助産師の志望動機をどう書くか|書き出しの型と、避けたい言い回し

長谷川 奈津
長谷川 奈津
助産師の志望動機をどう書くか|書き出しの型と、避けたい言い回し

この記事のポイント

  • 助産師 志望動機の書き方を
  • 書き出しの型と避けたい言い回しから整理しました
  • ブランク明けまで状況別に解説し

「助産師の志望動機、何度書き直しても薄っぺらい気がする」。この相談、本当に多いんです。命に関わる仕事だからこそ、気持ちは強いのに、それを文章にしようとすると急に言葉が止まる。そういう方をたくさん見てきました。

結論から言います。志望動機が書けないのは、熱意が足りないからではありません。書く順番が決まっていないからです。順番さえ決まれば、材料は誰の中にもあります。この記事では、志望動機を構成する4つの要素、最初の2文で差がつく書き出しの型、状況別の書き分け、そして避けたほうがよい言い回しを、順を追って整理します。あわせて、書類として提出するときに法務の観点から気をつけたいことにも触れます。

「助産師 志望動機」で行き詰まる、本当の理由

志望動機が書けない原因は、だいたい3つに分かれます。

1つ目は、材料はあるのに順番が決まっていないパターン。実習で感動した場面、患者さんからかけられた言葉、自分の出産経験。素材は豊富なのに、どれから書けばよいかわからず、全部を詰め込んで焦点がぼやけてしまう。

2つ目は、志望先のことを調べていないパターン。「貴院の理念に共感しました」と書いたものの、その理念が具体的に何を指すのか自分でも説明できない。読む側にはすぐ伝わります。

3つ目は、自分の言葉を信用できていないパターン。ありきたりだと感じて、無理に立派な言葉を探しにいく。すると、どこかで読んだような文章になります。

3つ目の方に、まず言っておきたいことがあります。志望動機に劇的なエピソードは要りません。参考になる説明を引用します。

志望動機には、具体的な体験談を盛り込んだエピソードを書きましょう。素晴らしいエピソードがなくても、助産師に興味をもったきっかけは誰にでもあるはずです。 出典: co-medical.com

ここが核心です。採用する側が知りたいのは、感動的な物語ではなく、この人が入職後にどう働くかの手がかりです。だから、平凡に見えるきっかけでも、そこから何を考え、何を身につけ、これから何をしたいのかがつながっていれば、十分に伝わります。

書類選考で落ちる志望動機の多くは、内容が平凡だからではなく、つながっていないから落ちます。きっかけと志望先が結びついていない。志望先と自分の強みが結びついていない。この断線が問題なのです。

志望動機を組み立てる4つの要素

志望動機は、次の4つの要素でできています。この順番で並べるだけで、読みやすい文章になります。

要素1|きっかけ(なぜ助産師なのか) 助産師という仕事に関心を持った出発点です。実習で見た分娩、家族の出産、自分が受けたケア、看護師として働くなかで感じた限界。どれでも構いません。大事なのは、そこで何を感じたかを一言で書けることです。

要素2|これまでにやってきたこと(何を積んできたか) 学生なら実習や研究、看護師なら臨床経験、助産師経験者ならこれまでの分娩件数の規模感や関わってきたケアの領域。ここは事実を書く場所なので、盛らない。事実だけで十分に強いからです。

要素3|なぜこの職場なのか(志望先との接点) ここが一番差がつきます。分娩件数の規模、正常分娩の割合、母乳育児の方針、院内助産の有無、産後ケアや母乳外来の体制。募集要項や病院の公開情報から読み取れる特徴と、自分がやりたいことを結びつけます。

要素4|入職後に何をしたいか(未来) 「勉強させていただきたい」で終わらせないでください。何を学び、それを使って何をしたいのかまで書きます。教える側から見て、育てがいのある人に見えるかどうかがここで決まります。

この4つを、およそ2対2対3対3くらいの分量で配分するとバランスが取れます。きっかけを長く書きすぎて、志望先の話が2行しかない志望動機は、非常によく見かけます。逆にしてください。

書き出しの型|最初の2文で読み方が決まる

読む側は、志望動機を1枚ずつじっくり味わうわけではありません。最初の2文で「この人は自分の言葉で書いているか」を判断します。だから書き出しには型を用意しておくと安心です。

型A|きっかけの場面から入る 「看護師として消化器病棟に勤務するなかで、退院後の生活まで伴走できる関わり方をしたいと考えるようになりました」。具体的な状況から入ると、続きが読まれます。

型B|自分の関心の軸を先に置く 「妊娠期から産後まで、切れ目なく同じ人が関わることの意味を、実習を通して強く感じました」。関心の軸を先に出して、そのあと根拠を書く形です。

型C|志望先の特徴から入る 「院内助産を運営されている点に関心を持ち、応募いたしました」。志望先を調べていることが最初に伝わるので、転職の場合に有効です。

避けたいのが、「私は幼い頃から命の誕生に興味があり」という書き出しです。悪い文ではありませんが、あまりに多くの人が使うため、読む側の記憶に残りません。同じ内容でも「祖母が助産師で、仕事の話を聞いて育ちました」と具体化すれば、一気にその人の文章になります。

もうひとつ、書き出しで注意したいのが敬語の重ね方です。「大変恐縮ではございますが」のような前置きから始まる志望動機は、本題に入るまでが長い。丁寧さは文末で担保すればよく、書き出しは内容から入ってください。

状況別に、どこを厚く書くか

助産師を目指す人、あるいは助産師として働く人の背景はさまざまです。この点について、次のような整理があります。

助産師としてのスタート地点は人それぞれです。新卒で飛び込む方、看護師経験を経て挑戦する方、すでに助産師として働いている方など、背景は多様です。それぞれのキャリアフェーズに合わせた志望動機を書くことで、あなたの強みと熱意が最大限に伝わります。 出典: kaigojob.com

背景ごとに、厚く書くべき場所が変わります。

新卒で助産師として応募する場合

実績がないぶん、要素1(きっかけ)と要素4(入職後)を厚くします。実習で担当した事例から何を学んだか、そこから自分に足りないと感じたものは何か、それを志望先でどう埋めたいのか。この流れが書けていれば、経験の少なさは不利になりません。

学生の方が陥りやすいのが、実習の感想文になってしまうことです。「感動しました」で止めず、「その経験から、産婦の言葉を引き出す関わり方を身につけたいと考えました」まで書き切ってください。

看護師から助産師に転じる場合

要素2(これまで)と要素3(志望先)を厚くします。看護師としての経験は、そのまま強みです。急性期での観察力、慢性期での生活指導の経験、小児科での家族対応。どの経験も産科で使えます。「看護師経験を活かして」ではなく、どの経験がどう活きるのかを具体的に書いてください。

助産師として転職する場合

要素3(なぜこの職場か)が最重要です。ここが弱いと、条件だけで選んだと思われます。現職で何ができていて、何ができていないのか。それを志望先で解決したい理由は何か。現職の批判にならないよう、「〜ができない職場だった」ではなく「〜に取り組みたい」という向きで書くのがコツです。

ブランクがある場合

空白期間の理由を1行で説明し、そのうえで復職に向けて何をしているかを書きます。研修の受講、資格の更新、情報の収集。何もしていない場合でも、「復職にあたって最初に何を学び直したいか」を明示すれば、前向きな印象になります。

助産師学校の志望理由書の場合

就職の志望動機とは別物です。学校側が見るのは、入学後に学び続けられるかどうか。だから、助産師になりたい理由に加えて、なぜ今この時期に学ぶのか、学業と生活をどう両立するのかまで書く必要があります。

履歴書全体の構成や自己PRとの書き分けは、看護師の転職用履歴書の書き方|志望動機と自己PRの例文にまとまっています。志望動機と自己PRで同じことを書いてしまう失敗の避け方が具体的に扱われているので、書類を作る前に目を通しておくと手戻りが減ります。

書き直しの実例|同じ内容でも、伝わり方が変わる

言葉で説明するより、直す前と直した後を並べたほうが早いので、3つ並べます。実在の応募書類ではなく、よくある形を再構成した例文です。

例1|新卒

直す前。「私は幼い頃から命の誕生に興味があり、助産師を志しました。実習では出産に立ち会い、大変感動しました。貴院の理念に共感し、志望いたしました。」

直した後。「看護学生としての実習で、分娩後に不安を口にされた産婦さんに、助産師が黙って隣に座り続けている場面を見ました。処置をするだけが支援ではないと気づいたのが出発点です。実習を通して、産婦さんの言葉を待つ姿勢と、その間に必要な観察を続ける技術の両方が必要だと感じました。貴院は正常分娩の割合が高く、産婦さんの主体性を尊重した分娩を大切にされていると伺いました。入職後はまず正常分娩の経過を数多く担当させていただき、産婦さんの訴えの背景を読み取れる助産師を目指します。」

変えたのは、抽象語を具体的な場面に置き換えたことと、志望先の特徴と入職後の目標を足したことです。感動という言葉は使っていませんが、感じたことは伝わります。

例2|看護師から助産師への転職

直す前。「看護師として5年間勤務してまいりました。助産師の資格を取得したため、その経験を活かせる職場を探しております。」

直した後。「看護師として消化器外科病棟に勤務し、術後の患者さんが退院後の生活に不安を抱えたまま帰られる場面を何度も見てきました。入院中だけでなく、その後の暮らしまで見通した関わりをしたいと考え、助産師の資格を取得しました。外科での経験から、身体の状態を数値と観察の両面から捉える習慣が身についています。貴院は産後ケア事業に力を入れておられ、出産後の生活まで継続して関われる体制がある点に強く惹かれました。分娩介助の経験を積みながら、退院後の相談にも応じられる助産師になりたいと考えています。」

前職の経験を「活かせる」で済ませず、どの経験がどう活きるのかまで書いたのが違いです。

例3|助産師としての転職

直す前。「現在の職場は人員が少なく、一人ひとりに十分な時間をかけられないため、転職を考えました。」

直した後。「現在は分娩件数の多い施設に勤務し、正常分娩を中心に経験を積んでまいりました。件数を通して身につけた判断力を土台に、次は妊娠期からの継続的な関わりに取り組みたいと考えています。貴院は院内助産を運営されており、同じ助産師が妊娠期から産後まで担当する体制があると伺いました。これまでの分娩介助の経験を活かしながら、妊婦健診や保健指導の場面での関わり方を身につけたいと考えています。」

不満を、やりたいことに変換しました。現職を否定していないので、読む側も安心して読めます。

3つに共通しているのは、直した後のほうが長いという点です。志望動機が短くなるのは、具体が抜けているサインだと考えてください。

避けたい言い回しと、その理由

ここからは、書かないほうがよい表現を理由つきで挙げます。

「貴院の理念に共感しました」だけで終える 理念のどの部分に、自分のどの経験が重なったのかを書かないと、内容がありません。理念を引用するなら、その言葉に対する自分の解釈まで書いてください。

「勉強させていただきたいです」で締める 学ぶ姿勢は大切ですが、これだけで終わると、受け身の人に見えます。学んだうえで何を返すのかを1文足すだけで印象が変わります。

「アットホームな雰囲気に惹かれました」 職場の雰囲気を志望理由の中心に置くと、仕事内容への関心が薄いと受け取られます。触れるなら、雰囲気ではなく体制や方針に触れてください。

「命の尊さを学びたい」 抽象度が高すぎて、何をしたいのかが伝わりません。具体的な業務に落として書きます。

現職や前職の批判 「人員が足りず十分なケアができなかった」は事実かもしれませんが、読む側は「うちでも同じことを言うかもしれない」と考えます。不満を志望に変換してください。

待遇だけを理由にする 条件を重視すること自体は当然で、面接で正直に伝えて構いません。ただし志望動機の中心に据えると、他の職場でもよいことになってしまいます。

大げさな断定 「必ず貢献できます」「絶対に力になります」。根拠のない断定は、かえって信頼を下げます。何ができるかを具体的に書けば、断定しなくても伝わります。

志望先の調べ方|求人票から読み取れること

要素3を書くために、志望先の情報を集めます。手がかりは思ったより多くあります。

募集要項からは、応募要件(経験年数、夜勤の可否)、看護記録の方式、教育体制、勤務形態がわかります。分娩件数や正常分娩の割合が記載されていれば、それがそのまま職場の性格を示します。件数が多い施設は経験が積める一方で忙しく、件数が落ち着いている施設は一人ひとりに時間をかけやすい。どちらが自分の望む働き方かを言葉にしてください。

病院の公開情報からは、院内助産の有無、母乳育児支援の方針、産後ケア事業の実施状況、地域連携の体制が読み取れます。自治体の母子保健事業を受託している施設であれば、地域に出る仕事に関心があることを書けます。

見学に行ったなら、そこで見たものを1つだけ入れてください。「病棟見学の際に、産婦の希望を確認しながら体位を調整されている場面を拝見し」のような一文があるだけで、他の応募者と明確に差がつきます。ここは調べた人だけが書ける部分です。

助産師として将来的に独立や開業を視野に入れている方は、志望先を選ぶ基準も変わります。助産師の産後ケア事業|フリーランスとしての独立【2026年版】では、産後ケアを軸に事業を立ち上げる場合に必要な準備が具体的に整理されています。将来の方向が見えていると、いま何を経験しておくべきかが逆算できるので、志望動機に説得力が出ます。

志望先が求めている助産師像を、どう推し量るか

志望動機は、相手が求めている人物像と自分の言葉が噛み合ったときに強くなります。では、求められている像はどこに書いてあるのか。多くの場合、明文化されていません。だから読み取る作業が必要になります。

応募要件から読む 「経験2年程度以上」と書かれていれば、即戦力を求めています。この場合、教えてもらう姿勢よりも、何ができるかを先に書くほうが噛み合います。逆に「新卒可」「未経験相談」とあれば、育てる前提です。学ぶ意欲と、教わったことを吸収する姿勢を前に出します。

教育体制の記載から読む プリセプター制度、院内研修、資格取得支援。こうした記載が手厚い施設は、長く働いてくれる人を求めています。志望動機でも、数年先の姿を書くと響きます。

勤務形態から読む 夜勤専従、日勤のみ、二交替、三交替。募集している形態は、いま人手が足りない場所を示しています。自分がその形態で働けることを明示するのは、志望動機として有効です。

施設の方針から読む 母乳育児支援に力を入れている、フリースタイル分娩を導入している、無痛分娩に対応している、ハイリスク妊娠を受け入れている。方針は、その施設が何を大切にしているかの表明です。自分の関心と重なる部分を1つ選び、それについて自分の考えを書いてください。全部に共感すると書くと、かえって薄くなります。

ここで大事なのは、迎合しないことです。無痛分娩を扱う施設に「自然分娩こそが本来の姿だと考えます」と書くのは噛み合いませんが、逆に自分の考えを曲げて書くと、入職後に苦しくなります。方針が自分と合わない施設は、志望先から外すという判断も立派な選択です。

助産師という資格そのものについても、一言添えておきます。助産師は国家資格であり、業務の範囲は法令で定められています。資格の要件や免許の手続きに関する詳細は、勤務先の担当部署や厚生労働省の情報で確認してください。志望動機で資格について触れる場合は、取得の経緯や、取得の過程で何を学んだかに絞るのが自然です。

待遇の話を、どこでどう出すか

年収や勤務条件の話は、志望動機に書くべきではありませんが、聞いてはいけない話でもありません。ここを混同している方が多いので整理します。

志望動機は「なぜこの仕事とこの職場を選んだか」を書く場所です。だから条件の話は入りません。一方、面接の場や、内定後の条件確認では、はっきり聞いて構いません。むしろ聞かないほうが後で困ります。

確認したい項目を挙げます。基本給と各種手当の内訳(夜勤手当、分娩手当、オンコール手当がどう計算されるか)、賞与の実績、昇給の仕組み、時間外労働の扱い、有給休暇の取得状況、夜勤の回数の上限、オンコールの頻度と待機中の扱い。産科ではオンコールの扱いが施設ごとに大きく違うので、待機時間が労働時間として扱われるのか、呼び出しがあった場合の移動時間はどうなるのかまで聞いておくと安心です。

助産師の求人では、基本給が細かい額で提示されることがあります。これは経験年数に応じた号俸表がある職場の特徴で、前職の経験を何割で換算するかによって着任時の額が変わります。この換算方法は、聞かなければ教えてもらえないことが多い項目です。

そして、内定後に示される労働条件の書面は、必ず保管してください。相談を受けていて多いのが、「面接で聞いた話と入職後の条件が違う」というケースです。書面が手元にあれば、話し合いの土台になります。書面がないと、記憶と記憶のぶつかり合いになってしまいます。

※条件面で折り合いがつかない場合や、明らかに不利益な取り扱いを受けた場合は、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士にご相談ください。

書類として整える|分量、書式、誤字

内容が固まったら、書類としての体裁を整えます。ここで落ちる人が意外に多い。

分量 履歴書の志望動機欄は、枠の8割から9割を埋めるのが目安です。半分しか埋まっていないと熱意を疑われ、はみ出すほど詰め込むと読みにくくなります。事前に文字数を数えて調整してください。

手書きか印刷か どちらでも構いませんが、指定がある場合は必ず従います。手書きの場合、修正液の使用は避け、書き損じたら書き直すのが原則です。

文体 「です・ます」で統一します。「だ・である」との混在は、それだけで読みにくくなります。

誤字と表記ゆれ 病院名を正式名称で書いているか、「貴院」と「御院」を混在させていないか(書き言葉は「貴院」、話し言葉は「御院」です)。志望先の名称を間違えるのは致命的なので、提出前に必ず声に出して確認してください。

文章の型を体系的に学びたい方には、ビジネス文書検定のような検定もあります。この資格ガイドでは、社会人として通用する文書の書き方や敬語の使い分けが学習範囲としてまとめられています。助産師の採用に必須のものではありませんが、書類作成に苦手意識がある方には基礎固めとして役立ちます。

法務の視点から|経歴の書き方と、確認しておきたいこと

ここは行政書士として、注意点をお伝えします。これ、知らない人が本当に多いんです。

まず、履歴書や志望動機に事実と異なる記載をすることは避けてください。資格の取得年月、在職期間、担当していた業務。誇張と虚偽の境目は曖昧に見えますが、採用の判断を左右する事項について事実と違うことを書けば、後から問題になり得ます。書けることだけを書く。それが結局いちばん安全です。

一方で、書かなくてよいこともあります。応募書類に本籍地や家族の職業を記載する必要は原則ありません。厚生労働省は公正な採用選考の考え方を示しており、応募者の適性と能力に関係のない事項で採否を決めないことを求めています。詳しくは厚生労働省の案内をご確認ください。面接で応募者の適性や能力に関係のない質問を受けた場合の対応も、そこに整理されています。

※個別の事案で不利益を受けたと感じる場合は、労働局の窓口や弁護士にご相談ください。この記事は一般的な考え方の説明にとどまります。

もうひとつ、内定が出た段階で必ず確認してほしいのが労働条件です。労働条件の明示は法律上のルールであり、賃金、労働時間、契約期間、就業場所、業務内容などは書面等で示されることになっています。つまり、口頭の説明だけで入職を決める必要はないということです。夜勤の回数、オンコールの有無、時間外労働の取り扱い。この3つは産科では特に確認しておきたい項目です。

相談を受けていて感じるのは、条件の確認を「聞きにくいこと」だと思い込んでいる方が多いことです。確認は権利であって、失礼ではありません。むしろ、入職後の齟齬を防ぐという意味で、採用する側にとってもありがたい行為です。

提出前に確認したい9項目

書き上げたら、提出の前に次の項目を上から順に確認してください。ここで見つかる不備が、選考の結果をかなり左右します。

1つ目、志望先の名称が正式名称で、かつ正しく書けているか。「〇〇病院」と「医療法人〇〇会 〇〇病院」では扱いが変わる場面があります。募集要項の表記に合わせるのが安全です。

2つ目、4つの要素が全部入っているか。きっかけ、これまで、なぜここ、これから。どれかが抜けていないかを指差しで確認します。

3つ目、志望先に固有の記述が1文以上あるか。他の施設に出しても通用する文章になっていないかを見ます。使い回しは、読む側にはすぐわかります。

4つ目、事実と異なる記載がないか。資格の取得年月、在職期間、担当していた業務。ここは推測で書かず、必ず手元の書類で確認してください。

5つ目、文体が「です・ます」で統一されているか。

6つ目、一文が長すぎないか。目安として、1文が3行を超えたら切ります。長い文は、書いた本人以外には読みにくいものです。

7つ目、同じ言葉を繰り返していないか。「〜と考えております」が3回続くと、単調に見えます。

8つ目、枠の8割から9割が埋まっているか。

9つ目、声に出して読んだか。黙読では気づかない誤字と、言い回しの不自然さは、音読で見つかります。これがいちばん効く確認方法です。

提出する前に、日を改めてもう一度読むこともおすすめします。書いた直後は自分の文章が正しく見えるものです。1日置くと、抽象的なまま放置していた箇所が見えてきます。

面接で同じことを聞かれたときの伸ばし方

書類の志望動機は、面接でほぼ確実に掘り下げられます。「志望動機をもう少し詳しく」と言われたときに、書類の文章をそのまま暗唱するのは避けてください。読み上げに聞こえます。

準備しておくべきは、書類に書いた4つの要素それぞれについて、もう1段階だけ具体的な話を用意しておくことです。きっかけの場面なら、そのときの状況をあと2文。これまでの経験なら、印象に残っている場面をひとつ。志望先の話なら、調べていて疑問に思ったことをひとつ。入職後の話なら、最初の1年で身につけたいことを具体的に。

この「あと1段階」があるだけで、会話が続きます。面接は試験ではなく、一緒に働けるかを互いに確認する場です。こちらから聞くことがあるのも自然なことです。

運営者の視点から見た、志望動機を書く力の価値

在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、ひとつ観察をお伝えします。

専門職の方が仕事を得るとき、最終的に効くのは「自分は何ができて、相手に何を提供できるか」を言葉にできるかどうかです。これは病院の採用でも、外部から仕事を受けるときでも変わりません。志望動機を書く作業は、この言語化の練習そのものです。

運営者として見てきた限り、長く仕事が続く人は、技術が飛び抜けている人ではなく、依頼する側の事情を読んで自分の役割を説明できる人でした。「これができます」と並べるのではなく、「あなたの困りごとに対して、私はここを引き受けられます」と言える人です。志望動機で要素3(なぜこの職場か)が大事なのと、まったく同じ構造です。

もうひとつ、市場の構造の話をします。専門職が外部の仕事を受けるとき、仲介が何段も入るほど、依頼者が払った金額と受け手に届く金額の差が広がります。中間の取り分が乗らない直接のやり取りであれば、同じ予算でも依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りが厚くなる。金額の大小ではなく、手元に残る質が変わるという話です。

助産師の資格と経験は、将来的に病院の外でも活かせます。オンラインの相談対応、教材や記事の監修、研修の講師。こうした仕事の入り口は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で具体的に整理されています。臨床経験をどう言葉にして仕事に変えるかという考え方は、助産師にもそのまま応用できます。文章を書く仕事の相場感を知りたい方は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります。監修や執筆の依頼を受けるときの目安がつかめます。

最後に、いま志望動機を前にして手が止まっている方へ。

完璧な文章を最初から書こうとしないでください。4つの要素を、箇条書きで並べるところから始めます。きっかけ、これまで、なぜここ、これから。この4行が埋まれば、文章にするのは作業です。順番が決まっていれば、言葉は必ず出てきます。

書類は、あなたを守る道具でもあります。事実を正確に、書けることを書く。それが一番強い志望動機になります。

よくある質問

Q. 助産師の志望動機に、特別なエピソードは必要ですか?

必要ありません。採用する側が知りたいのは感動的な物語ではなく、入職後にどう働くかの手がかりです。助産師に関心を持ったきっかけ、これまでに積んだ経験、なぜその職場なのか、入職後に何をしたいのか。この4つがつながっていれば、平凡に見えるきっかけでも十分に伝わります。

Q. 志望動機はどのくらいの分量を書けばよいですか?

履歴書の志望動機欄の8割から9割を埋めるのが目安です。半分しか埋まっていないと熱意を疑われ、枠からはみ出すほど詰め込むと読みにくくなります。提出前に文字数を数えて調整してください。分量の配分は、きっかけと経歴を控えめに、志望先と入職後の話を厚くするのが基本です。

Q. 志望動機に書かないほうがよい表現はありますか?

理念への共感だけで終える書き方、勉強させていただきたいで締める書き方、雰囲気の良さを中心に据える書き方、現職や前職の批判、待遇のみを理由にする書き方は避けたほうが無難です。根拠のない断定も信頼を下げます。抽象的な言葉は、具体的な業務に落として書き直してください。

Q. 履歴書に本籍地や家族の職業を書く必要はありますか?

原則として必要ありません。厚生労働省は、応募者の適性と能力に関係のない事項で採否を決めないという公正な採用選考の考え方を示しています。詳しくは厚生労働省の案内で確認してください。不利益を受けたと感じる場合は、労働局の窓口や弁護士への相談を検討してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月10日最終更新:2026年9月12日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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