登録販売者を独学で目指す人のテキストの選び方と勉強の進め方

小林 真帆
小林 真帆
登録販売者を独学で目指す人のテキストの選び方と勉強の進め方

この記事のポイント

  • ✓登録販売者資格を独学で目指す人に向けて
  • ✓テキストを選ぶ前に知っておきたい出題の仕組み
  • ✓テキストの型の違いと選び方

登録販売者資格を独学で取ろうと決めて書店や通販サイトを開くと、同じような表紙のテキストが何冊も並んでいて、どれを買えばよいのか分からなくなります。厚さも値段も違い、「これ1冊で合格」と書かれた本が何種類もある。この記事では、独学用のテキストを選ぶ前に知っておきたい試験の仕組みから、テキストの型ごとの違い、選ぶときに見るべき点、買ったあとの勉強の進め方までを順番に整理します。結論を先に書くと、テキスト選びで一番大事なのは「どの出版社の本か」ではなく、「最新の手引きに対応しているか」と「過去問題と行き来しやすいか」の2点です。

テキストを選ぶ前に知っておきたい「手引き」という土台

登録販売者とは、ドラッグストアや薬局で、かぜ薬や胃腸薬などの一般用医薬品(処方箋なしで買える薬)のうち、第2類と第3類の医薬品を販売できる専門家のことです。試験は都道府県が実施しますが、問題の作り方は厚生労働省が定めた実施要領で決まっています。

独学のテキスト選びで最初に知っておきたいのは、試験の出題範囲がはっきり1つの資料に決められていることです。厚生労働省の登録販売者試験実施要領には、次のように書かれています。

試験は、別途通知する「試験問題作成の手引き」から出題するものとする。「試験問題作成の手引き」については、一般用医薬品の区分の変更等を踏まえ、必要に応じて原則として年1回改訂するものとする。 出典: 厚生労働省

つまり、市販のテキストはすべて、この「試験問題の作成に関する手引き」(以下、手引き)を読みやすく並べ直したものです。どの出版社のテキストも、元になっている資料は同じです。違うのは、どこを削ってどこを図にしたか、どの順番で説明しているか、問題がどれだけ付いているか、という編集の部分だけです。

2026年10月時点で厚生労働省のページに掲載されている最新版は「令和8年4月」の手引きで、行番号なしの版はPDFで426ページあります。手引きは無料で誰でも読めますが、試験問題を作る人のための資料なので、初めて学ぶ人が頭から読み進めるようには書かれていません。そこで、手引きの内容を学びやすい順に並べ替えたテキストが役に立つわけです。

この関係を理解しておくと、テキスト選びの迷いがかなり減ります。「この本だけに載っている秘密の情報」は存在しません。テキストに求めるのは、手引きの内容を漏れなく、分かりやすく、最新の版に合わせて説明していることです。

試験の形と合格基準を先に確かめる

テキストを選ぶ基準は、試験の形から逆算すると決めやすくなります。実施要領で決まっている出題の配分は次のとおりです。

試験項目 出題数 配分時間
医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問 40分
人体の働きと医薬品 20問 40分
主な医薬品とその作用 40問 80分
薬事関係法規・制度 20問 40分
医薬品の適正使用・安全対策 20問 40分
合計 120問 240分

合計で120問、試験時間は4時間です。テキストの多くは、この5つの項目を第1章から第5章として並べています。手引きも同じ5章の構成です。

合格基準について、実施要領は次のように定めています。

総出題数に対して7割程度の正答の場合であって、各試験項目ごとに、都道府県知事が定める一定割合以上の正答のときに合格とすること。 出典: 厚生労働省 登録販売者試験実施要領

120問の7割は84問です。そして見落とされやすいのが後半の条件で、5つの項目それぞれに最低ラインがあります。合計点が足りていても、1つの項目だけ極端に低ければ不合格になります。項目ごとの割合は都道府県知事が決めるため、受験する地域の試験案内で必ず確かめてください。

この基準から、テキスト選びの条件が1つ見えてきます。5つの章すべてを、同じくらいの丁寧さで扱っているテキストを選ぶことです。得意な章で稼いで苦手な章を捨てる作戦が使えない試験なので、どこかの章だけ説明が薄いテキストは、独学では弱点になります。

合格率は約4割。地域で差が出る

厚生労働省が公表している令和7年度の登録販売者試験実施状況(令和8年3月31日現在)では、全国の受験者数は延べ58,996名、合格者数は延べ24,004名、合格率は40.7%でした。同じ人が複数の都道府県で受験している場合があるため、人数は延べの数字です。

都道府県ごとに見ると、差がはっきり出ています。

都道府県 受験者数 合格率
北海道 1,598名 54.8%
群馬県 2,221名 54.0%
愛知県 3,472名 50.3%
東京都 4,186名 39.9%
関西広域連合 9,244名 38.6%
福岡県 4,138名 27.2%
沖縄県 887名 23.2%

出題範囲は全国共通の手引きなのに、合格率には2倍以上の開きがあります。問題は都道府県やブロックごとに作られるため、出題の細かさや問われ方に違いが出るためです。

ここから言えるのは、全国共通のテキストを1冊仕上げるだけでは足りず、受験する地域の過去問題に必ず触れておく必要があるということです。過去問題は、試験を実施した都道府県が公表しています。テキストを選ぶときは、そのテキストで覚えた内容を、地域の過去問題で確かめる流れを最初から想定しておくと、買ったあとの使い方で迷いません。

合格率4割という数字は、真剣に準備した人が受かり、テキストを1周読んだだけの人が落ちる、という水準です。独学で十分に届く試験ですが、テキストの読み方と問題演習の量で結果が分かれます。

テキストの型は4つ。役割の違いを知る

市販の教材は、大きく分けると次の4つの型があります。どれか1つで足りるわけではなく、役割が違うので組み合わせて使うものだと考えてください。

型 中身 向いている使い方
全章網羅型のテキスト 5章すべての解説と章末の確認問題 最初に全体を理解する1冊
章特化型のテキスト 第3章や第4章など、1つの章だけを深く解説 苦手な章の底上げ
一問一答の問題集 短い正誤問題と簡潔な解説 すき間時間の暗記と確認
過去問題集 実際の試験問題と解説 本番の形式に慣れ、弱点を見つける

独学の出発点になるのは、全章網羅型のテキストです。ここで5つの章の全体像をつかみます。そのうえで、一問一答か過去問題集を1冊組み合わせるのが基本の形です。

章特化型は、最初から買う必要はありません。過去問題を解いてみて、特定の章だけ点数が伸びないと分かったときに追加すれば十分です。最初から何冊もそろえると、どれも中途半端に終わりやすくなります。

教材を選ぶ作業は、部屋の模様替えに似ています。最初に大きな家具(全章網羅型のテキスト)の場所を決め、それから小物(一問一答や章特化型)で使い勝手を整えます。小物から買い集めると、部屋全体のまとまりがなくなります。

独学向けテキストの選び方。見るべき5つのポイント

全章網羅型のテキストを選ぶときに確かめたい点を、優先度の高い順に5つ挙げます。

ポイント1:最新の手引きに対応しているか

最も大事なのがこれです。手引きは原則として年1回改訂されます。表紙や奥付に「令和8年4月の手引きに対応」のような記載があるか確かめてください。

ただし、実施要領には「都道府県知事により試験の施行に関して公告した後に手引きが改訂された場合には、当該改訂部分に関する出題は行わない」とも書かれています。つまり、自分が受ける試験の公告日より前に出た版の手引きが出題の範囲です。受験する年の試験案内が出る時期と、手引きの改訂の時期を見比べておくと、どの版に合わせたテキストが必要か判断できます。

前の年のテキストを譲ってもらった場合は、厚生労働省のページに掲載されている修正履歴入りの手引きで変更点を確かめれば、使い続けることもできます。令和8年4月版には「令和7年4月版からの修正履歴入り」の版が公開されています。

ポイント2:5章のバランスが取れているか

合格基準に項目ごとの最低ラインがあるので、どの章も手を抜かずに説明しているテキストを選びます。目次を開いて、各章のページ数を見比べてください。手引きの目次では、第1章が1ページから20ページ、第2章が21ページから56ページ、第3章が57ページから204ページ、第4章が205ページから378ページ、第5章が379ページ以降という配分です。第3章と第4章が分量の中心で、テキストでもこの2章が厚くなっているのが自然です。

ポイント3:図と表が多いか

第2章の「人体の働きと医薬品」は、体の仕組みを扱うので文章だけでは頭に入りにくい章です。消化器や呼吸器の流れが図で示されているか、第3章の成分が表で整理されているかを、書店で実際に開いて確かめてください。図は文章の何倍もの情報を一度に伝えます。人の目はまず形と配置で理解し、それから文字を読むので、図の質はテキストの読みやすさを大きく左右します。

ポイント4:問題と解説が対応しているか

章ごとの確認問題が付いているか、その解説がテキストのどのページに対応しているかを見ます。間違えた問題からテキストの該当箇所へすぐ戻れる作りだと、復習の時間が大きく減ります。

ポイント5:自分が続けられる厚さか

独学で一番多い失敗は、内容の不足ではなく途中で止まってしまうことです。書店で数ページ読んでみて、文章のリズムが合うかを確かめてください。分厚さに圧倒されるなら、まず1冊目は薄めの全章網羅型を選び、足りない部分を手引きで補う方法もあります。

書店で中身を確かめるときの手順

5つのポイントを頭に入れたら、実際に書店で手に取って確かめます。限られた時間で比べるための手順を紹介します。

最初に奥付と表紙を見て、対応している手引きの版を確かめます。ここで最新の版に対応していない本は、候補から外します。

次に目次を開き、5つの章のページ数を見比べます。第3章と第4章が厚く、第1章が薄いという手引きの配分に近いかを見ます。どれかの章だけ極端に薄い本は、独学の1冊目には向きません。

続いて、第2章の消化器のページを開きます。体の図がどれだけ分かりやすいかは、この章で比べるのが早道です。図と説明文が同じ見開きに収まっているか、図に色が使われているかを見てください。

さらに、第3章のかぜ薬のページを開き、成分が表で整理されているかを確かめます。成分の名前、働き、主な副作用が1つの表で見渡せる作りだと、暗記の負担が大きく減ります。

最後に、章末の確認問題を1問解いてみます。解説を読んで、なぜその答えになるのかが理解できるか、テキストの該当ページが示されているかを見ます。

この5つを2冊か3冊で比べれば、15分ほどで自分に合う1冊が見えてきます。通販で買う場合も、出版社のサイトで目次や見本ページを公開していることが多いので、同じ手順で比べられます。

初心者がやりがちなテキスト選びの失敗

独学の人がつまずきやすいパターンを4つ挙げます。どれも、選び方の段階で防げるものです。

1つめは、口コミの評価だけで選ぶ失敗です。評価が高いテキストでも、自分に合う説明の仕方とは限りません。文章で理解したい人と図で理解したい人では、合う本が違います。必ず中身を数ページ読んでから決めてください。

2つめは、古い版を安く手に入れて、改訂部分を確かめずに使う失敗です。手引きの改訂では、医薬品の区分の変更や制度の改正が反映されます。第4章の法規や制度の部分は、古い版のままだと誤った内容を覚えることになります。

3つめは、最初から教材を買いすぎる失敗です。テキスト2冊、問題集3冊とそろえると、どれから手を付けるか迷い、結局どれも1周できずに終わります。最初は全章網羅型1冊と問題集1冊で十分です。

4つめは、テキストを読むだけで問題を解かない失敗です。テキストを3周読んでも、問題を解く練習をしていなければ、試験の問われ方に対応できません。登録販売者試験では、正しい記述の組み合わせを選ぶ形式や、誤っているものを選ぶ形式が多く出ます。読むことと解くことは別の技術なので、両方の練習が必要です。

独学の勉強の進め方。5つのステップ

テキストを手に入れたあとの進め方を、ステップに分けて整理します。

ステップ1:受験する地域と時期を決める

試験は都道府県ごとに、年1回以上行われます。試験日は地域によって違うので、受験する地域の試験案内を確かめ、願書の受付期間と試験日をカレンダーに書き込みます。日付が決まると、逆算して勉強の計画を立てられます。

ステップ2:全章網羅型テキストを、細部にこだわらず1周する

最初の1周は、分からないところがあっても止まらずに読み進めます。目的は全体の地図を頭に入れることです。第3章の成分名で手が止まりやすいのですが、1周目は「こういう分類があるのか」と分かれば十分です。

ステップ3:章ごとに問題を解き、テキストに戻る

2周目からは、章を読んだらすぐ問題を解き、間違えた箇所のテキストに印を付けます。印の付いた箇所を集中して読み直すことで、苦手な部分が少しずつ埋まっていきます。

ステップ4:受験する地域の過去問題を、時間を測って解く

試験の1か月から2か月前には、受験する地域の過去問題を本番と同じ時間配分で解きます。午前と午後に分かれる地域が多いので、120問を時間内に解き切る体力も、ここで確かめます。

ステップ5:間違えた問題だけを手引きで確かめる

過去問題で正誤の判断がつかなかった問題は、手引きの該当箇所を開いて確かめます。試験問題は手引きの記述に沿って作られるので、手引きの文言を読めば多くの迷いが解消します。

勉強の順番については、第1章から順に進める方法のほか、分量の多い第3章から手を付ける方法もあります。第3章で薬の成分と働きを覚えると、第1章や第5章の副作用の話がつながって理解しやすくなるためです。ただし、第3章は手引きで148ページある大きな章なので、ここで止まってしまう人もいます。最初に第1章で用語に慣れてから第3章に進むなど、自分が続けやすい順番を選んでください。

手引きは「辞書」として使う

先に書いたとおり、手引きは426ページあり、頭から読み通す使い方には向いていません。独学の人に勧めたいのは、手引きを辞書として使う方法です。

テキストの説明が短くて意味が取りにくいとき、手引きの同じ箇所を開くと、省かれていた前後の説明が読めます。テキストは要点を絞って書かれているため、言葉が削られて分かりにくくなる箇所があるためです。

過去問題で迷った問題を確かめるときにも役立ちます。たとえば「この成分は眠気を催すか」という問題で迷ったら、手引きの第3章で該当する薬の項目を開き、副作用の記述を確かめます。試験問題の文は手引きの表現に近いことが多いので、手引きの言い回しに慣れておくと、本番で記述の正誤を判断しやすくなります。

手引きは厚生労働省のページから無料で手に入ります。PDFを手元の端末に保存しておき、検索機能で成分名や用語を引けるようにしておくと、紙のテキストと並べて使えます。「試験問題の作成に関する手引き」で検索するか、厚生労働省の一般用医薬品の販売制度のページから開けます。

章ごとに、テキストのどこを重点的に読むか

全章網羅型のテキストを使うとき、5つの章を同じ読み方で進める必要はありません。章ごとに性格が違うので、読み方も変えると効率が上がります。

第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」は、医薬品とは何か、副作用とは何か、高齢者や子どもへの配慮、薬害の歴史といった、ほかの章の土台になる内容です。手引きでは20ページほどで、分量は多くありません。ここは用語の意味を正確に押さえることを優先します。「副作用」と「有害事象」の違い、「プラセボ効果」(薬の成分によらず、飲んだという安心感で症状が変わること)のような言葉が、ほかの章の問題文にも出てきます。

第2章「人体の働きと医薬品」は、消化器や呼吸器、循環器、感覚器などの体の仕組みと、薬が体の中でどう吸収され、どう働き、どう排出されるかを扱います。図を見ながら、食べ物や薬が体の中を通る順番を追いかけるように読むと理解しやすくなります。後半の「症状からみた主な副作用」は、第3章の成分と結び付けて出題されることがあるので、第3章を学んだあとにもう一度読み返すと定着します。

第3章「主な医薬品とその作用」は、出題数が40問と最も多い章です。かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、皮膚の薬など、薬の種類ごとに配合される成分と、その働き、副作用、受診を勧める目安が並びます。成分名を丸暗記しようとすると挫折しやすいので、「この薬の種類には、どんな働きの成分が組み合わされているか」という骨組みを先に理解し、それから成分名を当てはめていく順番が向いています。テキストの表を使い、同じ働きの成分をまとめて覚えると効率が上がります。

第4章「薬事関係法規・制度」は、医薬品の販売に関する法律のルールです。手引きでは別表を含めて170ページを超える大きな章ですが、問題数は20問です。条文の言い回しが独特で、初めて読むと抵抗を感じる人が多い章です。テキストの説明で全体の仕組みを理解したら、あとは過去問題で問われ方に慣れるのが近道です。

第5章「医薬品の適正使用・安全対策」は、添付文書の読み方、副作用の報告の仕組み、医薬品副作用被害救済制度(薬の副作用で重い健康被害を受けた人に給付を行う公的な制度)などを扱います。第3章の成分と結び付いた問題も多いので、第3章を一通り学んでから取り組むと理解が深まります。

学習期間の組み方。3か月と6か月の2つの型

試験日から逆算した計画の型を2つ示します。どちらも目安なので、自分の進み具合に合わせて調整してください。

3か月で仕上げる型

平日にも毎日勉強の時間を取れる人向けの組み方です。最初の1か月で全章網羅型のテキストを1周し、各章の確認問題を解きます。次の1か月で2周目に入り、問題集で章ごとの演習を重ね、間違えた箇所をテキストと手引きで確かめます。最後の1か月は、受験する地域の過去問題を本番と同じ時間で解き、弱い章を集中して補強します。短期間で仕上げる型は、忘れる前に次の周回に入れるのが長所です。一方で、途中で1週間でも止まると計画全体が崩れやすいので、予備の日を週に1日は確保しておきます。

6か月で仕上げる型

仕事や家事で平日の時間が限られる人向けの組み方です。最初の2か月で第1章と第2章、次の2か月で第3章、その次の1か月で第4章と第5章を進めます。最後の1か月は過去問題の演習にあてます。期間が長いため、前半に学んだ章を忘れやすいので、新しい章に進んでからも、週に1回は前の章の一問一答を解いて記憶をつなぎ直します。

どちらの型でも、最後の1か月を過去問題の演習にあてる点は共通です。テキストを読み込む時間が長くなりすぎて、問題演習の時間が足りなくなるのが独学の典型的な失敗なので、計画を立てる段階で最後の1か月を先に確保しておくのがコツです。

紙のテキストと電子版、どちらを選ぶか

テキストには紙の本と電子版があります。どちらにも長所があるので、勉強する場面で選ぶとよいでしょう。

紙のテキストの長所は、書き込みと見返しのしやすさです。余白に覚え方を書き込み、付せんを貼り、ページ全体を一度に見渡せます。第3章の成分の表のように、広い範囲を見比べたい箇所では紙のほうが扱いやすいと感じる人が多いはずです。

電子版の長所は、持ち歩きと検索のしやすさです。通勤中にスマートフォンで読めて、成分名で全文を検索できます。厚い全章網羅型のテキストは重さもあるので、外で勉強する時間が長い人には電子版が向いています。

両方の長所を取る方法として、テキストは紙で持ち、手引きのPDFを手元の端末に保存して検索用に使う組み合わせがあります。紙で理解し、端末で調べる。この役割分担にすると、教材を増やさずに使い勝手を高められます。

講座を併用するかどうかの判断

独学と通信講座のどちらにするかで迷う人もいます。判断の目安は、次の3つです。

1つめは、学習の期限を自分で守れるかどうかです。独学は自由度が高い反面、締め切りがありません。仕事や家事の合間に勉強する人で、これまで自分で計画を立てて資格を取った経験がない場合は、提出課題や学習スケジュールが用意された講座のほうが続けやすいことがあります。

2つめは、質問できる相手が必要かどうかです。第3章の成分や第2章の体の仕組みで、テキストを読んでも分からない箇所が出てきたとき、講座なら質問の仕組みがあります。独学では手引きと過去問題の解説で解決するしかありません。

3つめは費用です。講座の中には、雇用保険の教育訓練給付制度の対象になっているものがあります。教育訓練給付とは、一定の条件を満たした人が厚生労働大臣の指定する講座を受けたとき、受講費用の一部が雇用保険から支給される仕組みのことです。対象かどうかは講座ごとに決まり、受給できるかどうかも雇用保険の加入期間などで変わるので、講座の案内とハローワークで確認してください。制度の概要は厚生労働省の教育訓練給付制度のページにまとまっています。

独学でも講座でも、出題範囲は同じ手引きです。講座を選んでも、最後に合否を分けるのは問題演習の量です。どちらを選ぶにしても、過去問題を解く時間を計画の後半にしっかり確保してください。

合格したあとの流れも知っておく

テキストを選ぶ段階で、合格後の流れも知っておくと、勉強の目的がはっきりします。

試験に合格すると、勤務先が決まった段階で、勤務地の都道府県に販売従事登録を申請します。登録が済んで初めて、登録販売者として医薬品の販売に従事できます。

働き始めてからも学びは続きます。厚生労働省の「登録販売者に対する研修の実施要領」では、医薬品の販売業者などは、登録販売者に毎年度、少なくとも計12時間以上の研修を受けさせることとされています。研修は勤務先を通じて受けるのが一般的です。

また、店舗の管理者として働くには、一定期間の実務経験が求められます。合格後すぐに一人で売り場を任されるわけではなく、先輩の薬剤師や登録販売者のもとで経験を積む期間があります。試験勉強で覚えた手引きの内容は、この実務の期間に繰り返し使うことになります。テキストを合格のためだけの道具と考えず、働き始めてからも開く資料として選んでおくと、合格後に役立ちます。

独学を続けるための時間の作り方

テキストを選んでも、勉強の時間が確保できなければ前に進みません。独学を続けている人に共通する時間の作り方を整理します。

まず、1日の勉強時間を長く取ろうとしないことです。平日に毎日まとまった時間を取るのは、仕事や家事のある人には難しいことが多いものです。通勤の電車で一問一答を解く、昼休みにテキストを数ページ読む、寝る前に間違えた問題を見直す、というように、短い時間を何度も使う形のほうが続きます。

次に、週に1回はまとまった時間を取り、1つの章の問題をまとめて解くことです。短い時間の勉強は暗記には向いていますが、章全体のつながりをつかむには、ある程度の長さが必要です。

そして、進み具合を目に見える形で記録することです。テキストの目次に、読み終えた日と問題の正答率を書き込んでいくと、どの章が遅れているかが一目で分かります。勉強の記録は、地図に現在地の印を付けるようなものです。どこまで来たかが分かると、残りの道のりが短く感じられます。

勉強の総時間は、人によって大きく違います。医療や販売の経験がある人と、まったく初めての人では、必要な時間に差が出ます。だからこそ、他人の「何か月で合格した」という話に合わせるのではなく、自分の進み具合を記録しながら計画を調整することが大切です。

試験直前の1週間のテキストの使い方

試験の直前は、新しい教材に手を出さないことが鉄則です。直前に別の本を開くと、知らない書き方の説明に出会って不安が増え、覚えたはずの内容まで揺らぎます。

この時期に開くのは、使い込んだテキストの印を付けた箇所と、過去問題で間違えた問題だけです。テキストの余白に書き込んだ覚え方や、付せんを貼ったページを順にめくっていくと、短い時間で弱点を一通り確かめられます。

もう1つ大切なのが、試験当日の時間配分を決めておくことです。午前と午後に分かれる地域では、どちらの時間にどの章が出るかが試験案内で示されます。解く順番や見直しの時間を前もって決めておけば、当日に迷う時間を減らせます。前日は早めに休み、受験票と筆記用具、時計を確認してから眠ってください。

運営者の視点から見た、資格の学び方と働き方

フリーランスと在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、資格の勉強を最後までやり切る人には共通点があります。教材を増やすことより、1冊を使い込むことに時間を使っていることです。テキストの余白に書き込み、付せんで印を付け、何度も同じページに戻る。その繰り返しで、知識は自分の言葉になっていきます。

登録販売者は店舗で働く資格で、医薬品の販売そのものは在宅ではできません。それでも、資格の勉強で身につく「資料を正確に読み、要点を整理する力」は、ほかの仕事にも通じます。たとえば医療や健康の分野の記事を書く仕事では、一次資料に当たって正確に書く姿勢が求められます。文章の仕事の収入の幅は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。また、勤務先に出す書類や報告の書き方を基礎から学びたい人には、社内文書や社外文書の書き方を問うビジネス文書検定も参考になります。

運営者として見てきた限りでは、店舗の仕事と在宅の仕事を組み合わせている人ほど、収入の柱が1本に偏らず、働き方を選びやすくなっています。在宅で仕事を受けるときは、仲介の手数料が少ない取引ほど手取りが厚くなります。手数料0%で依頼主と直接やり取りできる場なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなる、双方にとって得な形になります。まずは最新の手引きに対応した全章網羅型のテキストを1冊選び、受験する地域の試験日をカレンダーに書き込むところから始めてください。

よくある質問

Q. 登録販売者の独学用テキストは何冊必要ですか?

最初は全章網羅型のテキスト1冊と、一問一答か過去問題集を1冊の、合わせて2冊で十分です。出題範囲は厚生労働省の手引きから決まっていて、どのテキストも元は同じ資料です。過去問題を解いて特定の章が伸びないと分かったときに、章特化型のテキストを追加すると無駄がありません。

Q. 前の年のテキストでも使えますか?

使えますが、手引きの改訂部分を確かめる必要があります。手引きは原則として年1回改訂され、令和8年4月版には令和7年4月版からの修正履歴入りの版が厚生労働省のページで公開されています。特に第4章の法規や制度は改訂の影響を受けやすいので、変更箇所をテキストに書き込んでから使ってください。

Q. 登録販売者試験の合格基準はどうなっていますか?

総出題数120問に対して7割程度の正答で、さらに5つの試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答が必要です。合計点が足りていても、1つの項目が最低ラインを下回ると不合格になります。項目ごとの割合は地域で違うので、受験する都道府県の試験案内で確かめてください。

Q. 独学と通信講座はどちらがよいですか?

自分で学習の期限を守れるか、質問できる相手が必要か、費用をどう考えるかで判断します。講座の中には雇用保険の教育訓練給付制度の対象になっているものもありますが、対象かどうかは講座ごとに、受給できるかは加入期間などで変わります。どちらを選んでも出題範囲は同じ手引きで、合否を分けるのは問題演習の量です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月6日最終更新:2026年10月3日
小林 真帆

この記事を書いた人

小林 真帆@SOHO編集部

元SE→フリーランスWebマーケター

SIerで5年間SEとして勤務した後、Webマーケティングに転身。Google広告認定資格・ウェブ解析士を取得し、現在はフリーランスとして中小企業のデジタルマーケティングを支援しています。

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