PERT図の書き方|作業の順番と所要日数から全体の日程を組む方法


この記事のポイント
- ✓最早開始日と最遅開始日の計算
- ✓クリティカルパスの求め方の順に
- ✓ガントチャートとの違い
複数の作業が絡み合う仕事で、「全体でいつ終わるのか」「どの作業が遅れると締め切りに響くのか」を知りたいときに使われるのが、PERT図(パート図)です。作業の順番と所要日数を図にして、最初から最後までの道筋のうち一番長い経路、つまりクリティカルパスを見つけることで、全体の日程と、遅らせてはいけない作業がはっきりします。
PERT図は難しい計算をする道具に見えますが、手順を追えば、紙と鉛筆でも描けます。この記事では、小さなWebサイトの制作を例に、作業の洗い出しから、前後関係の整理、所要日数の見積もり、図の描き方、そしてクリティカルパスの求め方までを順に説明します。そのうえで、余裕日数の読み方、ガントチャートとの違い、紙や表計算ソフトで足りる場面と、チームで日程を共有する道具を使う場面を整理します。チームで日程を回すなら、ガントチャートを含む8種類のボードを持つPinatecaのような道具を使う方法もあります。
PERT図とクリティカルパスとは
PERT図とは、プロジェクトを構成する作業を、矢印と丸でつないで、作業の順番と所要日数を表した図のことです。PERTは、Program Evaluation and Review Techniqueの頭文字で、もともとは大規模な計画の日程を管理するために考えられた手法です。
クリティカルパスとは、PERT図の中で、最初の作業から最後の作業までをつなぐ経路のうち、所要日数の合計が最も長い経路のことです。この経路の長さが、プロジェクト全体にかかる最短の日数になります。クリティカルパスの上にある作業が1日遅れると、全体の完了も1日遅れます。反対に、クリティカルパスの上にない作業には、少し遅れても全体の完了に響かない余裕があります。
PERTとクリティカルパスの考え方は、情報処理技術者試験でも扱われる、プロジェクトの日程管理の基本の手法です。情報処理推進機構(IPA)が公開している基本情報技術者試験の出題範囲(シラバス)には、次のように書かれています。
PERT や CPM(Critical Path Method)の基本的な手法を理解する。 出典: ipa.go.jp
同じシラバスでは、日程計画、アローダイアグラム、クリティカルパスが、この分野の用語の例として挙げられています。アローダイアグラムとは、作業を矢印で表すPERT図の描き方の1つです。CPM(クリティカルパス法)は、クリティカルパスを見つけて日程を管理する手法のことで、実際の現場ではPERTと合わせて使われることがほとんどです。試験の概要は、IPAの基本情報技術者試験のページで確かめられます。
PERT図で分かること
PERT図を描くと、次の3つのことが分かります。
1つ目は、プロジェクト全体にかかる日数です。作業を順番につないで、一番長い経路の日数を数えれば、どんなに順調に進んでも、それより早くは終わらないという日数が分かります。
2つ目は、遅らせてはいけない作業です。クリティカルパスの上にある作業は、1日でも遅れると全体が遅れます。こうした作業には、経験のある担当者を割り当てる、作業の前に準備を済ませておく、といった手を優先して打てます。
3つ目は、余裕のある作業です。クリティカルパスの上にない作業には、何日まで遅れてもよいかという余裕があります。この余裕を知っておけば、急ぎの別の仕事が入ったときに、どの作業を後ろにずらせるかを判断できます。
ガントチャートでも作業の期間は分かりますが、作業同士の前後関係と、どれが全体の日程を決めているかは、PERT図のほうが読み取りやすくなります。この違いは後の節で詳しく比べます。
手順1:作業を洗い出す
PERT図を描く最初の手順は、プロジェクトに必要な作業を洗い出すことです。ここでは、小さな会社のWebサイトのリニューアルを例にします。必要な作業を次の7つとします。
- A 要件の確認
- B デザイン案の作成
- C 原稿の準備
- D コーディング
- E 写真の撮影
- F 組み込みと表示の確認
- G 公開
作業を洗い出すときは、1つの作業が「終わったかどうか」を誰が見ても判断できる大きさに分けます。「デザインを考える」のようなあいまいな作業ではなく、「トップページのデザイン案を作って承認をもらう」のように、終わりが分かる単位にします。作業を細かく分けすぎると図が複雑になり、粗すぎると遅れに気づきにくくなります。最初は、1つの作業が数日から1週間程度に収まる大きさを目安にするとよいでしょう。
手順2:作業の前後関係を整理する
次に、それぞれの作業が、どの作業が終わってから始められるかを整理します。先に終わっていなければならない作業を、先行作業と呼びます。
| 作業 | 内容 | 先行作業 |
|---|---|---|
| A | 要件の確認 | なし |
| B | デザイン案の作成 | A |
| C | 原稿の準備 | A |
| D | コーディング | B |
| E | 写真の撮影 | C |
| F | 組み込みと表示の確認 | D、E |
| G | 公開 | F |
この表のポイントは、BとCがどちらもAの後に始められること、つまり同時に進められることです。また、Fは、DとEの両方が終わらないと始められません。前後関係を正しく整理できるかどうかが、PERT図の正確さを左右します。
前後関係を整理するときに気をつけたいのは、「本当にその作業が終わらないと始められないのか」を確かめることです。習慣で順番に並べている作業の中には、実は同時に進められるものがあります。たとえば、原稿の準備をデザインが固まるまで待つ必要がなければ、上の例のように並行して進められます。並行できる作業を見つけるほど、全体の日数は短くなります。
手順3:作業ごとの所要日数を見積もる
それぞれの作業に何日かかるかを見積もります。例では次のように見積もったとします。
| 作業 | 所要日数 |
|---|---|
| A 要件の確認 | 3日 |
| B デザイン案の作成 | 4日 |
| C 原稿の準備 | 2日 |
| D コーディング | 5日 |
| E 写真の撮影 | 3日 |
| F 組み込みと表示の確認 | 2日 |
| G 公開 | 1日 |
所要日数の見積もりが甘いと、クリティカルパスの計算結果も当てになりません。過去に似た作業をしたときに実際にかかった日数を参考にするのが一番確かです。
PERTでは、見積もりの不確かさを扱うために、3点見積もりという方法がよく使われます。作業ごとに、うまく進んだ場合の楽観値、いちばんありそうな最頻値、つまずいた場合の悲観値の3つを出し、次の式で見積もりの値を求めます。
見積もりの値 =(楽観値 + 最頻値×4 + 悲観値)÷ 6
たとえば、コーディングの楽観値が4日、最頻値が5日、悲観値が6日なら、(4+20+6)÷6で5日です。悲観値が9日なら、(4+20+9)÷6で5.5日になります。つまずく余地の大きい作業ほど、見積もりの値が最頻値より大きくなる計算です。IPAのシラバスでも、三点見積りは日程の管理の技法の用語の例に挙げられています。
手順4:図を描く
前後関係と所要日数がそろったら、図を描きます。描き方には大きく2つあります。
1つは、作業を矢印で表し、作業と作業のつなぎ目を丸(結合点)で表す描き方です。アローダイアグラムと呼ばれ、情報処理技術者試験などでよく使われます。矢印の上に作業の名前と所要日数を書きます。
もう1つは、作業を四角で表し、前後関係を矢印でつなぐ描き方です。四角の中に作業の名前と所要日数を書きます。こちらのほうが、初めての人には分かりやすいことが多いので、この記事ではこの描き方で説明します。
例の作業を図にすると、次のような流れになります。
- 開始 → A(3日)
- A → B(4日) → D(5日) → F(2日)
- A → C(2日) → E(3日) → F(2日)
- F → G(1日) → 完了
紙に描くときは、左から右へ時間が流れるように並べ、先行作業から後続の作業へ矢印を引きます。同時に進められる作業は上下に並べると、並行していることが一目で分かります。
アローダイアグラムで描く場合、2つの作業が同じ結合点から始まって同じ結合点で終わるときなどに、前後関係だけを表す点線の矢印を使うことがあります。これをダミー作業と呼び、所要日数は0日として扱います。
アローダイアグラムには、いくつかの決まりがあります。1本の矢印は1つの作業を表し、結合点には左から順に番号を振ります。ある結合点から出る矢印の作業は、その結合点に入るすべての矢印の作業が終わってから始められます。同じ2つの結合点の間に、2本の矢印を引いてはいけません。このような場合にダミー作業を使って、作業を区別します。試験の問題でアローダイアグラムが出たときは、この決まりを知っておくと、図を正しく読み取れます。
四角で作業を表す描き方でも、アローダイアグラムでも、計算の手順は同じです。描きやすいほうで描き、慣れてきたら、もう一方の描き方でも同じ計画を描いてみると、理解が深まります。
手順5:最早開始日と最早終了日を計算する
ここからが、クリティカルパスを求める計算です。まず、図の左から右へ順に、それぞれの作業を最も早く始められる日(最早開始日)と、最も早く終えられる日(最早終了日)を計算します。
計算のルールは2つだけです。
- 最早終了日 = 最早開始日 + 所要日数
- 先行作業が複数ある場合、最早開始日は、先行作業の最早終了日のうち最も遅いもの
プロジェクトの開始を0日目として計算します。
| 作業 | 最早開始日 | 所要日数 | 最早終了日 |
|---|---|---|---|
| A | 0 | 3 | 3 |
| B | 3 | 4 | 7 |
| C | 3 | 2 | 5 |
| D | 7 | 5 | 12 |
| E | 5 | 3 | 8 |
| F | 12 | 2 | 14 |
| G | 14 | 1 | 15 |
Fの最早開始日に注目してください。Fの先行作業はDとEで、Dの最早終了日は12日目、Eの最早終了日は8日目です。両方が終わらないとFは始められないので、遅いほうの12日目がFの最早開始日になります。
最後の作業Gの最早終了日が15日目なので、このプロジェクトは最短で15日かかることが分かります。
手順6:最遅開始日と最遅終了日を計算する
次に、図の右から左へ逆向きに、それぞれの作業を遅くともいつまでに始めなければならないか(最遅開始日)と、遅くともいつまでに終えなければならないか(最遅終了日)を計算します。全体の完了を15日目から遅らせないための期限です。
計算のルールは次の2つです。
- 最遅開始日 = 最遅終了日から所要日数を引いた日
- 後続の作業が複数ある場合、最遅終了日は、後続の作業の最遅開始日のうち最も早いもの
最後の作業Gの最遅終了日を、全体の完了日の15日目として計算を始めます。
| 作業 | 最遅終了日 | 所要日数 | 最遅開始日 |
|---|---|---|---|
| G | 15 | 1 | 14 |
| F | 14 | 2 | 12 |
| D | 12 | 5 | 7 |
| E | 12 | 3 | 9 |
| B | 7 | 4 | 3 |
| C | 9 | 2 | 7 |
| A | 3 | 3 | 0 |
Aの最遅終了日に注目してください。Aの後続の作業はBとCで、Bの最遅開始日は3日目、Cの最遅開始日は7日目です。どちらにも間に合わせる必要があるので、早いほうの3日目がAの最遅終了日になります。
手順7:余裕日数を出し、クリティカルパスを見つける
最後に、作業ごとの余裕日数を計算します。余裕日数とは、その作業を何日まで遅らせても全体の完了に響かないかを表す日数のことで、トータルフロートとも呼ばれます。
余裕日数 = 最遅開始日から最早開始日を引いた日数
| 作業 | 最早開始日 | 最遅開始日 | 余裕日数 |
|---|---|---|---|
| A | 0 | 0 | 0 |
| B | 3 | 3 | 0 |
| C | 3 | 7 | 4 |
| D | 7 | 7 | 0 |
| E | 5 | 9 | 4 |
| F | 12 | 12 | 0 |
| G | 14 | 14 | 0 |
余裕日数が0の作業をつなぐと、A→B→D→F→Gになります。これがクリティカルパスです。所要日数を合計すると、3+4+5+2+1で15日となり、手順5で求めた全体の日数と一致します。
もう1つの経路、A→C→E→F→Gの所要日数の合計は、3+2+3+2+1で11日です。クリティカルパスより4日短いので、この経路の上にあるCとEには、合わせて4日の余裕があります。ただし、この4日はCとEで共有している余裕です。Cが3日遅れれば、Eに残る余裕は1日になります。余裕日数を読むときは、同じ経路の上の作業で余裕を分け合っていることに注意してください。
途中で遅れが出たときの計算し直しの例
計画を立てた後、作業の途中で遅れが出ることは珍しくありません。遅れが出たときに、全体の日程にどう響くかを確かめる方法を、同じ例で見てみます。
まず、クリティカルパスの上にあるDのコーディングが、5日の予定から7日にのびたとします。Dの最早終了日は12日目から14日目になり、Fの最早開始日も14日目、Gの最早終了日は17日目になります。全体の完了は、15日目から17日目へと2日遅れます。クリティカルパスの上の作業の遅れは、そのまま全体の遅れになる、ということが確かめられます。
次に、クリティカルパスの上にないEの写真の撮影が、3日の予定から5日にのびたとします。Eの最早終了日は8日目から10日目になりますが、Fの最早開始日は、DとEの最早終了日のうち遅いほうなので、Dの12日目のままです。全体の完了は15日目のまま変わりません。Eには4日の余裕があったので、2日の遅れはその中に収まった、ということです。
では、Eが3日の予定から8日にのびた場合はどうでしょうか。Eの最早終了日は5日目に8日を加えて13日目になります。DとEの最早終了日を比べると、今度はEの13日目のほうが遅いので、Fの最早開始日は13日目、Gの最早終了日は16日目になります。全体は1日遅れ、クリティカルパスはA→C→E→F→Gに入れ替わります。Eの遅れが5日で、余裕の4日を1日超えたためです。
このように、遅れが出たら、その作業がクリティカルパスの上にあるか、余裕の範囲に収まるかを確かめれば、全体への影響をすぐに判断できます。計算し直した結果は、関わる人に早めに共有します。クリティカルパスが入れ替わった場合は、新しくクリティカルパスに入った作業を優先して管理するよう、担当を見直します。
クリティカルパスが分かったら何をするか
クリティカルパスを見つけたら、日程の管理に生かします。主な使い道は3つです。
遅らせてはいけない作業に手を打つ
例では、A、B、D、F、Gがクリティカルパスの上にあります。これらの作業は1日遅れると全体が1日遅れるので、担当者の割り当てや、事前の準備を優先します。たとえば、Bのデザイン案の承認が遅れそうなら、承認する人の予定を前もって押さえておく、といった手が打てます。
全体の日数を縮める
全体の日数を短くしたいときは、クリティカルパスの上の作業を縮める必要があります。クリティカルパスの上にない作業をいくら早めても、全体の日数は変わりません。例で言えば、Cの原稿の準備を1日早めても、全体は15日のままです。一方、Dのコーディングを2日縮めれば、全体は13日になります。
ただし、作業を縮めすぎると、別の経路がクリティカルパスに入れ替わることがあります。例では、もう1つの経路の合計が11日なので、全体を11日より短くするには、両方の経路を縮める必要があります。
縮める方法としては、人を追加して作業を早める方法と、本来は順番に行う作業を一部重ねて進める方法があります。前者はクラッシング、後者はファストトラッキングと呼ばれ、IPAのシラバスでも日程の管理の用語の例に並んでいます。どちらも、費用が増える、手戻りの危険が増えるといった代わりの負担を伴います。
余裕のある作業で調整する
余裕のある作業は、急ぎの別の仕事が入ったときや、担当者が休むときの調整に使えます。例では、CとEに4日の余裕があるので、その範囲であれば、担当者の予定に合わせて動かせます。
ガントチャートとの違い
日程の管理の道具としては、PERT図のほかにガントチャートがよく使われます。ガントチャートとは、横軸に日付を取り、作業ごとの期間を横棒で表した表のことです。
2つの違いを整理すると次のようになります。
| 観点 | PERT図 | ガントチャート |
|---|---|---|
| 得意なこと | 作業の前後関係と、全体の日程を決めている経路を示す | 作業ごとの期間と、今日の時点での進み具合を示す |
| 読み取りやすいこと | どの作業が遅れると全体に響くか | いつ、誰が、何をしているか |
| 向いている場面 | 計画を立てる段階 | 計画を進めて管理する段階 |
PERT図は、計画を立てる段階で、全体の日程と大事な作業を見極めるのに向いています。一方、ガントチャートは、計画を進める段階で、日々の進み具合を確かめるのに向いています。実際の現場では、PERT図で計画を立ててクリティカルパスを確かめ、その結果をガントチャートに写して、日々の管理に使う、という組み合わせがよく使われます。
紙と表計算ソフトで足りる場面
PERT図とクリティカルパスの計算は、作業の数が少なければ、紙や表計算ソフトで十分にできます。
作業が10個程度までで、関わる人が少ない計画なら、紙に図を描き、この記事のような表で最早開始日と最遅開始日を計算するのが一番早い方法です。手で計算すると、どの作業がなぜクリティカルパスに入るのかが、感覚としてつかめます。
表計算ソフトを使う場合は、作業、所要日数、先行作業、最早開始日、最早終了日、最遅開始日、最遅終了日、余裕日数の列を作ります。最早開始日の列には、先行作業の最早終了日のうち最大のものを求める式を、最遅終了日の列には、後続の作業の最遅開始日のうち最小のものを求める式を入れます。所要日数を書き換えると、全体の日程とクリティカルパスがどう変わるかをすぐに試せるのが利点です。
表計算ソフトで計算するときの具体的な式の考え方も示しておきます。最早終了日の列は、その行の最早開始日と所要日数を足す式にします。最早開始日の列は、先行作業が1つならその作業の最早終了日をそのまま参照し、複数あるなら、それぞれの最早終了日のうち最も大きい値を返す関数(多くの表計算ソフトではMAX)で求めます。逆向きの計算では、最遅終了日の列に、後続の作業の最遅開始日のうち最も小さい値を返す関数(MIN)を使い、最遅開始日の列は、最遅終了日から所要日数を引く式にします。最後に、余裕日数の列で、最遅開始日から最早開始日を引けば、0になった行がクリティカルパスの作業です。条件付きの書式で余裕日数が0の行に色を付けると、クリティカルパスが一目で分かります。
作業の数が増えて、先行作業の参照を手で書くのが大変になってきたら、表の作り方を見直すか、次の節で触れる道具を使うことを考える頃合いです。
PERT図が役立つ身近な場面
PERT図は、大きなプロジェクトだけの道具ではありません。作業がいくつか絡み合う身近な場面でも役立ちます。
たとえば、社内のイベントの準備です。会場の予約、案内状の作成と発送、資料の印刷、当日の役割分担など、いくつもの作業があり、案内状は会場が決まらないと作れない、資料は内容が固まらないと印刷できない、といった前後関係があります。PERT図にすると、どの作業が遅れると開催日に間に合わなくなるかが分かります。
事務所の引っ越しのような場面でも使えます。新しい事務所の契約、インターネットの回線の工事の申し込み、荷物の梱包、住所の変更の届け出など、作業ごとに必要な日数が違い、回線の工事のように申し込みから実施までに時間のかかる作業がクリティカルパスに入ることがよくあります。早めに手をつけるべき作業が見えるのが、PERT図の強みです。
チームで日程を共有するなら
一方、関わる人が増え、作業の担当や進み具合を複数の人で同時に更新したくなると、紙や1つの表計算のファイルでは追いつかなくなります。誰かが表を更新している間に別の人が古い表を見て判断する、どれが最新の表か分からなくなる、といった問題が起きやすくなります。
こうした場面では、作業ごとの期間と担当、進み具合をチーム全員が同じ画面で確かめられる道具を使うと、遅れに早く気づけます。その選択肢の1つが、Pinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リスト、リソースなど8種類のボードがあり、同じカードのまま見え方だけを切り替えられます。ガントチャートのボードでは、カードの期間が横棒で並び、バーをドラッグすると開始日も締切もその場で変わります。赤い縦線で今日の日付が示され、遅れている作業が分かるようになっています。リソースのボードでは、人やチームごとの負荷の偏りを確かめられ、カードには「見積工数」のような項目をカスタムフィールドとして追加できます。
公式の料金ページでは、フリープランは5人まで、ボード10個までで、ガントチャートやチャットを含む機能が使えると書かれています。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
なお、Pinatecaの公式サイトには、作業の前後関係から最長の経路を自動で計算する機能は記載されていません。クリティカルパスの計算は、この記事の手順のように紙や表計算ソフトで行い、その結果をもとに、ガントチャートのボードで期間と担当を共有して日々の進み具合を追う、という使い分けが現実的です。クリティカルパスの上の作業にラベルを付けておけば、遅らせてはいけない作業をチーム全員がすぐに見分けられます。
計算でよくある間違い
PERT図の計算に慣れないうちは、同じところで間違えやすいものです。よくある間違いを挙げておきます。
1つ目は、先行作業が複数あるときに、早いほうの終了日を使ってしまうことです。例のFのように、DとEの両方が終わらないと始められない作業では、遅いほうの終了日が開始日になります。早いほうを使うと、全体の日数を短く見積もりすぎてしまいます。
2つ目は、逆向きの計算で、後続の作業が複数あるときに、遅いほうの開始日を使ってしまうことです。例のAのように、BとCの両方に間に合わせる必要がある作業では、早いほうの開始日が期限になります。ここを間違えると、余裕のない作業に余裕があるように見えてしまいます。
3つ目は、日数の数え方を途中で変えてしまうことです。この記事では、開始を0日目とし、所要日数を足して終了日を出す数え方で統一しています。作業の開始日を1日目として数える方法もありますが、1つの表の中で2つの数え方を混ぜると、1日ずつずれが積み重なります。どちらかに決めて、最後まで同じ数え方を使います。
4つ目は、休日を考えに入れていないことです。PERT図の計算は作業の日数で行うので、カレンダーの日付に直すときには、休日を除いて数える必要があります。15日の作業でも、土日を休むなら、カレンダーの上では3週間かかります。
計算が終わったら、最早終了日の最後の値と、クリティカルパスの所要日数の合計が一致しているかを確かめます。一致していなければ、どこかで計算を間違えています。
PERT図を使うときの注意点
PERT図とクリティカルパスは便利な手法ですが、使うときに気をつけたい点もあります。
1つ目は、所要日数の見積もりの精度です。計算そのものは正確でも、元になる所要日数が実際とずれていれば、結果も当てになりません。見積もりは、過去の実績をもとにし、作業が進むたびに実際にかかった日数と見比べて直していきます。
2つ目は、人の都合が図に表れないことです。PERT図は作業の前後関係だけを表すので、同じ担当者が2つの作業を同時に抱えている場合でも、図の上では並行して進むように見えます。実際には1人で2つの作業を同時に進めることはできないので、担当者の予定と照らし合わせて確かめる必要があります。
3つ目は、クリティカルパスが途中で入れ替わることです。余裕のあった作業が大きく遅れると、その経路が新しいクリティカルパスになることがあります。計画を立てたときに一度計算して終わりにせず、作業の進み具合に合わせて、定期的に計算し直すことが大切です。
日程の管理の力は、仕事の信頼につながる
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上運営してきた立場から見ると、複数の人が関わる仕事を任される人は、作業の前後関係と遅らせてはいけない作業を、最初に依頼した人と共有しています。「この作業の承認が遅れると、全体の公開日が遅れます」と前もって伝えておけば、依頼した人も自分の側の作業を優先して進めてくれます。日程の遅れの多くは、依頼した側と受けた側のどちらかの待ちの時間から生まれるからです。
PERT図とクリティカルパスの考え方は、開発の仕事に限らず、デザイン、文章、調査など、複数の作業が絡む仕事に共通して使えます。仲介の手数料が乗らない直接の取引であれば、同じ予算で依頼する側はより多くの作業を頼め、受ける側の手取りも厚くなります。日程を組み、守る力は、そうした関係を長く続ける土台です。
Webサイトやアプリの開発のように、作業の前後関係が複雑な仕事の種類は、アプリケーション開発のお仕事で確かめられます。業務の流れを見直して、AIやデジタルの道具を取り入れる計画づくりの仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。経営の視点から計画を立てる力を体系的に学びたい人には、中小企業診断士の学習も参考になります。
よくある質問
Q. PERT図とクリティカルパスは何が違いますか?
PERT図は、作業の順番と所要日数を矢印や四角でつないで表した図のことです。クリティカルパスは、そのPERT図の中で、最初から最後までの経路のうち所要日数の合計が最も長い経路のことです。PERT図を描き、作業ごとの開始日と余裕日数を計算することで、クリティカルパスが見つかります。
Q. クリティカルパスはどうやって求めますか?
図の左から右へ、各作業の最早開始日と最早終了日を計算し、次に右から左へ、最遅開始日と最遅終了日を計算します。最遅開始日から最早開始日を引いた余裕日数が0の作業をつなぐと、それがクリティカルパスです。先行作業が複数あるときは最も遅い終了日、後続の作業が複数あるときは最も早い開始日を使うのがポイントです。
Q. 全体の日数を短くするにはどうすればよいですか?
クリティカルパスの上にある作業を縮める必要があります。クリティカルパスの上にない作業を早めても、全体の日数は変わりません。人を追加して作業を早める方法や、順番に行う作業を一部重ねて進める方法がありますが、費用の増加や手戻りの危険を伴います。縮めた結果、別の経路がクリティカルパスに入れ替わることにも注意します。
Q. PERT図はどんな道具で描けばよいですか?
作業が10個程度までなら、紙や表計算ソフトで十分に描けます。手で計算すると、どの作業がなぜ全体の日程を決めているのかが理解しやすくなります。関わる人が多く、進み具合を複数の人で同時に更新したい場合は、計算結果をもとに、ガントチャートなどでチームと期間や担当を共有できる道具を使うと、遅れに早く気づけます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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