MV制作が続かない理由は、BGMの権利確認を後回しにしていること

長谷川 奈津
長谷川 奈津
MV制作が続かない理由は、BGMの権利確認を後回しにしていること

この記事のポイント

  • MV制作が続かない理由をやる気の問題だと考えていませんか
  • BGMや楽曲の権利確認を後回しにして
  • 完成したのに公開できない状態を繰り返していることが多いです

MV制作を始めたけれど続かない。最初の一本は勢いで作れたのに、二本目が終わらない。あるいは作ったのに、なぜか公開しないまま放置している。

こういうご相談を受けるとき、多くの方が「自分の意志が弱いから」と言います。でも、話を聞いていくと、原因はまったく別のところにあることが多いんです。

結論から言います。MV制作が続かない理由の中で、意外と見落とされているのが、BGMや楽曲の権利確認を後回しにしていることです。

音の権利は、映像を作り終えてから確認しても間に合いません。確認していない状態で完成させると、公開できない、あるいは差し替えのやり直しが発生します。そして公開できなかった作品は実績になりません。実績にならないから次の依頼につながらない。つながらないから、続ける理由がなくなる。

これ、知らない人が本当に多いんです。順番に見ていきましょう。

「続かない」の正体は、やる気ではなく詰まり

まず、続かないという状態を分解します。

映像制作に限らず、何かが続かなくなるときには、たいてい共通の構造があります。企業の動画発信についても、同じことが指摘されています。

SNSを活用する企業が増えるなかで、動画コンテンツに取り組む企業が急激に増えました。商品紹介や採用活動、会社の雰囲気を伝える発信など、動画は企業の情報発信において欠かせない手段となっています。しかし一方で、多くの企業が同じ悩みを抱えています。「最初は動画を投稿していたけれど、いつの間にか止まってしまった」「数本は作ったが、継続できなかった」「動画を作ろうという話は出るが、実際には続かない」実は、SNS動画が続かない企業にはいくつか共通する問題があります。 出典: mealrecords.jp

つまり、「続かない」は個人の性格の問題ではなく、構造の問題として起きているということです。人員を割ける企業でさえ止まる。だとすれば、個人が止まるのは意志の弱さではありません。

では、その構造とは何か。個人のMV制作の場合、次の三つの詰まりが典型です。

ひとつめが、公開できない詰まり。作ったのに出せない。 ふたつめが、やり直しの詰まり。完成間際で作り直しが発生する。 みっつめが、次が来ない詰まり。実績が積み上がらず、依頼につながらない。

そして、この三つはすべて、音の権利確認を後回しにしたことから連鎖して起きます。

権利確認を後回しにすると、どこで詰まるか

具体的に見ていきます。

完成してから、公開できないと分かる

いちばん多いのがこの型です。

好きな楽曲に合わせて映像を作った。仕上がりに満足している。さあ公開しようという段階で、この曲を使って公開していいのかという疑問が浮かぶ。調べてみると、思っていたより話が複雑だと分かる。

ここで動きが止まります。調べるのが面倒になり、公開を先送りにする。そのうち別の案件や生活の用事が入って、その作品は放置される。

心理的にきついのは、作品が完成しているのに世に出せないことです。時間をかけたものが、誰にも見られないまま自分のハードディスクに残る。この経験を二回か三回すると、多くの人が制作そのものから離れていきます。

差し替えのやり直しが、想定の倍の時間を食う

もうひとつが、権利が確認できた別の音源に差し替える型です。

一見、簡単そうに聞こえます。音を入れ替えるだけ、と。実際にはまったく違います。

MVは、音に合わせて映像を切っています。カットの切り替え点、テロップの出るタイミング、エフェクトの発火点。これらはすべて元の楽曲の構造に紐づいています。曲を差し替えると、テンポも構成も変わるので、映像側をほぼ全部組み直すことになります。

体感としては、新しく一本作るのと変わらない作業量です。しかも「一度作ったものをもう一度作る」という作業は、精神的にとても消耗します。ここで折れる方は本当に多いです。

出せない作品は、実績として機能しない

三つめが、いちばん見えにくい詰まりです。

映像制作の仕事は、作ったものを見せることで次につながります。ポートフォリオがあるから声がかかる。公開できない作品は、この循環に乗りません。

ここで起きるのは、「作業量は積み上がっているのに、外から見ると何もしていないように見える」という状態です。本人は何十時間も使っている。でも、公開できる作品はゼロ。半年経って振り返ったとき、手元に見せられるものがない。

この状態が続くと、「自分には向いていないのかもしれない」という結論に行き着いてしまいます。でも、それは適性の問題ではありません。工程の順番の問題です。

音の権利は、映像の権利より一段複雑

なぜ後回しにしてしまうのか。理由のひとつは、音の権利が映像より構造的に複雑だからです。ここを整理しておきます。

なお、以下は2026年時点で一般的に説明されている枠組みです。個別のケースでどう扱われるかは条件によって変わりますので、実際の判断は権利者本人や管理事業者の窓口、必要に応じて専門家に確認してください。

楽曲そのものと、録音されたものは別の話

つい混同されがちなのですが、音楽には性質の異なる権利が重なっています。

ひとつは、曲と歌詞そのものに関する権利です。作詞者と作曲者が持ちます。多くの場合、著作権管理事業者が管理を委託されています。

もうひとつが、その曲を実際に演奏・録音したもの、つまり音源そのものに関する権利です。これはレコード会社やアーティスト側が持つことが一般的です。

つまり、曲の使用について管理事業者の手続きを踏んでも、その音源を使えるかどうかは別に確認が必要になる場合がある、ということです。「管理事業者に登録されているから大丈夫」という理解だけで進むと、ここで足をすくわれます。

動画プラットフォームの包括契約が、どこまでをカバーするか

もうひとつ、誤解が生まれやすいのがここです。

動画共有プラットフォームの中には、著作権管理事業者と包括的な契約を結んでいるところがあります。この契約があるから、そのプラットフォーム上での楽曲の利用について一定の範囲が処理されている、という話を聞いたことがある方もいるでしょう。

ただし、この包括契約がカバーする範囲は限定的です。カバーされる利用の形と、そうでない形があります。また、音源そのものの権利は、この契約とは別枠です。

さらに、プラットフォームごとに条件が違います。ひとつのサイトで問題なかったから別のサイトでも大丈夫、とはなりません。

ここは、自分で判断せずに、使う予定のプラットフォームの案内と、管理事業者の案内の両方を確認してください。※金額が動く商業案件の場合は、専門家に確認することをお勧めします。

依頼を受けて作る場合は、確認の相手が変わる

アーティスト本人から依頼を受けてMVを作る場合、状況は少し楽になります。楽曲の権利者が依頼者本人、あるいは依頼者が権利処理をする立場だからです。

ただし、この場合でも確認しておくべきことがあります。その楽曲が、外部の作曲者に発注したものではないか。使われているサンプル音源やトラックに、別途の条件が付いていないか。カバー曲の場合、原曲側の処理はどうなっているか。

依頼者自身が権利関係を正確に把握していないケースもあります。「大丈夫です」という言葉を、そのまま鵜呑みにしないこと。誰が権利を持っていて、どこまでの利用が認められているのかを、文字で確認しておくのが安全です。

自分で音源を用意する側に回るという選択肢もあります。効果音やジングル、オリジナルの楽曲制作がどういう仕事として成立しているかは、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事にまとまっています。映像と音の両方を自分で扱えると、権利の確認相手が減り、進行が格段に軽くなります。

着手前に潰しておく確認事項

では、実務としてどうするか。答えは単純で、映像に一秒でも手をつける前に確認する、それだけです。

確認する項目を挙げます。

使う音源が何か。曲名、アーティスト名、そしてどの音源(どの録音)かを特定します。 権利を持っているのが誰か。作詞作曲側と、音源側の両方です。 どういう利用になるか。公開する場所、営利か非営利か、期間、地域。 必要な手続きは何か。許諾を取る相手と、その方法。 費用が発生するか。発生する場合、誰が負担するか。 書面が残っているか。口頭の了承だけになっていないか。

そして、この確認が終わるまで映像の編集に入らないと決めてください。これが唯一にして最大の対策です。

「確認しながら並行で進めればいい」と思うかもしれません。実際にはうまくいきません。並行で進めると、映像が形になっていくにつれて、その音源で作りたい気持ちが強くなります。そうすると、確認結果が芳しくなかったときに引き返せなくなる。人間の心理として、投じた時間が大きいほど後戻りしにくくなるからです。

だから、順番を固定します。音の確認が終わってから、映像に手をつける。

権利の確認を「調べもの」ではなく「工程」として扱う

後回しになる理由をもう少し掘ると、多くの方が権利確認を「制作の前にやる調べもの」として捉えていることに行き当たります。調べものは、気が向いたときにやるものです。だから後ろにずれる。

これを工程として扱ってください。素材整理やカット編集と同じ、時間を割り当てる作業だと考える。

具体的には、案件の進行表に一行足します。「音源の権利確認」という項目を、素材受領の次、編集の前に置く。そして所要時間として一時間なり二時間なりを見積もっておく。

こうすると、二つのことが起きます。まず、確認が終わっていないのに次の工程へ進めなくなる。順番が可視化されるからです。そして、確認にかかった時間が作業実績として残る。実績として残れば、次回の見積もりに反映できます。

見積もりに反映できるということは、報酬の根拠にできるということでもあります。権利確認は依頼者にとっても必要な工程です。それを自分の持ち出しで無償対応にしてしまうと、負担だけが増えて続かなくなります。

受注時のやり取りに、確認を組み込む

依頼を受けて作る場合は、確認を工程ではなく契約のやり取りに組み込むのが確実です。

受注時のメールに、こういう一文を入れておきます。「制作にあたり、使用する楽曲の権利関係について確認させてください。楽曲の著作権および音源の権利をお持ちの方、公開予定のプラットフォーム、想定している公開期間をお知らせください」。

この一文があると、二つの効果があります。ひとつは、実際に情報が集まること。もうひとつは、依頼者がこの領域を軽視していた場合、それが早期に分かることです。

ここで曖昧な返事しか返ってこない案件は、後半で必ずもめます。逆に、きちんと答えられる依頼者は、他の条件についても整った進行をしてくれることがほとんどです。

条件を確認する文書を的確に書けることは、そのまま制作の安定につながります。ビジネス文書検定のような文書の型を学ぶことは、映像制作と関係がないように見えて、こうした確認のやり取りで効いてきます。

権利以外にも、続かない原因はある

ここまで権利確認の話をしてきましたが、他の要因についても触れておきます。

目的が漠然としていると、受け身になる

映像制作を続けられなくなる要因として、目標の曖昧さが指摘されています。

「なんとなく映像を作ってみたい」という状態のまま走り出すと、作業が受け身になります。誰に何を届けるのかが決まっていないので、判断の基準が生まれない。基準がないから、細かい選択のたびに手が止まる。

そして、この漠然とした状態は、権利確認を後回しにする心理とも地続きです。何のために作るのか、どこに公開するのかが決まっていないから、公開に必要な条件を先に調べる動機が生まれない。逆に「このプラットフォームに、この時期に出す」と決まっていれば、そこで何が必要かを調べる必然性が生まれます。

だから、目的の明確化は精神論ではなく、実務上の必要です。出す場所が決まっていないうちは、作り始めないほうがいい。

初期の失敗パターンは、あらかじめ知っておける

もうひとつ、技術面での詰まりについても触れておきます。

動画編集を始めたばかりの人が陥りやすい失敗には、明確な共通パターンがあります。テロップの視認性不足・BGMの音量バランスの崩れ・カット割りのテンポ感など、DaVinci Resolve認定トレーナーとして延べ1万人以上を指導してきた経験から、初心者がやりがちな失敗10選とその回避法を書き出し前チェックリスト付きで解説します。 出典: store.mvisualsonline.com

失敗に共通パターンがあるということは、事前に潰せるということです。作りながら一つずつ発見していると時間がかかりますが、パターンとして知っていれば最初から避けられます。これも、権利確認と同じ発想です。あとで直すより、先に知る。

習慣として続ける仕組みを持つ

そのうえで、モチベーションの維持についても現実的な話をします。

今日はそんなあなたに、僕が駆け出しの頃にやっていて、今でも「やってよかった」と感じているモチベーション維持の習慣を4つ紹介します。正直、どれも地味です。でも、だからこそ確かな力になります! 出典: note.com

地味なものほど効く、という指摘はそのとおりだと感じます。派手な方法で気持ちを上げるより、詰まりを一つずつ取り除くほうが、結果として続きます。

作業環境の整備も、この「地味だが効く」の部類です。まとまった時間の使い方については在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが、素材の受け渡しに関わる回線環境については在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方が参考になります。書き出したファイルの送信に何時間もかかる環境だと、それだけで納品が億劫になります。

体系的に知識を積みたい方は、関連する資格の学習を軸にするという方法もあります。在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるには、在宅の仕事に接続しやすい資格が整理されています。技術基盤の理解を深めたい場合、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系の学習は、大容量ファイルのやり取りやクラウド環境の設計を自分で判断できるようになるという実務的な効果があります。

使える音源を先にストックしておく

もうひとつ、実務的な備えを挙げておきます。使用条件が明確な音源を、日頃からストックしておくことです。

利用条件が公開されている音源配布サイト、条件付きで利用が認められているライブラリ、知人の作曲者に依頼して作ってもらったオリジナル。こうした選択肢を、案件が始まる前に手元に集めておく。

これがあると、練習用の制作や、ポートフォリオ用の自主制作を、権利で止まることなく回せます。練習のたびに権利を調べるのは負担が大きく、その負担が練習の頻度を下げます。

ストックする際は、音源そのものだけでなく、利用条件を書いたページの内容も一緒に保存してください。配布サイトの規約は改定されることがあり、あとから遡れなくなる場合があります。ダウンロードした日付と、そのときの条件を記録しておくこと。これも地味ですが、後で効きます。

一本目と二本目のあいだで、何が変わるのか

「一本目は作れたのに二本目が終わらない」という相談は、とても多いです。

一本目には、独特の勢いがあります。作りたいという気持ちが強く、細かい問題を気にせず走り切れる。公開できるかどうかも、あまり考えていない。

二本目になると、この勢いがありません。かわりに、一本目で経験した詰まりの記憶が残っています。あのとき権利で悩んだ。あのとき差し替えで苦労した。この記憶が、着手そのものを重くします。

ここで多くの方が「情熱が冷めた」と解釈します。でも実際には、一本目で踏んだ地雷を、二本目でも踏むと分かっているから足が止まっているだけです。

だとすれば、対策は明快です。一本目で詰まった箇所を、書き出して潰す。権利で悩んだなら、確認の手順をメモにする。差し替えで苦労したなら、着手前チェックリストを作る。

この作業に一時間かけるだけで、二本目の重さがまったく変わります。気持ちを立て直そうとするより、はるかに確実です。

そしてもうひとつ。二本目を一本目より小さく設計してください。尺を短く、演出を絞る。一本目より野心的なものを作ろうとすると、ほぼ確実に終わりません。小さく完成させて公開する、という経験を積み重ねるほうが、結果として遠くまで行けます。

権利確認は、依頼者を守ることでもある

視点をもう一段変えてみます。権利確認は、自分の身を守るためだけの作業ではありません。依頼者を守る作業でもあります。

映像が公開されたあとに権利の問題が発覚した場合、困るのは制作者だけではありません。楽曲を発表したアーティスト本人、その映像を使って告知をしていた関係者、掲載していたプラットフォーム。影響は広がります。

制作者が「確認してから作ります」と言うことは、この事故を未然に防ぐ行為です。だから、この確認は遠慮すべきものではありません。むしろ、確認を求めない制作者のほうが、依頼者にとってはリスクです。

ここを理解できると、確認を切り出すときの心理的な負担が減ります。「面倒なことを聞いて嫌がられないだろうか」ではなく、「これを聞かないと相手に迷惑がかかる」という位置づけになるからです。

実際、条件を丁寧に確認してくる制作者は、依頼者から信頼されます。作品の出来と同じくらい、進行の安心感が評価される場面は多い。これは、映像に限らずどの受託業務でも共通しています。

そして、確認した内容を記録に残しておけば、あとから疑問が生じたときにすぐ答えられます。この記録があること自体が、次の依頼につながる材料になります。

権利確認を済ませた作品は、資産として積み上がる

視点を変えると、権利確認の価値がはっきり見えてきます。

権利関係が整理された状態で公開された作品は、そのまま実績になります。ポートフォリオに載せられる。依頼者に見せられる。SNSで拡散されても問題がない。数年後に見返しても、取り下げる必要がない。

一方、権利確認が曖昧な作品は、公開しても不安が残ります。あとから指摘されて取り下げることになれば、そこにかけた時間はすべて消えます。

つまり、権利確認は制作を遅らせる手続きではなく、作ったものを資産に変えるための工程です。ここを工程として認識できると、後回しにする理由がなくなります。

映像制作の仕事がどういう形で依頼されているかを把握しておくと、確認すべき項目の見当がつきやすくなります。MV制作・BGM付き映像のお仕事には、この分野の依頼の傾向がまとまっています。制作物を公開したあとの運用や効果測定まで関わる立場になると、権利処理を含めた進行管理が価値になります。その広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事から把握できます。

報酬の見立てをする際は、隣接職種の水準が参考になります。制作系の技術職の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場、企画書や構成台本といった書く工程の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっています。権利確認の工数も作業時間の一部として見積もりに含めるべきものです。

市場を長く見てきた立場からの観察

在宅ワークとフリーランスの市場を二十年運営してきた立場から、続く人と続かない人の違いについて書きます。

続く人は、作業の前に確認を済ませています。続かない人は、作業のあとで確認しています。この差は、技術力とも意欲とも関係ありません。順番の問題です。

そして、後で確認する人は「確認しなかった自分」を責めます。責めた結果、制作そのものが苦しい記憶と結びつく。ここが最も惜しいところです。工程の順番を直すだけで解決する話が、自己評価の問題にすり替わってしまう。

もうひとつ、報酬の受け取り方についても触れておきます。制作の仕事を仲介経由で受けると、多くの場合は仲介手数料が引かれます。手数料0%で直接やり取りが成立している場を長く運営してきて見えてくるのは、金額の多寡より、手取りが厚いという事実が継続の力になるということです。同じ作業量に対して手元に残る額が厚ければ、次の一本に向かう気力が保たれます。

依頼者の側から見ても、中間マージンが乗らなければ同じ予算でより多く頼めます。頼む回数が増えれば受け手は工程に慣れ、権利確認のような下準備も型として身についていく。この往復が長く続いている関係を、運営者として何度も見てきました。

最後にお伝えします。続かないことを、自分の性格のせいにしないでください。詰まっている場所は、たいてい具体的です。そして具体的な詰まりは、具体的に取り除けます。

法律や権利のルールは、あなたを縛るためのものではありません。作ったものを、安心して世に出せるようにするためのものです。順番を変えるだけで、次の一本は最後まで届きます。

よくある質問

Q. MV制作でBGMの権利確認は、いつやるべきですか?

映像の編集に手をつける前です。曲名と音源の特定、権利者の確認、公開先と公開期間、必要な手続き、費用の負担者。この五点を確定させてから制作に入ってください。並行で進めると、映像が形になるほど後戻りしにくくなり、確認結果が想定と違ったときに差し替えの判断ができなくなります。

Q. 動画サイトが著作権管理事業者と契約していれば、どんな曲でも使えますか?

そう理解するのは危険です。包括的な契約がカバーする範囲は限定的で、音源そのものの権利は別枠として扱われることが一般的です。プラットフォームごとに条件も異なります。2026年時点の扱いについては、利用するプラットフォームの案内と管理事業者の案内の両方を確認し、商業案件では専門家にも相談してください。

Q. アーティスト本人から依頼された場合も、権利確認は必要ですか?

必要です。依頼者が権利者であっても、外部の作曲者に発注した楽曲、使用しているサンプル音源、カバー曲の原曲側の処理など、別途の条件がある場合があります。依頼者自身が正確に把握していないこともあるため、誰がどの権利を持ち、どこまでの利用が認められているかを文字で確認しておくのが安全です。

Q. 曲を差し替えることになったら、映像はどのくらい直す必要がありますか?

実務上はほぼ全面的な組み直しになります。カットの切り替え点、テロップの表示タイミング、エフェクトの発火点は元の楽曲の構造に紐づいているためです。テンポや構成が変われば、それらをすべて置き直すことになります。新規で一本作るのと変わらない作業量になると考えておいてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月2日最終更新:2026年8月26日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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