弁理士の副業の始め方


この記事のポイント
- ✓弁理士の資格を活かした副業を始める手順を
- ✓登録の状態の確認から勤務先の規程
- ✓初回受注までを順番に整理します
弁理士の資格を持ちながら副業を始められずにいる人の詰まりどころは、ほぼ決まっています。案件が見つからないのではなく、案件を探す手前の確認で止まっているのです。
結論から書きます。弁理士が副業を始めるまでにやることは、順番が決まっています。登録の状態の確認、勤務先の規程の確認、利益相反の確認、受ける仕事を1つに決める、応募材料をつくる、探す、条件を詰める、納品して請求する。この8つを順にやるだけです。順番を飛ばすと、たいてい後戻りします。
この記事では、その8つを実際の作業レベルまで落として書きます。試験や勉強の話は扱いません。既に資格を持っている人が、明日から何をすればいいのかだけを書きます。
副業が増えている背景を先に押さえる
手順に入る前に、なぜいま弁理士の副業が話題になるのかを整理しておきます。ここを理解しておくと、自分がどの動機で始めるのかがはっきりして、受ける案件の選び方も決まります。
理由は収入だけではありません。
高収入といわれる弁理士が副業する理由は、収入を増やしたいというだけではなく、独立を目指して人脈を作りたい、空いた時間を有効に使いたいなど様々です。 出典: legal-job-board.com
実務としても、環境の変化が後押しになっています。
特にここ数年コロナ過の影響でリモートワークをする弁理士は増加しています。通勤などの時間が浮いた分、空き時間を有効に使えることも副業をする魅力です。 出典: legal-job-board.com
自分の動機がどこにあるかで、選ぶ案件が変わります。将来の独立に向けて顧客との接点を作りたいなら、事務所からの下請けよりも事業会社との直接のやり取りが生まれる案件を選ぶべきです。空き時間を使いたいだけなら、稼働時間の指定がない監修や調査のほうが向いています。ここを曖昧にしたまま始めると、続けているうちに「何のためにやっているのか」が分からなくなります。
手順1 登録の状態を書類で確認する
最初にやるのは、自分がどの状態にあるかを書類で確認することです。ここが曖昧なまま応募すると、話が進んでから止まります。
確認するのは、弁理士としての登録が現に有効かどうか、そして登録している事務所や所属の情報が最新かどうかです。合格していても登録していない状態、登録していたが現在は抹消している状態、それぞれで名乗れる範囲と受けられる仕事が変わります。
ここで重要なのは、自分の状態から「だからここまでできる」と自己判断で線を引かないことです。弁理士の業務範囲は弁理士法に定めがあり、個別の案件がその範囲に当たるかどうかは文面だけでは判断できないことがあります。迷ったら日本弁理士会の案内を確認し、必要なら照会してください。確認したという記録を残しておくと、後で説明できます。
登録の状態が確認できたら、次に自分の実務経験を棚卸しします。扱ってきた技術分野、担当した手続の種類、関わった件数のおおよそ、使ってきた検索データベース。これは後で応募材料になるので、この段階で書き出しておいてください。
手順2 勤務先の規程を読む
2番目が就業規則の確認です。順番としてここを2番目に置いているのには理由があります。案件を見つけてから確認して駄目だった場合、それまでの時間が無駄になるからです。
確認するのは3点です。副業が禁止か、許可制か、届出制か。同業の業務に関する制限があるか。そして、勤務時間外の活動について定めがあるか。
特許事務所に勤めている人は、2点目に特に注意してください。事務所によっては、個人での受任を一切認めていない場合があります。逆に、事務所の業務に支障がない範囲で、記事の監修や講演は認めているという線引きをしている事務所もあります。同じ「副業可」でも、中身がまるで違います。
企業の知財部に勤めている人の場合は、就業規則に加えて、発明規程や機密情報の取扱規程も見ておいてください。自社の技術情報に触れる立場にいる人が外部の案件を受けるときは、情報の混同が起きないことを説明できる必要があります。
人事に確認するのが気まずいと感じる人は多いです。ただ、後から発覚したときに失うものが大きすぎます。まず規程の該当箇所を読んで、それでも判断がつかない場合だけ聞く、という順番にしてください。
手順3 利益相反を確認する
3番目は、弁理士に固有の確認です。ここを飛ばすと、受けてはいけない案件を受けてしまう可能性があります。
弁理士法には利益相反行為に関する規定があり、扱う案件によっては受任できない場合があります。判断は案件ごとに個別になります。
確認するのは、副業で受ける案件の当事者が、勤務先が扱っている案件の相手方になっていないか。技術分野が重なっている場合に、情報が混ざる可能性がないか。そして、過去に自分が関与した案件と関係がないか、の3点です。
実務上むずかしいのは、応募の段階では相手方が誰なのか分からないケースがあることです。この場合は、契約の前に当事者を確認できるかを先に聞いてください。確認できないまま進めるのは避けたほうがよいでしょう。
この確認を仕組みにしておくと楽になります。受けた案件と当事者を一覧にした表を作り、新しい案件が来たときにそこと照合する。表があれば、確認は数分で終わります。
手順4 受ける仕事を1つに決める
4番目が、いちばん飛ばされやすいステップです。何でもやりますという姿勢で探し始めると、応募材料がつくれません。
弁理士の資格や経験が活きる副業は、大まかに次の系統に分かれます。
調査系は、先行技術調査、無効資料調査、侵害予防調査です。作業がオンラインで完結し、時間の指定もないため、副業として最も入りやすい系統です。
文書作成の補助系は、明細書のドラフト補助、技術者が書いた原稿の整理、中間対応の下書きです。事務所からの外注として出ることが多く、技術分野の適合が重要になります。
翻訳とチェック系は、外国出願に関わる翻訳と、翻訳された文書の知財の観点からの確認です。担い手が不足しており、単価も相応に設定される領域です。
監修と執筆系は、知財をテーマにした記事やコンテンツの確認と執筆です。作業時間が読みやすく、稼働時間の指定もありません。
教育と研修系は、企業向けの研修資料の作成、受験者向けの解説、社内教材の整備です。
相談系は、規模の小さい事業者からの相談に時間単位で応じるものです。将来の独立を視野に入れているなら、この系統が顧客との接点になります。相談を業務として扱う在宅案件がどう組まれているかはキャリア・副業・人生相談のお仕事に整理されているので、相談という仕事の建て付けを知る材料になります。
このうち、最初に狙うのを1つ選んでください。選ぶ基準は「これまでに最も多く時間を使ってきた領域」です。得意そうな領域ではなく、実際に手を動かしてきた領域を選ぶのが重要です。提案文に書ける具体的な中身の量が、そのまま通過率になります。
手順5 応募材料をつくる
5番目が、応募に使う材料の準備です。ここを作らずに探し始めると、いい案件を見つけても応募できません。
用意するのは2つです。プロフィールと、提案文の型です。
プロフィールに書く項目は決まっています。資格と登録の状態、扱ってきた技術分野、担当した手続の種類、使ってきた検索データベースと外国語の対応範囲、稼働できる曜日と時間帯、そして受けられない領域です。
最後の項目を書く人はほとんどいませんが、効果があります。「この技術分野は経験がないため受けていません」と明示している人のほうが信用されます。何でもできると書いてある人ほど、実際には範囲の説明ができないからです。
提案文の型は、5つの要素で作ります。募集内容の理解の確認、その業務に直接関係する経験、実際の進め方の提案、稼働の条件、確認したい点。この順番で、全体400字から600字にまとめてください。
3つ目の「進め方の提案」を書ける応募者は多くありません。調査の案件なら、初回に調査の目的と範囲をすり合わせる、検索式と除外の基準を報告書に残す、判断が分かれる文献は根拠を添えて別記する、といった具合です。何ができるかではなく、どう進めるかを書くと、他の応募と区別されます。
応募材料をゼロから作る手順そのものに迷う場合は、資格に関係なく共通する部分が多いので副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめに整理された流れも参考になります。
手順6 探す場所には順番がある
6番目が、探す作業です。ここも順番があり、いきなり難易度の高いところから当たると時間を消耗します。
1番目は、業務委託のマッチングサイトです。知財の案件は数としては多くありませんが、調査と監修の募集は継続的に出ています。検索するときは「弁理士」だけでなく「知財」「特許」「商標」「先行技術調査」「明細書」といった語を横断してください。募集側の語彙が統一されていないため、1つの語だけでは半分も拾えません。
2番目は、特許事務所への直接の打診です。外注先を探している事務所は存在しますが、募集の形になっていないことが多い。知り合いの事務所や、以前の勤務先に声をかけるのが最も速い経路です。
3番目は、知財系メディアや出版社への打診です。監修者や執筆者を探している媒体は多く、問い合わせフォームからの連絡で反応があることがあります。競合が少ないのが利点です。
4番目は、以前に関わった企業からの紹介です。知財の仕事は紹介で動く割合が高く、副業を始めたことを伝えておくだけで機会が回ってくることがあります。
5番目は、事業会社への直接提案です。営業の要素が強いため、最初の1件には向きません。
止まっている人の多くは、1番目だけを見て「案件がない」と判断しています。この領域は、募集の形になる前に動いている割合が高いので、2番目以降を必ず当たってください。
手順7 条件を詰める
案件が決まりそうになったら、条件の確認です。見るのは5点です。
業務範囲が文書で確定しているか。範囲が曖昧なまま始めると、途中で作業が膨らみます。
修正の回数に上限があるか。調査や監修では、追加の質問が際限なく来ることがあります。上限が決まっていれば、そこから先は追加の報酬の話ができます。
秘密保持の内容。情報の保存場所、返却や消去の方法、契約終了後の義務の期間の3点を確認してください。
報酬の形。時間単価か、件数単価か、成果物単位か。件数単価の場合は、1件あたりの想定作業時間を自分で見積もってから受けてください。技術文書を扱う在宅の仕事の単価水準を知りたい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場が目安になります。直接は重なりませんが、技術を扱う仕事がどの水準で動いているかが分かります。
納期と連絡の頻度。本業の繁忙期と重なっていないかを確認し、対応できる期間を先に伝えておいてください。
報酬額は、この5点のあとに見れば十分です。最初の1件は相場より低くても構いませんが、無償で受けるのは避けてください。無償で受けた仕事は、次の案件の値付けの基準を壊します。
手順8 納品と請求の準備
最後が、始めたあとに必ず来る事務です。初回の納品の前に用意しておくと、慌てずに済みます。
請求書の様式を1つ決めておいてください。宛先、発行日、請求金額、内訳、支払期限、振込先が必要です。消費税の扱いは、適格請求書発行事業者の登録をしているかどうかで記載内容が変わります。登録していない場合でも請求自体はできますが、発注者側の処理が変わるため、契約前に自分の状況を伝えておくとやり取りが減ります。制度の詳細は国税庁の案内で確認してください。
案件の管理表も作っておいてください。受注日、当事者、技術分野、報酬額、納品日、入金日の欄があれば十分です。この表は、確定申告のときと、利益相反の確認のときの両方で使えます。
入金の確認も忘れずに行ってください。納品したことは覚えていても、実際に振り込まれたかを確認していないケースがあります。月末にまとめて消し込む習慣にしておくと、取りこぼしがなくなります。
副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。具体的な要件は国税庁の案内で確認してください。始めた時点から記録をつけておけば、申告時の作業は大幅に減ります。
技術分野によって案件の出方が違う
受ける仕事の系統を決めるとき、もうひとつ見ておきたいのが自分の技術分野です。同じ調査の仕事でも、分野によって募集の量とタイミングがまるで違います。
情報通信とソフトウェアの分野は、案件の絶対数が多い領域です。出願件数が多く、権利範囲の解釈が争点になりやすいため、調査の需要も継続的に発生します。近年はAIや機械学習に関わる出願が急増しており、この分野を読める人が不足しています。
機械と電気の分野は、案件が安定して出る一方で、担い手も多い領域です。ここで差がつくのは、特定の製品分野に踏み込んだ知識があるかどうかです。「機械全般」ではなく「産業用ロボットの駆動機構」まで絞れる人は、募集が少なくても指名で声がかかります。
化学とバイオの分野は、案件の数は多くありませんが、読める人が限られるため単価が高く出やすい領域です。実験データの読み込みが必要になり、他分野の人が代替できません。
意匠と商標の分野は、技術分野の縛りが緩く、事業者からの直接の相談が発生しやすい領域です。事業の立ち上げのタイミングで相談が来るため、そこから関係が続きやすい特徴があります。
自分の分野が案件の少ない側だった場合でも、悲観する必要はありません。少ないということは競合も少ないということです。募集を待つのではなく、事務所や事業会社に直接打診する経路のほうが効きます。
副業の時間をどこから捻出するか
手順を全部やっても、時間が確保できなければ続きません。ここは始める前に設計しておいてください。
知財の副業は、まとまった時間を必要とする作業と、細切れでも進む作業に分かれます。明細書のドラフト、検索式の設計、鑑定的な検討は、まとまった時間が要ります。集中が切れると質が落ちる種類の作業だからです。一方、公報を読んで分類する作業、監修の指摘を書く作業、翻訳のチェックは、細切れでも進みます。
副業として組むなら、まとまった時間が取れる曜日を週に1つ確保してください。そこに重い作業を寄せ、残りの日は細切れで進む作業に充てます。この配分を先に決めておくと、案件が来たときに「これは自分の時間の形で回せるか」を即座に判断できます。
もうひとつ、本業の繁忙期を先にカレンダーに落としておいてください。年度末、決算期、出願の期限が集中する時期。副業の納期がここに重なると、どちらも回らなくなります。案件を受けるときに「この時期は対応できません」と先に伝えられる状態にしておくと、無理な引き受けを避けられます。
最初の数件は、自分の所要時間を測るための期間だと考えてください。1件目で「調査1件に何時間かかったか」を記録しておけば、2件目からの見積もりが正確になります。この記録があるかないかで、値付けの精度がまるで変わります。
応募して反応がないときに直す場所
応募したのに返信が来ない。この段階で止まる人も多いので、直す場所を3つに絞って書いておきます。
1つ目は、募集内容と経験の対応が取れているかです。募集が商標の調査なのに特許の実務経験だけを並べていないか。監修の募集なのに出願の実績だけを書いていないか。募集要項を1行ずつ読み直して、自分が書いた経験と対応させてください。対応していない行があるなら、そこが落ちた理由です。
2つ目は、作業の進め方を書いているかです。応募文に「何ができるか」しか書いていない人が大半を占めます。発注者が知りたいのは「どう進めるか」です。初回に何をすり合わせるか、成果物をどういう形で返すか、判断が分かれたときにどうするか。この3点を書くだけで、他の応募と区別されます。
3つ目は、専門用語がそのまま残っていないかです。応募文を知財の専門家でない人に読んでもらい、意味の分からない語があれば言い換えてください。「進歩性」「拒絶理由」「無効資料」といった語は、知財部を持たない事業者には通じません。読み手を選ぶ文章は、それだけで機会を減らします。
この3点を直しても通らないなら、応募先の系統が合っていない可能性があります。調査に応募し続けて通らないなら、監修や執筆に切り替えて試してみてください。専門知識を文章にする仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種別のデータがまとまっているので、監修や執筆に寄せるときの値付けの目安として使えます。
1件で終わらせず、続く仕事にする
最初の1件が取れたら、次に考えるのはその1件を継続の入口にすることです。単発で終わる人と続く人の差は、納品の仕方に出ます。
納品時にやっておくとよいことが3つあります。まず、判断の根拠を添えること。調査なら「なぜこの文献を除外したか」を1行でよいので書き添えます。発注者は自分では判断できないからこそ依頼しているので、根拠が残っていると社内で説明できるようになり、その分だけ依頼の価値が上がります。
次に、次回に向けた申し送りを残すこと。今回は範囲外だったが確認したほうがよい点、次に同種の案件を出すときに決めておくとよい条件。これを1つか2つ書いておくと、次の依頼の理由が発注者側に生まれます。
そして、納期より早く返すこと。専門家からの返信は遅いものだと発注側が織り込んでいることが多く、想定より早く返ってくるだけで印象が変わります。
この3つは、どれも報酬に直接は跳ね返りません。ただ、2件目、3件目の依頼が来るかどうかを分けています。副業として成り立つかどうかは、1件目の報酬額ではなく、そこから継続が生まれるかで決まります。
資格を仕事に接続するときの共通の考え方
弁理士に限らず、資格を持っている人が副業を始めるときに共通する論点があります。資格が法令上の要件になる仕事と、資格があると質が上がる仕事を分けて考える、という点です。
前者は範囲が明確ですが、副業として受けるには勤務先や利益相反の確認が要ります。後者は範囲が広く、参入しやすい。副業として現実的なのは、多くの場合が後者です。
この構造は他の士業でも同じで、行政書士の資格ガイドにも、資格が要件になる仕事とならない仕事の分かれ方が整理されています。自分の分野の輪郭を確認する材料として、比較して読むと理解が進みます。
また、知財の知識をこれまでと違う出口に接続する選択肢も広がっています。AIサービスの提供にともなう権利関係の確認は、ここ数年で明確に増えた領域です。周辺の在宅案件の建て付けはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されています。AIを仕事に取り込む一般的な手順はAI 始め方ガイド!初心者が仕事や副業でAIを使いこなす5ステップにもまとまっているので、自分の実務にどう組み込むかを考える材料になります。
運営者として見てきた、始められる人と止まる人の差
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、専門資格を持つ人の立ち上がり方について観察を書いておきます。
止まる人に共通しているのは、完璧な状態で始めようとすることです。もっと実績を整理してから、もっと条件のいい案件が出てから、と準備を続けて、応募しないまま数か月が過ぎる。この状態のまま資格だけを持っている人は、かなりの数います。
始められる人は、最初の1件を「試し」と位置づけています。報酬が低くてもいい、内容が地味でもいい、まず1件通してみる。1件通すと、契約書の読み方、納品の作法、発注者とのやり取りの間合いが分かります。この経験は、どれだけ準備しても手に入りません。
もうひとつ観察として書いておくと、専門性が高い人ほど、説明が正確になり、その正確さが発注者にとっては読みにくさになります。知財の募集を出す企業の担当者は、多くの場合、知財の専門家ではありません。「無効資料調査ができます」と書かれても、それが自社の困りごとを解決するのか判断できないのです。ここで「他社から権利を主張されたときに、その権利を崩せる材料を探す作業です」と一言添えられる人は、同じ資格でも結果が変わります。
そして、長く続いている人ほど、相手の数を増やすのではなく、少数の相手との関係を厚くする方向に時間を使っています。知財の仕事は、相手の事業や技術の背景を理解しているかどうかで、同じ作業でも所要時間が変わります。2度目、3度目の依頼のほうが楽になるのは、そのためです。
その関係の積み上がりに効いてくるのが、取引の経路です。仲介の手数料が乗らない形で発注者と直接やり取りできる経路を持っている人は、手数料0%で取引できる分だけ受け手の手取りが厚くなり、発注する側から見れば同じ予算でより多く頼めることになります。金額の差そのものより、この構造が関係の続きやすさに効いています。
順番を守れば、資格を持っている人が最初の1件にたどり着くまでの道のりは、それほど長くありません。止まっているのは、たいてい探し方ではなく、その手前の確認です。
よくある質問
Q. 弁理士が副業を始めるとき、最初にやることは何ですか?
登録の状態を書類で確認することです。次に勤務先の就業規則を読み、副業が禁止か許可制か届出制か、同業の業務に制限があるかを確認します。この2つのあとに利益相反の確認をしてから、受ける仕事の系統を1つに決めてください。この順番を飛ばすと後戻りします。
Q. 特許事務所に勤めていても副業はできますか?
事務所の規程によります。個人での受任を一切認めていない事務所もあれば、記事の監修や講演は認めている事務所もあります。同じ副業可でも中身が違うため、まず規程の該当箇所を読み、判断がつかない場合だけ確認してください。あわせて利益相反の確認も必要です。
Q. 最初に狙う案件はどの系統がよいですか?
先行技術調査などの調査系か、知財記事の監修が入りやすい系統です。どちらも作業がオンラインで完結し、稼働時間の指定がないため副業と相性がよい。選ぶときの基準は得意そうな領域ではなく、これまで実際に最も多く時間を使ってきた領域にしてください。
Q. 案件を受ける前に契約で確認すべき点はどこですか?
業務範囲が文書で確定しているか、修正回数に上限があるか、秘密保持の内容(保存場所・消去方法・契約終了後の義務の期間)、報酬の形、納期と連絡の頻度の5点です。報酬額はこの5点を確認したあとに見れば十分です。範囲が曖昧な案件は受けないという判断も含めて考えてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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