポイント
- ✓東京消防庁の情報漏洩は
- ✓採点を委託する株式会社レベルエンターのサーバーへの不正アクセスが原因で
- ✓過去の採用試験の論文答案の画像と添削結果198件に漏えいのおそれがあると2026年10月27日に公表されました
東京消防庁は2026年10月27日、採用試験の論文の採点を委託している株式会社レベルエンターのサーバーが不正アクセスを受け、過去の採用試験の論文答案の画像と添削結果198件が外部に漏えいしたおそれがあると公表しました。 198件のうち1件に東京消防庁の職員の氏名が記載されており、その他には個人情報の記載が無いこと、そして実際の採用試験の合否への影響は無いことも、同じ公表の中に書かれています。 受験した人や受験を予定している人がまずすることは、東京消防庁やレベルエンターを名乗る不審なメールや電話に応じないこと、合否や個人情報について不安があれば東京消防庁の人事部人事課採用係(03-3212-2111 内線3166)に問い合わせること、この2つです。
この記事では、東京消防庁の公表と、委託先である株式会社レベルエンターの公表をそれぞれ開いて確かめた内容だけを、2026年10月28日時点で整理します。報道で伝えられている内容は出典にしていません。
2026年10月28日時点で分かっていること(公表の経緯)
まず、何がいつ分かったのかを日付の順に並べます。東京消防庁の公表と、レベルエンターの公表で、分かっている範囲が違うので、どちらの発表かも書き分けます。
- 2026年10月21日。レベルエンターの担当者がサーバーの点検中に不審なプログラムの動作を見つけ、不正アクセスを受けていたことを確認(レベルエンターの第1報)。同日、レベルエンターは個人情報保護委員会へ漏えい等報告(速報)を提出
- 2026年10月22日。レベルエンターから東京消防庁へ報告(東京消防庁の公表では「翌日に報告を受け」)。同日、レベルエンターが自社サイトで第1報を公表
- 2026年10月23日。レベルエンターが、学校向けサービスの利用校に向けて生徒・保護者向けのお詫び文の提供を開始したと案内
- 2026年10月27日。東京消防庁が「業務委託業者への不正アクセスによる情報漏えいのおそれについて」を公表。同日、レベルエンターも東京消防庁の件について自社サイトでお詫びを掲載し、個人情報保護委員会へ第2報(続報)を提出
- 2026年10月28日。レベルエンターが第2報の内容を自社サイトで公表。報告の最終版(確報)は2026年12月20日までに個人情報保護委員会へ提出するとしている
東京消防庁の公表は、2026年10月28日時点で10月27日の1本だけです。東京消防庁のお知らせ一覧を辿っても、続報や訂正は掲載されていません。東京消防庁の公表文は次のとおりです。
令和8年10月21日(水)、採用試験論文の採点を委託している株式会社レベルエンターの自社サーバーに不正アクセスを受けたことが判明し、翌日に報告を受け、業者の論文添削サービスの導入試験のために当庁が提出していた過去の採用試験の論文等が、外部に漏えいしたおそれがあるものです。 出典: tfd.metro.tokyo.lg.jp
ここで押さえておきたいのは、東京消防庁の表現が「漏えいしたおそれがある」であって、「漏えいした」とは書かれていない点です。委託先のレベルエンターも、サーバーの記録からは情報が実際に持ち出されたかどうかを確認できておらず、持ち出された証拠も、持ち出されていない証拠も見つかっていないため、「漏えいしたおそれがある」として報告していると説明しています。この記事でも、その表現のまま書きます。
漏えいのおそれがある情報の表(含まれるものと、含まれないもの)
東京消防庁が公表した「外部に漏えいした可能性がある情報」と、公表の中で否定または限定されている事柄を、表で分けます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 漏えいのおそれがある情報 | 過去の採用試験の論文答案の画像と、論文添削サービスを用いた添削結果(198件) |
| 個人情報の記載 | 198件のうち1件に東京消防庁の職員の氏名が記載。その他には個人情報の記載なし |
| 提供した目的 | 委託先の論文添削サービスの導入試験のために東京消防庁が提供したもの |
| 採用試験への影響 | 実際の採用試験の合否への影響はなし(公表の記載) |
| 持ち出しの事実 | 委託先からは「現在まで、当庁の情報が不正に持ち出された事実は確認できていないが、漏えいしたおそれがあるもの」として報告 |
| 悪用 | 本件の情報を悪用された事実は現時点で確認されていない |
対象は198件で、そのうち氏名が記載されているのは1件、しかもそれは受験者ではなく東京消防庁の職員の氏名です。受験者の氏名、受験番号、住所、連絡先といった情報が漏えいのおそれのある情報に含まれるとは、東京消防庁の公表には書かれていません。
一方で、東京消防庁の公表には「含まれない」と明記された項目の一覧は無く、あるのは「その他は個人情報の記載はありません」という1文です。この記事では、公表に無い項目を「含まれない」と断定して書くことはせず、公表の文言のとおりに書いています。
受験者が不安に思う3つの点に、公式の記載で答える
「東京消防庁 情報漏洩」と調べる人の多くは、過去に東京消防庁の採用試験を受けた人か、これから受ける人です。不安に思う点は大きく3つに絞れます。それぞれに、東京消防庁とレベルエンターの公表に書かれている範囲で答えます。
自分の答案が外に出たのか
東京消防庁の公表によれば、対象は「過去の採用試験の論文答案の画像及び論文添削サービスを用いた添削結果(198件)」です。ただし、これは委託先の添削サービスの導入試験のために東京消防庁が提供したものであり、採用試験で提出された答案のすべてが委託先に渡っていたという記載はありません。どの年度の、どの試験区分の答案が198件に含まれるのかは、公表には書かれていません。自分の答案が含まれているかを知りたい場合は、東京消防庁の問い合わせ先に確認するほかありません。
また、「外に出た」と言い切れる段階でもありません。レベルエンターの第1報は、持ち出されたことを示す証拠も、持ち出されていないことを示す証拠も見つかっていないと説明しています。2026年10月28日時点では、外部の専門調査会社による調査(フォレンジック調査。サーバーに残った記録を専門家が解析して、何が行われたかを確かめる調査のこと)がこれから進む段階です。
合否に影響するのか
東京消防庁の公表に、はっきり書かれています。
業者サービスの導入試験のために提供したものであり、実際の採用試験合否への影響はありません。 出典: tfd.metro.tokyo.lg.jp
つまり、委託先に渡っていたのは「添削サービスを導入するかどうかを試すための材料」であって、採点の結果そのものを委託先のサーバーで決めていたわけではない、という説明です。過去の試験の合否が変わることも、今後の試験に影響することも、公表の記載上はありません。
自分の名前が出たのか
198件のうち氏名が記載されていたのは1件で、それは東京消防庁の職員の氏名です。その他の件には個人情報の記載が無いと公表されています。受験者の氏名が含まれているという記載はありません。
ここで1つ、レベルエンターの第2報に書かれている事柄に触れておきます。レベルエンターは10月27日に、答案画像を読み取る際にファイル名に含まれる氏名や受験番号などが答案データに記録されることを確認した、と公表しています。ただしこれは、学校向けサービスの利用者の数を再精査する中で分かったこととして書かれており、東京消防庁の198件にも同じことが当てはまるとは、どちらの公表にも書かれていません。東京消防庁の公表は10月27日の時点で「その他は個人情報の記載はありません」としていますので、この記事ではその記載のとおりに書きます。もし東京消防庁から続報が出た場合は、そちらが優先されます。
原因(委託先レベルエンターの公表による)
東京消防庁の公表には、不正アクセスの原因の詳細は書かれていません。原因について書かれているのは、委託先のレベルエンターの公表です。レベルエンターの第1報と、10月28日に公表された第2報に書かれている範囲で整理します。
レベルエンターの第1報によれば、攻撃者は2025年12月5日に、サーバー上のソフトウェア(Webアプリケーションの基盤ソフトウェア)の脆弱性を悪用して侵入し、外部からサーバーを操作できるプログラムを設置していました。脆弱性とは、ソフトウェアに残っていた欠陥のうち、外部からの攻撃に使われうるもののことです。このため、2025年12月5日から2026年10月21日まで、攻撃者がサーバー内のデータを見たり取り出したりできる状態にあったと説明されています。
攻撃者は、2025年12月5日、サーバー上のソフトウェア(Webアプリケーションの基盤ソフトウェア)の脆弱性を悪用して侵入し、外部からサーバーを操作できるプログラムを設置していました。 出典: levelenter.com
10月28日の第2報では、侵入から発覚までの経過がさらに細かく公表されています。要点は次のとおりです。
- 2025年11月11日。脆弱性のあるバージョンの旧系統アプリケーションが本番サーバーで稼働を開始
- 2025年12月3日。このアプリケーションが使う部品(React)の脆弱性が公開
- 2025年12月5日。攻撃者がこの脆弱性を突いて侵入し、遠隔操作用のプログラムを設置
- 2025年12月5日から8日。同種の攻撃と、外部から遠隔操作プログラムを取り込んで実行した痕跡を記録
- 2026年2月3日。遠隔操作プログラムの設定が更新(侵入後も攻撃者が操作していた可能性)
- 2026年9月17日。接続元が特定できない管理者権限でのログインを確認(調査中)
- 2026年10月21日。レベルエンターの担当者がサーバー調査中に不審なプロセスと外部への常時接続を発見し、不正アクセスを確認
侵入に至った詳しい経緯や原因は、外部の専門調査会社による調査で明らかにし、判明しだい報告するとレベルエンターは書いています。2026年10月26日に調査の依頼先を決定したとありますので、2026年10月28日時点では調査の結果はまだ出ていません。この記事でも、原因の最終的な結論は「調査中と公表されている」と書くにとどめます。
東京消防庁と委託先の対応
東京消防庁の公表に書かれている委託先の対応は、次の3点です。
- 不正アクセスを受けたサーバーの停止と新サーバーへの移行
- 本事案の公表
- 第三者機関による調査
レベルエンターの公表では、これに加えて次の対応が書かれています。
- 不正アクセスの確認と、侵入の経路と時期の特定(2026年10月21日)
- 調査のための記録の保全(サーバーのディスクとデータベースの複製取得)
- 個人情報保護委員会への報告(速報を10月21日、第2報を10月27日に提出。最終版の確報は12月20日までに提出予定)
- 旧サーバーで使用していたシステムの認証情報(パスワード、鍵など)の無効化と変更
- 2026年10月24日から25日にかけて、セキュリティ対策を強化した新しいサーバー環境にシステムを再構築し、10月25日に新しい環境でサービスを再開
- 再発防止策として、管理者権限での動作の廃止、外部からの不要な接続の遮断、脆弱性情報の継続的な監視と修正の適用、不正アクセスを早期に見つける監視と記録の仕組みの導入、パスワードの保存方式の変更
東京消防庁の側で、受験者への個別の通知を行うという記載は、2026年10月28日時点の公表にはありません。補償やお詫びの品についての記載もありません。公表に書かれていないことは、この記事でも書きません。
公表に書かれていないこと(2026年10月28日時点)
検索結果には、公表に無い内容まで断定している解説が混ざります。読む側が「それは公表に書かれているのか」を判断できるように、東京消防庁とレベルエンターの公表のどちらにも書かれていない事柄を並べておきます。
- 198件の答案が、どの年度、どの試験区分のものか
- 198件に、同じ受験者の答案が複数含まれるのか、198人分なのか(公表は「198件」であり、人数は書かれていない)
- 東京消防庁が委託先にいつ答案を提供したのか
- 東京消防庁がレベルエンターの添削サービスを実際に導入したのか、導入試験の結果はどうだったのか
- 東京消防庁から受験者への個別の通知、補償、お詫びの有無
- 東京消防庁が個人情報保護委員会へ報告したかどうか
- 不正アクセスの侵入経路の最終的な結論(レベルエンターは外部調査の結果を待つとしている)
- 東京消防庁の答案が、実際に外部へ持ち出されたかどうか(レベルエンターは「確認できていない」としている)
これらについて断定している情報を見かけたら、その情報の出典が東京消防庁かレベルエンターの公表そのものかを確かめてください。公表に無いことを書いている場合、その情報は推測です。この記事では、上の事柄についてはいずれも「公表に書かれていない」とだけ書いています。
委託先の公表が扱う「別の範囲」(学校向けサービスの利用者情報)
レベルエンターの公表を読むと、東京消防庁の件とは別の範囲の情報についても漏えいのおそれがあるとされています。混同しやすいので、ここで分けて書きます。
レベルエンターが不正アクセスを受けたサーバーは、論文添削サービス「AI.R-Scorer」を運用しているサーバーです。このサービスは学校向けに提供されており、第1報では、漏えいしたおそれのある情報として次が挙げられています。
- 教職員と生徒の利用者アカウントの氏名、メールアドレス、パスワード(元に戻せない形に変換したハッシュ値)、最終ログイン日時
- 生徒の学籍番号、学校名、クラス名、学年
- 生徒の答案(手書き答案の画像を含む)、採点結果、講評
- 契約と取引の担当者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス
クレジットカード情報は、このサービスでは取り扱っておらず、漏えいは無いとされています。
これらは学校向けサービスの利用者の情報であり、東京消防庁の採用試験の受験者の情報ではありません。東京消防庁の件は、同じサーバーに「導入試験のために提供した過去の答案と添削結果198件」があった、という位置づけです。レベルエンターは、学校の利用者に対してはサービスのパスワードの変更と、同じパスワードを他のサービスで使っている場合はそちらも変更するよう求めていますが、東京消防庁の受験者に対して何かを求める記載は、東京消防庁の公表にもレベルエンターの公表にもありません。
受験者の中に、高校や予備校で AI.R-Scorer を使っていた人がいれば、その人はこちらの範囲でも対象になりえます。その場合は、学校からの案内に従い、必要なら上の窓口(レベルエンターの AI.R-Scorer 個人情報漏えい対応窓口)に直接問い合わせてください。レベルエンターは第2報で、生徒や保護者からの質問は学校を通さずに直接受け付けると書いています。
自分が対象かを確かめる方法
東京消防庁の件に限って言えば、2026年10月28日時点で受験者が自分で確かめられる手段は、東京消防庁への問い合わせだけです。公表には、対象者への個別通知、マイページでの確認、対象かどうかを調べる専用ページといった記載がありません。
確かめる前に、公表の記載から分かることを並べておきます。
- 198件のうち、氏名が記載されているのは職員の1件だけ。受験者の氏名が記載された答案が含まれるとは公表されていない
- 採用試験の合否への影響は無い
- 悪用された事実は確認されていない
したがって、「自分の答案が198件に含まれるかどうか」を知りたい場合も、知ったうえで受験者にできることは限られます。それでも確かめたい場合は、東京消防庁の人事部人事課採用係に電話で問い合わせます。電話番号は03-3212-2111(内線3166)です。受付時間は公表に書かれていないため、この記事では書きません。
問い合わせるときは、受験した年度と試験区分(消防官の採用試験のどの類か、など)を手元に用意しておくと、やり取りが短くて済みます。
受験者と受験予定者がすること
漏えいのおそれがある情報に合わせて、本当に必要なことだけを書きます。この件では、パスワード、メールアドレス、クレジットカード情報といった、変更や監視が要る情報は、東京消防庁の公表の範囲では含まれていません。そのため、パスワードの変更やカード明細の確認は、東京消防庁の件に限って言えば必要ありません。
必要なのは、次の2つです。
東京消防庁や委託先を名乗る不審な連絡に応じない
情報漏えいが公表された直後は、その公表に便乗して「対象かどうかを確認するため」「補償の手続きのため」と称するメール、SMS、電話が届くことがあります。東京消防庁の公表には、受験者に対して何かの手続きや入力を求める記載はありません。レベルエンターも、本件に関してパスワードや金銭を尋ねることは無いと公表しています。
見分け方は単純で、「向こうから連絡が来て、何かを入力させたり、支払わせたりしようとする」ものは応じないことです。確認したいことがあれば、連絡に書かれた番号やリンクではなく、東京消防庁の公式サイトに載っている番号に自分からかけます。偽のメールの特徴や、職場での訓練の考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドにまとめてあります。
自分のメールアドレスが別の漏えいに含まれていないかを調べる
この件で受験者のメールアドレスが漏えいのおそれのある情報に含まれるという記載はありませんが、受験者の多くは、他のサービスにも同じメールアドレスを登録しています。この機会に、自分のメールアドレスが過去の漏えいに含まれていないかを確かめておくと、他の件での二次被害を防げます。無料で調べる手順はHave I Been Pwned の使い方で説明しています。調べた結果、過去の漏えいに含まれていた場合は、そのサービスのパスワードを変え、同じパスワードを他で使い回していればそちらも変えます。
学校向けサービス AI.R-Scorer を使っていた人は、上の「別の範囲」で書いたとおり、サービスのパスワードの変更がレベルエンターから求められています。その場合は、ログイン後の画面上部のユーザーアイコンから「パスワード変更」で変更できると第1報に書かれています。
委託先で事故が起きたときの流れ(個人情報保護委員会の公式ページで確かめた範囲)
今回のように、自分の情報を預けた先(東京消防庁)ではなく、その委託先(レベルエンター)で不正アクセスが起きた場合、どのような流れで公表や報告が進むのかを、個人情報保護委員会の公式ページに書かれている範囲で説明します。個人情報保護委員会とは、個人情報保護法を所管する国の機関で、事業者や行政機関から漏えいの報告を受ける窓口のことです。
個人情報保護委員会のページでは、漏えい等報告が義務付けられる場合の1つとして、「不正の目的をもって行われたおそれがある当該個人情報取扱事業者に対する行為による個人データの漏えい等(又はそのおそれ)」が挙げられており、例として「個人データを格納しているサーバー等において、外部からの不正アクセスによりデータが窃取された場合」が示されています。つまり、不正アクセスによる漏えいは、件数にかかわらず報告の対象です。
発覚したら、まずは速やかに報告してください。 不正な目的で行われたおそれがある場合は、発覚日から、60日以内 出典: ppc.go.jp
レベルエンターの公表にある「10月21日に速報、10月27日に第2報、12月20日までに確報」という動きは、この決まりに沿ったものです。発覚日の10月21日から60日以内が12月20日に当たります。確報とは、調査の結果をふまえた最終版の報告のことで、速報の段階では分からなかった原因や件数がここで確定します。
また、同じページには「行政機関等」(国の行政機関、地方公共団体の機関などを含む)向けの要件も並んでおり、行政機関等の場合は「保有個人情報に係る本人の数が100人を超える漏えい等(又はそのおそれ)」も報告の対象とされています。東京消防庁は東京都の機関ですので、報告先と要件はこちらの枠組みで考えることになりますが、東京消防庁が個人情報保護委員会へ報告したかどうかは、2026年10月28日時点の公表には書かれていません。
受験者にとって大事なのは、調査の節目が公表の節目になる、という点です。東京消防庁の公表は10月27日の1本ですが、委託先の確報の期限が12月20日ですから、それまでに新しい事実が分かれば、東京消防庁のお知らせ一覧に続報が載る可能性があります。確かめるときは、検索結果に出てくる解説記事ではなく、東京消防庁の公式サイトのお知らせ一覧を直接見てください。
在宅で採点や添削の仕事を受けている人への注意
この件で見落とされがちなのが、答案の採点や添削を在宅で請け負っている人の立場です。採点や添削の仕事は、答案という「他人の文章」と、場合によっては受験者の氏名や受験番号を預かる仕事です。今回のレベルエンターの第2報でも、答案画像のファイル名に氏名や受験番号が含まれ、それが答案データに記録されていたことが、対象者の再精査の理由になっています。
在宅で採点や添削を受けている人が、自分の環境で同じことが起きないようにするために確かめることは3つです。
- 答案のファイルを自分のパソコンに保存するとき、ファイル名に受験者の氏名や番号が入っていないか。入っているなら、発注元の指示に従って、必要が無くなった時点で削除する
- 発注元から答案を受け取る経路(メール添付か、専用のサイトか)と、作業後の返却と削除の決まりが、契約書や業務の案内に書かれているか。書かれていなければ、発注元に確認する
- 発注元のサイトにログインするパスワードを、他のサービスと使い回していないか。使い回しているなら、今日のうちに別のものに変える
取引先の情報を預かる立場で、自分のパソコンやアカウントに不正アクセスの疑いが出た場合は、まず発注元に知らせます。自分自身に個人情報保護法上の報告義務があるかどうかは、個人で事業として個人情報を扱っているかどうかで変わりますので、個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849)で確かめるのが確実です。この番号は、個人情報保護委員会の公式ページの末尾に記載されています。
在宅ワークの求人サイト @SOHO では、2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として、採点や添削のように他人の情報を預かる仕事ほど、受ける側のアカウントの守り方が取引の継続を左右する場面を見てきました。セキュリティの知識を仕事にする道も含めて、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と、求められる知識の水準を整理しています。
発注する側の立場であれば、答案のような情報を外部に渡す前に、受け手の側でどこまで対策が取れているかを確かめる必要があります。社内と委託先の両方でログインの守りを固める方法は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版が参考になります。多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに届く確認コードなど、もう1つの確認を組み合わせてログインさせる仕組みのことです。
問い合わせ窓口
公式に載っている窓口だけを書きます。
| 件 | 窓口 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 東京消防庁の採用試験の答案と添削結果(198件)について | 東京消防庁 人事部 人事課 採用係 | 03-3212-2111(内線3166) |
| 学校向けサービス AI.R-Scorer の利用者情報について | 株式会社レベルエンター AI.R-Scorer 個人情報漏えい対応窓口 | メール [email protected]、電話 03-4446-6577(平日9時から18時) |
東京消防庁の窓口の受付時間は公表に書かれていません。レベルエンターの窓口は、第1報と第2報の両方に「平日 9:00〜18:00」と記載されています。
公表の読み方と、次に確かめること
最後に、この件をどう読むかを整理します。
東京消防庁の公表で確定しているのは、「198件に漏えいのおそれがある」「氏名の記載は職員の1件だけ」「合否への影響は無い」「悪用は確認されていない」の4点です。確定していないのは、「実際に持ち出されたかどうか」と「侵入の原因の最終的な結論」の2点で、これは委託先の外部調査の結果を待つ段階です。
受験者の立場で言えば、今日できることは、不審な連絡に応じないことと、自分のメールアドレスが他の漏えいに含まれていないかを調べておくことです。合否や答案について確かめたいことがあれば、東京消防庁の採用係に直接問い合わせます。
続報を確かめる手順も書いておきます。東京消防庁の公式サイトを開き、トップページの「お知らせ」の一覧を見ます。2026年10月28日時点では、一覧の10月27日の欄に「業務委託業者への不正アクセスによる情報漏えいのおそれについて」が載っており、その上に新しいお知らせが増えていなければ、続報はまだ出ていないと判断できます。委託先の側は、レベルエンターの公式サイトの「新着情報」に、第1報、お詫び文の案内、東京消防庁の件についてのお詫び、第2報の順で並んでいます。この2か所のどちらにも載っていない内容は、2026年10月28日時点では公式に確かめられていない内容です。
2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、情報漏えいの公表のあとに実際に被害につながるのは、漏えいした情報そのものより、公表に便乗した偽の連絡であることが多いです。公表の中身を正しく知っておくことが、偽の連絡を見抜く一番の近道になります。この件で「手続きが必要」「補償を受け取れる」と言ってくる連絡は、2026年10月28日時点の公表には根拠がありません。
セキュリティの知識を身につけて仕事に活かしたい人は、ネットワークの基礎を体系的に学べるCCNA(シスコ技術者認定)のページで、試験の範囲と在宅の仕事への活かし方を確認できます。
よくある質問
Q. 東京消防庁の採用試験を受けたことがある人は、全員が対象ですか?
いいえ。東京消防庁の公表では、対象は委託先の添削サービスの導入試験のために提供した過去の論文答案の画像と添削結果198件です。採用試験の受験者全員の答案が委託先に渡っていたという記載はありません。198件のうち氏名が記載されているのは職員の1件で、その他には個人情報の記載が無いと公表されています。自分の答案が含まれるかを知りたい場合は、東京消防庁の人事部人事課採用係(03-3212-2111 内線3166)に問い合わせます。
Q. 過去の試験の合否や、これからの試験に影響はありますか?
東京消防庁の公表に「業者サービスの導入試験のために提供したものであり、実際の採用試験合否への影響はありません」と明記されています。委託先に渡っていたのは添削サービスを試すための材料であり、採点の結果を委託先のサーバーで決めていたわけではないという説明です。過去の合否が変わることも、今後の試験に影響することも、公表の記載上はありません。
Q. パスワードの変更やクレジットカードの確認は必要ですか?
東京消防庁の件に限って言えば、必要ありません。漏えいのおそれがある情報は論文答案の画像と添削結果で、パスワード、メールアドレス、クレジットカード情報は含まれると公表されていません。ただし、委託先の学校向けサービス AI.R-Scorer を高校や予備校で使っていた人は、そちらの範囲で利用者アカウントの情報が対象になりえます。その場合はレベルエンターがサービスのパスワードの変更を求めています。
Q. 続報はどこで確かめればよいですか?
東京消防庁の公式サイトのお知らせ一覧と、株式会社レベルエンターの新着情報の2か所です。2026年10月28日時点で東京消防庁の公表は10月27日の1本だけで、続報や訂正はありません。レベルエンターは外部の専門調査会社による調査を進めており、最終版の報告(確報)を2026年12月20日までに個人情報保護委員会へ提出するとしています。新しい事実が分かれば、その前後に公表が更新される可能性があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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