【重要】PHPの脆弱性、うちのサイトは大丈夫?今すぐチェック

予防処置とは|是正との違いと進め方

@SOHO編集部
@SOHO編集部
予防処置とは|是正との違いと進め方

この記事のポイント

  • ✓まだ起きていない問題の原因を先に取り除く取り組みです
  • ✓是正処置や修正との違い
  • ✓ISO 9001の2015年版で箇条が無くなった理由

予防処置とは、まだ起きていない問題について、起こり得る原因を先に見つけて取り除く取り組みのことです。品質管理の現場では、起きてしまった不具合の再発を防ぐ「是正処置」と並べて語られることが多く、両者の違いが分からずに調べる人がたくさんいます。さらに、国際規格のISO 9001では2015年版で予防処置という独立した箇条が無くなったため、「もうやらなくてよいのか」と迷う声も聞かれます。この記事では、予防処置の意味、是正処置や修正との違い、規格での扱いの変化、進め方の手順、職場ごとの例、記録の書き方までを順に説明します。予防処置の対策を担当と期限つきでチームで追いかけたいときは、プロジェクト管理ツールのPinatecaを使う方法もあり、その使い方も後半で触れます。

予防処置とは何か

予防処置は、英語では Preventive Action と呼ばれます。品質マネジメントの分野で使われてきた言葉で、「起こり得る問題(不適合)の原因を取り除き、その発生を防ぐための処置」という意味です。不適合とは、決められた要求や基準を満たしていない状態のことで、製品の不良、手順の守り忘れ、書類の誤りなどが当てはまります。

ポイントは、対象が「まだ起きていない問題」であることです。過去に起きた不具合を繰り返さないための取り組みは是正処置で、予防処置はその手前で働きます。たとえば、隣の工場で起きた機械の故障を知り、自分の工場の同じ機械を点検して部品を早めに交換する。これは自分の工場ではまだ起きていない故障を防ぐ取り組みなので、予防処置に当たります。

予防処置の考え方は、国内の法令にもはっきり書かれています。医療機器や体外診断用医薬品をつくる事業者に向けた品質管理の省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)の第64条は、予防措置について次のように定めています。

製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、起こり得る問題の影響に照らし、当該問題の発生を防止するために適切な予防措置を明確にし、とらなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

この条文で大事なのは「起こり得る問題の影響に照らし」という部分です。考えられるすべての問題に同じ力をかけるのではなく、起きたときの影響の重さに応じて、手当ての度合いを決めるという考え方です。予防処置というと、思いつく限りの対策を並べる作業を想像しがちですが、実際には「どの問題に手を打つべきかを選ぶ作業」が中心になります。

なお、法令では「予防措置」、ISO規格の日本語版(JIS)では「予防処置」と書かれることが多く、意味はほぼ同じです。この記事では、法令の条文を引く箇所以外は「予防処置」と書きます。

修正・是正処置・予防処置の違い

予防処置を理解するには、似た言葉との違いを押さえておくのが近道です。品質管理では、問題への手当てを3つの段階に分けて考えます。

比べる点 修正 是正処置 予防処置
対象 起きた不適合そのもの 起きた不適合の原因 まだ起きていない不適合の原因
目的 目の前の問題を取り除く 同じ問題の再発を防ぐ 問題の発生を未然に防ぐ
時期 問題が見つかった直後 原因を調べた後 問題が起きる前
例 誤字のある書類を差し替える 誤字が出た手順を見直す 新しい書類の確認手順を先に決める

修正は応急の手当てです。不良品を取り除く、誤りのある書類を差し替える、止まった機械を動かし直すなど、目の前の問題を片付けます。ただ、修正だけでは原因が残るため、同じ問題がまた起こります。

是正処置は、起きた問題の原因を調べて取り除き、再発を防ぐ取り組みです。同じ省令の第63条では、是正措置について「発見された不適合による影響に応じて、当該不適合の再発を防ぐために必要な全ての是正措置を遅滞なくとらなければならない」と定めています。原因の特定、措置の必要性の評価、計画と実施、実効性の確認という流れで進めます。

予防処置は、問題が起きる前に原因を取り除きます。是正処置と予防処置は、どちらも原因に手を打つ点で共通していますが、きっかけが違います。是正処置のきっかけは実際に起きた問題で、予防処置のきっかけは「起きるかもしれない」という兆しやリスクです。

実務では、是正処置から予防処置が生まれることがよくあります。ある部署で起きた問題の原因を調べた結果、同じ原因を抱えた別の部署や別の製品が見つかることがあります。その別の部署で先に手を打つのは、そこではまだ問題が起きていないので予防処置です。この「よその問題を自分のところに当てはめて先に手を打つ」やり方は、水平展開と呼ばれます。

予防処置に取り組むメリット

予防処置は、問題が起きていない段階で時間をかける取り組みなので、効果が見えにくいと感じられがちです。それでも取り組む価値がある理由を、4つの面から整理します。

問題が起きたときの手間と費用を減らせる

問題が起きてから対応すると、修正、原因の調査、お客様への説明、再発を防ぐ対策と、いくつもの作業が重なります。不良品の作り直しや、納期の遅れによる信用の低下まで含めると、事後の対応にかかる負担は、事前の手当てよりはるかに重くなりがちです。予防処置は、この負担を前もって小さくする取り組みです。

仕事の流れが安定する

問題が起きるたびに担当者が対応に追われると、本来の仕事が止まります。予防処置で起こりやすい問題を先に減らしておけば、急な対応が減り、計画どおりに仕事を進めやすくなります。締切の前に慌てることが減るのは、働く人にとっても大きな利点です。

職場の知識がたまる

予防処置の記録には、どんな問題が起こり得るか、なぜ起きるか、どう防いだかが残ります。担当者が替わっても記録を読めば経緯が分かり、同じ検討を一からやり直さずに済みます。新しく入った人の教育の材料にもなります。

取引先やお客様の信頼につながる

問題を先に防ぐ仕組みを持っていることは、取引先にとって安心材料になります。品質の仕組みについて説明を求められたとき、予防処置の手順と記録を示せれば、口頭の説明より説得力が増します。

一方で、予防処置には手間がかかるという面もあります。すべての問題に手を打とうとすると、本来の仕事の時間を圧迫します。影響の重さと起こりやすさで手を打つものを選ぶのは、このデメリットを抑えるためでもあります。

ISO 9001の2015年版で予防処置の箇条が無くなった理由

予防処置を調べると、「ISO 9001の2015年版から予防処置が無くなった」という説明に出会います。この点は誤解されやすいので、丁寧に整理します。

ISO 9001は、品質マネジメントシステム(品質を保つための組織の仕組み)の国際規格です。2008年版までは、是正処置と並んで予防処置の箇条が独立して置かれていました。2015年版では、この独立した箇条が無くなり、代わりに「リスクに基づく考え方」が規格全体に組み込まれました。計画の段階で、リスク及び機会への取組みを決めることが求められるようになったのです。

これは予防をやめたという意味ではありません。品質マネジメントシステムそのものが予防の道具であるという考え方に立ち、予防を一部の手続きとして切り出すのではなく、計画、運用、評価のすべての段階でリスクを考えるように組み替えた、ということです。認証機関の解説でも、旧版の予防処置の内容はリスクと機会を見る取り組みに置き換えられたと説明されています。

つまり、2015年版の規格で認証を受けている組織でも、予防の取り組みは必要です。名前が「予防処置」から「リスク及び機会への取組み」に変わり、特定の様式で記録することよりも、仕組み全体でリスクを考えているかが問われるようになりました。社内の手順書に予防処置の様式が残っている会社も多く、その様式を使い続けること自体は問題ありません。

さらに、ISO 9001は2026年に改訂されました。認証機関のLRQAは、2026年9月16日にISO 9001:2026が発行されたと告知しています。

ISO 9001:2026が、本日2026年9月16日に発行されました。 出典: lrqa.com

同じ告知によると、移行期限は2029年9月30日で、ISO 9001:2015の認証は移行期間中も引き続き有効です。リスクに基づく考え方は引き続き規格の中核とされ、リスクと機会がより明確に区別されたことが主な変更点の1つとして挙げられています。認証を受けている会社の担当者は、自社の移行の予定を審査を受けている認証機関の案内で確かめておくと安心です。規格の原文は有料で頒布されているため、細かな要求事項を確かめるときは、日本産業規格(JIS)の版や認証機関の資料にあたってください。

医療機器の品質管理では今も予防措置が求められる

ISO 9001から独立した箇条が無くなった一方で、予防措置を明確に求め続けている分野もあります。代表的なのが医療機器です。

先に紹介した医療機器の品質管理の省令(一般にQMS省令と呼ばれます)は、第64条で予防措置の手順を文書にすることを求め、手順に含める事項を次のように並べています。

  1. 起こり得る不適合とその原因の特定
  2. 予防措置の必要性の評価
  3. 予防措置の計画の策定、内容の記録、実施(変更があれば計画と記録の更新も含む)
  4. 予防措置が法令への適合や、医療機器の機能、性能、安全性に悪い影響を与えないかの検証
  5. 予防措置をとった場合の実効性の照査

さらに、予防措置について調べた場合は、その調査と結果の記録を作って保管することも求められています。条文はe-Govの法令検索で全文を読めます。

この5つの事項は、医療機器以外の職場でも、予防処置の進め方の型としてそのまま使えます。特に4番目の「予防の対策そのものが、別の問題を生まないかを確かめる」という視点は見落とされがちです。たとえば、入力ミスを防ぐために確認の手順を増やした結果、作業時間が延びて締切に間に合わなくなるようでは、対策として成り立ちません。対策を入れる前に、他への影響を確かめる手順を持っておくことが大切です。

予防処置の進め方5つの手順

ここからは、予防処置を実際に進める手順を説明します。上で紹介した省令の事項を、どの職場でも使える形に整理すると、次の5つの手順になります。

手順1:起こり得る問題を洗い出す

最初に、起きるかもしれない問題を集めます。材料になるのは、ヒヤリハット(事故には至らなかったが、ひやりとした出来事)の報告、他部署や他社で起きた不具合、お客様からの問い合わせの傾向、業務の変更点などです。新しい機械や仕組みを入れる、担当者が替わる、手順を変えるといった変化の時期は、問題が起きやすい時期でもあります。

手順2:原因を考える

洗い出した問題ごとに、なぜ起きるかを考えます。「なぜ」を何度か繰り返して、表面の理由の奥にある原因までたどります。たとえば「入力を間違えるかもしれない」という問題なら、「似た項目が並んでいる」「確認する人がいない」「締切前に作業が集中する」のように、仕組みの側の原因を探します。人の注意力だけを原因にすると、対策が「気をつける」で終わってしまいます。

手順3:手を打つ必要があるかを評価する

すべての問題に対策を打つことはできません。起きたときの影響の重さと、起こりやすさの2つで評価し、優先して手を打つものを選びます。影響が重く起こりやすいものから取り組み、影響が軽く起こりにくいものは様子を見る、という判断も予防処置の一部です。評価の結果、手を打たないと決めたものも、その理由とともに記録しておきます。

手順4:対策を計画して実施する

手を打つと決めた問題について、対策の内容、担当者、期限を決めて実施します。対策は、人の注意に頼るものより、仕組みで防ぐもののほうが長続きします。入力欄に選択肢を設けて自由入力を減らす、確認の担当を決める、作業の順番を固定する、といった形です。実施する前に、対策が他の業務に悪い影響を与えないかも確かめます。

手順5:効果を確かめる

対策を入れたら、一定の期間をおいて効果を確かめます。問題の兆しが減ったか、対策が守られているか、新しい問題が生まれていないかを見ます。効果が出ていなければ、原因の見立てに戻って考え直します。この手順を省くと、対策を入れただけで安心してしまい、実際には防げていない状態が続きます。

5つの手順は、1回で終わるものではありません。業務が変わるたびに手順1に戻り、新しいリスクを洗い出します。この繰り返しが、仕組み全体でリスクを考えるということです。

起こり得る問題の見つけ方

予防処置でいちばん難しいのは、手順1の「まだ起きていない問題を見つける」ことです。起きた問題は目に見えますが、起きていない問題は意識して探さないと見つかりません。ここでは、職場で使いやすい見つけ方を4つ紹介します。

ヒヤリハットを集める

事故やミスには至らなかったけれど、危なかった出来事を集めます。報告の様式は簡単にして、気軽に出せるようにするのがコツです。報告した人を責めない雰囲気がないと、報告は集まりません。

他の場所で起きた問題を自分に当てはめる

他部署、他の拠点、同業他社で起きた不具合を、自分の職場でも起こり得ないかと考えます。是正処置の報告書を社内で共有する仕組みがあると、この見つけ方が使いやすくなります。

変化点を洗い出す

人、機械、材料、方法の4つの変化に注目します。製造の分野では、それぞれの頭文字から4Mと呼ばれる考え方です。新しい担当者が入った、機械を替えた、仕入れ先を変えた、手順を見直した、というときは、問題が起きやすい時期として特に注意して点検します。

起こり得る故障を表にして評価する

製品や工程の部品ごとに、起こり得る故障とその影響を表にして評価する方法もあります。製造業では FMEA(故障モード影響解析)と呼ばれ、故障の起こりやすさ、影響の重さ、見つけやすさを点数にして、手を打つ順番を決めます。本格的な手法ですが、表の考え方は事務の仕事にも応用できます。

職場ごとの予防処置の例

予防処置は製造業だけのものではありません。事務、IT、採用など、どの職場でも同じ考え方が使えます。ここでは職場ごとの例を紹介します。

製造の現場

設備の部品が摩耗して止まる前に、点検の周期を決めて交換する取り組みは、予防処置の代表例です。設備を壊れる前に手入れする考え方は予防保全とも呼ばれます。設備の点検や保守に使える国の支援については、製造業の保守・メンテナンス助成金2026|予防保全のデジタル化でライン停止を防ぐで紹介しています。

事務の仕事

請求書の金額の誤りを防ぐために、発行前に別の担当者が確認する手順を入れる、似た取引先名を選び間違えないように一覧の表示を工夫する、といった取り組みが当てはまります。月末に作業が集中して誤りが出やすいなら、作業の一部を月の中旬に前倒しするのも予防処置です。

ITとソフトウェア

システムの公開前に、過去に起きた不具合の一覧と照らし合わせて確認する、アクセスが集中する時期の前に負荷を試す、といった取り組みが予防処置に当たります。情報の漏えいを防ぐために権限の設定を定期的に見直すことも、まだ起きていない事故を防ぐ取り組みです。

採用と人事

採用の仕事でも予防処置の考え方は役立ちます。たとえば、内定を出した人の辞退が続いた会社で、辞退の理由を調べて連絡の間隔を見直すのは是正処置です。一方、まだ辞退が起きていない別の職種の採用で、同じように連絡の間隔が空きそうな時期を先に洗い出し、担当者と連絡の予定を決めておくのは予防処置です。採用の時期が重なる部署どうしで情報を共有するだけでも、同じつまずきを防げます。

在宅で働くフリーランス

1人で仕事を受けるフリーランスにも、予防処置の考え方は使えます。納品の前に、過去に修正を求められた点の一覧で自分の成果物を確認する、締切が重なる月を先に見つけて受ける量を調整する、といった取り組みです。パソコンの故障に備えてデータの控えを別の場所に保存しておくのも、まだ起きていない問題への手当てです。

予防処置の記録の書き方

予防処置は、実施したことを記録に残して初めて、組織の財産になります。担当者が替わっても経緯が分かり、同じ検討を繰り返さずに済むからです。記録に入れる項目は次のとおりです。

  • 起こり得る問題の内容(何が、どこで、どのように起こり得るか)
  • 問題に気づいたきっかけ(ヒヤリハット、他部署の不具合、変化点など)
  • 考えられる原因
  • 影響の重さと起こりやすさの評価、手を打つかどうかの判断と理由
  • 対策の内容、担当者、期限
  • 対策が他の業務に与える影響の確認結果
  • 効果の確認の日付と結果
  • 次に見直す時期

書き方のコツは、あとから読んだ人が判断の理由まで分かるようにすることです。「対策を実施」だけでは、なぜその対策を選んだのかが伝わりません。「入力の誤りが月末に集中していたため、確認の担当を決めて前日までに点検する手順にした」のように、原因と対策のつながりが分かる文で書きます。手を打たないと決めた問題も、理由とともに残しておくと、状況が変わったときに見直すきっかけになります。

規格の認証を受けている会社では、記録の様式が手順書で決まっていることが多いので、まずは社内の様式を確かめてください。様式が無い職場なら、上の項目を表の列にしてスプレッドシートで管理するだけでも十分に始められます。

予防処置の記入例

上の項目を使って、事務の職場を想定した記入例を紹介します。そのまま自分の職場の様式に写して使えます。

  • 起こり得る問題:月末に発行する請求書で、取引先名や金額を誤って記入するおそれがある
  • 気づいたきっかけ:別の部署で、似た名前の取引先に請求書を送りかけたヒヤリハットが報告された
  • 考えられる原因:取引先の一覧で似た名前が隣り合って表示される。月末の2日間に発行作業が集中し、確認の時間が取れない
  • 評価と判断:誤った請求書が届くと取引先の信頼を損ねるため影響は重い。作業の集中で起こりやすさも高い。手を打つと判断
  • 対策の内容:取引先の一覧に取引先番号を並べて表示する。発行の前日までに別の担当者が金額と宛先を確認する手順を加える
  • 担当者と期限:一覧の表示の変更は経理担当が11月15日まで、確認手順の追加は課長が11月20日までに手順書を改める
  • 他への影響の確認:確認の手順で作業時間が1日あたり30分ほど延びるが、月末の締切には間に合うことを確かめた
  • 効果の確認:翌月と翌々月の発行分で、宛先や金額の誤りとヒヤリハットの件数を確かめる
  • 次に見直す時期:半年後、または取引先の数が大きく変わったとき

記入例のように、原因と対策がつながって読めること、他への影響を確かめたこと、効果を確かめる時期が決まっていることがそろっていれば、後から読んだ人にも判断の筋道が伝わります。

予防処置の対策を管理する方法

予防処置は、対策を決めた後の実行と効果の確認で止まりやすい取り組みです。担当者が日々の仕事に追われるうちに、期限が過ぎてしまうことがよくあります。管理の方法を、規模に合わせて選びます。

少人数ならスプレッドシートで十分

担当が数人で、対策の数も多くないなら、スプレッドシートで管理するのが手軽です。上で紹介した記録の項目を列にして、1行に1件を書きます。期限の列で並べ替えれば、近いものから確認できます。新しく覚えることがほとんどなく、すぐに始められるのが利点です。

課題管理ツールを使う

開発や保守の現場では、課題管理ツールで対策を管理する方法もあります。たとえば、課題管理ツールのBacklogは、2027年1月1日にプランを改定すると公式ブログで告知しています。現在のプランの新規契約は2026年12月31日で終わり、フリープランのユーザーの上限は10名から5名に変わります。新しいプランの料金(税抜)は、エコノミーが月払いで1か月あたり21,000円、ビジネスが月払いで1か月あたり36,300円と案内されています。これから導入を考える場合は、改定後のプランの内容を公式の案内で確かめてから選んでください。

担当と期限と進み具合をチームで共有する

部署をまたいで対策を進める場合や、社外のメンバーと一緒に取り組む場合は、誰がどこまで進めたかが見えにくくなります。複数人で担当と期限と進み具合を共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法があります。

その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使えます。予防処置で決めた対策を1つずつカードにして担当と締切を付ければ、カンバンで進み具合を、ガントチャートで期限の重なりを、関係者が同じ画面で確かめられます。カスタムフィールドの機能で、カードに影響の重さや優先度の項目を追加することもできると案内されています。カードごとのコメントに効果の確認の結果を残しておけば、次の見直しのときの材料になります。ただし、Pinatecaはリスクの評価を自動で行う道具ではありません。評価や判断は手順に沿って人が行い、決めた対策の実行の管理にPinatecaを使う、という使い分けになります。

公式の料金ページによると、5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は要りません。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

予防処置を職場に根付かせる進め方

予防処置は、担当者1人が頑張るだけでは続きません。職場全体の習慣にするための進め方を、規模の違いに分けて紹介します。

大きな組織の場合

品質の担当部署がある会社では、予防処置の手順書と様式が整っていることが多いものです。課題になるのは、手順が現場で使われているかどうかです。品質の担当部署が月に1度、各部署のヒヤリハットと是正処置の報告を集め、他の部署にも当てはまるものを選んで水平展開する場を設けると、予防処置のきっかけが途切れにくくなります。

中小企業の場合

専任の担当者がいない中小企業では、仕組みを小さく始めるのが現実的です。朝礼や週1回の打ち合わせで、ヒヤリハットを1件ずつ共有し、その場で手を打つかどうかを決めるだけでも十分な効果があります。記録はスプレッドシート1枚から始め、件数が増えてきたら管理の方法を見直します。

スタートアップの場合

人数が少なく変化の速いスタートアップでは、新しい仕組みや手順を入れるたびにリスクを洗い出す習慣が役立ちます。新しい機能を公開する前、新しい人が加わる前のように、変化の直前に15分だけ「何が起こり得るか」を話し合う時間を取ると、大きな手間をかけずに予防処置を続けられます。

どの規模でも共通するのは、報告した人を責めないことです。ヒヤリハットを出した人が叱られる職場では、まだ起きていない問題の情報は集まりません。

予防処置でよくあるつまずき

予防処置を始めた職場がつまずきやすい点を整理します。

対策が「注意する」で終わる

原因を人の不注意だけに求めると、対策は「注意を徹底する」になりがちです。注意は時間とともに薄れるため、効果が続きません。手順、道具、確認の仕組みの側で防げないかを考えます。

書類を作ること自体が目的になる

様式を埋めることに力を使い、実際の対策が進まない状態です。記録は判断と行動を残すためのものなので、様式の項目は必要最小限にとどめ、対策の実行と効果の確認に時間を回します。

手を広げすぎる

起こり得る問題をすべて同じ重さで扱うと、手が回らなくなります。影響の重さと起こりやすさで優先順位を付け、上位のものから確実に終わらせます。

効果を確かめない

対策を入れたところで終わりにすると、本当に防げているかが分かりません。効果の確認の日付を最初に決めておき、その日に必ず振り返ります。

予防の視点が仕事の価値を高める理由

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く依頼が続く人ほど、問題が起きる前の一言が丁寧です。「この素材が届くのが遅れると、公開日に間に合わない可能性があります」「この条件だと、来月の繁忙期に作業が重なります」と先に伝えてくれる人には、依頼する側が安心して仕事を任せます。予防処置の考え方は、品質管理の手法である以上に、相手の信頼を積み上げる仕事の進め方でもあります。仲介の手数料が乗らない直接取引では、こうした信頼がそのまま双方の得になります。依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなるからです。

予防の視点が特に評価されるのは、リスクを先に見つけることそのものが仕事になる分野です。情報の漏えいや不正アクセスを防ぐ仕事についてはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、システムの不具合を公開前に防ぐ設計や開発の仕事についてはアプリケーション開発のお仕事で、仕事の内容と求められる力を紹介しています。

データをもとに問題の兆しを見つける力は、研究の仕事にも通じます。研究者の年収・単価相場では、研究者の収入の目安や働き方ごとの違いをまとめています。

企業の仕組みを点検し、問題を未然に防ぐ助言をする仕事を目指すなら、経営の国家資格も選択肢になります。経営課題を診断して改善策を助言する資格については中小企業診断士で、資格の内容と試験の流れを紹介しています。予防処置の5つの手順は、どの職場でも今日から使える考え方です。まずは身近なヒヤリハットを1つ取り上げ、原因と対策を書き出すところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 予防処置と是正処置の違いを一言でいうと何ですか?

是正処置は、実際に起きた問題の原因を取り除いて再発を防ぐ取り組みです。予防処置は、まだ起きていない問題について、起こり得る原因を先に取り除いて発生を防ぐ取り組みです。どちらも原因に手を打つ点は同じで、きっかけが実際の問題か、起きるかもしれない兆しかが違います。

Q. ISO 9001の認証を受けていれば予防処置はしなくてよいのですか?

しなくてよいわけではありません。2015年版で予防処置という独立した箇条は無くなりましたが、リスクに基づく考え方が規格全体に組み込まれ、計画の段階でリスク及び機会への取組みを決めることが求められています。予防の考え方は規格の中核に残っており、社内の予防処置の様式を使い続けることも問題ありません。

Q. 予防処置のネタが見つからないときはどうすればよいですか?

ヒヤリハットの報告、他部署や他社で起きた不具合、業務の変化点の3つから探すのが効果的です。担当者の交代、機械や仕組みの入れ替え、手順の変更があった時期は問題が起きやすいので、その点検から始めると見つけやすくなります。是正処置の報告書を社内で共有する仕組みも役立ちます。

Q. 予防処置の記録には何を書けばよいですか?

起こり得る問題の内容、気づいたきっかけ、考えられる原因、影響の重さと起こりやすさの評価、対策の内容と担当者と期限、効果を確かめた日付と結果を書きます。手を打たないと決めた問題も、理由とともに残しておくと、状況が変わったときの見直しに役立ちます。社内に様式があればそれに従ってください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月26日最終更新:2026年10月28日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却

M&A・事業売却

会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方