偽装請負を法律ではどう線引きするか、在宅で働く側の見分け方

@SOHO編集部
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偽装請負を法律ではどう線引きするか、在宅で働く側の見分け方

この記事のポイント

  • ✓偽装請負を法律ではどう線引きするのかを
  • ✓37号告示の要件と労働者派遣法・職業安定法の罰則から整理します
  • ✓契約書の名前ではなく実態で判断される仕組み

業務委託の契約書にサインしたのに、始業時刻を指定され、毎朝の朝礼に出るよう言われ、作業の手順まで細かく指示される。こういう状態に置かれたとき、それが偽装請負に当たるのかどうかを法律の側から確かめたい、というのが「偽装請負法律」で調べる人の関心だと考えられます。

まず押さえておきたい結論を書きます。偽装請負かどうかは、契約書に何と書いてあるかでは決まりません。実際にどう働いているかという実態で判断されます。そして、判断の基準は昭和61年労働省告示第37号としてはっきり文書化されていて、誰でも読める形で公開されています。この記事では、その基準を分解し、在宅で業務委託を受ける側が見分けるための具体的な目印を整理します。罰則の中身と、相談できる窓口も併せて確認します。

偽装請負という言葉が指している2つの型

偽装請負という言葉は、実は2つの違う状況に使われています。ここを区別しないまま調べ始めると、自分の状況に当てはまらない説明を読むことになります。

1つ目は、3者が登場する型です。A社がB社と請負契約を結び、B社が雇っている従業員がA社の現場で働く。このとき、A社がB社の従業員に直接指示を出していると、形は請負でも実質は労働者派遣です。許可を受けずにこれを行えば労働者派遣法違反になります。製造現場や情報システムの開発現場で問題になってきたのは、主にこの型です。

2つ目は、2者しか登場しない型です。発注者が個人と業務委託契約を結び、その個人を従業員と同じように指示して働かせる。この場合は労働者派遣の問題ではなく、その個人が労働基準法上の労働者に当たるかどうかという問題になります。労働者に当たると認められれば、最低賃金、労働時間、割増賃金、年次有給休暇、労災保険といった保護がすべて適用されるという結論になります。

在宅で1人で仕事を受けている人が直面するのは、多くの場合2つ目の型です。ただし、発注元が仲介会社を挟んでいる場合や、自分が誰かを雇って請けている場合は1つ目の型も関係してきます。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、違法な偽装請負の場合や、請負のような契約にしているが実態は雇用契約だと認められる場合には、就労の実態に応じて労働基準法や労働安全衛生法における使用者責任が問われると書いています。どちらの型でも、形式で逃げられるわけではない、という点は共通しています。

判断は契約書の名前ではなく実態で決まる

厚生労働省は、労働者派遣か請負かの判断について、契約形式ではなく基準に基づいて実態に即して判断されると明記しています。ここが出発点です。契約書の題名が「業務委託契約書」でも「請負契約書」でも、判断は変わりません。

具体的な判断の材料も整理されています。当事者の間に指揮命令の関係があるかどうかを、契約の内容だけでなく実際の業務のやり方まで見て判断する形です。

当事者間の指揮命令関係の有無は、契約内容のみならず、実際の業務の態様も踏まえたうえで、実質的・総合的に判断されます。具体的には、以下の要素などが考慮されます。 出典: keiyaku-watch.jp

実質的で総合的に判断される、という点は両方の面を持っています。1つの要素だけで違法と決まらない代わりに、1つの要素が形式上整っていても安全にはならない、ということです。だから、自分の状況を判断するときは要素を1つずつ数えていく作業になります。

判断の基準そのものは、昭和61年労働省告示第37号として公開されています。平成24年の改正を経た現在の版が厚生労働省のサイトにPDFで掲載されています。全部で3条しかない短い文書で、専門用語も限られています。自分の状況に当てはめるなら、解説記事を読むより先にこれを読むほうが早いです。

告示3条には、逃げ道を塞ぐ規定も置かれています。2条の要件をすべて満たしている事業主であっても、それが法律違反を免れるために故意に偽装されたもので、本当の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れられないと書かれています。書類だけ整えて実態を変えないやり方は、この条文で否定されています。

37号告示の2つの要件を分解する

告示2条は、請負として扱われるための要件を2つの号に分けています。両方をすべて満たさない限り、労働者派遣事業を行う事業主として扱われる、という構造です。順に見ていきます。

1号は、自分が雇っている労働者の労働力を自ら直接利用していることです。中身はさらに3つに分かれます。イは業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うことで、業務の遂行方法に関する指示と、業務の遂行に関する評価などに係る指示の両方が含まれます。ロは労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うことで、始業と終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する指示と、時間外労働や休日労働をさせる場合の指示が対象です。告示はここで「これらの単なる把握を除く」と書いていて、時間を把握すること自体は指示に当たらないと整理しています。ハは企業における秩序の維持と確保のための指示その他の管理を自ら行うことで、服務上の規律に関する指示と、労働者の配置等の決定と変更が含まれます。

2号は、請け負った業務を自分の業務として、契約の相手方から独立して処理していることです。こちらも3つに分かれます。イは業務の処理に要する資金をすべて自らの責任で調達して支払うこと。ロは業務の処理について、民法や商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。ハは、単に肉体的な労働力を提供するものでないことです。ハについては2つの選択肢があり、自分の責任と負担で準備し調達する機械、設備、器材、材料、資材で業務を処理するか、自分で行う企画または自分の持つ専門的な技術や経験に基づいて業務を処理するか、どちらかに当たる必要があります。業務上必要な簡易な工具は、この機械や設備には含まれません。

在宅で働く人が確認しやすいのは、2号のハです。自分のパソコンとソフトウェアを使い、自分の技術や経験に基づいて仕事をしているなら、この部分は満たしています。逆に、発注者から貸与された端末で、発注者が決めた手順どおりに単純作業だけをしている状態は、2号のハを満たしにくくなります。

1号のロも分かりやすい目印です。始業時刻と終業時刻を発注者に指定されているなら、労働時間の管理を発注者が行っていることになります。会議の時間を決めることと、勤務時間そのものを決めることは別です。打ち合わせの日時を合わせるのは取引先同士の調整ですが、毎日9時から18時まで待機するよう求めるのは労働時間の管理に近づきます。

罰則と法的リスクの中身

偽装請負が認定された場合の罰則を確認します。まず、許可を受けずに労働者派遣事業を行った場合です。

偽装請負が無許可での労働者派遣事業に該当する場合、派遣元事業主に対して「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」が科されます(労働者派遣法59条1号)。 出典: keiyaku-watch.jp

労働者派遣法59条を条文で確認すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という水準で、4条1項または15条の規定に違反した者、5条1項の許可を受けないで労働者派遣事業を行った者などが対象になっています。条文はe-Gov法令検索で読めます。

法人が罰せられる場合もあります。同法62条は、法人の代表者、または法人や人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人や人の業務に関して58条から61条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほかその法人や人に対しても各本条の罰金刑を科すと定めています。つまり、指示を出した担当者だけでなく会社そのものも罰金の対象になります。

もう1つ押さえておきたいのが職業安定法です。同法44条は、何人も労働者供給事業を行ってはならず、労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならないと定めています。この違反は同法64条10号により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。労働者派遣法の許可の枠組みに乗らない形での人の融通は、こちらで規制されます。条文はe-Gov法令検索の職業安定法で確認できます。

罰則以外のリスクもあります。労働基準法上の労働者だと認定されれば、過去に遡って未払いの割増賃金を請求できる余地が出てきます。労災が起きていた場合の責任の所在も変わります。さらに、行政による指導や是正勧告、公表といった処分もあり得ます。罰金の額だけを見て軽く考える話ではありません。

在宅で受け取る指示のどこから危なくなるか

指示を1つ受けたら即座に偽装請負、という単純な線ではありません。厚生労働省は37号告示に関する疑義応答集を公開していて、具体的な場面ごとに結論を示しています。在宅で働く人が判断に使える例を拾っておきます。

業務に関係のない日常的な会話は、指揮命令には当たりません。発注者の担当者と雑談をしても、それだけで偽装請負になることはないと明記されています。この程度のことを心配して連絡を絞る必要はありません。

成果物に不備があったときの扱いも整理されています。発注者から請負事業主に対して、作業工程の見直しや作り直しを要求することは、契約の当事者の間で行われるものなので労働者派遣には当たりません。ただし、発注者が直接その現場の作業者に作業工程の変更や作り直しを指示した場合は、直接の指揮命令に当たるため偽装請負と判断されると書かれています。誰に対して言うかで結論が変わるという構造です。

災害時など緊急の必要があって安全や健康を確保するために直接指示を行う場合や、法令を守るために必要な指示を行う場合には、別の考え方が示されています。安全衛生上の指示を出したこと自体が直ちに偽装請負になるわけではありません。個別の判断は場面によって変わるので、厚生労働省の37号告示関係疑義応答集のページで該当する場面を探すのが確実です。

在宅の仕事に当てはめると、危なくなるのは次のような形です。作業の手順を1つずつ指定され、その手順から外れることを認められない。勤務時間を指定され、その時間に連絡が取れる状態を求められる。休む日を事前に許可制で申請させられる。使う道具を発注者が指定し、自分の判断で選べない。成果物の単位ではなく、働いた時間に対して報酬が払われる。これらが重なっていくほど、実態は雇用に近づきます。

逆に、成果物の仕様を細かく決めることは問題になりません。納品する物の要件を定めるのは発注の内容そのものです。仕様を決めることと、作り方を指示することの違いを意識すると、線が見えやすくなります。

1人で請けているときに起きる特殊な問題

疑義応答集には、1人で働いている場合に特有の指摘があります。請負の作業場に作業者が1人しかいなくて、その作業者が管理責任者を兼任している場合、実態としては発注者から管理責任者への注文が、発注者から作業者への指揮命令になることから、偽装請負と判断されると書かれています。

この指摘は重要です。通常、請負の形が成り立つのは、発注者が請負事業主の管理責任者に注文を伝え、管理責任者が作業者に指示を出すという二段構えがあるからです。作業者が1人でその人が管理責任者も兼ねていると、二段構えが消えて発注者の言葉が直接その人に届きます。構造として指揮命令が成立してしまう、という理屈です。

ただし、この記述は請負事業主が労働者を雇っている前提の話です。1人で事業を営んでいる個人が業務委託を受けている場合は、労働者派遣法の問題ではなく、その人が労働基準法上の労働者に当たるかという問題になります。とはいえ、指摘の背景にある考え方は共通しています。発注者の言葉が作業の進め方に直接届く形になっているなら、独立して業務を処理しているとは言いにくくなります。

管理責任者が作業者を兼任している場合の別の注意点も示されています。兼任していても責任を果たせるなら問題はなく、休暇などで不在になる場合は代理の者を選任しておけばよいとされています。一方で、作業の都合で事実上は労働者の管理ができないのであれば管理責任者とはいえず、偽装請負と判断されると書かれています。名前だけ置く形では足りない、ということです。

複数の人を集めて請けている個人事業主は、この点を先に整理しておく価値があります。自分が作業もしながら他の人の管理も担う形なら、管理の時間を確保できるかどうかが分かれ目になります。作業量を詰め込みすぎて管理が回らなくなると、構造そのものが崩れます。

個人の業務委託で問われるのは労働者性

在宅で1人で受けている人にとって実務上重要なのは、労働基準法上の労働者に当たるかどうかという判断です。ここは労働者派遣の話とは別の物差しで見ます。

判断の中心になるのは、使用従属性があるかどうかです。仕事の依頼や業務に従事する指示を断る自由があるか。業務の進め方について具体的な指揮監督を受けているか。働く時間と場所が拘束されているか。自分の代わりに他の人を使うことが認められているか。報酬が労務の提供そのものに対して支払われているか。これらを総合して判断されます。補強する要素として、機械や器具を自分で負担しているか、報酬の水準が同種の労働者と比べてどうか、他の発注者からも仕事を受けられるかといった点も見られます。

労働者だと認められた場合の効果は大きくなります。最低賃金法が適用され、労働時間の規制がかかり、法定労働時間を超えた分の割増賃金を請求できます。年次有給休暇の権利も生じます。労災保険の対象になり、業務中のけがについて給付を受けられます。解約を一方的に告げられた場合も、解雇として制限がかかります。つまり、労働者性が認められることは働く側にとって不利な話ではありません。

一方で、労働者と認められれば失われるものもあります。他の発注者から自由に仕事を受ける立場ではなくなる可能性があり、必要経費を差し引いて所得を計算する扱いもできなくなります。どちらが自分にとって望ましいかは、収入の構成と働き方の希望で変わります。感情ではなく条件で比べる場面です。

判断そのものは個別の事情で変わります。同じような契約書でも、実際の働き方が違えば結論が変わります。自分の状況が該当するかどうかは、労働基準監督署や弁護士に実際の資料を見せて確認するのが確実です。契約書、指示のやり取りの記録、作業時間の記録の3つを揃えて持ち込むと、判断が早く進みます。

仲介会社が間に入る場合の見方

在宅の仕事では、発注者と自分の間に仲介会社が入る形がよくあります。この場合、登場人物が3人になるので、指示がどこから来ているかを整理する必要があります。

基本の形は、仲介会社が発注者から業務を請け、仲介会社が自分に再委託するという流れです。このとき、業務の指示は仲介会社から来るのが筋になります。発注者の担当者が自分に直接、作業の進め方を指示してくる状態が続くなら、契約の形と実際の指揮命令の経路がずれています。自分が仲介会社に雇われている従業員なら、これは労働者派遣に当たる可能性が出てきます。自分が独立した事業者として再委託を受けているなら、独立して業務を処理しているとは言いにくい状態になります。

疑義応答集には、逆方向の例も示されています。請負事業主だけでは処理できないときに、発注者の労働者が請負事業主の作業場で作業の応援を行い、請負事業主の指揮命令の下で請け負った業務を行った場合は、発注者が派遣元事業主、請負事業主が派遣先となる労働者派遣に該当するとされています。労働者派遣法に基づいて適正に行われていない限り違法です。ただし、従来の契約の一部を解除したり変更したりして、請負事業主が処理しなくなった業務を発注者が自ら行うことになった場合は、変更の手続きが適切に行われているなら違法ではないとされています。人が足りないときに応援を入れるという素朴な対応が、手続きを踏まないと違法になるという点は覚えておく価値があります。

在宅で働く側にとっての実務上の対処は単純です。指示の窓口を1つに絞ってもらうことです。契約の相手方が仲介会社なら、仕様の変更や作業の相談は仲介会社を通す形にする。発注者から直接連絡が来たら、内容を仲介会社に共有する。この運用にしておけば、後から実態を説明するときの材料が揃います。手間は増えますが、揉めたときの立場が変わります。

作業場所の話も1つあります。疑義応答集は、発注者の作業スペースの一部に請負事業主の作業スペースがある場合について、区分の仕方を扱っています。在宅の仕事では物理的な場所が分かれているため、この論点は生じにくくなります。在宅という働き方そのものが、独立性を保ちやすい条件になっているとも言えます。

偽装請負と混同されやすい仕組みの違い

用語が近いために混同されやすい仕組みを並べておきます。自分の契約がどれに当たるかを判断するときの整理になります。

労働者派遣は、派遣元が雇っている労働者を、派遣先の指揮命令の下で働かせる仕組みです。労働者派遣法にもとづく許可が必要で、許可を受けずに行えば同法59条の罰則の対象になります。派遣できない業務も同法4条1項で決まっていて、港湾運送業務、建設業務、警備業法2条1項各号に掲げる業務などが挙げられています。指揮命令が派遣先にあること自体は違法ではなく、許可と手続きを踏んでいるかどうかが分かれ目です。

請負と業務委託は、仕事の結果や事務の処理を引き受ける契約です。発注者に指揮命令の権限はありません。作業の進め方は受ける側が決めます。だから、発注者が作業の進め方を決めている状態は、この契約の性質と矛盾します。矛盾が積み重なった状態が偽装請負と呼ばれるものです。

労働者供給は、供給元が自分の支配下にある労働者を他人に使わせる仕組みです。職業安定法44条で原則として禁止されていて、例外は同法45条の、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて行う無料の労働者供給だけです。雇用関係がないまま人を融通する形は、ここに当たる可能性があります。

職業紹介は、求人と求職を結びつけて雇用関係の成立をあっせんする仕組みです。紹介が終わった後は、雇う側と働く側の直接の関係になります。指揮命令はその雇う側にあり、紹介した側には残りません。在宅の仕事を紹介するサービスを使う場合、紹介で終わるのか、仲介会社が契約の当事者として残るのかで、後の指示の経路が変わります。

自分の契約がどれに当たるかは、契約書の当事者欄と報酬の流れを見ると判断しやすくなります。報酬が誰から支払われるか、仕様を決める権限が誰にあるか、その2つを押さえると整理が付きます。分からない場合は契約書を持って労働局の需給調整事業部門に相談すれば、どの枠組みに当たるかを整理してもらえます。

契約の段階で確認しておく項目

始めてから揉めるより、契約の段階で確認しておくほうが負担が軽くなります。在宅で業務委託を受けるときの確認項目を並べます。

1つ目は、報酬の決め方です。成果物の単位で決まっているか、働いた時間で決まっているかを確かめます。時間で決まっている場合、それ自体が違法になるわけではありませんが、労働者性の判断で使用従属性を示す材料になり得ます。

2つ目は、作業時間の扱いです。納期だけが決まっていて時間配分は自分で決められるのか、特定の時間に稼働することを求められるのかを確かめます。定例の打ち合わせがあるのは普通ですが、常時の待機を求められるなら性格が違います。

3つ目は、指示の経路です。発注者の誰から、どの形で指示が来るのかを確かめます。仕様書という形で来るのか、都度の口頭指示で来るのかで、後から実態を説明するときの材料が変わります。

4つ目は、道具の負担です。自分の機器とソフトウェアを使うのか、貸与されるのかを確かめます。情報管理の都合で貸与端末を使う契約も現実にはありますが、その場合は理由を契約書に書いてもらうと、後で説明しやすくなります。

5つ目は、他の仕事を受けられるかです。専属を求められている場合、その理由と範囲を確認します。競合する相手の仕事を断る取り決めは合理性がありますが、あらゆる仕事を禁じる形は独立した事業者としての扱いと矛盾します。

6つ目は、成果物の検査と受領の手順です。何をもって納品完了とするのか、検査を終える期日はいつかを確かめます。ここが決まっていないと、いつまでも修正を求められる状態になり、時間で拘束される形に近づきます。修正の回数の上限や、追加の作業が発生したときの扱いも併せて決めておくと、範囲が広がるのを防げます。

これらを文書で残すこと自体が、後の交渉材料になります。発注書や契約書に入れるべき項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにチェックリストの形で整理されています。報酬が支払われないときの回収手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で、弁護士費用の目安と支払督促の流れを扱っています。

相談できる窓口と、進め方

自分の状況が偽装請負に当たるかもしれないと思ったときの動き方を整理します。まず、記録を残すことから始めます。指示のやり取り、作業した時間、成果物の納品記録を日付が分かる形で保存します。後から作ることはできないので、気づいた時点から始めます。

相談先は内容で分かれます。労働者派遣法や職業安定法に関する疑いは、都道府県労働局の需給調整事業部門が担当です。労働基準法上の労働者に当たるかどうかや、未払い賃金の問題は労働基準監督署が担当です。どちらか分からない場合は、労働局の総合労働相談コーナーから案内してもらえます。相談は無料で、匿名での相談も受け付けています。相談したことが発注者に伝わるのを心配する人が多いところですが、名前や相談内容の扱いをどうするかは相談の冒頭で確認できます。取引を続けたいなら、その希望を伝えたうえで進め方を相談するのが現実的です。

適正な請負のやり方について、発注する側が参照できる資料も公開されています。厚生労働省は請負を適正に行うためのページでガイドを示しています。発注者と話し合うときに、この資料を持ち出すと議論が具体的になります。相手を責める形ではなく、契約の形を整える相談として持ち込むほうが結果につながりやすいところです。

注意しておきたいのは、関係を壊さずに直す道もあるということです。発注者が悪意で偽装しているとは限らず、請負の形を知らないまま従業員と同じ扱いをしている場合もあります。指示の経路を整える、報酬を成果物の単位に変える、稼働時間の指定をやめるといった変更で、形が整うことがあります。まず話してみるほうが、仕事を失わずに済む可能性が高くなります。

法的な判断が必要な段階になったら、弁護士に相談してください。労働問題を扱う弁護士は初回の相談を無料にしている事務所もあります。個別の事情によって結論が変わるため、記事の内容だけで自分の状況を断定しないことをおすすめします。

現場から見た、独立性の作り方

20年この市場を見てきた立場から言えば、偽装請負の状態に陥りやすいのは、1社だけから仕事を受けている人です。収入の全部が1社に依存していると、指示の形に異議を言えなくなります。結果として、実態が雇用に近づいていっても是正を求められません。独立性は契約書の文言ではなく、断れる状態があるかどうかで決まります。

運営者として見てきた限りでは、複数の発注元を持っている人のほうが、契約の条件を整えるのが上手です。他にも収入源があるという前提があるから、稼働時間の指定を断り、成果物の単位で報酬を決める交渉ができます。逆に1社依存の人は、条件を整える話をすること自体をためらいます。技術の差ではなく、立場の差がここに出ます。

手取りの厚さも独立性に関わります。仲介の手数料が乗る経路では、同じ予算でも受け手に届く額が薄くなるため、件数を増やすしかなくなり、1件ごとに条件を選ぶ余裕が失われます。中間のマージンが乗らない直接取引だと、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は手数料0%の厚い手取りを確保できます。手取りに余裕があるほど、条件の悪い依頼を断れます。この余裕が、実態として独立した事業者であり続けるための土台になっていました。

複数の発注元を確保するには、需要のある領域を押さえておく必要があります。業務の整理と自動化の提案は依頼が増えている領域で、案件の種類はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で確認できます。情報の守り方まで含めた案件はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されています。開発の経験がある人はアプリケーション開発のお仕事で工程ごとの求められ方を見られます。

報酬の水準を判断するなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のように職種ごとの単価をまとめたデータが手がかりになります。自分の単価が同じ職種の水準より大きく低い場合、労働者性の判断で報酬の水準が考慮される要素の1つになることもあります。数字を知っておく意味はここにもあります。書類のやり取りを整える力を付けたいなら、ビジネス文書検定のように文書の構成を体系的に扱う資格が、契約書や提案書を読み書きする場面で効きます。

最後に確認の順番を整理します。契約書の名前ではなく実態で判断されることを押さえる。37号告示の2つの要件に自分の状況を当てはめる。当てはまらない要素があれば、指示のやり取りと作業時間の記録を残し始める。発注者と条件を整える相談をする。それで進まなければ労働局か労働基準監督署に相談する。この順番で進めれば、感情で動いて仕事を失う展開を避けられます。

よくある質問

Q. 契約書が業務委託契約なら偽装請負にはなりませんか?

なります。厚生労働省は、労働者派遣か請負かの判断は契約形式ではなく、37号告示に基づいて実態に即して行われると明記しています。さらに同告示3条は、要件をすべて満たしていても法律違反を免れるために故意に偽装されたものであれば、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れられないとしています。書類だけ整えても結論は変わりません。

Q. 偽装請負が認定されると誰が罰せられますか?

罰則を受けるのは発注側と請負側の事業者です。許可を受けずに労働者派遣事業を行った場合は労働者派遣法59条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人については同法62条により罰金刑が科されます。職業安定法44条の労働者供給事業の禁止に違反した場合も、同法64条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

Q. 発注者から作業の指示を受けたら即座に違法ですか?

違法とは限りません。厚生労働省の疑義応答集は、業務に関係のない日常的な会話は指揮命令に当たらないとしています。また、不備があったときに発注者が請負事業主に対して作り直しを要求することも、契約の当事者間のやり取りなので該当しません。ただし、発注者が直接その現場の作業者に作業工程の変更を指示した場合は、偽装請負と判断されるとされています。

Q. 1人で業務委託を受けている場合はどこを見ればよいですか?

労働基準法上の労働者に当たるかどうかという物差しで見ます。仕事の依頼を断る自由があるか、業務の進め方に具体的な指揮監督を受けているか、時間と場所が拘束されているか、報酬が労務の提供に対して支払われているかを総合して判断されます。労働者と認められれば最低賃金や割増賃金、労災保険の対象になります。判断は個別の事情で変わるので、資料を揃えて労働基準監督署か弁護士に確認してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月10日最終更新:2026年9月29日
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