子育てしながら企業の産業保健で働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓子育て中の看護職にとって
- ✓企業の産業保健は日勤中心で両立しやすい一方
- ✓1人職場の休みにくさや繁忙期の残業という壁もあります
子育てをしながら、看護の資格を生かして働き続けたい。 その選択肢として、企業の産業保健を考えている方は多いと思います。
結論から言うと、企業の産業保健は、夜勤やオンコールがなく、土日祝日が休みの職場が多いため、子育てとの両立がしやすい部類に入ります。 ただし、「企業だから両立しやすい」とひとくくりにするのは危険です。 看護職が1人しかいない職場では、子どもの急な発熱で休みにくく、健康診断の時期には残業が続くこともあります。
両立のしやすさを決めているのは、会社の福利厚生の豪華さよりも、健康管理室の体制です。 この記事では、企業の産業保健という職場の中で何が起きているのかを整理したうえで、勤務の融通がきく職場の見分け方と、法律で使える制度、そして求人票と面接で確かめるべき点を順番に見ていきます。
企業の産業保健は、なぜ子育て中の看護職に選ばれるのか
まず、ほかの職場と比べて、企業の産業保健の働き方にどのような特徴があるのかを整理します。
| 職場 | 勤務時間の傾向 | 休日の傾向 | 子育てとの両立で壁になりやすいこと |
|---|---|---|---|
| 病院の病棟 | 2交替や3交替、夜勤あり | シフト制で土日も出勤 | 夜勤、休日出勤、急な勤務変更 |
| クリニック | 日勤中心、夕方の診療で遅くなることがある | 平日休診日と土曜の半日勤務 | 夕方の終了時刻、土曜出勤 |
| 訪問看護 | 日勤中心 | 土日休みが多い | オンコール当番、移動の多さ |
| 健診機関 | 朝早い開始が多い | 土日の健診がある施設も | 早朝の出勤、繁忙期の出張健診 |
| 企業の健康管理室 | 日勤のみ、会社の就業時間に合わせる | 土日祝日休みが多い | 1人職場の休みにくさ、繁忙期の残業 |
表を見ると分かるとおり、企業の産業保健のいちばんの特徴は、会社の就業時間とカレンダーに沿って働けることです。 保育園の送り迎えの時間が読みやすく、学校行事の多い土曜日に休めることは、子育て中の方にとって大きな意味があります。
もう1つ見落とされがちなのが、「会社員として働く」ことそのものの利点です。 企業に直接雇用される場合、健康管理室の看護職も、ほかの社員と同じ就業規則と人事制度の中で働きます。 つまり、会社が全社員向けに整えている在宅勤務、時差出勤、短時間勤務、ベビーシッター費用の補助といった制度を、看護職も同じ条件で使える可能性が高いのです。
病院では、看護部の中で勤務表を回す都合から、制度があっても使いにくいという話をよく聞きます。 企業の場合は、人事部が制度の運用を担っているため、「制度があるのに使えない」という状況は起きにくい傾向があります。
そして、産業保健の仕事の中身そのものも、子育て中の方の経験と重なる部分があります。 社員の妊娠や出産、育児と仕事の両立についての相談は、健康管理室に日常的に寄せられるテーマです。 厚生労働省の働く女性向けのサイトでは、産業保健スタッフの主な業務として、次のような項目を挙げています。
主な業務 ●職場環境などの改善(社内制度等の見直しについても相談可能) ●労働者に対する相談対応(身体の不調をはじめ、体調管理の仕方についても相談可能) ●職場適応、治療及び職場復帰の指導 ●労働者に対する教育研修 出典: bosei-navi.mhlw.go.jp
妊娠中の社員の体調管理や、育児休業から復帰した社員の相談に乗る場面では、自分自身が両立の難しさを知っていることが、そのまま相談の質につながります。 子育ての経験がキャリアの空白ではなく、仕事の強みとして生きる職場だ、という点は強調しておきたいところです。
それでも両立が難しくなる場面は、はっきりある
ここまで読むと、企業の産業保健は子育て中の方にとって理想の職場に見えるかもしれません。 正直なところ、そう言い切る記事には注意したほうがよいと考えています。 実際に働いてみると、両立が難しくなる場面は、はっきりあります。
看護職が少ないことによる休みにくさ
企業の健康管理室は、看護職が1〜2人という職場が少なくありません。 病棟のように、誰かが休めば別の誰かが勤務を代わるという仕組みが、そもそも存在しないのです。
企業医務室で働いた経験を持つ看護師が執筆する転職情報サイトには、次のように書かれています。
企業医務室は看護師が1~2名程度で運営されていることが多く、平日に有給休暇を取得しづらいことがありました。 有給を取得する際は看護師不在時の対応を事前に調整する必要があり、人事部や総務部の担当者と連携しなければならず、手間がかかることがあります。 出典: nurse.peko.co.jp
事前に分かっている休みなら調整できますが、子どもの発熱は前日の夜や当日の朝に突然起きます。 1人職場で急に休むと、その日に予定していた産業医との面談や、社員との約束をすべて組み直すことになります。 このときの心理的な負担は、制度があるかどうかとは別の問題です。
繁忙期の残業
健康診断の実施とその後の対応、ストレスチェックの実施時期は、どの会社でも業務が集中します。 会社によって時期は違いますが、年に1〜2回、数週間から数か月にわたって忙しい期間があるのが一般的です。 普段は定時で帰れる職場でも、この期間は残業が続くことがあります。
周囲が残業する中で帰ること
制度上は残業をしなくてよくても、同じ部屋で先輩が残業していると、帰りにくいと感じる場面があります。 先ほどと同じサイトでは、この点にも触れています。
小さな子どもがいて残業できない場合などは、周囲が残業する中で自分だけ先に帰りづらいと感じることもあります。 出典: nurse.peko.co.jp
これは、制度の問題というより、職場の人数と雰囲気の問題です。 少人数の職場ほど、1人の働き方が周囲にそのまま影響するため、気をつかう場面が増えます。
夕方に起きる救急対応
社員の急な体調不良やけがは、時間を選びません。 終業時刻の直前に対応が始まれば、救急車の手配や家族への連絡が終わるまで、その場を離れられないこともあります。 保育園のお迎えの時間が迫っている日に、こうした対応が重なるリスクは、ゼロにはできません。
こうした場面を知ったうえで職場を選べば、入社してからの「思っていたのと違う」を大きく減らせます。 次の節では、勤務の融通がどこで決まるのかを見ていきます。
シフトや勤務時間の融通は、職場の体制で決まる
企業の産業保健といっても、職場の体制はさまざまです。 勤務の融通がきくかどうかは、ほぼこの体制で決まると言ってよいでしょう。
看護職が複数いる大企業の健康管理室
保健師や看護師が数人から十数人いる職場では、担当する事業部を分けつつ、互いに業務を補い合う仕組みができていることが多いです。 急な休みでも、緊急の対応は別の担当者が引き受けられるため、子育て中の方にとっては最も安心できる体制と言えます。 全社でフレックスタイム制や在宅勤務が導入されている会社では、看護職も面談をオンラインで行うなど、柔軟な働き方が認められていることがあります。
看護職が1人の職場
数百人規模の事業場で、嘱託の産業医が月に1〜2回来る体制です。 業務の予定を自分で組める自由度は高い一方、急な休みの影響を自分で吸収しなければなりません。 このタイプの職場を選ぶ場合は、不在時に人事や総務の担当者がどこまで対応してくれるか、救急時の連絡体制が決まっているかを、事前に確かめておくことが欠かせません。
工場や事業所の医務室
24時間稼働している工場では、医務室にも交替勤務が組まれていることがあります。 日勤のみの求人かどうか、夜間の体制がどうなっているかは、必ず確認してください。 一方で、医務室に看護職が複数いてシフトを組んでいる職場では、勤務日の調整がしやすいという面もあります。
健康保険組合や外部の産業保健サービス
健保組合の保健事業部門や、企業から産業保健の業務を受託する会社で働く選択肢もあります。 複数の企業を担当する外部サービスでは、訪問日を事前に組めるため、時短勤務や週3〜4日勤務と相性がよい場合があります。 面談をオンラインで行う形が広がっていることも、子育て中の方にとっては追い風です。
体制ごとの特徴をまとめると、次のようになります。
| 体制 | 急な休みへの対応 | 勤務時間の柔軟さ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 看護職が複数の健康管理室 | 補い合える | 全社の制度を使えることが多い | 子どもが小さく、急な休みが多い時期の人 |
| 看護職が1人の職場 | 自分で調整が必要 | 予定を自分で組みやすい | 家族のサポートがあり、裁量を持って働きたい人 |
| 工場や事業所の医務室 | シフト次第 | 交替勤務の有無で大きく違う | 日勤のみの条件が確認できた人 |
| 外部の産業保健サービス | 訪問日の調整で対応 | 時短や週数日と相性がよい | 勤務日数を抑えたい人 |
短時間勤務の保健師の1日を、時間の流れで追う
制度や体制の話だけでは、実際の働き方がイメージしにくいと思います。 ここでは、看護職が3人いる大企業の健康管理室で、短時間勤務を使って働く保健師の1日を例に、時間の流れを追ってみます。 会社によって違いはありますが、どこで時間が足りなくなりやすいのかが見えてきます。
9時から12時
保育園に子どもを送ってから出社し、まずメールと社内チャットを確認します。 前日の夕方に届いた社員からの相談の予約を、面談の枠に入れていきます。 午前中は、健康診断の結果で再検査が必要と判定された社員への面談が2件です。 面談の合間に、休職中の社員の主治医から届いた書類を確認し、産業医に回す準備をします。
12時から13時
昼休みは、ほかの社員と同じ時間に取ります。 病棟のように、休憩の時間が患者さんの状態で後ろにずれることは、ほとんどありません。
13時から16時
午後は産業医が来社する日です。 復職を控えた社員の面談に同席し、職場の上司と人事を交えた打ち合わせで、復帰後の勤務時間や業務の範囲を確認します。 この打ち合わせが長引きやすいので、短時間勤務の人は、会議の開始時刻を早めに設定してもらうなどの工夫をしています。
16時の退勤まで
終業の前に、その日の面談記録を仕上げ、翌日の担当者に引き継ぐ事項をチャットに残します。 夕方に社員が体調を崩した場合は、フルタイムの同僚が対応する取り決めになっているため、予定どおりに退勤できます。
短時間勤務の人にとって、もう1つ大きいのが、健康診断の繁忙期の扱いです。 この職場では、繁忙期は受診勧奨のメール送付や結果の集計など、時間の区切りやすい作業を短時間勤務の人が受け持ち、夕方にかかる面談はフルタイムの同僚が受け持つ、という分担をしていました。 繁忙期に誰がどの作業を担うかを事前に決めている職場は、短時間勤務の人が肩身の狭い思いをしにくい職場だと言えます。
この例で分かるのは、短時間勤務が成り立つかどうかは、「夕方以降の対応を誰が引き受けるか」が決まっているかにかかっている、ということです。 看護職が1人の職場では、この取り決めを作る相手がいません。 面接で体制を確かめるときは、「夕方の救急対応や、長引いた面談は、どなたが対応されていますか」と聞いてみると、短時間勤務の現実味がよく分かります。
妊娠や産休を伝えるとき、少人数の職場で起きること
企業の産業保健で働いているときに妊娠が分かった場合、少人数の職場ならではの事情があります。 これから入社する方にも、いま働いている方にも、知っておいてほしい点を整理します。
伝える時期は、引き継ぎの期間から逆算する
法律上、妊娠の報告の時期に決まりはありません。 ただ、看護職が1〜2人の職場では、産休に入る前に代わりの人を探す時間が必要です。 会社が派遣などで代替の人を確保するには、募集から着任まで1〜2か月程度かかることもあるため、体調が落ち着いた段階で、上司と人事に早めに相談しておくと、引き継ぎの期間を十分に取れます。
引き継ぎの資料は、日頃から少しずつ作っておく
健康管理室の仕事は、年間の予定がおおむね決まっている一方で、休職者のフォローのように、1人ひとりの経過を追う仕事も多くあります。 経過の記録や、産業医とのやり取りの流れ、社内の関係者の連絡先を日頃から整理しておくと、急に体調を崩して早めに休むことになっても、職場が困りません。 これは、子育てが始まってから子どもの発熱で急に休むときにも、そのまま役立つ習慣です。
自分自身が、制度の利用者になる
妊娠中の社員の健康管理について、会社は男女雇用機会均等法に基づき、健康診査を受けるための時間の確保や、医師の指導に基づく勤務の軽減などの措置を講じる必要があります。 普段は社員にこうした制度を案内する立場ですが、今度は自分が利用する側になります。 主治医からの指導を会社に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」も、遠慮せずに使ってください。
復帰の時期は、会社の年間予定と重ねて考える
育児休業からの復帰の時期は、保育園の入園の時期で決まることが多いと思います。 それに加えて、企業の産業保健の場合は、健康診断やストレスチェックの時期と重ならないかを見ておくと、復帰直後の負担を軽くできます。 繁忙期の真ん中で復帰すると、慣らし保育で早く帰らなければならない時期と、職場が最も忙しい時期が重なってしまうからです。 復帰の面談では、人事と一緒に、最初の1〜2か月に担当する業務の範囲を決めておくことをおすすめします。
産業保健の職場は、働く人の健康を守ることが仕事の中心です。 その職場で、看護職自身が無理をして体調を崩しては、元も子もありません。
頼れる制度を、法律の最低ラインから知っておく
次に、子育て中の方が使える制度を、法律で決まっている「最低ライン」から整理します。 会社独自の制度はこの上に上乗せされるものなので、まず最低ラインを知っておくと、求人票や就業規則を読むときの物差しになります。
育児・介護休業法は、2025年4月と10月に段階的に改正が施行されました。 主な内容を、子どもの年齢ごとにまとめます。
| 子どもの年齢 | 法律で使える主な制度 |
|---|---|
| 1歳まで(条件により最長2歳まで) | 育児休業 |
| 3歳になるまで | 短時間勤務制度(1日原則6時間)、テレワークの導入は事業主の努力義務 |
| 3歳から小学校に入るまで | 事業主が講じる「柔軟な働き方を実現するための措置」から選んで利用(2025年10月から) |
| 小学校に入るまで | 残業の免除(所定外労働の制限。2025年4月から対象が拡大)、時間外労働と深夜業の制限 |
| 小学校3年生の修了まで | 子の看護等休暇(2025年4月から対象が拡大し、学級閉鎖や入園式などの行事にも使える) |
「柔軟な働き方を実現するための措置」は、始業時刻の変更、テレワーク、保育施設の設置運営など、短時間勤務制度、新しい休暇の付与という5つの中から、事業主が2つ以上を選んで講じるものです。 労働者は、その中から1つを選んで利用できます。 あわせて、子どもが3歳になる前の適切な時期に、事業主は制度を個別に知らせ、利用の意向を確認することが義務づけられました。
子の看護等休暇は、1年度に5日(子どもが2人以上なら10日)まで取得できます。 有給か無給かは会社の定めによるため、就業規則で確認が必要です。
ここで押さえておきたいのは、これらの制度が「病院でも企業でも同じように適用される」という点です。 つまり、法律の制度そのものでは、企業の産業保健が特別に有利なわけではありません。 差が出るのは、会社が法律の上にどれだけ上乗せしているか、そして職場の体制として実際に使えるかどうかです。
企業、特に大企業では、次のような上乗せの制度を持っていることがよくあります。
・短時間勤務を小学校の途中まで延長できる ・フレックスタイム制度で、中抜けや時間単位の休暇が使える ・在宅勤務の回数に上限がない、または上限が緩い ・ベビーシッターや病児保育の費用を補助する ・子の看護等休暇を有給にしている
一方で、派遣やパートなど有期雇用の場合は、育児休業を取るための要件(子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了することが明らかでないことなど)があるため、雇用形態によって使える範囲が変わることにも注意してください。 ※制度の対象や要件は、会社の就業規則や労使協定によって異なる場合があります。具体的な利用の可否は、応募先の人事担当者や、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で確認してください。
求人票と面接で、両立のしやすさを確かめる
では、実際に応募先を選ぶとき、どこを見れば両立のしやすさが分かるのでしょうか。 求人票に「育児支援制度あり」と書かれていても、それだけでは何も分かりません。 確かめるべき項目を、求人票で見る点と、面接や面談で聞く点に分けて整理します。
求人票で見る点
・看護職の人数(「保健師2名、看護師1名在籍」などの記載) ・産業医が専属か嘱託か、来社の曜日や頻度 ・月の平均残業時間と、繁忙期の時期 ・在宅勤務やフレックスタイム制度の有無 ・雇用形態と、正社員登用の実績 ・募集の背景(増員か、欠員補充か、産休や育休の代替か)
特に「募集の背景」は重要です。 産休や育休の代替として募集されている場合、その職場では看護職が実際に産休や育休を取っている、ということになります。 これは、両立の実績があることを示す、分かりやすいサインの1つです。
面接や面談で聞く点
子育てに関する質問を、面接で直接するのはためらわれるかもしれません。 聞き方を工夫すれば、職場の実態を穏やかに確かめることができます。
| 確かめたいこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| 急な休みへの対応 | 健康管理室の担当者が不在の日は、どのような体制で対応されていますか |
| 残業の実態 | 健康診断の時期は、健康管理室の業務量はどのくらい増えますか |
| 制度の利用実績 | 健康管理室の皆さまは、在宅勤務や時差出勤の制度をどのように使われていますか |
| 勤務時間の柔軟さ | 面談をオンラインで行うことはありますか |
内定が出たあとであれば、短時間勤務の利用や、子の看護等休暇の扱いについて、より具体的に確認しても差し支えありません。 転職エージェントを通して応募している場合は、面接の前に担当者に確認してもらうのも1つの方法です。
私が以前、身近な人の転職の相談に乗ったとき、求人票に「育児中の社員が多数活躍」と大きく書かれた会社がありました。 ところが、面接で健康管理室の体制を聞いてみると、看護職は1人で、前任者は子育てとの両立が難しくて退職していたことが分かりました。 会社全体としては両立支援に熱心でも、健康管理室という小さな部署の中では事情が違った、というわけです。 求人票の宣伝文句ではなく、部署の人数と前任者の状況を見る。 この順番は、何度強調しても足りないと感じています。
雇用形態ごとの選び方と、ブランクからの戻り方
最後に、子育て中の方がとりやすい働き方を、雇用形態ごとに整理します。
正社員
会社の福利厚生と両立支援の制度を最も幅広く使えます。 短時間勤務を使いながら正社員として働き続けられる会社であれば、長期的に最も安定した選択肢です。 一方で、求人の数は少なく、保健師の資格や産業保健の経験を求められることが多い傾向があります。
契約社員やパート
週の勤務日数や時間を抑えた求人が見つかりやすい働き方です。 健康診断の繁忙期だけ人手を増やしたい会社や、看護職の1人を補う立場として募集されることがあります。 育児休業などの制度の対象になるかは、契約期間や勤務日数によって変わるため、応募時に必ず確認してください。
派遣
産休や育休の代替として、期間を決めて募集されることが多い働き方です。 企業の産業保健が未経験の方にとっては、派遣で実務経験を積み、その経験をもとに正社員や直接雇用の求人に応募する、という道筋がとりやすくなります。 子どもが保育園に慣れるまでの期間に、期間の決まった仕事で働く感覚を取り戻すという使い方もできます。
業務委託
企業や外部の産業保健サービスから、健康相談や保健指導の一部を業務委託で受ける形もあります。 勤務日や時間を自分で決めやすい一方、会社員としての制度は使えないため、収入の安定と自由度のどちらを優先するかで判断することになります。
雇用形態を選ぶときに、見落としやすい点が1つあります。 それは、「子どもが何歳の時期に、どのくらい働きたいか」を、数年先まで並べて考えることです。 保育園に通う時期は時短勤務のできる正社員、小学校に上がって学童の時間が短くなる時期は勤務日数を抑えたパート、というように、必要な働き方は子どもの成長とともに変わります。 いま選ぶ雇用形態が、数年後にも同じ会社で働き方を変えられる形になっているか。 正社員であれば短時間勤務の延長制度、パートであれば勤務日数の変更のしやすさを、入社前に確かめておくと安心です。
ブランクがある方は、いきなり1人職場を任される求人ではなく、看護職が複数いる職場や、期間の決まった派遣から戻ることをおすすめします。 産業保健の法律や制度は数年ごとに改正されるため、ブランクの間に変わった点(ストレスチェックの対象の拡大や、育児・介護休業法の改正など)を、応募前に一通り確認しておくと、面接でも落ち着いて話せます。
フリーランス市場を長く見てきた立場から、両立の働き方について
フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から見ると、子育てと仕事を長く両立している人ほど、1つの勤務先にすべてを預けていない、という傾向があります。 正社員として企業の産業保健で働きながら、在宅でできる健康相談や、医療に関する記事の確認の仕事を少しずつ持っている人もいます。 子どもの成長に合わせて比重を変えられる働き方を、早い段階から少しずつ用意しているのです。
たとえば、子どもが小さい時期は勤務先での時短勤務を中心にして、在宅の仕事はごく少なくしておく。 子どもが小学校の高学年になって手が離れはじめたら、在宅の仕事の比重を少しずつ増やす。 こうした調整ができるのは、1つの勤務先の制度だけに頼らず、自分の側にも選択肢を持っているからです。
個人として企業と直接つながる仕事では、間に入る手数料が小さいぶん、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。 勤務時間を増やせない時期ほど、この「手取りの厚さ」は効いてきます。
企業の産業保健の給与水準を、病院やクリニックと比べて把握しておきたい方は、看護師の年収・単価相場を確認してみてください。 短時間勤務やパートを選んだ場合に、年収がどの程度になるかの見当をつける材料になります。
健康管理室に寄せられる相談には、育児と仕事の両立やキャリアの迷いに関するものが多く含まれます。 働く人の悩みを聞いて次の一歩を一緒に考える仕事の広がりは、職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとめられています。 相談の技法を体系的に学ぶなら、国家資格のキャリアコンサルタントの概要も参考になります。
応募先を探しはじめる段階の方は、募集がどこに出て、応募前に何を確かめればよいかをまとめた企業の産業保健の求人はどこで探すのかもあわせて読んでみてください。 また、勤務日数を抑えながら看護の経験を生かせる仕事の選択肢を知りたい方には、在宅での健康相談などを紹介した看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】が役に立ちます。
よくある質問
Q. 企業の産業保健は、子育て中でも本当に働きやすいですか?
夜勤やオンコールがなく、土日祝日が休みの職場が多いため、両立しやすい部類に入ります。ただし、看護職が1〜2人の職場では急な休みの調整が難しく、健康診断やストレスチェックの時期には残業が続くこともあります。働きやすさは会社の制度より健康管理室の人数と体制で決まるため、応募前に必ず確認しましょう。
Q. 子どもの急な発熱で休むとき、1人職場ではどうなりますか?
その日の面談や産業医との予定を組み直す必要があり、緊急の対応は人事や総務の担当者に一時的に頼むことになります。職場によって不在時の体制は大きく違うため、面接で「担当者が不在の日はどのように対応していますか」と聞いておくと安心です。子どもが小さい時期は、看護職が複数いる職場を選ぶのも1つの方法です。
Q. 育児・介護休業法の改正で、何が使えるようになりましたか?
2025年4月から、残業の免除の対象が小学校入学前まで広がり、子の看護等休暇は小学校3年生修了まで、学級閉鎖や入園式などにも使えるようになりました。2025年10月からは、3歳から小学校入学前の子を育てる人向けに、事業主が選んだテレワークや時差出勤などの措置から1つを選べるようになっています。
Q. ブランクがあっても企業の産業保健に応募できますか?
応募できます。ただし、いきなり1人職場を任される求人より、看護職が複数いる職場や、産休・育休の代替などで期間の決まった派遣の求人から戻るほうが、無理なく感覚を取り戻せます。応募前に、ストレスチェック制度や育児・介護休業法の改正など、ブランクの間に変わった制度を一通り確認しておくと、面接でも落ち着いて話せます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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