アンケートの質問例と、答えやすい設問を作るときの決め方


この記事のポイント
- ✓顧客満足度・セミナー・社内・商品開発・イベントの目的別にまとめ
- ✓答えやすい設問を作るときの決め方を解説します
- ✓単一回答と複数回答の使い分け
アンケートを作ることになったものの、何を聞けばよいのか、どんな言い回しにすればよいのかが分からない。ひとまず思いつくまま質問を並べてみたら20問を超えてしまい、これでは誰も最後まで答えてくれないのではと不安になる。初めてアンケートを任された人の多くが、同じところで立ち止まります。まず、安心してください。アンケートの質問は、才能で作るものではなく、決まった手順で組み立てるものです。
この記事では、アンケートの質問例を目的別にまとめたうえで、答えやすい設問を作るときの決め方を順番に説明します。単一回答と複数回答の使い分け、5段階評価の作り方、自由記述の聞き方、答えを誘導しない言い回し、顧客の推奨度を測るNPSの聞き方と計算式まで扱います。回答が届いたあとの担当決めや返信までを1か所でまとめたい人向けに、フォームのサービスHalictにも触れます。
アンケートの質問を作る前に決めること
質問の例を見る前に、最初に決めておくべきことがあります。それは「このアンケートの結果を見て、何を決めるのか」です。ある解説記事は、目的があいまいなまま作ることの問題を次のように書いています。
アンケートは、何を知りたいのかによって、聞く内容や質問の順番が変わります。目的が曖昧なまま作ると、回答は集まっても、実務にいかせない結果になりやすいです。 出典: synergy-marketing.co.jp
皆さんの職場でも、「とりあえず満足度を聞いておこう」と始めたアンケートが、集計しただけで終わってしまった経験はないでしょうか。結果を見て何かを変えるつもりがないなら、そのアンケートは回答者の時間を使っただけになってしまいます。
始める前に、次の3つを紙に書き出してください。
| 決めること | 書き方の例 |
|---|---|
| 目的(結果で何を決めるか) | 次回のセミナーの時間帯と内容を決める |
| 対象(誰に聞くか) | 今回のセミナーに参加した人全員 |
| 使い道(結果をどう使うか) | 担当者の会議で次回の企画を決める材料にする |
この3行があれば、質問を1つ作るたびに「この質問は目的に必要か」を確かめられます。必要でない質問は、どれほど聞いてみたくても削ります。質問が少ないほど、回答者は最後まで答えてくれます。
仮の結論を先に書いてみる
もう1つのコツは、「たぶんこういう結果になるだろう」という仮の結論を先に書いてみることです。たとえば「平日の夜の開催を望む人が多いはずだ」と書いたら、それを確かめるための質問が必要になります。仮の結論が書けないなら、何を知りたいのかがまだはっきりしていない合図です。品質管理の調査の現場でも、この「先に仮説を立てる」手順を飛ばした調査ほど、あとで使い道に困ることが知られています。
目的別のアンケートの質問例
ここからは、よく使われる場面ごとに質問の例を並べます。そのまま使うのではなく、自分の目的に合わせて言葉を直して使ってください。
顧客満足度のアンケートの質問例
商品やサービスを使ってくれた人に、満足度と改善点を聞くアンケートです。
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| 今回ご利用いただいたサービスに、どの程度満足していますか | 5段階(とても満足〜とても不満) |
| 満足している点を教えてください(いくつでも) | 複数回答 |
| 不満に感じた点、改善してほしい点があれば教えてください | 自由記述 |
| このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか | 0〜10の11段階 |
| 今後もこのサービスを利用したいと思いますか | 単一回答(はい・いいえ・分からない) |
| ご利用の頻度を教えてください | 単一回答(毎日・週に数回・月に数回・それ以下) |
4番目の質問は、後の節で説明するNPSの聞き方です。満足度とあわせて聞いておくと、「満足はしているが、人には勧めない」という層が見えてきます。
セミナー・研修のアンケートの質問例
セミナーや研修の参加者に、内容の評価と次回の希望を聞くアンケートです。
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| 本日のセミナーの内容は、あなたの仕事に役立ちそうですか | 5段階 |
| 内容の難しさはいかがでしたか | 単一回答(難しい・ちょうどよい・易しい) |
| 時間の長さはいかがでしたか | 単一回答(長い・ちょうどよい・短い) |
| 特に役立った内容を教えてください | 自由記述 |
| 次回取り上げてほしいテーマがあれば教えてください | 自由記述 |
| 参加しやすい時間帯を教えてください(いくつでも) | 複数回答 |
| 個別の相談を希望しますか | 単一回答(希望する・希望しない) |
最後の「個別の相談を希望しますか」は、回答のあとに担当者が連絡を取る必要がある質問です。こうした質問を入れる場合は、回答が届いたあとに誰がいつ連絡するかを、アンケートを始める前に決めておきましょう。
社内アンケート(働きやすさ)の質問例
社員の働きやすさや職場の課題を聞くアンケートです。
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| 今の仕事にやりがいを感じていますか | 5段階 |
| 仕事の量は適切だと思いますか | 単一回答(多い・適切・少ない) |
| 上司に相談しやすい雰囲気がありますか | 5段階 |
| 他の部署との連携で困っていることはありますか | 自由記述 |
| 働き方について改善してほしいことを教えてください(いくつでも) | 複数回答 |
| 1年後もこの職場で働き続けたいと思いますか | 5段階 |
社内のアンケートでは、匿名で答えられることと、結果をどう使うかを最初に伝えることが特に大切です。ある人事の解説記事は、社内アンケートを実施する前のチェックリストとして、次の項目を挙げています。
□ アンケートの目的を具体的に定めているか(例:「離職率の低下」「部署間の連携強化」など) □ 回答は匿名で行い、個人が特定されないことを社員に明言しているか □ 質問数は50問以内に絞り、所要時間もあらかじめ明記しているか □ 回答することで得られるメリット(例:実際に改善が行われること)を社員に伝えているか 出典: kaonavi.jp
匿名と書いておきながら、部署・年代・性別・入社年を細かく聞くと、人数の少ない部署では誰の回答かが分かってしまいます。属性の質問は、集計で本当に使うものだけにしてください。
商品開発・新サービスのアンケートの質問例
新しい商品やサービスを考えるときに、今の困りごとや使い方を聞くアンケートです。
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| 〇〇をするときに、今どんな方法を使っていますか | 単一回答(選択肢+その他) |
| その方法で困っていることはありますか(いくつでも) | 複数回答 |
| 最近いちばん困った場面を具体的に教えてください | 自由記述 |
| その困りごとを解決するために、お金を払ったことはありますか | 単一回答 |
| 次のような機能があれば使ってみたいと思いますか | 5段階 |
商品開発のアンケートで気をつけたいのは、「この機能があったら使いますか」という質問の答えを信じすぎないことです。多くの人は、聞かれれば「使いたい」と答えます。それよりも、今どうしているか、何に困っているか、実際にお金や時間を使ったことがあるか、という「すでに起きている事実」を聞くほうが、当てになる答えが集まります。
イベント・展示会のアンケートの質問例
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| このイベントを何で知りましたか | 単一回答(選択肢+その他) |
| 来場の目的を教えてください(いくつでも) | 複数回答 |
| 特に印象に残った出展や企画を教えてください | 自由記述 |
| 今後、資料の送付やご案内を希望しますか | 単一回答 |
| 次回も来場したいと思いますか | 5段階 |
「何で知りましたか」は、次回の告知の方法を決めるのに役立つ質問です。選択肢には、実際に告知した方法を全部並べ、「その他」も入れておきます。
オンライン講座・教室の受講者アンケートの質問例
在宅で講座や教室を開いている人が、受講者に聞くアンケートです。
| 質問の例 | 回答の形 |
|---|---|
| 受講を始めたきっかけを教えてください | 単一回答(選択肢+その他) |
| 講座の進み方の速さはいかがですか | 単一回答(速い・ちょうどよい・遅い) |
| 受講して、できるようになったことを教えてください | 自由記述 |
| オンラインでの受講で困っていることはありますか(いくつでも) | 複数回答(音声・画面共有・時間帯・その他) |
| 今後受けてみたい内容を教えてください | 自由記述 |
小さな講座では、受講者の数が少ないぶん、1人の声の重みが大きくなります。自由記述の質問を1つ多めに入れておくと、選択肢では拾えない具体的な要望が集まりやすくなります。
回答の形を決める:単一回答・複数回答・評価・自由記述
質問の文章と同じくらい大事なのが、回答の形です。同じことを聞いても、回答の形によって集計のしやすさが大きく変わります。Googleフォームのヘルプ(フォームの質問の形式を選択する)を見ると、記述式、段落、ラジオボタン、チェックボックス、プルダウン、均等目盛、評価、グリッドなどの形式が用意されています。
| 回答の形 | Googleフォームでの名前 | 向いている質問 |
|---|---|---|
| 単一回答 | ラジオボタン、プルダウン | 答えが1つに決まるもの(年代、利用の頻度) |
| 複数回答 | チェックボックス | 当てはまるものが複数ありうるもの(満足した点) |
| 段階の評価 | 均等目盛、評価 | 程度を聞くもの(満足度、役立ち度) |
| 短い自由記述 | 記述式 | 名前、短い一言 |
| 長い自由記述 | 段落 | 意見、要望、具体的なエピソード |
| 表形式の評価 | 選択式(グリッド) | 複数の項目を同じ物差しで評価してもらうもの |
単一回答と複数回答の使い分け
単一回答は「1つだけ選ぶ」、複数回答は「当てはまるものを全部選ぶ」形です。迷ったときは、「回答者にとって答えが1つに決まるか」で考えてください。年代や利用の頻度は1つに決まりますが、「満足した点」は複数ありえます。複数ありうるものを単一回答にすると、回答者は1つに絞るのに悩み、途中で答えるのをやめてしまうことがあります。
単一回答の選択肢は、重なりと漏れがないように作ります。たとえば年代を「20〜30代」「30〜40代」と区切ると、30代の人はどちらを選べばよいか迷います。「20代」「30代」「40代」のように、重ならない区切りにしてください。どれにも当てはまらない人のために「その他」や「分からない」を入れておくのも大切です。
5段階評価の作り方
満足度や役立ち度のように程度を聞く質問では、5段階の評価がよく使われます。5段階の評価を作るときは、次の点を守ると集計しやすくなります。
- 真ん中に「どちらとも言えない」を置き、両側を同じ数にする
- 言葉の強さをそろえる(「とても満足」「やや満足」「どちらとも言えない」「やや不満」「とても不満」)
- アンケート全体で、良いほうを左にするか右にするかを統一する
Googleフォームの均等目盛は、目盛を0か1から始められ、最大値を2から10の整数で決められます。両端にラベルを付けられるので、「1=とても不満、5=とても満足」のように、どちらが良いのかを必ず書いておきましょう。
自由記述は「具体的に」聞く
自由記述は、選択肢では拾えない声を集められる大事な質問です。ただし、「ご意見をお聞かせください」とだけ書くと、空欄のまま送られることが多くなります。答えやすくするには、聞く範囲を絞ります。
- 悪い例:「ご意見・ご感想をお聞かせください」
- 良い例:「本日の内容で、明日からの仕事に使えそうなことがあれば1つ教えてください」
自由記述は、回答者にとって最も負担の大きい質問です。1つのアンケートに2問か3問までにとどめ、必須にはしないのが基本です。
偏りの出ない聞き方
アンケートでいちばん避けたいのは、質問の聞き方そのものが答えを誘導してしまうことです。作る側に悪気がなくても、言い回し1つで結果は変わります。よくある失敗を、悪い例と直した例の組で整理します。
| よくある失敗 | 悪い例 | 直した例 |
|---|---|---|
| 答えを誘導する | 好評をいただいている新サービスに満足していますか | 新サービスにどの程度満足していますか |
| 2つのことを1問で聞く | 料金と使いやすさに満足していますか | 料金について/使いやすさについて、の2問に分ける |
| 否定の言い回し | 使いにくいと感じないことはありませんか | 使いやすいと感じますか |
| 専門用語 | UIの操作性はいかがでしたか | 画面の操作は分かりやすかったですか |
| あいまいな言葉 | よく利用しますか | 月に何回くらい利用しますか |
| 前提を押しつける | 当社の製品をどこで購入しましたか | 当社の製品を購入したことがありますか(はいの人に購入場所を聞く) |
特に多いのが、2つのことを1問で聞いてしまう失敗です。「料金と使いやすさに満足していますか」に「不満」と答えた人は、料金が不満なのか、使いやすさが不満なのかが分かりません。1問では1つのことだけを聞く、と覚えておいてください。
質問の順番でも答えは変わる
質問の順番も、答えに影響します。たとえば、不満な点を細かく聞いたあとに全体の満足度を聞くと、不満なことを思い出した直後なので、満足度が低めに出やすくなります。全体の満足度は、細かい質問より先に聞くのが一般的です。
順番を決めるときは、次の流れを目安にしてください。
- 答えやすい事実の質問(利用の頻度、参加のきっかけ)
- 全体の評価(満足度、推奨度)
- 細かい評価(項目ごとの満足度)
- 自由記述(理由、要望)
- 属性の質問(年代、職種など。必要なものだけ)
属性の質問を最後に置くのは、最初に個人のことを聞かれると、回答者が身構えてしまうからです。
NPS(推奨度)の聞き方と計算式
顧客満足度のアンケートでよく使われるのが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)です。NPSとは、商品やサービスを人に勧めたいかどうかを0〜10の11段階で聞き、その結果から顧客の推奨の度合いを1つの数字で表す方法のことです。Bain & Companyなどが提唱したもので、提唱元のサイト(Measuring Your Net Promoter Score)には、質問と計算の方法が次のように書かれています。
To calculate NPS, start with the ultimate question, "How likely are you to recommend us to a friend or colleague?" and score the answers on a zero-to-ten scale. Your Net Promoter Score is simply the percentage of customers who are promoters (those who scored 9 or 10) minus the percentage who are detractors (those who scored 0 to 6). 出典: netpromotersystem.com
日本語に置き換えると、次のようになります。
- 質問:「このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか」
- 回答:0(まったく勧めない)〜10(ぜひ勧める)の11段階
- 9か10と答えた人を「推奨者」、7か8を「中立者」、0から6を「批判者」と呼ぶ
- NPS=推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)
たとえば回答が100人で、推奨者が40人、中立者が35人、批判者が25人なら、NPSは40−25で15です。中立者は計算に入りません。NPSはマイナス100からプラス100までの値を取ります。
GoogleフォームでNPSを聞く場合は、均等目盛を0から始め、最大値を10にします。両端のラベルには「0=まったく勧めない」「10=ぜひ勧める」と書いておきましょう。
NPSは1つの数字で追いかけやすい反面、それだけでは「なぜその点数なのか」が分かりません。推奨度の質問のすぐあとに、「その点数を選んだ理由を教えてください」という自由記述を1問入れておくと、改善の手がかりが集まります。
質問の数と所要時間の目安
質問はいくつまでにすべきか、と迷う人は多いはずです。決まった正解はありませんが、回答者の負担から考えるのが基本です。
| アンケートの種類 | 質問の数の目安 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| セミナー直後のアンケート | 5〜10問 | 3分以内 |
| 顧客満足度のアンケート | 10〜15問 | 5分程度 |
| 社内の働きやすさの調査 | 20〜50問 | 10〜15分 |
セミナーの直後に聞くアンケートは、帰り支度をしながら答える人も多いので、短いほど回答が集まります。社内の調査のように、時間を取って答えてもらえる場面なら、もう少し多くても答えてもらえます。
どの場合も、アンケートの冒頭に「所要時間はおよそ3分です」のように目安を書いておくと、回答者は安心して始められます。書いた時間より長くかかると、途中でやめる人が増えるので、実際に自分で答えてみて時間を測ってから書いてください。
公開する前に、3人に答えてもらう
アンケートを公開する前に、作った人以外の3人ほどに実際に答えてもらうことをおすすめします。作った本人には分かりきっている言葉が、他の人には伝わらないことがよくあるからです。答えてもらったあとに「迷った質問はあったか」「答えにくい質問はあったか」を聞き、直してから公開します。この一手間で、公開後に質問を直すような事態をかなり防げます。
公開したあとに質問を直すと、直す前に答えた人と直したあとに答えた人とで、同じ質問への答えを比べられなくなります。集計の途中で数字の意味が変わってしまうので、直しは公開の前に済ませておくのが原則です。どうしても直す必要が出た場合は、直した日時を記録しておき、集計のときに前後を分けて見るようにしてください。
アンケートの依頼文の例
質問ができたら、回答をお願いする依頼の文章を用意します。依頼の文章に入れるのは、目的、所要時間、締め切り、個人情報の扱い、問い合わせ先の5つです。セミナーの参加者に送る場合の例を示します。
〇〇様
先日は「〇〇セミナー」にご参加いただき、ありがとうございました。 今後のセミナーの内容と開催時間を決める参考にするため、アンケートへのご協力をお願いいたします。 所要時間はおよそ3分です。 回答の締め切りは〇月〇日(〇)です。 いただいた回答は、セミナーの改善のためだけに使い、個人が特定される形で外部に公開することはありません。 ご不明な点は、〇〇(担当者名・連絡先)までお問い合わせください。
この文章は、そのまま使うのではなく、自分の状況に合わせて書き換えてください。大切なのは、回答者が「何のために答えるのか」「どれくらい時間がかかるのか」「答えた内容がどう扱われるのか」を、読んですぐに分かることです。社内のアンケートなら、匿名であるかどうかもここではっきり書きます。
集めた回答の集計の基本
回答が集まったら集計します。回答の形ごとに、集計の仕方の基本を整理しておきます。
| 回答の形 | 集計の仕方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 単一回答 | 選択肢ごとの人数と割合を出す | 割合の分母は回答した人数にする |
| 複数回答 | 選択肢ごとに選んだ人の割合を出す | 合計が100%を超えるのが正常 |
| 5段階評価 | 平均だけでなく、段階ごとの人数も見る | 平均が同じでも、ばらつきが違うことがある |
| NPS | 推奨者の割合から批判者の割合を引く | 中立者は計算に入れない |
| 自由記述 | 内容ごとに分類して、件数を数える | 少数でも重要な声は個別に拾う |
5段階評価で平均だけを見ると、見落としが起きます。たとえば平均が3.0でも、全員が「3」を選んだ場合と、「1」と「5」に半分ずつ分かれた場合とでは、意味がまったく違います。後者は、強く満足している人と強く不満な人が分かれているということで、何が分かれ目になっているのかを探る必要があります。
自由記述は、まず全部を読み、似た内容ごとに「料金」「時間帯」「内容の難しさ」のような分類を付けていきます。分類ごとの件数を数えると、多い声が分かります。ただし、件数の少ない声の中に、重大な問題の指摘が含まれていることもあります。1件だけでも見過ごせない内容は、件数とは別に取り上げてください。
単一回答と5段階評価の結果を組み合わせると、さらに多くのことが分かります。たとえば「利用の頻度」と「満足度」を掛け合わせて集計すると、よく使う人ほど満足しているのか、それとも使い込んでいる人ほど不満が多いのかが見えてきます。こうした掛け合わせの集計は、スプレッドシートのピボットテーブルでできます。
回答率を上げるための工夫
質問をうまく作っても、答えてもらえなければ意味がありません。回答率を上げるための工夫を整理します。
- 依頼の文章で、目的と結果の使い道を一言で伝える
- 所要時間を書く
- 回答の締め切りを書く(1週間程度が目安)
- スマートフォンで答えやすい形にする(長い表形式の質問は避ける)
- 締め切りの2〜3日前に、まだの人に一度だけ案内を送る
- 結果をどう生かしたかを、あとで回答者に伝える
最後の「結果をどう生かしたかを伝える」は、次のアンケートの回答率に効いてきます。「前回のアンケートで多かった声を受けて、開始時間を19時に変えました」と一言伝えるだけで、回答者は「答えれば何かが変わる」と感じてくれます。
回答者の個人情報を扱うときの注意
アンケートで名前やメールアドレス、電話番号を聞く場合は、個人情報を預かることになります。次の点を守ってください。
- 本当に必要な場合だけ聞く(連絡が不要なら、名前もメールアドレスも聞かない)
- 何に使うのかを、依頼の文章とアンケートの冒頭に書く
- 回答の表を共有する相手を、対応に必要な人だけに絞る
- 使い終わった個人情報は、決めた期間が過ぎたら削除する
匿名でよいアンケートに、念のためとメールアドレスの欄を付けると、回答率が下がるうえに、預かる情報が増えるだけになります。連絡が必要な人にだけ答えてもらう形にするなら、「個別の相談を希望する」と答えた人にだけ連絡先の質問が表示されるよう、回答に応じて質問を分ける設定を使う方法もあります。Googleフォームのヘルプでも、ラジオボタンやプルダウンの回答に応じて、フォームの特定のセクションに移動する設定ができると説明されています。
回答が届いたあとの対応まで考えておく
アンケートは、回答を集めて集計すれば終わり、とは限りません。セミナーの「個別の相談を希望する」、顧客満足度の「不満な点」、イベントの「資料の送付を希望する」のように、回答の中には、担当者が連絡や対応をすべきものが混ざっています。
件数が少ないうちは、回答の表を見ながら1件ずつ対応すれば足ります。ところが件数が増えてくると、次のような困りごとが起きます。
- 誰がどの回答に対応するのかが決まっておらず、連絡が漏れる
- 返信をメールソフトで送ったかどうかを、表に手で書き込んでいる
- 同じ回答者に、2人の担当者が別々に連絡してしまう
こうした「回答のあと」まで考えて道具を選ぶと、アンケートの手間はぐっと減ります。
回答の管理から返信までを1か所でまとめるHalict
Halictは、フォームを作り、届いた回答を1件ずつ担当・ステージ・タグつきで管理し、同じ画面から返信まで送れるサービスです。公式サイトによると、送った返信は開封まで記録されます。「回答の表を見て、担当を手で書き込み、メールソフトで返信する」という流れを、1つの画面にまとめられます。
フォームを作る段階でも、作りたいアンケートを一言で伝えると、AIが質問と選択肢、必須の設定まで下書きしてくれます。回答の画面は1画面に1問ずつ表示する形で、入力の項目は12種類あります。自動返信もあるので、「ご回答ありがとうございました」の受付のメールを自動で送れます。
料金のページによると、フリープランは1人で使う場合0円で、フォームの数と回答の数は無制限、ステージの管理と自動返信、CSVの書き出しが含まれています。複数の担当者で使う場合や、Googleスプレッドシートへの追記、SlackやTeamsへの通知を使う場合は有料のプランになり、金額は税抜の月額で書かれています。
この記事で整理した質問の決め方は、どの道具を使っても変わりません。そのうえで、回答のあとに対応が必要なアンケートを定期的に行うなら、集めるところから返信までを1つにまとめられる道具を選ぶと、担当者の負担が軽くなります。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
アンケートの設計を仕事にする人を見てきて分かること
@SOHO編集部が2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた中で見てきた限りでは、アンケートの設計や集計は、会社員時代の経験をそのまま生かしやすい仕事の1つです。品質管理やマーケティング、人事で調査に関わってきた人は、「何を決めるための調査なのか」から一緒に考えられるので、依頼する側にとって心強い相手になります。質問を並べるだけの人と、目的から逆算して質問を削れる人とでは、結果の使いやすさがまるで違います。
運営を続ける中で見てきた範囲でも、取引先と直接やり取りしている人ほど、こうした上流からの提案がしやすく、長い付き合いにつながっています。仲介の会社を挟まない取引では、仲介の手数料が引かれない分、同じ予算でも受け取る金額が厚くなり、依頼する側も同じ予算でより丁寧な設計を頼めます。手数料0%で直接取引できる環境は、調査の目的の確認に時間をかけるような丁寧な仕事と相性がよいのです。
調査や分析を専門にする仕事の相場は研究者の年収・単価相場で確かめられます。アンケートの結果を経営の改善につなげる考え方を体系的に学びたい人には、中小企業診断士の資格も1つの目標になります。顧客の声を集めて分析し、マーケティングに生かす仕事の内容はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。
アンケートは、相手の時間をいただいて行うものです。だからこそ、質問を1つ削るたびに、回答者への敬意が1つ増えると考えてください。まずは目的を1行で書き出すところから、始めてみましょう。
よくある質問
Q. アンケートの質問はいくつくらいが適切ですか?
目的と場面によって変わります。セミナーの直後なら5〜10問で3分以内、顧客満足度の調査なら10〜15問で5分程度が答えてもらいやすい目安です。社内の調査のように時間を取って答えてもらえる場面なら、もう少し多くても回答が集まります。どの場合も、結果で決めることに必要な質問だけに絞り、冒頭に所要時間の目安を書いておきましょう。
Q. 5段階評価と0〜10の11段階はどう使い分けますか?
満足度や役立ち度のように程度を聞く質問は、真ん中に「どちらとも言えない」を置いた5段階が答えやすく集計もしやすい形です。0〜10の11段階は、人に勧めたいかを聞くNPSで使う決まった形で、9〜10を推奨者、0〜6を批判者として計算します。NPSを計算したいときだけ11段階を使い、それ以外は5段階にそろえると分かりやすくなります。
Q. 自由記述の質問で空欄が多いときはどうすればよいですか?
「ご意見をお聞かせください」のような広い聞き方を、「明日からの仕事に使えそうなことを1つ教えてください」のように範囲を絞った聞き方に変えると、答えてもらいやすくなります。自由記述は回答者の負担が大きいので、1つのアンケートに2〜3問までにとどめ、必須にしないのが基本です。選択式の質問のすぐあとに理由を聞く形にするのも効果があります。
Q. 答えを誘導しない質問にするには何に気をつければよいですか?
「好評をいただいている」のような評価を含む前置きを入れない、2つのことを1問で聞かない、否定の言い回しや専門用語を避ける、の3点が基本です。質問の順番にも気をつけ、全体の満足度は細かい不満を聞く前に聞きます。公開する前に作った人以外の3人ほどに答えてもらい、迷った質問がないかを確かめると、偏りに気づきやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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