20歳の学生が国民健康保険に入る手続きと、保険料の扱い 2026

@SOHO編集部
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20歳の学生が国民健康保険に入る手続きと、保険料の扱い 2026

この記事のポイント

  • ✓国民健康保険と20歳の学生の関係を整理します
  • ✓20歳で変わるのは国民年金で
  • ✓健康保険は親の加入制度で決まること

20歳の誕生日を迎えたら、日本年金機構から封筒が届いた。中には納付書や申請書が入っていて、「国民健康保険にも自分で入らないといけないのだろうか」と不安になった。学生の本人や、その親から、こうした相談はとても多く寄せられます。

これ、知らない人が本当に多いんです。20歳になって手続きが始まるのは国民年金で、国民健康保険は20歳になったからといって自動的に加入が必要になるものではありません。学生の健康保険は、年齢ではなく、親がどの健康保険に入っているか、自分のアルバイト収入がいくらかで決まります。

この記事では、20歳の学生の健康保険がどう決まるのかを整理したうえで、国民健康保険に自分で入る必要がある場面とその手続き、保険料の扱いを説明します。あわせて、20歳から始まる国民年金の学生納付特例についても解説します。読み終えたときに、自分が今どの保険に入っていて、何をすればよいかが分かる状態を目指します。

20歳で変わるのは国民年金。健康保険は年齢では切り替わらない

最初に、混同されやすい2つの制度を分けておきます。

項目 国民年金 健康保険(国民健康保険を含む)
何のための制度か 老後や障害、死亡に備える年金 病気やけがの医療費を支える保険
20歳との関係 20歳になると加入する 年齢では切り替わらない
学生の場合 自分が加入者になる 親の健康保険の扶養に入るか、世帯の国保に入る
主な手続き先 日本年金機構、市区町村の国民年金窓口 親の勤務先、市区町村の国民健康保険窓口

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人が加入する制度です。日本年金機構は、20歳になった人に対して、国民年金に加入したことを知らせる書類を送っています。

20歳になってから概ね2週間以内に「基礎年金番号通知書」、「 国民年金加入のお知らせ(PDF 710KB) 」、「 国民年金保険料納付書 」、「 国民年金の加入と保険料のご案内(パンフレット)(PDF 2,980KB) 」、保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、返信用封筒が送付されます。 出典: nenkin.go.jp

つまり、20歳の誕生日のあとに届く封筒は、国民年金のものです。令和元年10月以降に20歳になった人は、自分で加入の手続きをしなくても、日本年金機構が加入の手続きを済ませたうえで知らせてくれる仕組みになっています。

一方、健康保険は、生まれたときから何らかの形で入っています。会社員の親の扶養に入っている学生は、親の健康保険の被扶養者として保険証や資格確認書、マイナ保険証を使っています。親が自営業などで国民健康保険に入っている学生は、親と同じ世帯の国保に、すでに加入者として入っています。どちらの場合も、20歳になったことを理由に何かを届け出る必要はありません。

検索で「国民健康保険」と「20歳」が一緒に出てくるのは、国民年金と国民健康保険の名前が似ているためだと考えられます。名前が似ていても、運営している組織も手続きの窓口も違う別の制度です。

20歳の誕生日の封筒が届いたら、まず確かめること

20歳の誕生日のあとに日本年金機構から封筒が届いたら、慌てずに次の順番で確かめてください。

1つ目は、基礎年金番号通知書の保管です。基礎年金番号は、就職して厚生年金に入るときや、将来年金を受け取るときなど、一生をとおして使う番号です。日本年金機構も、大切に保管するよう案内しています。封筒ごと捨ててしまわないよう、すぐに取り出して保管場所を決めておきましょう。

2つ目は、国民年金の保険料をどうするかの決定です。同封の納付書で保険料を納めるか、学生納付特例を申請するかを決めます。親が払う場合も、学生納付特例を使う場合も、家族で早めに話し合っておくことが大切です。決まらないまま時間が過ぎると、未納の期間ができてしまいます。

3つ目は、自分の健康保険の確認です。手元の保険証や資格確認書、マイナポータルでの表示を見て、自分が親の健康保険の被扶養者なのか、世帯の国民健康保険の加入者なのかを確かめます。20歳になっても健康保険の手続きは原則として不要ですが、自分がどの制度に入っているかを知っておくと、アルバイトの収入が増えたときに判断しやすくなります。

4つ目は、住民票の住所の確認です。一人暮らしで住民票を移している場合、親が国保なら修学中の特例の届出が済んでいるか、親の扶養に入っているなら親の勤務先に住所の変更が伝わっているかを確かめてください。

20歳になってから約2週間たっても「国民年金加入のお知らせ」が届かない場合は、国民年金の加入手続きが必要になるため、住んでいる市区町村の役所か年金事務所で手続きをするよう、日本年金機構は案内しています。

学生の健康保険は、親が入っている制度で決まる

では、学生の健康保険は何で決まるのでしょうか。基本は、親(生計を支えている人)がどの健康保険に入っているかです。

親の働き方 親の健康保険 学生の入り方
会社員 健康保険(協会けんぽ、健康保険組合) 被扶養者として親の健康保険に入る
公務員 共済組合 被扶養者として親の共済組合に入る
自営業、フリーランス、無職 国民健康保険 親と同じ世帯の国保に、加入者として入る
75歳以上など 後期高齢者医療制度 学生は対象外のため、自分で国保に入る

会社員や公務員の健康保険には「被扶養者」という仕組みがあります。被扶養者とは、加入者に生計を支えられている家族で、保険料を払わずに同じ健康保険を使える人のことです。学生がこの扶養に入っていれば、学生本人の保険料はかかりません。

一方、国民健康保険には被扶養者という仕組みがありません。世帯の一人ひとりが加入者になり、保険料は世帯全体で計算されて、世帯主が納めます。親が国保に入っている学生は、20歳になる前から、世帯の国保の加入者として扱われてきたということです。

なお、親が75歳以上で後期高齢者医療制度に入っている場合など、親の健康保険の扶養に入れないときは、学生が自分で国民健康保険に入る必要があります。

親が会社員の場合:被扶養者でいられる収入の目安

会社員の親の扶養に入っている学生にとって、最も気をつけたいのがアルバイトの収入です。被扶養者でいられるかどうかは、年間の収入の見込みで判断されるからです。

日本年金機構の案内によると、被扶養者として認められるのは、原則として年間収入が130万円未満の人です。ただし、19歳以上23歳未満の人については、令和7年10月1日以降の認定から基準が変わりました。

扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合は、「年間収入150万円未満」に変わります。 出典: nenkin.go.jp

つまり、20歳の学生であれば、年間収入150万円未満が被扶養者でいられる目安になります(配偶者は除きます)。ここでいう年間収入は、過去の実績ではなく、これから1年間の見込みで判断されるのが原則です。月々のアルバイト代が大きく増えて、年間で150万円を超えそうな見込みになった時点で、扶養から外れる可能性があります。

ここで注意したいのは、この基準は健康保険の扶養の話で、税金の扶養(親の所得税の扶養控除など)とは別の数字だという点です。税金の扶養の基準は後の節で説明します。

また、健康保険組合によっては、収入の確認の方法や時期に独自の運用をしていることがあります。親の勤務先から「学生である子の収入を確認したい」と書類の提出を求められることもあるので、アルバイト代の記録は残しておきましょう。

アルバイト収入で扶養を外れたら、学生は自分で国保に入る

アルバイトの収入が増えて親の健康保険の扶養から外れた場合、学生はどの健康保険に入るのでしょうか。

会社員であれば、勤め先の健康保険に入ることを考えます。しかし、パートやアルバイトの人が勤め先の健康保険と厚生年金に入る条件には、「学生ではないこと」が含まれています。厚生労働省の社会保険適用拡大の特設サイトでも、加入の対象は学生ではない人とされています。ただし、夜間や定時制、通信制の課程に在学している人や、休学中の人などは加入の対象になります。

つまり、昼間の大学や専門学校に通う学生は、アルバイトでどれだけ働いても、短時間労働者として勤め先の健康保険に入ることは原則としてできません。そのため、親の扶養から外れた学生は、自分で国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険の加入の届出は、資格を得た日から14日以内に、世帯主が住んでいる市区町村に出すことになっています。親の扶養から外れた場合は、親の勤務先から扶養を外れた日が分かる書類(資格喪失の証明など)を受け取り、それを持って市区町村の国民健康保険の窓口で手続きします。

ここで気をつけたいのが、届出が遅れた場合の扱いです。国民健康保険は、届出をした日ではなく、親の扶養を外れた日にさかのぼって加入したことになります。届出が遅れると、さかのぼった分の保険料をまとめて請求されます。一方で、届出をしないまま病院にかかると、その医療費を一時的に全額負担しなければならない場合があります。扶養を外れたと分かったら、すぐに手続きをしてください。

扶養を外れるかどうかの境目にいる学生は、アルバイトのシフトを組む前に、年間でどのくらいの収入になるかを計算しておくことが大切です。150万円をわずかに超えたために扶養を外れ、国民健康保険の保険料が新たにかかると、手取りがかえって減ることもあります。

親が国保の場合:学生の保険料は世帯主にかかる

親が自営業などで国民健康保険に入っている場合、学生はすでに世帯の国保の加入者です。20歳になっても、この扱いは変わりません。

国民健康保険の保険料は、世帯ごとに計算され、世帯主に請求されます。国民健康保険法は、市町村が保険料を「被保険者の属する世帯の世帯主」から徴収すると定めています。学生本人に収入がなくても、世帯の加入者が1人増えることで、人数に応じてかかる部分(均等割)が保険料に加わっています。

学生がアルバイトで収入を得ている場合は、その所得に応じた部分(所得割)も加わることがあります。国民健康保険の保険料は前年の所得で計算されるため、学生のアルバイト収入が増えると、翌年度の世帯の保険料が上がる可能性があります。

一方、世帯の所得が少ない場合は、均等割や平等割を7割、5割、2割のいずれかで減らす軽減の制度があります。軽減の判定は世帯主と世帯の加入者の所得を合わせて行うため、学生のアルバイト所得も判定に含まれます。軽減を受けるには、所得の申告がされていることが前提です。学生本人の収入が少なくても、市区町村から住民税の申告を求められた場合は、きちんと申告しておきましょう。

なお、国民健康保険の保険料には、令和8年度から子ども・子育て支援金の分が加わっています。具体的な保険料の額や内訳は市区町村ごとに違うため、市区町村の保険料の案内で確かめてください。

一人暮らしで住民票を移した学生の「修学中の特例」

大学進学をきっかけに一人暮らしを始め、住民票を大学の近くに移した学生もいるでしょう。親が国民健康保険に入っている場合、住民票を移した学生の国保はどうなるのでしょうか。

国民健康保険は、住んでいる市区町村ごとに運営されているため、住民票を移すと、本来は移った先の市区町村で国保に入ることになります。しかし、学生には特別な扱いがあります。国民健康保険法は、修学中の被保険者についてこう定めています。

修学のため一の市町村の区域内に住所を有する被保険者であつて、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人と同一の世帯に属するものと認められるものは、この法律の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなし、かつ、当該世帯に属するものとみなす。 出典: laws.e-gov.go.jp

つまり、勉強のために親元を離れて住民票を移した学生は、国民健康保険の上では、引き続き親の住む市区町村の、親の世帯に属しているものとみなされるということです。これを「修学中の特例」と呼びます。この特例を使うと、学生は親の世帯の国保に入ったまま、一人暮らし先でも同じ国保を使えます。

この特例を受けるには、親の住む市区町村の国民健康保険の窓口に届出をする必要があります。在学証明書や学生証の写しなどを求められることが一般的です。必要な書類や、毎年の更新の有無は市区町村によって違うので、親の住む市区町村の窓口で確かめてください。卒業や退学で学生でなくなったときも、届出が必要です。

会社員の親の健康保険の扶養に入っている学生は、住民票を移しても、扶養の条件を満たしていれば扶養のまま使えます。ただし、別に住んでいる場合は、親からの仕送りの額など、生計を支えられていることを確認される場合があります。

親が退職や転職をしたときに、学生の保険も変わる

学生の健康保険は親の加入している制度で決まるため、親の働き方が変わると、学生の保険も一緒に変わります。20歳前後の学生がいる家庭では、親の退職や転職、独立が重なることも多いので、どう変わるのかを知っておきましょう。

親が会社を辞めて国民健康保険に入った場合、それまで親の健康保険の扶養に入っていた学生も、親と一緒に国民健康保険に入ります。国保には扶養の仕組みがないため、学生も世帯の加入者の1人になり、世帯の保険料に学生の均等割の分が加わります。親が退職後に健康保険の任意継続を選んだ場合は、条件を満たせば学生も引き続き被扶養者として入れます。

親が転職して別の会社の健康保険に入った場合は、新しい勤め先の健康保険で、改めて学生の扶養の認定を受ける必要があります。このとき、学生のアルバイト収入の見込みや、在学していることを示す書類を求められることがあります。

親が会社を辞めてフリーランスとして独立した場合も、基本的には国民健康保険に切り替わります。親の仕事の内容によっては、業種ごとの国民健康保険組合に入る場合もあり、その場合は組合の決まりに従って学生も加入します。

親の働き方が変わったときは、学生本人も手続きの当事者になります。親任せにせず、自分の保険証や資格確認書がいつまで使えるのか、新しいものがいつ届くのかを確かめておきましょう。

自分で国保に入るときの手続きと、保険料の決まり方

ここまでの説明で、自分で国民健康保険に入る必要があると分かった学生のために、手続きの流れを整理します。

手続きの窓口は、住民票のある市区町村の国民健康保険の担当窓口です。マイナンバーカードを使った電子申請や、郵送での手続きを受け付けている市区町村もあります。

一般に必要になるのは、次のような書類です。

・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
・マイナンバーが分かるもの
・親の健康保険の扶養を外れた日が分かる書類(資格喪失証明書など)
・学生証や在学証明書(修学中の特例を受ける場合)

保険料は、市区町村ごとに決められた計算方法で、前年の所得をもとに計算されます。大まかには、所得に応じてかかる部分(所得割)と、加入者1人あたりにかかる部分(均等割)、市区町村によっては世帯ごとにかかる部分(平等割)を合わせた額です。

学生が一人の世帯として国保に入る場合、前年のアルバイト所得が少なければ、7割・5割・2割の軽減が適用されて、均等割や平等割が大きく下がることがあります。ただし、軽減を受けるには前年の所得が申告されている必要があります。前年に給与以外の収入があった人や、年末調整を受けていない人は、住民税の申告を済ませておきましょう。

保険料の納め方は、納付書での支払いのほか、口座振替を選べる市区町村が多くあります。払い忘れを防ぐためにも、口座振替を設定しておくと安心です。

20歳から始まる国民年金と、保険料の額

ここからは、20歳になって始まる国民年金の話です。

国民年金の保険料は、令和8年度で1か月あたり17,920円です。1年間で21万円を超える金額になります。20歳の誕生日の前日が含まれる月の分から、保険料を納める必要があります。

学生だからといって、国民年金の加入が免除されるわけではありません。日本年金機構は、学生にも保険料の納付が義務づけられていると明記したうえで、在学中の保険料の納付を猶予する「学生納付特例制度」を設けています。

ここで知っておきたいのは、学生は、一般の人向けの免除や納付猶予の制度を使えないという点です。日本年金機構の案内でも、学生は免除・納付猶予制度ではなく学生納付特例制度を使うよう示されています。

保険料を親が払うか、学生本人が払うか、学生納付特例を使って払うのを先送りにするか。この3つの選択肢の中から、家庭の事情に合わせて選ぶことになります。どれを選ぶ場合でも、何もせずに未納のままにすることだけは避けてください。未納のまま大きな病気やけがをすると、障害基礎年金が受け取れない可能性があるからです。

学生納付特例の条件と申請のしかた

学生納付特例は、学生本人の前年所得が一定額以下であれば、申請によって在学中の保険料の納付が猶予される制度です。家族の所得は問われません。

所得の基準は「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」です。扶養している家族がいない学生なら、前年所得128万円以下が目安になります。対象になる学生は、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校などに在学する人で、夜間・定時制課程や通信課程の人も含まれます。

申請先は次のいずれかです。

・住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口
・近くの年金事務所
・在学している学校(学生納付特例の代行事務の許可を受けている学校に限る)
・マイナポータルを使った電子申請

申請には、学生証の写しか在学証明書の原本と、基礎年金番号通知書かマイナンバーカードなどが必要です。

学生納付特例は、原則として4月から翌年3月までを1年度として審査されるため、在学中は毎年度の申請が必要です。日本年金機構の案内では、保険料の納付期限から2年を経過していない期間なら、さかのぼって申請することもできるとされています。

ただし、申請が遅れると、申請日より前に起きた事故や病気による障害について、障害基礎年金を受け取れない場合があると注意されています。20歳の誕生日の封筒が届いたら、早めに申請を済ませることが大切です。

学生納付特例のあとにやることと、親が払う場合の税金

学生納付特例の承認を受けた期間は、年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)には数えられますが、将来の年金額には反映されません。年金額に反映させるには、あとから保険料を納める「追納」が必要です。

追納は、承認を受けた期間から10年以内であればできます。日本年金機構の案内では、学生納付特例の期間を1年分追納すると、老後の年金が年間で約2万円増えるとされています。ただし、承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。就職して収入が安定したら、早めに追納を検討するとよいでしょう。

親が学生の国民年金保険料を払う場合は、税金の面での扱いも知っておきたいところです。国税庁は、自分と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合、その支払った金額について所得控除(社会保険料控除)を受けられると説明しています。生計を一にしている子の国民年金保険料を親が払った場合も、この控除の対象になります。親の所得税と住民税が軽くなるため、家計全体で考えると、親が払う選択にも意味があります。

学生本人が就職後に追納した場合は、追納した保険料が本人の社会保険料控除の対象になります。

税金の扶養と、勤労学生控除の目安

最後に、健康保険の扶養と混同されやすい、税金の扶養についても触れておきます。

親が学生を税金の扶養に入れている場合、親は所得税や住民税で扶養控除を受けられます。国税庁によると、扶養親族になれる合計所得金額の基準は、令和8年度税制改正により令和8年分から62万円以下になります(改正の施行は令和8年12月1日)。給与収入だけの学生なら、年間の給与が136万円以下の目安です。19歳以上23歳未満の子で給与が136万円を超えても、一定の範囲までは親が特定親族特別控除を受けられる仕組みもあります。

学生本人の税金については、勤労学生控除という制度があります。勤労学生控除とは、働きながら学ぶ学生の所得税を軽くする控除のことです。国税庁によると、令和8年分からは合計所得金額が89万円以下などの要件を満たせば受けられます。給与収入だけの学生なら、年間の給与が163万円以下の目安です。

健康保険の扶養(年間収入150万円未満)、税金の扶養(給与136万円以下)、勤労学生控除(給与163万円以下)は、それぞれ別の基準です。アルバイトの収入を決めるときは、どの基準を意識しているのかを家族と話し合っておきましょう。税金の扱いは個別の事情で変わるため、迷うときは税務署や親の勤務先に確かめてください。

卒業や就職をしたときの切り替え

学生の間の健康保険と年金の扱いは、卒業や就職をきっかけに大きく変わります。今のうちに流れを知っておくと、そのときに慌てずに済みます。

会社に正社員として就職した場合は、勤め先の健康保険と厚生年金に加入します。親の健康保険の扶養からは外れ、親が国保の場合は世帯の国保から抜ける届出が必要です。国保から抜ける届出をしないと、保険料の請求が続いてしまうことがあるので、勤め先の健康保険の資格を得たら、早めに市区町村の窓口で届け出てください。国民年金は、厚生年金に入ることで自動的に第2号被保険者に切り替わります。

卒業後すぐに就職しない場合や、アルバイトを続ける場合は、健康保険と年金の扱いを改めて考える必要があります。健康保険は、収入が少なければ親の扶養に入ったままでいられることもありますが、学生でなくなると、アルバイト先で週20時間以上働くなどの条件を満たせば、勤め先の健康保険と厚生年金に入る対象になります。学生であることを理由に対象外だった条件が、卒業によって当てはまるようになるということです。

国民年金は、学生でなくなると学生納付特例は使えなくなります。保険料を納めるのが難しい場合は、一般の人向けの免除や納付猶予の制度を申請することになります。納付猶予は50歳未満の人が使える制度で、本人と配偶者の所得で審査されます。

在学中に学生納付特例を受けていた人は、追納できる期間が10年以内であることも覚えておきましょう。就職して収入が安定してきたら、追納を始めるかどうかを検討する時期です。

相談の現場で多い3つの思い込み

学生の保険と年金の相談では、制度そのものよりも、次のような思い込みが手続きを遅らせている場面をよく見かけます。

1つ目は「20歳になったら国民健康保険に入らなければならない」という思い込みです。この記事で説明してきたとおり、20歳で加入するのは国民年金で、健康保険は年齢では切り替わりません。この思い込みのまま市区町村の窓口に行き、窓口で説明を受けて初めて違いを知る人も少なくありません。

2つ目は「学生だから国民年金は払わなくてよい」という思い込みです。学生にも国民年金の保険料を納める義務があり、払わないなら学生納付特例の申請が必要です。申請をせずに放置すると未納の扱いになり、その期間に事故や病気で障害が残っても、障害基礎年金が受け取れない場合があります。

3つ目は「扶養の基準は1つだけ」という思い込みです。健康保険の扶養、親の税金の扶養、学生本人の勤労学生控除は、それぞれ基準が違います。「103万円を超えなければ大丈夫」といった古い情報のまま働き方を決めていると、知らないうちにどれかの基準を超えてしまうことがあります。令和8年分からは税金の基準も変わっているので、最新の数字で確かめてください。

どの思い込みも、早めに確かめれば防げるものです。分からないことがあれば、健康保険のことは親の勤務先か市区町村の国保窓口へ、年金のことは年金事務所か市区町村の国民年金窓口へ、税金のことは税務署へ問い合わせてください。

学生のうちから知っておきたい視点と、運営者から見た傾向

最後に、在宅ワークや副業の市場を長く見てきた運営者の立場から、学生のうちに働き始める人に見られる傾向を整理します。

運営者として見てきた限りでは、学生のうちに在宅の仕事を始める人が増えています。文章を書く仕事や、プログラムを作る仕事は、時間や場所を選ばずにできるため、授業の合間に取り組みやすい働き方です。ただし、在宅の仕事は業務委託の形が多く、アルバイトの給与とは税金や扶養の扱いが違うことがあります。収入の種類によって、ここまで説明してきた基準の当てはめ方が変わるので、始める前に整理しておくことが大切です。

文章の仕事に関心がある学生は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、文章の仕事の年収と単価の傾向を確かめておくと、将来の働き方を考える材料になります。プログラミングを学んでいる学生は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や、アプリケーション開発のお仕事で、どんな仕事があるのかを知っておくとよいでしょう。

もう1つ、長く見てきて感じるのは、仲介の手数料が重い働き方ほど、受け手の手取りが薄くなるということです。同じ金額の仕事でも、間に入る手数料が少ない直接取引なら、手元に残るお金が厚くなります。手数料0%の直接取引は、学生のうちから知っておいて損のない働き方の1つです。

20歳は、国民年金という新しい制度に加わる節目です。健康保険は年齢では変わらないことを押さえたうえで、国民年金の学生納付特例の申請と、アルバイト収入と扶養の関係を確かめておけば、慌てることはありません。法律と制度は、学びながら働く人の味方です。

よくある質問

Q. 20歳になったら、学生も国民健康保険に入る手続きが必要ですか?

必要ありません。20歳になって加入の手続きが始まるのは国民年金で、健康保険は年齢では切り替わりません。会社員の親の扶養に入っている学生は親の健康保険を、親が国民健康保険に入っている学生は世帯の国保を、20歳以降もそのまま使います。自分で国保に入る必要があるのは、収入が増えて親の扶養を外れたときなどです。

Q. 学生がアルバイトで扶養を外れるのは、年収いくらからですか?

健康保険の被扶養者は原則として年間収入130万円未満ですが、19歳以上23歳未満の人は令和7年10月1日以降の認定から150万円未満に変わりました。20歳の学生なら150万円未満が目安です。年間収入はこれから1年間の見込みで判断されるのが原則で、税金の扶養の基準とは別の数字なので注意してください。

Q. 一人暮らしで住民票を移した学生は、国民健康保険をどうすればよいですか?

親が国民健康保険に入っている場合は、修学中の特例を使えます。国民健康保険法により、勉強のために住所を移した学生は、親の住む市区町村の親の世帯に属しているものとみなされます。親の住む市区町村の国保窓口に、在学証明書などを添えて届け出てください。必要な書類や更新の有無は市区町村によって違います。

Q. 学生の国民年金保険料を親が払うと、税金はどうなりますか?

国税庁は、生計を一にする親族が負担すべき社会保険料を支払った場合、その金額について社会保険料控除を受けられると説明しています。生計を一にしている子の国民年金保険料を親が払った場合も対象になり、親の所得税と住民税が軽くなります。学生納付特例を使って本人が就職後に追納した場合は、本人の社会保険料控除の対象です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月29日最終更新:2026年10月5日
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