心理セラピストの資格を取ってオンラインのセッションを開くまでの手順


この記事のポイント
- ✓心理セラピストの資格には
- ✓国家資格の公認心理師から民間の講座型の資格まで幅があります
- ✓名乗ってよい名称の決まり
心理セラピストの資格を調べると、名前のよく似た資格が数多く出てきます。心理カウンセラー、メンタルセラピスト、心理セラピスト、公認心理師。どれを取れば人の相談に乗る仕事ができるのか、取った後にオンラインでセッションを開いてよいのか、迷う人は少なくありません。実は、心理セラピストという名前の国家資格はなく、資格によってできることと名乗れる名前が大きく違います。
この記事では、心理セラピストを目指す人に向けて、名乗ってよい名称の決まり、資格の種類と選び方、民間の資格でできることとできないこと、そしてオンラインのセッションを開くまでに準備することを、法令と公的機関の案内をもとに順に説明します。
心の相談を求める人が増えている背景
心の相談の仕事に関心を持つ人が増えている背景には、相談したい人の側の変化があります。
働き方が多様になり、職場の人間関係、在宅勤務での孤立、仕事と家庭の両立など、悩みの形も多様になりました。一方で、こうした日常の悩みを、すぐに病院に持ち込むことには抵抗を感じる人も少なくありません。病気というほどではないが、誰かに話を聴いてもらいたい。そうした気持ちの受け皿として、民間のカウンセリングやセラピーの需要があります。
オンラインでの相談が広がったことも大きな変化です。以前は、相談に乗る側も相談する側も、同じ地域にいることが前提でした。ビデオ通話が当たり前になったことで、住んでいる場所に関係なく相談できるようになり、近所の人に知られずに相談したい人や、外出が難しい人にとっても、相談の入り口が広がりました。
こうした変化は、心の相談を仕事にしたい人にとって、機会が広がったことを意味します。同時に、資格の種類が増え、講座の数も増えたことで、何を学べばよいか、どこまでできるのかが分かりにくくなっています。この記事の前半で、名称の決まりや資格の種類を丁寧に整理したのは、そのためです。
心理セラピストという国家資格はない
まず押さえておきたいのは、「心理セラピスト」という名前の国家資格は存在しないという点です。心理の分野の国家資格は、公認心理師です。
公認心理師は、公認心理師法という法律に基づく資格で、厚生労働省の公認心理師のページでは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的な知識と技術をもって、心理の支援を行うことを業とする者だと説明されています。
公認心理師法では、公認心理師が行う業務として、次の4つが挙げられています。
- 心理に関する支援を必要とする人の心理状態を観察し、その結果を分析すること
- 心理に関する支援を必要とする人の相談に応じ、助言や指導などの援助を行うこと
- 支援を必要とする人の関係者(家族など)の相談に応じ、助言や指導などの援助を行うこと
- 心の健康に関する知識を広めるための教育と情報の提供を行うこと
一方で、心理セラピスト、心理カウンセラー、メンタルセラピストといった名前は、民間の団体や講座を運営する会社が独自に認定している資格の名前です。民間の資格は、それぞれの団体が決めたカリキュラムを学び、試験や課題に合格すると認定される仕組みで、国が内容を保証しているものではありません。
民間の資格に意味がないわけではありません。心理学の基礎や、話の聴き方を体系的に学ぶ入り口として役立ちますし、学んだことを示す材料にもなります。ただし、どの資格を取ったかによって、名乗ってよい名前や、できることの範囲が変わることを、最初に理解しておく必要があります。
名乗ってよい名称の決まり
心理の仕事を始めるときに、まず気をつけたいのが名乗る名前です。公認心理師法には、名称の使用を制限する規定があります。
公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。 出典: e-Gov法令検索 公認心理師法
つまり、公認心理師の資格を持っていない人は、「公認心理師」と名乗れないだけでなく、名前の中に「心理師」という文字を入れることもできません。たとえば「〇〇心理師」「認定心理師」のような名前は使えません。民間の資格で学んだ人が名乗るときは、取得した資格の正式な名前を、認定した団体の名前と合わせて書くのが誤解を招かない書き方です。
このような、資格を持つ人だけがその名前を名乗れる仕組みを、名称独占と呼びます。公認心理師は名称独占の資格で、心理の相談に乗ること自体を公認心理師だけに限る仕組み(業務独占)ではありません。そのため、民間の資格を持つ人や、資格を持たない人が、心理の相談に乗る仕事をすることは、法律で一律に禁じられているわけではありません。
ただし、相談に乗る仕事であっても、病気の診断や治療は別の話です。医師法では、医師でなければ医業をしてはならないと定められています。心の不調について「うつ病です」と診断したり、治療として薬の飲み方を指示したりすることは、民間の資格ではもちろん、公認心理師であってもできません。
ホームページやSNSのプロフィールに名乗る名前や、提供するサービスの説明を書くときは、受けた人が国家資格や医療だと誤解しない書き方にします。「治る」「改善を保証」のような言い切りも避けます。
心理の資格の種類と特徴
心理の分野の資格は、大きく次の3つに分けられます。
1つ目は、国家資格の公認心理師です。公認心理師法では、受験の資格として、大学で必要な科目を修めて卒業し、さらに大学院で必要な科目を修めて修了した人、または大学で必要な科目を修めて卒業した後に、決められた施設で決められた期間以上、心理の支援の業務に従事した人などが定められています。大学と大学院、または大学と実務の経験が前提になるので、社会人になってから目指す場合は、数年単位の計画が必要です。厚生労働省のページでは、試験は一般財団法人公認心理師試験研修センターが実施すると案内されています。
2つ目は、民間の団体が認定する、専門性の高い資格です。大学院での学びや、長い期間の研修を条件とするものがあり、病院や学校、企業の相談室などで働く人が多く取っています。条件や試験の内容は団体ごとに違うので、目指す場合は、認定する団体の公式の案内で確かめます。
3つ目は、通信講座や短期の講座を受けて取る、講座型の民間資格です。心理セラピスト、心理カウンセラー、メンタルセラピストといった名前の資格の多くは、ここに当たります。数か月の通信講座で学べるものが多く、社会人が副業として学び始めやすいのが特徴です。一方で、内容や難しさは講座によって大きく違います。
このほかに、職場のメンタルヘルスの知識を問う検定もあります。大阪商工会議所などが主催するメンタルヘルス・マネジメント検定試験は、セルフケア、ラインケア、マスターの3つのコースに分かれていて、働く人の心の健康を保つ知識を体系的に学べます。相談に乗るための資格ではありませんが、会社員向けのセミナーや研修の仕事をしたい人には、学んだ内容を示す材料になります。
資格を選ぶときに確かめること
講座型の民間資格を選ぶときは、資格の名前の印象ではなく、中身で比べます。確かめたい点を挙げます。
1つ目は、認定している団体です。団体の名前、所在地、いつから活動しているか、どんな人が講師や監修をしているかを、公式サイトで確かめます。講座を売っている会社と、資格を認定している団体が同じ場合も多いので、その点も把握しておきます。
2つ目は、学ぶ内容です。心理学の基礎、カウンセリングの理論、話の聴き方の練習、倫理(守秘や、扱ってはいけない相談の見極め)が含まれているかを見ます。特に、実際に人の話を聴く練習(ロールプレイ)があるかどうかは、取った後に仕事として相談に乗るなら大切な点です。読むだけの講座では、実際の相談の場面で戸惑うことになります。
3つ目は、費用の全体です。受講料のほかに、試験の料金、認定の登録料、資格を続けるための更新料がかかる資格があります。更新料が毎年かかる場合は、長く続けるほど費用が積み重なります。総額でいくらかかるのかを、申し込む前に確かめます。
4つ目は、取った後の支援です。卒業生向けの勉強会や、事例の相談ができる場(スーパービジョンと呼ばれる、経験のある人に自分の相談の進め方を見てもらう仕組み)があるかどうかで、仕事として続けやすさが変わります。
5つ目は、宣伝の言い方です。「短期間で誰でもプロに」「資格を取ればすぐに仕事が来る」のような宣伝をしている講座は、慎重に見たほうがよいでしょう。資格を取っただけで相談の依頼が来ることはなく、仕事にするには、取った後の練習と集客の努力が欠かせません。
民間の資格でできること、できないこと
講座型の民間資格を取った人が、仕事としてできることと、できないことを整理しておきます。
できることの代表は、日常の悩みや、気持ちの整理を手伝う相談です。仕事の人間関係の悩み、子育ての悩み、将来への不安などについて、話を聴き、気持ちを整理する手伝いをすることは、資格の有無にかかわらず行えます。ストレスとの付き合い方や、心の健康の知識を伝えるセミナーや講座を開くことも、学んだ内容を生かせる仕事です。
一方で、できないこと、してはいけないことがあります。前の節で触れたとおり、病気の診断や治療は医師の仕事で、民間の資格では行えません。医療機関にかかっている人から、薬をやめたい、減らしたいと相談されても、それを勧めることはできません。主治医に相談するよう伝えます。
扱う相談の範囲を決めておくことも大切です。強い気分の落ち込みが長く続いている、眠れない日が続いている、自分を傷つけたい気持ちがある、といった相談は、セッションで抱え込まず、医療機関や専門の相談窓口につなぐ必要があります。どんな相談なら受け、どんな相談なら医療機関につなぐかを、サービスの説明にも書いておくと、申し込む人も判断しやすくなります。
この線引きは、相談に来た人を守るためのものであると同時に、セラピスト自身を守るためのものでもあります。手に負えない相談を抱え込むと、相談に来た人の状態が悪くなるおそれがあるうえ、セラピスト自身も心身の負担を抱えることになります。
オンラインのセッションを開くまでの準備
資格を取り、提供するサービスの内容が決まったら、オンラインのセッションを開く準備に入ります。順番に挙げます。
- 提供するサービスの内容を決める(扱う相談の範囲、1回の時間、回数、料金)
- 使うビデオ通話のサービスを決める
- セッションを行う場所と機材を整える
- 申し込みと予約の受け方を決める
- 料金の受け取り方を決める
- 利用規約とキャンセルの決まりを作る
- 記録の取り方と保管の方法を決める
- 緊急の場合のつなぎ先を調べておく
- 案内のページを作り、必要な表示を載せる
ビデオ通話のサービスは、相談に来る人が使い慣れたものを選ぶと、つながらないトラブルが減ります。初めて使う人のために、つなぎ方の案内を用意しておきます。
セッションを行う場所は、話が外に漏れない、静かな部屋を選びます。自宅で行う場合は、家族の声が入らない時間帯を選び、イヤホンを使います。背景に私物や家族の写真が映らないよう、画面の映り方を事前に確かめます。
申し込みと予約は、フォームで受け付けると、必要な情報がそろった状態で届きます。名前、連絡先、希望の日時、相談したいことの概要を聞きます。相談したいことの概要を聞いておくと、受けられない相談かどうかを、セッションの前に判断できます。
学び始めてからセッションを開くまでの進め方
講座型の民間資格から始める場合の、学び始めてからセッションを開くまでの進め方の例を挙げます。期間は講座や本人の時間の使い方で大きく変わるので、目安として読んでください。
最初の段階は、講座で基礎を学ぶ期間です。心理学の基礎、カウンセリングの理論、倫理を学びます。通信講座なら、テキストを読み、課題を提出し、試験に合格して資格の認定を受けます。この段階で、自分がどんな悩みを持つ人の相談に乗りたいのかを考え始めます。
次の段階は、話を聴く練習の期間です。講座の中の練習だけでなく、勉強会の仲間と相談役と相談者の役を交代して練習します。練習の後に、聴き方のよかった点と改善点を言葉にしてもらうと、自分では気づかない癖が分かります。
その次の段階は、少人数で試す期間です。知人や勉強会の仲間に、無料か安い料金で試しのセッションを受けてもらい、感想を聞きます。時間配分、オンラインの接続、申し込みから終わりまでの連絡の流れを、実際に通しで確かめます。
最後の段階で、案内のページを作り、利用規約と特定商取引法の表示を整え、申し込みの受け付けを始めます。始めた後も、最初の数か月は受ける数を限り、1回ずつ振り返りながら進めます。
焦って一度に全部を進めようとしないことが大切です。特に、話を聴く練習の期間を短くすると、実際の相談の場面で戸惑い、相談に来た人の信頼を失うことにつながります。
相談の仕事で使う道具
オンラインのセッションを続けるうえで、そろえておきたい道具を挙げます。
1つ目は、通信の環境です。映像と音声が途切れないよう、安定した回線を用意します。Wi-Fiが不安定な場合は、有線でつなぐと安定します。
2つ目は、音声の機材です。パソコンに内蔵のマイクでも話せますが、マイク付きのイヤホンやヘッドセットを使うと、声が聞き取りやすくなり、周りに話が漏れる心配も減ります。
3つ目は、予約と連絡の管理の道具です。申し込みのフォーム、予約の日時の管理、確認やリマインドのメールの送信を、どの道具で行うかを決めます。件数が少ないうちは、無料のフォームとカレンダー、メールで十分です。
4つ目は、記録の保管の場所です。記録は、パスワードで守られた場所に保存し、他の仕事のファイルと混ぜないようにします。
道具は、最初から高価なものをそろえる必要はありません。試しのセッションを重ねる中で、足りないと感じたものから整えていけば十分です。
料金の表示と、案内ページに載せること
オンラインでセッションを申し込んでもらう場合、料金の表示にも決まりがあります。
インターネットで申し込みを受け付けて有料のサービスを提供する形は、特定商取引法の「通信販売」に当たります。特定商取引法では、通信販売で役務(サービス)の提供条件を広告するときに、役務の対価、支払いの時期と方法、役務の提供の時期、申し込みの撤回や解除に関する事項などを表示しなければならないと定めています。
具体的には、案内のページに、料金(税込の金額)、支払いの方法と時期、セッションを行う時期、キャンセルや返金の決まり、事業者の名前と連絡先などを載せることになります。個人で始める場合も対象になるので、何を載せる必要があるかは、消費者庁の特定商取引法のページで確かめてください。個人の住所や電話番号の載せ方に迷う場合は、消費者庁の案内を読んだうえで、必要に応じて専門家に相談します。
料金の決め方は、1回の時間と、準備や記録にかかる時間も含めて考えます。セッションが60分でも、事前の準備と事後の記録に30分かかるなら、1回の仕事は90分です。初回だけ短い時間の安い料金にする、回数をまとめて申し込むと割安にする、といった設定もありますが、回数をまとめた前払いの場合は、途中でやめたいときの返金の決まりを必ず決めておきます。
守秘と記録の扱い
心理の相談では、相談に来た人の悩みや家族の事情など、とても慎重に扱うべき情報を預かります。守秘と記録の扱いは、仕事として相談に乗るうえで最も大切な決まりです。
まず、セッションで聞いた内容を、本人の同意なく他人に話さないことを、利用規約に書き、セッションの最初にも伝えます。SNSで「今日こんな相談があった」と書くことも、本人が特定されなくても避けます。
ただし、守秘には例外があることも伝えておきます。本人や他人の命に危険が迫っている場合には、本人の安全を守るために、家族や医療機関、相談窓口に連絡することがある、という決まりです。この例外を最初に伝えておくと、いざというときに本人との信頼を損なわずに行動できます。
記録を取る場合は、何を記録するか、どこに保存するか、いつまで残すかを決めます。名前と相談の内容を同じファイルに書かず、名前は番号に置き換えて記録する、ファイルにはパスワードをかける、といった工夫で、万一の漏えいの影響を小さくできます。セッションを録画や録音する場合は、必ず事前に本人の同意を得ます。
個人情報の扱いの考え方は、個人情報保護委員会の法令とガイドラインのページで確かめられます。
緊急の場合に備えておくこと
オンラインのセッションでは、相談に来た人の状態が、画面越しでは分かりにくいことがあります。強い落ち込みや、自分を傷つけたい気持ちを打ち明けられたときに、どう対応するかを、セッションを始める前に決めておきます。
まず、相談に来た人の住んでいる地域と、緊急の連絡先を、申し込みの時点で聞いておく方法があります。命に関わる危険が迫っているときは、迷わず119番などの緊急の連絡を勧めます。
次に、専門の相談窓口を調べておきます。厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSで悩みを相談できる窓口が紹介されています。働く人のメンタルヘルスについては、厚生労働省の「こころの耳」に相談窓口の案内があります。セッションの終わりに、こうした窓口があることを伝えられるよう、連絡先を手元に控えておきます。
医療機関にかかっている人については、主治医の指示を尊重するよう伝えます。セッションの内容が、治療の方針とぶつからないように気を配ります。
利用規約に書いておくこと
オンラインのセッションを始める前に、利用規約を作っておきます。利用規約は、相談に来た人とセラピストの間の約束事を、事前に文章で示しておくものです。トラブルを防ぐだけでなく、相談に来た人が安心して申し込めるようにする役割もあります。
利用規約に書いておく主な内容は次のとおりです。
- 提供するサービスの内容と、扱わない相談の範囲(医療の診断や治療は行わないこと)
- 1回のセッションの時間と料金、支払いの方法と時期
- 予約の変更とキャンセルの期限、キャンセル料の有無
- 守秘の約束と、命に関わる場合などの例外
- 記録の取り方と保管の期間、録画や録音をするかどうか
- 通信のトラブルでセッションが中断した場合の扱い
- セラピストの判断でセッションをお断りする場合があること
通信のトラブルの扱いは、オンラインならではの項目です。途中で接続が切れて再開できなかった場合に、残りの時間を後日に振り替えるのか、返金するのかを決めておきます。
利用規約は、申し込みのフォームから読めるようにし、同意のチェックを付けてもらってから申し込みを受け付けます。長い文章を最後まで読む人は多くないので、特に大切なキャンセルの期限と守秘の例外は、申し込みの画面にも短く書いておきます。
初回のセッションの進め方
初回のセッションは、相談に来た人にとって、セラピストを信頼できるかどうかを判断する時間です。進め方を決めておくと、落ち着いて臨めます。
最初に、自己紹介と、セッションの進め方の説明をします。時間がどのくらいか、どんな流れで話を聴くか、守秘の約束とその例外、記録を取るかどうかを伝えます。
次に、相談したいことを聴きます。初回は、解決策を急いで示すより、何に困っているのか、いつ頃からか、どうなりたいと思っているのかを丁寧に聴くことに時間を使います。
その中で、扱う範囲を超える相談ではないかを見極めます。強い落ち込みが長く続いている、眠れない日が続いている、生活に大きな支障が出ている、といった様子があれば、医療機関への相談を勧めます。
終わりの10分ほどで、今日話したことを振り返り、次回も続けるかどうか、続けるなら何を話すかを一緒に決めます。続けるかどうかを、その場で決めさせる必要はありません。考えてから連絡してもらう形にしておくと、相談に来た人も気が楽になります。
セッションの後は、記録を書き、気になった点があれば、勉強会や経験のある人に相談して、次の回に生かします。
オンラインと対面の違い
オンラインのセッションは便利な一方で、対面と比べた違いもあります。それぞれの特徴を知っておくと、サービスの組み立てに役立ちます。
オンラインの利点は、移動の時間がかからないこと、住んでいる場所に関係なく相談できること、自宅の落ち着ける場所から話せることです。相談に来る人にとっては、外出の負担がなく、セラピストにとっては、会場を借りる費用がかかりません。
一方で、画面越しでは、表情や声の小さな変化が伝わりにくいことがあります。通信の状態が悪いと、話が途切れ、相談に来た人の集中も途切れます。相談に来た人が家族と同居している場合、家族に聞かれない場所と時間を確保できるかどうかも課題になります。
こうした違いを踏まえて、オンラインと対面の両方を用意し、相談に来る人が選べるようにする方法もあります。オンラインだけで提供する場合は、通信の環境を整えること、セッションの前に相談に来る人の環境を確かめることを、決まりとして組み込んでおきます。
副業として始めるときに確かめること
会社員が副業として心理セラピストの仕事を始める場合は、勤め先の決まりを確かめます。副業を認めているか、届け出が必要か、同じ分野の仕事を禁じていないかを、就業規則で確かめてください。病院や学校、公務員など、勤め先によっては副業に厳しい決まりがあります。
副業で得た収入は、金額によって確定申告が必要になります。セッションの料金から、講座の受講料やビデオ通話のサービスの費用など、仕事に必要な費用を差し引いた額が所得になります。扱いは事情によって変わるので、迷う場合は税務署や税理士に確かめます。
副業で始めるなら、最初は受ける時間を限って始めるのが無理のない方法です。本業の疲れがたまっている状態で人の相談に乗ると、話を聴く力が落ち、相談に来た人にもよくありません。セラピスト自身の心身の健康を保つことも、仕事の一部です。
相談を仕事にするために必要なこと
資格を取り、準備を整えても、すぐに申し込みが集まるわけではありません。相談の仕事は、信頼が積み重なって初めて依頼が増えていく仕事です。
1つ目は、自分が得意とする相談の分野をはっきりさせることです。「どんな悩みでも」より、「子育て中の親の悩み」「働く人の人間関係の悩み」のように、誰のどんな悩みに寄り添うかを示したほうが、必要としている人に届きやすくなります。
2つ目は、自分の考え方を伝える発信です。ブログやSNSで、心の健康についての知識や、自分の相談の進め方を伝えると、申し込む前に人柄が伝わります。ただし、発信の中で相談に来た人の事例を書くときは、本人が特定されないよう、内容を大きく変えるか、本人の同意を得ます。
3つ目は、学び続けることです。資格を取った後も、勉強会や事例の検討の場に参加し、自分の相談の進め方を見直していきます。
4つ目は、相談に来た人の声を集めることです。セッションの後に簡単なアンケートをお願いし、よかった点と改善してほしい点を聞きます。了承を得られた感想は、本人が特定されない形で案内のページに載せると、申し込みを迷っている人の参考になります。ただし、感想を載せるときに「治った」「劇的に改善」のような表現を選んで載せると、医療の効果をうたっているように受け取られるおそれがあるので、載せる内容には気を配ります。
5つ目は、ほかの専門家とのつながりを作ることです。医療機関につなぐべき相談があったときに紹介できる先や、自分の得意でない分野の相談を任せられる仲間がいると、相談に来た人に合った支援を案内できます。
心の仕事と発信の力
20年以上フリーランスと在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、相談や講座の仕事で長く続いている人は、資格の名前より、自分の言葉で何ができるかを丁寧に伝えている人です。サービスの案内の文章、申し込みの後の連絡、セッションの後のお礼の文面。こうした文章の一つひとつが、相談に来る人の安心につながっています。
文章で自分のサービスを伝える力は、相談の仕事に限らず、在宅で仕事をする人の多くに役立ちます。これまでの実績を見せる方法は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、ライターの例をもとに整理しています。案内やお知らせの文書を正確に書く力は、ビジネス文書検定で体系的に学ぶこともできます。
相談やセミナーの仕事を受けるときも、仲介手数料が差し引かれない直接取引であれば、依頼する側は同じ予算で頼める範囲が広がり、受ける側は手取りが厚くなります。継続して相談に乗る仕事ほど、信頼できる相手と長く付き合える関係が、双方にとって大きな意味を持ちます。
よくある質問
Q. 心理セラピストは国家資格ですか?
国家資格ではありません。心理の分野の国家資格は公認心理師で、心理セラピストや心理カウンセラーは民間の団体が認定する資格の名前です。公認心理師法では、公認心理師でない人が公認心理師と名乗ることや、名前に心理師という文字を使うことが禁じられています。民間の資格を名乗るときは、正式な名前と認定団体を書きます。
Q. 民間の資格で有料のカウンセリングをしてもよいですか?
公認心理師は名前を名乗れる人を限る資格で、相談に乗ること自体を公認心理師だけに限る仕組みではないため、民間の資格で日常の悩みの相談に乗ることは一律に禁じられていません。ただし、病気の診断や治療は医師の仕事で、民間の資格ではできません。強い落ち込みなどの相談は、医療機関や専門の窓口につなぎます。
Q. オンラインでセッションを販売するときに必要な表示はありますか?
インターネットで申し込みを受けて有料のサービスを提供する形は、特定商取引法の通信販売に当たり、料金、支払いの時期と方法、提供の時期、キャンセルや返金の決まり、事業者の名前と連絡先などの表示が求められます。何を載せるかは消費者庁の特定商取引法のページで確かめ、迷う場合は専門家に相談してください。
Q. 講座型の資格を選ぶときに何を比べればよいですか?
認定している団体、学ぶ内容に話の聴き方の練習や倫理が含まれているか、受講料と試験料、登録料、更新料を合わせた総額、取った後の勉強会や事例を相談できる場があるかを比べます。短期間で誰でもプロになれる、すぐに仕事が来る、といった宣伝をしている講座は慎重に見たほうが安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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