経理代行サービスの中身と、在宅で引き受ける側になる道


この記事のポイント
- ✓経理代行サービスは何をどこまで引き受けるのか
- ✓費用の相場はどう決まるのか
- ✓税理士や社労士の仕事との線引きはどこか
「経理を誰かに任せたいけれど、どこまで任せられるのか分からない」。こういうご相談、本当に多いんです。
そしてもう1つ、逆側からのご相談もあります。「事務の経験はあるので、在宅で経理の仕事を引き受けたい。でも資格がないから無理でしょうか」というものです。
大丈夫です。どちらの疑問も、業務の中身を分解すれば整理できます。経理という言葉が広すぎるから迷うのであって、中身は工程に分かれていて、資格が必要な部分と必要でない部分は線が引かれています。
この記事では、まず経理代行サービスが引き受ける業務を工程ごとに並べ、資格の線引きを確かめ、費用の相場が何で決まるかを見ます。そのうえで、頼む側が比べるときの見方、失敗しやすいところ、そして在宅で引き受ける側になるための道筋を順番に書いていきます。
経理代行サービスは、何をどこまで引き受けるのか
経理代行と呼ばれているサービスの中身は、大きく6つの工程に分かれます。
1つ目は、記帳です。領収書や請求書、通帳の入出金を会計ソフトに入力していく作業です。経理代行の中心はここで、依頼の大半がこの工程を含みます。
2つ目は、請求と入金の管理です。取引先への請求書を作って送り、入金があったかを確認し、遅れているものを一覧にして報告します。
3つ目は、支払いの処理です。届いた請求書の内容を確かめ、支払いの一覧を作り、支払日ごとにまとめます。実際の振込は依頼した会社が行う形が一般的です。
4つ目は、経費精算です。従業員が立て替えた費用の申請を確認し、金額と証憑を突き合わせて集計します。
5つ目は、給与計算です。勤怠の記録から支給額を計算し、所得税や社会保険料の控除を計算して、支給額を出します。
6つ目は、月次の資料作成です。試算表や資金の動きが分かる表を作って、経営者が数字を見られる状態にします。
この6つのうち、どこまでを頼むかは会社ごとに違います。記帳だけを頼む会社、請求と支払いまで含める会社、給与計算まで一式で頼む会社。範囲の広さが費用に直結します。
引き受ける側の視点で言うと、ここが大事です。経理代行という言葉で募集されている仕事の中身は、依頼先ごとにまったく違います。応募するときは「経理代行」ではなく「どの工程を任されるのか」で確かめてください。
資格の線引きはどこにあるのか
ここを知らないまま始めると、知らずに線を越えてしまいます。順番に確かめましょう。
まず税金の側です。日本税理士会連合会は、税理士が行う仕事として、税務代理、税務書類の作成、税務相談を挙げています。税務代理は確定申告や税務調査の立会いを代理して行うこと、税務書類の作成は申告書などを本人に代わって作ること、税務相談は税金についての相談に応じることです。
そして会計の業務については、同会は次のように位置づけています。
税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います。 出典: nichizeiren.or.jp
つまり、記帳代行そのものは税理士の業務に付随する会計業務として挙げられており、申告書の作成や税務の相談とは区別されています。ここが実務上の線です。帳簿に入力する作業と、その数字をもとに申告書を作ったり「この費用は経費になりますか」と聞かれて答えたりする行為は、別のものとして扱われます。
在宅で経理の仕事を引き受ける場合、この線を自分の中に引いておいてください。依頼者から税金の判断を求められたら、「その判断は税理士の先生に確認していただく部分です」と返す。冷たい対応ではなく、これが相手を守る対応です。
次に社会保険の側です。全国社会保険労務士会連合会は、労働保険の年度更新の手続、社会保険の算定基礎届の申請、入社や退職、出産や病気の際に必要な健康保険や厚生年金、雇用保険や労災保険に関する手続の代行を、社労士が行う業務として案内しています。給与計算そのものも社労士が扱う業務として挙げられています。
給与計算の実務を在宅で引き受ける募集は実際にありますが、役所へ提出する届出の作成や提出の代行まで含まれる場合は、資格が関わる領域に入ります。範囲があいまいな募集は、応募の段階で「届出の作成や提出は含まれますか」と確認してください。
なお、どこまでが資格の必要な行為に当たるかは、実際の業務の形で判断が分かれることがあります。断定できない領域なので、具体的な業務内容で迷う場合は、地域の税理士会や社会保険労務士会に問い合わせて確認するのが確実です。
費用の相場は、何で決まるのか
頼む側が最初に気にするのが費用です。相場は「いくら」という単一の数字では出ません。決まり方を知ると、見積もりを比べられるようになります。
費用を決める要素は4つあります。
1つ目は、仕訳の件数です。記帳代行は入力する取引の数で工数が決まるので、月あたりの仕訳件数が料金表の基準になっていることが多いです。件数が増えると段階的に上がる形が一般的です。
2つ目は、業務の範囲です。記帳だけなのか、請求と支払いも含むのか、給与計算まで入るのか。工程が増えるぶん料金が上がります。
3つ目は、資料の渡し方です。領収書を紙のまま送る形と、データで渡す形では、受け取る側の手間が違います。紙の仕分けから頼むと、その作業分が費用に乗ります。
4つ目は、対応の速さです。月に1回まとめて処理する形と、週ごとに処理して常に最新の数字が見える形では、費用が変わります。
実際のサービスの価格帯としては、こういう形で示されています。
Wheat Accountingは、月々3万円からオールインワンで対応してくれる経理代行サービスです。基本コースに導入企業の要望にあわせたオプションを追加して、個別に見積もってもらえます。 出典: ntt-finance.co.jp
基本の料金があって、必要なものをオプションで足す形です。これは多くのサービスで共通した組み立て方です。
比べるときの注意を1つ。月額の金額だけを並べても意味がありません。その金額に含まれる仕訳件数の上限、超えたときの追加料金、決算期の対応が別料金かどうか。この3つを確認しないと、実際に払う金額が見積もりと変わります。
引き受ける側の視点でも、同じ構造が使えます。単価を決めるときに「1カ月いくら」だけで答えると、件数が増えたときに自分が損をします。仕訳件数の範囲を決めて、超えた分は追加でいただく形にする。最初からこの形にしておくと、あとで言い出しにくくなる状況を避けられます。
頼む側のメリットとデメリットを、両方並べる
いい面だけを並べると判断できないので、両方書きます。
メリットの1つ目は、人を採らずに経理の機能を持てることです。経理の担当者を1人雇うと、給与のほかに社会保険料や採用の費用がかかります。月あたりの処理量が多くない会社なら、外に頼むほうが総額で軽くなることがあります。
2つ目は、担当者が辞めるリスクから離れられることです。経理を1人に任せている会社では、その人が辞めた瞬間に業務が止まります。引き継ぎの資料がない状態で、通帳の場所も請求のルールも分からなくなる。この事態を避けられます。
3つ目は、制度の変更に付いていけることです。経理のルールは変わります。ある解説記事は、この点をこう書いています。
経理代行サービスを利用すると、この「ルール変更にともなう対応」を専門的な知識と経験を持ったプロに任せられます。 出典: ntt-finance.co.jp
4つ目は、数字が定期的に出てくることです。自分で記帳していると、忙しい月は後回しになります。外に出すと締切が外から来るので、月次の数字が止まりません。
一方、デメリットもあります。
1つ目は、社内に経理の知識が残らないことです。全部を外に出すと、数字の作り方を分かる人が社内にいなくなります。銀行や投資家に説明する場面で困ることがあります。
2つ目は、やりとりの手間が発生することです。領収書を渡す、質問に答える、確認の連絡に対応する。任せれば手間がゼロになるわけではありません。特に始めの数カ月は、ルールを伝える時間がかかります。
3つ目は、情報を外に預けることです。取引先、金額、従業員の給与。会社の内側の情報を渡します。秘密保持の取り決めがない相手には出せません。
4つ目は、対応の速さに限りがあることです。社内の担当者なら「いますぐ見て」と頼めますが、外の事業者には約束した頻度があります。急ぎの確認が多い会社では合わないことがあります。
この4つのデメリットは、契約の仕方で小さくできます。月次の資料を自社でも読めるようにしてもらう、質問の窓口と返答の期限を決めておく、秘密保持の取り決めを文書で結ぶ、急ぎの対応が必要な場合の連絡手段を決めておく。契約前に決めておけば、あとで困りません。
選ぶときに比べる5項目
サービスを比べるときに見る項目を挙げます。料金以外のところが差になります。
1つ目は、対応する業務の範囲です。記帳だけか、請求や支払いも含むか、給与計算まで入るか。自社が任せたい工程が入っているかを確かめます。
2つ目は、使う会計ソフトです。自社が使っているソフトに対応しているか、対応していない場合はどちらが乗り換えるのか。ここがずれると、データの受け渡しに毎月手間がかかります。
3つ目は、税理士との関係です。申告まで一式で任せたいなら、税理士事務所が運営しているサービスか、提携している税理士がいるサービスを選ぶことになります。記帳だけを外に出して申告は既存の税理士に頼む形なら、その分担がうまく回るかを確認します。
4つ目は、資料の渡し方です。紙を郵送するのか、写真を撮って送るのか、クラウドの保管場所に入れるのか。自社の事務の流れに合う形を選ばないと、毎月の負担になります。
5つ目は、担当者が替わるときの扱いです。担当が替わったときに引き継ぎの資料が残る仕組みがあるか。1人の担当者の記憶に頼っている事業者は、その人が抜けたときに品質が落ちます。
この5項目を一覧にして、候補を横に並べる。これが比較のいちばん確実な方法です。おすすめの事業者を人に聞くより、自社の条件に合うかどうかを自分で確かめたほうが早く決まります。
失敗しやすいのは、この4つ
ご相談を受けていて多いのが、次の4つです。
1つ目は、範囲を決めずに始めることです。「経理をお願いします」だけで始めると、どちらがやる作業か分からない業務が残ります。多いのが、請求書の内容の確認、取引先への問い合わせ、振込の実行です。この3つは、誰がやるかを文字で決めておいてください。
2つ目は、資料を渡す期限を決めないことです。依頼した側が領収書を月末ぎりぎりに渡すと、当然、数字が出るのは遅くなります。そして「頼んだのに遅い」という不満になります。渡す期限と出てくる期限を両方決める。これで大半が解決します。
3つ目は、費用の内訳を確かめないことです。基本料金に含まれる件数を超えた分、決算期の作業、年末調整、突発的な依頼。含まれていないものを把握していないと、請求書を見て驚くことになります。
4つ目は、安さだけで選ぶことです。極端に安い見積もりは、範囲が狭いか、確認の工程が省かれています。入力されているけれど中身が合っていない帳簿は、後で直す手間が入力の何倍もかかります。
引き受ける側にも同じことが言えます。安く受けて範囲があいまいなまま始めると、想定外の作業が次々に増えて、断れなくなります。始める前に範囲を文字にする。これはお互いのためです。
在宅で引き受ける側になる。入口はどこか
ここから、受ける側の話をします。
経理の在宅案件は、大きく3つの入口があります。
1つ目は、経理代行を行っている会社に登録する形です。会社が受注した業務の一部を、在宅の作業者に振り分けます。入力のルールも会計ソフトも会社が決めているので、判断に迷う場面が少なく、未経験に近い状態から入りやすい入口です。報酬は作業量に対して決まる形が多く、単価は低めからになります。
2つ目は、企業の在宅経理として雇われる形です。パート、契約社員、派遣社員として雇用され、勤務地が自宅になります。時給が出るので収入が読めます。月次の締めの時期だけ出社する形や、初回だけ出社して機材を受け取る形もあります。
3つ目は、直接契約で引き受ける形です。小規模な会社や個人事業主から、月あたりいくらで記帳や請求の業務を請け負います。単価を自分で決められる代わりに、責任も自分で負います。
順番としては、1つ目か2つ目で実務を覚えて、3つ目に移るのが現実的です。いきなり3つ目から始めると、判断に迷ったときに聞ける相手がいません。
始める前に確かめておくことを1つ。経理の在宅案件は、雇用契約と業務委託のどちらもあります。時給やシフトの記載があれば雇用契約、1件いくらや月額いくらなら業務委託です。業務委託の場合は雇用保険の対象にならず、確定申告も自分で行うことになります。応募のときに雇用形態を確かめてください。
未経験から在宅で引き受けられる仕事の幅を広く見たいときは、業務の効率化を支援する側の仕事もあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事には、業務の流れを整理して仕組みに置き換える仕事の中身がまとまっており、経理の実務経験がそのまま生きる領域です。
覚える順番と、そろえるもの
必要なものを、覚える順番で並べます。焦らなくて大丈夫です。順番に積めば届きます。
最初に覚えるのは、簿記の基本です。借方と貸方、勘定科目、試算表の読み方。これが分からないと、入力の意味が分からないまま作業することになります。日本商工会議所の簿記検定は、2級と3級がネット試験でも受けられる形になっています。試験の内容には改定の予告が出ているので、受けるつもりなら日商簿記検定のページで最新の案内を確かめてください。
次に覚えるのは、会計ソフトの操作です。クラウド型の会計ソフトが広く使われていて、募集でも指定されることが多いです。無料の試用期間がある製品もあるので、応募の前に画面を触っておくと面談で話が通じます。銀行の明細を取り込む機能、証憑を画像で紐づける機能、仕訳を自動で推測する機能。この3つの使い方を押さえておけば、多くの現場で足ります。
3つ目に覚えるのは、証憑を扱うルールです。取引の情報を含む電子データをやりとりした場合、そのデータの保存義務や保存方法が電子帳簿保存法に定められています。国税庁は、所得税法や法人税法で保存義務がある人は特に電子取引について確認するよう案内しています。詳細は国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトにまとまっています。
メールで届いた請求書をどう保存するか、紙で受け取ったものをどう扱うか。この扱いを間違えると、依頼先が困ります。引き受ける側が押さえておく価値のある知識です。
4つ目は、消費税の扱いです。適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が始まってから、請求書の記載事項と保存の仕方が変わりました。制度の内容は国税庁のインボイス制度のページで確認できます。ただし、個別の取引がどう扱われるかは事情で変わるので、判断は依頼先の税理士に確認する形にしてください。ここは自分で決めない領域です。
道具については、特別なものは要りません。パソコン、安定した通信環境、画面を広く使える環境。そして書類を扱う仕事なので、机の上を片づけておける場所が必要です。紙の証憑を預かる場合は、鍵のかかる場所も要ります。
書類の作成や報告の文書をきちんと書ける力も、そのまま評価につながります。ビジネス文書検定のように文書の基本を扱う試験の範囲は、月次の報告書や申し送りの書き方を整えるうえで実用的です。
単価の考え方と、受注の形
在宅で引き受けるときの単価の決め方を書きます。
まず、時間で測る癖をつけてください。月額3万円で受けた仕事に月20時間かかっているなら、時間単価は1,500円です。同じ3万円で40時間かかっているなら750円です。この計算をしていないと、忙しくなっているのに収入が増えない状態に気づけません。
最初の3カ月は、必ず作業時間を記録してください。仕訳の件数と、かかった時間。この2つを並べると、1件あたりの時間が出ます。この数字があると、次の依頼で単価を決められます。感覚ではなく実測値が交渉の材料になります。
料金の形は3つあります。
1つ目は、月額の固定です。収入が読めるので生活の計画が立てやすい。ただし件数の上限を決めておかないと、増えた分を無償で負うことになります。
2つ目は、件数に応じた従量です。作業量と報酬が連動するので公平ですが、月によって収入が変わります。
3つ目は、時間で計算する形です。時間を記録して報告する手間はありますが、想定外の作業が発生したときに揉めません。
現実的なのは、基本の月額を決めて、決められた件数を超えた分と、範囲外の作業を追加でいただく組み合わせです。
在宅で請け負う仕事の単価水準を全体として把握したいときは、職種ごとの相場を見ておくと目標が立てやすくなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場のように専門性の高い職種と比べると、経理の在宅業務の単価がどの位置にあるかが分かります。単価の差は能力の差ではなく、その仕事を引き受けられる人の数の差です。だから単価を上げる方向は、引き受けられる人が少ない領域に移ることになります。
具体的には、給与計算まで扱える人、複数のクラウド会計ソフトを扱える人、業種特有の処理が分かる人。この3つはいずれも、引き受けられる人が限られます。
月次の流れを、日付で合わせておく
経理の仕事は月のリズムで動きます。頼む側と受ける側で、このリズムを合わせておくと、ほとんどのすれ違いが消えます。
月初は、前月分の資料が出そろう時期です。領収書、請求書、通帳の記録、経費の申請。ここで渡す期限を決めます。たとえば5営業日目までに渡す、と決めておく。
次が入力です。渡された資料を会計ソフトに入れていきます。ここで判断に迷う項目が出るので、一覧にして質問を投げます。質問を1件ずつ送ると相手の手が止まるので、まとめて1回にします。
続いて突き合わせです。通帳の残高と帳簿の残高が合うか、売掛と買掛の残りが前月から続いているか。ここで合わないと、原因を探す作業が入ります。合わない額が小さくても放置しない。翌月に持ち越すと、原因が2倍探しにくくなります。
そして月次の資料を作ります。試算表と、前月との比較。ここに数行の申し送りを付けて渡すと、依頼した側が読めます。
給与計算が含まれる場合は、支給日から逆算した別の締切が入ります。勤怠の締め、計算、確認、支給額の確定。支給日は動かせないので、この流れは最優先です。
この一連を、日付の入った1枚の表にして両者で持つ。月初何日までに何を渡し、何日までに質問を投げ、何日までに資料を出すか。この表があるだけで、遅れの責任があいまいになる事態を避けられます。
紙の資料を扱う場合は、受け渡しの方法と保管の期限も表に入れてください。預かった書類がどこにあるか分からなくなるのは、実際に起きる事故です。
契約と守秘義務。預かる情報の重さを先に確かめる
経理の仕事で預かるものは、会社の内側の情報です。取引先の名前、金額、従業員の給与、口座の情報。これを扱う仕事だという前提で、契約を整えてください。
業務委託で受ける場合、契約の条件を文書で明示することは、発注する側の義務として法律に定められています。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、通称フリーランス法です。令和5年5月12日に公布され、令和6年11月1日に施行されました。
明示される内容には、業務の内容、納品や作業の期日、検査を完了する期日、報酬の額と支払期日が含まれます。そして報酬については、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることが求められています。
経理の業務委託で特に文字にしておきたいのは、次の4つです。
1つ目は、業務の範囲です。どの工程を引き受けるか。振込の実行を含むかどうかは必ず明記してください。会社のお金を動かす行為は、責任の重さが違います。 2つ目は、資料を受け取る期限と、納品する期限です。両方を決めないと、遅れの責任があいまいになります。 3つ目は、秘密保持です。知った情報を外に出さないこと、作業に使った端末やファイルの管理方法、契約が終わったあとのデータの扱い。この3点を書きます。 4つ目は、誤りがあった場合の扱いです。入力の誤りが見つかったときに、どこまで直すのか。損害が出た場合の責任の範囲をどこまで負うのか。ここが無制限になっている契約は、結んではいけません。
4つ目について補足します。責任の範囲が「一切の損害を賠償する」となっている契約書は珍しくありません。ただし、入力作業の報酬に対して無制限の責任を負うのは、釣り合いません。範囲を報酬の額に見合った形にしてもらう交渉は、失礼なことではありません。
このあたりは契約書の書き方で結論が変わる領域です。金額が大きい契約や、責任の範囲が気になる契約は、署名する前に専門家に見てもらってください。厚生労働省が設けている無料の相談窓口もあります。
もう1つ。端末の管理は自分の責任になります。家族と共用しているパソコンで作業する、公共の通信環境で会計ソフトに入る、資料をそのまま保存し続ける。この3つは避けてください。作業用の領域を分ける、通信は自宅の回線を使う、契約が終わったら消す。地味ですが、これが信用の土台です。
一人で抱えない工夫と、長く続けている人の共通点
経理の在宅仕事には、特有のしんどさがあります。
1つは、間違えてはいけないという緊張です。数字がずれれば会社に迷惑がかかる。この緊張が続くと、確認を何度も繰り返して時間だけが増えていきます。
もう1つは、相談相手がいないことです。会社の中なら隣の人に聞けたことが、在宅だと誰にも聞けません。判断に迷ったまま入力を進めて、あとで直すことになる。
対処法を書きます。まず、判断に迷った箇所は、その場で止めずに印を付けて先へ進んでください。一覧にしてまとめて質問する形にすると、聞く回数が減って相手の手間も減ります。「ここは判断に迷ったので保留にしています」と書いた申し送りを付けて納品する。これは仕事ができない証拠ではなく、丁寧な仕事の証拠です。
次に、質問する頻度と方法を契約のときに決めてください。「週に1回、まとめて確認の連絡をします」と決めておくと、聞くことへの遠慮が消えます。遠慮が消えると精度が上がります。
そして、作業する時間を決めてください。数字を扱う作業は、疲れている時間帯にやると間違えます。夜に3時間続けるより、朝に1時間半を2回に分けたほうが確実です。
運営者として在宅の受発注を20年見てきた立場から、1つ観察を書いておきます。経理の在宅業務で長く続いている人は、入力が速い人ではありません。依頼者が聞きたいことを先に書いて渡す人です。今月は前月と比べてどこが増えたか、判断を保留した項目はどれか、来月に持ち越す処理は何か。この3つを数行で添えて渡すだけで、依頼者は自分で調べる時間を節約できます。結果として、次も同じ人に頼みます。
もう1つ、報酬の構造についてです。仲介の手数料が引かれない形で直接やりとりできると、依頼する側は同じ予算でより広い範囲を頼めて、引き受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。金額の大小ではなく、手取りの質の話です。20年見てきた限りでは、件数を追う人よりも、手元に残る金額を把握している人のほうが長く続いています。件数を追うと疲れて精度が落ち、精度が落ちると信用が切れる。この循環を避けるために、手取りで見る習慣が効きます。
編集部に届く相談で多いのは、「最初に安く受けてしまい、単価を上げる話を出せない」というものです。これに対する答えは、範囲を増やすときに単価を見直す約束を先に入れておくことです。契約のときに「業務の範囲が変わる場合は、単価を改めて相談する」と1行書いておく。この1行があるだけで、あとの会話がずいぶん楽になります。
よくある質問
Q. 経理代行サービスはどこまでの業務を任せられますか?
記帳、請求と入金の管理、支払いの処理、経費精算、給与計算、月次資料の作成までが一般的な範囲です。確定申告書などの税務書類の作成や税務相談は税理士が行う業務として区別されています。申告まで任せたい場合は、税理士事務所が運営しているサービスか提携先がある事業者を選んでください。
Q. 費用の相場はどのくらいですか?
月額の基本料金に必要なオプションを足す形が一般的で、月3万円からという価格帯を示しているサービスがあります。金額は仕訳の件数、業務の範囲、資料の渡し方、対応の頻度で変わります。比べるときは基本料金に含まれる件数の上限と、超えた場合の追加料金、決算期の扱いを確認してください。
Q. 資格がなくても在宅で経理の仕事を引き受けられますか?
記帳や請求の作業は、資格がなくても引き受けられます。ただし税務書類の作成や税務相談は税理士の業務、社会保険や労働保険の届出の作成と提出代行は社労士の業務として区別されています。業務内容があいまいな募集は、届出の作成や提出が含まれるかを応募前に確認してください。
Q. 未経験から始めるには何を先に覚えますか?
簿記の基本、クラウド会計ソフトの操作、証憑の保存ルールの順です。取引情報を含む電子データの保存義務は電子帳簿保存法に定められており、インボイス制度で請求書の記載事項も変わりました。入口としては経理代行会社への登録か、企業の在宅経理として雇われる形が現実的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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