20歳の学生の国民年金、学生納付特例の申請先と手続き 2026


この記事のポイント
- ✓20歳の学生の国民年金は
- ✓学生納付特例を申請すれば在学中の保険料の納付を先送りできます
- ✓追納と親が払う場合の控除まで
20歳の学生のもとに国民年金の書類が届いたとき、最初に決めることは1つだけです。「今払うか、学生納付特例を申請して払うのを先に延ばすか」。どちらを選んでも構いませんが、何もしないで放っておく選択だけは避けてください。未納のままにすると、在学中に事故や病気で障害が残ったときに障害基礎年金を受け取れない可能性が出てきます。この記事では、20歳の学生と国民年金の関係を、令和8年度の保険料額、学生納付特例の申請先と書類、所得の基準、あとから払う追納、親が払う場合の税金の扱いまで、日本年金機構と国税庁の公表情報に沿って順番に整理します。
20歳の学生が国民年金で最初に知っておくこと
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、学生であっても国民年金に加入します。会社員のように厚生年金に入っている人を除くと、20歳の学生の多くは「第1号被保険者」と呼ばれる区分になります。第1号被保険者とは、自分で保険料を納める立場の加入者のことです。
加入の手続きは、令和元年10月以降、本人が窓口へ行かなくても済む形に変わっています。日本年金機構が20歳になった人を把握し、加入したことを知らせる書類を送ってきます。届く時期と中身は、日本年金機構の案内に次のように書かれています。
20歳になってから概ね2週間以内に「基礎年金番号通知書」、「国民年金加入のお知らせ」、「国民年金保険料納付書」、「国民年金の加入と保険料のご案内(パンフレット)」、保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、返信用封筒が送付されます。 出典: 日本年金機構「20歳到達時の国民年金の手続き」
封筒の中には、すぐ払うための納付書と、学生納付特例を申請するための申請書が一緒に入っています。つまり、受け取った時点で「払う」「申請する」のどちらにも進めるように揃っているわけです。
届いた書類のうち、いちばん大事に保管すべきなのは基礎年金番号通知書です。基礎年金番号とは、一生変わらない年金の番号のことで、就職して厚生年金に切り替わるとき、将来年金を受け取るときの手続きで使います。学生のうちは出番が少ないため、引っ越しのたびに紛失しやすい書類でもあります。
20歳になって2週間ほど経っても書類が届かない場合は、自分で加入の手続きが必要です。日本年金機構の案内では、住んでいる市区町村の役所、または近くの年金事務所で手続きするよう書かれています。住民票を実家に残したまま一人暮らしをしている学生は、書類が実家に届いていることがよくあるので、まず家族に確認すると早く片づきます。
なお、20歳の時点で厚生年金に加入している配偶者の扶養に入っている人は、第3号被保険者という別の区分になり、自分で保険料を払う必要はありません。この場合は配偶者の勤務先を通じて手続きします。学生でこの区分に当たる人は多くありませんが、念のため知っておくと書類の読み違いを防げます。
令和8年度の国民年金保険料と、払い始める月
国民年金の保険料は全国一律で、所得による違いはありません。令和8年度は1か月あたり17,920円です。1年間払い続けると215,040円になり、学生のアルバイト収入から見ると決して小さな額ではありません。翌年度の令和9年度は1か月あたり18,290円と公表されており、少しずつ上がっていきます。
払い始めるのは「20歳の誕生日の前日が含まれる月」の分からです。たとえば10月1日生まれの人は誕生日の前日が9月30日なので、9月分から保険料がかかります。誕生日が月の初日の人は1か月早く始まる、という点は意外と知られていません。
納付期限は、対象の月の翌月末日です。10月分なら11月末日が期限になります。払う方法は次の5つがあり、どれも手数料はかかりません。
| 払い方 | 特徴 |
|---|---|
| 納付書 | 金融機関やコンビニで支払う。届いた納付書をそのまま使える |
| 口座振替 | 毎月自動で引き落とされる。割引がいちばん大きい |
| クレジットカード | カードで定期的に払う。申込みは郵送か年金事務所 |
| スマートフォンアプリ | 納付書のバーコードを決済アプリで読み取る |
| 納付書によらない納付 | ねんきんネットに表示される番号でペイジー納付する |
市区町村の役所の窓口では保険料を払えない点に注意してください。役所は申請や届出の窓口であって、お金を受け取る窓口ではありません。
まとめて前払いする「前納」を使うと割引があります。令和8年度の割引額は、1年分を口座振替で前納すると4,510円、納付書やクレジットカードで1年分を前納すると3,820円です。2年分を口座振替で前納すると17,370円の割引になります。毎月の口座振替でも、当月末に引き落とす「早割」にすると1か月あたり60円の割引があります。
ただし、前納は申し出た月から始まる仕組みです。20歳になった月から前納や付加保険料を使いたい場合は、早めに年金事務所に申し出る必要があると日本年金機構は案内しています。払うと決めた家庭は、書類が届いたらすぐに口座振替の申込みまで済ませると、割引を取りこぼしません。前納の金額表は日本年金機構の前納のページで年度ごとに更新されます。
学生納付特例とは何か、免除とどう違うのか
学生納付特例とは、学生が申請すると、在学中の国民年金保険料の納付を先に延ばしてもらえる制度のことです。「免除」と名前が似ていますが、中身は違います。
一般の免除は、所得が少ない人の保険料を全額または一部、払わなくてよいことにする制度です。全額免除の期間は、払っていなくても将来の老齢基礎年金に一定の割合が反映されます。一方の学生納付特例は「払うのを待ってもらう」制度で、承認された期間は老齢基礎年金の額にはまったく反映されません。あとで払った(追納した)ときに初めて、年金額に反映されます。
そして学生は、一般の免除や納付猶予を使えません。日本年金機構の案内には「学生の方は免除・納付猶予制度をご利用いただけません。学生納付特例制度をご利用ください」と明記されています。学生の選択肢は「払う」か「学生納付特例を申請する」かの2つだと覚えておけば十分です。
それでも学生納付特例を申請する意味が大きいのは、障害基礎年金と遺族基礎年金の受給要件の上では、承認された期間が保険料を払った期間と同じ扱いになるからです。障害基礎年金とは、病気やけがで一定の障害が残ったときに国民年金から支給される年金のことです。日本年金機構の制度説明には次のように書かれています。
学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になりますので、万が一のときにも安心です。 出典: 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
老後の年金のためというより、在学中の万一に備えるために申請する、という順番で考えると判断しやすくなります。
老齢基礎年金の受給資格には数えられる
学生納付特例の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な「10年以上」という受給資格期間には数えられます。受給資格期間とは、年金を受け取る権利を得るために必要な加入期間の長さのことです。ただし年金の額を計算するときには数えられないため、追納しないままだと将来の年金額は少なくなります。満額の老齢基礎年金を受け取るには、40年間の保険料納付済期間が必要です。
学生納付特例の対象になる学生と所得の基準
対象になるのは、大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校などに在学している学生です。夜間部や定時制、通信制の学生も含まれます。各種学校は修業年限が1年以上の課程に限られ、私立の各種学校は都道府県知事の認可を受けた学校に限られます。自分の学校が対象かどうかは、日本年金機構の「学生納付特例対象校一覧」で確認できます。
所得の基準は、学生本人の前年の所得だけで判断されます。親や家族の所得は問われません。ここが一般の免除との大きな違いで、親の収入が多い家庭の学生でも、本人の所得が基準以下であれば承認されます。
基準は次の計算式で決まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本の額 | 128万円 |
| 扶養親族がいる場合 | 扶養親族等の数×38万円を加える |
| 控除がある場合 | 社会保険料控除等の額を加える |
扶養している家族がいない学生なら、前年の所得が128万円以下であれば基準を満たします。ここでいう「所得」は収入そのものではなく、収入から必要経費や給与所得控除を差し引いた後の金額です。
審査に使う「前年」が何年のことかは、申請する年度で決まっています。令和8年度分(令和8年4月から令和9年3月まで)の申請では、令和7年中の所得が審査されます。アルバイトの給与だけで、ほかに控除がない学生の場合、令和7年分の給与所得控除の最低額は65万円なので、令和7年中のアルバイト収入がおおむね193万円以下であれば所得128万円以下に収まる計算になります。ただし実際の判定は社会保険料控除などの有無で変わるため、目安として使い、境目にいる人は市区町村の国民年金担当窓口で確認してください。
授業と両立しながらこの水準を超えて稼ぐ学生は多くありませんが、在学中から受託開発やライティングの仕事を請け負っている学生は別です。たとえばソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、開発の仕事は経験が浅くても時間単価が高めに出やすい職種で、業務委託で継続案件を持つと所得が基準に近づくことがあります。業務委託の収入は給与ではなく事業所得や雑所得として扱われ、計算の仕方が違う点にも注意が必要です。
前年の所得の申告をしていない場合
学生納付特例の審査では、マイナンバーを使った情報連携で市区町村の所得情報が確認されます。そのため、前年に所得があったのに確定申告も年末調整もしていないと、所得が確認できずに審査が進みません。この場合は、市区町村の税務担当窓口で住民税の申告をしてから学生納付特例を申請するよう、日本年金機構が案内しています。アルバイト先で年末調整を受けていない学生や、業務委託の収入がある学生は、この点で手続きが止まりやすいので先に確認しておくと安心です。
学生納付特例の申請先は3つ、どこで出しても同じ
申請できる窓口は次の3か所です。どこに出しても審査の内容は同じなので、行きやすいところを選んで構いません。
| 申請先 | 補足 |
|---|---|
| 住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口 | 郵送でも提出できる |
| 近くの年金事務所 | 街角の年金相談センターとは別の窓口 |
| 在学中の学校 | 学校が代行事務の許認可を受けている場合のみ |
3つ目の「在学中の学校」は、学生納付特例事務法人として指定を受けた学校に限られます。学生納付特例対象校一覧の「学生納付特例事務法人の指定状況」欄に「〇」が付いている学校なら、学生課などの窓口で申請書を受け付けてもらえます。大学の新年度ガイダンスで申請書を配る学校もあるので、学内の案内を見落とさないようにしてください。
一人暮らしで住民票を移していない学生は、市区町村の窓口へ行くとなると実家のある自治体になります。この場合は郵送か、近くの年金事務所か、学校の窓口を使うのが現実的です。申請書は郵送で提出することもでき、必要な添付書類と一緒に送ります。
電子申請とねんきんネットの使い分け
マイナポータルを使った電子申請にも対応しています。日本年金機構は、手続きの簡素化と迅速化が見込める電子申請の利用を勧めています。窓口に行く時間が取りにくい学生には、いちばん負担の少ない方法です。
紛らわしいのが「ねんきんネット」の届書作成機能です。ねんきんネットの画面で申請書を作ることはできますが、これは電子申請ではありません。作った書類を印刷し、必要事項を書き込んだうえで、市区町村の窓口に持参するか郵送する必要があります。「ねんきんネットで手続きしたつもりが、実は提出していなかった」という取りこぼしが起きやすいので、使い分けを意識してください。
申請に必要な書類と、申請書の書き方で迷う点
必ず必要になるのは2種類の書類です。
ひとつは、学生であることを証明する書類です。在学期間がわかる在学証明書(原本)か、学生証の写しを添付します。学生証の裏面に有効期限、学年、入学年月日が書かれている場合は、裏面の写しも必要です。学生証にクレジットカード番号が載っている場合は、番号を黒く塗りつぶして構わないと案内されています。なお、市区町村の窓口で学生証を直接見せる場合は、写しの添付はいりません。
もうひとつは、本人を確かめるための書類です。基礎年金番号で手続きする場合は基礎年金番号通知書、マイナンバーで手続きする場合はマイナンバーカードを用意します。マイナンバーカードがない場合は、通知カードや個人番号が記載された住民票の写しと、運転免許証やパスポートなどの身元確認書類を組み合わせます。
場合によって必要になる書類もあります。退職や失業を理由に申請するときは、雇用保険受給資格者証や離職票などの写しが必要です。社会人を経て大学に入り直した人が対象になりやすいケースです。
申請書の様式は、日本年金機構の様式ダウンロードのページで「ケース12:国民年金保険料の納付猶予を受けるとき(学生の方)」から入手できます。提出するのは「提出用」と「学生証(写)・在学証明書(原本)の添付欄」の部分だけです。記入内容に不安がある場合は、日本年金機構が用意している「セルフチェックシート」で確認してから出すと、差し戻しを防げます。
海外にいた期間がある人の記入
申請期間中に海外へ転出したり、海外から転入したりした人は、申請書の備考欄に国名と転出入日を書きます。申請する年度の1月1日時点で海外に住んでいた人も同様です。留学から戻った学生が書き忘れやすい項目なので、該当する人は覚えておいてください。
申請のタイミングと、毎年の申請が必要な理由
学生納付特例は、申請した日にかかわらず、原則として4月から翌年3月までの1年度分を対象に審査されます。申請日が1月から3月の場合は、前年4月から3月までが対象です。1回承認されれば卒業まで続くわけではなく、毎年度の申請が必要です。複数年度分を申請したい場合は、年度ごとに申請書を出します。
過去の分も、ある程度までさかのぼって申請できます。日本年金機構の説明では、保険料の納付期限から2年を経過していない期間、つまり申請時点から2年1か月前までの期間が対象になります。
保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)について、さかのぼって免除等を申請することができます。(学生納付特例も同様です) 出典: 日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」
ここで誤解しやすいのが「あとから申請すれば全部帳消しになる」という考え方です。さかのぼって承認された場合でも、申請日より前に起きた事故や病気による障害については、障害基礎年金を受け取れない場合があると日本年金機構は注意を促しています。保険料の扱いはさかのぼれても、万一のときの保障はさかのぼって整わないことがある、ということです。20歳になって書類が届いたら、その月のうちに申請を済ませるのがいちばん安全です。
承認を受けた期間の途中で退学などにより学生でなくなった場合は、届出が必要です。卒業して就職し厚生年金に加入した場合は、勤務先の手続きで加入区分が切り替わります。卒業後すぐに就職しない場合は、学生ではなくなるため、一般の免除や納付猶予を検討する段階に移ります。
申請書と納付書が同時に届いて混乱するとき
国民年金の加入と同時に学生納付特例を申請した場合でも、行き違いで納付書が送られてくることがあると日本年金機構は案内しています。申請を出した後に納付書が届いても、すぐに払う必要があるとは限りません。承認の通知が来るまで手元に保管し、不明な点は年金事務所に問い合わせてください。
払うか申請するか、どう判断するか
結論からいえば、経済的に余裕がある家庭は、在学中から払ったほうが年金の面では有利です。日本年金機構も、追納は保険料が高くなることはあっても安くなることはないため、余裕がある場合は口座振替の早割や前納の利用を勧めています。
判断の材料を整理すると次のようになります。
| 選び方 | 在学中の負担 | 将来の年金額 | 障害基礎年金の要件 |
|---|---|---|---|
| 在学中から払う | 1か月あたり17,920円(令和8年度) | 払った期間が反映される | 満たす |
| 学生納付特例を申請する | なし | 追納しないと反映されない | 満たす |
| 何もしない(未納) | なし | 反映されない | 満たさない場合がある |
表の3行目だけは、どの家庭にも勧められません。「払うお金がないから何もしない」は、学生納付特例を申請すれば避けられる最悪の選択です。
払うか申請するかで迷うときは、在学中の生活費と、卒業後に追納できる見通しで考えます。学生納付特例を使い、就職して収入が安定してから追納する、という流れは珍しくありません。反対に、親が払える家庭なら、親が払って税金の控除を受けたほうが家計全体では得になることがあります。この点は次の節で説明します。
付加保険料は学生納付特例の間は払えない
月額400円を上乗せして払うと将来の年金額に反映される「付加保険料」という仕組みがあります。ただし、学生納付特例の承認を受けている間は付加保険料を払えません。付加保険料を使いたい場合は、学生納付特例を申請せずに定額の保険料を払う必要があります。
親が払う場合の社会保険料控除と、あとから払う追納
親が子どもの国民年金保険料を払った場合、払った親の所得税と住民税の計算で社会保険料控除を受けられます。社会保険料控除とは、払った社会保険料の金額を所得から差し引き、税金を軽くする仕組みのことです。国税庁の説明では、納税者が自分と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合に、その金額について控除を受けられるとされています。詳しくは国税庁のタックスアンサー No.1130 社会保険料控除で確認できます。
控除を受けるには、日本年金機構から送られてくる社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を、年末調整か確定申告で提出します。払った額のすべてが所得から差し引かれるので、税率が高い親が払うほど税金が軽くなる額は大きくなります。ただし「生計を一にする」の判断や控除額の具体的な計算は家庭ごとの事情で変わるため、勤務先の年末調整の担当や税務署で確認してください。
学生納付特例を使った期間の保険料は、承認された期間から10年以内であれば、あとから払う追納ができます。追納すると、その期間は保険料を払った期間と同じ扱いになり、老齢基礎年金の額に反映されます。日本年金機構によれば、学生納付特例の期間を1年分追納すると、老後の年金が年間で約2万円増えます。
追納の注意点は、承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に払うと、当時の保険料に加算額が上乗せされることです。令和8年度中に追納する場合の額を見ると、令和3年度の月分は1か月あたり17,110円で、当時の保険料より高くなっています。早く追納するほど加算は少なく済みます。
追納の申込みは「国民年金保険料 追納申込書」を年金事務所に出して行います。街角の年金相談センターでは手続きできません。申込み後に日本年金機構から納付書が届き、それで払います。口座振替やクレジットカードでは追納できないので注意してください。追納した保険料も社会保険料控除の対象になるので、就職後に自分で追納すれば、自分の税金を軽くする効果もあります。
障害基礎年金の要件から見た、未納の重さ
学生納付特例の申請を勧める最大の理由が障害基礎年金です。20歳を過ぎた学生の場合、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)の前日の時点で、保険料の納付要件を満たしている必要があります。
納付要件は2つのうちどちらかを満たせば足ります。ひとつは、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料を払った期間と免除された期間を合わせて3分の2以上あること。もうひとつは、初診日が令和18年3月末日までで65歳未満の場合に、初診日がある月の前々月までの直近1年間に未納がないことです。学生納付特例の承認を受けた期間は、どちらの要件でも払った期間と同じに数えられます。
20歳になった直後の学生は加入期間が短いため、数か月の未納があるだけで要件を満たせなくなることがあります。たとえば20歳の誕生月から半年間未納のまま、その間に交通事故で初めて受診した場合、直近1年間に未納があるうえ、3分の2の要件も満たせません。
令和8年4月分からの障害基礎年金の額は、2級で年額847,300円、1級で年額1,059,125円です(昭和31年4月2日以後生まれの場合)。生計を維持している子がいれば加算もあります。この額を生涯にわたって受け取れるかどうかが、学生納付特例の申請書1枚で分かれることになります。受給要件の全文は日本年金機構の障害基礎年金のページで確認できます。
なお、20歳前に初診日がある病気やけがの場合は、年金制度に加入していない期間なので納付要件は問われません。20歳を過ぎてから初診日がある場合に、納付要件が効いてくるという順番です。
卒業や就職のときに切り替わる手続きの流れ
学生納付特例は在学中だけの制度なので、卒業の前後で扱いが変わります。流れを先に知っておくと、3月から4月にかけての手続きで迷いません。
会社に就職して厚生年金に加入する場合は、勤務先が加入の手続きをします。厚生年金に加入すると国民年金の第2号被保険者という区分に切り替わり、保険料は給与から天引きされます。本人が国民年金の窓口で何かをする必要は基本的にありませんが、入社の手続きで基礎年金番号通知書やマイナンバーを求められるので、すぐに出せるようにしておいてください。
卒業後すぐに就職しない場合や、フリーランスとして働き始める場合は、引き続き第1号被保険者として自分で保険料を払います。学生ではなくなるので学生納付特例は使えず、払うのが難しいときは一般の免除や納付猶予を申請する段階に移ります。一般の免除では本人に加えて配偶者と世帯主の所得も審査され、納付猶予では本人と配偶者の所得が審査されます。親と同居して親が世帯主になっている場合は、親の所得も免除の審査に入る点が、本人の所得だけで判断される学生納付特例との大きな違いです。
もうひとつ忘れやすいのが、承認期間の途中で退学した場合の届出です。学生でなくなった時点で、学生納付特例の前提が崩れるため、届出が必要になります。休学の扱いは学校の在籍状況によって変わるので、休学を考えている学生は市区町村の国民年金担当窓口に早めに相談してください。
就職して収入が安定したら、学生時代の追納を検討するのが次の段階です。追納できるのは承認された期間から10年以内で、古い期間から順に払うのが原則とされています。入社して数年のうちに追納の計画を立てておくと、加算額を抑えながら将来の年金額を整えられます。
在学中に収入を得る学生が気をつけたいこと
在学中にアルバイトや業務委託で収入を得ている学生は、国民年金のほかにも、税金や親の扶養との関係を同時に考える必要があります。学生納付特例の所得基準は本人の所得だけで判断されますが、親の税金の扶養控除や、健康保険の被扶養者の基準は別の数字で動いています。
たとえば、親の健康保険の被扶養者でいられる年収の基準は、19歳以上23歳未満の人(配偶者を除く)の場合、令和7年10月1日以降の認定から年間収入150万円未満とされています。所得税の扶養控除の基準とも数字が違うので、収入が伸びてきた学生は、国民年金、税金、健康保険の3つを別々に確認する習慣をつけておくと、あとで慌てずに済みます。
アルバイト先で社会保険に加入するかどうかも気になる点ですが、短時間で働く人が厚生年金に入る要件には「学生でないこと」が含まれています。昼間部の学生は原則として対象外なので、アルバイトをしていても国民年金の第1号被保険者のままというのが一般的です。夜間部や通信制の学生は扱いが異なる場合があるので、勤務先に確認してください。
在学中に請け負いの仕事を始める学生は、仕事の選び方そのものも将来の年金や税金の手続きと結びついてきます。たとえば文章の仕事であれば、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で相場を見ると、学生のうちに受けられる単価の幅がつかめます。業務委託の収入は源泉徴収や年末調整の仕組みに乗らないことが多いため、収入の記録を自分で残し、翌年の申告に備えることが学生納付特例の審査を止めないことにもつながります。
運営者として見てきた、20歳の手続きでつまずく人の共通点
在宅ワークや業務委託の市場を長く運営してきた立場から見ると、年金の手続きでつまずく人には共通点があります。手続きが難しいからではなく、「書類が届いた時点で判断を後回しにした」ことが原因になっている点です。学生時代に申請を忘れて未納のまま卒業し、フリーランスとして独立してから自分の年金記録を見て驚く、という相談は珍しくありません。
フリーランスや副業で働く人は、会社員と違って国民年金を自分で払い続ける立場になることが多く、払うか免除を申請するかの判断を毎年自分でする必要があります。20歳で学生納付特例を自分で申請した経験がある人は、その後の手続きにも抵抗が少ない傾向があります。20歳の手続きは、自分で社会保険を管理する最初の練習だと考えると、意味が見えてきます。
また、業務委託で働く人の手取りは、報酬額そのものより、手数料や中間マージンがどれだけ引かれるかで大きく変わります。手数料0%で直接取引できる環境では、受け取った報酬がそのまま手元に残るため、国民年金や国民健康保険を払う余力を確保しやすくなります。在学中から小さな仕事を受ける学生ほど、報酬の額だけでなく、手元に残る額と社会保険の支払いを一緒に見ておくと、卒業後の働き方を選ぶときに判断がぶれません。
将来の働き方を考えるうえでは、仕事の種類ごとの内容や求められる技能を先に知っておくと、在学中に何を身につけるかを決めやすくなります。開発の仕事に関心があるならアプリケーション開発のお仕事で、どんな案件があり、どのような技能が求められるかを確認できます。資格を足がかりに独立を考えている人は、宅地建物取引士(宅建)のように、学生のうちから受験できる国家資格の情報も参考になります。
よくある質問
Q. 20歳の学生は国民年金に必ず加入するのですか?
日本に住む20歳以上60歳未満の人は、学生でも国民年金に加入します。20歳になるとおおむね2週間以内に日本年金機構から加入のお知らせが届き、本人が加入の手続きをする必要は原則ありません。2週間ほど経っても届かない場合は、市区町村の役所か年金事務所で手続きしてください。
Q. 学生納付特例の申請はどこで出せばよいですか?
住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口、近くの年金事務所、学生納付特例事務法人に指定された在学中の学校のいずれかで申請できます。郵送やマイナポータルからの電子申請も可能です。どこに出しても審査の内容は同じなので、行きやすい窓口を選んでください。
Q. 学生納付特例は一度申請すれば卒業まで続きますか?
続きません。審査の対象は原則として4月から翌年3月までの1年度分なので、毎年度申請が必要です。過去の分は申請時点から2年1か月前までさかのぼれますが、申請日より前の事故や病気による障害には障害基礎年金が出ない場合があるため、早めに申請してください。
Q. 親が子どもの国民年金保険料を払うと何か得がありますか?
生計を一にする子の保険料を親が払った場合、払った親が社会保険料控除を受けられ、所得税と住民税が軽くなります。控除証明書を年末調整か確定申告で提出します。実際に軽くなる額は親の所得や家庭の事情で変わるため、勤務先の担当者や税務署で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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