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科学技術振興機構(JST)の不正アクセス|役職員のメール 約18,000件が漏えいした可能性 2026

@SOHO編集部
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科学技術振興機構(JST)の不正アクセス|役職員のメール 約18,000件が漏えいした可能性 2026

この記事のポイント

  • ✓科学技術振興機構の情報漏洩について
  • ✓2026年8月7日の公式発表と8月28日の一部更新をもとに整理
  • ✓役職員12名のメールボックスのメール 約18,000件

科学技術振興機構の情報漏洩について、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は2026年8月7日、第三者による不正アクセスにより、一部の役職員のメールボックスに保管されていたメールの一部が外部に漏えいした可能性があると発表しました。2026年8月28日の一部更新で示された件数は、JST役職員12名のメールボックスに保管されていたメール情報約18,000件、そのメールに含まれる外部のメールアドレス約1,400件、JST役職員のメールアドレス約1,000件です。 JSTの役職員とメールをやり取りしたことがある研究者や企業の担当者がまずすることは、JSTやその事業を名乗るふだんと違うメールのリンクや添付ファイルを開かないこと、JSTに送ったメールに外に出ると困る内容がなかったかを振り返ること、そして自分のメールアカウントに多要素認証を設定することです。

2026年11月1日時点で、JSTの公式サイトのお知らせ一覧に、この件の新たな続報は掲載されていません。公表後の変化は、2026年8月28日に件数が精査の結果として更新されたことだけです。原因の調査結果や、対象者への個別の通知についての続報は、2026年11月1日時点で公表されていません。この記事は、JSTの公式発表「不正アクセスによる情報漏えいの可能性に関するお詫びとお知らせ」を開き直し、8月28日の更新後の内容で確かめて書いています。報道の数字や推測は入れていません。

科学技術振興機構(JST)の不正アクセスで何が起きたのか

科学技術振興機構(JST)は、科学技術・イノベーション政策の推進で中核的な役割を担う国立研究開発法人です。公式サイトの概要では、基礎研究やスタートアップの支援、研究戦略の立案、研究の基盤となる人材の育成や情報の発信、大学ファンドの運用などを手がけていると説明されています。研究費の公募や採択を通じて、大学や企業の研究者と日常的にメールでやり取りしている組織です。

今回の件の骨子は次のとおりです。

  • 2026年7月28日に外部機関からJSTに情報提供があった
  • 外部専門機関と連携して調査した結果、第三者による不正アクセスにより、一部の役職員のメールボックスに保管されていたメールの一部が外部に漏えいした可能性があると分かった
  • 不正アクセスに悪用された経路はすでに遮断し、アクセス権限の無効化等の措置を実施済み
  • 現時点で、漏えいした可能性のある情報が不特定多数に公開された事実や、不正利用された事実は確認されていない
  • 個人情報保護委員会へ報告済みで、関係省庁、警察とも連携して調査を続けている

発表で使われている言葉は「漏えいした可能性」です。メールが外に出たことが確定したわけではなく、その可能性があると調査で分かった段階だということです。この記事でも「漏えいした」とは言い切らず、「漏えいした可能性がある」と書きます。

メールボックスとは、メールサービスの中で、受け取ったメールや送ったメールが保存されている場所のことです。今回は、役職員12名のメールボックスに保管されていたメールの一部が対象とされています。JSTのメールのシステム全体ではなく、特定の12名のメールボックスに限った話として発表されています。

公表の経緯と2026年8月28日の件数の更新

JSTは、2026年8月7日に発表を出し、2026年8月28日にその発表の件数を一部更新しました。2026年11月1日時点でお知らせ一覧を開き直したところ、8月7日の発表のあとに出ているのは、ネットワーク機器のメンテナンスやWebサイトのアクセス不具合などのお知らせで、この件の新しい発表はありませんでした。

日付 出来事 発表に書かれている内容
2026年7月28日 外部機関から情報提供 外部機関からJSTに対する情報提供があった
2026年7月28日以降 調査 外部専門機関と連携して調査。悪用された経路を遮断し、アクセス権限の無効化等の措置を実施
2026年8月7日 公式サイトで公表 一部の役職員のメールボックスのメールの一部が漏えいした可能性があると発表
2026年8月28日 発表を一部更新 精査の結果として、漏えいした可能性のある情報の件数を更新
2026年11月1日時点 続報なし お知らせ一覧に新しい発表の掲載なし

8月28日の更新は、同じ発表のページの中で行われています。発表の日付の下に「2026年8月28日一部更新」とあり、件数のそれぞれに「精査の結果、上記の通り更新いたしました(2026年8月28日)」という注記が付いています。新しいページが別に出たわけではないため、検索で8月7日の時点の情報を書いた記事に当たると、更新前の数字が書かれていることがあります。件数を確かめるときは、JSTの公式の発表のページそのものを開いてください。

この記事で使う件数は、すべて2026年8月28日に更新された後の数字です。更新前の数字は、混乱を避けるために書きません。

漏えいした可能性のある情報と件数

発表が「現時点で確認できている範囲」として挙げている、漏えいした可能性のある情報は次の3つです。

漏えいした可能性のある情報 件数(2026年8月28日更新後)
JST役職員12名のメールボックスに保管されていたメール情報 約18,000件
上記のメール情報に含まれる外部のメールアドレス 約1,400件
上記のメール情報に含まれるJST役職員のメールアドレス 約1,000件

発表の該当部分は次のとおりです。

このたび、2026年7月28日に外部機関から当機構に対する情報提供があり、外部専門機関と連携して調査した結果、第三者による不正アクセスにより、当機構の一部役職員のメールボックスに保管されていたメールの一部が外部に漏えいした可能性がございますので、お知らせいたします。 出典: jst.go.jp

3つの件数は、それぞれ別のものを数えています。約18,000件はメールの通数です。約1,400件と約1,000件は、そのメールの中に含まれていたメールアドレスの数です。外部のメールアドレス約1,400件とは、JSTの外の人、たとえば研究者や企業の担当者などのアドレスが、それらのメールの中に含まれていたという意味です。どのような立場の人のアドレスかは、発表には書かれていません。

発表には、ほかの会社の発表で見られる「クレジットカード情報は含まれません」のような、含まれない項目の一覧はありません。メールの本文や添付ファイルにどのような情報が書かれていたか、氏名や電話番号、研究の計画書などが含まれていたかも書かれていません。この記事では、発表にない項目について、含まれるとも含まれないとも書きません。

一方で、「メール情報」が対象である以上、メールアドレスだけでなく、メールに書かれていた中身が対象になり得るという点は押さえておく必要があります。JSTとのやり取りでメールに何を書いたかは、送った側がいちばんよく知っています。対象者への個別の通知がまだ示されていない段階では、自分の送信済みの一覧で振り返ることが、自分の情報を守る手がかりになります。

「現時点で確認できている範囲」の意味

発表は、漏えいした可能性のある情報を「現時点で確認できている範囲で以下の通り」と書いています。この書き方には、調査が進めば範囲や件数が変わり得るという意味が含まれています。実際に、8月28日には精査の結果として件数が更新されました。

また、発表は現在の状況について、次の点を明記しています。

  • 漏えいした可能性のある情報が不特定多数に公開された事実は、現時点で確認されていない
  • 漏えいした可能性のある情報が不正利用された事実は、現時点で確認されていない

「不特定多数に公開された事実」とは、たとえばインターネット上の掲示板やサイトに、誰でも見られる形で載せられたことを指します。「不正利用された事実」とは、盗まれた情報が実際に悪用されたことを指します。2026年11月1日時点で公表されている範囲では、どちらも確認されていません。

ただし、「確認されていない」は「起きていないと確定した」とは違います。調査の時点で見つかっていないという意味です。関係者の側では、悪用されていないことを前提にせず、なりすましのメールへの備えを先に済ませておくのが落ち着いた対処です。

メールボックスが対象になることの重さ

今回の件で対象とされたのは、データベースの会員情報ではなく、役職員のメールボックスに保管されていたメールです。この違いは、関係者がすることを考えるうえで大事な点です。

会員情報のデータベースであれば、どの項目が登録されていたかを会社の側で一覧にでき、発表でも「氏名、住所、電話番号」のように項目を並べることができます。一方、メールには決まった項目がありません。送った人がその時々に書いた文章や、付けたファイルがそのまま残っています。12名の役職員それぞれが、どの期間に、誰と、どのような内容のメールをやり取りしていたかで、含まれる情報は大きく変わります。

JSTの発表も、件数を「メール情報 約18,000件」「外部のメールアドレス 約1,400件」という数え方で示しており、メールに含まれていた項目の一覧は出していません。項目の一覧がない以上、メールの中身を最もよく知っているのは、送った側の本人です。

研究者や企業の担当者は、JSTの役職員との間で、どの時期にどのような内容をメールで送ったかを、送信済みの一覧や、研究室の共有の記録で振り返っておくと安心です。どこまで振り返ればよいかの期間は、発表に書かれていません。分かる範囲でさかのぼり、外に出ると困る内容を含むものから先に確かめてください。

原因について発表で分かっていること

発表は、原因について「第三者による不正アクセス」と書いています。どのような手口で役職員のメールボックスに入られたのか、たとえば偽のログイン画面にパスワードを入れたのか、別の経路だったのかは、書かれていません。

判明後の対応として、発表は次の点を挙げています。

  1. 不正アクセスに悪用された経路をすでに遮断した
  2. アクセス権限の無効化等の措置を実施した
  3. 外部専門機関と連携して調査した
  4. 関係省庁、警察とも連携して、引き続き調査を進めている

アクセス権限の無効化とは、不正アクセスに使われた可能性のあるIDや、メールボックスに入るための許可を使えなくすることです。悪用された経路が何だったのかは書かれていないため、この記事でも推測しません。

気づいたきっかけが、7月28日の「外部機関からの情報提供」だった点も、発表から読み取れます。どの外部機関から、どのような情報提供があったのかは書かれていません。今後の対応として、JSTは「より一層の監視・検知の高度化」を挙げています。監視・検知の高度化とは、不正なアクセスが起きたときに、組織の中で早く気づけるようにすることです。

原因の詳しい調査結果は、2026年11月1日時点で公表されていません。

なお、JSTのお知らせ一覧には、2026年9月15日付の「JSTのWebサイト(www.jst.go.jp)へのアクセス不具合について」というお知らせもあります。Webサイトの一部が一時的にアクセスできなかったという内容で、今回の不正アクセスの件と結びつける記載はありません。

JSTの対応と今後の予定

JSTが発表で示している対応を整理すると、次のとおりです。

対応 発表に書かれている内容
経路の遮断 不正アクセスに悪用された経路はすでに遮断
権限の無効化 アクセス権限の無効化等の措置を実施済み
個人情報保護委員会への報告 報告済み
関係機関との連携 関係省庁、警察とも連携のうえ、引き続き調査
今後の対応 関係法令などを踏まえ、関係省庁、警察と緊密に連携した調査を継続し、適切に対応する
再発防止 原因究明を進めるとともに、監視・検知の高度化など、再発防止と情報セキュリティ対策の強化に努める

発表には、対象となった外部のメールアドレスの持ち主に個別に知らせるかどうか、知らせる場合の方法や時期は書かれていません。この件専用の問い合わせ窓口、補償やお詫びの品についての記載もありません。発表にないことは、この記事でもあるとは書きません。

「関係法令などを踏まえ」「適切に対応してまいります」という書き方からは、今後、法令に基づく対応が進められることが読み取れますが、具体的な中身は示されていません。対象者への通知が始まった場合は、JSTの公式サイトに案内が出ると考えられます。

自分が対象かを確かめる方法

対象とされたのは、JST役職員12名のメールボックスに保管されていたメールと、その中に含まれていたメールアドレスです。12名がどの部署の誰なのかは、発表には書かれていません。そのため、JSTとメールでやり取りしたことがある人が、自分のアドレスが約1,400件の中に含まれるかどうかを外から確かめる方法は、2026年11月1日時点では示されていません。

対象になり得るのは、たとえば次のような立場でJSTの役職員とメールをやり取りした人です。

  • JSTの事業に応募したり、採択されて研究を進めたりしている研究者
  • JSTの事業に関わる大学や企業の事務の担当者
  • JSTと取引のある企業の担当者
  • JSTのイベントや会議で連絡を受けた人

ただし、これらの立場の人全員が対象というわけではありません。対象は、あくまで12名のメールボックスに保管されていたメールに含まれていたアドレスです。

確かめの手がかりとしては、次の順番で考えます。

  1. JSTから、この件についての個別の連絡が届いていないかを受信箱と迷惑メールのフォルダで探す
  2. 自分がJSTの役職員とメールでやり取りした時期と相手を、送信済みの一覧で振り返る
  3. JSTの公式サイトのお知らせ一覧で、対象者への通知についての新しい案内が出ていないかを確かめる

2026年11月1日時点で、JSTが対象者に個別の通知を送ったという記載は公式サイトにありません。「JSTから対象者へのお知らせ」を装ったメールが来ないとも言い切れないため、通知らしいメールの中でログインや個人情報の入力を求められたら、その場で入力せず、JSTの公式サイトを自分で開いて確かめてください。

研究者や企業の担当者がすること

漏えいした可能性があるのはメールとメールアドレスで、パスワードやカード番号が対象とは書かれていません。そのため、することは主に「メールの中身を知った相手からのなりすましのメールに備えること」と「自分が送ったメールの中身を振り返ること」の2つです。

1つ目の備えとして考えられるのは、次のような連絡です。

  • JSTの担当者を名乗り、研究費の手続きや報告書の提出を装ってリンクや添付ファイルを開かせるメール
  • 採択の通知や審査の結果を装い、ログイン画面に似た偽の画面へ誘うメール
  • 共同研究の相手や大学の事務を名乗り、実際のやり取りの内容を引用して本物らしく見せたメール
  • 振込先の変更や、経費の精算に関わる口座の情報を求めるメール

3つ目の例は、メールの中身が対象になり得る今回の件でとくに気をつけたい点です。実際のやり取りの件名や文面を知っている相手は、そのやり取りの続きに見えるメールを作れます。「前回のメールの件で」と始まるメールでも、ふだんと違う依頼や、心当たりのない添付ファイルがあれば、メールに返信せず、電話や別の連絡手段で相手に確かめます。

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2つ目の振り返りでは、JSTの役職員に送ったメールのうち、次のような内容を含むものがなかったかを確かめます。

  • パスワード付きのファイルと、そのパスワードを同じ相手に別のメールで送ったもの
  • 研究の計画書、未公開のデータ、特許の出願前の内容など、外に出ると困る資料
  • 共有のフォルダやファイルのリンク
  • 自分や共同研究者の電話番号や住所などの連絡先

該当するものがあれば、ファイルのパスワードを変える、共有のリンクを止める、共有の設定を見直すなど、自分の側で止められるものを先に止めておきます。共同研究者の情報を含めて送っていた場合は、その人にも一声かけておくと安心です。

JSTを名乗るメールが本物かを確かめる手順

JSTは研究費の公募や採択の連絡などで、ふだんから研究者や大学、企業にメールを送っています。そのため、JSTを名乗るメールを一律に無視するわけにはいきません。本物の連絡を見落とさず、偽物には入力しないために、次の手順で確かめます。

  1. 差出人の表示名ではなく、メールアドレスの@より後ろを見る。ふだんJSTから届くメールのドメインと一字一句同じかを確かめる
  2. メールの中のリンクから開いた画面では、IDやパスワードを入れない。研究費の申請などのシステムは、ブラウザに保存したブックマークや、JSTの公式サイトから辿って開き直す
  3. 開き直した先で、メールに書かれていた手続きや通知が本当にあるかを確かめる
  4. 手続きが見当たらない、期限が急すぎる、ふだんと違う口座を指定されている、といった食い違いがあれば、登録済みの連絡先でJSTの担当者に尋ねる
  5. 判断がつかないメールは、所属先の情報システムの担当や事務の担当に転送して相談する

なお、本物のアカウントが乗っ取られた場合は、差出人のアドレスも本物になります。1番目の確かめで問題が見つからなくても、2番目以降の手順を省かないことが大切です。とくに今回の件のように、メールの中身が対象になり得る場合は、実際のやり取りの続きに見える偽のメールが作られるおそれがあります。

研究室や大学の事務の担当者が周りに知らせること

研究費の事業では、研究者本人だけでなく、研究室の秘書や、大学の研究支援の部署、経理の担当者などがJSTとやり取りしていることがあります。その場合、メールの中身に含まれていたかもしれないのは、研究者本人のアドレスだけではありません。

研究室や部署で次の点を共有しておくと、なりすましのメールに気づきやすくなります。

  • JSTの発表の内容と、2026年8月28日の更新後の件数
  • JSTや研究費の事業を名乗るメールで、ふだんと違う依頼や添付ファイルがあれば、開く前に誰に相談するか
  • 研究費の振込先や経費の精算に関わる依頼は、メールだけで処理せず、登録済みの連絡先で確かめること
  • 共同研究の相手の機関にも、同じ注意を伝えるかどうか

研究室の中で、共有のメールアドレスを複数の人で使っている場合は、そのアカウントの多要素認証とパスワードの扱いもあわせて確かめておきます。共有のアカウントは、誰がいつログインしたかが分かりにくく、異常に気づくのが遅れやすいためです。

続報を確かめるときに見る点

2026年11月1日時点で新しい続報は出ていませんが、JSTは関係省庁、警察と連携した調査を続けるとしています。続報が出たときは、次の点が今の発表から変わっていないかを確かめると、自分のすることが変わるかどうかを判断しやすくなります。

確かめる点 2026年8月28日更新後の発表の内容
メール情報の件数 役職員12名のメールボックスのメール 約18,000件
外部のメールアドレス 約1,400件
JST役職員のメールアドレス 約1,000件
公開や不正利用 不特定多数への公開、不正利用の事実は現時点で確認されていない
原因 第三者による不正アクセス。悪用された経路は遮断済み。詳細は記載なし
対象者への通知 記載なし

とくに、対象者への通知の方法と、メールの中身にどのような情報が含まれていたかは、関係者にとって影響が大きい点です。続報は、検索結果に出てくる記事ではなく、JSTの公式サイトのお知らせ一覧と、発表のページそのものの更新の注記で確かめてください。

パスワードと多要素認証の見直し

JSTの発表では、パスワードが漏えいしたとは書かれていません。それでも、メールのやり取りが外に出た可能性がある以上、自分のアカウントの守りを固めておくことは無駄になりません。

まず、JSTとのやり取りに使ったメールアドレスのアカウントに、多要素認証を設定します。多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンのアプリに表示される数字や指紋など、別の手段でも本人であることを確かめる仕組みです。パスワードが何かの形で盗まれても、それだけではログインできなくなります。仕組みの違いと選び方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版にまとめています。

次に、同じパスワードを複数のサービスで使い回していないかを見直します。研究費の申請のシステム、学会の会員サイト、論文の投稿のシステムなど、研究者が使うサービスは数が多く、使い回しが起きやすいところです。どこか1か所から漏れたパスワードが、ほかのサービスで試されることがあります。パスワードを変える順番と作り方は、パスワードが漏洩したらどうなる|変更の順番と使い回しの見直し方 2026で詳しく説明しています。

最後に、メールのアカウントのログインの記録と、自動転送の設定を確かめます。心当たりのない場所や端末からのログイン、自分の知らない転送先の登録があれば、パスワードを変えて、その設定を外します。

researchmapを装った不審なメールの件とは別

JSTの公式サイトのお知らせ一覧には、2026年5月12日付で「researchmapを装った不審なメールについて」というお知らせも載っています。researchmapとは、研究者が論文や講演などの業績を管理し、発信するためのデータベース型の研究者総覧で、JSTのお知らせでも利用者への案内が出されています。このお知らせは、researchmap事務局からの発信を装った不審なメールへの注意を呼びかけるもので、今回の役職員のメールボックスへの不正アクセスの件とは、日付も中身も別のものです。

5月12日のお知らせでは、researchmapでは、メール等で利用者のIDやパスワードを直接たずねることはないと説明されています。不審なメールを受け取った場合は、本文中のリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりせず、破棄するよう呼びかけられています。

今回の件とは別の話ですが、研究者を狙ったなりすましのメールが以前から出回っていることは、JST自身が注意を呼びかけている事実です。今回の件で対象になったかどうかにかかわらず、JSTやその事業、researchmapを名乗るメールでIDやパスワードを求められたら、応じないのが基本です。

問い合わせ窓口について

JSTの公式サイトの発表には、この件専用の電話番号やメールアドレス、受付時間は載っていません。問い合わせたい場合は、JSTの公式サイトを自分で開き、お問い合わせの案内から連絡する形になります。研究費の事業でJSTの担当者と継続してやり取りしている人は、その担当者に、登録済みの連絡先で尋ねる方法もあります。

いずれの場合も、JSTを名乗るメールに書かれた電話番号やリンクではなく、自分で公式サイトを開いて確かめた連絡先を使ってください。

問い合わせるときは、次の情報を手元にそろえておくと話が早く進みます。

  • JSTとのやり取りに使ったメールアドレス
  • やり取りした時期と、相手の部署や事業の名前
  • JSTを名乗る不審なメールを受け取っていれば、その受信日時と件名
  • そのメールのリンクや添付ファイルを開いたか、何かを入力したか

問い合わせの前に、所属先の大学や企業の情報システムの部署が、すでにJSTから連絡を受けていないかを確かめておくと、同じ問い合わせが重なるのを避けられます。組織として対応が決まっている場合は、その案内に従うのが近道です。個人として問い合わせる場合も、組織の担当に一言伝えておくと、後で組織の側で対象者を整理するときに役立ちます。

在宅で仕事をする人が気をつけること

今回の件は、組織の役職員のメールボックスに保管されていたメールが対象になったものです。メールボックスには、受け取ったメールと送ったメールが、長い期間にわたって保存されています。在宅で業務委託の仕事を受けている人のメールも同じで、取引先の担当者の名前とアドレス、見積もりや契約の条件、取引先から預かった顧客の名簿やデータが、何年分も保存されていることがあります。

個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、民間の事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴など、とくに慎重に扱う情報)を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等が挙げられています。国の行政機関や独立行政法人等の「行政機関等」には別の基準が示されており、本人の数は100人を超える場合とされています。不正アクセスによる漏えいは、不正の目的で行われたおそれがある例として示されています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。

業務委託で個人情報を扱う人が、自分のアカウントから預かった情報を漏らしてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。

メールボックスが狙われる件から学べるのは、「持っている情報が少なければ、漏れる情報も少ない」ということです。仕事で使うメールについて、次の点を見直しておくと安心です。

  • 取引先から預かった名簿やデータを、仕事が終わった後もメールの添付のまま残していないか
  • 古いメールを、必要がなくなった後も無期限に保存していないか
  • 仕事のメールに多要素認証を設定しているか
  • パスワード付きのファイルとそのパスワードを、同じ相手に続けてメールで送っていないか
  • アカウントの乗っ取りに気づいたとき、取引先の誰に、どの手段で知らせるかを決めているか

フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。仕事が終わったデータを整理して削除する、仕事と個人のアカウントを分ける、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。

研究の知識とセキュリティの知識を仕事に生かす

研究者の中には、大学や研究機関に勤めながら、あるいは独立して、研究の知識を生かした仕事を在宅で受けている人もいます。研究者の働き方と報酬の相場は、研究者の年収・単価相場でまとめています。研究の仕事では、未公開のデータや共同研究の相手の情報など、守るべき情報を日常的に扱います。メールの守り方を身につけておくことは、研究の信頼を守ることにも直結します。

また、メールの守り方そのものが、仕事として求められる場面もあります。組織の中には、職員向けの注意喚起の資料づくり、怪しいメールを見分ける研修の教材づくり、取引先向けのお知らせの文面づくりなどを、外部の人に頼むところがあります。社員向けの訓練で使われる考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。

JSTの件は、2026年8月7日の発表と8月28日の件数の更新のあと、2026年11月1日時点で新しい続報が出ていない状態です。JSTの役職員とメールをやり取りしたことがある人は、JSTを名乗るふだんと違うメールへの注意、JSTに送ったメールの中身の振り返り、自分のメールアカウントへの多要素認証の設定の3つを先に済ませ、続報はJSTの公式サイトのお知らせ一覧で確かめてください。

よくある質問

Q. JSTの事業に応募したことがあれば、必ず対象になりますか?

対象は、JST役職員12名のメールボックスに保管されていたメールと、そこに含まれていたメールアドレスです。JSTの事業に応募した人全員が対象というわけではありません。12名が誰なのかは公表されておらず、2026年11月1日時点で自分が対象かを外から確かめる方法は示されていません。JSTからの個別の連絡と、公式サイトのお知らせを確かめてください。

Q. 件数は約18,000件で合っていますか?

2026年8月28日の一部更新後の発表では、JST役職員12名のメールボックスに保管されていたメール情報が約18,000件、そのメールに含まれる外部のメールアドレスが約1,400件、JST役職員のメールアドレスが約1,000件です。8月7日の公表時点から精査の結果として更新されているため、件数はJSTの公式の発表のページで確かめてください。

Q. 漏えいした情報は悪用されていますか?

発表では、現時点で漏えいした可能性のある情報が不特定多数に公開された事実や、不正利用された事実は確認されていないとされています。ただし、調査は関係省庁や警察と連携して続いています。確認されていないことは起きていないと確定したことと同じではないため、JSTを名乗るなりすましのメールには注意してください。

Q. JSTに送ったメールで、気をつけて見直すべきものは何ですか?

パスワード付きのファイルとそのパスワード、研究の計画書や未公開のデータ、共有のフォルダやファイルのリンク、自分や共同研究者の連絡先を含むメールです。該当するものがあれば、ファイルのパスワードを変える、共有のリンクを止めるなど、自分の側で止められるものを先に止め、共同研究者の情報を含めていた場合はその人にも知らせておきます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日
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