中小企業診断士の副業の始め方


この記事のポイント
- ✓中小企業診断士の副業の始め方を
- ✓登録の完了から勤務先の規程確認
- ✓名乗り方と実績の整え方
中小企業診断士に合格したあと、「さて、副業としてどう動き出せばいいんだろう」と手が止まってしまう。こういうご相談、本当によくあります。試験の勉強は道筋がはっきりしていました。テキストがあって、過去問があって、合格という明確なゴールがあった。ところが副業には、そういう決まった手順書がありません。だから、何から手をつければいいのか分からなくなるんです。大丈夫ですよ。中小企業診断士の副業の始め方には、実は順番があります。この記事では、登録の完了から最初の受注までを、実際にやることの順番どおりに整理していきます。
合格してから副業が始まるまでに、いくつ工程があるかを先に知る
まず全体像から見ておきましょう。ここを知らないまま動くと、途中で「あれ、これ先にやっておくべきだった」となって時間を無駄にします。
合格から副業の初回受注までには、大きく6つの工程があります。登録の完了、勤務先の規程確認、受けられる仕事の種類の把握、名乗り方と実績の整理、受注動線の確保、契約と請求の準備です。このうち、最初の2つは順番を入れ替えられません。登録が済んでいないと名乗れませんし、勤務先の規程を確認しないまま受注すると、あとから面倒なことになります。
かかる時間の目安も出しておきます。登録の完了までが合格から3か月から1年程度。勤務先の確認が2週間程度。そこから初回受注までが、動き方によりますが1か月から6か月程度です。合格したその月から仕事が来る、という話ではありません。ここを最初に知っておくだけで、焦りがずいぶん減ります。
登録を完了させる
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づいて経済産業大臣の登録を受ける制度です。試験に合格しただけでは登録は完了しません。合格後に、実務補習を受けるか、実務に従事した実績を積むかして、所定の日数を満たす必要があります。
実務補習は、指導員のもとで実際の企業に対する診断と助言を行う実習です。日数を分割して受講する形と、まとめて受講する形があります。実務従事は、合格前後の実務経験を要件に充てるもので、勤務先の業務が該当する場合もあります。どちらの経路を取るかで、費用と拘束時間がかなり変わります。
ここで注意していただきたいのは、登録の要件や手続は制度改正で変わることがある点です。所定日数、申請の期限、必要書類の様式などは、必ず中小企業庁の最新の案内で確認してください。合格年度によって扱いが違う場合もあります。参考として中小企業庁の案内に一度目を通しておくと安心です。
資格そのものの位置づけや、どんな業務と結びつきやすいかを整理したい方は、中小企業診断士の資格ガイドも見ておいてください。試験対策の情報とは別に、実際の仕事とのつながりが見えてきます。
名乗り方について、断定を避けたほうがいい理由
副業を始めるときに気になるのが、「どこまで名乗っていいのか」という点だと思います。
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づく登録制度です。この資格がなければ経営に関する助言をしてはいけない、という形の資格ではないと説明されることが多い一方で、登録者以外がこの名称を用いることについては制限があるとされています。ただ、実務の場面でどの表示が問題になるかは、名刺やプロフィールの書き方、契約上の立場、業務の内容によって変わります。
ここは自己判断で結論を出さないほうがいい部分です。登録の状況と表示の仕方について迷ったら、所属する協会や中小企業庁の案内で確認してください。「診断士として」と書いてよいのか、「診断士資格保有」と書くべきなのか。この程度の違いでも、受け取られ方は変わります。
勤務先の規程を確認する
会社員として働きながら副業を始める方が大半だと思います。この工程を飛ばして先に進んでしまう方が、実はとても多いんです。
確認するのは3点です。副業が許可制か届出制か禁止か。競業に関する制限があるか。就業時間外の活動について報告義務があるか。就業規則に副業の条項がある会社であれば、そこに書いてあります。書いていない場合は、人事に確認してください。
診断士の副業は、企業に対する経営の助言という性質上、勤務先と業種が近いと競業の問題が出やすい領域です。「どの業種の、どういう規模の会社に対して、どういう助言をするのか」を具体的に説明できる状態にしてから相談すると、話が早く進みます。
この点については、勤務先が副業を認めているかどうかの実態調査もあります。
実際に、企業に勤めている中小企業診断士を対象にしたアンケートでも、約半数の企業で副業が認められているという結果が出ました。 出典: studying.jp
半分は認められている、ということは、半分はまだ認められていないということでもあります。もし勤務先が禁止している場合、隠れて受けるのではなく、更新要件を満たすための実務従事という形で相談してみる方法もあります。資格の維持に必要な活動である、という説明は、会社側にとっても理解しやすい理由になります。
受けられる仕事の種類を把握する
「診断士の副業」とひとまとめに言われますが、中身はかなり違います。求められる経験も、稼働の形も、報酬の決まり方も違うので、分けて見ておきましょう。
公的支援に関わる仕事
商工会議所、商工会、よろず支援拠点、自治体の相談窓口などで、経営相談や専門家派遣に関わる形です。専門家として登録する仕組みがあり、登録すると相談案件が回ってくることがあります。報酬は日当や半日単位で決まっていることが多く、1回あたりの金額が事前に分かるのが特徴です。
ただし、これらの多くは平日の日中に対面またはオンラインで実施されます。会社員の方には、時間の面で受けにくい仕事です。副業として最初に狙う先としては、少しハードルが高いと考えておいてください。
民間企業から直接受ける仕事
事業計画の作成支援、補助金申請の書類作成支援、予算と実績の差異分析、業務フローの整理といった仕事です。診断士の代名詞であるコンサルティング業務も、この分類に入ります。
実際、顧問先の事業計画の策定や予算と実績の確認、計画の遂行状況のヒアリングなどを副業で行っている中小企業診断士もいます。 出典: agaroot.jp
この領域は、資格よりも本業での経験が効きます。製造業出身なら製造業の相談が、経理畑なら財務まわりの相談が来やすい。逆に言えば、自分の本業の経験と結びつけて売り込めるかどうかで、受注のしやすさが決まります。
執筆と監修の仕事
経営、財務、補助金、マーケティングといったテーマの記事執筆や監修です。この領域は、副業として始めるにはとても入りやすい入口です。稼働時間が読めて、平日夜や週末に完結して、対面が不要だからです。
報酬の目安は、監修が1本1万円から5万円程度、執筆が5,000字で2万円から6万円程度というレンジがよく見られます。文章まわりの仕事の水準感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。診断士の監修はこの相場の上のほうに位置づくことが多いです。専門性で単価が変わる領域だからです。
研修と講師の仕事
企業研修、創業セミナー、資格試験の講座など、人前で話す仕事です。資料作成だけを請け負う形もあります。登壇は日程が固定されるので副業との相性を見極める必要がありますが、資料作成だけなら在宅で完結します。
こうした相談や助言の仕事が実際にどう募集されているかは、キャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっている案件の種類を見ておくと具体的に分かります。資格名ではなく、片付けてほしい作業の名前で募集が出ている点に気づけるはずです。
名乗り方と実績の書き方を決める
ここが、始め方でつまずきやすい工程です。
合格したばかりの方が、プロフィールに書けることは意外とあります。書けないのは「診断士としての支援実績」だけであって、本業での経験は全部書けるからです。何年、どの業種で、どの職能を担ってきたか。扱った売上規模、関わった部門の人数、改善した業務の内容。これらは全部、依頼者にとっては判断材料になります。
書き方のコツは、資格を前面に出しすぎないことです。「中小企業診断士です」だけの自己紹介では、依頼者は何を頼めるか分かりません。「製造業の生産管理を12年担当し、中小企業診断士の登録をしています。生産計画と在庫の見直しに関する相談に対応できます」まで書くと、依頼者は判断できます。
実務補習で扱った企業のことは、守秘義務があるので具体的に書けません。ただ、「実務補習で流通業の販売戦略の診断に携わりました」という粒度なら書けます。企業が特定できる情報を外して、扱った領域だけを残す。この整理を先にやっておいてください。
最初の受注までの動線を作る
動線は、大きく4つあります。全部やる必要はありませんが、1つだけだと確率が上がりません。
1つ目は、協会や研究会への参加です。都道府県の協会に入会すると、研究会やプロコン塾といった場があります。ここで案件の紹介が回ることがあります。ただし、入会金と年会費がかかりますし、活動は平日夜や週末が中心です。時間の余裕と相談してください。
2つ目は、公的機関の専門家登録です。前述のとおり平日日中の稼働が中心ですが、書類作成の支援のようにオンラインで完結する部分もあります。
3つ目は、オンラインのマッチングサービスです。業務委託の案件が集まる場所で、監修、執筆、資料作成、相談対応といった仕事が出ています。会社員が副業で受けるには、この経路がもっとも現実的です。時間の制約が小さく、案件の内容が事前に文面で分かるからです。
オンライン経由で受けるときは、募集の探し方に少しコツがあります。「中小企業診断士」で検索しても、案件はほとんど出てきません。発注する側は資格名で募集を書かず、片付けてほしい作業の名前で書くからです。「事業計画書のレビュー」「補助金申請書の添削」「経営に関する記事の監修」「決算書の読み解き資料の作成」。こうした作業名で探すと、見える案件の数が変わります。ここに気づかないまま「案件がない」と結論を出してしまう方が、とても多いんです。
4つ目は、知人と前職からの紹介です。もっとも成約率が高いのがこの経路です。合格したことを周囲に伝えておくだけで、「そういえば知り合いの会社が困っていて」という話が回ってきます。営業をするのではなく、状況を共有しておくだけで構いません。
副業全般の進め方を最初から整理したい方は、副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめも参考になります。診断士に限らない共通の手順がまとまっています。
自分の強みを1行で言えるようにしておく
動線を作っても反応がない、というご相談をいただくことがあります。話を伺うと、共通しているのは自己紹介が長いことです。
依頼者が知りたいのは、経歴の全体ではありません。「この人に何を頼めるのか」の1点だけです。ですから、最初の1行にそれを置きます。「小売業の店舗運営を10年見てきたので、多店舗展開の初期設計と、店舗別の採算管理の相談に対応できます」。この1行があるかどうかで、読み進めてもらえるかが決まります。
強みが分からないという方は、本業でよく人から相談される内容を思い出してみてください。社内で「これ、あなたに聞けばわかるよね」と言われてきたことが、そのまま強みです。診断士の試験で学んだ7科目の知識は土台であって、強みそのものではありません。土台の上に、自分の職務経験を1つ載せる。この形が、いちばん伝わります。
もう1つ、書かないほうがよいこともあります。「幅広く対応できます」「なんでもご相談ください」という表現です。親切のつもりで書いてしまうのですが、依頼者からは何が得意か分からない人に見えます。狭く書くほど、声がかかりやすくなる。ここは感覚と逆なので、意識して狭めてください。
最初の3件をどう設計するか
始めるときに、最初の3件の役割を決めておくと迷いが減ります。
1件目は、稼働時間を実測するための案件です。報酬より、自分が何時間かかるかを知ることを優先します。時間を記録しながら進めてください。この記録が、2件目以降の見積もりの土台になります。
2件目は、同じ種類の仕事をもう一度やる案件です。同じ型を2回やると、手順が自分の中で固まります。1件目とまったく違う種類の仕事を取りにいくと、また最初から手探りになってしまいます。
3件目で、初めて範囲か金額を広げます。ここまで来ると、自分が何をどのくらいの時間でできるかが分かっているので、交渉の材料が手元にあります。実績として書ける内容も3件分そろっています。
この設計をしておかないと、来た案件をその都度こなすだけになって、半年経っても積み上がりません。3件で1つの型を作る。これを最初に決めておいてください。
3件終わった時点で、一度立ち止まって振り返ってみることもおすすめします。かかった時間、受け取った金額、やっていて負担が少なかった工程、逆に苦しかった工程。この4つを書き出すと、次に伸ばす方向が自然に見えてきます。数字だけでなく、負担の感覚を記録しておくのが大事です。続けられるかどうかは、報酬より相性で決まる部分が大きいからです。
契約と請求、そして税の準備をしておく
初回の受注が決まってから慌てる方が多いので、先に用意しておきましょう。
契約書または業務委託の合意書は、対応範囲、成果物、納期、報酬、支払時期、秘密保持の6項目が入っていれば形になります。発注側が用意することも多いですが、その場合も内容は必ず読んでください。特に、成果物の権利の扱いと、修正対応の回数についての定めは確認しておく必要があります。
請求書には、源泉徴収の有無、消費税の扱い、振込先を明記します。コンサルティングの報酬は源泉徴収の対象になる場合があります。この扱いは発注側の判断も関わるので、初回に確認しておくと後の処理が楽です。
税については、給与所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが原則です。ただし住民税の扱いは別なので、詳細は国税庁の案内で確認してください。経費として計上できるもの、できないものの線引きも、最初の年に整理しておくと2年目以降が楽になります。
始めた直後に起きやすい3つのつまずき
ここからは、実際に動き出した方からよく届くご相談を3つ挙げておきます。先に知っておくと、同じところで止まらずに済みます。
対応範囲がじわじわ広がっていく
1つ目は、範囲の拡大です。「事業計画の作成支援」で受けたはずが、いつのまにか資金繰り表の作成、金融機関への提出書類の確認、社内会議への同席まで頼まれている。こういう相談が本当に多いんです。
依頼者に悪気はありません。相談できる相手が見つかったので、つい他のことも頼みたくなるだけです。ただ、受け手からすると稼働時間だけが増えて報酬は変わらない状態になります。
対策は、着手前に「今回やること」と「今回やらないこと」を文面で残しておくことです。やらないことのほうを書いておくのが大事です。範囲外の依頼が来たときに、「その部分は今回の範囲外なので、別途お見積もりしますね」と自然に返せます。断るのではなく、追加として扱う。この言い方なら関係も壊れません。
最初の単価を、そのまま2年目も引きずる
2つ目は、単価の据え置きです。実績がない段階なので低めに受けるのは合理的な判断なのですが、同じ依頼者に対して途中から金額を上げるのは、想像以上に難しいことです。
ですから、最初の金額を下げるのではなく、対応する範囲を狭く切ってください。3万円で幅広く受けるのではなく、3万円でやることを1つに絞る。次の依頼で範囲を広げるときに、金額も自然に上げられます。値付けを工夫するより、範囲の切り方を工夫するほうがうまくいきます。
稼働時間を短く見積もってしまう
3つ目は、時間の見積もりです。診断士の仕事は、手を動かす時間よりも、読む時間と考える時間の比率が高い仕事です。決算書を3期分読んで、業界の状況を調べて、そこから助言の方向を決める。この前段が、実際には作業の半分以上を占めます。
初回は、自分が想定した時間の2倍を見ておいてください。2件目、3件目と進むうちに精度が上がってきます。最初から正確に見積もれる人はいませんから、そこは気にしなくて大丈夫です。ただ、納期だけは余裕を持って伝えておく。ここを詰めすぎると、平日夜と週末が全部つぶれます。
会社員が副業の時間をどう作るか
時間の話は、精神論では解決しません。仕組みで作るしかない部分です。
現実的な組み立て方を1つ挙げておきます。平日は、夜に1時間だけ確保する。ここでやるのは、資料を読むことと、考えをメモに落とすことだけにします。まとまった作業はしません。土日のどちらか半日を、書く作業に充てる。読む工程と書く工程を分けておくと、細切れの時間でも進みます。
この形だと、週の稼働は9時間前後になります。監修や資料作成であれば、月に2件から3件は回せる分量です。逆に、企業への訪問を伴う支援を月に何件も入れると、この枠には収まりません。始めたばかりの時期は、在宅で完結する仕事に絞るほうが続きます。
もう1つ大事なのが、受けない期間を決めておくことです。本業の繁忙期、家族の予定がある月は、最初から受注しないと決めておく。断るのが苦手な方ほど、先に埋めておくのが効きます。ずっと走り続けようとすると、半年で息切れします。
補助金の申請支援を最初の仕事にするときに気をつけること
副業の入口として補助金の申請支援を考える方は多いのですが、ここは少し注意が必要な領域です。
まず、公募の時期に稼働が集中します。締切前の数週間に作業が固まるので、本業の繁忙期と重なると身動きが取れなくなります。次に、採択の結果が報酬に連動する形の契約があります。成功報酬型は魅力的に見えますが、不採択なら稼働が報われません。着手金と成功報酬の組み合わせにするなど、条件はよく確認してください。
そして、申請書類の作成にどこまで関与できるかについては、他の資格の業務範囲との関係が問題になる場面があります。事業者本人が作成する書類の助言と、代理して作成することの間には線があります。この線引きは制度と書類の性質によって変わるので、迷ったら公募元の案内や専門家に確認してください。断定して進めるのは避けたほうがよい部分です。
更新要件と副業は、うまく重なる
中小企業診断士の登録には有効期間があり、更新にあたっては理論政策更新研修の受講と、実務に従事した日数が要件とされています。この日数の要件は、多くの方にとって負担に感じられる部分です。
ただ、見方を変えると、副業で受ける仕事の一部はこの要件に充てられる可能性があります。どの業務が実務従事として認められるかには基準があり、証明の様式も決まっています。ここは自己判断せず、中小企業庁の案内と、実際の案件の内容を照らし合わせて確認してください。要件は改正されることがあるので、その都度の確認が必要です。
副業と更新要件を切り離して考えると、両方が負担になります。重ねられる部分を重ねておくと、時間の使い方がかなり楽になります。始める段階で、この設計をしておいてください。
実務従事の証明については、書類の様式と、誰に証明してもらうかが決まっています。副業で受けた案件を要件に充てたい場合、依頼者に証明を依頼する必要が出てきます。契約の段階で「この案件は実務従事の証明をお願いする可能性があります」と伝えておくと、後から頼みやすくなります。終わってから急に頼むと、依頼者側も戸惑います。
また、理論政策更新研修は開催の時期と会場が限られます。年度の後半は申込が埋まりやすいので、更新の年が近づいたら早めに日程を押さえてください。ここを後回しにして、更新の期限が迫って慌てる方が毎年います。副業の稼働と研修の日程を、年間の予定として一度に組んでおくのが安全です。
案件の動きから見える、続く人の共通点
在宅と業務委託の市場を20年見てきた立場から言えることがあります。
資格を取った直後に活動を始めた人のうち、1年後も続いているのは、最初の半年で受注の形を1つに絞った人です。あれもこれもと手を広げた人は、どれも中途半端になって止まります。監修なら監修、資料作成なら資料作成と決めて、まずその領域で3件こなす。3件こなすと、見積もりの精度と作業の速度が安定します。そこから広げるほうが、結果的に早いです。
もう1つ、報酬の受け取り方についての観察です。仲介が何段も入る形の受発注では、依頼者が支払った金額と受け手に届く金額の差が大きくなります。手数料0%で直接つながる形なら、同じ予算で依頼者はより深く相談できますし、受け手の手取りは厚くなります。金額を上げる交渉をする前に、いま自分が受け取っているのが総額のどの部分なのかを確認してみてください。ここに気づいた人は、同じ稼働時間でも実入りが変わります。
中小企業診断士の副業の始め方は、特別な才能を必要としません。登録を終え、勤務先を確認し、自分の本業の経験と結びつけて名乗り、時間の制約に合う仕事から入る。この順番を守れば、必ず入口は見つかります。焦らなくて大丈夫です。合格まで積み上げてきたものは、確実に仕事につながっていきます。
よくある質問
Q. 中小企業診断士に合格したら、すぐに副業を始められますか?
すぐには始められません。中小企業支援法に基づく登録を完了させる必要があり、実務補習または実務従事で所定の日数を満たす工程が入ります。合格から登録完了まで3か月から1年程度が目安です。要件や手続は改正されることがあるため、中小企業庁の最新の案内で確認してください。
Q. 会社員のまま副業として活動できますか?
勤務先の就業規則で副業の可否を確認したうえであれば可能です。企業に勤める診断士を対象にした調査では、約半数の企業で副業が認められているという結果が出ています。許可制や届出制の場合は所定の手続を踏み、競業に関する制限がないかもあわせて確認してください。
Q. 実務経験がなくても受けられる仕事はありますか?
執筆と監修、資料作成といった領域は、本業での経験を軸に受けられます。診断士としての支援実績がなくても、何年どの業種でどの職能を担ってきたかを具体的に書けば判断してもらえます。逆に、企業への訪問を伴う経営助言は経験が問われる場面が多くなります。
Q. 最初の受注までにどのくらい時間がかかりますか?
登録完了後、動き方によりますが1か月から6か月程度が目安です。協会や研究会への参加、公的機関の専門家登録、オンラインのマッチングサービス、知人からの紹介という4つの経路のうち、複数を並行して動かすと確率が上がります。会社員の場合はオンライン経由がもっとも現実的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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