医療事務のマニュアルの作り方|受付と会計の手順を引き継げる形にまとめる


この記事のポイント
- ✓医療事務のマニュアルの作り方を
- ✓受付と会計の手順を引き継げる形にする視点で整理します
- ✓マイナ保険証と資格確認書による受付の流れ
医療事務のマニュアルを作るよう任されたものの、受付も会計も「いつもやっていること」なので、何をどこまで書けばよいか分からない。ベテランの職員が辞めることになり、その人しか知らない手順を急いで残さなければならない。クリニックや病院の受付で働く人から、こうした相談はよく聞かれます。
医療事務のマニュアルは、受付と会計の手順を、新しく入った人や応援に来た人が引き継げる形に整える文書です。特に受付は、マイナ保険証の導入と従来の健康保険証の終了によって、ここ数年で手順が大きく変わりました。古いマニュアルのままでは、いまの窓口の対応に合いません。
この記事では、医療事務のマニュアルの作り方を、受付と会計の手順を中心に整理します。厚生労働省の案内に沿った資格確認の流れ、マニュアルの構成と書き方、個人情報の扱い、作ったあとの更新の仕組みまで順に説明します。マニュアルの作成や更新の作業を担当と期限つきで回す方法として、カンバンやガントのボードを使えるPinatecaにも触れます。
なお、マニュアルの中身となる運用の細かな決まりは、勤務する医療機関の方針、使っているレセプトコンピュータや電子カルテの仕様、所属先の規程によって異なります。この記事では、マニュアルという文書の作り方を扱います。
医療事務のマニュアルが必要になる理由
医療事務の仕事は、受付、会計、電話の対応、予約の管理、診療報酬の請求など多岐にわたります。その多くは毎日繰り返す作業ですが、患者さんの状況によって例外が多く、経験の長い人ほど頭の中で判断している部分が大きい仕事です。
受付は医療機関の第一印象を決める
受付の役割について、マニュアル作成を支援する会社の解説では次のように説明されています。
医療事務の受付は、患者様にとって医療機関の「第一印象」を決定づける重要な役割を担っています。患者様が医療機関を訪れる際、最初に接するのが受付のスタッフであり、その対応が全体の印象や信頼度に大きく影響します。そのため、受付業務をスムーズに進め、患者様に安心感を与えるためには、しっかりとしたマニュアルが必要です。受付マニュアルを作成することで、スタッフが一貫した対応を取ることができ、スムーズな業務遂行が可能になります。本記事では、受付マニュアル作成の重要なポイントについて解説し、初心者にも理解しやすいよう具体例を用いて分かりやすく説明します。 出典: asu-k.co.jp
受付の対応が人によって違うと、患者さんは「前回と言われたことが違う」と不安になります。マニュアルで対応をそろえておくことは、患者さんの安心にも直結します。
職員の入れ替わりに備える
医療事務の職場は、パートやアルバイト、派遣の職員が多く、入れ替わりも少なくありません。新しく入った人に教えるたびに、ベテランの職員が同じ説明を繰り返すのは大きな負担です。マニュアルがあれば、新しく入った人はまずマニュアルで流れをつかみ、分からない点だけを質問できるようになります。
手順が変わったときに全員にそろえる
受付の手順は、制度の変更によって変わることがあります。変更があったときに、口頭で伝えるだけでは、休みの日だった職員に伝わらなかったり、人によって理解が違ったりします。マニュアルを直して変更点を残しておけば、全員が同じ手順にそろいます。
まず押さえる:いまの受付の資格確認の流れ
医療事務のマニュアルの中で、いちばん最新の情報に合わせておく必要があるのが、受付での資格確認です。資格確認とは、患者さんがどの医療保険に加入しているかを確かめることです。
従来の健康保険証は有効期限が終わっている
厚生労働省の資格確認方法についてのページには、「従来の健康保険証の有効期限は、2025年12月1日で終了しています」と書かれています。受付では、マイナ保険証を持っている人は「マイナ保険証」を、持っていない人は「資格確認書」を提示してもらう案内になっています。
| 患者さんが提示するもの | 内容 |
|---|---|
| マイナ保険証 | 健康保険証として使う登録をしたマイナンバーカード |
| 資格確認書 | マイナ保険証を持っていない人などに、加入している医療保険から交付される書類 |
マイナ保険証の利用の登録は、医療機関や薬局の受付の窓口にある顔認証付きカードリーダーなどでできると案内されています。患者さんから「登録していないけれど、どうすればよいか」と聞かれたときに答えられるよう、マニュアルに登録の方法の案内を書いておくと窓口の対応がそろいます。
古いマニュアルに「保険証を預かってコピーを取る」といった手順が残っている場合は、いまの受付の流れに合わせて書き直す必要があります。
スマートフォンのマイナ保険証
厚生労働省の同じページによると、2025年9月19日から、機器の準備が整った医療機関や薬局で、スマートフォンをマイナ保険証として使えるようになっています。自分の医療機関が対応しているかどうか、対応している場合の受付の手順を、マニュアルにはっきり書いておきます。対応していない場合は、スマートフォンを出した患者さんに何と案内するかも決めておくと、窓口で迷いません。
電子証明書の有効期限に注意する
マイナ保険証を使うときは、マイナンバーカードの中の電子証明書の有効期限に注意が必要です。厚生労働省のページでは、カードの有効期限が10年(未成年は5年)なのに対し、電子証明書の有効期限は5年と説明されています。有効期限の前後には、顔認証付きカードリーダーに更新を促す表示が出ます。また、有効期限までに更新できないまま受診しても、有効期限が切れてから3か月間は健康保険証として使えると案内されています。
窓口で「更新が必要と表示された」と患者さんに聞かれたときの案内の仕方を、マニュアルに1行入れておくと、職員によって説明がばらつきません。
資格確認ができないときの対応をマニュアルに書く
マニュアルで特に大切なのが、手順どおりにいかないときの対応です。厚生労働省のページでは、停電などの天災、カードリーダーやネットワークの不具合、マイナンバーカードのICチップの破損などで資格確認ができなかった場合の対応として、次の3つが示されています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| マイナンバーカードとマイナポータルの画面 | マイナンバーカードと、マイナポータルの資格情報の画面(ダウンロードしたPDFも可)をあわせて提示してもらう。スマートフォンでその場で表示する場合は、実物のカードの提示は不要 |
| マイナンバーカードと資格情報のお知らせ | 加入している医療保険から交付される「資格情報のお知らせ」を、カードとあわせて提示してもらう。スマートフォンで表示したものは無効で、紙に印字されたものに限る |
| 被保険者資格申立書 | 初診の医療機関や薬局で、上の2つも持ち合わせていないときに記入してもらう書類 |
機器の不具合は、忙しい時間帯に限って起きるものです。そのときに慌てないよう、マニュアルには次のような流れを書いておきます。
- カードリーダーが動かないときに、最初に確かめること(電源、接続、再起動の手順)
- 復旧しないときに、患者さんに何を提示してもらうか(上の3つの方法の順番)
- 被保険者資格申立書の置き場所と、記入してもらうときの説明の文例
- 不具合を誰に報告し、どこに記録するか
機器の扱いや連絡先は、医療機関ごとに違います。保守を頼んでいる業者の連絡先と、受付時間外の連絡の方法も、マニュアルの決まった場所に書いておきます。
医療事務のマニュアルの構成
医療事務のマニュアル全体の構成の例を示します。医療機関の規模や診療科に合わせて、加えたり省いたりして使ってください。
| 章 | 主な内容 |
|---|---|
| 1. 医療機関の概要 | 診療科、診療時間、医師の担当の曜日、職員の役割分担、院内の配置図 |
| 2. 1日の流れ | 開院前の準備、受付の開始、昼の休み、閉院後の片付けと締め |
| 3. 受付 | 初診と再診の受付、資格確認、問診票、予約の患者さんの受付 |
| 4. 会計 | 会計の呼び出し、支払いの受け取り、領収書と明細書、次回の予約 |
| 5. 電話の対応 | 予約の受付と変更、問い合わせの対応、取り次ぎの決まり |
| 6. 例外の対応 | 機器の不具合、資格確認ができないとき、急いで診察が必要な患者さん |
| 7. 個人情報の扱い | 書類の保管、呼び出しの方法、電話での本人確認 |
| 8. 締めと請求 | 日々の締め、月の締め、診療報酬の請求の流れ |
| 9. 手順書の一覧 | 作業ごとの手順書の題名と保存場所 |
マニュアルを作るときは、全体を一度に書こうとせず、新しく入った人が最初に担当する受付と会計から書き始めると、早く役に立ちます。
受付の手順の書き方の例
受付の手順は、初診と再診で分けて書くと読みやすくなります。初診の受付の手順の例を示します。具体的な画面の操作や書類の名前は、使っているシステムと医療機関の決まりに合わせて書き換えてください。
| 番号 | 動作 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 1 | 患者さんにあいさつし、初診か再診かを確かめる | 手順が分かれるため |
| 2 | マイナ保険証か資格確認書を提示してもらい、資格確認を行う | 加入している医療保険を確かめるため |
| 3 | 問診票と記入用の筆記用具を渡し、記入の場所を案内する | 記入に時間がかかる人には声をかける |
| 4 | 記入済みの問診票を受け取り、記入の漏れがないかを確かめる | 診察の前に足りない情報を補うため |
| 5 | 受付のシステムに患者さんの情報を登録する | 登録の画面の名前は実際の表示どおりに書く |
| 6 | 診察の順番と、待つ場所を伝える | 待ち時間の目安を伝えると不安が減る |
このように番号ごとに1つの動作を書き、理由を添えておくと、新しく入った人も上から順に進められます。
再診と予約の受付は差分だけを書く
再診の受付や予約の患者さんの受付は、初診の手順と重なる部分が多くあります。同じ手順を何度も書くと、直すときに一部だけ直し忘れて、手順書どうしで食い違いが起きます。初診の手順を基本とし、再診や予約の手順書には「初診の手順の2番から始める」「問診票の代わりに前回からの変化を聞く」のように、違う部分だけを書いておくと、更新の手間も減ります。
待ち時間の案内も手順に入れる
受付の手順では、手続きそのものに加えて、待ち時間の案内も入れておくと、窓口への問い合わせが減ります。混み合う時間帯に、待ち時間の目安をどう伝えるか、長く待っている患者さんにどう声をかけるかを決めておくと、職員によって対応が変わらず、患者さんの不満も小さくなります。
会計の手順の書き方の例
会計は、お金を扱う作業なので、確かめる点を特に丁寧に書きます。
| 番号 | 動作 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 1 | 会計の準備ができた患者さんを、医療機関の決まりの方法で呼び出す | 呼び出しの方法は個人情報の扱いの章も参照 |
| 2 | 患者さん本人であることを確かめる | 取り違えを防ぐため |
| 3 | 金額を伝え、支払いを受け取る | 支払いの方法ごとの手順は別の手順書を参照 |
| 4 | 領収書と明細書を渡す | 渡し忘れがないよう、受け取った確認をする |
| 5 | 次回の予約や処方せんがあれば案内する | 案内の漏れを防ぐため |
| 6 | 会計の記録をシステムで確かめる | 締めのときの差額を防ぐため |
マニュアル作りの考え方について、クリニック向けの解説では次のように書かれています。
クリニックでは、看護師用の看護業務マニュアルや受付をはじめとした医療事務マニュアルなど、複数のマニュアルが必要になりますが、ここでは、どの種類のマニュアルにも共通する作成のポイントを8項目に分けて解説します。 出典: onamae.com
医療事務のマニュアルも、看護のマニュアルや施設全体の決まりと矛盾しないように作ることが大切です。
電話の対応の章の書き方
受付と会計に次いで、新しく入った人が戸惑いやすいのが電話の対応です。電話は相手の顔が見えず、すぐに答えられない質問も多いため、マニュアルで「答えてよいこと」と「取り次ぐこと」をはっきり分けておくことが大切です。
電話の種類ごとに対応を分ける
| 電話の種類 | マニュアルに書いておくことの例 |
|---|---|
| 予約の受付と変更 | 予約のシステムの操作、空きがないときの案内の仕方 |
| 診療時間や場所の問い合わせ | 決まった答えの文例、休診日の案内 |
| 症状についての相談 | 事務の職員は判断せず、看護師や医師に取り次ぐ決まり |
| 検査の結果や病状の問い合わせ | 本人確認の方法と、電話で答えるかどうかの医療機関の方針 |
| 業者や他の医療機関からの電話 | 取り次ぐ相手と、伝言の残し方 |
特に、症状についての相談は、事務の職員が判断してはいけない電話です。「この症状なら来なくて大丈夫」といった答えを事務の職員がしないよう、取り次ぐ相手と、取り次げないときの案内の仕方をマニュアルに明記しておきます。
伝言の残し方をそろえる
電話の伝言は、残し方が人によってばらつくと、肝心の情報が抜け落ちます。伝言の書き方を、日時、相手の名前と連絡先、用件、折り返しの要否、受けた人の名前の5項目にそろえておくと、受け取った人が迷いません。伝言用の紙やシステムの入力欄も、この5項目に合わせて作っておくと便利です。
締めの作業の章の書き方
1日の終わりの締めの作業は、お金と記録を扱う大切な作業です。手順が人によって違うと、差額が出たときに原因を追えなくなります。
締めの手順は確かめる順番で並べる
締めの手順は、実際に作業する順番に並べ、確かめる項目を1つずつ書きます。たとえば、その日の会計の記録の件数と金額を確かめる、現金の額を数える、記録と現金が一致しているかを確かめる、一致しない場合の対応、記録の保存、といった流れです。具体的な手順や確かめる項目は、使っているシステムと医療機関の決まりに合わせて書いてください。
差額が出たときの対応を決めておく
締めで最も困るのが、記録と現金が合わないときです。差額が出たときに、誰に報告し、どこに記録し、どの順番で原因を探すかを、マニュアルに書いておきます。対応の流れが決まっていれば、締めの担当になった人が1人で抱え込まずに済みます。
応援の職員のための「最初の1日」の1枚
医療事務の職場では、別の部署や系列の医療機関から応援の職員が来たり、派遣の職員が短い期間だけ入ったりすることがあります。こうした人に分厚いマニュアルを渡しても、読む時間はほとんどありません。
そこで、マニュアルとは別に、「最初の1日」に必要なことだけを1枚にまとめた資料を用意しておくと役に立ちます。1枚に入れる内容の例は次のとおりです。
- 院内の配置図と、受付の物品の置き場所
- その日の担当(受付、会計、電話)と、困ったときに声をかける相手
- 資格確認ができないときの対応の流れ
- 事務の職員が答えてはいけない質問と、取り次ぐ相手
- 個人情報の扱いで、絶対にしてはいけないこと
1枚の資料も、マニュアルと同じく更新日を書き、マニュアルを直したときは同時に見直します。
よくある失敗と立て直し方
医療事務のマニュアル作りでよく起きる失敗と、その立て直し方を整理しておきます。
| よくある失敗 | 立て直し方 |
|---|---|
| 古い受付の手順が残ったまま | 厚生労働省の案内と照らし合わせ、資格確認の章から見直す |
| ベテランしか分からない言葉で書かれている | 新しく入った人に読んでもらい、分かりにくい箇所に印を付けてもらう |
| 例外の対応が書かれておらず、結局ベテランに聞きに行く | 「手順どおりにいかないとき」の欄を、どの手順にも設ける |
| 作ったきり誰も直さない | 更新日と責任者を書き、見直しの時期を年間の予定に入れる |
引き継げるマニュアルにする書き方のコツ
マニュアルは、書いた人ではなく、引き継ぐ人が読んで分かることが大切です。引き継げるマニュアルにするための書き方のコツを6つ紹介します。
コツ1:1つの番号に1つの動作を書く
「保険証を確認し、問診票を渡して、登録する」のように、1つの番号に複数の動作を詰め込むと、途中の動作を飛ばしやすくなります。1つの番号には1つの動作だけを書きます。
コツ2:判断が入るところは条件で分ける
医療事務の仕事は、患者さんの状況によって対応が変わる場面が多くあります。「もし資格確認ができなければ、〜する」「もし予約の時間を過ぎていれば、〜する」のように、条件で分けて書きます。判断の基準が書かれていないと、人によって対応がばらつきます。
コツ3:患者さんへの言葉づかいの文例を入れる
受付や電話の対応では、何と伝えるかが大切です。よくある場面の言葉づかいの文例をマニュアルに入れておくと、新しく入った人も自信を持って対応できます。ただし、文例はあくまで目安とし、患者さんの様子に合わせて言い換えてよいことも書いておきます。
コツ4:システムの画面は表示どおりの名前で書く
レセプトコンピュータや電子カルテの画面の操作は、実際の画面に表示されている名前をそのまま書きます。画面の写真に印を付けて示すと、新しく入った人が迷いません。システムの更新で画面が変わったときは、写真も撮り直します。
コツ5:「やってはいけないこと」を分けて書く
個人情報の扱いやお金の扱いで、絶対にしてはいけないことは、手順とは別の枠にまとめて目立たせます。手順の文章に混ぜると読み流されやすくなります。
コツ6:ベテランの判断を言葉にしてもらう
経験の長い職員は、「この患者さんにはこう声をかける」「この時間帯はこう回す」といった判断を、無意識に行っています。その判断を聞き取って、理由とあわせて言葉にしてもらうと、マニュアルの中身が深くなります。退職や異動の予定がある職員がいる場合は、早めに聞き取りの時間を取っておくことが大切です。聞き取りは1回で終わらせず、作業ごとに短い時間を何回か取ると、その場では思い出せなかった判断も拾えます。聞き取った内容は、本人に読んでもらって間違いがないかを確かめてから、マニュアルに反映します。
個人情報の扱いをマニュアルに書く
医療機関は、病気や治療に関する、特に慎重な扱いが必要な個人情報を扱います。厚生労働省の個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等のページには、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」が掲載されていて、令和8年4月1日に最終改正されています。医療機関の個人情報の扱いの方針は、このガイダンスをもとに作られているのが一般的です。
医療事務のマニュアルには、医療機関の方針に沿って、受付と会計の場面での具体的な扱い方を書きます。
| 場面 | マニュアルに書いておくことの例 |
|---|---|
| 呼び出し | 名前で呼ぶか、番号で呼ぶか。医療機関の方針に沿った方法 |
| 受付での会話 | 症状を聞くときに、周りに聞こえにくくする工夫 |
| 書類の扱い | 問診票や書類を、他の患者さんから見える場所に放置しない |
| 電話の対応 | 電話の相手が本人や家族であることを、どう確かめるか |
| 画面の扱い | 席を離れるときに、システムの画面を閉じるか、ロックする |
個人情報の扱いの具体的な決まりは、医療機関ごとの方針に従います。マニュアルを作る人が独自に決めるのではなく、医療機関の個人情報の担当者に確かめながら書いてください。
マニュアルを作る進め方
医療事務のマニュアルを作る進め方を、段取りに沿って説明します。
1. 既存の資料を集める
受付には、すでに手順のメモや古いマニュアル、ベテランの職員が作った手書きの資料が残っていることが多いはずです。新しく作り直す前に、それらを集めて一覧にします。資料の中に古い手順(従来の健康保険証を前提にした受付など)が残っていないかも、このときに確かめます。
2. 作る項目と優先順位を決める
作るべき項目を一覧にし、優先順位を付けます。新しく入った人が最初に担当する受付と会計、間違えると患者さんに迷惑がかかる作業、1人しかできない作業から優先します。
3. 作業を横で見ながら書き出す
経験の長い職員に作業してもらい、その横で手順を書き出します。本人に「手順を書いてください」と頼むと、当たり前の動作が抜け落ちがちです。患者さんの対応の合間に見るのが難しい場合は、開院前や閉院後に実際の流れをたどってもらいます。
4. 新しく入った人に試してもらう
書き上げたマニュアルは、その作業に慣れていない人に読んでもらい、分かりにくい箇所を指摘してもらいます。マニュアルだけを見て流れを説明できるかどうかが、分かりやすさを確かめる確実な方法です。
5. 院長や事務長に確認してもらい、保存場所を決める
最後に、院長や事務長など責任者に内容を確かめてもらい、完成とします。完成したマニュアルは決まった場所に保存し、職員全員に場所を知らせます。
作ったあとの更新の仕組み
医療事務のマニュアルは、制度の変更やシステムの更新で古くなっていきます。使われ続けるマニュアルにするには、更新の仕組みを最初から決めておくことが欠かせません。
更新のきっかけを決めておく
| 種類 | きっかけの例 |
|---|---|
| 定期の見直し | 年に1回、診療報酬の改定の時期など、時期を決めて全体を点検する |
| きっかけの見直し | 資格確認の制度の変更、システムの更新、窓口での行き違い、同じ質問が繰り返し出たとき |
資格確認の制度は、ここ数年で大きく変わってきました。厚生労働省のページで新しい案内が出ていないかを、定期の見直しのたびに確かめるようにしておくと安心です。
更新日と責任者を必ず書く
マニュアルの各章に、最後に見直した日と、内容に責任を持つ人を書いておきます。いつ見直した手順なのかが分からないと、読む人は書いてある内容を信じてよいか判断できません。変更があったときは、朝の打ち合わせなどで変更点を伝え、マニュアルの冒頭に変更の履歴を残します。
作成と更新の作業を担当つきで回す
マニュアル作りで最もよく起きるのは、作業が途中で止まることです。診療が忙しい時期に入る、担当の職員が辞める、誰がどこまで進めたのか分からなくなる。こうした停滞を防ぐには、作成や更新の作業そのものを、担当と期限つきの仕事として見える形にしておくことが効果的です。
表計算ソフトの一覧で管理する
章や手順書の題名、担当者、期限、状態(未着手・作成中・確認待ち・完了)、最終の更新日を列にした一覧を、表計算ソフトで作るのが最も手軽な方法です。ただ、期限が近づいても通知はされないため、気づいたときには遅れていることがあります。
ボードで管理する
作成と更新の作業を担当と期限つきで回す方法の1つが、プロジェクト管理の道具のPinatecaです。公式サイトによると、カンバン・ガント・カレンダー・リスト・ディスカッション・グリッド・時間割・リソースの8種類のボードがあり、チャットも内蔵されています。
たとえばカンバンボードに「未着手」「作成中」「確認待ち」「完了」の列を作り、マニュアルの章ごとにカードを作って担当者と期限を設定すれば、どの章が誰のところで止まっているかが一目で分かります。年に1回の見直しの予定は、ガントボードで期間を並べると、診療報酬の改定の時期と重なっていないかを確かめやすくなります。料金ページでは、5人までのチームならボード10個まで無料で使えると案内されています。
扱うのは作業の進み具合の情報だけにし、患者さんの情報は書き込まないようにしてください。外部のサービスを使ってよいかは、医療機関の情報管理の方針に従って事前に確かめる必要があります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
医療事務の経験を活かした働き方
医療事務の経験と、業務を整理して文書にする力は、医療機関の外でも活かせます。
医療事務の資格と報酬の目安
医療事務の仕事に就くうえで、資格は必須ではありませんが、知識を示す材料になります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)の資格ガイドでは、試験の内容と難しさを紹介しています。事務の仕事の報酬の目安は、庶務・人事事務員の年収・単価相場で確かめられます。
窓口の対応の経験を在宅の仕事に
受付や電話の対応で身につけた、相手の状況を聞き取って分かりやすく案内する力は、在宅でできる問い合わせ対応の仕事にもつながります。カスタマーサポート・事務全般のお仕事では、在宅で請け負える事務やサポートの仕事を紹介しています。
医療や介護の現場の立ち上げや電子化
新しく医療や介護の事業所を立ち上げるときは、受付や事務の手順を一から整える必要があります。訪問看護ステーションの開業手順2026|必要資格・設備基準・開業資金では、開業に必要な準備を整理しています。介護の現場で記録や事務を電子化する取り組みと補助金については、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で解説しています。
運営者の視点で見た、手順を残せる人が頼られる理由
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、事務の仕事で長く頼られる人には共通点があります。それは、自分がしている作業を、他の人が引き継げる形で残していることです。自分しかできない作業を抱え込むのではなく、手順を言葉にして共有する人は、職場からも取引先からも「任せると全体が回るようになる」と感じてもらえます。
医療事務のマニュアル作りは、まさにこの力を磨く機会です。受付や会計の手順を、新しく入った人が読んで分かる言葉に直す経験は、医療機関の外で事務の仕事を請け負うときにもそのまま役に立ちます。
仲介の手数料がかからない直接のやりとりでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手順を整えて残せる人は、一度任されると継続して頼まれやすく、こうした直接の関係の中で仕事を広げていきやすいと感じています。まずは受付の手順の中で、資格確認ができないときの対応を1枚にまとめるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 医療事務のマニュアルはどこから作り始めればよいですか?
新しく入った人が最初に担当する受付と会計から書き始めるのが効果的です。特に受付は、従来の健康保険証が2025年12月1日で有効期限を終え、マイナ保険証と資格確認書による受付に変わっているため、古いマニュアルが残っていれば最初に見直す必要があります。資格確認ができないときの対応も早めに書いておきます。
Q. 資格確認ができないときはマニュアルに何を書けばよいですか?
厚生労働省の案内では、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報の画面、マイナンバーカードと紙の資格情報のお知らせ、被保険者資格申立書の3つの方法が示されています。マニュアルには、機器の不具合のときに最初に確かめること、患者さんに提示してもらうものの順番、申立書の置き場所、報告先を書いておきます。
Q. 個人情報の扱いはマニュアルにどう書けばよいですか?
医療機関の個人情報の方針に沿って、呼び出しの方法、受付での会話の工夫、書類の扱い、電話での本人確認、画面の扱いなど、受付と会計の場面での具体的な扱い方を書きます。マニュアルを作る人が独自に決めず、医療機関の個人情報の担当者に確かめながら書くことが大切です。
Q. マニュアルはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
年に1回など時期を決めた定期の見直しに加えて、資格確認の制度の変更、システムの更新、窓口での行き違い、同じ質問が繰り返し出たときに見直すのが基本です。各章に更新日と責任者を書き、変更点は朝の打ち合わせなどで伝え、冒頭に変更の履歴を残しておくと全員の手順がそろいます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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