経理のリモートワークで任される業務と、在宅で整える環境

@SOHO編集部
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経理のリモートワークで任される業務と、在宅で整える環境

この記事のポイント

  • ✓経理のリモートワークでは何を任され
  • ✓何が在宅ではやりにくいのか
  • ✓雇用形態ごとの社会保険の扱い

「経理はリモートワークができるのか」という質問には、条件付きで「できる」が答えになります。実際に完全在宅の経理求人は出ていますし、週に何日かだけ出社する形も広く使われています。

ただし、経理の業務のうち在宅でできる部分とできない部分は、はっきり分かれています。この線を知らずに完全在宅の求人だけを探すと、候補がほとんど見つからずに行き詰まります。逆に、どの業務が在宅に向いているかを分かっていれば、探し方も応募のときの言い方も変わります。

もう1つ、見落とされがちな点があります。在宅勤務には、労働時間の扱いや費用の負担について、あらかじめ決めておくべき事柄があります。これ、知らない人が本当に多いところです。通信費は誰が負担するのか、昼間に少し用事で離れた時間はどう扱われるのか。入社してから困らないために、面接の段階で確かめておける事柄です。

この記事では、任される業務の中身、在宅でやりにくい業務、求人の実態、雇用形態ごとの保険の扱い、在宅勤務のルール、作業環境の整え方、資格の積む順番を順番に並べます。

経理のリモートワークで実際に任される業務

経理の仕事は工程に分かれています。リモートで任されるのは、主に次の6つです。

1つ目は、仕訳の入力です。領収書や請求書、通帳の記録を会計ソフトに入れていく作業です。クラウド型の会計ソフトなら、どこからでも同じ画面に入れます。リモートで最も多く任される業務です。

2つ目は、経費精算です。従業員が申請した立替費用を確認し、証憑と金額を突き合わせ、承認の流れに乗せます。申請がシステム上で行われている会社では、まるごと在宅でできます。

3つ目は、請求書の発行と入金の確認です。取引先ごとの請求書を作り、送付し、入金があったかを通帳で確認します。請求書を電子で送っている会社なら、郵送の作業がないので在宅で完結します。

4つ目は、売掛金と買掛金の管理です。誰にいくら請求していて、いくら回収したか。誰にいくら払う予定で、いつ払うか。この一覧を作って最新に保つ作業です。

5つ目は、月次決算です。月ごとの数字を締めて、試算表を作り、前月との差を確認します。判断が入る工程なので、経験が問われます。

6つ目は、年次決算の補助です。決算のための資料をそろえ、税理士とやりとりします。

実際にフルリモートの経理として働く人の業務内容について、こういう質問があります。

【急】フルリモートで経理をやってる方いますか?

経費精算、帳票、仕訳入力、売掛、買掛管理、月次決算などなどが仕事内容らしいですが、どんな感じでやるのでしょうか? フルリモートで仕事始める際、業務の進め方などどうやって教わりましたか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

挙げられている業務は、いま並べた6つとほぼ重なります。つまり、フルリモートの経理として募集されている仕事の中身は、出社する経理とそう変わりません。変わるのは進め方と、次に書く「在宅ではやりにくい業務」の扱いです。

質問にある「どうやって教わったか」という点は重要です。リモートの経理で入社直後に苦労するのは、業務の内容ではなく社内のルールを知る経路です。誰に何を聞けばよいか、承認は誰が出すか、例外の処理はどう扱うか。この情報はマニュアルに書かれていないことが多く、出社していれば周りの会話から自然に入ってきます。在宅だと入ってきません。だから、入社のときに質問の窓口と頻度を決めておくことが、実務では何より効きます。

在宅ではやりにくい業務。ここが完全在宅の分かれ目

経理の工程の中で、在宅に向かない業務は5つあります。

1つ目は、現金の取扱いです。小口現金を管理している会社では、現金を数えて帳簿と合わせる作業があります。これは物理的に現場でしかできません。

2つ目は、紙の原本を扱う業務です。契約書の原本、紙の請求書、銀行から届く書類。原本を保管している場所に行かないと触れません。

3つ目は、押印です。社印や銀行印を押す作業は、印章を保管している場所で行います。

4つ目は、郵便物の受け取りと発送です。届いた請求書を開封して仕分ける作業、請求書を封入して送る作業。ここが残っている会社では、誰かが出社する必要があります。

5つ目は、金融機関の窓口対応です。窓口でしかできない手続きが残っている場合、その日は出社します。

この5つが社内でどれだけ電子化されているかが、完全在宅か一部在宅かを決めます。つまり、完全在宅の経理求人を探すというのは、この5つを電子化し終えた会社を探すことと同じです。会社の規模や業種ではなく、業務の電子化がどこまで進んでいるかが条件になります。

だから求人を見るときは、次の3つを確かめてください。請求書を電子で受け取っているか、経費精算がシステム上で完結しているか、承認が電子で行われているか。この3つが揃っている会社は、完全在宅が成り立ちます。逆に「在宅可」と書かれていても、この3つが揃っていなければ、月末月初は出社になる可能性が高いです。

面接で聞き方に迷う場合は、「業務のうち紙で扱っているものはどのくらいありますか」と聞くのが自然です。この質問は前向きに受け取られます。答えを聞けば、自分が出社する頻度の見通しが立ちます。

求人の実態。簿記2級でリモートは通るのか

未経験や地方在住の人から多いのが、この疑問です。実際にこういう質問があります。

日商簿記2級の資格取得を検討しております。

3級はもっています。 ただ田舎で死ぬほど求人がありません 税理士事務所補助や建築系の会社が10件以下です。 日商簿記2級でフルリモートは可能なのでしょうか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

住んでいる地域に求人がないという事情は、リモートを探す動機として最も多いものです。

結論を書くと、簿記2級だけで完全在宅の経理に採用されるかは、資格よりも実務経験の有無で決まります。理由は先ほどの「教わる経路」の問題です。完全在宅で新しい人に業務を教えるのは、会社側にとって負担が大きい。だから未経験者を完全在宅で採る会社は限られます。

一方、在宅を含む形の経理求人には、未経験を対象にした募集が実際に出ています。

株式会社マイナビワークス | 未経験OK/女性のお仕事掲載中/土日祝休/有給取得率100%/在宅あり 出典: tenshoku.mynavi.jp

「在宅あり」という書き方です。完全在宅ではありません。ここが現実的な入口になります。

段取りとしては、次の順番が現実的です。まず在宅を含む形の経理職に入り、業務と社内のルールを覚える。半年から1年で業務が回るようになったら、在宅の日数を増やす相談をする。そのうえで、完全在宅の求人に応募する。この順番なら、教わる経路の問題が解消された状態で応募できます。

地域に求人がない場合の選択肢として、もう1つあります。都市部の会社が地方在住者を在宅で採用する形の募集です。これは実際に増えています。探すときは勤務地を自分の住所で絞らず、「フルリモート」「居住地不問」「全国」といった条件で検索してください。勤務地で絞ると、この種の求人が結果から落ちます。

簿記2級そのものの価値についても書いておきます。応募の段階で書類が通るかどうかに効きます。経理の実務経験がない人が応募するとき、採用側が見られる材料は資格と前職の内容だけです。3級より2級のほうが、扱える範囲が広いと判断されます。日本商工会議所の簿記検定は2級と3級がネット試験でも受けられる形になっており、試験内容には改定の予告が出ているので、受ける前に日商簿記検定のページで最新の案内を確かめてください。

雇用形態で変わる、社会保険と雇用保険の扱い

ここは入社後の生活に直結するので、丁寧に書きます。

雇用契約で在宅勤務をする場合、扱いは出社する社員と同じです。勤務地が自宅であることは、労働法の適用に影響しません。所定労働時間などの条件を満たせば雇用保険に入り、離職したときに失業給付を受けられる可能性があります。健康保険と厚生年金も、条件を満たせば勤務先の制度に入ります。有給休暇も同じように付きます。

そして、在宅勤務中のけがについても定めがあります。厚生労働省のテレワークガイドラインは、テレワークを行う労働者について、事業場での勤務と同様に使用者が労働災害に対する補償責任を負うとし、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じた災害は業務上の災害として労災保険給付の対象になると書いています。ただし、私的な行為が原因のものは業務上の災害とは認められません。

つまり、自宅で仕事中に机の角で足をぶつけた、配線につまずいて転んだといった事故は、状況によって労災の対象になり得ます。これを知らないまま自己負担にしている人がいます。ただし、業務上かどうかの判断は状況で分かれるので、実際にけがをした場合は勤務先に報告し、労働基準監督署に相談してください。ここは自分で結論を出さない領域です。

業務委託で経理を請け負う場合は、扱いが変わります。雇用保険の対象にならず、健康保険は国民健康保険に入るか家族の被扶養者になる形、年金は国民年金です。確定申告も自分で行います。労災については、令和6年11月1日から、特定受託事業者として働くフリーランスが労災保険の特別加入の対象になりました。任意で入れる制度で、保険料は自分で払います。詳細は厚生労働省の労災保険への特別加入のページにまとまっています。

応募のときに確かめる点を挙げます。雇用形態、社会保険の加入の有無、週の所定労働時間、そして在宅勤務が就業規則に定められているか。4つ目は見落とされやすいのですが、就業規則に在宅勤務の規定がない会社で在宅を認められている場合、扱いがあいまいになりやすいです。

在宅勤務の労働時間と費用負担のルール

ここが、入社後にもめやすい部分です。厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を示していて、あらかじめ決めておくべき事柄を並べています。

まず、労働時間の途中で仕事から離れる時間の扱いです。ガイドラインはこう書いています。

このような中抜け時間については、労働基準法上、使用者は把握することとしても、把握せずに始業及び終業の時刻のみを把握することとしても、いずれでもよい。 出典: mhlw.go.jp

つまり、日中に少し離れる時間を会社が記録してもよいし、始業と終業の時刻だけを記録する形でもよい、ということです。記録する場合の扱いとして、休憩時間として扱って終業時刻を繰り下げる方法、時間単位の有給休暇として扱う方法が挙げられています。記録しない場合は、始業から終業までを休憩時間を除いて労働時間として扱う形です。

大事なのは、この扱いをあらかじめ就業規則などに定めておくことが重要だとされている点です。決まっていない会社では、離れた時間をどう扱うかがその場の判断になり、あとで食い違いが起きます。面接のときに「在宅勤務中に用事で離れる時間の扱いは決まっていますか」と聞いておくと、入社後の不安が減ります。

次に費用の負担です。ガイドラインは、テレワークによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくないとし、誰がどのように負担するか、会社が負担する場合の限度額、労働者が請求する場合の方法などについて、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則などに定めておくことが望ましいとしています。

そして、押さえておくと交渉に使える点があります。労働者に情報通信機器や作業用品などの負担をさせる定めをする場合には、その事柄を就業規則に規定しなければならないとされています。つまり、通信費や機器の費用を従業員に負担させるなら、会社はそれを就業規則に書いておく必要があるということです。

通信費と電気代については、実際の費用のうち業務に要した実費の額を、在宅勤務の実態を踏まえて合理的かつ客観的に計算して支給することも考えられる、と書かれています。在宅勤務手当がある会社と、実費を精算する会社と、どちらもない会社があります。求人票に手当の記載がなければ、面接で確認してよい事柄です。

なお、個別の会社の制度がガイドラインに沿っているかどうかの判断は、就業規則の中身を見ないとできません。気になる場合は、労働条件通知書と就業規則を確認し、疑問があれば労働基準監督署に相談してください。

作業環境を整える。公的なチェックリストの観点で見る

在宅で経理をするなら、環境の整え方には根拠のある基準があります。

厚生労働省のガイドラインには、自宅などでテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリストが付いていて、働く人自身が確認する形になっています。事務所の衛生基準を定めた規則は自宅には一般には適用されませんが、同等の作業環境になるよう配慮することが求められています。

チェックリストの観点を、経理の作業に当てはめて整理します。

作業する場所については、手足を伸ばせる空間があるか、体操やストレッチができる空間があるか、物が密集して窮屈に感じないかという観点が挙げられています。経理の作業は書類を広げるので、机の上に書類を置ける面積が要ります。

姿勢については、机、椅子、画面、キーボード、マウスを適切に配置し、眼や肩、腕、腰に負担がかからない姿勢で作業できるかという観点です。数字を照合する作業は同じ姿勢が続くので、ここを妥協すると数カ月で体に出ます。

転倒の防止については、つまずく恐れのある障害物や電源コードがないか、床に書類が散らばっていないかという観点が挙げられています。経理の在宅作業では紙が増えやすいので、実際に当てはまります。

明るさについては、部屋の照明で不十分な場合は卓上照明を使って適切な明るさにしているか、作業に使う書類を支障なく読めるか、光源のまぶしさを防ぐために画面の位置を工夫しているかという観点です。細かい数字を読む仕事なので、明るさは精度に直結します。

騒音については、テレビ会議の音声が聞き取れるか、著しく集中力を欠くようなことがないかという観点が挙げられています。

そして、自宅の作業環境に大きな変化が生じた場合や心身の健康に問題を感じた場合に相談する窓口や担当者の連絡先を把握しているか、という項目もあります。これは入社時に確認しておく事柄です。

経理の在宅作業で特に足したいものを挙げます。画面を広く使える環境です。会計ソフトと証憑を並べて見る作業が多いので、片方を見るたびに切り替えていると時間が倍かかります。それから、書類を鍵のかかる場所にしまえる環境です。紙の証憑を自宅で預かる場合は必要になります。

経理の在宅作業でもう1つ足したいのは、作業を中断したときに戻れる仕組みです。仕訳の入力は、途中で電話や来客が入ると「どこまで入れたか」が分からなくなります。紙の証憑に処理済みの印を付ける、入力した件数を都度メモに残す、日付の区切りで作業を止める。この3つのうちどれかを習慣にしておくと、二重に入力する事故が減ります。二重計上は、あとから見つけると原因を探す時間が入力の何倍もかかる種類の誤りです。

そして休憩です。数字を照合する作業は集中が続かないので、時間を区切ってください。まとめて長時間続けるより、区切って戻るほうが見落としが減ります。チェックリストにも、水分補給や休憩を行える環境になっているかという項目があります。自宅だと自分で止めない限り止まらないので、止める時刻を先に決めておくのが確実です。

情報の扱いとセキュリティ

経理で扱うのは、会社の内側の情報です。取引先の名前と金額、従業員の給与、口座の情報。この前提で環境を作ります。

押さえておく点は5つです。

1つ目は、作業に使う端末です。会社から貸与された端末を使うのが原則で、家族と共用しているパソコンで会計ソフトに入るのは避けます。貸与がない場合は、作業用のアカウントを分けてください。

2つ目は、通信環境です。自宅の回線を使い、公共の場所の無料通信は使いません。

3つ目は、画面を見られない配置です。同居している家族の視線に画面が入らない向きにします。オンライン会議で画面を共有する場面も多いので、共有してはいけない情報を同じ画面に置かない習慣も要ります。

4つ目は、ファイルの保管場所です。会社が指定した保管場所に置き、自分の端末に写しを残さない。契約や在職が終わったときに消す手順まで決めておきます。

5つ目は、証憑の電子保存のルールです。取引の情報を含む電子データをやりとりした場合、そのデータの保存義務と保存方法が電子帳簿保存法に定められています。国税庁は、所得税法や法人税法で保存義務がある人は特に電子取引について確認するよう案内しており、詳細は電子帳簿等保存制度特設サイトにまとまっています。メールで届いた請求書をどこにどう保存するかは、会社のルールに従いますが、ルールの根拠を知っておくと判断がぶれません。

業務の流れを仕組みに置き換える側の仕事に関心があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事に業務の整理や自動化を支援する仕事の中身がまとまっています。経理の実務を知っている人がこの領域に移ると、現場の事情が分かる強みが出ます。

年収とスキルの積み上げ方

経理のリモートワークの収入は、雇用形態と任される範囲で決まります。

雇用契約であれば、給与水準は出社する経理と大きく変わりません。在宅だから安いという扱いは、業務内容が同じなら根拠がありません。もし在宅を理由に条件が下がる説明を受けたら、業務の範囲が同じかどうかを確かめてください。

年収を上げる方向は3つあります。

1つ目は、任される工程を広げることです。入力だけから月次決算まで、月次決算から年次決算まで。扱える範囲が広がると、代わりがいなくなります。

2つ目は、扱える会計ソフトを増やすことです。クラウド型の会計ソフトは複数あり、どれも操作の考え方は似ています。2つ以上扱える人は、転職のときに選べる求人が増えます。

3つ目は、業種特有の処理を覚えることです。建設業の原価管理、飲食業の棚卸、不動産業の収益計上。業種ごとの処理が分かる人は限られるので、単価が上がります。

在宅で働ける職種全体の中で経理がどの位置にあるかを確かめたいときは、職種別の相場を見ておくと目標が立てやすくなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場のように専門性の高い職種と比べると、水準の差が見えます。この差は能力の差ではなく、その仕事を引き受けられる人の数の差です。だから、伸ばす方向は引き受けられる人が少ない領域に移ることになります。

文書を正しく作る力も評価に直結します。月次の報告、申し送り、取引先へのお知らせ。ビジネス文書検定のように文書の基本を扱う試験の範囲は、リモートで信頼を得るための実用的な土台になります。リモートワークでは、対面で補える説明が文字に置き換わります。文字で正確に伝えられる人は、それだけで評価が上がります。

初心者が最初の1件を取るコツ

未経験から経理のリモートワークに入るときのコツを、4つ書きます。

1つ目は、応募書類に「突き合わせた経験」を書くことです。経理の経験がなくても、事務で伝票と請求書を照合していた、在庫の数と帳簿を合わせていた、売上の日報を集計していた。こういう経験は経理の作業そのものです。職種名ではなく作業の中身で書いてください。

2つ目は、会計ソフトの画面を触ってから応募することです。無料の試用期間がある製品があります。実際に仕訳を1件入れてみるだけで、面接での会話が具体的になります。「触ったことがあります」と言えるかどうかは、採用側の判断を変えます。

3つ目は、質問の仕方を見せることです。リモートの採用で会社が最も気にするのは、詰まったときに黙って止まる人かどうかです。面接で「分からないことが出たときは、どのタイミングでどう質問するのがよいですか」と聞いてください。この質問そのものが、自走できる人だという材料になります。

4つ目は、在宅を含む形から始めることです。完全在宅にこだわると候補が数分の1になります。週1日でも出社する形なら、教わる経路が確保されるので採用されやすい。そこから在宅の日数を増やす相談をするのが早い道です。

契約や労働条件でおかしいと感じたときは、1人で抱えないでください。労働条件の相談は労働基準監督署、業務委託の取引に関する相談は厚生労働省が設けている無料の窓口があります。制度は知っていれば使えます。

リモートの経理で起きやすい行き違いと、防ぎ方

相談として届く行き違いは、だいたい4つの型に分かれます。どれも事前の取り決めで防げます。

1つ目は、労働時間の申告をめぐる行き違いです。自宅で作業していると、始業も終業も自己申告になります。申告した時間と会社が把握している時間がずれると、残業代の計算で食い違います。防ぎ方は、勤怠の記録方法を入社時に確認し、記録が残る形で申告することです。チャットの送信時刻や作業ログが客観的な記録として残る場合があり、これが自分を守る材料になります。

2つ目は、業務範囲の広がりです。在宅だと手が空いていると思われやすく、経理以外の作業が足されていくことがあります。総務、人事の書類、備品の手配。断りにくいまま増えると、残業が常態化します。防ぎ方は、担当する業務を文字にしてもらうことです。労働条件通知書に書かれた業務内容を確認し、範囲外の依頼が続く場合は上司に相談してください。

3つ目は、評価をめぐる行き違いです。在宅だと働いている姿が見えないため、成果より印象で評価されることがあります。厚生労働省のガイドラインは、出社する労働者を高く評価することはテレワークの妨げになり適切な人事評価とはいえない、という趣旨を明記しています。評価の基準が曖昧な場合は、何をもって評価されるかを確認しておいてください。

4つ目は、情報の持ち出しをめぐる行き違いです。作業のために自宅の端末へファイルを保存した、家族が画面を見た。悪意がなくても規程違反になることがあります。防ぎ方は、ファイルの保管場所と端末の扱いを入社時に確認し、迷ったら保存しないことです。

どの型も、起きてから対応するより、始める前に文字にしておくほうが早く済みます。取り決めが自分を守るという点は、雇用でも業務委託でも同じです。なお、実際にもめて金銭が絡む場合の判断は、契約や記録の内容で結論が変わります。労働条件に関わることは労働基準監督署、業務委託の取引に関わることは厚生労働省が設けている無料の相談窓口に、事情を伝えて確認してください。

20年在宅の受発注を見てきた立場からの観察

運営者として在宅ワークの受発注を長く見てきた立場から、1つ書いておきたいことがあります。

経理のリモートワークで評価される人は、入力が速い人ではありません。状況を先に伝える人です。今月はここが前月と違う、この処理は判断を保留している、この資料は期限までに届かない見込み。この3つを聞かれる前に伝えるだけで、依頼した側は段取りを組み直せます。

逆に、作業は正確でも状況の共有がない人は、リモートでは不安を持たれます。姿が見えないぶん、進んでいるかどうかが分からないからです。これは能力の評価ではなく、情報が届いていないだけの話です。1日の終わりに3行の報告を送る習慣があるかどうかで、同じ仕事の評価が変わります。

もう1つ、報酬の構造についてです。仲介の手数料が引かれない形で直接やりとりできると、依頼する側は同じ予算でより広い範囲を頼めて、引き受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。金額の大小ではなく、手取りの質の話です。20年見てきた限りでは、受けた金額より手元に残る金額を把握している人のほうが長く続いています。件数を増やして疲れると精度が落ち、精度が落ちると信用が切れる。この循環を避けるために、手取りで見る習慣が効きます。

編集部に届く相談で多いのは、「在宅にしてから評価が下がった気がする」というものです。原因の多くは成果ではなく、見えていないことにあります。対処は、報告の形を先に決めることです。何をいつ誰に報告するかを自分から提案して決めてしまう。これだけで印象が変わります。制度も約束事も、決めておけば自分を守ってくれます。

よくある質問

Q. 経理はフルリモートで働けますか?

働けます。ただし現金の取扱い、紙の原本の管理、押印、郵便物の処理、金融機関の窓口対応が社内に残っている会社では、誰かが出社する必要があります。完全在宅の求人を探すときは、請求書の電子化、経費精算のシステム化、電子承認の3つが揃っているかを確かめてください。

Q. 簿記2級があればリモートの経理に就けますか?

書類選考で有利にはなりますが、完全在宅の採否は実務経験の有無で決まることが多いです。完全在宅で新しい人に業務を教えるのは会社側の負担が大きいためです。まず在宅を含む形の経理職に入り、業務を覚えてから在宅の日数を増やす順番が現実的です。

Q. 在宅勤務の通信費や電気代は誰が負担しますか?

厚生労働省のガイドラインは、誰がどのように負担するかをあらかじめ労使で話し合い、就業規則などに定めておくことが望ましいとしています。労働者に情報通信機器などの負担をさせる定めをする場合は就業規則に規定が必要です。求人票に手当の記載がなければ面接で確認してください。

Q. 在宅勤務中にけがをしたら労災は使えますか?

テレワークを行う労働者についても、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることで生じた災害は業務上の災害として労災保険給付の対象になるとガイドラインに書かれています。ただし私的な行為が原因のものは対象外です。判断は状況で分かれるので、勤務先に報告し労働基準監督署に相談してください。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月19日最終更新:2026年10月14日
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