NPSアンケートの質問例と、推奨度の理由を聞き出す設問の組み立て方


この記事のポイント
- ✓NPSアンケートの質問例を
- ✓推奨度の聞き方から理由の深掘り
- ✓業種別の例文まで紹介します
NPSアンケートは、「この商品やサービスを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」という推奨度の質問を0から10の11段階で聞き、その理由を続けて聞く、という形が基本です。質問の例を集めるだけなら数分で済みますが、実際に役立つ結果を得られるかどうかは、推奨度のあとに配置する「理由を聞き出す設問」の組み立てで決まります。
この記事では、NPSの計算の仕方を確かめたうえで、推奨度の質問の例文、点数によって次の質問を変える組み立て方、業種ごとの質問例、聞き方で数字がゆがむ失敗までを順に説明します。集まった回答のうち、低い点を付けた人への個別の対応まで1つの画面で進めたい場合は、回答を担当と状況つきで管理できるHalictのような道具を使う方法もあります。
NPSとは何か
NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客が商品やサービスを人にすすめたいと思う度合いを数字にした指標です。アメリカのコンサルティング会社 Bain & Company と、考案者のフレッド・ライクヘルド氏らが定めた考え方で、NPSという名前は同社などの登録商標になっています。
Bainの公式ページでは、計算の手順を次のように説明しています。まず「友人や同僚に、当社をすすめる可能性はどのくらいありますか」と聞き、0から10の点数で答えてもらいます。そのうえで、回答者を3つに分けます。
| 区分 | 点数 | どんな人か |
|---|---|---|
| 推奨者 | 9から10 | 熱心に支持し、人にすすめてくれる人 |
| 中立者 | 7から8 | 今は満足しているが、他社に移る可能性もある人 |
| 批判者 | 0から6 | 不満を持ち、離れていく可能性が高い人 |
NPSは「推奨者の割合から、批判者の割合を引いた数」です。中立者は割合の計算には入りませんが、回答者の総数には含まれます。結果はマイナス100からプラス100の範囲になります。
満足度の調査と違うのは、「満足しているか」ではなく「人にすすめるか」を聞く点です。満足していても、人にすすめるほどではないという人は多くいます。すすめるという行動は、自分の評判をかけることでもあるため、満足度より一段厳しい基準で顧客の気持ちを測れると考えられています。
満足度の調査とNPSの使い分け
NPSを始める前に、従来の満足度の調査とどう使い分けるかを決めておくと、設問が重複しません。
満足度の調査は、「接客」「価格」「品質」のように項目ごとに5段階などで満足の度合いを聞き、どの項目が良くてどの項目が悪いかを細かく見るのに向いています。一方、NPSは、項目を分けずに「すすめるかどうか」という1つの問いで、顧客の気持ちの全体を測ります。数字が1つにまとまるので、時期や店舗の比較がしやすく、社内で目標として共有しやすいのが特徴です。
使い分けの目安は次のとおりです。全体の変化を追い、社内で共有する目標の数字が欲しいならNPS。どの項目を直すべきかを細かく知りたいなら満足度の調査。両方を1つのアンケートに入れる場合は、NPSの推奨度を最初に聞き、そのあとに項目ごとの満足度を聞く順番にします。項目ごとの満足度を先に聞くと、細かな不満を思い出して推奨度が下がりやすくなるからです。
ただし、両方を入れると質問の数が増え、回答率が下がります。項目ごとの満足度は5項目程度に絞り、全体の質問の数を7問以内に収めるように調整しましょう。
NPSの計算の仕方を例で確かめる
計算は単純ですが、割合の扱いで間違えやすいので、例で確かめておきます。
200人から回答が集まり、点数の内訳が次のようだったとします。
- 9点と10点(推奨者):80人
- 7点と8点(中立者):70人
- 0点から6点(批判者):50人
推奨者の割合は80÷200で40%、批判者の割合は50÷200で25%です。NPSは40から25を引いて、プラス15になります。単位の「%」は付けず、「NPSはプラス15」のように書くのが一般的です。
よくある間違いは2つです。1つは、点数の平均を出してしまうことです。平均点は7.2点のように出ますが、これはNPSではありません。もう1つは、中立者を分母から外してしまうことです。中立者を除いて推奨者と批判者だけで割合を出すと、NPSは実際より大きくも小さくもぶれます。
スプレッドシートで計算するなら、点数がB列の2行目から201行目に入っているとして、推奨者の割合は COUNTIF(B2:B201,">=9")/COUNT(B2:B201)、批判者の割合は (COUNT(B2:B201)-COUNTIF(B2:B201,">=7"))/COUNT(B2:B201) で出せます。批判者の式は、全体の数から7点以上の数を引いて、6点以下の数を求めています。この2つを引き算し、100を掛ければNPSになります。
NPSアンケートの基本の形
NPSアンケートは、質問を増やすほど回答率が下がります。基本の形は、次の3つの質問で足ります。
- 推奨度:「この商品を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」(0から10)
- 理由:「その点数を付けた、いちばんの理由を教えてください」(自由記述)
- 改善点:「何が変われば、点数が上がりますか」(自由記述または選択式)
ここに、回答者の属性(利用期間、利用しているプランなど)を聞く質問を1つか2つ加えれば、分析に必要な材料はそろいます。質問の数と並べ方については、NPSの調査を提供している会社が次のように説明しています。
NPS®調査のアンケートでは、まず推奨度を質問します。初めにほかの質問をすると、ポジティブまたはネガティブなバイアスがかかり、推奨度に影響を及ぼす恐れがあるからです。 出典: nttcoms.com
バイアスとは、聞き方や順番によって答えが一方に寄ってしまうことです。たとえば最初に「改善してほしい点はありますか」と聞くと、回答者は不満を思い出し、そのあとの推奨度を低く付けやすくなります。推奨度を最初に聞くのは、第一印象の点数を取るためです。
同じページでは、質問の数を7問以内、回答にかかる時間を3分から5分に収めるのが理想だとしています。属性の質問を増やしたくなったら、すでに顧客の情報として持っているもの(利用開始日やプランなど)は聞かずに、回答と顧客の情報を後で結び付ける方法を考えましょう。
推奨度の質問の例文
推奨度の質問は、Bainが示す基本の形をもとに、対象を具体的に書き換えて使います。対象があいまいだと、回答者は何を評価すればよいか迷います。
基本の形
「〇〇(商品やサービスの名前)を、友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか。0(まったくすすめない)から10(ぜひすすめたい)で選んでください。」
両端の数字に言葉の説明を付けるのが大切です。0と10が何を意味するかを書いておかないと、人によって基準が変わります。中間の数字には説明を付けず、数字だけにしておくのが一般的です。
業種ごとの書き換えの例
- 店舗や飲食店:「当店を、ご家族やご友人にすすめたいと思いますか」
- 通販:「当ショップでのお買い物を、知人にすすめる可能性はどのくらいありますか」
- 法人向けのサービス:「〇〇を、同じ業界の取引先や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」
- 教室や講座:「この講座を、同じことを学びたい知人にすすめたいと思いますか」
- アプリ:「このアプリを、友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」
法人向けのサービスでは「友人」より「同僚」や「取引先」のほうが現実に即しています。すすめる相手が思い浮かばない聞き方にすると、点数が低めに出やすくなります。
社内向けの例
NPSの考え方は、社員に向けた調査にも使われます。「この職場を、友人や知人に働く場所としてすすめる可能性はどのくらいありますか」という聞き方です。社員に向けた調査では、回答が人事の評価につながるのではと心配する人もいるため、回答者が特定されない仕組みと、そのことを冒頭で伝える文面が欠かせません。
社員向けの調査では、部署ごとに結果を分けて見たくなりますが、人数の少ない部署で分けると、誰が答えたかが推測できてしまいます。結果を分けて示すのは、一定の人数以上の区分に限る、といった決まりを先に作り、そのことも冒頭の文面で伝えておくと、率直な答えが集まりやすくなります。理由の自由記述も、そのまま社内に共有すると書き方の癖で書いた人が分かることがあるため、要旨に言い換えて共有するのが安全です。
推奨度の理由を聞き出す設問の組み立て方
NPSの数字だけでは、何を直せばよいかは分かりません。役立つのは、点数のあとに続く「理由」の答えです。ここでは、理由を具体的に聞き出す設問の作り方を説明します。
「なぜですか」だけで終わらせない
「その点数の理由を教えてください」とだけ聞くと、「なんとなく」「特にない」「普通」といった短い答えが多く返ってきます。答えやすくするには、何について書けばよいかの手がかりを添えます。
例:「その点数を付けた、いちばんの理由を教えてください。たとえば、使いやすさ、価格、サポートの対応、品質など、思い浮かんだことを1つ書いてください。」
「いちばんの理由を1つ」と範囲を絞ると、回答者は考える量が減り、書き始めやすくなります。例を挙げすぎると、例の中から選んで書くだけになるので、3つか4つにとどめます。
点数によって次の質問を変える
推奨者と批判者では、聞きたいことが違います。推奨者には「何が気に入っているか」を聞いて、強みを確かめたい。批判者には「何が不満か」を聞いて、直すべき点を知りたい。同じ質問を全員に出すより、点数によって次の質問を変えるほうが、答えの中身が濃くなります。
| 点数 | 次の質問の例 |
|---|---|
| 9から10 | 「特に気に入っている点を教えてください」 |
| 7から8 | 「10点にするには、何が足りないと感じますか」 |
| 0から6 | 「残念に感じた点を教えてください。差し支えなければ、具体的な場面も教えてください」 |
中立者への「10点にするには何が足りないか」という聞き方は、特に役に立ちます。中立者は満足と不満の間にいる人たちで、少しの改善で推奨者に変わる可能性があるからです。
Googleフォームで分岐を作るときの注意
Googleフォームで点数によって次の質問を変えるには、「回答に応じてセクションに移動」という機能を使います。Googleのヘルプによると、この機能が使えるのは多肢選択式とプルダウンの質問だけです。0から10の目盛で答える「均等目盛」の質問では、分岐が設定できません。
そのため、分岐させたい場合は、推奨度の質問をプルダウンにし、選択肢に0から10の数字を並べます。それぞれの選択肢に「9から10のセクションへ」「7から8のセクションへ」「0から6のセクションへ」と移動先を指定すれば、点数ごとに別の質問を出せます。均等目盛のほうが見た目は分かりやすいので、分岐が要らない場合は均等目盛、分岐させる場合はプルダウン、と使い分けます。
理由を選択式でも聞く
自由記述だけでは、回答が多くなると集計に手間がかかります。理由を選択式でも聞いておくと、どの要因に不満が集まっているかを数で比べられます。
選択式の例:「点数に影響したものを、当てはまるものすべて選んでください」
- 商品やサービスの品質
- 価格
- 使いやすさ
- 問い合わせへの対応
- 届くまでの早さ
- その他
選択式で要因を選んでもらい、そのあとに自由記述で具体的な場面を書いてもらう、という2段の形にすると、集計のしやすさと中身の濃さを両立できます。
そのまま使える設問の一式の例
ここまでの考え方を、1つのアンケートの形に並べてみます。例として、オンラインの講座を受け終えた人に配るNPSアンケートを想定します。質問は全部で6問、回答にかかる時間は3分ほどです。
問1(推奨度・必須):この講座を、同じことを学びたい知人にすすめる可能性はどのくらいありますか。0(まったくすすめない)から10(ぜひすすめたい)で選んでください。
問2(点数による分岐・必須)
- 9から10を選んだ人へ:特に良かった点を1つ教えてください。
- 7から8を選んだ人へ:10点にするには、何が足りないと感じますか。
- 0から6を選んだ人へ:残念に感じた点を教えてください。差し支えなければ、具体的な場面も教えてください。
問3(要因・任意):点数に影響したものを、当てはまるものすべて選んでください。(講座の内容、講師の説明、教材、受講の手続き、料金、質問への対応、その他)
問4(属性・必須):この講座を知ったきっかけを選んでください。(検索、知人の紹介、SNS、メールのお知らせ、その他)
問5(連絡の可否・必須):いただいた内容について、担当者から連絡を差し上げてもよいですか。(はい、いいえ)
問6(自由記述・任意):そのほか、お気づきのことがあればお書きください。
問4の「知ったきっかけ」は、紹介で来た人とそれ以外の人でNPSを比べるための質問です。紹介で来た人のNPSが高ければ、紹介を後押しする仕組みに力を入れる判断材料になります。問5は、後で説明する批判者への連絡のために欠かせません。連絡してよいと答えた人にだけ連絡する、という決まりを守るための質問です。
この形は、店舗でも通販でも法人向けのサービスでも、問1の対象と問3の選択肢を書き換えれば使えます。選択肢は、自社の顧客が実際に口にする言葉で書くと、選ばれやすくなります。
アンケートの依頼文とお礼の文面の例
アンケートの中身と同じくらい、回答率を左右するのが依頼の文面です。回答者が「答えてもよい」と思える情報を、短く伝えます。
依頼の文面に入れたいのは、次の4つです。
- 何のためのアンケートか(サービスをより良くするため、など)
- かかる時間の目安(3分ほど、など)
- 回答の扱い(集計にのみ使う、個人が特定される形で公開しない、など)
- 締め切り(いつまでに答えてほしいか)
文面の例:「いつも〇〇をご利用いただきありがとうございます。サービスをより良くするため、アンケートへのご協力をお願いします。質問は6問で、3分ほどで終わります。いただいた回答は、サービスの改善のために社内で集計し、個人が特定される形で公開することはありません。〇月〇日までにご回答いただけますと幸いです。」
送信のあとに表示する文面も大切です。「ご回答ありがとうございました」だけで終わらせず、「いただいた声をもとに、〇月に改善の内容をお知らせします」のように、回答がどう生かされるかを一言添えると、次回のアンケートへの協力も得やすくなります。実際に改善を行ったら、その内容を回答者に知らせることで、約束を果たします。
聞き方で数字がゆがむ失敗
NPSは単純な指標だけに、聞き方の小さな違いで数字が動きます。よくある失敗を挙げます。
1つ目は、推奨度の前に別の質問を配置することです。先に紹介したとおり、不満を思い出させる質問を先に配置すると、推奨度は下がりやすくなります。
2つ目は、誘導する文を添えることです。「10点をいただけると励みになります」のような一言は、点数を押し上げます。スタッフが回答の場に立ち会う形も、同じ効果を生みます。NPSは、他の時期や他の店舗と比べてこそ意味がある数字なので、点数を良く見せる工夫はかえって判断を誤らせます。
3つ目は、答える人が偏ることです。満足している常連だけに配る、問い合わせのあとだけに配る、といった配り方では、顧客全体の姿は分かりません。配る相手と時期を決めたら、毎回同じ条件で配ることが大切です。
4つ目は、回答の数が少ないまま比べることです。回答が30件ほどだと、数人の点数の違いでNPSが大きく動きます。店舗ごと、月ごとに比べるなら、ある程度の回答数がそろってから比べるか、数か月分を合わせて見るようにします。
5つ目は、他社の数字と比べてしまうことです。NPSの水準は業種によって大きく違い、同じ業種でも聞き方や配り方で変わります。インターネット上で見かける「業界の平均」と自社の数字を並べても、条件が違えば比べる意味は薄くなります。比べる相手は、同じ聞き方で測った自社の過去の数字にするのが基本です。
配るタイミングと対象の決め方
NPSの調査には、大きく分けて2つの配り方があります。
1つは、決まった時期に顧客全体へ配る方法です。年に1回や半年に1回、利用している顧客に一斉に配り、会社やサービス全体への気持ちの変化を追います。全体の傾向をつかむのに向いています。
もう1つは、特定の体験の直後に配る方法です。購入した直後、問い合わせが解決した直後、講座を受け終えた直後などに配り、その体験の良し悪しを測ります。どの場面に課題があるかを見つけるのに向いています。
店舗やイベントの会場で集める場合は、レシートや会場の掲示にフォームのQRコードを載せて、その場や帰り道でスマートフォンから答えてもらう方法がよく使われます。この場合、スマートフォンの画面で答えやすい形にすることが大切です。0から10までの11個の数字を横に並べる質問は、画面が狭いと押し間違えが起きやすいので、実際にスマートフォンで表示を確かめておきます。紙で集める場合は、0から10の数字に丸を付けてもらう形にし、後で表に打ち込む手間を見込んでおきましょう。
体験の直後に配る場合、同じ人に何度も届かないように間隔を決めておきます。たとえば「同じ人には90日に1回まで」のように決めておけば、頻繁に届いてうんざりされることを防げます。回答のお願いの文面には、かかる時間の目安(「3分ほどで終わります」など)を書くと、回答率が上がりやすくなります。
回答率を上げる工夫
回答率が低いと、答えてくれる人が熱心な支持者か強い不満を持つ人に偏り、NPSが実態からずれます。回答率を上げるために、次の工夫が使えます。
- 依頼は体験の記憶が新しいうちに送る(購入や受講の当日から翌日など)
- 件名や冒頭に、質問の数とかかる時間を書く
- 1回だけ、締め切りの数日前に再度のお願いを送る(何度も送らない)
- 回答の最後まで、何問目かが分かる表示にする
謝礼を付ける方法もありますが、謝礼が目当ての回答が混ざると、理由の自由記述が短く雑になりやすい面があります。謝礼を付けるなら、回答の内容によって謝礼が変わらないことを明記し、抽選などの控えめな形にとどめるのが無難です。
集計した結果の読み方
回答が集まったら、まずNPSの数字を出し、次に点数の分布を見ます。同じNPSでも、批判者が多く推奨者も多い場合と、ほとんどが中立者の場合では、打つ手が違うからです。
次に、理由の答えを区分ごとに読みます。批判者の理由に何度も出てくる言葉は、直すべき点の手がかりです。推奨者の理由に何度も出てくる言葉は、守るべき強みです。自由記述が多い場合は、選択式の要因の集計で大まかな傾向をつかみ、気になる要因を選んだ人の自由記述だけを読む、という順番にすると、読む量を抑えられます。
属性ごとの比較も有効です。利用期間の短い人と長い人、プランの違い、店舗の違いでNPSを分けて出すと、どこに課題が偏っているかが見えます。ただし、区分を細かくするほど1つの区分の回答数は減り、数字はぶれやすくなります。区分は2つから4つ程度にとどめるのが無難です。
最後に、結果を社内で共有するときは、NPSの数字だけを伝えるのではなく、批判者の代表的な声と、推奨者の代表的な声を数件ずつ添えると、数字の意味が伝わりやすくなります。
自由記述の答えを分類する手順
自由記述の答えは、件数が増えると読むだけで大きな手間になります。数十件を超えたら、読みながら分類のラベルを付け、件数で傾向をつかむ方法に切り替えます。
手順は次のとおりです。
- 最初の30件ほどを読み、出てくる話題を書き出す(例:説明が早い、教材が見づらい、質問への返事が遅い、料金が高い)
- 書き出した話題を、似たもの同士でまとめて5から10個のラベルにする
- 回答の表に「ラベル」の列を作り、すべての回答に1つずつラベルを付ける(当てはまるものがなければ「その他」)
- ラベルごとの件数を、推奨者・中立者・批判者に分けて数える
- 「その他」が全体の2割を超えたら、その他の中身を読み直して新しいラベルを作る
ラベルを付けると、「批判者の不満のうち、いちばん多いのは質問への返事の遅さ」のように、直すべき点の優先順位を数で示せます。社内で改善の予算や人手を相談するときにも、件数で示せるほうが話が早く進みます。
AIのチャットに自由記述をまとめて渡して分類させる方法もありますが、回答に個人の情報が含まれる場合は、社内の決まりで外部のサービスに入力してよいかを先に確かめてください。AIに任せる場合でも、最初の30件ほどは人が読んでラベルを決め、AIの分類が的外れでないかを抜き取りで確かめると、結果を信頼しやすくなります。
改善を回し続けるための仕組み
NPSは、1回測って終わりにすると役に立ちません。測る、声を読む、直す、知らせる、もう一度測る、という流れを繰り返してはじめて、数字の変化に意味が生まれます。
続けるための仕組みとして、次の3つを決めておきます。
1つ目は、測る周期です。全体の調査なら半年に1回、体験の直後の調査なら常に配り続けて月ごとに集計する、といった周期を決め、カレンダーに登録しておきます。
2つ目は、改善を決める場です。月に1回、集計の結果と分類のラベルの件数を見て、次の1か月で取り組む改善を1つから3つ決める打ち合わせを設けます。取り組むことを欲張らず、確実に終えられる数に絞るのが続けるこつです。
3つ目は、改善の結果を確かめる指標です。たとえば「質問への返事が遅い」というラベルの件数が、改善のあとに減ったかどうかを追います。NPSの数字そのものは多くの要因で動くため、改善の効果はラベルの件数のような、より直接の数字で確かめるほうが分かりやすくなります。
回答のあとの対応で、批判者への連絡を後回しにしない
NPSの調査でいちばん大切なのは、回答を集めたあとの行動です。とくに、低い点を付けた人への連絡は、早いほど効果があるとされています。
批判者セグメントの顧客に対しては、可能な限り24時間〜48時間以内の迅速な個別フォロー(メールや電話でのヒアリング)が推奨されます。 出典: tayori.com
連絡の目的は、点数を上げてもらうことではなく、不満の中身を詳しく聞き、直せるものは直すことです。回答に連絡先が含まれ、連絡してよいかを事前に確かめている場合に限り、担当者が個別に連絡します。アンケートの冒頭や最後に「内容について連絡を差し上げてもよいですか」という質問を入れておくと、連絡してよい人が分かります。
ここで困るのが、誰が連絡するか、連絡したかどうかの管理です。回答はスプレッドシートにたまり、連絡はメールソフトで送り、結果は別のメモに残る。この流れでは、批判者の回答が何件も届く時期に、連絡が漏れたり二重になったりしやすくなります。
アンケートの作成から回答の管理までを1つの画面で行う道具を使うと、この流れを整理できます。その1つがHalictです。公式サイトの案内では、Halictは評価や選択肢など12種類の項目でフォームを作り、届いた回答を1件ごとに担当と状況(ステージ)つきで管理し、同じ画面から返信を送れます。回答者には1画面に1問ずつ表示されるので、推奨度を最初に、理由をその次に、という順番を崩さずに答えてもらえます。料金のページによると、フリーのプランはメンバー1人までで、フォームの数と回答の数は無制限です。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
Googleフォームは、NPSのアンケートを作って集計するところまでなら十分に役立ちます。そのうえで、批判者への連絡を担当を決めて漏れなく進めたい、という段階になったら、回答の管理の機能を持った道具を検討すると、連絡の速さを保ちやすくなります。
NPSの調査を仕事として支える人へ
NPSのような顧客の声の調査は、設問の設計、配信、集計、報告の資料づくりと、作業が多岐にわたります。こうした作業は、マーケティングや業務改善の業務委託として依頼されることが多く、在宅で受けられる仕事の1つです。調査や分析を含むマーケティングの仕事の傾向は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。AIを使った自由記述の分類など、調査の作業を効率よく進める提案まで含めたい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事も参考になります。
2004年から在宅ワークと業務委託の仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、調査の仕事で長く頼られる人は、数字を出して終わりにしません。NPSがいくつだったかより、「批判者の声のうち、来月までに直せるものはこの3つ」と、依頼者が次に動ける形で報告を締めくくっています。調査の目的は数字を測ることではなく、顧客の体験を良くすることだと、依頼者と同じ目線で考えられる人が、継続の依頼につながっています。
また、調査の仕事は、依頼者と細かく相談しながら進めるほど質が上がります。誰に、いつ、どの聞き方で配るかを、依頼者の事業の事情に合わせて決める必要があるためです。仲介の手数料がかからない直接のやり取りなら、同じ予算で相談と調整に時間を使え、受け手の手取りも厚くなります。経営の視点から調査の結果を読み解く力を伸ばしたい人には、中小企業診断士の学習で身につく、事業の課題を整理する考え方が役立ちます。
よくある質問
Q. NPSの計算で、中立者はどう扱いますか?
中立者(7点と8点)は、NPSの引き算には直接入りませんが、回答者の総数には含めます。NPSは推奨者の割合から批判者の割合を引いた数なので、中立者を分母から外すと割合が変わり、数字が正しく出ません。たとえば200人中、推奨者80人、批判者50人なら、40%から25%を引いてプラス15になります。
Q. NPSアンケートの質問はいくつが適切ですか?
推奨度、その理由、改善点の3問を基本に、属性の質問を1つか2つ加える程度が目安です。NPSの調査を提供している会社の解説では、質問は7問以内、回答時間は3分から5分に収めるのが理想とされています。顧客の情報として既に持っている項目は聞かず、質問の数を抑えると回答率を保ちやすくなります。
Q. Googleフォームで点数によって次の質問を変えられますか?
変えられますが、質問の形式に注意が必要です。回答に応じてセクションに移動する機能は、多肢選択式とプルダウンの質問でしか使えず、均等目盛では設定できません。推奨度をプルダウンにして0から10の選択肢を並べ、点数ごとに移動先のセクションを指定すると、推奨者・中立者・批判者で別の質問を出せます。
Q. NPSの数字を他社と比べてもよいですか?
おすすめしません。NPSの水準は業種によって大きく異なり、同じ業種でも聞き方、配る相手、配る時期で数字が変わります。条件の違う数字を並べても判断を誤りやすいため、比べる相手は同じ聞き方で測った自社の過去の数字にするのが基本です。前回より上がったか下がったか、その理由は何かを追うことに使ってください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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