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派遣社員と正社員の違い|雇用の仕組み

@SOHO編集部
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派遣社員と正社員の違い|雇用の仕組み

この記事のポイント

  • ✓派遣社員と正社員の違いを
  • ✓雇用主と指揮命令の分かれ方
  • ✓3年ルールと雇用安定措置

派遣社員と正社員のいちばん大きな違いは、雇ってくれる会社と、毎日指示を出す会社が同じかどうかです。正社員は働く会社に直接雇われますが、派遣社員は派遣会社に雇われ、派遣先の会社で指示を受けて働きます。この仕組みの違いから、働ける期間の上限、給料の決まり方、契約が終わるときの扱いが分かれていきます。

転職活動の途中で「正社員はなかなか決まらないから、派遣も考えたほうがいいのかな」と迷っている人は少なくありません。迷うのは自然なことです。どちらが正しいという話ではなく、仕組みを知ったうえで今の自分に合うほうを選べば大丈夫です。この記事では、雇用の仕組み、3年ルール、待遇の決まり方、派遣で禁止されていること、メリットとデメリット、選び方までを、厚生労働省の資料と法律の条文をもとに順に説明します。

派遣社員と正社員の違いを一覧で確かめる

最初に、主な違いを表に整理します。細かい説明はこのあとの節で順に行います。

比べる点 正社員 派遣社員
雇用主(労働契約を結ぶ相手) 働く会社 派遣会社(派遣元)
仕事の指示を出すのは 働く会社 派遣先の会社
給料を払うのは 働く会社 派遣会社
契約の期間 期間の定めがないのが一般的 有期が多い(無期雇用派遣もある)
同じ職場で働ける期間 上限なし 同じ課では原則3年まで
社会保険の手続き 働く会社 派遣会社
有給休暇を与えるのは 働く会社 派遣会社
異動や転勤 会社の命令であり得る 契約で決めた業務と場所の範囲
賞与や退職金 会社の制度による 待遇の決め方の方式による

正社員という言葉には、法律で決められた定義はありません。一般には、期間の定めがない契約で、フルタイムで、働く会社に直接雇われている人を指します。一方の派遣社員は、労働者派遣法という法律で仕組みが細かく決められている働き方です。労働者派遣法とは、派遣会社と派遣先が守るべきルールと、派遣で働く人を守るためのルールをまとめた法律のことです。

この表で押さえておきたいのは、派遣社員にも給料、社会保険、有給休暇がきちんとあり、その責任を持つのが派遣会社だという点です。働く場所は派遣先でも、困ったときに最初に相談する相手は派遣会社の担当者になります。

雇用の仕組みの違いは「誰と契約し、誰の指示で働くか」

正社員の場合、働く会社と労働契約を結び、その会社から給料を受け取り、その会社の上司から仕事の指示を受けます。登場するのは、働く人と会社の2者だけです。

派遣社員の場合は、3者が登場します。働く人と労働契約を結ぶのは派遣会社です。派遣会社と派遣先の会社は、派遣契約という別の契約を結びます。働く人は派遣先で、派遣先の社員から仕事の指示を受けます。厚生労働省のパンフレットは、この役割分担をこう説明しています。

派遣の場合、基本的に労働基準関係法令(労働基準法など)などに関する責務は、派遣労働者の雇用主である派遣元事業主が負います(一部は派遣先が負う場合もあります)。 出典: 厚生労働省「派遣で働くときに特に知っておきたいこと」

同じパンフレットでは、直接雇用と派遣を比べて、労働契約を結ぶのも、賃金を払うのも、社会保険の手続きをするのも、有給休暇を与えるのも、休業手当を払うのも派遣元だと整理しています。勤務先と仕事の指示を出すのは派遣先です。

派遣には、登録型と無期雇用型があります。登録型は、派遣会社に登録しておき、派遣先が決まったときに、その派遣の期間に合わせて派遣会社と有期の労働契約を結ぶ形です。無期雇用型は、派遣会社に期間の定めなく雇われ、派遣先が変わっても派遣会社との雇用が続く形です。無期雇用派遣は、派遣先がない期間も派遣会社に雇われているため、給料の支払いが続くのが一般的です。

この3者の関係は、慣れないうちはややこしく感じます。迷ったときは「給料の明細を出しているのはどこか」を見ると、雇用主が分かります。

派遣社員の数と、正社員との賃金の差

厚生労働省が総務省の労働力調査をもとにまとめた資料によると、2025年平均の派遣社員の数は156万人で、非正規雇用で働く人全体の7.3%にあたります。非正規雇用とは、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託などの働き方をまとめた呼び方です。非正規雇用の中で最も多いのはパートで、派遣社員はそれほど大きな割合ではありません。

同じ資料では、正社員として働く機会がなく、やむを得ず非正規雇用で働いている人の割合が、2025年平均で8.4%と示されています。この割合は2013年の19.2%から下がり続けています。非正規雇用で働く人の多くは、家庭の事情や働く時間の都合など、何らかの理由があって今の働き方を選んでいることが読み取れます。

賃金の差もはっきりしています。同じ資料にある賃金構造基本統計調査の集計(2025年6月分の所定内給与)では、フルタイムで働く人の1時間あたりの平均賃金は、正社員が2,215円、正社員以外が1,530円でした。所定内給与とは、残業代や賞与を除いた、決まった時間に対して払われる給料のことです。

ここで注意したいのは、正社員以外の数字には派遣社員だけでなく契約社員なども含まれている点です。もう1つは、年齢が上がるほど差が開く点です。正社員の賃金は年齢とともに上がる傾向が強く、正社員以外は年齢による伸びが小さいという形になっています。若いうちは差が小さく見えても、10年、20年と働く前提で考えると差は大きくなります。

正社員の選考がなかなか通らず、派遣も考え始めたという相談はよくあります。そのときに気をつけたいのが、時給だけで比べないことです。時給だけで比べると派遣のほうが高く見える求人もありますが、賞与、昇給、退職金、仕事がない期間まで含めて、年単位で比べることが大切です。

働ける期間の違い:派遣の3年ルール

正社員には、同じ職場で働ける期間の上限はありません。派遣社員には、労働者派遣法で期間の上限が決められています。これが、いわゆる派遣の3年ルールです。期間の上限には2種類あります。

1つ目は、働く人ごとの上限です。同じ派遣社員が、派遣先の同じ組織単位で働けるのは3年までです。組織単位とは、課やグループのように、仕事の割り振りを決める上司がいる職場の単位のことです。労働者派遣法の第35条の3には、派遣会社は同じ組織単位で3年を超えて同じ派遣労働者を派遣してはならないと書かれています。課が変われば、同じ派遣先で働き続けることはできます。

2つ目は、職場ごとの上限です。派遣先の同じ事業所が派遣社員を受け入れられる期間も、原則3年です。ただし、派遣先が社内の労働組合などから意見を聞く手続きを取れば、この期間は延長できます。こちらは派遣先の会社が守るルールで、働く人が交代しても期間は続けて数えられます。

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。 出典: e-Gov法令検索「労働者派遣法」第40条の2

次の人や業務は、例外として期間の上限の対象になりません。

  • 派遣会社に無期で雇われている派遣社員
  • 60歳以上の派遣社員
  • 事業の開始や廃止などのために、決まった期間で終わる予定の業務
  • 1か月の勤務日数が、派遣先の社員より相当少なく、かつ月10日以下の業務
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業などを取る社員の代わりの業務

3年という数字だけが一人歩きしがちですが、大事なのは「同じ課で3年たったら、そこでは働けなくなる」という点です。3年後に派遣先から直接雇われるのか、別の派遣先に移るのか、派遣会社に無期で雇われるのかは、この時点で決まることが多くなります。

3年が近づいたときの雇用安定措置

3年ルールがあるからといって、3年で放り出されるわけではありません。労働者派遣法は、派遣会社に、派遣が終わったあとの雇用を守るための措置を取ることを求めています。これを雇用安定措置と呼びます。

厚生労働省のパンフレットによると、同じ組織単位で3年続けて派遣される見込みがある派遣社員に対して、派遣会社は次のいずれかを取る義務があります。1年以上3年未満の見込みの人には、同じ措置を取るよう努める義務があります。

  1. 派遣先に、その人を直接雇ってほしいと依頼する
  2. 新しい派遣先を紹介する(条件が合理的なものに限る)
  3. 派遣会社が、派遣以外の形で無期で雇う
  4. 雇用を続けたままの教育訓練や紹介予定派遣など、安定した雇用を続けるための措置

1の直接雇用の依頼をしても派遣先が雇わなかった場合、派遣会社は2から4のどれかを別に取る必要があります。

この措置は、働く人が何も言わなくても派遣会社が取るものです。ただ、どの道を望むかは、働く人の希望を伝えておくほうが話が進みやすくなります。たとえば「今の職場でこのまま働きたい」「別の業界も経験したい」「派遣会社の社員として安定して働きたい」など、希望は人によって違います。

3年が近づいてから慌てなくて大丈夫です。2年目に入ったころに、派遣会社の担当者に希望を一度話しておくと、選べる道が広がります。

給料と待遇の決まり方:同一労働同一賃金とマージン率

正社員の給料は、会社の賃金制度で決まります。派遣社員の給料は、2020年4月から、労働者派遣法の同一労働同一賃金のルールに沿って決めることになっています。同一労働同一賃金とは、同じような仕事をしている人の間で、雇用の形だけを理由に不合理な待遇の差をつけてはいけないという考え方のことです。

派遣会社は、次の2つの方式のどちらかで派遣社員の待遇を決めます。

方式 何と比べて決めるか 働く人が確かめること
派遣先均等・均衡方式 派遣先の正社員などの待遇 派遣先の社員と不合理な差がないか
労使協定方式 同じ種類の仕事をする一般の労働者の平均的な賃金 労使協定で決めた待遇の内容

どちらの方式を取っているかは、派遣会社ごとに違います。労使協定とは、派遣会社と、そこで働く人の代表が話し合って結ぶ取り決めのことです。この方式では、派遣先の正社員と同じ給料になるとは限りませんが、世の中の同じ種類の仕事の平均的な賃金と同等以上にすることが求められます。

派遣社員は、自分の待遇がどう決められたかについて、派遣会社に説明を求めることができます。説明を求めたことを理由に不利な扱いをすることは禁止されています。また、派遣先の社員が使う食堂、休憩室、更衣室は、派遣社員も使えるようにしなければならないと決められています。

派遣会社を選ぶときの手がかりになるのが、マージン率です。マージン率とは、派遣先が派遣会社に払う派遣料金のうち、派遣社員の給料にならなかった部分の割合のことです。派遣会社には、マージン率の公開が義務付けられています。厚生労働省は、マージンには派遣会社の利益だけでなく、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練の費用も含まれるため、低いほどよいわけではなく、賃金の水準や教育訓練の取り組みと合わせて見ることが大切だと説明しています(厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」)。

社会保険・有給休暇・育児休業は派遣社員にもある

派遣社員だから社会保険に入れない、有給休暇がない、ということはありません。派遣でも労働基準法や男女雇用機会均等法などの法律が適用されます。

社会保険と労働保険の加入の手続きは、派遣会社が行います。厚生労働省のパンフレットには、加入していない場合は派遣会社から理由が知らされると書かれています。健康保険と厚生年金に入る条件は、正社員と同じように、働く時間や契約の期間などで決まります。

有給休暇は、派遣会社が与えます。派遣先が変わっても、同じ派遣会社との雇用が続いていれば、勤続期間は通算されるのが一般的です。ただし登録型派遣で、派遣と派遣の間に長い空白があると、雇用が途切れたものとして扱われることがあります。この扱いは派遣会社によって違うので、登録のときに確かめておくと安心です。

厚生労働省のパンフレットにも、派遣で働く人は年次有給休暇と育児休業を取れると明記されています。有期の契約で働く人の場合は、契約の期間などの条件があるため、取れるかどうか不安なときは、派遣会社の担当者か、都道府県の労働局に相談できます。

正社員と大きく違うのは、賞与、退職金、住宅手当などの扱いです。正社員は会社の制度に沿って支給されますが、派遣社員の場合は、先ほどの2つの方式のどちらで待遇を決めているかによって変わります。労使協定方式では、退職金にあたる分を時給に上乗せする形を取っている派遣会社もあります。求人を見るときは、時給の額だけでなく、こうした部分がどう扱われているかを確かめることが大切です。

派遣で禁止されていること

派遣には、正社員の採用にはないルールがいくつかあります。知っておくと、おかしな扱いを受けたときに気づけます。厚生労働省のパンフレットに挙げられているものを整理します。

  • 派遣が禁止されている業務がある。建設業務、港湾運送業務、警備業務、医療関係の業務(一部を除く)には派遣できない
  • 派遣先が事前に面接することはできない。派遣が始まる前に面接をしたり、履歴書を送らせたりすることは禁止されている(紹介予定派遣の場合と、本人が希望する場合は認められる)
  • 前に働いていた会社へ、辞めてから1年以内に派遣社員として戻ることはできない
  • 日雇派遣は原則禁止。派遣会社との労働契約が30日以内の人を派遣することはできない

日雇派遣には例外があります。ソフトウェア開発、通訳や翻訳、秘書、受付や案内などの決められた業務や、60歳以上の人、雇用保険に入らない学生、副業として働く人(本業の収入が500万円以上の人に限る)などは、日雇派遣で働けます。

事前の面接の禁止は、意外と知られていません。派遣先との顔合わせとして職場を見学することはありますが、そこで派遣先が人を選ぶ形になると、法律の趣旨から外れます。顔合わせで合否のような扱いを受けて違和感があったときは、派遣会社に確かめてかまいません。

もう1つ知っておきたいのが、労働契約申込みみなし制度です。派遣先が、禁止業務への派遣や期間の上限を超えた派遣など、決められた違法な派遣を受け入れた場合、その時点で派遣先から派遣社員に、同じ条件で直接雇う申し込みをしたものとみなされます。派遣社員が承諾すれば、派遣先との労働契約が成立します。

契約が途中で切られたとき、更新されなかったとき

派遣社員の不安として多いのが、契約が途中で終わってしまうことです。ここは正社員との違いが出やすいところなので、仕組みを知っておくと落ち着いて動けます。

まず押さえたいのは、派遣契約と労働契約は別の契約だという点です。派遣先が派遣会社との派遣契約を途中で解除しても、それだけで派遣社員が派遣会社から解雇されるわけではありません。厚生労働省のパンフレットでは、派遣契約が途中で解除されても、雇用期間が終わるまで派遣会社から賃金の支払いを受けられると説明しています。

派遣会社には、派遣先と協力して新しい仕事を探す義務があります。新しい仕事が見つからないときは、まず休業などで雇用を維持することになっています。派遣会社の都合で休業になった場合、労働基準法にもとづいて、平均賃金の6割以上の休業手当を受け取れます。

予告なしに解雇された場合は、解雇までの日数に応じて解雇予告手当を受け取れます。一定の条件を満たす有期の契約で、更新されないことを30日前までに予告されなかった場合、雇止めが認められないこともあります。雇止めとは、有期の契約を更新せずに終わらせることです。

正社員の場合は、会社が解雇するには、労働契約法で客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。派遣社員も法律で守られていますが、有期の契約が多い分、契約の終わりが来やすいのは事実です。契約の終わりに次の仕事があるかどうかを、早めに担当者と話しておくことが安心につながります。

困ったときは、派遣会社と派遣先のそれぞれに相談を受ける担当者がいます。それでも解決しないときは、都道府県労働局長による助言、指導、勧告や、紛争調整委員会による調停を無料で使えます。調停の内容は公にされないので、プライバシーも守られます。相談したことを理由に不利な扱いをすることは禁止されています。

派遣社員のメリットとデメリット

ここまでの仕組みをふまえて、派遣社員として働くメリットとデメリットを整理します。人によって、メリットとデメリットの重さは違います。

派遣社員のメリットは次のとおりです。

  • 勤務地、勤務時間、仕事の内容を選んでから働ける。異動や転勤を命じられることは基本的にない
  • 正社員より採用までが早いことが多く、職歴の空白を短くできる
  • いろいろな会社や業界を経験でき、自分に合う職場を見極めやすい
  • 仕事の範囲が契約で決まっているため、残業や責任の範囲が広がりにくい
  • 派遣会社の教育訓練を無料で受けられる。キャリア・コンサルティングも希望すれば受けられる

派遣社員のデメリットは次のとおりです。

  • 有期の契約が多く、契約の更新がないと仕事が途切れる
  • 同じ課で働けるのは原則3年まで
  • 賞与や退職金、昇給の仕組みが正社員より小さいことが多く、年齢が上がるほど賃金の差が開きやすい
  • 任される仕事の範囲が限られ、管理職などの経験を積みにくい
  • 住宅ローンなどの審査で、雇用の安定性を細かく見られることがある

派遣のメリットは「自分で選べる」ことに集まり、デメリットは「長く続く保証が弱い」ことに集まります。どちらを重く見るかは、今の生活と、この先5年、10年の見通しで変わります。

正社員のメリットとデメリット

正社員にも、メリットとデメリットの両方があります。

正社員のメリットは次のとおりです。

  • 期間の定めがない契約が一般的で、長く働く前提で生活を組み立てやすい
  • 賞与、退職金、昇給、各種手当など、会社の制度を受けられる
  • 責任のある仕事や管理職を任され、キャリアを積み上げやすい
  • 会社の研修や資格の取得支援など、長い目で見た育成を受けやすい
  • 社会的な信用が高く、ローンや賃貸の審査で有利になりやすい

正社員のデメリットは次のとおりです。

  • 異動、転勤、仕事内容の変更を会社から命じられることがある
  • 責任の範囲が広く、残業や休日の対応が求められることがある
  • 採用の選考に時間がかかり、書類選考や面接で落ちることが続くこともある
  • 合わない職場でも、辞めて次を探すまでの負担が大きい

「正社員なら安心」とひとくくりにせず、異動や転勤の範囲、残業の実態、評価の仕組みを、求人票と面接で確かめることが大切です。採用までのハードルが高く感じて自信をなくしかけている人もいますが、書類で落ちることが続くのは珍しいことではありません。あなたの価値が否定されたわけではないので、大丈夫ですよ。

無期雇用派遣・紹介予定派遣・契約社員との違い

派遣社員と正社員の間には、いくつかの中間の働き方があります。違いを知っておくと、選べる道が広がります。

無期雇用派遣は、派遣会社に期間の定めなく雇われて、派遣先で働く形です。派遣先がない期間も雇用が続き、3年ルールの対象外なので同じ課で長く働けます。一方で、派遣会社が決めた派遣先に行くことになるため、登録型に比べて仕事を選ぶ自由は小さくなることがあります。

紹介予定派遣は、派遣先に直接雇われることを前提にした派遣です。厚生労働省のパンフレットによると、6か月以内の派遣期間のあとに、派遣先との間で直接雇用に移ることを念頭に行われます。紹介予定派遣では、事前の面接や履歴書の提出が認められています。働きながら職場の雰囲気を確かめられるので、正社員を目指す人には選びやすい形です。ただし、直接雇用に移るときの雇用形態が正社員とは限らず、契約社員のこともあるので、求人の段階で確かめておきます。

契約社員は、働く会社に直接雇われる有期の契約の働き方です。派遣社員と違って雇用主と指示を出す会社が同じですが、契約に期間がある点では派遣社員と似ています。同じ会社で有期の契約が更新されて通算5年を超えた場合、働く人が申し込めば、期間の定めのない契約に変わります。これを無期転換ルールと呼び、労働契約法の第18条に定められています。詳しくは厚生労働省の有期契約労働者の無期転換サイトで確かめられます。

無期転換は、期間の定めがなくなる仕組みで、正社員になる仕組みではありません。給料や仕事の内容は、別の決まりがなければ有期のときと同じ条件が引き継がれます。登録型派遣の場合は、派遣会社との有期の契約が通算5年を超えれば、派遣会社に対して無期転換を申し込めます。

どちらを選ぶか判断する手順

派遣社員と正社員のどちらにするか迷ったときは、次の順に考えると整理しやすくなります。

  1. 今の生活で優先したいことを書き出す。勤務地、勤務時間、家族の事情、体調など、譲れない条件を先にはっきりさせる
  2. 1年後と5年後に、どんな働き方をしていたいかを考える。同じ仕事で経験を積みたいのか、いろいろ試したいのか
  3. 生活に必要な収入を、月の手取りと年の総額で計算する。賞与や退職金の有無まで含めて比べる
  4. 正社員の求人と派遣の求人を、同じ職種で数件ずつ並べて、条件を表にする
  5. 派遣会社の担当者に、3年後の見通し、無期雇用派遣や紹介予定派遣の可能性を聞いてみる

選び方で迷いやすいのは、「とりあえず派遣で」と始めて、そのまま年数がたってしまうケースです。それ自体が悪いわけではありません。ただ、正社員を目指すつもりがあるなら、期限を決めて動くほうが道は開けやすくなります。

たとえば、家庭の事情で決まった時間だけ働きたい時期は派遣を選び、事情が落ち着いたら正社員の求人に応募する、というように時期によって使い分けるのも1つの方法です。今の選択が一生続くわけではないので、肩の力を抜いて考えて大丈夫です。

応募書類を整える力は、どちらの道を選んでも役に立ちます。職務経歴書やビジネスメールの書き方に自信がないときは、ビジネス文書検定の内容が参考になります。ビジネス文書の基本的な書き方とルールを体系的に学べる検定で、事務職の派遣や正社員の応募でも書く力を示しやすくなります。

派遣から正社員を目指す方法

派遣から正社員を目指す道は、いくつかあります。自分に合うものを組み合わせて進めると、見通しが立てやすくなります。

1つ目は、派遣先に直接雇われる道です。3年が近づいたときの雇用安定措置で、派遣会社が派遣先に直接雇用を依頼することがあります。日ごろから仕事ぶりを見てもらえているので、書類だけの選考より話が進みやすいことがあります。

2つ目は、紹介予定派遣を使う道です。最初から直接雇用を前提にしているため、正社員を目指すなら効率のよい方法です。

3つ目は、派遣で働きながら転職活動をする道です。派遣で積んだ経験は、職務経歴書にきちんと書ける実績になります。どの会社で、どんな業務を、どのくらいの量こなしたかを、派遣先ごとに書き分けると伝わりやすくなります。

4つ目は、資格やスキルで専門性を示す道です。たとえばIT系の派遣で働いている人なら、ネットワークの基礎を示すCCNA(シスコ技術者認定)が1つの目標になります。ネットワーク機器の設定やトラブル対応の知識を証明する認定で、インフラの仕事では正社員の求人でも評価されやすい資格です。

面接で派遣の期間について聞かれたときは、言い訳をする必要はありません。「いろいろな職場で経験を積みたかった」「家庭の事情で働く時間を決めたかった」など、事実をそのまま伝え、その中で何を学んだかを話せば十分です。正社員から派遣へ、派遣から正社員へ、どちらの移り方も今は珍しくありません。

困ったときの相談先

派遣社員として働いていてトラブルになったときは、まず派遣会社の担当者と、派遣先の担当者に相談します。厚生労働省のパンフレットにあるとおり、派遣会社と派遣先には、それぞれ相談を受ける担当者がいます。

担当者に相談しても解決しないときは、都道府県労働局の需給調整事業の担当部署に相談できます。派遣のルールが守られていないと感じたときの窓口です。

解雇や雇止め、ハラスメントなど、労働問題全般の相談は、全国の労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーで受け付けています。解雇、雇止め、賃金の引下げ、いじめや嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題が対象で、予約は不要、利用は無料です。全国378か所にあり、面談か電話で専門の相談員が対応します。所在地は厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」で調べられます。

相談するときは、契約書、就業条件明示書、給料の明細、やりとりのメールなどを手元にそろえておくと話が早く進みます。就業条件明示書とは、派遣で働くときに派遣会社から渡される、業務の内容や働く場所、期間などが書かれた書面のことです。一人で抱え込まなくて大丈夫です。あなたは一人じゃありません。

雇用の形にしばられない働き方という選択肢

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、派遣か正社員かで迷っている人の中には、「誰かに雇われる」以外の働き方を知らないまま選択肢を狭めている人が少なくありません。業務委託で働く道もあります。業務委託とは、会社に雇われるのではなく、仕事の成果に対して報酬を受け取る契約の形です。派遣とも正社員とも違い、労働時間の決まりや社会保険の仕組みは自分で整えることになります。

派遣エンジニアとして働くか、フリーランスとして独立するかで迷っている人は、派遣エンジニアとフリーランスの違いを徹底比較|年収・安定性【2026年版】が参考になります。年収や安定性、仕事の取り方の違いを比べて、どちらが合うかを考えられる記事です。

会社員から独立を考えている人には、会社員からフリーランスへ|転職理由の伝え方と独立の判断基準があります。独立を決めるときの判断の基準と、転職の面接で理由をどう伝えるかを整理しています。求人を探す手段を見直したい人は、転職サイトはフリーランスに向かない?エージェントとの正しい使い分けで、転職サイトとエージェントの使い分けを確かめられます。

運営の現場で長く見てきて感じるのは、雇用の形よりも「どんな仕事を、どんな人と、どのくらい続けたいか」がはっきりしている人ほど、働き方を移っても迷いが少ないということです。仲介の手数料が少ない直接の取引では、同じ予算で依頼する側はより多くの仕事を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。双方が得をするこの形は、派遣のマージンとは別の考え方で成り立っています。

職種ごとの仕事の中身や報酬の目安を知っておくと、派遣、正社員、業務委託のどれを選ぶかを具体的に考えられます。アプリの開発に関わる仕事の中身はアプリケーション開発のお仕事で、要件の整理から実装、保守までの流れと、業務委託で受けるときの仕事の範囲を確かめられます。デザインの仕事の報酬の目安はデザイナーの年収・単価相場で、雇用と業務委託それぞれの相場を確かめられます。

よくある質問

Q. 派遣社員と正社員では、どちらが給料が高いですか?

1時間あたりの給料だけで比べると、派遣の時給が正社員の月給を時給に直した額より高く見える求人もあります。ただ、正社員には賞与、昇給、退職金があることが多く、年齢が上がるほど差が開く傾向があります。厚生労働省の資料では、フルタイムで働く人の平均時給は正社員が2,215円、正社員以外が1,530円です。年単位の総額で比べることが大切です。

Q. 派遣社員は3年たったら必ず辞めなければいけませんか?

辞めなければいけないわけではありません。同じ課で働けるのが原則3年までというルールで、課が変われば同じ派遣先で働けます。派遣会社には、派遣先への直接雇用の依頼、新しい派遣先の紹介、派遣会社での無期雇用などの雇用安定措置を取る義務があります。無期雇用派遣の人や60歳以上の人は、3年の上限の対象外です。

Q. 派遣社員でも社会保険や有給休暇はありますか?

あります。社会保険と労働保険の加入手続きは派遣会社が行い、有給休暇も派遣会社が与えます。加入の条件は正社員と同じく、働く時間や契約の期間などで決まります。加入していない場合は、派遣会社から理由が知らされることになっています。育児休業も条件を満たせば取れるので、不安なときは派遣会社の担当者に確かめてください。

Q. 派遣から正社員になるにはどうすればいいですか?

主な方法は、派遣先に直接雇ってもらう、紹介予定派遣を使う、派遣で働きながら転職活動をする、の3つです。紹介予定派遣は最大6か月の派遣期間のあとに直接雇用に移ることを前提にした形で、正社員を目指す人には選びやすい方法です。ただし直接雇用後の形が契約社員のこともあるため、求人の段階で雇用形態を確かめておきます。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月20日最終更新:2026年10月31日
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