登録販売者の資格は独学でも取れるか

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
登録販売者の資格は独学でも取れるか

この記事のポイント

  • 登録販売者の資格を独学で取れるかを
  • 厚生労働省が公表している試験実施状況と試験ガイドラインで確認して整理しました
  • 合格後に必要な手続きまでをまとめています

結論から書きます。登録販売者の資格は、独学で取れます。受験に学歴も実務経験も要らず、試験は都道府県が実施する筆記だけで、出題範囲は国が公表している手引きに沿って作られます。範囲が公開されている以上、市販のテキストと過去問で対策が成立する構造になっています。

ただし、独学で通る人と通らない人の差は、はっきりしています。差が出るのは地頭ではなく、出題の構成を理解して時間配分を決めたかどうかです。この試験は5つの項目から出題され、項目ごとに一定割合以上の正答率が要求されます。得意な項目で稼いで苦手を捨てる、という戦い方ができません。

この記事では、厚生労働省が公表している試験実施状況とガイドラインを手がかりに、試験の構成、合格率の実態、独学の進め方、つまずきやすい場所、そして合格した後に必要な手続きまでを整理します。

受験資格は要らない。まずここを確認する

最初に、いちばん誤解されている点を片付けます。

登録販売者試験には、学歴の要件も実務経験の要件もありません。かつては大卒・高卒なら1年、中卒なら4年の実務経験が必要でしたが、省令の改正によってこの要件は廃止されました。厚生労働省の資料では、見直しの内容として受験に際しての実務経験要件を廃止し、学歴等も廃止すると明記されています。

つまり、ドラッグストアで働いたことがない人でも、今日から勉強を始めて受験できます。年齢の制限もありません。これは資格試験としてかなり間口が広い部類です。

試験を実施するのは都道府県です。国家試験のように全国一律の日に一斉に行われるのではなく、各都道府県が独自に日程を組んで実施します。そのため、住んでいる場所に関係なく、日程が合えば別の都道府県で受けることもできます。実際、複数の都道府県を受ける人もいます。

実施回数については、ガイドラインで原則として年1回以上、定期的に実施することが適当とされています。都道府県によって時期が違うので、受けると決めたら自分の住む都道府県と、近隣の都道府県の日程を両方確認してください。同じ年に2回受けられる可能性があります。

なお、試験問題は都道府県間で難易度に格差が生じないよう、国が作成する試験問題作成の手引きに準拠して作られることになっています。つまり、どこで受けても範囲は同じです。ただし後で見るように、合格率には都道府県で大きな差が出ています。

受験の申込みは都道府県ごとに期間が決まっており、締切を過ぎると受けられません。独学で進める人は、この手続きの管理も自分でやることになります。学習計画より先に、申込期間をカレンダーに書き込んでおくことをおすすめします。

出題は5項目120問。合格基準の構造を知る

試験の構成を理解すると、学習計画の立て方が決まります。

厚生労働省の登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会報告書では、試験項目と出題数の配分が次のように示されています。

試験項目 出題数 時間 医薬品に共通する特性と基本的な知識 20 40分 人体の働きと医薬品 20 40分 主な医薬品とその作用 40 80分 薬事関係法規・制度 20 40分 医薬品の適正使用・安全対策 20 40分 合 計 120 240分 出典: mhlw.go.jp

合計120問を240分で解きます。1問あたり2分の計算です。実際の試験は午前と午後に分けて実施されることが一般的です。

ここで注目すべきは、「主な医薬品とその作用」だけが40問で、他の4項目の倍になっている点です。全体の3分の1がこの項目から出ます。かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、外用薬といった具体的な成分の名前と働きを覚える範囲で、独学で最も時間がかかる場所です。ここを後回しにすると間に合いません。

合格基準についても、同じ報告書に考え方が示されています。出題範囲があらかじめ具体的に示され、その中から出題されるのであれば、7割程度の正答率を求めることが適当だとされています。さらに、各試験項目ごとに一定割合以上の正答率がなければ、他の項目が一定割合以上の正答率であっても不合格とすることが望ましい、とも書かれています。

この2段構えが、登録販売者試験の最大の特徴です。全体で7割を取れていても、どこか1つの項目の正答率が基準を下回ると落ちます。各項目に求められる具体的な割合は都道府県が定めているので、受験する都道府県の実施要領で確認してください。

学習計画への影響は明確です。苦手な項目を捨てる戦略が成立しません。全項目で最低ラインを超えたうえで、全体の7割を確保する必要があります。得意分野を伸ばして平均点を上げる、という発想では落ちます。

合格率を数字で確認する

難易度をイメージで語らず、厚生労働省が公表している実施状況で見ます。

令和6年度の登録販売者試験は、全国の受験者数が54,526名、合格者数が25,459名で、合格率は46.7%でした。令和5年度は受験者52,214名に対して合格者22,814名で43.7%、令和4年度は受験者55,606名に対して合格者24,707名で44.4%です。

おおむね4割台前半から半ばで推移しています。2人に1人弱が受かる試験、というのが全国の実態です。国家資格のなかでは通りやすい部類ですが、無勉強で受かる試験ではありません。

注目したいのは、都道府県による差です。令和6年度の数字を見ると、北海道が受験者1,553名で合格率62.3%、群馬県が1,785名で51.2%、東京都が4,257名で45.8%となっている一方、沖縄県は702名で24.5%、鹿児島県は859名で28.8%、宮崎県は504名で29.4%でした。最も高い都道府県と最も低い都道府県で、2倍以上の開きがあります。

この差をどう読むべきか。試験問題は国の手引きに準拠して作られるため、範囲そのものは共通です。それでも差が出る理由としては、都道府県ごとに問題の作り方や難易度の設定が異なること、受験者層の構成が違うことなどが考えられます。

ここから導ける実務的な判断が1つあります。近隣の都道府県で日程が異なるなら、複数を受けるという選択肢があります。年1回しか受けられない試験ではないため、1年の間に2回、3回と挑戦することが可能です。独学の場合、1回目の受験を「本番で範囲を確認する機会」として使い、2回目で仕上げるという進め方もできます。

この都道府県別の数字は、厚生労働省が令和6年度登録販売者試験実施状況として公表しているものです。受験先を選ぶ前に、自分の住む都道府県と近隣の数字を見ておくと、判断の材料になります。

なお、公表されている数字は延べ人数です。同じ人が複数の試験を受験し、複数の試験で合格している可能性があるため、受験者数と合格者数の合計は延べ人数である、と資料に注記されています。実際の合格者数はこれより少なくなります。

独学で進めるか、講座を使うかの判断

独学が成立する条件を整理します。

独学が向いているのは、次の条件を満たす人です。出題範囲が公開されている試験に対して、自分で計画を立てて進められること。暗記の量が多い学習に耐えられること。そして、分からない箇所を自分で調べて解決できること。

この試験は、範囲が明確に公開されている点で独学と相性がよい試験です。国が作成する試験問題作成の手引きが公表されており、市販のテキストはこれに沿って作られています。理解が難しい理論ではなく、覚える量が多いタイプの試験なので、独学で詰まる場所が少なくなります。

一方で、独学が難しくなるのは次のような人です。学習の習慣がまだない人、期限を決めても自分で守れない人、そして医薬品や人体の仕組みにまったく触れたことがなく、用語の段階で止まってしまう人です。

講座を使う価値があるとすれば、それは知識を教わることより、進行の管理と質問できる相手がいることにあります。独学の失敗の多くは、理解できなかったことではなく、途中で止まったまま再開できなかったことが原因です。自分で進行を管理できる人なら、独学で十分に届きます。

費用の面では、独学はテキストと問題集の代金だけで済みます。数千円から1万円台で必要な教材はそろいます。受験手数料は都道府県によって異なるため、申込みの案内で確認してください。講座を使う場合は、それとは別に受講料がかかります。

もう1つ、独学と講座のどちらを選ぶかを決めるときに見落とされがちな軸があります。試験までに使える時間の長さです。半年以上先の試験を目指すなら、独学でも余裕を持って進められます。3カ月を切っている場合は、範囲を自分で切り分ける判断に時間を取られるため、順序が決まっている講座のほうが間に合う可能性が上がります。つまり、独学か講座かは能力の問題ではなく、残り時間と自己管理の組み合わせで決まります。

判断に迷う場合は、まず独学で1カ月やってみて、続いているかどうかで決めるのが合理的です。1カ月続いたなら最後まで行ける可能性が高く、止まったなら講座を使う理由がはっきりします。最初から講座を申し込んで、結局手をつけないまま期限が過ぎるパターンが最も損失が大きくなります。

独学の進め方。項目ごとの攻め方

具体的な学習の順番を書きます。

まず全体の構造を頭に入れます。5つの項目があり、そのうち「主な医薬品とその作用」だけが40問と倍の配点であること。各項目に最低ラインがあること。この2つを踏まえて計画を作ります。

最初に取りかかるべきは「医薬品に共通する特性と基本的な知識」です。20問と配点は多くありませんが、他の項目の土台になる考え方が入っています。副作用とは何か、医薬品と食品はどう違うか、薬害の歴史。ここを飛ばすと、後の項目が丸暗記になります。

次に「人体の働きと医薬品」に進みます。消化器、呼吸器、循環器といった体の仕組みと、薬がどこに作用するかを扱います。ここを理解しておくと、次の大きな山を越えるのが楽になります。逆に、ここが曖昧なまま成分名の暗記に入ると、覚える量が倍になります。

そして最大の山である「主な医薬品とその作用」です。40問、つまり全体の3分の1がここから出ます。かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、アレルギー用薬、外用薬など、市販薬の分類ごとに成分と働きを覚えます。この項目だけで、全学習時間の半分近くを使うつもりで計画してください。

「薬事関係法規・制度」は暗記中心の項目です。医薬品の分類、販売できる人の範囲、表示や広告の規制などを扱います。理解より記憶の比重が大きいため、直前期に詰め込む配分が向いています。ただし、法令は改正が入るので、必ず最新版のテキストを使ってください。古い教材で覚えた内容が、そのまま失点になります。

最後の「医薬品の適正使用・安全対策」は、添付文書の読み方や副作用報告の仕組みを扱います。実務に直結する内容で、覚えやすい部類です。

全項目を一通り終えたら、過去問に移ります。ここからが本番です。都道府県ごとに過去問が公開されているので、自分が受ける都道府県のものを優先し、余裕があれば近隣の都道府県のものも解きます。同じ手引きから作られているため、他県の問題も十分に練習になります。

過去問を解くときは、正答率を項目ごとに記録してください。全体の点数だけを見ていると、最低ラインを割っている項目に気づきません。項目別に管理するのが、この試験の対策の核心です。

必要な時間と、スケジュールの組み方

学習時間の目安について、公的な数字は示されていません。個人の体験談はさまざまに出回っていますが、前提となる知識量が人によって違うため、そのまま当てはめても意味がありません。

代わりに、範囲の分量から逆算する考え方を書きます。

市販のテキストは、おおむね400ページから600ページの分量があります。これを1周読むだけでも相当な時間がかかります。さらに過去問を最低2周、できれば3周は回したいところです。この分量を消化する期間として、働きながらなら3カ月から6カ月を見込むのが現実的です。

3カ月で仕上げる場合の配分を示します。最初の6週間でテキストを1周読み、項目ごとの要点を自分の言葉でノートにまとめます。次の4週間で過去問を2周解き、間違えた問題をテキストに戻って確認します。最後の2週間で、正答率が低い項目だけを集中的に埋めます。

6カ月で進める場合は、前半3カ月をテキストの読み込みと理解に使い、後半3カ月を過去問に充てます。時間に余裕があるぶん、「人体の働きと医薬品」を丁寧に理解してから成分の暗記に入れるので、結果として暗記の負担が軽くなります。

どちらの場合も、共通して守るべきことが2つあります。

1つ目は、テキストを完璧に理解してから過去問に進もうとしないことです。この試験は過去問の形式に慣れることが得点に直結します。テキストを1周したら、理解が浅くても過去問に入ってください。問題を解くことで、どこを覚えるべきかが分かります。

2つ目は、記録を残すことです。何日にどの項目をやったか、過去問の項目別正答率がどうだったか。紙でも表計算でも構いません。独学は進み具合が見えなくなると止まります。記録があると、止まりかけたときに再開しやすくなります。

こうした記録を整理して書く習慣は、試験勉強だけでなく実務でも効きます。読み手に誤解なく伝わる文書を書く型を学びたいなら、ビジネス文書検定のような試験で体系的に確認する方法もあります。報告書や依頼文の型が身につくと、職場での評価が変わります。

つまずきやすい場所と、その対策

独学で止まりやすい場所は決まっています。

最も多いのは、「主な医薬品とその作用」で成分名が覚えられなくなるパターンです。似た名前の成分が大量に出てくるため、単独で覚えようとすると混乱します。対策は、成分単体ではなく「どの症状に使うか」でまとめて覚えることです。かぜ薬ならこの成分群、胃腸薬ならこの成分群、という塊で押さえると、記憶の手がかりが増えます。

次に多いのは、「人体の働きと医薬品」で用語に詰まるパターンです。消化酵素の名前や臓器の働きなど、日常で使わない言葉が続きます。ここは図解の多いテキストを選ぶだけで、負担がかなり変わります。文字だけのテキストで苦戦しているなら、教材を替える判断も必要です。

3つ目は、法規の項目で興味を失うパターンです。内容が事務的で、読んでいて面白くありません。対策としては、この項目だけは最後に回し、直前期に短期間で詰め込む配分にすることです。記憶の保持期間が短くても、試験当日に覚えていれば得点になります。

4つ目は、過去問を解いて点が伸びず、心が折れるパターンです。初回の過去問で合格ラインに届く人はほとんどいません。むしろ、最初の1周は間違えるために解くものだと考えてください。2周目、3周目で伸びます。

5つ目は、申込みを忘れるという、ある意味で最も惜しいパターンです。都道府県ごとに申込期間が違い、期間は数週間しかありません。学習に集中していると見落とします。勉強を始めた日に、受験予定の都道府県の申込期間を調べて記録しておいてください。

6つ目は、勉強の場所を決めていないパターンです。自宅でテキストを開くつもりが、結局開かないまま数週間が過ぎる。独学は場所と時間を自分で固定しないと続きません。通勤前の30分をカフェで、あるいは帰宅後に図書館で、といった形で場所を決めてしまうほうが、意志の力に頼るより確実です。

つまずきの型を並べると共通点が見えます。どれも、事前に知っていれば避けられるものです。独学の弱点は知識の不足ではなく、こうした運用の部分にあります。裏を返せば、運用さえ整えば、この試験は独学で十分に届く難易度だということです。

合格した後に必要になること

試験に合格しただけでは、まだ店頭で医薬品を売れません。手続きと要件があります。

まず、販売従事登録が必要です。働く予定の店舗がある都道府県に申請して、登録を受けます。合格した都道府県と、働く都道府県が違っていても構いません。必要な書類や手数料は都道府県によって異なるため、勤務先が決まったら早めに確認してください。

次に、管理者の要件があります。厚生労働省の資料では、管理者・管理代行者となるには過去5年間のうち2年間の実務・業務経験が必要であり、それまでの間は管理者・管理代行者の管理・指導の下に実務に従事する、と説明されています。つまり、合格してすぐに1人で店舗を任されるわけではありません。

同じ資料には、管理者・管理代行者の要件を満たす登録販売者と、それ以外の登録販売者を名札で区分することも書かれています。店頭で「研修中」と書かれた名札を見かけるのは、この仕組みによるものです。あわせて、薬局等には当該登録販売者の勤務経験を記録・保存する義務が課され、求めに応じて勤務経験を証明することも義務付けられています。

実務経験の細かい要件、たとえば1カ月あたりの勤務時間の下限などは制度の運用で定められており、改正されることもあります。自分の勤務状況が要件を満たすかどうかは、勤務先と都道府県の窓口の両方で確認してください。

この「管理者になるまでの期間」は、働き方を考えるうえで無視できません。週に数日の勤務で働く場合、同じ2年でも積み上がる時間が変わります。勤務先には勤務経験を記録・保存する義務があるので、自分の積み上がり具合は定期的に確認してください。転職するときにも、この記録が証明として必要になります。前の勤務先の記録が途切れていると、要件を満たすまでの期間が想定より延びます。

合格後の働き方の幅についても、先に知っておくと計画が立てやすくなります。ドラッグストアや薬局だけでなく、ホームセンター、家電量販店、スーパーなど、一般用医薬品を扱う店舗であれば勤務先の候補になります。勤務時間の融通や通勤距離の条件は業態によってかなり違うので、資格を取る前に近隣の求人を10件ほど見ておくと、取得後の動き方が具体的になります。

資格を取った後の働き方についても触れておきます。この資格は店舗での勤務が前提なので、在宅で完結する働き方とは相性がよくありません。将来的に在宅中心の働き方を考えているなら、この資格とは別の技能を並行して育てる必要があります。たとえば技術系に進むならCCNA(シスコ技術者認定)のような入口の資格があり、文章で収入を作るなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場で水準を確認できます。どちらを選ぶにしても、収入の見通しを先に調べておくほうが判断を誤りません。

転職に使う場合は、資格の取得と並行して応募書類の準備を進めてください。経験の書き表し方は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】に型がまとまっています。未経験からこの分野に入る20代であれば、20代の転職サイトおすすめ5選|未経験・第二新卒向けのように経験の浅い層を扱うサービスから探すほうが、該当する求人に当たりやすくなります。年代が上の場合は、転職サイトおすすめ比較【2026年版】|年代・職種別の選び方で自分の層に合うサービスを確認してから登録してください。

教材の選び方と、費用を抑える方法

独学の成否は、最初に選ぶ教材でかなり決まります。選び方の基準を書きます。

第一の基準は、発行年です。薬事に関する法令は改正が入るため、古いテキストで覚えた内容がそのまま誤答になります。特に「薬事関係法規・制度」の項目は影響を受けやすい部分です。中古で安く手に入るテキストがあっても、数年前のものは避けてください。数千円を惜しんで落ちると、受験手数料と時間のほうが高くつきます。

第二の基準は、図解の量です。「人体の働きと医薬品」は、臓器の位置や働きを文字だけで追うと理解が進みません。書店で実物を開いて、このページが読めそうかどうかを確かめてから買うのが確実です。通信販売で表紙だけを見て選ぶと、合わない教材に当たる確率が上がります。

第三の基準は、問題集がセットになっているか、別に買う必要があるかです。テキストと問題集は同じ出版社でそろえたほうが、参照関係が明確になります。問題を間違えたときに、テキストの該当ページにすぐ戻れる作りになっているものを選んでください。

過去問については、都道府県が問題と解答を公開しています。市販の問題集を買わなくても、公開されているものだけでかなりの分量を確保できます。自分が受ける都道府県のものを最優先にし、足りなければ近隣の都道府県のものを追加します。出題範囲は国の手引きに準拠しているため、他県の問題も練習として成立します。

費用を抑える方法としては、公開されている過去問を軸にして、テキストは1冊だけ買うという組み立てが効率的です。テキストを複数買っても、範囲は同じなので情報量はほとんど増えません。1冊を繰り返し読むほうが記憶に残ります。

もし通信講座を使う場合は、雇用保険の教育訓練給付の対象になっているかを確認してください。厚生労働大臣が指定した講座を修了すると、支払った受講料の一部がハローワークから支給されます。給付は3種類あり、一般教育訓練が受講費用の20%で上限10万円、特定一般教育訓練が40%で上限20万円、専門実践教育訓練が50%で年間上限40万円です。対象講座かどうかは厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムで調べられ、自分が受給できる条件を満たすかはハローワークの支給要件照会で確認できます。電話での照会は受け付けていないため、窓口か郵送、電子申請で手続きしてください。

試験当日の進め方

独学だと、当日の進め方を誰も教えてくれません。事前に決めておくべきことを書きます。

まず時間配分です。120問を240分で解くので、1問あたり2分です。実際には午前と午後に分けて実施されることが多く、それぞれ60問を120分で解く形になります。見直しの時間を確保するなら、1問あたり1分30秒で進めて、残りを確認に回す配分が現実的です。

次に、解く順番です。最初から順番に解く必要はありません。得意な項目から手をつけて、確実な得点を先に積むほうが精神的に安定します。ただし、マークする行がずれる事故が起きやすいので、飛ばして解く場合は解答欄の番号を必ず確認してください。この試験でのマークずれは、実力と無関係に不合格に直結します。

迷った問題への対応も決めておきます。2つまで絞れて決められない問題は、印をつけて先に進み、最後に戻ります。1問に5分かけると、その分だけ後半の見直し時間が消えます。全体で7割を確保することが目的なので、取れる問題を確実に取るほうが優先です。

持ち物と会場の確認も忘れないでください。受験票、筆記用具、時計。会場に時計がない場合があるため、腕時計は持参が前提です。通信機能のある機器は使えないのが通常なので、スマートフォンを時計代わりにする計画は立てないでください。

試験当日の体調管理についても一言だけ。240分という長さは、集中力の持続という意味でかなり負担があります。前日に詰め込んで睡眠を削ると、午後の項目で失速します。直前期の追い込みは前々日までに終え、前日は復習と早めの就寝に充てるほうが、結果として点が伸びます。

そして、終わった後の話です。合格発表までの期間は都道府県によって異なりますが、数週間かかるのが一般的です。自己採点で微妙な場合は、発表を待つ間に次の都道府県の申込みを済ませておくと、落ちていた場合の立て直しが早くなります。この試験は年1回とは限らないので、続けて受ける前提で計画を組めます。

市場を20年見てきた立場からの考察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、資格の取り方について観察していることを書きます。

独学で資格を取れる人とそうでない人の差は、勉強時間の長さではありません。差が出るのは、進み具合を自分で測っているかどうかです。項目別の正答率を記録している人は、どこが足りないかが見えているので、残り時間の使い方を調整できます。記録していない人は、全体の点数だけを見て一喜一憂し、最低ラインを割っている項目に最後まで気づきません。

運営者として見てきた限りでは、この「測って調整する」という習慣は、資格の取得より後のほうで効いてきます。仕事を受ける立場になると、誰も進み具合を管理してくれません。自分で締切から逆算して、今どこにいるかを把握する必要があります。独学で資格を取った経験は、この訓練そのものです。

もう1つ、資格と収入の関係について書いておきます。資格は入口を開けますが、収入を決めるのは資格ではなく、その人が何を任されるかです。同じ資格を持っていても、任される範囲が広い人のほうが待遇は上がります。範囲を広げるのは、資格の追加取得ではなく、現場で信頼を積むことです。業務の整理や改善に関わるAIコンサル・業務活用支援のお仕事のような分野を見ていても、評価されているのは知識量ではなく、任せると楽だと思わせる仕事の進め方のほうです。

最後に、収入の構造の話を1つ。同じ発注予算でも、間に入る事業者が多いほど、依頼できる量は減り、受け手の手取りは薄くなります。仲介手数料が引かれない直接取引では、発注する側は同じ予算でより多く頼め、受ける側は同じ作業で手取りが厚くなります。手数料0%という条件が効いてくるのは、単価の大きい仕事よりも、始めたばかりで1件あたりの額が小さい時期です。受け取る額が小さいほど、差し引かれる割合の重さが響きます。

登録販売者の資格は、独学で取れます。受験資格の制約がなく、範囲が公開されていて、合格率も4割台です。必要なのは、出題の構成を理解して、項目別に進み具合を測りながら進めることだけです。まずは受験する都道府県の申込期間を調べて、カレンダーに書き込むところから始めてください。

よくある質問

Q. 登録販売者試験を受けるのに実務経験は必要ですか?

必要ありません。かつては学歴に応じた実務経験が求められていましたが、省令の改正で受験に際しての実務経験要件と学歴要件は廃止されました。ドラッグストアで働いた経験がない人でも受験できます。ただし合格後、店舗の管理者や管理代行者になるには、過去5年間のうち2年間の実務・業務経験が必要です。

Q. 合格率はどれくらいですか?

厚生労働省が公表している実施状況では、令和6年度は受験者54,526名に対して合格者25,459名で合格率46.7%、令和5年度は43.7%、令和4年度は44.4%でした。ただし都道府県による差が大きく、令和6年度では北海道の62.3%に対して沖縄県は24.5%と、2倍以上の開きがあります。

Q. 苦手な分野を捨てて合格できますか?

できません。この試験は全体で7割程度の正答率を求めたうえで、各試験項目ごとにも一定割合以上の正答率がなければ不合格とする考え方が取られています。得意な項目で稼いで苦手を捨てる戦い方が成立しないため、過去問を解くときは全体の点数ではなく項目別の正答率を記録して管理してください。

Q. 独学の場合、どの項目から勉強すればよいですか?

まず「医薬品に共通する特性と基本的な知識」で土台を作り、次に「人体の働きと医薬品」で体の仕組みを理解します。そのうえで、120問中40問を占める最大の山である「主な医薬品とその作用」に時間の半分近くを充ててください。暗記中心の「薬事関係法規・制度」は、直前期に詰め込む配分が向いています。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月19日最終更新:2026年9月23日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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